説明

搬送装置

【課題】 搬送物を片側に寄せることができるとともに、袋状の搬送物に収容された内容物を平坦な状態にして嵩張りを抑えることができる搬送装置を提供すること。
【解決手段】 搬送物を所定方向に搬送するための第1搬送ベルト機構4と、第1搬送ベルト機構4の片側に配設された第2搬送ベルト機構8とを備えた搬送装置。第1搬送ベルト機構4の第1搬送ベルト10の上走行部16は、第2搬送ベルト機構8側に傾斜し、第2搬送ベルト機構8の第2搬送ベルト20の上走行部26は、第1搬送ベルト機構4側に傾斜している。更に、第1搬送ベルト10の上走行部16に関連して、振動付与手段30が設けられ、振動付与手段30は、複数の振動付与ローラ32から構成され、振動付与ローラ32により付与される振動によって、搬送中の搬送物2は、第1搬送ベルト10の上走行部16の傾斜を利用して第2搬送ベルト機構8側に少しずつ移動される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒状物、粉状物などを収容した袋状体を搬送ベルト機構の片側に寄るようにして下流側に搬送する搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
搬送装置として、搬送物(例えば、ビン)を下流側に搬送する際に片側に寄せるようにして搬送するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この種の搬送装置は、搬送物を搬送する搬送ベルト機構と、搬送物を片側に整列する整列部とを備え、搬送ベルト機構は無端状搬送ベルトと、この搬送ベルトを支持するための支持ローラとを有している。また、整列部は、搬送物を片側に幅寄せするための幅寄せ部を備え、この幅寄せ部は、下流側に向けて上記片側に傾斜する傾斜寄せ面を有している。この整列部は、搬送ベルトの上走行部の上側に配設され、その傾斜寄せ面は、搬送ベルトの上走行部上の移動によって下流側に搬送される搬送物に作用し、搬送物はこの傾斜寄せ面によって上記片側に導かれ、このようにして搬送物は下流側に搬送されながら上記片側に寄せられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−163950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した搬送装置では、搬送物を片側に寄せながら搬送することができるが、搬送物によっては、この搬送中に片側に寄せながら内容物が均一になるようにすることが望まれることがあるが、このような搬送形態には適用することができない。
【0005】
例えば、粒状物、粉状物などの内容物を収容した袋状体においては、その内容物が袋状体内の一部に集まると、その一部(内容物が集まった部位)の嵩が高くなり、このように嵩が高くなると、梱包箱などにコンパクトに収容することが難しくなる。
【0006】
このような問題を解消するためには、搬送ベルトによって袋状体を搬送する際に、搬送ベルトの片側に寄せるととともに、内容物を袋状体に均一になるようにするのが好ましく、そのような搬送装置の実現が望まれる。
【0007】
本発明の目的は、搬送ベルトによって下流側に搬送する際に、搬送物を片側に寄せることができるとともに、袋状の搬送物に収容された内容物を平坦な状態にして嵩張りを抑えることができる搬送装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1に記載の搬送装置は、内容物を収容した袋状の搬送物を所定方向に搬送するための第1搬送ベルト機構と、前記第1搬送ベルト機構の片側に配設された第2搬送ベルト機構とを備えており
前記第1搬送ベルト機構は、前記搬送物を移動させるための第1搬送ベルトと、前記第1搬送ベルトの上側走行部を前記所定方向に移動させるための複数の第1ローラとを有しており、
前記第2搬送ベルト機構は、前記第1搬送ベルトと協働して前記搬送物を移動させるための第2搬送ベルトと、前記第2搬送ベルトの上側走行部を前記所定方向に移動させるための複数の第2ローラとを有しており、
前記第1搬送ベルトの前記上走行部の少なくとも一部は、前記第2搬送ベルト機構側に傾斜しており、
前記第1搬送ベルト機構の前記第1搬送ベルトの前記上走行部に関連して、前記第1搬送ベルトの前記上走行部に振動を与えるための振動付与手段が設けられ、前記振動付与手段は、前記第1搬送ベルトの前記上走行部の内側にて前記所定方向に間隔をおいて配設された複数の振動付与ローラから構成されており、
