説明

搬送装置

【課題】ワークの種類に応じてハンガーの種類を容易に変更し、多機種混流生産に対応できるとともに、狭い敷地面積であっても工場の3次元空間を有効活用できる搬送装置を提供すること。
【解決手段】搬送レール10と、搬送コンベア13によって搬送レール10に沿って移動するフック部材20と、ワークWを載置可能に形成され、フック部材20に対して着脱自在に形成されたハンガー30と、ハンガー30をフック部材20に係合させて吊り下げ、またはフック部材20に吊り下げられたハンガー30を当該フック部材20から取り外して受け取るハンガー移載機50と、ハンガー移載機50との間でハンガー30の受け渡しを行うために、当該ハンガー30を所定箇所に搬送する搬送コンベアとを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置に関し、更に詳しくは、搬送対象物であるワークの種類に応じてハンガーの種類を容易に変更し、多機種混流生産に対応できるとともに、狭い敷地面積であっても工場の3次元空間を有効活用することができる搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工場内で使用される従来の搬送コンベアとしては、たとえば、空中に設置された駆動用レールに対して台車を着脱するようにした技術が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
また、チェーン搬送コンベアにより車体を吊り下げて搬送するものにおいて、搬送路中に複数のハンガーを停止させ貯留可能なバッファーエリアを備えた技術が提案されている(たとえば、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】特許第2730852号公報
【特許文献2】特開平10−264870号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、工場では、いわゆる多機種混流生産が要請されており、工場内で搬送すべき部品の種類も増加の一途を辿っている。しかしながら、工場の敷地面積は限られているため、三次元空間を有効利用した搬送装置の提供が望まれていた。
【0006】
上記特許文献1に係る従来技術にあっては、着脱式の台車の下部にローラが取り付けられており、工場の敷地を移動する構造であるため、台車を空中搬送することはできず、上記要請に応えられない。
【0007】
また、上記特許文献2に係る搬送装置にあっては、搬送対象が重量のある車両であり、比較的小型軽量で多種類の部品を簡易な構成で空中搬送するという、本願出願人が意図する目的にそぐわない技術手段である。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、搬送対象物であるワークの種類に応じてハンガーの種類を容易に変更し、多機種混流生産に対応できるとともに、狭い敷地面積であっても工場の3次元空間を有効活用することができる搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明に係る搬送装置は、搬送レールと、前記搬送レールに沿って移動する搬送体と、搬送対象物であるワークを載置可能として前記搬送体に対して着脱自在に形成されたハンガーとを備え、前記ハンガーには、前記搬送体との着脱部を備えている。
【0010】
(2)本発明に係る搬送装置は、搬送レールと、前記搬送レールに沿って移動する搬送体と、搬送対象物であるワークを載置可能に形成され、前記搬送体に対して着脱自在に形成されたハンガーと、前記ハンガーを前記搬送体に係合させて取り付ける移載機と、前記搬送体に取り付けられた前記ハンガーを取り外す移載機と、前記移載機と前記ハンガーの取り付けと取り外しを行うために当該ハンガーを所定箇所に搬送する搬送手段とを備えている。
【0011】
(3) (1)または(2)に記載の発明においては、前記ハンガーは、前記搬送体から当該ハンガーが外れるのを抑制するロック装置を備えることが好ましい。
【0012】
(4) (1)または(2)に記載の発明においては、前記搬送体は、当該搬送体から前記ハンガーが外れるのを抑制するロック装置を備えることが好ましい。
【0013】
(5) (3)または(4)に記載の発明においては、前記ロック装置は、前記搬送体または前記ハンガーに設けられた係合穴と係合するロック爪と、前記ロック爪を前記係合穴に対して進退させるロック爪進退手段とを備えることが好ましい。
【0014】
(6) (2)〜(5)のうちのいずれか一つに記載の発明においては、前記移載機は、アクチュエータにより昇降動作することが好ましい。
【0015】
(7) (3)〜(6)のうちのいずれか一つに記載の発明においては、前記移載機は、前記ロック装置によるロック状態を解除するロック解除手段を備えることが好ましい。
【0016】
(8) (1)〜(7)のうちのいずれか一つに記載の発明においては、前記ハンガーは、前記ワークを載置する載置板の周縁部に当該ワークが落下するのを防止するワーク落下防止ガイドを備えることが好ましい。
【0017】
(9) (1)〜(8)のうちのいずれか一つに記載の発明においては、前記ハンガーは、前記ワークの載置箇所に当該ワークの外形状に係合する凹凸部と、前記ワークを引掛けて保持する引掛け部材との少なくとも一方を備えることが好ましい。
【0018】
(10) (1)〜(9)のうちのいずれか一つに記載の発明においては、前記搬送レールの配設角度が変化する所定箇所には、前記ワークまたは前記ハンガーが落下した場合に前記ワークまたは前記ハンガーを保持する落下防止ネットを設けることが好ましい。
【0019】
