説明

搬送装置

【課題】回転ロールとベルトとの間に混入した物を自動的に排除する。
【解決手段】複数の回転ロール23、24を並設すると共に各回転ロール23、24に搬送ベルト26を巻き掛けており、モータ22と連繋された回転ロール23、24の回転により搬送ベルト26が回転され、土を含む被搬送物を下流側に搬送する装置100であって、回転ロール23は、回転軸23aの外周面にスパイラル状に周設された螺旋羽根部23bを備えており、回転ロール23と搬送ベルト26との間に混入した土Tは、回転ロール23の回転による螺旋羽根部23bの回転に伴って軸線方向に排出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土や培土など(たとえば、ピートマスやバーミキューライトやパーライト等)を搬送する装置に関し、特に、育苗容器に自動で土入れを行うための土供給装置等に好適に用いられるものである。
【背景技術】
【0002】
従来、合成樹脂製の軟質な育苗容器である複数の育苗ポットを載置枠に嵌合設置した状態として、各育苗ポットに自動で一括して土入れを行うことのできる土供給装置が提供されている。
例えば、特開平7−284345号公報では、図5に示すように、育苗容器を搬送する移送ロール7が間欠的に備えられた移送台1の上方位置に供給ホッパー2を設け、供給ホッパー2の下面には繰出ベルト3を2本の回転ロール9に巻き掛けて配置して土供給装置4とし、該土供給装置4の下手側に鎮圧ローラ5を配置すると共に、鎮圧ローラ5の下手側に回転ブラシ6を配置している。
この土供給装置では、載置枠に嵌合された複数の育苗ポットを移送台1で水平搬送すると共に、回転ロール9の回転による繰出ベルト3の回転で供給ホッパー2内の土を繰出ベルト3の端部から順次落下させて育苗ポットに自動的に土入れし、供給ホッパー2の下方を通過した後で鎮圧ローラ5により育苗ポットの土表面を押圧して土固めを行い、更にその後、回転ブラシ6で土表面を升切りして平坦化する構造となっている。
【0003】
しかしながら、繰出ベルト3は土Tを搬送しているため、図6に示すように、周状に巻き掛けられた繰出ベルト3の内周面側に土Tが散在し、繰出ベルト3の回転に伴って回転ロール9と繰出ベルト3との間に土Tが混入することで、繰出ベルト3に突起Aが生じてしまう。このように、繰出ベルト3に局所的な突起Aが繰り返し生じることでベルト3にクラックが発生して損傷しやすくなる問題がある。また、繰出ベルト3の上面と供給ホッパー2の下端との間には、繰出ベルト3の回転を確保しながらも供給ホッパー2内の土が漏れないようにするためギリギリの隙間しか設けていないことが通常であり、繰出ベルト3に生じた突起Aが供給ホッパー2の下端と接触してしまう恐れがある。さらには、回転ロール9と繰出ベルト3との間に混入する土Tの塊が回転ロール9の軸線方向の一方側に偏った場合には、回転ロール9の外周面が擬似的に軸線方向に傾斜したようになり、外径が大の側から小の側へと繰出ベルト3が軸線方向に移動してしまう恐れもある。
【特許文献1】特開平7−284345号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、回転ロールとベルトとの間に混入した土等を的確に排除できる構造を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明は、複数の回転ロールを並設すると共に前記各回転ロールに搬送ベルトを巻き掛けており、回転駆動源と連繋された前記回転ロールの回転により前記搬送ベルトが回転され、前記搬送ベルトの上に載置された被搬送物を下流側に搬送する装置であって、
前記回転ロールは、回転軸の外周面にスパイラル状に周設された螺旋羽根部を備えており、前記回転ロールと前記搬送ベルトとの間に混入した前記被搬送物は、前記回転ロールの回転による前記螺旋羽根部の回転に伴って軸線方向に排出される構成としていることを特徴とする搬送装置を提供している。
【0006】
前記構成とすると、搬送ベルトの上に載置された被搬送物が搬送ベルトの内周面側に入り込み、回転ロールと搬送ベルトとの間に被搬送物が混入したとしても、回転ロールの回転により螺旋羽根部が旋回することで、被搬送物が回転軸線方向に螺旋搬送されて軸線方向の外部に排出することができる。また、回転ロールは回転軸の周囲に螺旋羽根部を周設した形状としているため、搬送ベルトは螺旋羽根部の外端により間欠的に支持されることとなり、被搬送物は搬送ベルトと回転軸との空隙に収まって搬送ベルトに突起を生じさせることもない。なお、被搬送物としては、土や培土、それらを容器に入れた物などが挙げられる。