前記第1搬送ベルト機構を通して搬送される間に前記振動付与手段により振動が付与されると、前記第1搬送ベルトの前記上走行部に載置されて移動する前記搬送物が、前記第1搬送ベルトの前記上走行部の傾斜を利用して前記第2搬送ベルトの前記上走行部側に移動され、前記搬送物の下部が前記第2搬送ベルトの前記上走行部に当接した状態で前記所定方向に搬送されること特徴とする。
【0009】
また、本発明の請求項2に記載の搬送装置では、前記第1搬送ベルト機構によって搬送される間に前記振動付与手段によって振動が付与されると、前記搬送物は前記第2搬送ベルト機構側に寄せられ、前記第2搬送ベルトの前記上走行部に接することで一直線状に揃えられるとともに、前記搬送物に収容された内容物は平坦化されることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項3に記載の搬送装置では、前記複数の振動付与ローラの各々は、前記第1搬送ベルトの前記上走行部に作用するローラ本体を備え、前記ローラ本体の少なくとも一部に振動付与部が設けられ、前記振動付与部の断面外形形状が多角形状であることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項4に記載の搬送装置では、前記複数の振動付与ローラの前記ローラ本体には、前記第2搬送ベルト機構側の一端側に振動付与部が設けられ、前記第2搬送ベルト機構側とは反対の他端側に円筒状部が設けられていることを特徴とする。
【0012】
更に、本発明の請求項5に記載の搬送装置では、前記第2搬送ベルト機構の前記第2搬送ベルトの前記上走行部の少なくとも一部は、前記第1搬送ベルト機構側に傾斜していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の請求項1に記載の搬送装置によれば、内容部を収容した搬送物を搬送するための第1搬送ベルト機構は、第1搬送ベルト、この第1搬送ベルトの上側走行部を所定方向に移動させるための複数の第1ローラとを有し、第1搬送ベルトの上走行部の少なくとも一部が第2搬送ベルト機構側に傾斜している。また、第2搬送ベルト機構は、第2搬送ベルト、この第2搬送ベルトの上側走行部を所定方向に移動させるための複数の第2ローラとを有している。更に、第1搬送ベルトの上走行部に関連して振動付与手段が設けられ、この振動付与手段は第1搬送ベルトの上走行部の内側に間隔をおいて配設された複数の振動付与ローラから構成されているので、この振動付与ローラの回動により第1搬送ベルトの上走行部に振動が付与されると、この上走行部に載置されて移動する搬送物が、第1搬送ベルトの上走行部の傾斜を利用して第2搬送ベルト機構側に移動され、このようにして振動付与ローラの振動により搬送物の下部が第2搬送ベルトの上走行部に当接するまで片側に移動される。また、このように振動付与ローラにより振動が付与されると、搬送物に収容された内容物が粉状乃至粒状物である場合、かかる内容物が平均化されて嵩張りが解消され、梱包し易い状態となる。そして、このように嵩張りが解消され、片側に寄った状態の搬送物が第1搬送ベルト機構及び第2搬送ベルト機構により所定方向に搬送される。
【0014】
また、本発明の請求項2に記載の搬送装置によれば、第1搬送ベルト機構によって搬送される間に振動付与手段によって振動が付与されると、第1搬送ベルトの上走行部により搬送される搬送物は、第2搬送ベルト機構側に寄せられ、第2搬送ベルトの上走行部に接することで一直線状に揃えられて下流側に搬送される。また、このように振動が付与されると、搬送物に収容された内容物の嵩高状態が平坦化されて嵩の低い状態となる。
【0015】
また、本発明の請求項3に記載の搬送装置によれば、複数の振動付与ローラの各々は、第1搬送ベルトの上走行部に作用するローラ本体の少なくとも一部に振動付与部が設けられ、振動付与部の断面外形形状が多角形状であるので、この振動付与部の角部によって、第1搬送ベルトの上走行部に適度の振動を与えて搬送物を片側に寄せるとともに、その嵩張りを解消することができる。
【0016】
