説明

搬送装置

【課題】封筒を良好に給紙できる搬送装置を提供する。
【解決手段】搬送装置を有する印刷装置1の制御部は、レジストローラ31に搬送される印刷媒体である封筒の搬送方向における向きに応じて、レジストローラ31に突き当たることで形成される封筒のたるみの大きさを変えるよう、外部給紙ローラ22、縦搬送ローラ26、再給紙ローラ83における封筒の搬送量を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷媒体を搬送する搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷装置に備えられ、インクジェットヘッド等の印刷機構を有する印刷部に印刷媒体である用紙を搬送したり、印刷された用紙を排紙台まで搬送して排紙したりする搬送装置が知られている。
【0003】
このような搬送装置において、給紙台上に積載された用紙を給紙ローラによって1枚ずつ取り出して搬送し、用紙をレジストローラに突き当てた後、所定のタイミングで印刷部に搬送する構成を有するものが知られている。ここで、搬送装置は、レジストローラに突き当てた用紙にたるみを生じさせ、これにより用紙の斜行を補正する。
【0004】
上記のような構成を有する搬送装置を備えた印刷装置において、印刷媒体として封筒が用いられることがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−178469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
封筒は、フラップ(封緘するための折り返し部分)と、その反対側の綴じ部(底の部分)とでは、厚さが異なる。フラップは紙1枚分の厚さであるのに対し、綴じ部は紙3枚分の厚さになっている。このため、封筒をレジストローラにフラップ側から突き当てた場合と、綴じ部側から突き当てた場合とでは、封筒のたるみ方が異なる。
【0007】
このため、搬送装置において、封筒の向きに関わらずレジストローラに突き当たる封筒に一定の大きさのたるみが生じるように搬送制御を行った場合、給紙時に不都合が生じることがあった。例えば、封筒をフラップ側からレジストローラに突き当てた場合に対してはたるみが大きすぎてフラップで紙折れが生じることがあった。また、封筒を綴じ部側からレジストローラに突き当てた場合に対してはたるみが小さすぎて斜行補正が十分にできないことがあった。このように、従来の搬送装置は、封筒を良好に給紙できないことがあった。
【0008】
本発明は上記に鑑みてなされたもので、封筒を良好に給紙できる搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係る搬送装置の第1の特徴は、封筒を搬送する給紙搬送部と、前記給紙搬送部に対する搬送方向の下流側に設けられ、前記給紙搬送部により搬送されてきた封筒が突き当てられた後、さらに下流側に封筒を搬送するレジスト部と、前記レジスト部に搬送される封筒の搬送方向における向きを検出する検出部と、前記検出部にて検出された封筒の向きに応じて、前記レジスト部に突き当たることで形成される封筒のたるみの大きさを変えるよう前記給紙搬送部における封筒の搬送量を制御する制御部とを備えることにある。
【0010】
本発明に係る搬送装置の第2の特徴は、前記制御部は、封筒が前記レジスト部にフラップ側から突入する向きの場合、前記フラップ側の反対側である綴じ部側から突入する向きの場合よりもたるみが小さくなるよう前記給紙搬送部における封筒の搬送量を制御することにある。
【0011】
本発明に係る搬送装置の第3の特徴は、前記給紙搬送部は、給紙台から未印刷の封筒を取り出して前記レジスト部に向けて搬送する1次給紙部と、両面印刷時において片面印刷済みの封筒の向きを反転させて前記レジスト部に向けて搬送する再給紙部とを備えることにある。
【0012】
本発明に係る搬送装置の第4の特徴は、印刷済みの封筒を排紙台に排紙する排紙部をさらに備え、前記制御部は、前記排紙部による排紙時の封筒の向きに応じて、排紙時の搬送速度を変えるよう制御することにある。
【0013】
本発明に係る搬送装置の第5の特徴は、前記制御部は、封筒が前記排紙台にフラップ側から進入する向きの場合に、前記フラップ側の反対側である綴じ部側から進入する向きの場合よりも排紙時の搬送速度が遅くなるよう制御することにある。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る搬送装置の第1の特徴によれば、封筒の向きに応じて、レジスト部に突き当たることで形成される封筒のたるみの大きさを変えるので、封筒がレジスト部に突入するときの向きに応じた適切なたるみを形成でき、封筒を安定して良好に給紙できる。
【0015】
本発明に係る搬送装置の第2の特徴によれば、封筒がレジスト部にフラップ側から突入する向きの場合、綴じ部側から突入する向きの場合よりもたるみが小さくなるようにすることで、紙折れ等の給紙時の不都合を低減できる。
【0016】
本発明に係る搬送装置の第3の特徴によれば、両面印刷における再給紙時に封筒が再給紙部により反転されて最初の給紙時とは向きが逆になる構成においても、レジスト部に突入する封筒の向きに応じて適切なたるみを形成し、両面印刷において良好な給紙を実現できる。
【0017】
本発明に係る搬送装置の第4の特徴によれば、排紙時の封筒の向きに応じて排紙速度を変えるので、排紙時の封筒の向きに応じて適切な排紙速度を設定して、良好な排紙を実現できる。
