説明

携帯印字装置及びその制御方法、携帯印字システム、プログラム

【課題】 帳票の不正利用を防止するためのハンディターミナル端末における不正印字防止システム及びその制御方法、プログラムを提供する。
【解決手段】 HT端末100は、印字した帳票600に付されている識別パターン604をスキャナ215で読み取り、HT端末100の外部メモリ211に記憶されている帳票を検索し、対応する帳票データが存在すれば、不正利用ができないように印字した帳票に取消印を印字する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークを介して、サーバと接続可能な携帯印字装置及びその制御方法、そのプログラムと、携帯印字装置とサーバとがネットワークを介して相互に接続されて構成される携帯印刷システム、その制御方法、そのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報機器やプリンタの小型化により、帳票出力はハンディターミナル端末(以下、HT端末)を用いて場所や時間の制限無く行なう事が可能となっている。このような帳票出力方法は顧客の玄関先に作業者が伺い、その場で帳票と金銭授受を行う訪問販売等で知られている。
【0003】
一般的に情報機器を操作する作業者は業務の効率上、帳票の取消や修正も容易に行なう事が可能であり、意図的に帳票を修正する等の不正行為が発生する危険性が存在する。そこで、下記参考特許文献1では作業者によって仮登録された取消し待ち伝票のデータを管理キー操作と管理パスワードによって反映するよう対策が採られている。
【0004】
また、特許文献2においては誤打申請キー操作による誤打申請フラグがセットされた売上データを管理者が承認することで不正防止を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−302162
【特許文献2】特開2004−030210
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、管理者が毎回承認作業を実施することは確認漏れを招くだけでなく、非効率的である。また、作業者の訪問先等では管理者が立ち会うことは業務的に不可能であるため、取消や修正作業が滞ることとなる。無線通信によるオンライン環境を用いて訪問先と管理部門でデータを共有することも考えられるが、訪問先の電波状況が良好である保証はなく、現実的ではない。
【0007】
HT端末にて帳票を発行する場合、内容(請求金額等)の印字打ち間違えにより、再発行をする場合がある。
【0008】
帳票の再発行を行う場合、内容を間違えた元の帳票Aに対して、元帳票Aを取消す帳票A’と、内容を修正した再発行帳票Bを出力する。
【0009】
しかし、内容を間違えた元帳票Aを使用し、顧客から料金を請求した後、意図的に取り消し帳票A’、再発行帳票Bを出力すると、反映されるHT内のデータは再発行帳票Bで印字した内容になるため、顧客に対して請求した金額と集金員が事務所に戻って申告する金額に差額が生じ、作業員が差額を横領することができてしまう。
【0010】
元帳票Aと取消し票A’を必ず管理者へ提出するという運用が徹底することが可能であれば、作業員による不正は防止できるが、帳票のチェックは人の目視チェックが必要であり、有効ではない。
【0011】
また、元帳票Aと、取消帳票A’を無くしてしまった等の言い訳をすれば、不正が可能となってしまう。
【0012】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、帳票の不正利用を防止するためのHT端末における不正印字防止システム及びその制御方法、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するための本発明による携帯印刷装置は、以下の構成を備える。
【0014】
即ち、ユーザによる入力指示を受付可能であり、帳票を印字し、印字した帳票の帳票データを記憶管理可能な携帯用端末として用いられる不正印刷防止装置であって、ユーザの指示によって印字をする帳票に識別情報を付加する識別情報付加手段と、前記識別情報付加手段によって付加された識別情報を読み取る識別情報読取手段と、前記識別情報読取手段によって読み取った識別情報に対応付いて記憶している帳票データを検索する検索手段と、前記検索手段によって検索された帳票データを無効にする帳票取消手段と、前記帳票取消手段によって取り消す帳票に取消印を印字する取消印印字手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、HT端末から出力する帳票を用いた金銭受け渡しを伴う業務において、作業者の不正を現場で防ぐ事が出来る。
