説明

携帯型電子機器、携帯型電子機器の制御方法、プログラム、及び情報記憶媒体

【課題】画面に表示される文字列の少なくとも一部を選択範囲としてユーザが指定し易くなるようにすることが可能な携帯型電子機器を提供すること。
【解決手段】表示部16は文字列を含む画面を表示する。指示位置検出部34は、ユーザによって指示された画面内の位置を検出する。傾き検出部38は携帯型電子機器の傾きを検出する。選択範囲設定部42は文字列の少なくとも一部を選択範囲として設定する。開始位置設定部42Aは、指示位置検出部34によって検出されたユーザの指示位置に基づいて、選択範囲の開始位置を設定する。終了位置移動部42Bは、選択範囲の開始位置が設定された後において、傾き検出部38による検出結果に基づいて、選択範囲の終了位置を移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は携帯型電子機器、携帯型電子機器の制御方法、プログラム、及び情報記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザが指示した画面内の位置を検出する検出部を備えた携帯型電子機器が知られている。例えば、タッチパネルを備えた携帯型電子機器が知られている。従来、このような携帯型電子機器の画面に表示される文字列の少なくとも一部を選択範囲として指定するためのユーザインタフェースとしては、タッチパネルに指を接触させることによって選択範囲の開始位置及び終了位置を指定するようなユーザインタフェースが知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−205304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のようなユーザインタフェースでは、指によって文字が隠されてしまい、どの文字が選択範囲の終了位置として指定されているのかをユーザが分かり難くなってしまう場合がある。その結果、ユーザが選択範囲の終了位置として所望の文字を指定し難くなってしまう場合がある。すなわち、ユーザが選択範囲として所望の範囲を指定し難くなってしまう場合がある。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであって、画面に表示される文字列の少なくとも一部を選択範囲としてユーザが指定し易くなるようにすることが可能な携帯型電子機器、携帯型電子機器の制御方法、プログラム、及び情報記憶媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る携帯型電子機器は、携帯型電子機器であって、文字列を含む画面を表示する表示手段と、ユーザによって指示された前記画面内の位置を検出する指示位置検出手段と、前記携帯型電子機器の傾きを検出する傾き検出手段と、前記文字列の少なくとも一部を選択範囲として設定する選択範囲設定手段と、を含み、前記選択範囲設定手段は、前記指示位置検出手段によって検出された前記ユーザの指示位置に基づいて、前記選択範囲の開始位置を設定する開始位置設定手段と、前記選択範囲の前記開始位置が設定された後において、前記傾き検出手段による検出結果に基づいて、前記選択範囲の終了位置を移動させる終了位置移動手段と、を含むことを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る携帯型電子機器の制御方法は、画面を表示する表示手段と、ユーザによって指示された前記画面内の位置を検出する指示位置検出手段と、携帯型電子機器の傾きを検出する傾き検出手段と、を含む携帯型電子機器の制御方法であって、文字列を含む画面を前記表示手段に表示させるステップと、前記ユーザの指示位置に関する指示位置情報を前記指示位置検出手段から取得するステップと、前記携帯型電子機器の傾きに関する傾き情報を前記傾き検出手段から取得するステップと、前記文字列の少なくとも一部を選択範囲として設定する選択範囲設定ステップと、を含み、前記選択範囲設定ステップは、前記選択範囲の開始位置を前記指示位置情報に基づいて設定する開始位置設定ステップと、前記選択範囲の前記開始位置が設定された後において、前記選択範囲の終了位置を前記傾き情報に基づいて移動させる終了位置移動ステップと、を含むことを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係るプログラムは、画面を表示する表示手段と、ユーザによって指示された前記画面内の位置を検出する指示位置検出手段と、携帯型電子機器の傾きを検出する傾き検出手段と、を含む携帯型電子機器を、文字列を含む画面を前記表示手段に表示させる表示制御手段、前記ユーザの指示位置に関する指示位置情報を前記指示位置検出手段から取得する手段、前記携帯型電子機器の傾きに関する傾き情報を前記傾き検出手段から取得する手段、及び、前記文字列の少なくとも一部を選択範囲として設定する選択範囲設定手段、として機能させるプログラムであって、前記選択範囲設定手段は、前記選択範囲の開始位置を前記指示位置情報に基づいて設定する開始位置設定手段と、前記選択範囲の前記開始位置が設定された後において、前記選択範囲の終了位置を前記傾き情報に基づいて移動させる終了位置移動手段と、を含むことを特徴とするプログラムである。