また、本発明の請求項4に記載の搬送装置によれば、複数の振動付与ローラのローラ本体には、第2搬送ベルト機構側の一端側に振動付与部が設けられ、その他端側に円筒状部が設けられているので、搬送物に付与される振動は、第2搬送ベルト機構側が大きく、その反対側が小さくなり、これによって、搬送物は第1搬送ベルトの上走行部上を滑り落ちるように第2搬送ベルト側に移動され、搬送物内の内容物に大きな衝撃を与えることなく片側に移動させることができる。また、振動付与ローラの円筒状部と第1搬送ベルトの上走行部との接触が適切な状態に保たれ、例えば第1搬送ベルトによって振動付与ローラを従動させる場合、この振動付与ローラを所望の通り従動させることができる。
【0017】
更に、本発明の請求項5に記載の搬送装置によれば、第2搬送ベルトの上走行部の少なくとも一部は第1搬送ベルト機構側に傾斜しているので、第1搬送ベルトの上走行部の傾斜の大きい領域においては第1搬送ベルトの上走行部と第2搬送ベルトの上走行部との角度を約90度に保つことができ、これによって、搬送物がこの上走行部に当接した状態で安定して下流側に搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に従う搬送装置を簡略的に示す正面図。
【図2】図1に示す搬送装置を示す平面図。
【図3】図1におけるIII−III線による断面頭。
【図4】図3における振動付与ローラ及びその近傍を示す断面図。
【図5】図1におけるV−V線による断面図。
【図6】図1におけるVI−VI線による断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して、本発明に従う搬送装置の一実施形態について説明する。図1及び図2において、図示の搬送装置は、搬送物2(図3参照)を搬送するための第1搬送ベルト機構4と、この第1搬送ベルト機構4の片側(図1において奥側であって、矢印6で示す搬送方向に見て右側)に配設された第2搬送ベルト機構8とを備えている。
【0020】
第1搬送ベルト機構4は、無端状の第1搬送ベルト10と、この第1搬送ベルト10を支持するための複数の第1ローラ12,14とを備えている。第1搬送ベルト10の両端側に位置する第1ローラ12(この実施形態では、2個)は、第1搬送ベルト10が巻き掛けられる端部ローラとして機能し、第1搬送ベルト10の上走行部16の内側(下側)に位置する第1ローラ14(この実施形態では、4個)は、この上走行部16を支持するための支持ローラとして機能し、矢印6で示す搬送方向に間隔をおいて設けられている。第1搬送ベルト10の矢印6で示す搬送方向に見て上流端に位置する第1ローラ12(端部ローラ)には、駆動源としての第1電動モータ18が駆動連結され、第1電動モータ18が所定方向に回転駆動されると、第1搬送ベルト10が所定方向(その上走行部16が矢印6で示す搬送方向)に移動される。
【0021】
また、第2搬送ベルト機構8は、無端状の第2搬送ベルト20と、この第2搬送ベルト20を支持するための複数(この実施形態では、2個)の第2ローラ22とを備え、第2ローラ22は、第2搬送ベルト20の両端側に位置し、第2搬送ベルト20が巻き掛けられる端部ローラとして機能する。この第2搬送ベルト機構8においても、第2搬送ベルト20の矢印6で示す搬送方向に見て上流端に位置する第2ローラ22には、駆動源としての第2電動モータ24が駆動連結され、第2電動モータ24が所定方向に回転駆動されると、第2搬送ベルト20が所定方向(その上走行部26が矢印6で示す搬送方向)に移動される。
【0022】
後の説明から容易に理解されるように、第1搬送ベルト10の上走行部16と第2搬送ベルト20の上走行部26とは、それらの移動速度が実質上等しくなるように設定され、このように設定することによって、搬送物2は第1搬送ベルト10及び第2搬送ベルト20によって下流側に搬送される。
【0023】
図3、図5及び図6に示すように、第1搬送ベルト機構4の第1搬送ベルト10の上走行部16は、第2搬送ベルト機構8側に向けて傾斜し、その傾斜角度α(図3に示すように、水平からの傾斜角度)は、例えば0〜30度の範囲の角度に傾斜され、上走行部16の上流端部(図1及び図2において右端部)においては傾斜がなく(傾斜角度α=0度)、矢印6で示す搬送方向の略中央部において傾斜角度αが最も大きく(傾斜角度α=30度)、またその下流端部(図1及び図2において左端部)においては傾斜がなく(傾斜角度α=0度)、その上流端部から略中央部に向けては、上走行部16の傾斜角度αは漸増し、この略中央部から下流端部に向けては、上走行部16の傾斜角度αは漸減している。第1搬送ベルト10の上走行部16の傾斜角度をこのようにすることによって、第1搬送ベルト10の上走行部16に水平状態に載置された搬送物2は、後述するように第1搬送ベルト10の上走行部16の傾斜を利用して傾斜状態で片側、即ち第2搬送ベルト機構側8に寄せられ、その後再び水平状態に戻るように搬送される。