(11) (2)〜(10)のうちのいずれか一つに記載の発明においては、前記搬送手段は、前記ハンガーを位置決めする位置決めストッパを備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る搬送装置によれば、搬送対象物であるワークの種類に応じてハンガーの種類を容易に変更し、多機種混流生産に対応できるとともに、狭い敷地面積であっても3次元空間を有効活用することができる。また、搬送するワークに適したハンガーをワーク収納パレットとして利用することにより、生産する製品が変更されてワークが変更されたとしても、当該変更されたワークに適したハンガーに容易に変更することができ、生産効率を向上させることができる。また、ハンガーを部品収納整理用パレットとして兼用することができるので、生産効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に、この発明に係る搬送装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0022】
[搬送装置の全体構成の説明]
先ず、本実施例1に係る搬送装置の全体構成について図1〜図3に基づいて説明する。ここで、図1は、この発明の実施例1に係る搬送装置を示す正面図、図2は、搬送装置を示す全体斜視図である。また、図3は、ハンガーの流れを示す上面図であり、流れてくるハンガーに対してロボットが製品の組み立てや溶接等の作業のために部品を移載する様子を示したものである。
【0023】
図1〜3に示すように、本実施例1に係る搬送装置は、躯体5上部に支持部材5aを介して配設された搬送レール10と、この搬送レール10に沿って移動するフック部材(搬送体)20と、搬送対象物であるワークWを載置可能に形成され、フック部材20に対して着脱自在に形成されたハンガー(部品パレット)30と、このハンガー30をフック部材20に係合させて吊り下げ、またはフック部材20に吊り下げられたハンガー30を受け取るハンガー移載機50と、ハンガー移載機50との間でハンガー30の受け渡しを行うために当該ハンガー30を所定箇所に搬送する搬送コンベア(搬送手段)91,93とを備えている。
【0024】
なお、上記ワークWとは、比較的小さく軽い自動車部品であり、たとえばフロントバルクヘッド、ボディロア、ドア等である。また、部品の移載および溶接等を行うロボット70の近傍には、自動車部品の溶接作業に必要なセットを行うセット治具85が配設されている。搬送されてきた部品は、このセット治具85に配設された後に溶接される。
また、図4に示すように、ロボット70と作業者80が溶接等の作業を行うラインにおいても、本発明を適用することができる。ここで、図4は、ハンガー30の流れを示す上面図であり、ロボット70と作業者80がそれぞれの作業レーンで作業をしている様子を示したものである。
【0025】
また、図1に示すように、搬送レール10の配設角度が変化する所定箇所には、ワークWまたはハンガー30が落下した場合に当該ワークWまたはハンガー30を保持する落下防止ネット8がネット支持部材9によって吊り下げられている。ここで、搬送レール10の配設角度が変化する所定箇所とは、たとえば、搬送レール10の勾配が大きく変化した所や、搬送レール10がカーブしている場合にその曲率半径が小さくなっている所等である。これにより、空中搬送中のハンガー30やワークWが何らかの理由(たとえば、地震等)により落下しても、この落下防止ネット8によって保持され、床面6等まで落下するのを防止することができる。
【0026】
なお、説明の便宜上、図1等においては、急勾配の搬送レール10を示してあるが、搬送場所の都合に応じて適宜レイアウト可能である。また、搬送レール10のカーブの曲率も適宜滑らかなものとなっている。
【0027】
[ハンガー取り付けレーンおよびハンガー取り外しレーンの説明]
図5は、搬送コンベアを示す上面図である。図1〜5に示すように、ハンガー取り外しレーン92は、搬送コンベア13によって吊り下げ搬送されてきたハンガー30をハンガー移載機50で受け取り、これを搬送コンベア93に移載してハンガー取り付けレーン90に搬送するためのレーンである。
【0028】
また、ハンガー取り付けレーン90は、搬送コンベア93によって搬送されてきたハンガー30のワークWがロボット70によって溶接等の作業がなされた後に回収されると、空になったハンガー30を搬送コンベア91によってハンガー移載機50まで搬送し、当該ハンガー移載機50によって当該ハンガー30を搬送コンベア(搬送体)13のフック部材20に吊り下げるためのレーンである。
【0029】
これら搬送コンベア91,93には、ハンガー30を搬送する複数の搬送ローラ90a,92aが所定ピッチで配設されている。これらの搬送ローラ90a,92aは、回転軸をたとえばチェーン(図示せず)によって駆動され、任意の距離を搬送できるようになっている。
【0030】
また、搬送コンベア91,93は、図3に示すように、反搬送レール10側の端部において、ハンガー30を搬送レール10と平行な方向に搬送できるように構成されている。すなわち、ハンガー取り外しレーン92においてハンガー移載機50によって搬送コンベア93上に降ろされたハンガー30は、搬送コンベア91,93によってロボット70の近傍まで移動され、載置されているワークWがロボット70によってハンガー30から降ろされる。
【0031】
また、図5に示すように、ハンガー取り外しレーン92の反搬送レール10側の端部には、ロボット70がワークWに対して作業をする際に、ハンガー30の位置決めをするための一対の位置決めストッパ92b,92bが設けられている。この位置決めストッパ92b,92bでワークWの位置を規制することにより、ロボット70がワークWを把持等する際に、ワークWが不用意に位置ずれするのを抑制することができる。
【0032】
このような全体構成において、ハンガー30の流れ94を説明する。すなわち、図3に示すように、搬送レール10に吊り下げ搬送されてきたハンガー30は、ハンガー取り外しレーン92においてハンガー移載機50によって適宜のタイミングで搬送コンベア93に降ろされ、ロボット70側に搬送される。