【0009】
また、本発明に係る情報記憶媒体は、画面を表示する表示手段と、ユーザによって指示された前記画面内の位置を検出する指示位置検出手段と、携帯型電子機器の傾きを検出する傾き検出手段と、を含む携帯型電子機器を、文字列を含む画面を前記表示手段に表示させる表示制御手段、前記ユーザの指示位置に関する指示位置情報を前記指示位置検出手段から取得する手段、前記携帯型電子機器の傾きに関する傾き情報を前記傾き検出手段から取得する手段、及び、前記文字列の少なくとも一部を選択範囲として設定する選択範囲設定手段、として機能させるプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体であって、前記選択範囲設定手段は、前記選択範囲の開始位置を前記指示位置情報に基づいて設定する開始位置設定手段と、前記選択範囲の前記開始位置が設定された後において、前記選択範囲の終了位置を前記傾き情報に基づいて移動させる終了位置移動手段と、を含むことを特徴とする情報記憶媒体である。
【0010】
また、本発明の一態様では、前記終了位置移動手段は、前記傾き検出手段によって検出される前記携帯型電子機器の傾き方向に対応する方向に前記終了位置を移動させるようにしてもよい。
【0011】
また、本発明の一態様では、前記終了位置移動手段は、前記傾き検出手段によって検出される前記携帯型電子機器の傾きの大きさに基づいて、前記終了位置の移動速度を設定するようにしてもよい。
【0012】
また、本発明の一態様では、前記終了位置移動手段は、前記傾き検出手段によって検出される前記携帯型電子機器の傾きの大きさに対応する文字数ごとに前記終了位置を移動させるようにしてもよい。
【0013】
また、本発明の一態様では、前記終了位置移動手段は、前記携帯型電子機器の傾きの大きさに対応する時間間隔ごとに、前記終了位置を所定の文字数分移動させるようにしてもよい。
【0014】
また、本発明の一態様では、前記終了位置移動手段は、前記傾き検出手段によって検出される前記携帯型電子機器の傾きの状態が第1の状態から第2の状態まで変化し、該第2の状態から、前記第1の状態との差が所定範囲内である状態に戻った場合に、前記携帯型電子機器の傾きの状態が前記第1の状態から前記第2の状態へと変化し始めてから、前記第1の状態との差が前記所定範囲内である前記状態に戻るまでにかかった時間が基準時間以内であるか否かを判定する手段と、前記時間が前記基準時間以内であると判定された場合、前記第2の状態における前記携帯型電子機器の、前記第1の状態における前記携帯型電子機器に対する傾き方向に対応する方向に、前記終了位置を1文字だけ移動させる手段と、を含むようにしてもよい。
【0015】
また、本発明の一態様では、前記終了位置移動手段は、前記傾き検出手段によって検出される前記携帯型電子機器の傾きの状態が第1の状態から第2の状態まで変化し、該第2の状態から、前記第1の状態との差が所定範囲内である状態まで戻った場合に、前記携帯型電子機器の傾きの状態が前記第1の状態から前記第2の状態へと変化し始めてから、前記第1の状態との差が前記所定範囲内である前記状態に戻るまでにかかった時間が基準時間以内であるか否かを判定する手段と、前記時間が前記基準時間以内であると判定された場合、前記第2の状態における前記携帯型電子機器の、前記第1の状態における前記携帯型電子機器に対する傾き方向に対応する方向に、前記終了位置を、前記第2の状態における前記携帯型電子機器の、前記第1の状態における前記携帯型電子機器に対する傾きの大きさに対応する文字数だけ移動させる手段と、を含むようにしてもよい。
【0016】
また、本発明の一態様では、前記指示位置検出手段はタッチパネルであり、前記開始位置設定手段は、前記ユーザによって接触された前記タッチパネル上の位置に基づいて、前記開始位置を設定し、前記終了位置設定手段は、前記タッチパネルが前記ユーザによって接触された場合、前記タッチパネルへの前記ユーザの接触が解除されるまでの間、前記傾き検出手段による検出結果に基づいて、前記終了位置を移動させ、前記選択範囲設定手段は、前記タッチパネルへの前記ユーザの接触が解除された場合、前記開始位置から、前記タッチパネルへの前記ユーザの接触が解除された時点における前記終了位置までの範囲を前記選択範囲として確定するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、画面に表示される文字列の少なくとも一部を選択範囲としてユーザが指定し易くなるようにすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係る携帯型電子機器のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る携帯型電子機器の外観の一例を示す図である。