【0018】
本発明に係る搬送装置の第5の特徴によれば、封筒が排紙台にフラップ側から進入する向きの場合に、綴じ部側から進入する向きの場合よりも排紙時の搬送速度を遅くすることで、排紙台上での封筒の乱れや、排紙ジャムを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施の形態に係る搬送装置を備えた印刷装置の概略構成図である。
【図2】図1に示す印刷装置の制御系の構成を示すブロック図である。
【図3】封筒を示す図である。
【図4】図3に示す封筒を縦方向に搬送しながら透過型センサで検出した場合の検出光量の変化を示す図である。
【図5】図1に示す印刷装置で封筒に印刷を行う動作を説明するためのフローチャートである。
【図6】図1に示す印刷装置で封筒に印刷を行う動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。各図面を通じて同一もしくは同等の部位や構成要素には、同一もしくは同等の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、現実のものとは異なることに留意すべきである。
【0021】
また、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0022】
図1は、本発明の実施の形態に係る搬送装置を備えた印刷装置の概略構成図である。図1に示すように、印刷装置1は、給紙部2と、搬送印刷部3と、フェイスアップ排紙部4と、上昇搬送部5と、水平搬送部6と、フェイスダウン排紙部7と、再給紙部8とを備える。なお、本実施の形態における搬送装置は、後述するインクジェットヘッド部33等の印刷装置1の一部の構成を除く各部により構成される。
【0023】
なお、図1において太線で示す経路が、印刷媒体が搬送される搬送経路である。搬送経路のうち、実線で示す経路が通常経路RC、一点鎖線で示す経路が反転経路RR、破線で示す経路が排紙経路RD1,RD2、二点鎖線で示す経路が給紙経路RSである。
【0024】
ここで、片面印刷の場合には、印刷媒体は、給紙経路RS、通常経路RC、排紙経路RD1または排紙経路RD2の順に搬送される。両面印刷の際には、印刷媒体は、給紙経路RS、通常経路RC、反転経路RR、通常経路RC、排紙経路RD1または排紙経路RD2の順に搬送される。以下の説明における上流、下流は、搬送経路上の搬送方向における上流、下流を意味する。また、以下の説明における上下方向、左右方向は、図1において示す上下方向、左右方向を示すものとする。
【0025】
給紙部2は、印刷媒体を搬送して搬送印刷部3に給紙する。給紙部2は、印刷装置1の筐体の外部に露出して設置され、印刷媒体が積載載置される外部給紙台21と、外部給紙台21から印刷媒体を1枚ずつ取り出して後述のレジストローラ31に向けて搬送する外部給紙ローラ22とを備える。
【0026】
また、給紙部2は、筐体内部に設けられ、それぞれ印刷媒体が積載載置される複数の内部給紙台23と、内部給紙台23から印刷媒体を1枚ずつ取り出す内部給紙ローラ24と、内部給紙台23から取り出された印刷媒体を給紙経路RSに沿って搬送する複数の内部給紙搬送ローラ25と、複数の内部給紙台23のいずれかから搬送されてきた印刷媒体を後述のレジストローラ31に向けて搬送する縦搬送ローラ26とを備える。
【0027】
給紙部2は、印刷媒体として封筒を外部給紙台21および内部給紙台23の少なくともいずれかに積載し、給紙可能に構成されている。給紙部2は、請求項の1次給紙部に相当する。
【0028】
搬送印刷部3は、印刷媒体を搬送しつつ、印刷媒体に画像を印刷する。搬送印刷部3は、給紙部2の下流側に配置されている。搬送印刷部3は、レジストローラ31と、ベルト搬送部32と、インクジェットヘッド部33と、レジストセンサ34とを備える。
【0029】
レジストローラ31は、給紙部2または再給紙部8により搬送されてきた印刷媒体が突き当てられた後、所定のタイミングで下流のベルト搬送部32へと送り出す。レジストローラ31に突き当てられたときに印刷媒体がたるむことで、印刷媒体の斜行が補正される。レジストローラ31は、搬送印刷部3の上流部であって、通常経路RC上に配置されている。換言すると、レジストローラ31は、給紙経路RSと反転経路RRとの合流地点の近傍に配置されている。レジストローラ31は、請求項のレジスト部に相当する。
【0030】
ベルト搬送部32は、レジストローラ31の下流側に設けられている。ベルト搬送部32は、インクジェットヘッド部33に対向して設けられた環状の搬送ベルト321と、搬送ベルト321を周回駆動させるベルト駆動ローラ322と、ベルト駆動ローラ322に従動する従動ローラ323〜325とを備える。搬送ベルト321は、多数の穴が空けられた無端ベルトからなり、図示しない吸引ファンにより穴から空気が吸引されることにより発生する負圧で印刷媒体を吸着保持して搬送する。
【0031】
インクジェットヘッド部33は、ベルト搬送部32に対向して配置され、印刷媒体の搬送方向と直交する方向に複数のノズルが配列されたラインタイプの複数のインクジェットヘッドを有する。インクジェットヘッド部33は、ベルト搬送部32により搬送される印刷媒体にインクジェットヘッドからインクを吐出して画像を印刷する。
【0032】
