説明

搬送装置

【課題】チェーンの交換作業を簡単かつ短時間で行う。
【解決手段】搬送装置は、同等の長さをもつ複数のチェーン23、27と、各チェーン23、27を搬送するための搬送経路とを有している。各チェーン23、27が、各チェーン毎に、エンドレス状に連結可能であるとももに、全チェーン23、27が、一連に、エンドレス状に連結可能である。搬送経路は、作業経路51と、作業経路51に対し分岐・合流させられる待機経路54とよりなる。チェーンの使用時は、全チェーン23、27のうち、選択された1つのチェーン23がエンドレス状に連結された状態で作業経路51上を搬送可能となされるとともに、選択された1つのチェーン23以外のチェーン27が待機経路54上で待機可能となされている。チェーンの交換時は、全チェーン23、27がエンドレス状に連結された状態で作業経路51および待機経路54にまたがって搬送可能となされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、搬送装置、例えば、カップ食品等の充填包装機械において、カップ状容器を充填包装時に搬送するために用いられる搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置としては、同等の長さをもつ複数のエンドレス・チェーンを備えており、各チェーンには、各チェーン毎に異なる種類の容器ホルダが備えており、各チェーンは、同等の長さを有する複数の分割片によって構成されており、容器の種類に対応して、容器ホルダの種類を交換するに際し、これまで使用していた使用後のチェーンを、これから使用する使用前のチェーンに交換するようにしていた。
【0003】
チェーンの交換に際しては、使用後のチェーンの分割片を1つずつ分割し、使用後の分割した分割片に代えて、使用前のチェーンの分割片を1つずつ連結していた(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
この従来装置では、チェーンの交換に際し、チェーンの分割片の数に等しい回数だけ、分割および連結作業を繰り返し行う必要があった。そのため、チェーンの交換作業が面倒で、時間と手間が掛かった。
【特許文献1】特開2006−298436号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明の目的は、チェーンの交換作業を簡単かつ短時間で行うことのできる搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明による搬送装置は、同等の長さをもつ複数のチェーンと、各チェーンを搬送するための搬送経路とを有しており、各チェーンが、各チェーン毎に、エンドレス状に連結可能であるとももに、全チェーンが、一連に、エンドレス状に連結可能であり、搬送経路は、作業経路と、作業経路に対し分岐・合流させられる待機経路とよりなり、チェーンの使用時は、全チェーンのうち、選択された1つのチェーンがエンドレス状に連結された状態で作業経路上を搬送可能となされるとともに、選択された1つのチェーン以外のチェーンが待機経路上で待機可能となされており、チェーンの交換時は、全チェーンがエンドレス状に連結された状態で作業経路および待機経路にまたがって搬送可能となされているものである。
【0007】
この発明による搬送装置では、複数のチェーンのうち、作業に必要なチェーンを作業経路まで移動させ、そのチェーンを他のチェーンから切り離せば、必要なチェーンを選択して使用することができる。したがつて、チェーンの交換作業を簡単かつ短時間で行うことができる。
【0008】
さらに、作業経路が、互いに平行にのびた上側往路および下側復路を有しており、上側往路終端および下側復路始端間にチェーン駆動スプロケットが配置されており、上側往路始端および下側復路終端間にチェーン従動スプロケットが配置されており、待機経路が、作業経路の下方に配置されかつ互いに平行にのびた上側待機経路および下側待機経路を有しており、上側待機経路終端および下側待機経路始端間に第1チェーン案内スプロケットが配置されており、上側待機経路始端および下側待機経路終端間に第2チェーン案内スプロケットが配置されていると、作業経路上をチェーンを単独で移動させることができるし、作業経路および待機経路にまたがって全チェーンを一斉に移動させることができる。
【0009】