【0033】
そして、搬送されてきたハンガー30のワークWに対して、ロボット70単体によって、あるいはロボット70および作業者80(図4参照)によって必要な作業工程(たとえば、溶接作業等)が実施されると、当該ワークWは回収され、空になったハンガー30のみが隣接するハンガー取り付けレーン90に搬送される。
【0034】
ハンガー取り付けレーン90では、搬送コンベア91によって上記ハンガー30をハンガー移載機50に搬送し、搬送レール10に吊り下げ搬送されてくるフック部材20に対してハンガー移載機50がハンガー30を吊り下げる。フック部材20に吊り下げられたハンガー30は、搬送コンベア13によって、図示しない別の工程場所等へと空中搬送される。以上のような流れで、搬送工程が実施される。
【0035】
上記搬送装置に係るハンガー30を用いてワークWを空中搬送することにより、多種類のワークWに応じてハンガー30の種類を容易に変更でき、多機種混流生産を容易にすべく、以下に更に具体的な構成を説明する。なお、ハンガー30は、機種別の部品を積み込むための最適なパレットとなっており、部品の種類によってもハンガー30を変更するのが好ましい。
【0036】
[搬送コンベアの説明]
先ず、搬送コンベア13の構成について図6〜図9に基づいて説明する。ここで、図6は、搬送用のチェーン12dを備えた搬送コンベア13およびフック部材20を示す側面図、図7は、搬送用のチェーン12dを備えた搬送コンベア13およびフック部材20を示す正面図、図8は、チェーン12dを示す平面図であり、図7におけるA−A矢視図である。また、図9は、勾配のある搬送レール10上を搬送されるフック部材20を示す側面図である。
【0037】
図6〜図9に示すように、搬送レール10,11の端部間に案内されるローラ12aの回転軸12bには、連結部12cを介して矩形枠状のフック部材20が揺動自在に吊り下げられている。また、チェーン12dは、接続部材12eによって連結部12cと接続され、当該連結部12cを搬送レール10に沿って引っ張ることにより、フック部材20を該方向に搬送するためのものである。連結部12cは、接続部材12eにおいても揺動可能となっている。
【0038】
[ハンガーの説明]
図10は、ハンガーを示す斜視図である。図10に示すように、ハンガー30は、ワークWを載置する平板状の載置板31から上方に立設された立設部32と、この立設部32の上端部から外方に水平に延設された水平延設部33と、この水平延設部33の端部から下方に垂設された下方延設部34と、立設部32から内方に水平に延設された庇部36とを備えている。すなわち、これら立設部32、水平延設部33および下方延設部34によって垂直断面がほぼコ字状のハンガー側係合部35が形成され、このハンガー側係合部35が矩形枠状のフック部材20の下枠部20a(図13参照)に係合する。
【0039】
また、水平延設部33の下面にはダボ部33aが突設され、このダボ部33aに対向する下枠部20aの上面には当該ダボ部33aが勘合可能なダボ穴20fが設けられている。このダボ部33aがダボ穴20fに勘合することにより、ハンガー側係合部35とフック部材20との係合強度が増加するとともに、搬送中のハンガー30が揺れた時にハンガー側係合部35とフック部材20との係合位置がずれるのを効果的に抑制することができる。なお、このダボ部33aおよびダボ穴20fは、図13の紙面奥行き方向に対して連続的に長く設けたり、あるいは連続ではなく所定間隔をあけて設けてもよい。
【0040】
また、庇部36は、搬送レール10やチェーン12d等からの潤滑油が載置板31上のワークWに付着してこれを汚損しないように設けたものである。
【0041】
また、ハンガー30は、載置板31の周縁部に当該ワークWが落下するのを防止するワーク落下防止ガイド31aを備えている。なお、このワーク落下防止ガイド31aは、図示例のものに限定されず、軽量化を図るために、たとえばパイプ状部材やパンチングメタル等を適宜採用してもよい。
【0042】
また、ハンガー30は、ワークWを保持し易いように、ワークWの形状に対応させて構成することもできる。すなわち、たとえば図11に示すように、ワークWを着脱自在に引掛けて保持する2本の引掛け部材37,37を立設部32から突設することができる。ここで、図11は、引掛け部材37,37を備えたハンガー30を示す斜視図である。
【0043】
また、図12に示すように、ワークWの外形状(ここでは下部形状)に係合する突条部31b,31cを形成することで凹凸部を形成し、ワークWを立掛け状態で保持できるように構成することもできる。ここで、図12は、載置板31に突条部31b,31cを備えたハンガー30を示す斜視図である。
【0044】
また、図示例を省略するが、ハンガー30に上記引掛け部材37,37および突条部31b,31cの両者を備えるように構成することもできる。このように本発明に係るハンガー30は、部品収納用パレットとしての機能を併せ持っており、生産効率を向上させることができるのが特徴である。
【0045】
ハンガー30を以上のように構成することにより、種々の形状のワークWを載置することが可能となり、多機種混流生産に柔軟に対応することができる。また、ハンガーを部品収納整理用パレットとして兼用することができるので、製造現場において多種類の部品を効率よく収納整理することで生産効率を更に向上させることができる。
【0046】
また、上記ハンガー30は、板部材から構成されているように図示してあるが、当該板部材から適宜肉抜きし、あるいはフレーム構造とすることにより軽量化を図ってもよい。
【0047】
[ハンガー移載機の説明]
図14は、ハンガー30をフック部材20に吊り下げる過程を示す側面図、図15は、フック部材20に吊り下げられたハンガー30を降ろす過程を示す側面図である。図1、図14および図15に示すように、ハンガー移載機50は、ワークWを上下方向および水平方向に移動可能に構成されており、フック部材20に対するハンガー30の着脱機能を有している。