レジストセンサ34は、レジストローラ31の上流側の近傍に設けられ、レジストローラ31へと搬送される印刷媒体を検出する。レジストセンサ34は、発光素子と受光素子とが搬送経路を挟んで対向配置される透過型センサからなる。本実施の形態では、レジストセンサ34は、印刷媒体として封筒を用いる場合において、封筒がレジストローラ31に突入する際の向きを検出するためにも用いられ、請求項の検出部に相当する。
【0033】
フェイスアップ排紙部4は、印刷済みの印刷媒体を、印刷面(両面印刷の場合は後で印刷された面)が上向きの状態で排紙する。フェイスアップ排紙部4は、切替部41と、排紙ローラ42と、フェイスアップ排紙台43とを備える。
【0034】
切替部41は、通常経路RCと排紙経路RD1との分岐点に配置され、印刷媒体の搬送経路を通常経路RCと排紙経路RD1との間で切り替える。排紙経路RD1は、搬送印刷部3と上昇搬送部5との境界からフェイスアップ排紙台43に向けて延びる経路である。
【0035】
排紙ローラ42は、切替部41とフェイスアップ排紙台43との間に配置され、ベルト搬送部32から搬送されてきた印刷媒体を排紙経路RD1に沿って搬送してフェイスアップ排紙台43に排紙する。
【0036】
フェイスアップ排紙台43は、ベルト搬送部32の下流側において印刷装置1の筐体から突出して設置され、排紙ローラ42により搬送されてきた印刷済みの印刷媒体を積載する。フェイスアップ排紙台43には、印刷面(両面印刷の場合は後で印刷された面)が上向きの状態で印刷媒体が積載される。
【0037】
上昇搬送部5は、搬送印刷部3によって印刷された印刷媒体を上方の水平搬送部6へと搬送する。上昇搬送部5は、複数対(例えば、2対)の上昇搬送ローラ51を備える。
【0038】
複数対の上昇搬送ローラ51は、搬送印刷部3と水平搬送部6との間の通常経路RCに沿って、所定の間隔で配置されている。上昇搬送ローラ51が配置される領域の通常経路RCは、左側が開口された半円状に構成されている。
【0039】
水平搬送部6は、上昇搬送部5により搬送されてきた印刷媒体をフェイスダウン排紙部7または再給紙部8へと搬送する。水平搬送部6は、複数対(例えば、4対)の水平搬送ローラ61を備える。
【0040】
複数対の水平搬送ローラ61は、上昇搬送部5とフェイスダウン排紙部7との間の通常経路RCに沿って、所定の間隔で配置されている。1対の水平搬送ローラ61は、反転経路RRの上流部に配置されている。
【0041】
フェイスダウン排紙部7は、印刷済みの印刷媒体を、印刷面(両面印刷の場合は後で印刷された面)が下向きの状態で排紙する。フェイスダウン排紙部7は、切替部71と、排紙ローラ72と、フェイスダウン排紙台73とを備える。
【0042】
切替部71は、排紙経路RD2と反転経路RRとの分岐点に配置され、印刷媒体の搬送経路を排紙経路RD2と反転経路RRとの間で切り替える。排紙経路RD2は、通常経路RCの下流側の端部からフェイスダウン排紙台73に向けて延びる経路である。
【0043】
排紙ローラ72は、切替部71とフェイスダウン排紙台73との間に配置され、水平搬送部6により搬送されてきた印刷媒体を排紙経路RD2に沿って搬送してフェイスダウン排紙台73に排紙する。
【0044】
フェイスダウン排紙台73は、フェイスアップ排紙台43とは反対側において印刷装置1の筐体から突出したトレイ形状を有し、傾斜して設置されている。フェイスダウン排紙台73は、排紙ローラ72により搬送されてきた印刷媒体を積載するものであり、傾斜の下位置に形成された壁により、傾斜に沿って滑落する印刷媒体が自然に整えられて重なっていくようになっている。フェイスダウン排紙台73には、印刷面(両面印刷の場合は後で印刷された面)が下向きの状態で印刷媒体が積載される。
【0045】
フェイスアップ排紙部4およびフェイスダウン排紙部7は、請求項の排紙部に相当する。また、フェイスアップ排紙台43およびフェイスダウン排紙台73は、請求項の排紙台に相当する。
【0046】
再給紙部8は、両面印刷の際に、片面印刷済みの印刷媒体を搬送印刷部3に再給紙するために、片面印刷済みの印刷媒体を反転させてレジストローラ31に搬送するものである。再給紙部8は、反転ローラ81と、スイッチバック部82と、再給紙ローラ83と、切替ゲート84とを備える。
【0047】
反転ローラ81は、水平搬送部6により搬送されてきた印刷媒体をスイッチバック部82に一時的に搬入した後に搬出して、再給紙ローラ83へと搬送する。反転ローラ81は、反転経路RR上において、水平搬送ローラ61とスイッチバック部82の搬入口との間に配置されている。
【0048】
スイッチバック部82は、反転ローラ81が印刷媒体を一時的に搬入するための空間である。スイッチバック部82は、フェイスダウン排紙台73の下部に形成された空間からなる。スイッチバック部82は、反転ローラ81の近傍が印刷媒体を搬入するために開口されている。
【0049】
再給紙ローラ83は、反転ローラ81により搬送されてきた印刷媒体をレジストローラ31へと搬送する。再給紙ローラ83は、反転ローラ81とレジストローラ31との間の反転経路RR上に配置されている。
【0050】
切替ゲート84は、水平搬送ローラ61によって搬送されてきた印刷媒体を反転ローラ81へとガイドする。また、切替ゲート84は、反転ローラ81によってスイッチバック部82から搬出される印刷媒体を再給紙ローラ83へとガイドする。切替ゲート84は、最も下流側の水平搬送ローラ61、反転ローラ81、および再給紙ローラ83の3個所の重心近傍に配置されている。
