説明

搬送装置

【課題】余分なコストを費やすことなく所定位置でもって確実に物品を停止させ得る搬送装置を提供する。
【解決手段】物品の搬送経路上に設けられて当該搬送方向での物品の位置決めを行い得る位置決め部材が具備された搬送装置であって、位置決め部材41を、複数の搬送用ローラ13の両端部を支持する左右一対の側板材12に着脱自在にされた一対のL字型ブラケット43と、これら一対のL字型ブラケットの水平部43aにて両端部が支持されるストッパー板材44とから構成するとともに、L字型ブラケット43とストッパー板材44との連結をボルト・ナットにて行うようになし、且つ上記各L字型ブラケット43の水平部43aおよびストッパー板材44の水平部44aに形成されるボルト穴43c,44bをそれぞれ長穴に形成するとともに、その長手方向が物品の搬送方向に対して互いに逆方向に傾斜(θ1,θ2)させたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送用ローラにより搬送されてきた物品を、所定の位置で停止させ得る位置決め部材を具備した搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
物品の搬送装置の中には、搬送コンベヤにより搬送されてきた物品を、直交方向に配置された他の搬送コンベヤ上に移載し得る横送り機構が具備されたものがある。
すなわち、コンベヤフレームに搬送用ローラが多数並置されるとともに、その方向を変える部分の搬送用ローラの外周面に、横送り機構として、回転軸心が90度異なる小さい横送りローラが多数設けられたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
そして、通常、図7および図8に示すように、搬送用ローラ101により搬送れてきた物品の位置決めを行うために、コンベヤフレーム102の下流側端部、すなわち当該コンベヤフレーム102を構成する左右の側板材103の上フランジ部103a,103a同士間に、断面がL字形状のストッパー板材104が架け渡されていた(特許文献1の図4参照)。
【0004】
そして、さらに、このストッパー板材104をボルト・ナット105,106を介して上フランジ部103aに取り付ける場合、当該上フランジ部103aに予め形成された他の部品を取り付けるための取付用穴が利用されていた。
【特許文献1】特開平11−49319号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の構成によると、側板材103の上フランジ部103aに形成された取付用穴が、必ずしも、希望するストッパー位置に合致するとは限らず、したがって場合によっては、他の物品を取り付けるための取付用穴の位置を変更する必要があり、その作業が面倒であるとともに製造コストが高くなるという問題がある。なお、ストッパー板材104側に設けられるボルト穴を長穴にすることも考えられるが、その長手方向が、物品を停止させる際に当該ストッパー板材104に作用する荷重方向に一致するため、時間の経過とともに、ストッパー板材104の取付位置がずれてしまう。
【0006】
そこで、本発明は、余分なコストを費やすことなく所定位置でもって確実に物品を停止させ得る搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の請求項1に係る搬送装置は、物品の搬送経路上に設けられて当該搬送方向での物品の位置決めを行い得る位置決め部材が具備された搬送装置であって、
上記位置決め部材を、複数の搬送用ローラの両端部を支持する左右一対の側板材に着脱自在にされた一対のL字型ブラケットと、これら一対のL字型ブラケットの水平部にて両端部が支持されるストッパー板材とから構成するとともに、上記L字型ブラケットとストッパー板材との連結をボルト・ナットにて行うようになし、
且つ上記各L字型ブラケットの水平部およびストッパー板材に形成されるボルト穴をそれぞれ長穴に形成するとともに、その長手方向が物品の搬送方向に対して互いに逆方向に傾斜させたものである。
【0008】
また、請求項2に係る搬送装置は、請求項1に記載の搬送装置におけるL字型ブラケットを側板材に取り付けるのに、搬送用ローラを取り付けるために予め当該側板材に形成された取付用穴を利用したものである。
