説明

携帯型ヘアードライヤ

【課題】 省スペース設計で持ち運びが容易な使い勝手のよい携帯型ヘアードライヤを提供する。
【解決手段】 本発明の携帯型ヘアードライヤ1は、前後方向に長い円形筒状をなしており、後端部近傍が拡径された外ケース10を備える携帯型ヘアードライヤ1であって、
前記携帯型ヘアードライヤ1は、前記外ケース10内の前端側から順に混合・着火部11、送風部12及び点火部13を備えており、送風部12と点火部13の間に位置する前記外ケース10の側部周縁に吸気口16が形成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コードレスの携帯型ヘアードライヤに係り、詳しくは熱源としてガスを使用する、デザイン性に優れかつ持運びが容易な携帯型ヘアードライヤに関する。
【背景技術】
【0002】
ヘアードライヤの熱源として、電気ヒータに代えて、ボンベに充填したブタンガス等の液化石油ガスのガス燃焼を利用したヘアードライヤが開発され、既に市販されている。ガス燃焼を利用したヘアードライヤは、電気ヒータを用いたものに比べて、外部電源への接続が不要となり、したがってコードレスとなることから電源が入手できないところでも使用できるため、使用場所が制限されないことから広く使用されるようになってきている。
【0003】
図4は、下記特許文献1に記載された携帯用ヘアードライヤの構成を示す断面図である。
【0004】
このヘアードライヤ101の本体102のハウジングは、耐熱性の成型品により構成されたL字型をしている。本体102のハンドル内部には、燃料ガスを収納するガスボンベ103と蓄電池128と回転制御及び充電用電気回路129とガスボンベ103からの燃料ガス供給量を制御する制御部112が収納されている。本体102の温風発生部には、ガスボンベ103からのガス供給路の出口に位置するノズル104と、ノズル104の後方から温風吹き出し口105に向けて空気を供給する送風部106と、この送風部106によって送風される空気と燃料ガスをあらかじめ混合して混合気体を作る予混合部107と、この予混合部107によって混合された混合気体を所定の温度まで加熱する予熱部108と、この予熱部108で加熱された混合気体に点火する着火部109とこの混合気体を触媒燃焼させる触媒燃焼部110と、この触媒燃焼部110での温度変化を検知する検知部111とこの検知部111での検知に応じて前記ノズル104の弁部の開閉を制御してガスボンベ103からの燃料ガス供給量を制御する制御部112とが設けられている。
【0005】
また、図示はしないが、下記特許文献2に記載された携帯用ヘアードライヤにおいては、ガスボンベをL字型本体のハンドル内部ではなく、温風発生部の下に平行に取り付けたものが示されている。
【0006】
一方、下記特許文献3には、図5に示すように、本体ケース201は、前後方向に細長い円筒形状に形成され、その前端に吹出口202を、その後端に吹込口203およびコード204の引出部(図示省略)をそれぞれ形成し、また本体ケース201の内部には発熱装置205と送風装置206とを前後に並べて収納しており、吹出口202にはブラシ等のアタッチメント207が着脱可能に取り付けられたヘアードライヤ200の構成が示されている。
【特許文献1】特開平5−137612号公報(段落[0008]、図1)
【特許文献2】特開平5−137613号公報(段落[0008]、図1)
【特許文献3】実開平5−74405号公報(段落[0007]、[0008]、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1及び特許文献2の携帯用ヘアードライヤにおいては、ハウジングがガスボンベからノズルまでの配管のために固定されたL字型の外形をなしているため大型になりかさばって携帯に不便であることや、またかさばるためにバッグに無理に押し込むとバッグが破損するおそれもある。またその操作においては、ハンドルを握って温風発生部の他端を頭部の所定部分に向けようとしても、ハンドルの部分の動きが温風発生部の他端では増幅されてなかなか狙いどおりにならず、取り扱いが簡単でなく、このため使い勝手がよくないという問題があった。
【0008】
一方、上記特許文献3に記載されたヘアードライヤによれば、本体ケースが前後方向に細長い円筒形状に形成され、そのほぼ全長にわたってグリップの機能を兼ねているので、比較的小型で使い勝手がよいといえるが、携帯型のガス燃焼式ヘアードライヤの場合はガスボンベの保持部や電池収納部等を備える必要があるため、このような細長い筒状体に形成しても、結局大型でかさばり使い勝手が悪くなるという問題があった。
【0009】
本願の発明者らは、前記の問題点を解決すべく種々検討を行った結果、ガスボンベの備え付け位置と吸気口の配置位置に着目し、前後方向に長い円形筒状をなしており、後端部近傍が拡径された外ケースを備える携帯型ヘアードライヤであって、前記携帯型ヘアードライヤは、前記外ケース内の前端側から順に混合・着火部、送風部及び点火部を備えており、前記送風部と前記点火部の間に位置する前記外ケースの側部周縁に、吸気口が形成されることで無駄なスペースを省略できることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0010】
すなわち本発明は、省スペース設計で持ち運びが容易な使い勝手のよい携帯型ヘアードライヤを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するために、請求項1に係る携帯型ヘアードライヤの発明は、前後方向に長い円形筒状をなしており、後端部近傍が拡径された外ケースを備える携帯型ヘアードライヤであって、前記携帯型ヘアードライヤは、前記外ケース内の前端側から順に混合・着火部、送風部及び点火部を備えており、前記送風部と前記点火部の間に位置する前記外ケースの側部周縁に吸気口が形成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1に記載の携帯型ヘアードライヤに係り、前記吸気口は、長円形状の孔からなり、前記外ケースの周縁に沿って複数個連続して形成されていることを特徴とする。