【発明の効果】
【0007】
以上の説明より明らかなように、本発明によれば、回転ロールと搬送ベルトとの間に被搬送物が混入しても螺旋羽根部の旋回に伴って被搬送物が軸線方向に搬送されて外部に排出することが可能となる。しかも、回転ロールは回転軸の周囲に螺旋羽根部を周設し、搬送ベルトを螺旋羽根部の外周端により間欠的に支持する構造となっているため、被搬送物が搬送ベルトと回転軸との空隙に収まり、搬送ベルトに突起が生じるのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1および図2は土供給装置10を示し、合成樹脂製の軟質な育苗容器である複数の育苗ポットPを嵌合設置した枠ケース80を上流から下流に水平搬送する移送台11と、移送台11の上方に配置されている土供給ホッパー12と、土供給ホッパー12と移送台11との間の空間に配置された鎮圧ローラ13および土平坦化手段14とを備えている。
【0009】
移送台11は、フレーム20の搬送方向に回転ロール23、24および移送ロール25が間欠的に並設され、回転ロール23、24の外周に搬送ベルト26を架け渡した搬送装置100が備えられている。回転ロール23は、図3に示すように、回転軸23aの外周面にスパイラル状に固定された螺旋羽根部23bを設けており、螺旋羽根部23bの外周端に搬送ベルト26が巻き掛けられている。したがって、搬送ベルト26の内周面側に入り込んだ土Tが回転ロール23と搬送ベルト26との間に介入しても、土Tは回転軸23aと搬送ベルト26との空隙Sに収まり、搬送ベルト26の外面に突起を生じさせることがない。さらには、回転ロール23が回転することで、土Tは螺旋羽根部23bの旋回に伴って軸線方向の一側の外部へと自動的に排出されるようになっている。
【0010】
搬送ベルト26の上流端は、土供給ホッパー12よりも上流である一方、搬送ベルト26の下流端は、鎮圧ローラ13よりも下流で且つ土供給ホッパー12の下方位置で終端している。また、フレーム20の両端には車輪付きの脚部27、28が垂設されていると共に、フレーム20下方の所要位置に制御ボックス21およびモータ22(回転駆動源)が設置されており、回転ロール23、24および移送ロール25と、鎮圧ローラ13と、回転ブラシ16とは制御ボックス21に接続されたメイン電源(図示せず)がオンされることで、モータ22により常時回転駆動される構成としている。
【0011】
フレーム20の側部から上方に立設された第一壁部33に土供給ホッパー12が固定されており、土供給ホッパー12の底面は回転ロール29、30に搬送ベルト31を架け渡した搬送装置101により構成され、搬送ベルト31の上流側の上面と側壁12a下端との隙間を土の排出口32としている。回転ロール29は排出口32よりも上流側(図1左側)に配置し、搬送ベルト31の端部31aを排出口32から5cm〜15cmほど突出させることで、搬送ベルト31の停止時に排出口32から土が勝手に落下しないように工夫している。
【0012】
回転ロール30は、上述した図3の回転ロール23と同様の構成であり、搬送ベルト31の内周面側に入り込んだ土Tが回転ロール30と搬送ベルト31との間に混入しても、回転ロール30の回転による螺旋羽根部の旋回に伴って土が軸線方向の外部へと自動的に排出されるようになっている。
また、下流側の回転ロール30だけを上方に持ち上げて搬送ベルト31を傾斜させることで、排出口32を高くせずに土供給ホッパー12の下方に高背な空間を確保している。なお、搬送ベルト31を巻き付けた回転ロール29、30を駆動するモータ45は独立して付設されている。
【0013】
第一側部33には土供給ホッパー12の排出口32の排出直後の位置にガイド片34を固定しており、また、搬送ベルト31の下方位置には外周面がウレタン等の弾性材からなる鎮圧ローラ13が上下位置を調節可能かつ回転自在に取り付けられている。
フレーム20の側部から上下動可能に立設された第二側部38には、土平坦化手段14として、上面視で搬送幅方向にくの字状に横断する樹脂片である升切り片15と、外周に波状にブラシ部44が備えられた回転ブラシ16とが土供給ホッパー12の下方空間において上流側から順に回転自在に取り付けられている。なお、升切り片15を上面視でくの字状にし、また、回転ブラシ16のブラシ部44を波状に蛇行させているのは、これらにより除去される土が搬送路の幅方向の外側に向けて土を掃うためである。
【0014】