【発明の効果】
【0009】
上記請求項1に記載の構成によると、ストッパー板材およびその取付用のL字型ブラケットに設けられるボルト穴を長穴にするとともに、これらボルト穴の長手方向が物品の搬送方向に対して互いに逆方向となるように傾斜させたので、ストッパー板材の位置を搬送方向で調節し得るとともに、物品がストッパー板材に衝突した際に、連結用のボルトが互いに異なる方向で傾斜されたボルト穴に挿入されているため、当該ボルトが搬送方向前後から三角形状の溝部に支持された状態となり、したがって長穴でありながら、ストッパー板材の位置決めを確実に行うことができる。
【0010】
また、請求項2に記載の構成によると、L字型ブラケットを、搬送用ローラを取り付けるための取付用穴を利用して取り付けるようにしたので、別途、側板材側に位置決め部材用の取付用穴を形成する必要がないので、コストの増加を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
[実施の形態]
以下、本発明の実施の形態に係る搬送装置を、図1〜図6に基づき説明する。
本実施の形態に係る搬送装置は、物品を所定の搬送経路にて搬送する途中で搬送方向を、例えば90°(直交方向に)変更して、他の搬送経路に移載し得るものである。
【0012】
図1〜図3に示すように、この搬送装置1は、物品を所定の搬送方向aで搬送する搬送コンベヤ2と、この搬送コンベヤ2の下部内に配置されて搬送されてきた物品Wをその搬送面cから上方に持ち上げるとともに、所定の搬送方向aと直交する他の搬送方向bでもって配置された他の搬送コンベヤ4上に移載するための移載装置3とから構成されている。なお、以下の説明においては、搬送コンベヤ2を上手側搬送コンベヤと称するとともに、他の搬送コンベヤ4を下手側搬送コンベヤと称する。
【0013】
上手側搬送コンベヤ2は、その搬送方向の前後位置で且つ幅方向で設けられた下部連結材11により、互いに連結された左右一対の側板材(例えば、溝型状の板体が用いられる)12と、これら両側板材12,12同士間で且つ搬送方向aに沿って所定間隔おきに多数並置された搬送用ローラ(図1においては、移載装置3を分かり易く示すために、その一部を仮想線にて示している)13とから構成されている。なお、これら各搬送用ローラ13の回転軸端部は、各側板材12に形成された取付用穴内に挿通されて支持が行われている。また、これら搬送用ローラ13については、内部に自転用の回転駆動装置が組み込まれた駆動ローラ13Aと、組み込まれていない遊転ローラ13Bとがあるが、この遊転ローラ13Bについては、連動用ベルト14を介して自転ローラ13Aにより回転される。
【0014】
上記移載装置3は、両側板材12,12同士を連結する下部連結材11,11同士間に設けられた支持板材21と、この支持板材21の表面中央に且つ上下方向で設置された薄型の昇降用シリンダ装置(例えば、エアシリンダが用いられる)22と、この昇降用シリンダ装置22により所定高さでもって昇降自在に設けられた移載フレーム23とから構成されている。
【0015】
この移載フレーム23は、図2および図3に示すように、昇降用シリンダ装置22に連結された水平支持板24と、この水平支持板24上に所定間隔置きに立設された複数箇所(例えば、5箇所)の取付板(立上がり部であり、勿論、搬送用ローラ13,13同士間に対応する位置に設けられている)25と、これら各取付板25の複数箇所にそれぞれ上記搬送用ローラ13と直交する軸心回りでそれぞれ回転自在に設けられた回転輪体(例えば、ベルト用プーリが用いられる)26と、これら各回転輪体26に亘って無端状に巻回されるとともに物品Wの底面に接触して当該物品を移載するための移載用ベルト(例えば、断面が丸形状のゴム製のベルトが用いられている)27と、所定の回転輪体26を回転させるための回転駆動装置28とから構成されている。
【0016】
ここで、上記回転輪体26について説明すると、複数個の支持用回転輪体31と、移載用ベルト駆動用の駆動用回転輪体32と、移載用ベルト27を緊張させるための緊張用回転輪体33と、移載用ベルト27を内方に引き寄せて支持用回転輪体31側に押し付けるための押付用回転輪体34と、緊張用回転輪体33を出た移載用ベルト27を上方に案内するための案内用回転輪体35とから構成されている。