【0048】
すなわち、ハンガー移載機50は、シリンダを介して回動自在なリンク式の脚部を昇降機構53として基台51に備え、この脚部上に載置テーブル52を配設して構成されている。また、この載置テーブル52には、ワークWを水平方向(搬送方向)に移動するために、ワークWの進行方向と直交する回転軸を有した円筒状の搬送ローラ52a(図5参照)が設けられている。
【0049】
なお、ハンガー移載機50は、たとえば上下に伸縮するシリンダを昇降機構53として基台51に備え、載置テーブル52を昇降可能に構成されていてもよい。また、上記シリンダの駆動源であるアクチュエータは、たとえば空気圧、油圧の他、電動モータ(サーボモータ)等であってもよい。
【0050】
[ロック解除手段の説明]
また、ハンガー移載機50は、図13および図15に示すように、たとえば通電することによりロック爪41のロック解除を行うロック解除手段60を備えている。このロック解除手段60は、伸縮自在(たとえば、入れ子式)に形成されており、必要時に載置テーブル52から上方に突出し、上端に設けられた通電用端子部62をハンガー30の通電用端子部47に係合させて通電するように構成されている。
【0051】
なお、ロック解除手段60は、必ずしも伸縮自在に形成しなくてもよく、その長さを固定したものであってもよい。このような場合は、ハンガー移載機50の載置テーブル52を所定箇所に位置決めし、通電時に載置テーブル52を上昇させて通電用端子部62をハンガー30の通電用端子部47に係合させればよい。
【0052】
また、ハンガー移載機50の載置テーブル52は、ワークWを鉛直軸回りに90度回転可能に形成することもできる。また、ハンガー30が載置テーブル52の所定位置に載置されたことを検知する位置決めセンサを備えてもよい。
【0053】
[ハンガーのロック装置の説明]
つぎに、ロック装置40について図13に基づいて説明する。ここで、図13は、ロック装置を示す側面図である。図13に示すように、ロック装置40は、フック部材20からハンガー30が外れるのを抑制するためのものである。
【0054】
すなわち、フック部材20に吊り下げられたハンガー30のハンガー側係合部35が下枠部20aから外れることのないように、ロック爪41を下枠部20aの下方近傍に突出状態で位置させ、下枠部20aが下方に移動するのを規制するようにしたものである。
【0055】
ロック爪進退手段42およびロック爪41は、下方延設部34に内蔵されている。また、ロック爪進退手段42の駆動回路(図示せず)も下方延設部34に搭載することができる。下方延設部34の内壁面34aには、このロック爪41が出没する出没穴34bが設けられている。そして、このロック爪41は、43を回動中心とするロック爪進退手段42によって回動自在に形成されている。
【0056】
また、このロック爪41は、図示しないねじりコイルばね等によって立設部32側に常時突出状態が維持されている。ロック爪41が下方延設部34内に収納されるのは、ハンガー30をフック部材20に吊り下げる際に下枠部20aがロック爪41の付勢力(突出力)に抗して当該ロック爪41と当接する時、およびロック爪進退手段42の作動によってロックが解除される時である。
【0057】
なお、ロック爪41の奥行き長さ(図13の紙面と垂直方向)は、必ずしも下方延設部34の奥行き長さと同一でなくてもよく、少なくとも下方延設部34の奥行き方向における両端部に配設されていればよい。
【0058】
ロック爪進退手段42は、電動アクチュエータとして構成することができ、たとえば直接回転運動が得られるように設計されたロータリソレノイドを用いることができる。このロータリソレノイドが通電されると、突出状態にあるロック爪41がロータリソレノイドの回転駆動力によって下方延設部34内に収納されるようになっている。
【0059】
このロック爪進退手段42への給電は、下方延設部34の底面部に配設された通電用端子部47に対して、後述するロック解除手段60の通電用端子部62から必要時にのみ行うことができるようになっている。ストッパ45,46は、ロック爪41の回動範囲を規制するためのものである。
【0060】
なお、給電を切っても所定の時間内ではロータ角度の自己保持を行う、いわゆる自己保持型のロータリソレノイドを単体で、あるいは上記ねじりコイルばね等と併用しながら用いることが好ましい。
【0061】
この自己保持型ソレノイドは、内部構造の図示を省略するが、永久磁石を内蔵しており、コイルに瞬時の通電でプランジャが吸引され、吸引後は上記永久磁石により吸着保持させることにより、この間の通電を不要にした省エネタイプのソレノイドである。
【0062】
このソレノイドによれば、通常時はロック爪41によるロック状態を維持するため、ソレノイドの自己保持力によってロック爪41を突出させたままとし、ロック解除時にのみ通電してロック爪41を下方延設部34内に所定時間のみ収納させるように構成することができる。ロック爪41を突出状態に安定して復帰させるためには、所定の復帰スプリング(図示せず)を設けることが好ましい。
【0063】
[ハンガーの吊り下げ動作の説明]
つぎに、ハンガー取り付けレーン90においてハンガー30をフック部材20に吊り下げる動作について図13を参照しつつ図14に基づいて説明する。図14(a)に示すように、搬送コンベア91上面とハンガー移載機50の載置テーブル52上面とは予め同一高さになっており、ハンガー30が搬送コンベア91からハンガー移載機50の載置テーブル52に搬送ローラ90a(図5参照)によって搬送される。
【0064】
つぎに、図14(b)に示すように、搬送コンベア91から搬送されたハンガー30は、載置テーブル52に配設されたローラ(図示せず)によって更に下枠部20aに近づくように搬送され、ハンガー30のハンガー側係合部35が下枠部20aの手前近傍に位置するように配置される。