【0016】
また、管理者の不正確認作業が不要となることによる業務効率の改善が期待される。更には、これまで伝票の取消処理を実施すると、取消元の帳票Aに対する取消帳票A’の2枚出力されたが、本発明を実施した場合、元帳票Aと取消帳票A’は同一帳票の1枚であるため、紙の節約によるコストダウンが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】 本発明の実施形態の不正印刷防止装置のブロック構成を示す図である。
【図2】 本発明の実施形態の各種端末のハードウエア構成を示す図である。
【図3】 本発明の実施形態のモジュール構成図である。
【図4】 本発明の実施形態の帳票印字処理を示すフローチャートである。
【図5】 本発明の実施形態の帳票取消処理を示すフローチャートである。
【図6】 本発明の実施形態でHT端末100によって印字される帳票の一例である。
【図7】 本発明の実施形態でHT端末100が記憶管理する、帳票データテーブルの一例を表す図である。
【図8】 本発明の実施形態でHT端末100が記憶管理する、取消帳票データテーブルの一例を表す図である。
【図9】 本発明の実施形態で帳票管理サーバ200が記憶管理し、HT端末100がネットワーク300を通じて取得する顧客リストデータの一例を表す図である。
【図10】 本発明の実施形態でHT端末100に表示される画面の一例を表す図である。
【図11】 本発明の実施形態でHT端末100に表示される画面の一例を表す図である。
【図12】 本発明の実施形態でHT端末100に表示される画面の一例を表す図である。
【図13】 本発明の実施形態でHT端末100に構成するプリンタ213とスキャナ215の一例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0019】
図1は本発明の実施形態の携帯印刷装置の構成を示す図である。
【0020】
ハンディターミナル端末(以下、HT端末)100は顧客先に出向いて、帳票の印字処理を行う作業員(以下、ユーザ)が使用する持ち運び式の情報処理端末である。
【0021】
HT端末100は、ユーザによる入力指示、ネットワーク300を介して、帳票管理サーバ200とデータの送受信が可能である。
【0022】
帳票管理サーバ200は、HT端末100が印字する帳票の帳票データを管理するサーバである。
【0023】
HT端末100のユーザは、一日の業務の始めに帳票管理サーバ200に接続し、その日に集金・集計業務に行く予定の顧客データを取得する。
【0024】
一日の業務が全て終わると、HT端末100内に記憶管理する帳票データ及び取消帳票データを、帳票管理サーバ200に送信する。
【0025】
尚、図1のネットワーク300に接続される各種端末の構成は一例であり、用途や目的に応じて様々な構成例があることは言うまでもない。
【0026】
例えば、HT端末100が、HT端末100が出力する帳票の帳票データを、その都度帳票管理サーバ200に送信して記憶管理するような構成にしてもよい。
【0027】
次に、図1のHT端末100、帳票管理サーバ200の各種端末のハードウエア構成について、図2を用いて説明する。
【0028】
図2は、HT端末100のハードウエア構成を示す図である。
【0029】
CPU201は、システムバス204に接続される各デバイスやコントローラを統括的に制御する。また、ROM202あるいは外部メモリ211には、CPU201の制御プログラムであるBIOS(Basic Input/Output System)やオペレーティングシステムプログラム(以下、OS)や、各サーバ或いは各PCの実行する機能を実現するために必要な後述する各種プログラム等が記憶されている。RAM203は、CPU201の主メモリ、ワークエリア等として機能する。CPU201は、処理の実行に際して必要なプログラム等をRAM203にロードして、プログラムを実行することで各種動作を実現するものである。
【0030】
また、入力コントローラ(入力C)205は、キーボード209や不図示のマウス等のポインティングデバイスからの入力を制御する。
【0031】
ビデオコントローラ(VC)206は、CRTディスプレイ(CRT)210等の表示器にへの表示を制御する。表示器はCRTだけでなく、液晶ディスプレイでも構わない。これらは必要に応じて管理者が使用するものである。本発明には直接関係があるものではない。
【0032】
メモリコントローラ(MC)207は、ブートプログラム、ブラウザソフトウエア、各種のアプリケーション、フォントデータ、ユーザファイル、編集ファイル、各種データ等を記憶するハードディスク(HD)やフロッピー(登録商標)ディスク(FD)或いはPCMCIAカードスロットにアダプタを介して接続されるコンパクトフラッシュ(登録商標)メモリ等の外部メモリ211へのアクセスを制御する。