【0017】
なお、上記駆動用回転輪体32を回転させる回転駆動装置28は、支持板材24上に載置されるとともに出力軸に回転駆動輪体36が取り付けられた電動機37と、各取付板25に配置された駆動用回転輪体32同士を連結する連結軸体38の一端側に取り付けられた回転被動輪体39と上記回転駆動輪体36とに亘って無端状に巻回された駆動用ベルト40とから構成されている。すなわち、電動機37により駆動用ベルト40を駆動すると、一端側の回転被動輪体39および連結軸体38を介して駆動用回転輪体32が回転されて、全て(例えば、5本)の移載用ベルト27が駆動される。したがって、その上面に支持(載置)された物品Wは下手側搬送コンベヤ4側に移動されて移載が行われる。
【0018】
そして、さらに上記上手側搬送コンベヤ2側には、搬送されてきた物品Wを、移載装置3の上方の所定位置に位置決めするための位置決め部材41および当該上手側搬送コンベヤ2から下手側搬送コンベヤ4上に物品Wを移載する際に用いられる案内ローラ装置42が具備されている。
【0019】
上記位置決め部材41は、物品を停止させる位置に対応する下流側端部の搬送用ローラを取り外し、その後の取付用穴を利用して取り付けられる。
すなわち、図4〜図6に示すように、この位置決め部材41は、左右の側板材12のウエブ部12aに形成された搬送用ローラ13の取付用穴(例えば、軸端部用の穴が1個、軸端部の軸受取付用の穴が2個、合計3個設けられているが、勿論、1個または2個だけを使用してもよい)12cにボルト・ナット51,52を介して取り付けられる左右一対のL字型ブラケット43と、これら両L字型ブラケット43,43の水平部43a,43a同士間に載置された断面がL字型のストッパー板材44とから構成されている。なお、L字型ブラケット43の鉛直部43bが側板材12のウエブ部12aに支持され、またストッパー板材44の水平部44aの端部は側板材12の上フランジ部12bにも載置された状態となる。
【0020】
そして、図6に示すように、このストッパー板材44と上記両L字型ブラケット43,43とは、ボルト・ナット53,54を介して連結されており、しかも、これらブラケット43およびストッパー板材44にそれぞれ形成されるボルト穴43c,44bについては長穴にされるとともに、それぞれの長手方向は互いに異なる方向、例えば90°交差するように配置されている。
【0021】
具体的に説明すると、搬送方向aを基準にして(搬送方向aと直交する幅方向を基準にしてもよい)、L字型ブラケット43のボルト穴43cは外側に45度の角度θ1でもって傾斜されるとともに、ストッパー板材44のボルト穴44bは内側に45度の角度θ2でもって傾斜されている。
【0022】
両ボルト穴43c,44bをこのような方向でもって形成することにより、ストッパー板材44の取付位置(固定位置)を搬送方向aで調節することができるとともに、物品Wが当該ストッパー板材44に衝突した際に、取付用のボルト53が互いに異なる方向で傾斜するボルト穴43c,44bに挿入されているため、三角形状の溝部で前後から支持された状態になり、したがって搬送方向および幅方向ともに移動することがない。
【0023】
なお、案内ローラ装置42は、図1〜図3に示すように、左右の側部フレーム12の前部底面同士および後部底面同士間に連結された前方および後方下部連結フレーム11,11の下手側搬送コンベヤ4側の各端部にボルト61およびダブルナット62にてそれぞれ取り付けられた支持ブラケット63と、これら両支持ブラケット63にて両端部が支持された案内用ローラ(フィードローラともいう)64とから構成されている。なお、上記ボルト61は、支持ブラケット63の下面に垂直方向で固定されている。
【0024】
上記構成において、上手側搬送コンベヤ2により下手側搬送コンベヤ4に移載すべき物品Wが搬送されてくると、ストッパー板材44により、当該搬送されてきた物品Wはその位置で停止されて位置決めが行われる。
【0025】
位置決めが行われると、昇降用シリンダ装置22が作動して移載フレーム23が上昇し、各取付板25に設けられた支持用回転輪体31に巻回された移載用ベルト27を介して物品Wが搬送面cより上方に持ち上げられる。
【0026】