【0013】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の携帯型ヘアードライヤに係り、前記外ケースの後端開口部には、ガスボンベが着脱自在に挿着されていることを特徴とする。
【0014】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の携帯型ヘアードライヤに係り、前記外ケースの前端開口部には、ブラシアタッチメントが着脱自在に装着されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明によれば、省スペース設計で持ち運びが容易な使い勝手のよい携帯型ヘアードライヤが提供できる。すなわち、従来のヘアードライヤはL字型であるため、折りたたんだ際にも持ち手部分と温風の噴出部分との間に無駄なスペースができ、結果大型になりがちであったが、本発明ではL字型ではなく、持ち手部分と温風の噴出部分が一体となっているため、無駄なスペースができることなく、以って全体として小型化が実現できる。また、吸気口は送風口と点火部の間に位置する外ケースの側部周縁に形成されているため、さらにスペースを有効活用することで省スペース化を図ることができる。
【0016】
請求項2の発明によれば、前記吸気口は、長円形状の孔からなり、前記外ケースの周縁に沿って複数個連続して形成されているので、吸気部分の面積が広く、効率的な吸気が可能となる。
【0017】
請求項3の発明によれば、使用時にはガスボンベが外ケースの後端開口部から露出するものの、不使用時にはガスボンベを外すことができるので、省スペース化を図ることができ、持ち運びが容易になる。
【0018】
請求項4の発明によれば、ブラシアタッチメントを着脱自在に装着し得るので、使用時にヘアブラシを他方の手に持つ必要がなく、使い勝手がよくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の最良の実施形態を説明する。ただし、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための携帯型ヘアードライヤを例示するものであって、本発明をこの携帯型ヘアードライヤに特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものにも等しく適用し得るものである。
【実施例】
【0020】
図1は、本発明に係る携帯型ヘアードライヤの内部配置の概要を説明するための一実施態様を示し、図1(a)は内部構成の一部を透視した正面図、図1(b)は吐風口側から見た側面図、図1(c)は図1(a)のA−A断面図である。図2は、携帯型ヘアードライヤの内部配置の概要を説明する、内部構成の一部を透視した平面図である。図3は、携帯型ヘアードライヤの内部配置の概要を説明する断面図であり、図3(a)は図2のB−B断面図、図3(b)は図2のC−C断面図である。
【0021】
まず、本発明に係る携帯型ヘアードライヤの基本的構成を説明する。本発明に係る携帯型ヘアードライヤ1は、図1(a)及び図1(b)に示すように、外ケース10が前後方向に長い円形筒状をなし、外ケース10の内部には混合・着火部11、送風部12、点火部13、電池収納部14を備えている。
【0022】
外ケース10は耐熱性の成型品やステンレス・スチールなどにより構成され、図1(a)及び図1(b)に示すように横断面の輪郭が略楕円形である。また、外ケース10の縦断面の基本形体は前後方向に長い円筒状であるが、一端近傍が拡径されており、外ケース10の側面にはスライドつまみ18の一部が僅かに出ているだけで、全体として滑らかな形態をしている。なお、外ケース10の横断面はここでは楕円形状としたが、正円形状に形成してもよい。
【0023】
混合・着火部11は外ケース10の前部に配置され、混合・着火部11の前方で外ケース10の前端開口部には外部に熱風を吹き出す吐風口15が形成されている。送風部12は混合・着火部11の後方で外ケース10の中央部に配置されており、図2及び図3(b)に示すように点火部13と電池収納部14は並んで送風部12の後方で外ケース10の後部に配置されている。この送風部12と点火部13及び電池収納部14との間に位置する外部ケース10の側部には、外気を導入するための吸気口16が形成されている。この吸気口16は長円形状の孔16aからなり、外ケース10の周縁に沿って複数個連続して形成されている。点火部13と電池収納部14の後方で外ケース10の後端開口部には、プロパン、ブタンなどの燃料ガスを充填したガスボンベ17が着脱自在に挿着されており、点火部13と電池収納部14付近の外ケース10の側壁面には、後述の圧電ユニット(図示省略)に高電圧を発生させるためのスライドつまみ18が設けられている。
【0024】
混合・着火部11は、予熱フィン19と、支持体20と、ノズル21と、予熱部で混合気体に点火する着火手段(図示省略)と、予熱部によって加熱された混合気体を燃焼させるバーナーや燃焼部などのガス燃焼室が構成する熱源(図示省略)と、を備えている。燃焼部としては多孔質のコーディエライトやアルミナなどのセラミックスや金属板等の担体が用いられる。ノズル21はガスボンベ17からバルブ22を介したガス供給路(図示省略)の中継パイプの出口に位置している。
【0025】