【0051】
請求項の給紙搬送部は、給紙部2および再給紙部8の少なくともいずれか一方を有する。
【0052】
図2は、印刷装置1の制御系の構成を示すブロック図である。図2に示すように、印刷装置1は、内部給紙モータ90と、縦搬送モータ91と、レジストモータ92と、ベルトモータ93と、フェイスアップ排紙モータ94と、上昇搬送モータ95と、水平搬送モータ96と、フェイスダウン排紙モータ97と、反転モータ98と、再給紙モータ99と、ドライバ100〜109とを備える。
【0053】
内部給紙モータ90は、給紙部2の内部給紙ローラ24および内部給紙搬送ローラ25を回転駆動させる。内部給紙モータ90は、図示しないクラッチを介して内部給紙ローラ24および内部給紙搬送ローラ25接続/解除可能になっている。クラッチにより、回転駆動する内部給紙ローラ24、内部給紙搬送ローラ25が切り替えられる。
【0054】
縦搬送モータ91は、給紙部2の外部給紙ローラ22および縦搬送ローラ26を回転駆動させる。縦搬送モータ91は、図示しないクラッチを介して外部給紙ローラ22および縦搬送ローラ26に接続/解除可能になっている。クラッチにより、外部給紙ローラ22と縦搬送ローラ26の駆動が切り替えられる。
【0055】
レジストモータ92は、搬送印刷部3のレジストローラ31を回転駆動させる。
【0056】
ベルトモータ93は、搬送印刷部3のベルト搬送部32のベルト駆動ローラ322を回転駆動させる。
【0057】
フェイスアップ排紙モータ94は、フェイスアップ排紙部4の排紙ローラ42を回転駆動させる。
【0058】
上昇搬送モータ95は、上昇搬送部5の複数対の上昇搬送ローラ51を回転駆動させる。
【0059】
水平搬送モータ96は、水平搬送部6の複数対の水平搬送ローラ61を回転駆動させる。
【0060】
フェイスダウン排紙モータ97は、フェイスダウン排紙部7の排紙ローラ72を回転駆動させる。
【0061】
反転モータ98は、再給紙部8の反転ローラ81を回転駆動させる。反転モータ98は、印刷媒体をスイッチバック部82に搬入するときと、スイッチバック部82から搬出するときとで、反転ローラ81を逆方向に回転させる。
【0062】
再給紙モータ99は、再給紙部8の再給紙ローラ83を回転駆動させる。
【0063】
ドライバ100〜109は、内部給紙モータ90、縦搬送モータ91、レジストモータ92、ベルトモータ93、フェイスアップ排紙モータ94、上昇搬送モータ95、水平搬送モータ96、フェイスダウン排紙モータ97、反転モータ98、再給紙モータ99をそれぞれ駆動させる。
【0064】
また、印刷装置1は、切替駆動部110,111と、入力部113と、ヘッドドライバ114と、制御部115とを備える。
【0065】
切替駆動部110,111は、フェイスアップ排紙部4の切替部41、フェイスダウン排紙部7の切替部71をそれぞれ駆動させる。
【0066】
入力部113は、各種操作ボタン、タッチパネル(いずれも図示せず)等を有し、ユーザによる入力操作を受け付け、操作に応じた操作信号を出力する。
【0067】
ヘッドドライバ114は、インクジェットヘッド部33のインクジェットヘッドを駆動してインクを吐出させる。
【0068】
制御部115は、CPU、メモリ(いずれも図示せず)等を備えて構成され、CPUが制御プログラムに応じた処理を行うことによって、印刷装置1における印刷媒体の搬送、印刷等の動作を統括的に制御するものである。制御部115には、レジストセンサ34の出力が導かれている。
【0069】
印刷媒体として封筒を用いる場合、制御部115は、レジストローラ31に突入する封筒の向きに応じて、レジストローラ31に突き当たることで形成される封筒のたるみの大きさを変えるよう外部給紙ローラ22、縦搬送ローラ26、再給紙ローラ83における封筒の搬送量を制御する。以降、外部給紙ローラ22、縦搬送ローラ26、再給紙ローラ83を総称して給紙ローラとよぶことがある。
【0070】
図3に示すように、封筒10は、封緘するための折り返し部分であるフラップ11と、フラップ11の反対側の予め綴じられた底の部分である綴じ部12とを備える。印刷装置1で印刷媒体として用いられる場合、封筒10は、フラップ11が閉じられていない状態で給紙、搬送される。
【0071】
図4は、封筒10を縦方向に搬送しながら透過型センサで検出した場合の検出光量の変化を示す図である。フラップ11は、紙1枚分の厚さであり、綴じ部12は、紙3枚分の厚さである。このため、図4に示すように、透過型センサがフラップ11を検出したときの光量A1が、綴じ部12を検出したときの光量A3よりも大きくなる。フラップ11と綴じ部12との間の本体部13は紙2枚分の厚さであるため、透過型センサが本体部13を検出したときの光量は、A1とA3の中間の光量A2となる。
【0072】
このため、制御部115は、レジストセンサ34で封筒10の先端部を検出したときの検出光量に基づいて、搬送される封筒10の向きを判断できる。制御部115は、封筒10の先端部検出したときのレジストセンサ34の検出光量が第1の光量範囲内のとき、封筒10がフラップ11側からレジストローラ31に突入する向きであると判断し、第1の光量範囲より小さい第2の光量範囲内のとき、封筒10が横向きでレジストローラ31に突入すると判断する。また、制御部115は、封筒10の先端部を検出したときのレジストセンサ34の検出光量が、第2の光量範囲より小さい第3の光量範囲内のとき、封筒10が綴じ部12側からレジストローラ31に突入する向きであると判断する。