【0065】
つぎに、図14(c)に示すように、昇降機構53を動作させることによって載置テーブル52を上昇させ、下方延設部34の通電用端子部47下面が下枠部20a上面よりも上方に来る位置で当該載置テーブル52の上昇動作を停止する。そして、図14(d)に示すように、ハンガー側係合部35が下枠部20aと係合可能な位置となるように、載置テーブル52に配設されたローラ(図示せず)によってハンガー30を下枠部20a側に搬送する。
【0066】
この状態で昇降機構53によって載置テーブル52を下降させ、ハンガー側係合部35を下枠部20aと係合させる。その下降の際、ロック爪41と下枠部20aは徐々に近づく。やがてロック爪41が下枠部20aと当接すると、ロック爪41はその反力によって下方延設部34内に収納され、当接し終わると上記ねじりコイルばね等による付勢力によって再び突出し、ハンガー側係合部35と下枠部20aとの係合状態がロックされる。
【0067】
そして、図14(e)に示すように、昇降機構53によって更に載置テーブル52を下降させると、ハンガー30のフック部材20への吊り下げ動作が完了する。
【0068】
[吊り下げられたハンガーを降ろす動作の説明]
つぎに、ハンガー取り外しレーン92においてフック部材20に吊り下げられたハンガー30を降ろす動作について図15に基づいて説明する。
【0069】
図15(a)に示すように、先ず昇降機構53を動作させることによって載置テーブル52を上昇させる。つぎに、図15(b)に示すように、ハンガー30が載置テーブル52に載置されたら、載置テーブル52の上昇動作を停止する。そして、載置テーブル52からロック解除手段60を上方に伸ばし、通電用端子部62(図13参照)を通電用端子部47に係合当接させてロック爪進退手段42に給電する。
【0070】
すると、突出状態にあるロック爪41がロータリソレノイドの回転駆動力によって下方延設部34内に収納されるので、ロック爪41によるロック状態が解除される(図13の二点鎖線を参照)。ロック状態が解除されれば、下枠部20aは下方へ移動できる。
【0071】
そこで、図15(c)に示すように、再び昇降機構53を動作させることによって載置テーブル52を上昇させると、下枠部20aが相対的に下方へ移動する。下枠部20aの上面が通電用端子部47の下面を所定量通り過ぎたら、載置テーブル52の上昇動作を停止する。
【0072】
また、下枠部20aがロック爪41の突出位置を通り過ぎたら、通電用端子部62による通電用端子部47への給電を停止し、ロック爪進退手段42の励磁を解除する。すると、ロック爪41は、上記ねじりコイルばね等による付勢力によって所定時間後に突出する。
【0073】
つぎに、図15(d)に示すように、載置テーブル52に配設されたローラ(図示せず)によってハンガー30を反下枠部20a側に搬送し、下方延設部34と下枠部20aとが互いに干渉しなくなる位置まで後退させるとともに、ロック解除手段60を所定長さまで縮める。
【0074】
そして、図15(e)および図15(f)に示すように、昇降機構53を動作させることによって載置テーブル52を下降させ、載置テーブル52の上面が搬送コンベア93の上面と同一となったら、その下降動作を停止する。続いて、載置テーブル52のローラ(図示せず)によってハンガー30を搬送コンベア93に搬送する。以上のようにして、フック部材20に吊り下げられたハンガー30が降ろされることとなる。
【0075】
なお、ハンガー30の積み込みおよび積み下ろしのタイミングや、搬送コンベア13,91,93による搬送タイミング、ロボット70等による動作タイミングは、互いに協調するように、図示しない電子制御装置によって制御される。
【0076】
以上のように、この実施例1に係る搬送装置によれば、搬送対象物であるワークWの種類に応じてハンガー30の種類を容易に変更することができるので、多機種混流生産に柔軟に対応することができる。また、ハンガー30を空中搬送できるので、工場が狭い敷地面積であってもその3次元空間を有効活用することができる。
【0077】
また、搬送コンベア91,93を設けたことにより、ロボット70等による作業後または作業前において、作業タイミングの進捗状況に応じてハンガー30を適宜貯留することができる。
【0078】
なお、空中搬送時におけるハンガー30の向きは、上記図示例のものに限られず、ハンガー30の厚さ方向が搬送レール10の配設方向に対して直角となるように配置するものでもよい。その場合は、載置テーブル52を回転可能に形成されたハンガー移載機50を用い、このハンガー移載機50に載置されたハンガー30を90度回転することにより容易に対応することができる。
【0079】
また、本実施例1では、多機種混流生産を行うため、ワークWの種類は様々であり、それを載置するハンガー30の種類に応じてロボット70等により行われる作業(たとえば、溶接作業)も異なってくる。したがって、これらハンガー30あるいはワークWの種類等を正確に判別する必要がある。
【0080】
このため、搬送コンベア91,93等によって搬送されるハンガー30あるいはそれに載置されているワークWの識別手段として、カメラによる画像認識や、光電センサ、近接センサ、機械的リミットスイッチ等のセンサによって、ハンガー30やワークWの種類・形状等を直接的に検知するように構成することもできる。
【実施例2】
【0081】
図16は、この発明の実施例2に係る搬送装置のロック装置40を示す部分断面図である。なお、以下の説明において、すでに説明した部材と同一若しくは相当する部材には、同一の符号を付して重複説明を省略または簡略化する。
【0082】
上記実施例1に係るロック装置40(図13参照)は、電動アクチュエータとしてロータリソレノイドを用い、ロック爪41を回動させることによりロック爪41を出没穴34bから出没自在に構成し、かつ、ロック爪41を下枠部20aの下方に突出するように構成したものである。