また、下側復路にそって上チェーンガイドレールが設けられており、上側待機経路にそって下チェーンガイドレールが設けられており、上チェーンガイドレールの長さの中間に上レール無し部が形成されており、下チェーンガイドレールの長さの中間の、上レール無し部と相対させられるところに下レール無し部が形成されており、上レール無し部および下レール無し部間に、チェーン分岐スプロケットおよびチェーン合流スプロケットが配置されていると、作業経路および待機経路間におけるチェーンの分岐・合流を円滑に行うこととができる。
【0010】
また、各チェーンに、各チェーン毎に異なる種類の容器ホルダが備えられていることが好ましい。
【0011】
また、上側往路にそって、容器に所要の包装作業を行うための装置群が配置されていても良い。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、チェーンの交換作業を簡単かつ短時間で行うことのできる搬送装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
この発明の実施の形態を図面を参照しながらつぎに説明する。
【0014】
以下の説明において、前後とは、図1の右側を前、その左側を後といい、左右とは、前方から見て、その左右の側を左右というものとする。
【0015】
図1を参照すると、搬送装置が示されている。搬送装置は、例えば、カップ食品等の充填包装機械において、カップ状容器を充填包装時に搬送するために用いられるものであって、コンベヤフレーム11と、これに上下に装備されている作業コンベヤ12および待機コンベヤ13とを備えている。
【0016】
作業コンベヤ12は、左右一対の前部駆動スプロケット21および後部従動スプロケット22と、これらのスプロケット21、22に巻き掛けられている左右一対の第1チェーン23と、両チェーン23の長さ方向に連続して渡し止められている方形板状第1容器ホルダ24とを備えている。
【0017】
待機コンベヤ13は、左右一対の前部第1案内スプロケット25および後部第2案内スプロケット26と、これらのスプロケット25、26に巻き掛けられている左右一対の第2チェーン27と、両チェーン27の長さ方向に連続して渡し止められている方形板状第2容器ホルダ28とを備えている。
【0018】
第1チェーン23および第2チェーン27の長さは、同一である。第1チェーン23および第2チェーン27の先端リンクには、第1および第2連結リンク31、32がそれぞれ取付られている。図2は、第1連結リンク31によって、第1チェーン23の先端リンク33および末端リンク34の連結状態を詳細に示すものである。第1連結リンク31の両端部と、これに重ね合わされた先端リンク33および末端リンク34のそれぞれに連結ピン35が内外に貫通させられ、これに、抜止ピン36が施されている。連結ピン35に対する抜止ピン36の脱着によって、第1連結リンク31によって第1チェーン23が分離・連結される。
【0019】
図3に、第1容器ホルダ24が詳細に示されている。第1容器ホルダ24の長さ方向には、複数の円形状容器保持孔41が1列に並んで形成されている。第2容器ホルダ28については詳細に図示しないが、同容器保持孔41に類似する容器保持孔が形成されている。第1容器ホルダ24および第2容器ホルダ28は、異なる種類の容器への対応を可能とする。
【0020】
図1において、第1チェーン23の先端および末端は、互いに連結されていて、第1チェーン23は、エンドレスとなされている。一方、第2チェーン27の先端および末端は、互いに分離されている。
【0021】
第1チェーン23の移動経路にそって作業経路51がのびている。作業経路51は、互いに平行にのびた水平状上側往路51aおよび下側復路51bを有している。上側往路51aにそって上側往路ガイドレール52がのびている。下側復路51bにそって下側復路ガイドレール53がのびている。
【0022】
第2チェーン27の移動経路にそって待機経路54がのびている。待機経路54は、互いに平行にのびた水平状上側待機経路54aおよび下側待機経路54bを有している。上側待機経路54aにそって上側待機ガイドレール55がのびている。下側待機経路54bにそって下側待機ガイドレール56がのびている。
【0023】