【0073】
制御部115は、外部給紙台21から給紙を行う場合、印刷媒体がレジストローラ31に突き当たった後も外部給紙ローラ22により印刷媒体を所定量だけ搬送させて、たるみを形成させる。内部給紙台23から給紙を行う場合は、制御部115は、印刷媒体がレジストローラ31に突き当たった後も縦搬送ローラ26により印刷媒体を所定量だけ搬送させ、たるみを形成させる。また、再給紙部8により再給紙を行う場合は、制御部115は、印刷媒体がレジストローラ31に突き当たった後も再給紙ローラ83により印刷媒体を所定量だけ搬送させ、たるみを形成させる。
【0074】
印刷媒体として封筒10を用いる場合、制御部115は、封筒10がレジストローラ31にフラップ11側から突入する向きであるとき、綴じ部12側から突入する向きのときよりもたるみが小さくなるように、給紙ローラにおける封筒10の搬送量を制御する。また、制御部115は、封筒10がレジストローラ31に横向きで突入する向きの場合、フラップ11側から突入する向きの場合よりもたるみが大きく、綴じ部12側から突入する向きの場合よりもたるみが小さくなるように、給紙ローラにおける封筒10の搬送量を制御する。
【0075】
ここで、印刷媒体として封筒10を用いる場合において、封筒10がレジストローラ31に突入する向きに応じたたるみの大きさを、「小」、「中」、「大」の3段階とする。封筒10がレジストローラ31にフラップ11側から突入する向きであるときは「小」、綴じ部12側から突入する向きのときは「大」、横向きのときは「中」となる。例えば、たるみ「中」を、通常の印刷用紙の給紙時と同程度とし、たるみ「小」は印刷用紙の給紙時より小さく、たるみ「大」は印刷用紙の給紙時より大きいものとする。
【0076】
制御部115は、印刷媒体がレジストローラ31に突き当たってからの給紙ローラの搬送量を、レジストセンサ34で印刷媒体の先端が検出されてからの搬送量により制御する。印刷媒体として封筒10を用いる場合において、レジストセンサ34による封筒10の先端検出後の、給紙ローラによる上記の「小」、「中」、「大」のたるみに対応する搬送量をL1,L2,L3とすると、L1<L2<L3となる。ローラの駆動時間等を調整することにより、ローラによる搬送量を制御できる。
【0077】
また、制御部115は、印刷媒体として封筒10を用いる場合、フェイスアップ排紙部4、フェイスダウン排紙部7による排紙時の封筒10の向きに応じて、排紙ローラ42,72による排紙時の搬送速度を変えるよう制御する。
【0078】
制御部115は、封筒10がフェイスアップ排紙台43、フェイスダウン排紙台73にフラップ11側から進入する向きの場合の排紙ローラ42,72による搬送速度(排紙速度)V1が、綴じ部12側から進入する向きの場合の排紙速度V3よりも遅くなるよう制御する。また、制御部115は、封筒10がフェイスアップ排紙台43、フェイスダウン排紙台73に横向きで進入する場合、排紙速度が、V1とV3との間のV2となるように制御する。つまり、V1<V2<V3である。例えば、排紙速度V2を、通常の印刷用紙の排紙時と同程度とし、排紙速度V1は印刷用紙の排紙時より小さく、排紙速度V3は印刷用紙の排紙時より大きいものとする。
【0079】
次に、印刷装置1で印刷媒体として封筒10を用いて印刷を行う動作について説明する。
【0080】
印刷装置1の印刷動作は、図示しない外部のPC(パーソナルコンピュータ)から印刷ジョブが入力されることや、ユーザによる入力部113の操作によりスキャナ(図示せず)で読み取られた画像の印刷が指示されることにより実行される。ユーザは、PCのプリンタドライバや、入力部113に対する操作により、片面印刷か両面印刷かを設定できる。
【0081】
図5は、印刷装置1で封筒10に印刷を行う動作を説明するためのフローチャートである。なお、ここでは、外部給紙台21から封筒10を給紙する場合について説明する。
【0082】
まず、ステップS10において、制御部115は、クラッチ(図示せず)を介して縦搬送モータ91と外部給紙ローラ22とを接続し、縦搬送モータ91の駆動を開始するようドライバ101を制御する。これにより、外部給紙ローラ22が回転駆動され給紙が開始される。
【0083】
次いで、ステップS20において、制御部115は、レジストセンサ34により封筒が検出されたか否かを判断する。検出されたと判断した場合(ステップS20:YES)、制御部115は、ステップS30に進み、検出されていないと判断した場合(ステップS20:NO)、制御部115は、ステップS20の処理を繰り返す。
【0084】
ステップS30では、制御部115は、封筒10が、搬送方向に対して横向きであるか否かを判断する。前述のように、制御部115は、レジストセンサ34による封筒10の検出光量が第2の光量範囲内である場合、横向きであると判断する。制御部115は、横向きであると判断した場合(ステップS30:YES)、ステップS190に進み、横向きでないと判断した場合(ステップS30:NO)、ステップS40に進む。
【0085】