【0083】
これに対し、本実施例2に係るロック装置40(図16参照)は、電動アクチュエータとして直線往復動するプランジャ49を備えたソレノイド(いわゆるリニアソレノイド)を用い、このプランジャ49を介してロック爪41を図16中に示す矢印方向にスライド往復させることにより、出没穴34bから出没自在に構成し、かつ、ロック爪41を下枠部20aの下方に突出するように構成したものである。
【0084】
また、上記ソレノイドは、プランジャ49を付勢する図示しないコイルばねを内蔵しており、このコイルばねによってロック爪41を立設部32側に付勢し常時突出させるとともに、必要時にロック爪41が下方延設部34内に収納されるように構成されている。
【0085】
ロック爪41が下方延設部34内に収納されるのは、上記実施例1で説明した場合と同様に、ハンガー30をフック部材20に着脱する際に、下枠部20aが内壁面34aに沿って上下方向に移動する時である。この時、ロック爪進退手段42に通電用端子部47から給電することによってロック爪41が出没穴34b内に収納され、ロック爪41によるロック(突出状態)が解除される。なお、その他の構成および動作は、上記実施例1の場合と同様であるので、重複説明を省略する。
【0086】
以上のように、この実施例2に係る搬送装置によれば、電動アクチュエータとして直線往復動するソレノイドを用い、ロック爪41を直線的にスライドさせて出没穴34bから出没自在に形成し、かつ、ロック爪41を下枠部20aの下方に突出するように構成したので、ハンガー30とフック部材20との係合状態を容易に保持し、またそれを解除することができる。
【実施例3】
【0087】
図17は、この発明の実施例3に係る搬送装置のロック装置40を示す部分断面図である。上記実施例2に係るロック装置40(図16参照)は、電動アクチュエータとして直線往復動するプランジャ49を備えたソレノイドを用い、ロック爪41を回動させることによりロック爪41を出没穴34bから出没自在に構成し、かつ、ロック爪41を下枠部20aの下方に突出するように構成したものである。
【0088】
これに対し、本実施例3に係るロック装置40(図17参照)は、ばね48によって立設部32側に常時付勢されており、引掛け部材41aを引張り手段63で引っ張ることによりロック爪41を出没穴34b内に収納させ、ロック爪41によるロック(突出状態)が解除されるように構成したものである。
【0089】
なお、引張り手段63は、上下運動を水平運動に変換する公知の手段を上述のロック解除手段60の上端部に設けることによって構成することができる。その他の構成および動作は、上記実施例2の場合(図16等参照)と同様であるので、重複説明を省略する。
【0090】
以上のように、この実施例3に係る搬送装置のロック装置40によれば、ロック爪41を直線的にスライドさせて出没穴34bから出没自在に形成し、かつ、ロック爪41を下枠部20aの下方に突出するように構成したので、ハンガー30とフック部材20との係合状態を容易に保持し、またそれを解除することができる。
【実施例4】
【0091】
図18は、この発明の実施例4に係る搬送装置のロック装置40を示す部分断面図である。上記実施例1(図13参照)および上記実施例2(図16参照)に係るロック装置40は、ロック爪41を下枠部20aの下方に突出するように構成したものである。
【0092】
これに対し、本実施例4に係るロック装置40(図18参照)は、下方延設部34に配設され、下枠部20aに設けられた係合穴20bと係合するロック爪41と、このロック爪41を出没穴34bから係合穴20bに対して進退させるロック爪進退手段42とを備えたものである。
【0093】
このロック爪進退手段42としては、たとえば電動アクチュエータであるリニアソレノイドを用いることができ、ロック爪41を水平にスライドさせることができる。その他の構成および動作は、上記実施例2の場合と同様であるので、重複説明を省略する。
【0094】
なお、ロック爪進退手段42としてロータリソレノイドを用い、ロック爪41を係合穴20bに対して進退させてもよい。また、ロック爪41の形状は、ピン状あるいは板状(たとえば、カム形状等)であってもよく、図示例のものに限定されない。また、これらロック爪進退手段42の種類やロック爪41の形状に応じて、係合穴20bや出没穴34bの開口形状や寸法等を適宜変更して採用すればよい。
【0095】
以上のように、この実施例4に係る搬送装置のロック装置40によれば、下枠部20aに設けられた係合穴20bと係合するロック爪41と、このロック爪41を出没穴34bから係合穴20bに対して進退させるロック爪進退手段42とを備えたので、ハンガー30とフック部材20との係合状態を容易に保持し、またそれを解除することができる。
【実施例5】
【0096】
図19は、この発明の実施例5に係る搬送装置のロック装置40を示す部分断面図である。上記実施例1〜4に係るロック装置40は、ロック装置40を下方延設部34に設けたものである。これに対し、本実施例5に係るロック装置40は、下方延設部34に設けられた係合穴34cと係合するロック爪41と、このロック爪41を出没穴20cから係合穴34cに対して進退させるロック爪進退手段42とを備えたものである。
【0097】
このロック爪進退手段42としては、たとえば電動アクチュエータであるリニアソレノイドを用いることができ、ロック爪41を水平にスライドさせることができる。その他の基本構成および動作は、上記実施例4の場合と同様であるので、重複説明を省略する。
【0098】
なお、通電用端子部47が下枠部20aの下面に設けられたことに伴い、ハンガー移載機50におけるロック解除手段60の配設位置等を適宜変更することが好ましい。
【0099】