第二側部38はフレーム20より立設された第三側部39に平行なリンク部材40を介して連結されており、外周面にネジが刻設された旋回ハンドル41の下端を第二側部38に回動自在に固定していると共に、第一側部33に固定されて内周面にネジが刻設された軸受部42に旋回ハンドル41を貫通させている。即ち、旋回ハンドル41の把持部43を回すことで第二側部38が昇降されるのに連動して土平坦化手段14昇降されて高さ調節可能となっている。
また、第一側部33の上流端に固定されたリミットスイッチ35は、本体部36と検知レバー部37とを備え、育苗ポットPが検知レバー部37を押し上げることをトリガーとしてモータ45が駆動され、それに連動して土供給ホッパー12の回転ロール29、30が回転して回転ベルト31が回転される。
【0015】
土供給ホッパー12の下方位置となる移送台11の下方には回収ホッパー17が設置されていると共に、土供給ホッパー12の側方にはバケット60が循環回転する上昇コンベヤ18が立設され、上昇コンベヤ18の更に側方には新しい土を投入するための土投入ホッパー19を備えている。
【0016】
回収ホッパー17は、モータ53により駆動される回転ロール50、51に搬送ベルト52を架け渡した搬送装置102を底面として構成していると共に、図2中の時計回りに回転する搬送ベルト52の終端側に排出口54を設けており、排出口54から排出される土を導くガイド板55が上昇コンベヤ18の下端に配設されている。回転ロール50は、上述した図3の回転ロール23と同様の構成であり、搬送ベルト52の内周面側に入り込んだ土Tが回転ロール50と搬送ベルト52との間に介入しても、回転ロール50の回転による螺旋羽根部の旋回に伴って土が軸線方向の外部へと自動的に排出される。
【0017】
上昇コンベヤ18は、筐体70内の上下にモータ56で駆動されるスプロケット57、58が配置され、スプロケット57、58にはチェーン59が架け渡されていると共に、チェーン59には断面L字形状の多数のバケット60が取り付けられている。筐体70の上方の土供給ホッパー12の上面開口12bに対向する側には上部排出部61が設けられており、この上部排出部61からガイド樋62が土供給ホッパー12の上面開口12bに向けられている。
【0018】
図4に示すように、バケット60とチェーン59との間には上下方向に遮蔽板71を介設してバケット60からこぼれた土Tがチェーン59に被らないようにしているので、チェーン59がスプロケット57の歯を山越えするのを防止することができる。また、上昇コンベヤ18の下方位置には、バケット幅より狭い間隔で2枚のガイド板72を設置してバケット60に掬われる土Tがバケット60内の中央側に寄るようにして更にチェーン59へ土Tが被り難くなるようにしている。
上昇コンベヤ18の筐体70には底面がなく地面に露出しており、バケット60の下端の地面からの高さLは10cm〜25cmと大きな空間を確保している。このように上昇コンベヤ18の筐体70の下方を開けっ放し且つ十分な空間を確保することで、バケット60の側壁60aが地面上の土Tを押し固めてしまうのを防止している。
【0019】
土投入ホッパー19は、モータ67により駆動される回転ロール64、65に搬送ベルト66を架け渡した搬送装置103を底面として構成していると共に、図2中の反時計回りに回転する搬送ベルト66の終端側においてホッパー19の側壁19a下端に排出口68を設けており、排出口68から排出される土を導くガイド板69が上昇コンベヤ18の下端に配設されている。回転ロール65は、上述した図3の回転ロール23と同様の構成であり、搬送ベルト66の内周面側に入り込んだ土Tが回転ロール65と搬送ベルト66との間に混入しても、回転ロール65の回転による螺旋羽根部の旋回に伴って土が軸線方向の外部へと自動的に排出される。
【0020】
次に、土供給装置10を用いた土入れ手順について説明する。
まず、作業者が土供給装置10の制御ボックス21に接続されたメイン電源(図示せず)をオンすることでモータ22が駆動し、回転ロール23、24、移送ロール25および回転ロール23、24に巻き掛けられた搬送ベルト26が図1中の時計回りに回転させられると共に、鎮圧ローラ13および回転ブラシ16が時計回りに回転される。
次いで、合成樹脂製の軟質な育苗容器である複数の育苗ポットPを嵌合設置した枠ケース80を移送台11の上流から搬送ベルト23に載せた状態で搬送方向にスライド挿入させることで、枠ケース80の前端がリミットスイッチ35の検知レバー部37に当接検知されることをトリガーとしてモータ22が駆動して回転ベルト31が図1中の反時計回りに回転し、土供給ホッパー12内の土Tが排出口32からガイド片34に沿って落下し始める。