【図3】表示部に表示される画面の一例を示す図である。
【図4】文字列の少なくとも一部を選択するための操作について説明するための図である。
【図5】文字列の少なくとも一部を選択するための操作について説明するための図である。
【図6】文字列の少なくとも一部を選択するための操作について説明するための図である。
【図7】文字列の少なくとも一部を選択するための操作について説明するための図である。
【図8】文字列の少なくとも一部を選択するための操作について説明するための図である。
【図9】本発明の実施形態に係る携帯型電子機器の機能ブロック図である。
【図10】把持状態データの一例を示す図である。
【図11】移動方向データの一例を示す図である。
【図12】移動速度データの一例を示す図である。
【図13】情報処理装置で実行される処理の一例を示すフロー図である。
【図14】情報処理装置で実行される処理の一例を示すフロー図である。
【図15】表示部に表示される画面の他の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態の例について図面に基づき詳細に説明する。
【0020】
本実施形態に係る携帯型電子機器は、例えば携帯電話機、携帯情報端末、又は携帯ゲーム機等によって実現される。図1は、本実施形態に係る携帯型電子機器10のハードウェア構成の一例を示しており、図2は、本実施形態に係る携帯型電子機器10の外観の一例を示している。
【0021】
図1に示すように、携帯型電子機器10は、制御部11、主記憶部12、補助記憶部13、姿勢検出センサ14、操作部15、表示部16、音声出力部17、及び通信部18を備えている。制御部11は例えば1又は複数のCPUを含み、補助記憶部13に記憶されたオペレーションシステム又はプログラムに従って情報処理を実行する。主記憶部12は例えばRAMであり、補助記憶部13は例えばハードディスク又はソリッドステートドライブである。
【0022】
例えば、プログラムやデータはインターネット等の通信ネットワークを介して補助記憶部13に供給される。すなわち、サーバコンピュータから通信ネットワークを介して送信されたプログラムやデータが携帯型電子機器10において受信され、補助記憶部13に記憶される。なお、携帯型電子機器10は、光ディスク(情報記憶媒体)に記憶されたプログラムやデータを読み取るための光ディスクドライブを含むようにしてもよい。そして、プログラムやデータが光ディスクを介して補助記憶部13に供給されるようにしてもよい。すなわち、プログラムやデータが記憶された光ディスクが光ディスクドライブに装着され、光ディスクに記憶されたプログラムやデータが光ディスクドライブによって読み出され、補助記憶部13に記憶されるようにしてもよい。または、光ディスク以外の情報記憶媒体(例えばメモリカード)に記憶されたプログラム又はデータを読み取るための構成要素が光ディスクドライブの代わりに含まれるようにしてもよい。そして、光ディスク以外の情報記憶媒体を介してプログラムやデータが補助記憶部13に供給されるようにしてもよい。
【0023】
姿勢検出センサ14は、携帯型電子機器10の姿勢(傾き)を検出するための一又は複数のセンサを含む。例えば、姿勢検出センサ14は加速度センサ及びジャイロセンサの少なくとも一方を含む。以下では、加速度センサ及びジャイロセンサの両方が携帯型電子機器10に内蔵されていることとして説明する。
【0024】
例えば、加速度センサは互いに直交する三つの軸方向(X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向)の加速度を検出する。図2に示すように、携帯型電子機器10は矩形形状を有しており、X軸は携帯型電子機器10の短手方向に対応し、Z軸は携帯型電子機器10の長手方向に対応している。また、Y軸は携帯型電子機器10の奥行き方向に対応している。
【0025】
また例えば、ジャイロセンサは互いに直交する三つの軸(X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向)の角速度を検出する。すなわち、ジャイロセンサは、携帯型電子機器10がX軸方向を回転軸として回転した場合の単位時間当たりの回転量を検出する。つまり、ジャイロセンサは図2に示すα方向の角速度を検出する。同様に、ジャイロセンサは、携帯型電子機器10がY軸方向を回転軸として回転した場合の単位時間当たりの回転量を検出する。つまり、ジャイロセンサは図2に示すβ方向の角速度を検出する。さらに、ジャイロセンサは、携帯型電子機器10がZ軸方向を回転軸として回転した場合の単位時間当たりの回転量を検出する。つまり、ジャイロセンサは図2に示すγ方向の角速度を検出する。