下側復路ガイドレール53および上側待機ガイドレール55は、分岐・合流ステーションSをそれぞれに経由してのびている。図4に詳細に示すように、下側復路ガイドレール53の、分岐・合流ステーションS対応か所には上レール無し部61が形成されている。上側待機ガイドレール55の、分岐・合流ステーションS対応か所には下レール無し部62が形成されている。上レール無し部61および下レール無し部62は、上下方向に相対させられている。上レール無し部61および下レール無し部62間には分岐スプロケット63および合流スプロケット64が前後に間隔をおいて同レベルに設置されている。
【0024】
分岐スプロケット63および合流スプロケット64は、同径である。分岐スプロケット63および合流スプロケット64の上端は、下側復路ガイドレール53のチェーン搬送面よりも低レベルである。分岐スプロケット63および合流スプロケット64の下端は、上側待機ガイドレール55のチェーン搬送面と同レベルである。
【0025】
第1チェーン23の下側復路51bの、分岐・合流ステーションS上流にはリンク検出センサ65が配置されている。
【0026】
図1は、包装作業時を示し、第1チェーン23は、包装作業に使用中であり、作業経路51上を循環させられている。第2チェーン27は、待機経路54上に待機させられている。このときに、第2チェーン27の先端側端部および末端側端部は、上側待機ガイドレール55から、下レール無し部62内にそれぞれ垂れ下がっている。
【0027】
つぎに、分岐・合流ステーションSを詳細に示す図4〜図6を参照しながら、チェーン交換動作を説明する。
【0028】
チェーン交換指令が出されると、リンク検出センサ65がONとなる。リンク検出センサ65が第1連結リンク31を検出するまで、第1チェーン23の移動は継続され、リンク検出センサ65が第1連結リンク31を検出した後、第1チェーン23が所定距離を移動させられた後、停止させられる。図4が第1チェーン23が停止させられた状態を示している。第1連結リンク31は、分岐・合流ステーションS内における分岐スプロケット63および合流スプロケット64中間上方に位置させられている(図7a)。この状態で、第1連結リンク31の2つの抜止ピン36のうち、先端側の抜止ピン36が連結ピン35から抜き去られる。そうすると、第1チェーン23の先端および末端リンク33、34が分離される。第1連結リンク31は、先端リンク33についたままである。
【0029】
第1チェーン23の分離が完了すると、図5に示すように、第1チェーン23の先端側端部は分岐スプロケット63に、その末端側端部は合流スプロケット64にそれぞれ巻き掛ける(図7b)。
【0030】
つぎに、図6に示すように、第2チェーン27の垂れ下がっていた先端側端部および末端側端部をそれぞれ持ち上げて、分岐スプロケット63上において、第2チェーン27の末端リンクを第1連結リンク31に、合流スプロケット64上において、第2連結リンク32を第1チェーン23の末端リンクにそれぞれ連結する。このときに、両チェーン23、27の張りが強いようであれば、チェーンテンショナー(図示しない)を緩めれば、作業が容易となる。これにより、第1チェーン23および第2チェーン27が一連に連結されて、エンドレスのループを描くことになる。
【0031】
第1チェーン23および第2チェーン27が連結されると、駆動スプロケット21を起動させる。そうすると、第1チェーン23が作業経路51から待機経路54に引き込まれ、第2チェーン27が待機経路54から作業経路51に引き出される(図7c)。
【0032】
第1チェーン23および第2チェーン27が完全に入れ替わると、駆動スプロケット21を停止させる(図7d)。以下は、図4、図5および図6の順に示したチェーン分離動作とは逆に、図6、図5および図4の順に遡って示すように(但し、第1チェーン23および第2チェーン27は入れ替えて)、第1チェーン23および第2チェーン27を分離し、今度は、第2チェーン27の第2連結リンク32および末端リンクを連結する。この状態で、第2チェーン27を使用する包装作業が可能となる。
【0033】
上記において、前部駆動スプロケット21および後部従動スプロケット22を用いているが、ともに駆動スプロケットとしてもよい。
【0034】
さらに、分岐スプロケット63および合流スプロケット64は、同径である。分岐スプロケット63および合流スプロケット64の上端は、下側復路ガイドレール53のチェーン搬送面よりも低レベルであることにより、包装作業時には、両スプロケット63、64がチェーンに干渉することが無く、チェーン交換時にはチェーンをスムースにあんないすることができる。また、両スプロケット63、64の下端は、上側待機ガイドレール55のチェーン搬送面と同レベルである。これにより、チェーン始端部および終端部を、スプロケット63、64上で合わせることで、同チェーン始端部および終端部の接続を容易に行うことができる。