ステップS40では、制御部115は、封筒10がレジストローラ31にフラップ11側から突入する向き(フラップ11が前方の向き)であるか否かを判断する。前述のように、制御部115は、レジストセンサ34による封筒10の検出光量が第1の光量範囲内である場合、フラップ11が前方の向きであると判断する。フラップ11が前方の向きであると判断した場合(ステップS40:YES)、制御部115は、ステップS50に進む。フラップ11が前方の向きでない、つまり封筒10がレジストローラ31に綴じ部12側から突入する向きであると判断した場合(ステップS40:NO)、制御部115は、ステップS120に進む。
【0086】
ステップS50では、制御部115は、封筒10がレジストローラ31に突き当たることにより形成されるたるみが「小」となるように制御を行う。具体的には、制御部115は、レジストセンサ34で封筒10の先端が検出されてからの外部給紙ローラ22による搬送量が、たるみ「小」に対応する搬送量L1となるようドライバ101を介して縦搬送モータ91を制御する。外部給紙ローラ22の停止後、制御部115は、ドライバ102によりレジストモータ92を駆動させる。これにより、レジストローラ31が駆動し、封筒10が搬送印刷部3に給紙される。
【0087】
次いで、ステップS60において、制御部115は、ベルト搬送部32により搬送される封筒10にインクジェットヘッド部33により印刷を行うようヘッドドライバ114を制御する。
【0088】
次いで、ステップS70において、制御部115は、両面印刷を行う設定であるか否かを判断する。制御部115は、両面印刷を行う設定であると判断した場合(ステップS70:YES)、ステップS80において、片面印刷済みの封筒10の再給紙の制御を行う。この際、制御部115は、再給紙時に封筒10がレジストローラ31に突き当たって形成されるたるみが「大」となるようにする。
【0089】
両面印刷時の再給紙を行うため、制御部115は、片面印刷済みの封筒10を、切替部41により上昇搬送部5に導くよう切替駆動部110を制御する。そして、制御部115は、上昇搬送部5の上昇搬送ローラ51、および水平搬送部6の水平搬送ローラ61により封筒10を搬送させる。封筒10がフェイスダウン排紙部7の切替部71に達すると、制御部115は、切替部71によって封筒10を反転経路RRに導くよう切替駆動部111を制御する。封筒10が反転経路RRに導かれると、制御部115は、反転経路RR上の水平搬送ローラ61および再給紙部8の反転ローラ81によって封筒10を搬送させ、スイッチバック部82に搬入させる。その後、制御部115は、反転ローラ81によって封筒10を搬出させ、再給紙ローラ83によりレジストローラ31に向けて送り出させる。
【0090】
ここで、封筒10は、再給紙部8でスイッチバックされることで向きが反転されて、最初の給紙時とは逆の、レジストローラ31に綴じ部12側から突入する向きになっている。このため、制御部115は、封筒10がレジストローラ31に突き当たることにより形成されるたるみが「大」となるように制御を行う。具体的には、制御部115は、レジストセンサ34で封筒10の先端が検出されてからの再給紙ローラ83による搬送量が、たるみ「大」に対応する搬送量L3となるようドライバ109を介して再給紙モータ99を制御する。
【0091】
再給紙ローラ83の停止後、制御部115は、ドライバ102によりレジストモータ92を駆動させる。これにより、レジストローラ31が駆動し、封筒10が搬送印刷部3に再給紙される。ここで、封筒10は再給紙部8によって反転されているので、未印刷面がインクジェットヘッド部33に向けられている。
【0092】
次いで、ステップS90において、制御部115は、ベルト搬送部32により搬送される封筒10の未印刷面にインクジェットヘッド部33により印刷を行うようヘッドドライバ114を制御する。
【0093】
次いで、ステップS100において、制御部115は、封筒10が綴じ部12側から排紙される場合の排紙速度V3で排紙されるよう排紙制御を行う。フェイスアップ排紙台43に排紙する設定の場合、制御部115は、搬送印刷部3で印刷された両面印刷済みの封筒10を、切替部41により排紙経路RD1に導くよう切替駆動部110を制御する。そして、制御部115は、封筒10を排紙ローラ42により搬送速度V3でフェイスアップ排紙台43に排紙するようドライバ104を介してフェイスアップ排紙モータ94を制御する。
【0094】
フェイスダウン排紙台73に排紙する設定の場合、制御部115は、両面印刷済みの封筒10を、切替部41により上昇搬送部5に導き、上昇搬送ローラ51、および水平搬送ローラ61により封筒10を搬送させる。封筒10がフェイスダウン排紙部7の切替部71に達すると、制御部115は、切替部71によって封筒10を排紙経路RD2に導くよう切替駆動部111を制御する。そして、制御部115は、封筒10を排紙ローラ72により搬送速度V3でフェイスダウン排紙台73に排紙するようドライバ107を介してフェイスダウン排紙モータ97を制御する。
【0095】
一方、ステップS70で、片面印刷を行う設定であると判断した場合(ステップS70:NO)、ステップS110において、制御部115は、封筒10がフラップ11側から排紙される場合の排紙速度V1で排紙されるよう排紙制御を行う。フェイスアップ排紙台43に排紙する設定の場合、制御部115は、搬送印刷部3で印刷された片面印刷済みの封筒10を排紙経路RD1に導き、排紙ローラ42により搬送速度V1でフェイスアップ排紙台43に排紙させる。フェイスダウン排紙台73に排紙する設定の場合、制御部115は、片面印刷済みの封筒10を排紙経路RD2に導き、排紙ローラ72により搬送速度V1でフェイスダウン排紙台73に排紙させる。