【0026】
姿勢検出センサ14の検出結果を示す情報は所定時間(例えば1/60秒)ごとに制御部11に供給される。制御部11は姿勢検出センサ14の検出結果に基づいて携帯型電子機器10の姿勢(傾き)を判断する。
【0027】
例えば、制御部11は加速度センサの検出結果に基づいて携帯型電子機器10の姿勢(傾き)を判断する。例えば、制御部11は、重力加速度がX軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向の加速度としてどのように検出されているかに基づいて、携帯型電子機器10の姿勢(傾き)を判断する。
【0028】
また例えば、制御部11はジャイロセンサの検出結果に基づいて携帯型電子機器10の姿勢(傾き)を判断する。例えば、制御部11は、ジャイロセンサによって検出された各軸の角速度を積分することによって、各軸を回転軸として携帯型電子機器10がどの程度回転したかを判断する。
【0029】
操作部15はユーザが操作を行うためのものである。本実施形態の場合、表示部16に表示される画面内の位置をユーザが指示するための指示部が操作部15として備えられる。例えば、タッチパネル等のポインティングデバイスが操作部15として備えられる。なお、以下では、表示部16の上に重ねて設けられるタッチパネルが携帯型電子機器10に備えられていることとして説明する。
【0030】
携帯型電子機器10に備えられるタッチパネルは一般的なタッチパネルであり、ユーザによって接触された位置を検出する。タッチパネルとしては、例えば静電容量方式のタッチパネルが用いられる。静電容量方式のタッチパネルでは、タッチパネルの表面がユーザによって接触された場合に生じる電荷の変化に基づいて、ユーザによって接触されている1又は複数の位置が検出される。なお、タッチパネルとしては、例えば抵抗膜方式等の他の方式のタッチパネルが用いられるようにしてもよい。
【0031】
ユーザによって接触されている位置を示す情報が所定時間(例えば1/60秒)ごとに制御部11に供給される。ユーザによって接触されている位置は例えばスクリーン座標系の座標値として表される。「スクリーン座標系」とは、画面の左上頂点を原点Oとし、右方向をXs軸正方向とし、下方向をYs軸正方向とする座標系である(後述の図3参照)。制御部11は、タッチパネルから供給される情報に基づいて、ユーザによって接触されている位置を取得する。
【0032】
表示部16は例えば液晶表示ディスプレイ等であり、音声出力部17は例えばスピーカ又はヘッドホン端子等である。
【0033】
通信部18は携帯型電子機器10が他の装置とデータ通信を行うためのものである。通信部18は制御部11からの指示に従って他の装置にデータを送信したり、他の装置から受信したデータを制御部11に供給したりする。なお、携帯型電子機器10が電話機能を有する場合、通信部18は他の装置への発呼や他の装置からの着呼も行う。
【0034】
携帯型電子機器10では各種アプリケーションプログラムが実行される。例えば、文字列を表示部16に表示するようなアプリケーションプログラムが実行される。例えば、テキストデータを参照するためのアプリケーションプログラムが実行される。図3は上記のアプリケーションプログラムが実行されている場合に表示部16に表示される画面の一例を示している。
【0035】
上記の携帯型電子機器10では、画面に表示される文字列の少なくとも一部をユーザが選択し易くなるようなユーザインタフェースが実現されている。以下、このユーザインタフェースについて説明する。
【0036】
まず、画面に表示される文字列の少なくとも一部を選択範囲として指定するためにユーザが行うべき操作について説明する。図4〜図8はこの操作について説明するための図である。なお、図5は携帯型電子機器10を上面10U側から見た場合を示しており、図7は、携帯型電子機器10を左側面10L側から見た場合を示している。
【0037】
図4に示すように、まず、ユーザはタッチパネルに指を接触させることによって選択範囲20の開始位置を指定する。携帯型電子機器10では、ユーザが接触した位置の最も近くに表示されている文字が選択範囲20の開始位置として認識される。また、この場合、選択範囲20の開始位置の次の文字が選択範囲20の終了位置として仮設定される。
【0038】