【0024】
この実施形態では、第1搬送ベルト10の上走行部16をそのほぼ全長にわたって第2搬送ベルト機構8側に傾斜させているが、必ずしもこのように構成する必要はなく、この上走行部16の少なくとも一部を上述したように傾斜させることによって、後述する所望の作用効果を達成すことができる。尚、第1搬送ベルト10の上走行部16の傾斜角度αは、搬送物2の大きさ、重量など、また搬送物2に収容される内容物の種類などによって、適切な傾斜角度に適宜設定することができる。
【0025】
また、第2搬送ベルト機構8の第2搬送ベルト20の上走行部26は、実質上垂直(水平からの傾斜角度βが90度)となるように配置してもよいが、この実施形態では、図3に示すように、第1搬送ベルト機構4側に向けて傾斜し、その傾斜角度βは、例えば50〜70度程度、例えば60度程度に傾斜されている。この実施形態では、第2搬送ベルト20の全体が傾斜され、その上走行部26の上流端部(図1及び図2において右端部)から下流端部(図1及び図2において左端部)まで同じ角度で傾斜されている。第2搬送ベルト20の上走行部26の傾斜角度をこのようにすることによって、第1搬送ベルト10の上走行部16の上面を第2搬送ベルト機構8側に移動した搬送物2は、その底部が第2搬送ベルト20の上走行部26に当接し、この上走行部26に当接した状態で下流側(即ち、矢印6で示す搬送方向)に搬送され、第1搬送ベルト10の上走行部16の傾斜角度αが大きい領域においては、この第2搬送ベルト20の上走行部26との角度(両上走行部16,26間の角度)が約90度に保たれ、このような領域においても搬送物2を安定して搬送することができる。
【0026】
この実施形態では、第2搬送ベルト20の上走行部26をそのほぼ全長にわたって第1搬送ベルト機構4側に傾斜させているが、必ずしもこのように構成する必要はなく、この上走行部26の少なくとも一部、具体的には第1搬送ベルト10の上走行部16の傾斜部分に対応する部分を上述したように傾斜させることによって、所望の作用効果を達成すことができる。尚、この第2搬送ベルト20の上走行部26の傾斜角度βも、搬送物2の大きさ、重量などによって、適切な傾斜角度に適宜設定することができる。
【0027】
この搬送装置では、第1搬送ベルト10の上走行部16に関連して、この上走行部16に振動を付与するための振動付与手段30が設けられている。図示の振動付与手段30は複数の振動付与ローラ32(図1において正方形状に示している)から構成され、複数の振動付与ローラ32が第1搬送ベルト10の上走行部16の内側(下側)に矢印6で示す搬送方向に間隔をおいて設けられている。各振動付与ローラ32は実質上同一の構成であり、図3、図4及び図5を参照して、その構成について説明する。
【0028】
図示の振動付与ローラ32は筒状のローラ本体34を有し、このローラ本体34の両端部が軸受部材36を介して支持軸38に回転自在に支持されている。支持軸38は支持ブラケット40に固定され、この支持ブラケット40が装置本体の支持フレーム42の一部に取り付けられている。支持フレーム42に対する支持ブラケット40の取付けは、振動付与ローラ32の傾斜角度が角度調整自在となるようにすることができ、このように角度調整自在とすることによって、第1搬送ベルト10の上走行部16の傾斜角度αを調整することが可能となる。
【0029】
この形態では、振動付与ローラ32の一端側(即ち、第2搬送ベルト機構8側)に振動付与部44が設けられ、その他端側(即ち、第2搬送ベルト機構8とは反対の側)に円筒状部46が設けられ、この振動付与部44が振動付与ローラ32の一端から他端に向けてその中央部を超えて延びており、第1搬送ベルト10の上走行部16の幅方向一側部はローラ本体34の一端(先端)を超えて第2搬送ベルト機構8側(即ち、第2搬送ベルト20の上走行部26側)に延び、その他側部はローラ本体34の他端を超えて外側に延び、この上走行部16のほぼ全幅にわたってローラ本体34に支持されている。
【0030】