以上のように、この実施例5に係る搬送装置のロック装置40によれば、下方延設部34に設けられた係合穴34cと係合するロック爪41と、このロック爪41を出没穴20cから係合穴34cに対して進退させるロック爪進退手段42とを備えたので、ハンガー30とフック部材20との係合状態を容易に保持し、またそれを解除することができる。
【実施例6】
【0100】
図20は、この発明の実施例6に係る搬送装置のロック装置40を示す部分断面図である。上記実施例5に係るロック装置40では、ロック爪41を下方延設部34側に係合させるように構成したものである。これに対し、本実施例6に係るロック装置40では、ロック爪41を立設部32側に係合させるように構成したものである。
【0101】
すなわち、ロック装置40は、立設部32に設けられた係合穴32aと係合するロック爪41と、このロック爪41を出没穴20cから係合穴32aに対して進退させるロック爪進退手段42とを備えたものである。その他の構成および動作は、上記実施例5の場合と同様であるので、重複説明を省略する。
【0102】
以上のように、この実施例6に係る搬送装置のロック装置40によれば、立設部32に設けられた係合穴32aと係合するロック爪41と、このロック爪41を出没穴20cから係合穴32aに対して進退させるロック爪進退手段42とを備えたので、ハンガー30とフック部材20との係合状態を容易に保持し、またそれを解除することができる。
【実施例7】
【0103】
図21は、この発明の実施例7に係る搬送装置のロック装置40を示す部分断面図である。上記実施例1に係るロック装置40では、ロック爪進退手段42に対する給電をロック解除手段60の通電用端子部62を介して外部電源から行うように構成したものである。
【0104】
これに対し、本実施例7に係るロック装置40では、図21に示すように、給電用電源65および配線66をハンガー30に搭載するとともに、ロック解除手段60の上端部に設けられたスイッチ押圧部62aによってロック爪進退手段42を駆動するスイッチ部47aを押圧可能に構成したものである。このように構成することによって、ハンガー移載機50側に給電用電源装置を設ける必要がなくなる。
【0105】
なお、上記実施例1〜7においては、フック部材20からハンガー30が外れるのを抑制するロック装置40をハンガー30またはフック部材20のいずれか一方に設けるものとして説明したが、これに限定されず、上記各実施例1〜7を適宜組み合わせ、ハンガー30およびフック部材20の両者に設けてもよい。この場合、フック部材20からハンガー30が外れるのを更に確実に抑制することができる。
【0106】
また、上記実施例1〜7においては、ロック装置40によるロックを解除するためのスイッチ手段として、通電用端子部47やスイッチ押圧部62aを各図示例に記載の位置に設けるものとして説明したが、これに限定されず、その他の位置に設けてもよい。
【実施例8】
【0107】
図22は、この発明の実施例8に係る搬送装置のハンガー30およびフック部材20を斜視図、図23は、ハンガーおよびフック部材の係合状態を示す部分側面図である。上記実施例1〜7に係る搬送装置では、フック部材20からハンガー30が外れるのを抑制するロック装置40をハンガー30またはフック部材20のいずれか一方に設けたものである。
【0108】
これに対し、本実施例8に係る搬送装置では、図22および図23に示すように、ハンガー30とフック部材20のいずれにも上記ロック装置40を設けていない。その一方で、フック部材20の下端部からは、水平延設部20dおよび立設部20eを設け、ハンガー30のハンガー側係合部(着脱部)35と着脱可能に構成してある。
【0109】
これは、ワークWの種類やハンガー30の構成によっては、このような単純な係合だけでも係合状態が十分に保持し得る場合が考えられるからである。したがって、このようにロック装置40を省いて着脱部のみで構成することによって、ハンガー30またはフック部材20の構成を簡略化することができるとともに、ハンガー移載機50に設けていたロック解除手段60も不要となるので、ハンガー移載機50の構成を簡略化することができる。
【0110】
なお、上記実施例1〜8においては、床面6に固定されているハンガー移載機50を用いるものとして説明したが、これに限定されず、たとえば図24に示すように、車輪55aを備え、予め定められた位置に自走移動可能な自走式ハンガー移載機55を用いてもよい。ここで、図24は、自走式ハンガー移載機55を示す側面図である。
【0111】
このような自走式ハンガー移載機55を所定箇所に必要台数配置することで、ハンガー取り付けレーン90における搬送コンベア91の設置や、ハンガー取り外しレーン92における搬送コンベア93の設置を簡略化若しくは省略化でき、システム全体を簡素化することができる。
【0112】
また、上記実施例1、実施例2、実施例4〜7においては、ロック装置40の電動アクチュエータとしてソレノイドを用いるものとして説明したが、これに限定されず、モータ手段(たとえば、サーボモータ等)による回動機構、あるいはモータ手段による回転を直線運動に変換する機構を付加することによりロック爪41を進退させるように構成してもよく、上記実施例と同様の効果を期待できる。
【0113】
更に、上記実施例では、車体の溶接部品をワークの一例として挙げたが、これに限定されず、たとえば、車体やエンジンの組立用部品の他、家電製品や航空機等の工業製品を生産する工場でも本発明を適用して各種部品を搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】この発明の実施例1に係る搬送装置を示す正面図である。
【図2】搬送装置を示す全体斜視図である。
【図3】ハンガーの流れを示す上面図である。
【図4】ハンガーの流れを示す上面図である。
【図5】搬送コンベアを示す上面図である。
【図6】搬送コンベアおよびフック部材を示す側面図である。
【図7】搬送用のチェーンを備えた搬送コンベアおよびフック部材を示す正面図である。