その後、ユーザは、タッチパネルに指を接触させた状態のままで携帯型電子機器10の傾きを変えることによって、選択範囲20の終了位置を所望の位置まで移動させる。例えば、選択範囲20の終了位置を右に移動させたい場合、ユーザは、例えば図5の矢印Lのように携帯型電子機器10の左側面10Lを手前に出し、右側面10Rを奥に引くようにして携帯型電子機器10を傾ける。このように携帯型電子機器10が傾けられると、例えば図6に示すように、選択範囲20の終了位置が右に移動する。なお、選択範囲20の終了位置が行の末尾(右端)に到達した場合、終了位置は次の行の先頭(左端)に移動する。
【0039】
一方、選択範囲20の終了位置を左に移動させたい場合、ユーザは、例えば図5の矢印Rのように携帯型電子機器10の右側面10Rを手前に出し、左側面10Lを奥に引くようにして携帯型電子機器10を傾ける。このように携帯型電子機器10が傾けられると、選択範囲20の終了位置は左に移動する。なお、選択範囲20の終了位置が行の先頭(左端)に到達した場合、終了位置は一つ前の行の末尾(右端)に移動する。
【0040】
また、選択範囲20の終了位置を下に移動させたい場合、ユーザは、例えば図7の矢印Fのように携帯型電子機器10を前方(手前)に傾ける。携帯型電子機器10が前方に傾けられると、例えば図8に示すように、選択範囲20の終了位置は下に移動する。
【0041】
一方、選択範囲20の終了位置を上に移動させたい場合、ユーザは、例えば図7の矢印Bのように携帯型電子機器10を後方(奥)に傾ける。携帯型電子機器10が後方に傾けられると、選択範囲20の終了位置は上に移動する。
【0042】
なお、選択範囲20の終了位置が移動する際の移動速度は、携帯型電子機器10の傾きの大きさによって変わるようになっている。傾きの大きさが大きいほど、終了位置の移動速度が速くなるようになっている。
【0043】
また、ユーザは携帯型電子機器10を一瞬だけ傾ける(すなわち、携帯型電子機器10を傾けて直ちに元の状態に戻す)ことによって、終了位置を微調整できるようになっている。すなわち、携帯型電子機器10を傾けて直ちに元の状態に戻すという操作をユーザが短時間(例えば0.5秒)以内に行うと、選択範囲20の終了位置が、携帯型電子機器10の傾き方向に対応する方向に1文字だけ移動するようになっている。例えば、携帯型電子機器10を図5の矢印Lのように傾けて直ちに元の状態に戻すという操作をユーザが短時間以内に行うと、選択範囲20の終了位置が右に1文字だけ移動するようになっている。また例えば、携帯型電子機器10を図7の矢印Fのように傾けて直ちに元の状態に戻すという操作をユーザが短時間以内に行うと、選択範囲20の終了位置が下に1文字だけ移動するようになっている。
【0044】
選択範囲20の終了位置を所望の位置まで移動させ終えた場合、ユーザはタッチパネルから指を離す。ユーザがタッチパネルから指を離すと、選択範囲20が確定される。
【0045】
なお、選択範囲20が確定されると、選択範囲20として設定された文字列部分に関する処理としてユーザが選択可能な複数種類の処理を示すメニューが表示される。例えば、「コピー」、「カット(切り取り)」、及び「削除」等の複数種類の処理を示すメニューが表示される。
【0046】
ユーザがそれらの複数種類の処理のうちのいずれかを選択すると、選択された処理が実行される。例えば、「コピー」が選択された場合、選択範囲20として設定された文字列部分がクリップボード(主記憶部12)に保存される。また例えば、「カット」が選択された場合、選択範囲20として設定された文字列部分がクリップボード(主記憶部12)に保存されるとともに、画面から消去される。また例えば、「削除」が選択された場合、選択範囲20として設定された文字列部分が画面から消去される。
【0047】
以上のように、携帯型電子機器10では、ユーザは携帯型電子機器10を傾けることによって選択範囲20の終了位置を指定できるようになっている。ユーザがタッチパネルに指を接触させることによって選択範囲20の終了位置を指示するような場合には、指によって文字が隠されてしまうことによって、どの文字が終了位置として指定されているのかをユーザが把握し難くなってしまう場合がある。これに対し、携帯型電子機器10によれば上記のような不都合が生じないようになる。
【0048】
なお、図3〜図8では、携帯型電子機器10の長手方向が縦方向となるような状態(以下「縦長状態」と呼ぶ。)でユーザが携帯型電子機器10を持っている場合について説明したが、ユーザは、携帯型電子機器10の長手方向が横方向となるような状態(以下「横長状態」と呼ぶ。)で携帯型電子機器10を持つことも可能である。なお、ユーザが携帯型電子機器10の持ち方を変えた場合、それに応じて画面の向きも変更される。
【0049】