【0096】
ステップS120では、封筒10がレジストローラ31に綴じ部12側から突入する向きであるため、制御部115は、封筒10がレジストローラ31に突き当たることにより形成されるたるみが「大」となるように制御を行う。この際、制御部115は、レジストセンサ34で封筒10の先端が検出されてからの外部給紙ローラ22による搬送量が、たるみ「大」に対応する搬送量L3となるようドライバ101を介して縦搬送モータ91を制御する。外部給紙ローラ22の停止後、制御部115は、ドライバ102によりレジストモータ92を駆動させる。これにより、レジストローラ31が駆動し、封筒10が搬送印刷部3に給紙される。
【0097】
続くステップS130,S140の処理は、前述のステップS60,S70の処理と同様である。
【0098】
ステップS140において、両面印刷を行う設定であると判断した場合(ステップS140:YES)、ステップS150において、制御部115は、片面印刷済みの封筒10の再給紙の制御を行う。この再給紙時には、封筒10は、再給紙部8でスイッチバックされることで向きが反転されて、最初の給紙時とは逆の、レジストローラ31にフラップ11側から突入する向きになっている。このため、制御部115は、封筒10がレジストローラ31に突き当たることにより形成されるたるみが「小」となるように制御を行う。たるみが「小」となるようにするため、制御部115は、レジストセンサ34で封筒10の先端が検出されてからの再給紙ローラ83による搬送量が、たるみ「小」に対応する搬送量L1となるようドライバ109を介して再給紙モータ99を制御する。
【0099】
再給紙ローラ83の停止後、制御部115は、ドライバ102によりレジストモータ92を駆動させる。これにより、レジストローラ31が駆動し、未印刷面がインクジェットヘッド部33に向けられた状態で封筒10が搬送印刷部3に再給紙される。
【0100】
続くステップS160の処理は、前述のステップS90の処理と同様である。
【0101】
次いで、ステップS170において、制御部115は、両面印刷済みの封筒10がフェイスアップ排紙台43またはフェイスダウン排紙台73に排紙速度V1で排紙されるよう排紙制御を行う。
【0102】
一方、ステップS140で、片面印刷を行う設定であると判断した場合(ステップS140:NO)、ステップS180において、制御部115は、片面印刷済みの封筒10がフェイスアップ排紙台43またはフェイスダウン排紙台73に排紙速度V3で排紙されるよう排紙制御を行う。
【0103】
ステップS190では、封筒10がレジストローラ31に横向きで突入するため、制御部115は、封筒10がレジストローラ31に突き当たることにより形成されるたるみが「中」となるように制御を行う。この際、制御部115は、レジストセンサ34で封筒10の先端が検出されてからの外部給紙ローラ22による搬送量が、たるみ「中」に対応する搬送量L2となるようドライバ101を介して縦搬送モータ91を制御する。外部給紙ローラ22の停止後、制御部115は、ドライバ102によりレジストモータ92を駆動させる。これにより、レジストローラ31が駆動し、封筒10が搬送印刷部3に給紙される。
【0104】
続くステップS200,S210の処理は、前述のステップS60,S70の処理と同様である。制御部115は、ステップS210において、両面印刷を行う設定であると判断した場合(ステップS210:YES)、ステップS220に進み、片面印刷を行う設定であると判断した場合(ステップS210:NO)、ステップS240に進む。
【0105】
ステップS220では、制御部115は、片面印刷済みの封筒10の再給紙の制御を行う。この再給紙時には、封筒10は、再給紙部8でスイッチバックされることで向きが反転されているが、横向きであることは最初の給紙時と同様である。このため、制御部115は、封筒10がレジストローラ31に突き当たることにより形成されるたるみが「中」となるように制御を行う。たるみが「中」となるようにするため、制御部115は、レジストセンサ34で封筒10の先端が検出されてからの再給紙ローラ83による搬送量が、たるみ「中」に対応する搬送量L2となるようドライバ109を介して再給紙モータ99を制御する。
【0106】
再給紙ローラ83の停止後、制御部115は、ドライバ102によりレジストモータ92を駆動させる。これにより、レジストローラ31が駆動し、未印刷面がインクジェットヘッド部33に向けられた状態で封筒10が搬送印刷部3に再給紙される。
【0107】
続くステップS230の処理は、前述のステップS90の処理と同様である。
【0108】
次いで、ステップS240において、制御部115は、両面印刷済みの封筒10が、横向きで排紙される場合の排紙速度V2でフェイスアップ排紙台43またはフェイスダウン排紙台73に排紙されるよう排紙制御を行う。以上により印刷動作が終了する。
【0109】
なお、上記説明では、外部給紙台21から封筒10を給紙する場合で説明したが、内部給紙台23から封筒10を給紙する場合でも同様の処理が適用できる。
【0110】
以上説明したように、印刷装置1では、レジストローラ31に突入する封筒10の向きに応じて、レジストローラ31に突き当たることで形成される封筒10のたるみの大きさを変えるよう給紙ローラにおける封筒10の搬送量を制御する。これにより、封筒10がレジストローラ31に突入するときの向きに応じた適切なたるみを形成でき、封筒10を安定して良好に給紙できる。この結果、斜行補正の不良や、たるみ吸収時の雑音の発生等を軽減することができる。