この形態では、各振動付与ローラ32の振動付与部44は、断面外形形状が多角形状に形成するのが好ましく、例えば正方形状、正五角形状、正六角形状などに形成することができる。このように外形形状を多角形状に形成することによって、その角部が第1搬送ベルト10の上走行部16に作用するときには、その上走行部16が上方に持ち上げられ、その平坦部が作用するときには、その上走行部16が下方に下がり、振動付与部44の角部及び平坦部が交互に作用することによって、第1搬送ベルト10の上走行部16に所望の振動が付与される。このように振動付与ローラ32を用いることによって、比較的簡単な構成でもって、第1搬送ベルト10の上走行部16に所望の振動を付与することができる。
【0031】
このような振動付与ローラ32は、第1ローラ12,14の間に設け、第1ローラ12,14と振動付与ローラ32とが交互に配置されるようにしてもよいが、第1搬送ベルト10の上走行部16の特定領域に特に振動を付与するときには、この振動付与ローラ32を矢印6で示す搬送方向に連続して設けるようにしてもよい。
【0032】
第1ローラ14は、図5に示すように、円筒状のローラ本体48を備え、このローラ本体48が、振動付与ローラ34と同様に、図示していないが、一対の軸受部材を介して支持軸に回転自在に支持されている。支持軸は支持ブラケット50に固定され、この支持ブラケット50が装置本体の支持フレーム52に取り付けられている。尚、支持フレーム52に対する支持ブラケット50の取付けも、第1ローラ48の傾斜角度が角度調整自在となるように構成することができる。
【0033】
第1ローラ14及び振動付与ローラ32は、図1に示すように、第1搬送ベルト10の上走行部16の一端部から矢印6で示す方向にその略中央部に向けて少しずつ上方に位置するように配置するとともに、その略中央部から他端部に向けて少しずつ下方に位置するように配置し、この上走行部16の全体が円弧状に上方に持ち上がるように構成することが好ましく、このように構成することによって、第1搬送ベルト10の上走行部16が第1ローラ14及び振動付与ローラ32に作用し、これらローラ14,32は上走行部16の矢印6で示す方向の移動によって確実に従動される。
【0034】
第1搬送ベルト機構4に関連して、更に、次のように構成されている。第1搬送ベルト機構4の他側(図2において下側であって、矢印6で示す搬送方向に見て左側)に第1ガイドプレート50が設けられている。この第1ガイドプレート50は、第1搬送ベルト10の他側にこれに沿って一端部から他端部まで直線状に延びており、第1搬送ベルト10の上走行部16により搬送される搬送物2が第1搬送ベルト10の他側に落下するのを防止する。また、第1搬送ベルト10の上走行部16の下流側部の片側、即ち第2搬送ベルト機構8の下流側に、第2ガイドプレート52が設けられており、第1搬送ベルト10の上走行部16により搬送される搬送物2が第1搬送ベルト10の片側に落下するのを防止する。
【0035】
また、第2搬送ベルト機構8に関連して、更に、次のように構成されている。図3、図5及び図6を第2搬送ベルト20に関連して搬送ハウジング54が設けられ、この搬送ハウジング54が装置本体(図示せず)に取り付けられている。第2搬送ベルト20の上走行部26は、この搬送ハウジング54の上壁56の上側に配置され、この上壁26に支持されながら矢印6で示す搬送方向に移動される。尚、この第2搬送ベルト20の下走行部58は、搬送ハウジング54内に配設される。
【0036】
上述した搬送装置による搬送物2の搬送は、例えば、次のようにして行われる。第1搬送ベルト機構4は電動モータ18による駆動され、第1搬送ベルト10の上走行部16は矢印6で示す搬送方向に移動される。また、第2搬送ベルト機構8は電動モータ24により駆動され、第2搬送ベルト20の上走行部26は矢印6で示す搬送方向に移動され、このような状態において、搬送物2が下流側に搬送される。搬送物2としては、例えば粒状物、粉状物などの内容物が収容された袋状体であり、この搬送装置を利用することによって、この搬送物2を第1搬送ベルト10の片側に寄せながら内容物を平坦状態にして嵩張りを抑えることができる。
【0037】
更に説明すると、第1搬送ベルト機構4の上流側には、図示していないが、縦袋充填機が配設され、この縦袋充填機により搬送物2内に内容物が充填され、かく充填された状態では、搬送物2の下部が内容物で膨れた状態となる。その後、この搬送物2が横に倒され、横倒された状態でが第1搬送ベルト10の上走行部16に送給され、かく第1搬送ベルト10に供給された状態では、搬送物2の一端部(充填したときの底部)は嵩高の状態であり、また搬送物2は第1搬送ベルト10の上走行部16の幅方向(図1において紙面に垂直な方向、図2において上下方向)にばらついた状態に供給される。
【0038】