以下、上記のようなユーザインタフェースを実現するための構成について説明する。図9は、本実施形態に係る携帯型電子機器10において実現される機能ブロックのうち、本発明に関連する機能ブロックを示す機能ブロック図である。図9に示すように、携帯型電子機器10は、記憶部30、表示制御部32、指示位置検出部34、指示位置情報取得部36、傾き検出部38、傾き情報取得部40、選択範囲設定部42、及び処理実行部44を含んでいる。
【0050】
例えば、記憶部30は主記憶部12及び補助記憶部13である。また例えば、指示位置検出部34は、ユーザが画面内の位置を指示するための指示部(タッチパネル)であり、傾き検出部38は姿勢検出センサ14である。その他の機能ブロックは制御部11によって実現される。すなわち、制御部11がプログラムに従って処理を実行することによって、制御部11が該他の機能ブロックとして機能するようになる。
【0051】
まず、記憶部30について説明する。記憶部30には各種データが記憶される。例えば、表示部16に表示するためのテキストデータが記憶部30に記憶される。また例えば、選択範囲20の設定操作が行われている場合(すなわち、例えば図4,6,8に示すような画面が表示されている場合)には、選択範囲20の開始位置及び終了位置を示すデータが記憶部30に記憶される。
【0052】
また、例えば図10に示すような把持状態データが記憶部30に記憶される。図10に示す把持状態データは、ユーザが携帯型電子機器10を縦長状態又は横長状態のいずれの状態で持っているのかを示すデータである。例えば、把持状態データは「0」又は「1」の値をとる。値「0」は、ユーザが携帯型電子機器10を縦長状態で持っていることを示す。値「1」は、ユーザが携帯型電子機器10を横長状態で持っていることを示す。なお例えば、把持状態データはオペレーティングシステムによって姿勢検出センサ14の検出結果に基づいて更新される。
【0053】
表示制御部32について説明する。表示制御部32は文字列を含む画面を表示部16に表示させる。
【0054】
指示位置検出部34及び指示位置情報取得部36について説明する。指示位置検出部34は、ユーザによって指示された画面内の位置を検出する。上述したように、本実施形態の場合、タッチパネルが指示位置検出部34に相当しており、指示位置検出部34は、ユーザによって接触されたタッチパネル上の位置を検出する。指示位置情報取得部36は、ユーザによって指示された画面内の位置に関する指示位置情報を指示位置検出部34から取得する。
【0055】
傾き検出部38及び傾き情報取得部40について説明する。傾き検出部38は携帯型電子機器10の傾きを検出する。上述したように、本実施形態の場合、姿勢検出センサ14が傾き検出部38に相当している。傾き情報取得部40は、携帯型電子機器10の傾きに関する傾き情報を傾き検出部38から取得する。
【0056】
選択範囲設定部42について説明する。選択範囲設定部42は、画面に表示される文字列の少なくとも一部を選択範囲20として設定する。選択範囲設定部42は開始位置設定部42A及び終了位置移動部42Bを含んでいる。
【0057】
開始位置設定部42Aは、指示位置検出部34によって検出されたユーザの指示位置に基づいて、選択範囲20の開始位置を設定する。本実施形態の場合、開始位置設定部42Aは、ユーザによって接触されたタッチパネル上の位置に基づいて、開始位置を設定する。
【0058】
終了位置移動部42Bは、選択範囲20の開始位置が設定された後において、傾き検出部38による検出結果に基づいて、選択範囲20の終了位置を移動させる。本実施形態の場合、終了位置移動部42Bは、タッチパネルがユーザによって接触された場合、タッチパネルへのユーザの接触が解除されるまでの間、傾き検出部38による検出結果に基づいて、終了位置を移動させる。
【0059】
下記に説明するように、終了位置移動部42Bは携帯型電子機器10の傾き方向及び傾きの大きさに基づいて終了位置を移動させる。
【0060】
ここで、「携帯型電子機器10の傾き方向」とは、携帯型電子機器10の現在の姿勢の、携帯型電子機器10の基準姿勢に対する傾き方向のことを意味している。すなわち、「携帯型電子機器10の傾き方向」とは、携帯型電子機器10の現在の姿勢が基準姿勢からどちらの方向に傾いているのかを意味している。
【0061】
また、「携帯型電子機器10の傾きの大きさ」とは、携帯型電子機器10の現在の姿勢の、携帯型電子機器10の基準姿勢に対する傾きの大きさのことを意味している。すなわち、「携帯型電子機器10の傾きの大きさ」とは、携帯型電子機器10の現在の姿勢が基準姿勢からどの程度傾いているのかを意味している。
【0062】