【0033】
通信I/Fコントローラ(通信I/FC)208は、ネットワークを介して、外部機器と接続するものであり、ネットワークでの通信制御処理を実行する。
例えば、TCP/IPを用いたインターネット通信等が可能である。なお、CPU201は、例えばRAM203内の表示情報用領域へアウトラインフォントの展開(ラスタライズ)処理を実行することにより、CRT210上での表示を可能としている。
【0034】
また、CPU201は、CRT210上の不図示のマウスカーソル等でのユーザ指示を可能とする。
【0035】
プリンタコントローラ212は、サーマルドットライン方式プリンタ213等の印刷機を制御する。
【0036】
スキャナコントローラ214は、スキャナ215等の識別器を制御する。
【0037】
次に、図3を用いて、本発明の実施形態で用いるHT端末100が実行するモジュール構成について説明する。
【0038】
図3はHT端末100の基本モジュール構成を示す図である。
【0039】
HT端末100のモジュール301は一般的に知られている基本OSプログラムである。
【0040】
業務アプリケーション302は、帳票印字処理部303と帳票取消処理部304から構成されている。
【0041】
帳票印字処理部303は、図4の説明にて後述する、帳票印刷の一連処理を制御する。
【0042】
帳票取消処理部304は、図5の説明にて後述する、帳票取消の一連処理を制御する。
【0043】
尚、本発明を実現するための基本OS301、業務アプリケーション302帳票印字処理部303、帳票取消処理部304は外部メモリ211に記録されており、必要に応じてRAM203にロードされることによりCPU201によって実行されるものである。
【0044】
次に、携帯印刷装置の基本的な処理について説明する。
【0045】
予め、HT端末100は、ステップS101の事前に一日の業務で訪問する予定の顧客リストを帳票管理サーバ200から受信しておく(本実施例では不図示の処理)。
【0046】
帳票管理サーバ200から受信する顧客リストのデータ一例を、図9を用いて説明する。
【0047】
図9は、帳票管理サーバ200がHT端末100に送信する、顧客リストデータテーブルの一例を示す図である。
【0048】
訪問予定日901は、顧客の元へ訪問する予定日を示している。
【0049】
訪問カテゴリ902は、訪問する顧客先での業務内容を示している。
【0050】
顧客名903は、訪問する顧客名を示している。
【0051】
次に、図4を用いて本発明の実施形態の帳票印刷処理のフローを説明する。
【0052】
まず、ステップS101では、HT端末100は、帳票印字処理を開始する。
【0053】
具体的には、作業者によるHT端末100の帳票印字処理を開始するボタンの押下等の指示によって、帳票の出力処理を開始する。
【0054】
ステップS102では、HT端末100は、印字する帳票の内容の入力指示を受け付ける。
【0055】
具体的には、帳票に印字する内容をHT端末100よりユーザが入力する。この処理は一般的な入力内容であるため、詳細説明は省略する。HT端末100によって印字される帳票の内容については、後述する図6において詳細に説明する。
【0056】
ここで、図7を用いて、ステップS102で、ユーザによって入力される帳票データの一例を説明する。
【0057】
図7の帳票データ700は、帳票ID701、帳票カテゴリ702、顧客名703、印字内容704、発行時刻705から構成される。
【0058】
帳票ID701は、後述するステップS108において、帳票が印字される際に、HT端末100によってユニークに採番される番号である。
【0059】
帳票カテゴリ702は、ステップS102でユーザによって入力される帳票の種類である。本実施例では、「請求書」「領収書」「検針票」の例があるが、実際はこの例に限らない。
【0060】
顧客名703は、ステップS102でユーザによって入力される、帳票を渡す顧客名である。
【0061】
印字内容704は、帳票カテゴリ702に基づいて、帳票に印字される内容である。例えば、帳票カテゴリが「請求書」であれば、印字内容には、請求品目の数量、単価、請求金額等が印字されるので、印字内容をデータとして記憶管理する。
【0062】
発行時刻705は、後述するステップS108において、HT端末100によって正常に帳票が印刷完了した時刻を示す。
【0063】
引き続き、図4のフローチャートの説明に戻る。
【0064】