上流側からこのようにして第1搬送ベルト10の上走行部16に搬送物2が載置される(第1搬送ベルト10の幅方向に揃っていないことが多い)と、この搬送物2は、その上走行部16に載置された状態で下流側に搬送される。そして、このようにして振動付与ローラ32付近まで搬送されると、この振動付与ローラ32の振動付与部44により第1搬送ローラ10の上走行部16に振動が付与される。即ち、第1搬送ベルト10の上走行部16の他側部が振動付与ローラ32の円筒状部46に支持されているので、この上走行部16の移動に伴って円筒状部46が従動され、この円筒状部46と一体的に振動付与部44が従動されてその上走行部16に振動が付与される。そして、かかる振動が搬送物2に付与され、搬送物2は第1搬送ベルト10の上走行部16の傾斜を利用して下方に第2搬送部ベルト機構8側に少しずつ移動される。
【0039】
このとき、第1搬送ベルト機構4の搬送方向上流側においては、図3に示すように、搬送物2の大部分は振動付与ローラ32の振動付与部44に支持され、その残りの他側部は振動付与ローラ32の円筒状部46に支持されるので、主として搬送物2の片側部に振動が付与され、これによって、搬送物2は第1搬送ベルト10の上走行部16上を滑り落ちるように第2搬送ベルト機構8側に移動される。搬送物2を単に滑らせて第2搬送ベルト機構8側に寄せるためには、第1搬送ベルト10の上走行部16を大きく傾斜させなければならない(即ち、この上走行部16の傾斜角度αを大きくする必要がある)が、振動付与ローラ32によって第1搬送ベルト10の上走行部16に振動を効果的に付与することができ、これによって、この傾斜角度を小さく抑えることが可能となる。また、この移動の際に、振動付与ローラ32による振動によって、搬送物2(袋状体)内の粒状物、粉状物などの内容物の平坦化が行われる。
【0040】
このようにして第1搬送ベルト機構4の搬送方向中央部付近まで搬送されると、図6に示すように、第2搬送ベルト機構8側への移動により、搬送物2の全体が振動付与ローラ32の振動付与部44に支持されるようになり、この振動付与部44によって搬送物2全体に振動が付与される。このときには、第1搬送ベルト10の上走行部16が第2搬送ベルト機構8側に大きく傾斜し、また搬送物2全体に振動が付与され、これらのことから、搬送物2は第1搬送ベルト10の上走行部16上を大きく滑るように第2搬送ベルト機構8側に移動され、搬送物2の底部は第2搬送ベルト20の上走行部26に当接するようになる。また、この移動の際に、振動付与ローラ32によりより大きな振動が付与されるので、搬送物2(袋状体)内の内容物の平坦化が更に促進される。このようにして、搬送物2は、搬送中に第1搬送ベルト10の片側に、即ち第2搬送ベルト8側に寄せて揃えることができるとともに、その内容物は平坦な状態にすることができ、搬送物2の嵩張りを解消することができる。
【0041】
このようにして搬送物2の片側への寄せ及び平坦化が行われた後は、図6から理解されるように、搬送物2は、第1搬送ベルト10の上走行部16及び第2搬送ベルト20の上走行部26によって下流側に搬送され、第1搬送ベルト機構4の下流端から、更に下流側の例えば搬送ベルト機構60に送給されて搬送され、第1搬送ベルト10から排出される際には、搬送物2は第2搬送ベルト機構8側に、具体的には第2ガイドプレート52に近接乃至接触するように揃えて、またその内容物が平坦な状態によって嵩が充分に抑えられて排出される。
【0042】
第1搬送ベルト機構4の下流側の搬送ベルト機構60には、図示していないが、搬送物2を箱詰めするための箱詰め装置が配設されており、搬送ベルト機構60により下流側に搬送される搬送物2は、この箱詰め装置によって所要の通りに箱詰めされる。この搬送装置では、第1搬送ベルト機構4の下流側部付近、即ち搬送ベルト機構60への排出側付近においては、搬送物2は第1搬送ベルト10の一端側、第2搬送ベルト機構8側に揃えられて一直線状に整列されて排出されるとともに、その嵩高も低く抑えられているので、箱詰め装置による搬送物2の箱詰めも好都合に所要の通りに行うことができる。
【0043】
以上、本発明に従う搬送装置の一実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形乃至修正が可能である。
【0044】
例えば、図示の実施形態では、第1ローラ12(端部ローラ)を駆動しているが、第1ローラ12,14(端部ローラ及び支持ローラ)の全てを駆動連結ベルト(図示せず)を介して駆動連結し、駆動源(電動モータ)及び駆動連結ベルトを介してこれら第1ローラ12,14を回転駆動するようにしてもよい。