物品Wが持ち上げられると、電動機37により各駆動用回転輪体32が回転されて、移載用ベルト27により物品Wは、案内用ローラ64を介して下手側搬送コンベヤ4側に移載される。
【0027】
なお、昇降用シリンダ装置22の作動については、例えば搬送コンベヤ2側に設けられた物品検出用の在荷検出センサ(例えば、フォトセンサが用いられる)71からの物品Wの検出信号に基づき行われる(図1および図3参照)。
【0028】
上述したように、ストッパー板材44およびその取付用のL字型ブラケット43に設けられるボルト穴44b,43cを長穴にするとともに、これらボルト穴44b,43cの長手方向が物品の搬送方向に対して互いに逆方向となるように傾斜させたので、ストッパー板材44の位置を搬送方向で調節し得るとともに、物品Wがストッパー板材44に衝突した際に、連結用のボルト53が互いに異なる方向で傾斜されたボルト穴44b,43cに挿入されているため、当該ボルト53が搬送方向前後から三角形状の溝部に支持された状態となり、したがって長穴でありながら、ストッパー板材44の位置決めを確実に行うことができる。
【0029】
また、L字型ブラケット43を、搬送用ローラ13を取り付けるための取付用穴を利用して取り付けるようにしたので、別途、側板材12側に位置決め部材41用の取付用穴を形成する必要がないので、コストが余分に増えることはない。
【0030】
ところで、上記実施の形態においては、位置決め部材41を搬送経路の下流側端部に設けたものとして説明したが、例えば搬送経路の途中に設けることもできる。
また、上記実施の形態においては、上手側搬送コンベヤ2に移載装置3が設けられた場合について説明したが、勿論、物品を移載するための位置決め以外に、単に、搬送コンベヤにて搬送されてくる物品の位置決めを行うだけの搬送装置であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施の形態に係る搬送設備の全体構成を示す平面図である。
【図2】図1のA−A矢視図である。
【図3】図1のB−B矢視図である。
【図4】図1のC−C矢視図である。
【図5】図4のD−D矢視図である。
【図6】図4のE−E矢視図である。
【図7】従来例に係る搬送装置の要部側面図である。
【図8】図7のF−F矢視図である。
【符号の説明】
【0032】
1 搬送装置
2 搬送コンベヤ(上手側搬送コンベヤ)
3 移載装置
4 他の搬送コンベヤ(下手側搬送コンベヤ)
12 側板材
13 搬送用ローラ
41 位置決め部材
42 案内ローラ装置
43 L字型ブラケット
43a 水平部
43b 鉛直部
43c ボルト穴
44 ストッパー板材
44a 水平部
44b ボルト穴
51 ボルト
52 ナット
53 ボルト
54 ナット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品の搬送経路上に設けられて当該搬送方向での物品の位置決めを行い得る位置決め部材が具備された搬送装置であって、
上記位置決め部材を、複数の搬送用ローラの両端部を支持する左右一対の側板材に着脱自在にされた一対のL字型ブラケットと、これら一対のL字型ブラケットの水平部にて両端部が支持されるストッパー板材とから構成するとともに、上記L字型ブラケットとストッパー板材との連結をボルト・ナットにて行うようになし、
且つ上記各L字型ブラケットの水平部およびストッパー板材に形成されるボルト穴をそれぞれ長穴に形成するとともに、その長手方向が物品の搬送方向に対して互いに逆方向に傾斜させたことを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
L字型ブラケットを側板材に取り付けるのに、搬送用ローラを取り付けるために予め当該側板材に形成された取付用穴を利用したことを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−36415(P2006−36415A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−216666(P2004−216666)
【出願日】平成16年7月26日(2004.7.26)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】