ステップS103では、ステップS102で入力した内容をユーザに確認するために、帳票データと、「実行」と「キャンセル」ボタンをHT端末100の画面に表示する。
【0065】
ステップS104では、ステップS103で表示した帳票データの内容を確認したユーザが、帳票の印字処理を実行するか否かをボタン押下にて選択を行なう。
【0066】
ステップS104で「実行」ボタンが押下された場合は、ステップS105へ進み、「キャンセル」ボタンが押下された場合は後述するステップS110へ分岐する。
【0067】
ステップS105では、帳票を印字する用紙がHT端末100にセットされているか否かを判定する。
【0068】
用紙が正しくセットされている場合はステップS106へ、正しくセットされていない場合には後述するステップS110へ分岐してエラーの旨を表示する。
【0069】
ステップS106では、HT端末100で帳票を印字する用紙を押さえるリリースレバーが正しい位置にセットされているか否かを判定する。リリースレバーが正しい位置にセットされている場合はステップS107へ、正しい位置にセットされていない場合は後述するステップS110へ分岐してエラーの旨を表示する。
【0070】
ステップS107では、HT端末100は、帳票一意となる識別パターンを印字する。識別パターンは本実施例ではバーコードになっているが、この限りではない。
【0071】
ステップS108では、HT端末100は、ステップS102においてユーザによって入力された帳票データの内容を印字する。
【0072】
ステップS109では、HT端末100は、ステップS108において印字された帳票の帳票データをHT端末の外部メモリ211に記憶格納する。
ステップS110では、ユーザへのエラー表示を行い、ユーザへ通知する。
【0073】
ステップS109で帳票データを外部メモリ211へ記憶すると、HT端末100は本帳票印字処理を終了する。
【0074】
次に、図5のフローチャートおよび図10、図11および図12の画面表示例を用いて本発明の実施形態の帳票取消処理を説明する。
【0075】
まず、ステップS151では、HT端末100は、帳票取消処理を開始する。
具体的には、作業者によるHT端末100の帳票印字処理を開始するボタン(図10)の押下等の指示によって、帳票の取消処理を開始する。
【0076】
ステップS152では、ユーザが取消を実行する帳票を印字時と逆面を表としてHT端末100へ挿入することで、HT端末100は、自動的に識別パターンの読込みを開始する。
【0077】
ユーザによって、図10の画面で「帳票取消」のボタンを押下されると、図11の帳票読取画面が表示される。先述のように帳票用紙を印字面と逆面を表にしてHT端末100へ挿入され、読込開始の指示を受けると識別情報の読込が開始する。
【0078】
ステップS153では、HT端末100は、ステップS152で読み込んだ帳票の識別パターンの有無を判定する。識別パターンが存在する場合はステップS154へ、存在しない場合は後述するステップS162へ分岐する。
【0079】
識別パターンの有無の判定は、HT端末100に付帯しているスキャナ215によって識別パターンを読み取ることで行う。
【0080】
ステップS154では、読込まれた識別パターンをキーに、外部メモリ211に記憶格納している出力済みである帳票データから、対応する帳票データを検索する。
【0081】
具体的には、HT端末100が、帳票データベースにアクセスし、ステップS153で読み込んだ識別パターンから特定される、帳票IDをキーにして、データベース内に記憶管理されている帳票データの中から検索する。
【0082】
ステップS155では、識別パターンから特定される、帳票IDに紐付く帳票データの有無を判定する。帳票データが存在する場合はステップS156へ、存在しない場合はステップS162へ分岐する。
【0083】
ステップS156では、ステップS155で検索された帳票データと取消処理の「実行」「キャンセル」ボタンをHT端末100に表示する。(図12)
図12で表す画面で表示する帳票データの内容は、図7の「顧客名703」と「印字内容704」である。
【0084】
ステップS157では、ステップS156にて表示された帳票データをユーザが確認し、取消処理を実行するか否かの選択を受け付ける。
ユーザによって「実行」ボタンが押下された場合は、ステップS158へ、「キャンセル」ボタンが押下された場合はステップS162へ分岐する。
【0085】
ステップS158では、HT端末100に、帳票を印字する用紙がセットされているか否かを判定する。
【0086】
用紙が正しくセットされている場合はステップS159へ、正しくセットされていない場合には後述するステップS162へ分岐する。
【0087】