なお、「基準姿勢」とは、例えば、ある時点(基準時点)における携帯型電子機器10の姿勢のことを意味している。また、「基準時点」とは、例えば、タッチパネルがユーザによって接触された時点、又は、選択範囲20の開始位置が設定された時点である。なお、「基準時点」とは、携帯型電子機器10が起動された時点であってもよいし、アプリケーションプログラムが起動された時点であってもよい。または、携帯型電子機器10の姿勢が所定期間にわたって維持された場合には、その時点における姿勢が「基準姿勢」として設定されるようにしてもよい。なお、この場合、携帯型電子機器10の姿勢(傾き)の変化が所定の範囲内である状態が所定期間にわたって継続されたら、携帯型電子機器10の姿勢が所定期間にわたって維持されたとみなすようにすればよい。
【0063】
例えば、終了位置移動部42Bは、傾き検出部38によって検出される携帯型電子機器10の傾き方向に対応する方向に終了位置を移動させる。
【0064】
携帯型電子機器10の傾き方向に対応する方向に選択範囲20の終了位置を移動させるためには、携帯型電子機器10の傾き方向と、終了位置の移動方向情報と、の対応関係に関する情報が必要となる。以下、この対応関係を示すデータのことを「移動方向データ」と呼ぶ。
【0065】
図11は移動方向データの一例を示している。図11に示す移動方向データでは、携帯型電子機器10の把持状態(縦長状態又は横長状態)の各々について、携帯型電子機器10の傾き方向と、終了位置の移動方向と、の対応関係が定義されている。
【0066】
図11に示す移動方向データでは、携帯型電子機器10の把持状態が縦長状態である場合(図2,5,7の場合)のα方向(図7における矢印F,B)の傾きが終了位置の上下移動に対応づけられている。ここで、X軸を回転軸とした時計回り方向への回転(傾き)のことを「正方向への傾き」と呼び、X軸を回転軸とした反時計回り方向への回転(傾き)のことを「負方向への傾き」と呼ぶとすると、α方向の負方向(図7における矢印B)への傾きは終了位置の上方向移動に対応づけられ、α方向の正方向(図7における矢印F)への傾きは終了位置の下方向移動に対応づけられる。
【0067】
また、図11に示す移動方向データでは、携帯型電子機器10の把持状態が横長状態である場合のγ方向の傾きが終了位置の上下移動に対応づけられている。ここで、Z軸を回転軸とした時計回り方向への回転(傾き)のことを「正方向への傾き」と呼び、Z軸を回転軸とした反時計回り方向への回転(傾き)のことを「負方向への傾き」と呼ぶとすると、γ方向の負方向への傾きは終了位置の上方向移動に対応づけられ、γ方向の正方向への傾きは終了位置の下方向移動に対応づけられる。
【0068】
さらに、図11に示す移動方向データでは、携帯型電子機器10の把持状態が縦長状態である場合(図2,5,7の場合)のγ方向の傾きが終了位置の左右移動に対応づけられている。ここで、Z軸を回転軸とした時計回り方向への回転(傾き)のことを「正方向への傾き」と呼び、Z軸を回転軸とした反時計回り方向への回転(傾き)のことを「負方向への傾き」と呼ぶとすると、γ方向の負方向(図5における矢印L)への傾きは終了位置の右方向移動に対応づけられ、γ方向の正方向(図5における矢印R)への傾きは終了位置の左方向移動に対応づけられる。
【0069】
また、図11に示す移動方向データでは、携帯型電子機器10の把持状態が横長状態である場合のα方向の傾きが終了位置の左右移動に対応づけられている。ここで、X軸を回転軸とした時計回り方向への回転(傾き)のことを「正方向への傾き」と呼び、X軸を回転軸とした反時計回り方向への回転(傾き)のことを「負方向への傾き」と呼ぶとすると、α方向の負方向への傾きは終了位置の右方向移動に対応づけられ、α方向の正方向への傾きは終了位置の左方向移動に対応づけられる。
【0070】
なお、携帯型電子機器10の傾き方向と、終了位置の移動方向と、の対応関係は図11に示した例に限られない。例えば、β方向の傾きが終了位置の左右移動に対応づけられるようにしてもよい。
【0071】
終了位置移動部42Bは、携帯型電子機器10の傾き方向に対応する移動方向を図11に示す移動方向データに基づいて取得する。そして、終了位置移動部42Bはその移動方向に終了位置を移動させる。
【0072】
また例えば、終了位置移動部42Bは、傾き検出部38によって検出される携帯型電子機器10の傾きの大きさ(程度)に基づいて、終了位置の移動速度を設定する。
【0073】
例えば、終了位置移動部42Bは、傾き検出部38によって検出される携帯型電子機器10の傾きの大きさに対応する文字数ごとに終了位置を移動させる。すなわち、終了位置移動部42Bは、所定の時間間隔ごとに終了位置を所与の文字数分移動させるようになっており、終了位置移動部42Bは、上記の「文字数」を携帯型電子機器10の傾きの大きさに基づいて変化させる。このようにして、終了位置移動部42Bは携帯型電子機器10の傾きの大きさに基づいて終了位置の移動速度を変化させる。
【0074】