【0035】
さらに、上記において、第1チェーン23および第2チェーン27の長さは、等倍として示されている。これに代えて、第2チェーン27の長さを第1チェーン23の長さの複数倍としてもよい。その場合、第2チェーン27は、第1チェーン23の長さの等倍の長さ毎に分割可能とする必要がある。これにより、倍数に等しい複数の異なる種類の容器ホルダの使用が可能となる。この場合、例えば、待機経路54を蛇行させるように形成すれば、待機コンベヤ13の水平方向の設置スペースを狭くすることが可能となる。
【0036】
さらに、作業コンベヤ12および待機コンベヤ13は、必ずしも、上下に配置する必要は無い。要は、作業コンベヤ12および待機コンベヤ13が分岐・合流可能な搬送経路をもつ構成であればよい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】この発明による搬送装置の全体構成図である。
【図2】同搬送装置の連結端部の詳細側面図である。
【図3】同搬送装置の容器ホルダの平面図である
【図4】同搬送装置の分岐・合流ステーションの詳細側面図である。
【図5】図4とは別の態様を示す分岐・合流ステーションの詳細側面図である。
【図6】図5に続く図4とは別の別の態様を示す分岐・合流ステーションの詳細側面図である。
【図7】同搬送装置のチェーン交換動作説明図である。
【符号の説明】
【0038】
23、27 チェーン
51 作業経路
54 待機経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同等の長さをもつ複数のチェーンと、各チェーンを搬送するための搬送経路とを有しており、各チェーンが、各チェーン毎に、エンドレス状に連結可能であるとももに、全チェーンが、一連に、エンドレス状に連結可能であり、搬送経路は、作業経路と、作業経路に対し分岐・合流させられる待機経路とよりなり、チェーンの使用時は、全チェーンのうち、選択された1つのチェーンがエンドレス状に連結された状態で作業経路上を搬送可能となされるとともに、選択された1つのチェーン以外のチェーンが待機経路上で待機可能となされており、チェーンの交換時は、全チェーンがエンドレス状に連結された状態で作業経路および待機経路にまたがって搬送可能となされている搬送装置。
【請求項2】
作業経路が、互いに平行にのびた上側往路および下側復路を有しており、上側往路終端および下側復路始端間にチェーン駆動スプロケットが配置されており、上側往路始端および下側復路終端間にチェーン従動スプロケットが配置されており、
待機経路が、作業経路の下方に配置されかつ互いに平行にのびた上側待機経路および下側待機経路を有しており、上側待機経路終端および下側待機経路始端間に第1チェーン案内スプロケットが配置されており、上側待機経路始端および下側待機経路終端間に第2チェーン案内スプロケットが配置されている請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
下側復路にそって上チェーンガイドレールが設けられており、上側待機経路にそって下チェーンガイドレールが設けられており、上チェーンガイドレールの長さの中間に上レール無し部が形成されており、下チェーンガイドレールの長さの中間の、上レール無し部と相対させられるところに下レール無し部が形成されており、上レール無し部および下レール無し部間に、チェーン分岐スプロケットおよびチェーン合流スプロケットが配置されている請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
各チェーンに、各チェーン毎に異なる種類の容器ホルダが備えられている請求項1〜3のいずれか1つに記載の搬送装置。
【請求項5】
上側往路にそって、容器に所要の包装作業を行うための装置群が配置されている請求項4に記載の搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−111446(P2010−111446A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−282966(P2008−282966)
【出願日】平成20年11月4日(2008.11.4)
【出願人】(000180298)四国化工機株式会社 (44)
【Fターム(参考)】