送風部12は風を送るファンモータ23とファン24とにより構成される。風は吸気口16から取り入れ、ファンの24の回転により吐風口15へ空気を供給することとなる。
【0026】
点火部13は、電池収納部14に装着された電池とマイクロスイッチ(図示省略)を含むファン24の回転制御用電気回路25と、ガスボンベ17からの燃料ガス供給量を制御するバルブ22、バルブ22の開閉弁を開閉するソレノイド26、火花放電用の圧電ユニット(図示省略)及び点火プラグ(図示省略)を備えている。放電電極として用いられる圧電ユニットは、機械的な圧力を加えてスパークを発生させる圧電素子や、電子的に高電圧を生成させてスパークを発生させる電気回路組立体等を使用し得る。この圧電ユニットの周縁には、樹脂モールドを被覆させて周囲との絶縁状態を維持させることもできる。放電電極のもう一方の電極は、混合・着火部11の外周部に設けられており、圧電ユニットと電線により接続されている。なお、図1〜図3においては、ガスボンベ17、バルブ22、混合・着火部11のノズル21、の相互間の配管や電線の接続は図示を省略してある。
【0027】
次に、本発明に係る携帯型ヘアードライヤの動作を説明する。
【0028】
スライドつまみ18をスライドさせてOFF状態からON状態にすると、ファンモータ23が作動し、ファン24が回転する。また、ソレノイド26がガス供給路の開閉弁を開放して、ガスボンベ17からバルブ22を介して燃料ガスがノズル21に送られる。さらに、点火部13では圧電ユニットが圧迫され、高電圧が発生し、放電着火が行われる。
【0029】
バルブ22は、ガスボンベ17のガスが供給される混合・着火部11のノズル21につながる中継パイプの途中に位置している。バルブ22は、ソレノイド26によりその弁の開閉を制御してガスボンベ17からの燃料ガス供給量を制御する。この制御は、例えば、バルブ22の後端部に形成された制御弁の絞り口の開口面積がソレノイド26の駆動により増大することでガスの供給が増加するものである。また、中継パイプの先端に設けたノズル21は、ガスボンベ17内の気化されたガスを混合・着火部11の混合部に噴射させる。
【0030】
混合・着火部11の予熱部は燃焼を促進するために、混合気体を所定の温度にまで加熱する部分であり、燃焼部の外周を覆うとともに一端が混合部まで延設された予熱フィン19と熱源の出口を覆う通気性のある遮熱板27とで構成されている。混合され予熱したガスは、圧電ユニットの加圧放電により着火、燃焼される。
【0031】
燃焼した気体が、混合・着火部11の後方に設けられた送風部12からの送風により吐風口15から吹き出し、熱風が供給される。
【0032】
なお、本実施例では示さなかったが、吐風口15にブラシ等のアタッチメントを取り付けることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1は、本発明に係る携帯型ヘアードライヤの内部配置の概要を説明するための一実施態様を示し、図1(a)は内部構成の一部を透視した正面図、図1(b)は吐風口側から見た側面図、図1(c)は図1(a)のA−A断面図。
【図2】図2は、携帯型ヘアードライヤの内部配置の概要を説明する、内部構成の一部を透視した平面図。
【図3】図3は、携帯型ヘアードライヤの内部配置の概要を説明する断面図であり、図3(a)は図2のB−B断面図、図3(b)は図2のC−C断面図。
【図4】図4は、従来の携帯型ヘアードライヤの構成を示す断面図。
【図5】図5は、従来のヘアードライヤの構成を示す断面図。
【符号の説明】
【0034】
1 携帯型ヘアードライヤ
10 外ケース
11 混合・着火部
12 送風部
13 点火部
14 電池収納部
15 吐風口
16 吸気口
17 ガスボンベ
18 スライドつまみ
19 予熱フィン
20 支持体
21 ノズル
22 バルブ
23 ファンモータ
24 ファン
25 回転制御用電気回路
26 ソレノイド
27 遮熱板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向に長い円形筒状をなしており、後端部近傍が拡径された外ケースを備える携帯型ヘアードライヤであって、前記携帯型ヘアードライヤは、前記外ケース内の前端側から順に混合・着火部、送風部及び点火部を備えており、前記送風部と前記点火部の間に位置する前記外ケースの側部周縁に吸気口が形成されていることを特徴とする携帯型ヘアードライヤ。
【請求項2】
前記吸気口は、長円形状の孔からなり、前記外ケースの周縁に沿って複数個連続して形成されていることを特徴とする請求項1に記載の携帯型ヘアードライヤ。
【請求項3】
前記外ケースの後端開口部には、ガスボンベが着脱自在に挿着されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の携帯型ヘアードライヤ。
【請求項4】
前記外ケースの前端開口部には、ブラシアタッチメントが着脱自在に装着されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の携帯型ヘアードライヤ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−37606(P2007−37606A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−222319(P2005−222319)
【出願日】平成17年8月1日(2005.8.1)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)鳥取三洋電機株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】