ステップS159では、HT端末100において、帳票を印字する用紙を押さえるリリースレバーが正しい位置にセットされているか否かを判定する。
リリースレバーが正しい位置にセットされている場合はステップS160へ、正しい位置にセットされていない場合は後述するステップS162へ分岐する。
【0088】
ステップS160では、取消印(反転イメージ)をハイパワーモードにて出力する。(図6の610)
ハイパワーモードとは2枚組の帳票を印字する際に同時出力を可能にする印字方法である。
【0089】
取消帳票を印字する際に、取消元帳票の識別パターンを認識するためにHT端末100へ帳票を挿入すると、印字面が通常HT端末100で印字する面(感熱紙の印字可能面)と裏になってしまい、通常の印字方法では感熱紙の裏面に対して熱出力するため、印字不可となる。
【0090】
そこで、帳票取消処理時は高出力の印字モードにて印字することで、従来の印字面まで熱が達し、印字が可能となる。
【0091】
この際、出力する文言が逆に印字され、反転したイメージを出力することで、本来の印字面に正しい向きで出力することが可能となる。
【0092】
ここで、取消帳票データの一例について図8を用いて説明する。
【0093】
図8は、HT端末100において取り消した帳票データの一例を表すデータテーブルである。
【0094】
取消帳票データ800は、取消帳票ID801、発行時印字内容802、発行時刻803、取消時刻804を備えている。
【0095】
取消帳票ID801は、図7の帳票ID701に対応しており、帳票IDの頭に「V」が付される。
【0096】
発行時印字内容802は、図7の印字内容704に対応している。
【0097】
発行時刻803は、図7の発行時刻705に対応している。
【0098】
取消時刻804は、帳票を取消処理終了して、ステップS160で、HT端末100で取消印を印字する時点の時刻が記憶される。
【0099】
引き続き、図5の説明に戻る。
【0100】
ステップS161では、ステップS160にて取消印を印刷した取消帳票の取消帳票データを外部メモリ211へ保存する。
【0101】
ステップS162では、ユーザへのエラー表示を行い、ユーザへ通知する。
【0102】
取消帳票データの保存が終了すると、HT端末100は、取消処理を終了する。
【0103】
また、HT端末100は、一日の 業務の終わりに、その日に印字した帳票データ700及び取消帳票データ800を帳票管理サーバ200へ送信し、帳票管理サーバは、当該帳票データ700及び取消帳票データ800を記憶管理する(不図示)。
【0104】
次に、図6を用いて、本実施形態で使用される帳票の説明をする。
【0105】
図6は、本実施例でHT端末100によって出力される帳票の一例を表す図である。
【0106】
図6の帳票600は、帳票カテゴリ601、顧客名602、印字内容604、識別パターン604で構成されている。
【0107】
帳票カテゴリ601は、例えば本図では「請求書」となっているが、「領収書」、「検針票」などでもよい。
【0108】
顧客名602は、帳票を渡す顧客名が表記されている。
【0109】
印字内容604は、各帳票の帳票カテゴリ601に対応する内容が表記される。例えば、本実施例では、帳票カテゴリ601が「請求書」となっているため、印字内容604は請求内容の内訳と請求金額が表記されている。
【0110】
識別パターン603は、本実施例ではバーコード表記されているが、この限りではなく、HT端末100の読取部で読み込めるパターンであればよい。
【0111】
帳票610は、ステップS160で、HT端末100のハイパワーモードによって印字される場合の帳票である。ステップS160で、HT端末100のハイパワーモードによって印字されると、取消印605が付されることとなる。
次に、図13を用いて、本発明の実施形態で用いるHT端末100の構成について説明する。
【0112】
HT端末100は、プリンタ部213にスキャナ215、ローラー217、熱転写版218を備えている。
【0113】
帳票の印字時は、スキャナ215側(HT端末100の下部)から帳票(感熱紙216)を挿入し、感熱紙216は、ローラー217の回転(本図では時計回り)によって搬送され、熱転写版218と感熱紙216が接触すると印字面が加熱されて印字され、HT端末100の上部より排紙される。
【0114】
帳票の読取時は、スキャナ215側(HT端末100の下部)から帳票(感熱紙216)を挿入し、感熱紙216は、ローラー217の回転によって搬送され、スキャナ215で図6の識別パターン603の読取を行う。
【0115】