【0021】
育苗ポットPを備えた枠ケース80は回転する搬送ベルト26により上流から下流に移送されて、土供給ホッパー12の排出口32から落下される土Tが育苗ポットP内に注がれる。その際、溢れた土が散乱して搬送ベルト26の内周面側に入り込むことがあるが、前述したように回転ロール23の螺旋羽根部23bにより土は軸線方向の外部に自動的に排除される。
その後、各育苗ポットPに満たされた土の表面は鎮圧ローラ13により押し固められた後、育苗ポットPから溢れた土が升切り片15の下端縁により升掻きされて除去され、回転ブラシ16により育苗ポットPの土表面が掃かれて更に平坦化される。
【0022】
搬送ベルト26上に載っている余分な土は、搬送ベルト26の下流側終端より回収ホッパー17に投下されると共に、升切り片15および回転ブラシ16により除去された土も回収ホッパー17により回収される。
回収ホッパー17に入った土は、回転ベルト52が図2中の時計回りに回転することで、排出口54から出てガイド板55に沿って上昇コンベヤ18の下端部に集められ、図2中の反時計回りに循環するバケット60により掬われて、上部排出口61まで上昇され、ガイド樋62に沿って土供給ホッパー12に返送される。この際、バケット60から土Tがこぼれても遮蔽板71があるためチェーン59に土が被ることがなく、スプロケット57の歯をチェーン59が山越えすることによる誤動作を防止できる。
【0023】
作業者が別の新たな土を供給する場合には土投入ホッパー19に投入する。土投入ホッパー19内の土は、回転ベルト66が図2中の反時計回りに回転することで、排出口68から出てガイド板69に沿って上昇コンベヤ18の下端部に集められ、循環するバケット60により掬われて、上部排出口61まで上昇され、ガイド樋62に沿って土供給ホッパー12に供給される。
【0024】
本実施形態では、搬送ベルト26、31、52、66が巻き掛けられた回転ロール23、24、29、30、50、51、64、65のうち、土を巻き込む方向に回転する一方の回転ロール23、30、50、65のみを図3に示す螺旋羽根部を有する形状としているが、他の回転ロール24、29、51、64も螺旋羽根部を有する形状を採用しても良いことは言うまでもない。
また、本実施形態では搬送装置100〜103を土供給装置10に適用しているが、被搬送物が回転ロールと搬送ベルトとの間に混入する恐れのあるシチュエーションに用いられる搬送装置であれば、あらゆるものに適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施形態の土供給装置を示す概略側面図である。
【図2】土供給装置の下流側から見た概略背面図である。
【図3】搬送装置の断面斜視図である。
【図4】上昇コンベヤの正面図である。
【図5】従来例の土供給装置を示す図面である。
【図6】問題点を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0026】
10 土供給装置
11 移送台
12 土供給ホッパー
13 鎮圧ローラ
14 土平坦化手段
15 升切り片
16 回転ブラシ
17 回収ホッパー
18 上昇コンベヤ
19 土投入ホッパー
23、24、29、30、50、51、64、65 回転ロール
23a 回転軸
23b 螺旋羽根部
26、31、52、66 搬送ベルト
32 排出口
57 スプロケット
59 チェーン
60 バケット
70 筐体
71 遮蔽板
72 ガイド板
80 枠ケース
100、101、102、103 搬送装置
P 育苗ポット
S 空隙
T 土

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の回転ロールを並設すると共に前記各回転ロールに搬送ベルトを巻き掛けており、回転駆動源と連繋された前記回転ロールの回転により前記搬送ベルトが回転され、前記搬送ベルトの上に載置された被搬送物を下流側に搬送する装置であって、
前記回転ロールは、回転軸の外周面にスパイラル状に周設された螺旋羽根部を備えており、前記回転ロールと前記搬送ベルトとの間に混入した前記被搬送物は、前記回転ロールの回転による前記螺旋羽根部の回転に伴って軸線方向に排出される構成としていることを特徴とする搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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