【0111】
印刷装置1では、封筒10がレジストローラ31にフラップ11側から突入する向きの場合には相対的にたるみが小さく、綴じ部12側から突入する向きの場合には相対的にたるみが大きくなるよう給紙ローラにおける封筒10の搬送量を制御する。これにより、例えば、封筒10をフラップ11側からレジストローラ31に突き当てた場合にたるみが大きすぎてフラップ11で紙折れが生じることを低減できる。また、封筒10を綴じ部12側からレジストローラ31に突き当てた場合にたるみが小さすぎて斜行補正が十分にできないことを低減できる。
【0112】
また、印刷装置1では、両面印刷における再給紙時に封筒10が再給紙部8により反転されて最初の給紙時とは向きが逆になっても、レジストローラ31に突入する封筒10の向きに応じて適切なたるみを形成でき、良好な給紙を実現できる。
【0113】
また、印刷装置1では、排紙時の封筒10の向きに応じて、排紙速度を変える。例えば、封筒10をフラップ11側から排紙する場合、排紙速度が適切でないと、封筒10の開口部が広がって空気による抵抗が大きくなり、封筒10の挙動が乱れるおそれがある。また、封筒10を綴じ部12側から排紙する場合、先頭側が重くなるため、排紙速度が適切でないと、封筒10が排紙台(フェイスアップ排紙台43、フェイスダウン排紙台73)の奥まで届かないおそれがある。これにより、排紙された複数の封筒10が排紙台上で揃わず、乱れた状態になることがある。また、この結果、排紙台上の封筒10に後続の封筒10が突き当たって排紙ジャムが発生するおそれがある。
【0114】
印刷装置1では、排紙時の封筒10の向きに応じて適切な排紙速度を設定して、良好な排紙を実現できる。印刷装置1では、封筒10が排紙台にフラップ11側から進入する向きの場合には相対的に搬送速度が遅く、綴じ部12側から進入する向きの場合には相対的に搬送速度が速くなるようにする。これにより、上述したような排紙台上での封筒10の乱れや、排紙ジャムを抑制できる。
【0115】
なお、本実施の形態では、封筒10の向きを検出するために透過型センサであるレジストセンサ34を用いたが、これに限らない。例えば、印刷媒体の搬送方向と直交する方向に延びるラインセンサであるCIS(Contact Image Sensor)を用いてもよい。この場合、CISで封筒10のフラップ11の斜めにカットされた部分を検出することで、封筒10の向きを検出できる。また、搬送経路上の印刷媒体の高さを検出できる測距センサ等を用いることもできる。
【符号の説明】
【0116】
1 印刷装置
2 給紙部
3 搬送印刷部
4 フェイスアップ排紙部
5 上昇搬送部
6 水平搬送部
7 フェイスダウン排紙部
8 再給紙部
10 封筒
11 フラップ
12 綴じ部
31 レジストローラ
34 レジストセンサ
115 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
封筒を搬送する給紙搬送部と、
前記給紙搬送部に対する搬送方向の下流側に設けられ、前記給紙搬送部により搬送されてきた封筒が突き当てられた後、さらに下流側に封筒を搬送するレジスト部と、
前記レジスト部に搬送される封筒の搬送方向における向きを検出する検出部と、
前記検出部にて検出された封筒の向きに応じて、前記レジスト部に突き当たることで形成される封筒のたるみの大きさを変えるよう前記給紙搬送部における封筒の搬送量を制御する制御部と
を備えることを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記制御部は、封筒が前記レジスト部にフラップ側から突入する向きの場合、前記フラップ側の反対側である綴じ部側から突入する向きの場合よりもたるみが小さくなるよう前記給紙搬送部における封筒の搬送量を制御することを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記給紙搬送部は、
給紙台から未印刷の封筒を取り出して前記レジスト部に向けて搬送する1次給紙部と、
両面印刷時において片面印刷済みの封筒の向きを反転させて前記レジスト部に向けて搬送する再給紙部とを備えることを特徴とする請求項1または2に記載の搬送装置。
【請求項4】
印刷済みの封筒を排紙台に排紙する排紙部をさらに備え、
前記制御部は、前記排紙部による排紙時の封筒の向きに応じて、排紙時の搬送速度を変えるよう制御することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記制御部は、封筒が前記排紙台にフラップ側から進入する向きの場合に、前記フラップ側の反対側である綴じ部側から進入する向きの場合よりも排紙時の搬送速度が遅くなるよう制御することを特徴とする請求項4に記載の搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−106857(P2012−106857A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−258746(P2010−258746)
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【出願人】(000250502)理想科学工業株式会社 (1,191)
【Fターム(参考)】