読取が完了し、取消す帳票のデータが確認されると、ローラー217の回転(本図では時計回り)によって感熱紙216が搬送され、先述の印字面の裏面が熱転写版と接触すると高出力で加熱されて取消印605が印字され、HT端末100の上部より排紙される。
【0116】
本構成により、HT端末100が印字した識別パターン603をスキャナが読取った後、排紙をしながら取消印605を印字することが可能になる。
【0117】
以上説明したように、本実施形態によれば、HT端末から出力する帳票を用いた金銭受け渡しを伴う業務において、作業者の不正を現場で防ぐ事が出来る。また、本実施形態によれば、管理者の不正確認作業が不要となることによる業務効率の改善が期待される。
【0118】
また、本実施形態によれば、印字面とスキャン面が異なる機器において、取消元帳票がHT端末100にセットされていることを検知した上で帳票を取消すことが可能となる。これは感熱紙のような印字面が片面のみである帳票に対し、印字面ではない面から印字内容を反転したイメージを高出力印字することで、印字面に熱を到達させることで可能となり、元帳票Aと取消帳票A’は同一帳票の1枚であるため、紙の節約によるコストダウンが可能となる。
【0119】
以上、実施形態例を詳述したが、本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラムもしくは記憶媒体等としての実施態様をとることが可能であり、具体的には、複数の機器から構成されるシステムに適用しても良いし、また、一つの機器からなる装置に適用しても良く、本実施例に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0120】
100 HT端末
200 帳票管理サーバ
216 感熱紙
217 ローラー
218 熱転写版
300 ネットワーク
600 帳票
601 帳票カテゴリ
602 顧客名
603 識別パターン
604 印字内容
700 帳票データテーブル
701 帳票ID
702 帳票カテゴリ
703 顧客名
704 印字内容
705 発行時刻
800 取消帳票データテーブル
801 取消帳票ID
802 発行時印字内容
803 発行時刻
804 取消時刻
900 顧客リストデータテーブル
901 訪問予定日
902 訪問カテゴリ
903 顧客名

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザによる入力指示を受付可能であり、帳票を印字し、印字した帳票の印刷履歴を記憶管理可能であり、印字した帳票に付される識別情報を読取可能な読取部を備える携帯印刷装置において、
ユーザの指示によって印字をする帳票に識別情報を付加する識別情報付加手段と、
前記識別情報付加手段によって前記帳票に付加された識別情報を再給紙された前記帳票から読み取る識別情報読取手段と、
前記識別情報読取手段によって読み取った識別情報に対応する帳票の印刷履歴があるかを判定する判定手段と、
前記判定手段によって前記帳票の印刷履歴があると判定され、かつ、取り消し印字を行う場合に、前記識別情報読取手段で読み取られている帳票に取消印を印字する取消印印字手段とを備えることを特徴とする携帯印刷装置。
【請求項2】
前記取消印印字手段は、前記帳票を印字する印字用紙の裏面に前記取消印を印字することを特徴とする請求項1に記載の携帯印刷装置。
【請求項3】
前記取消印の印字は、帳票印字時より高温出力で印字をすることを特徴とする請求項1または2に記載の携帯印刷装置。
【請求項4】
前記取消印印字手段は、前記識別情報読取手段で前記帳票を読み取ると、排紙をする際にバックフィードで排紙をしながら取消印を印字することを特徴とする請求項1乃至3に記載のいずれか1項に携帯印刷装置。
【請求項5】
前記取消印印字手段によって前記帳票に取消印が印字されると、
前記携帯印刷装置は、前記取消印を印字した帳票の印刷履歴に印刷取消履歴を示すデータを附することを特徴とする請求項1乃至4に記載のいずれか1項に携帯印刷装置。
【請求項6】
ユーザによる入力指示を受付可能であり、帳票を印字し、印字した帳票に付される識別情報を読取可能な読取部を備える携帯印刷装置を制御する制御方法であって、
携帯印刷装置の識別情報付加手段が、ユーザの指示によって印字をする帳票に識別情報を付加する識別情報付加ステップと、
携帯印刷装置の識別情報読取手段が、前記識別情報付加ステップによって前記帳票に付加された識別情報を再給紙された前記帳票から読み取る識別情報読取ステップと、
携帯印刷装置の判定手段が、前記識別情報読取ステップによって読み取った識別情報に対応する帳票の印刷履歴があるかを判定する判定ステップと、