【図8】チェーンを示す平面図である。
【図9】勾配のある搬送レール上を搬送されるフック部材を示す側面図である。
【図10】ハンガーを示す斜視図である。
【図11】引掛け部材を備えたハンガーを示す斜視図である。
【図12】載置板に突条部を備えたハンガーを示す斜視図である。
【図13】ロック装置を示す側面図である。
【図14】ハンガーをフック部材に吊り下げる過程を示す側面図である。
【図15】フック部材に吊り下げられたハンガーを降ろす過程を示す側面図である。
【図16】この発明の実施例2に係る搬送装置のロック装置を示す部分断面図である。
【図17】この発明の実施例3に係る搬送装置のロック装置を示す部分断面図である。
【図18】この発明の実施例4に係る搬送装置のロック装置を示す部分断面図である。
【図19】この発明の実施例5に係る搬送装置のロック装置を示す部分断面図である。
【図20】この発明の実施例6に係る搬送装置のロック装置を示す部分断面図である。
【図21】この発明の実施例7に係る搬送装置のロック装置を示す部分断面図である。
【図22】この発明の実施例8に係る搬送装置のハンガーおよびフック部材を斜視図である。
【図23】ハンガーおよびフック部材の係合状態を示す部分側面図である。
【図24】自走式ハンガー移載機を示す側面図である。
【符号の説明】
【0115】
W ワーク
8 落下防止ネット
10 搬送レール
12a ローラ
12b 回転軸
12c 連結部
12d チェーン
12e 接続部材
13 搬送コンベア(搬送体)
20 フック部材(搬送体)
20a 下枠部
20b 係合穴
20c 出没穴
20d 水平延設部
20e 立設部
20f ダボ穴部
30 ハンガー
31 載置板
31a ワーク落下防止ガイド
31b,31c 突条部
32 立設部
32a 係合穴
33 水平延設部
33a ダボ部
34 下方延設部
34a 内壁面
34b 出没穴
34c 係合穴
35 ハンガー側係合部(着脱部)
36 庇部
37 引掛け部材
40 ロック装置
41 ロック爪
41a 引掛け部材
42 ロック爪進退手段
45,46 ストッパ
43 回転軸
47 通電用端子部
47a スイッチ部
48 ばね
49 プランジャ
50 ハンガー移載機(移載機)
52 載置テーブル
53 昇降機構
60 ロック解除手段
62 通電用端子部
62a スイッチ押圧部
63 引張り手段
65 給電用電源
66 配線
70 ロボット
90 ハンガー取り付けレーン
91 搬送コンベア(搬送手段)
92 ハンガー取り外しレーン
92b 位置決めストッパ
93 搬送コンベア(搬送手段)
94 ハンガーの流れ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送レールと、
前記搬送レールに沿って移動する搬送体と、
搬送対象物であるワークを載置可能として前記搬送体に対して着脱自在に形成されたハンガーとを備え、
前記ハンガーには、前記搬送体との着脱部を備えたことを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
搬送レールと、
前記搬送レールに沿って移動する搬送体と、
搬送対象物であるワークを載置可能に形成され、前記搬送体に対して着脱自在に形成されたハンガーと、
前記ハンガーを前記搬送体に係合させて取り付ける移載機と、
前記搬送体に取り付けられた前記ハンガーを取り外す移載機と、
前記移載機と前記ハンガーの取り付けと取り外しを行うために当該ハンガーを所定箇所に搬送する搬送手段とを備えた搬送装置。
【請求項3】
前記ハンガーは、前記搬送体から当該ハンガーが外れるのを抑制するロック装置を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記搬送体は、当該搬送体から前記ハンガーが外れるのを抑制するロック装置を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記ロック装置は、前記搬送体または前記ハンガーに設けられた係合穴と係合するロック爪と、前記ロック爪を前記係合穴に対して進退させるロック爪進退手段とを備えたことを特徴とする請求項3または4に記載の搬送装置。
【請求項6】
前記移載機は、アクチュエータにより昇降動作することを特徴とする請求項2〜5のうちのいずれか一つに記載の搬送装置。
【請求項7】
前記移載機は、前記ロック装置によるロック状態を解除するロック解除手段を備えたことを特徴とする請求項3〜6のうちのいずれか一つに記載の搬送装置。
【請求項8】
前記ハンガーは、前記ワークを載置する載置板の周縁部に当該ワークが落下するのを防止するワーク落下防止ガイドを備えたことを特徴とする請求項1〜7のうちのいずれか一つに記載の搬送装置。
【請求項9】
前記ハンガーは、前記ワークの載置箇所に当該ワークの外形状に係合する凹凸部と、前記ワークを引掛けて保持する引掛け部材との少なくとも一方を備えたことを特徴とする請求項1〜8のうちのいずれか一つに記載の搬送装置。
【請求項10】
前記搬送レールの配設角度が変化する所定箇所には、前記ワークまたは前記ハンガーが落下した場合に前記ワークまたは前記ハンガーを保持する落下防止ネットを設けたことを特徴とする請求項1〜9のうちのいずれか一つに記載の搬送装置。
【請求項11】
前記搬送手段は、前記ハンガーを位置決めする位置決めストッパを備えたことを特徴とする請求項2〜10のうちのいずれか一つに記載の搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2009−166969(P2009−166969A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−7946(P2008−7946)
【出願日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】