【0045】
また、例えば、図示の実施形態では、複数の振動付与ローラ32は、第1搬送ベルト10の上走行部16の所定方向に移動に伴って従動されるように構成されているが、このような構成に限定されず、複数の振動付与ローラ32の一部又は全部を電動モータなどを利用して回転駆動するようにしてもよい。
【0046】
また、上述した実施形態では、振動付与手段30の各振動付与ローラ32に振動付与部40及び円筒状部42を設けているが、このような構成に代えて、各振動付与ローラ32の実質上全長にわたって振動付与部を設けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0047】
2 搬送物
4 第1搬送ベルト機構
8 第2搬送ベルト機構
10 第1搬送ベルト
12,14 第1ローラ
16 上走行部
20 第2搬送ベルト
22 第2ローラ
26 上走行部
30 振動付与手段
32 振動付与ローラ
44 振動付与部
46 円筒状部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を収容した袋状の搬送物を所定方向に搬送するための第1搬送ベルト機構と、前記第1搬送ベルト機構の片側に配設された第2搬送ベルト機構とを備えており
前記第1搬送ベルト機構は、前記搬送物を移動させるための第1搬送ベルトと、前記第1搬送ベルトの上側走行部を前記所定方向に移動させるための複数の第1ローラとを有しており、
前記第2搬送ベルト機構は、前記第1搬送ベルトと協働して前記搬送物を移動させるための第2搬送ベルトと、前記第2搬送ベルトの上側走行部を前記所定方向に移動させるための複数の第2ローラとを有しており、
前記第1搬送ベルトの前記上走行部の少なくとも一部は、前記第2搬送ベルト機構側に傾斜しており、
前記第1搬送ベルト機構の前記第1搬送ベルトの前記上走行部に関連して、前記第1搬送ベルトの前記上走行部に振動を与えるための振動付与手段が設けられ、前記振動付与手段は、前記第1搬送ベルトの前記上走行部の内側にて前記所定方向に間隔をおいて配設された複数の振動付与ローラから構成されており、
前記第1搬送ベルト機構を通して搬送される間に前記振動付与手段により振動が付与されると、前記第1搬送ベルトの前記上走行部に載置されて移動する前記搬送物が、前記第1搬送ベルトの前記上走行部の傾斜を利用して前記第2搬送ベルトの前記上走行部側に移動され、前記搬送物の下部が前記第2搬送ベルトの前記上走行部に当接した状態で前記所定方向に搬送されること特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記第1搬送ベルト機構によって搬送される間に前記振動付与手段によって振動が付与されると、前記搬送物は前記第2搬送ベルト機構側に寄せられ、前記第2搬送ベルトの前記上走行部に接することで一直線状に揃えられるとともに、前記搬送物に収容された内容物は平坦化されることを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記複数の振動付与ローラの各々は、前記第1搬送ベルトの前記上走行部に作用するローラ本体を備え、前記ローラ本体の少なくとも一部に振動付与部が設けられ、前記振動付与部の断面外形形状が多角形状であることを特徴とする請求項1又は2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記複数の振動付与ローラの前記ローラ本体には、前記第2搬送ベルト機構側の一端側に振動付与部が設けられ、前記第2搬送ベルト機構側とは反対の他端側に円筒状部が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記第2搬送ベルト機構の前記第2搬送ベルトの前記上走行部の少なくとも一部は、前記第1搬送ベルト機構側に傾斜していることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−37620(P2011−37620A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−189121(P2009−189121)
【出願日】平成21年8月18日(2009.8.18)
【出願人】(000141886)株式会社京都製作所 (83)
【Fターム(参考)】