携帯印刷装置の取消印印字手段が、前記判定ステップによって前記帳票の印刷履歴があると判定され、かつ、取り消し印字を行う場合に、前記識別情報読取手段で読み取られている帳票に取消印を印字する取消印印字ステップとを備えることを特徴とする制御方法。
【請求項7】
ユーザによる入力指示を受付可能であり、帳票を印字し、印字した帳票の印刷履歴を記憶管理可能であり、印字した帳票に付される識別情報を読取可能な読取部を備える携帯印刷装置において実行されるプログラムであって、
ユーザの指示によって印字をする帳票に識別情報を付加する識別情報付加手段と、
前記識別情報付加手段によって前記帳票に付加された識別情報を再給紙された前記帳票から読み取る識別情報読取手段と、
前記識別情報読取手段によって読み取った識別情報に対応する帳票の印刷履歴があるかを判定する判定手段と、
前記判定手段によって前記帳票の印刷履歴があると判定され、かつ、取り消し印字を行う場合に、前記識別情報読取手段で読み取られている帳票に取消印を印字する取消印印字手段として前記携帯印刷装置を機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項8】
ユーザによる入力指示を受付可能であり、帳票を印字し、印字した帳票に付される識別情報を読取可能な読取部を備える携帯印刷装置と、印字した帳票の帳票データを記憶管理可能なサーバとが相互に接続可能な携帯印刷システムであって、
前記携帯印刷装置は、
ユーザの指示によって印字をする帳票に識別情報を付加する識別情報付加手段と、
前記識別情報付加手段によって前記帳票に付加された識別情報を読み取る識別情報読取手段とを備え、
前記サーバは、
前記識別情報読取手段によって読み取った識別情報に対応する帳票の印刷履歴があるかを判定する判定手段と、
前記判定手段によって前記帳票の印刷履歴があると判定された場合に、前記携帯印刷装置に前記帳票の印刷履歴を送信する印刷履歴送信手段とを備え、
前記携帯印刷装置は、
前記印刷履歴送信手段によって送信された印刷履歴に対応する前記帳票に取消印を印字する取消印印字手段とを備えることを特徴とする携帯印刷システム。
【請求項9】
ユーザによる入力指示を受付可能であり、帳票を印字し、印字した帳票に付される識別情報を読取可能な読取部を備える携帯印刷装置と、印字した帳票の帳票データを記憶管理可能なサーバとが相互に接続可能な携帯印刷システムにおける制御方法であって、
前記携帯印刷装置において、
前記携帯印刷装置の識別情報付加手段が、ユーザの指示によって印字をする帳票に識別情報を付加する識別情報付加ステップと、
前記携帯印刷装置の識別情報読取手段が、前記識別情報付加ステップによって前記帳票に付加された識別情報を読み取る識別情報読取ステップとを備え、
前記サーバにおいて、
前記サーバの判定手段が、前記識別情報読取ステップによって読み取った識別情報に対応する帳票の印刷履歴があるかを判定する判定ステップと、
前記サーバの印刷履歴送信手段が、前記判定ステップによって前記帳票の印刷履歴があると判定された場合に、前記携帯印刷装置に前記帳票の印刷履歴を送信する印刷履歴送信ステップとを備え、
前記携帯印刷装置において、
前記携帯印刷装置の取消印印字手段が、前記印刷履歴送信ステップによって送信された印刷履歴に対応する前記帳票に取消印を印字する取消印印字ステップとを更に備えることを特徴とする制御方法。
【請求項10】
ユーザによる入力指示を受付可能であり、帳票を印字し、印字した帳票に付される識別情報を読取可能な読取部を備える携帯印刷装置と、印字した帳票の帳票データを記憶管理可能なサーバとが相互に接続可能な携帯印刷システムにおいて実行されるプログラムであって、
ユーザの指示によって印字をする帳票に識別情報を付加する識別情報付加手段と、
前記識別情報付加手段によって前記帳票に付加された識別情報を読み取る識別情報読取手段として前記携帯印刷装置を機能させ、
前記識別情報読取手段によって読み取った識別情報に対応する帳票の印刷履歴があるかを判定する判定手段と、
前記判定手段によって前記帳票の印刷履歴があると判定された場合に、前記携帯印刷装置に前記帳票の印刷履歴を送信する印刷履歴送信手段として前記サーバを機能させ、
前記印刷履歴送信手段によって送信された印刷履歴に対応する前記帳票に取消印を印字する取消印印字手段として前記携帯印刷装置を機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−267236(P2010−267236A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−133499(P2009−133499)
【出願日】平成21年5月12日(2009.5.12)
【出願人】(592135203)キヤノンITソリューションズ株式会社 (528)
【Fターム(参考)】