または、終了位置移動部42Bは、携帯型電子機器10の傾きの大きさに対応する時間間隔ごとに、終了位置を所定の文字数分移動させるようにしてもよい。すなわち、終了位置移動部42Bは、所与の時間間隔ごとに終了位置を所定の文字数(例えば1文字)分移動させるようにし、終了位置移動部42Bは、上記の「時間間隔」を携帯型電子機器10の傾きの大きさに基づいて変化させるようにしてもよい。このようにして、終了位置移動部42Bは携帯型電子機器10の傾きの大きさに基づいて終了位置の移動速度を変化させるようにしてもよい。
【0075】
なお、携帯型電子機器10の傾きの大きさに基づいて終了位置の移動速度を設定するためには、携帯型電子機器10の傾きの大きさと、終了位置の移動速度と、の対応関係に関する情報が必要となる。以下、この対応関係を示すデータのことを「移動速度データ」と呼ぶ。
【0076】
図12は移動速度データの一例を示している。図12に示す移動速度データでは、携帯型電子機器10の傾きの大きさと、終了位置の移動速度情報と、が対応づけられている。移動速度データは、携帯型電子機器10の傾きの大きさが大きいほど、終了位置の移動速度が速くなるように設定される。
【0077】
なお、図12における「θ」は、携帯型電子機器10の現在の姿勢が基準姿勢からどの程度傾いているかを示している。すなわち、基準姿勢に対する携帯型電子機器10の傾きの大きさを示している。
【0078】
また、図12における「移動速度情報」は下記に説明するように設定される。例えば、終了位置が所定の時間間隔ごとに所与の文字数分移動するようになっている場合、上記の「文字数」を示す情報が「移動速度情報」として設定される。この場合、携帯型電子機器10の傾きの大きさが大きいほど、上記の「文字数」が多くなるように設定される。また例えば、終了位置が所与の時間間隔ごとに所定の文字数分移動するようになっている場合、上記の「時間間隔」を示す情報が「移動速度情報」として設定される。この場合、携帯型電子機器10の傾きの大きさが大きいほど、上記の「時間間隔」が短くなるように設定される。
【0079】
また、終了位置移動部42Bは、ユーザが携帯型電子機器10を傾けて直ちに元の状態に戻した場合に、携帯型電子機器10の傾き方向に対応する方向に選択範囲20の終了位置を1文字分だけ移動する。
【0080】
すなわち、傾き検出部38によって検出される携帯型電子機器10の傾きの状態が第1の状態(基準姿勢)から第2の状態まで変化し、該第2の状態から、第1の状態との差が所定範囲内である状態に戻った場合に、終了位置移動部42Bは、携帯型電子機器10の傾きの状態が第1の状態から第2の状態へと変化し始めてから、第1の状態との差が所定範囲内である状態に戻るまでにかかった時間が基準時間以内であるか否かを判定する。そして、上記時間が基準時間以内であると判定された場合、終了位置移動部42Bは、第2の状態における携帯型電子機器10の傾き方向に対応する方向に終了位置を1文字分だけ移動させる。
【0081】
なお、ユーザが携帯型電子機器10を同じ姿勢で持ち続けることは困難であり、ユーザが携帯型電子機器10を傾けることを意図していないにも関わらず、携帯型電子機器10の傾きが少し変化してしまう場合がある。このような場合に終了位置が移動してしまうのは好ましくない。したがって、ユーザが終了位置を微調整することを意図している場合にのみ終了位置が1文字移動するようにするべく、「第2の状態」は、第1の状態との差が比較的大きい状態に限定される。例えば、「第2の状態」とは、第1の状態である携帯型電子機器10に対する、第2の状態である携帯型電子機器10の傾きの大きさが基準値よりも大きいような状態とされる。
【0082】
また、「第1の状態との差が所定範囲内である状態」とは、第1の状態とみなすことができるような状態である。携帯型電子機器10の傾きの状態を第1の状態から第2の状態に変化させた後に、携帯型電子機器10の傾きの状態を第1の状態と全く同じ状態に戻すことはユーザにとって困難である。このため、携帯型電子機器10では、携帯型電子機器10の傾きの状態が第1の状態から第2の状態に変化した後に、携帯型電子機器10の傾きの状態が「第1の状態との差が所定範囲内である状態」に戻った場合に、携帯型電子機器10の傾きの状態が第1の状態に戻ったとみなすようになっている。
【0083】
また、「基準時間」とは、携帯型電子機器10の傾きの状態が第1の状態から第2の状態へと変化し始めてから、第1の状態との差が所定範囲内である状態に戻るまでにかかった時間が短いか否かを判定するために設定される時間である。このため、「基準時間」は比較的短い時間(例えば0.5秒)に設定される。
【0084】
なお、「第2の状態における携帯型電子機器10の傾き方向に対応する方向」とは、第2の状態における携帯型電子機器10の、第1の状態における携帯型電子機器10に対する傾き方向のことを意味している。すなわち、「第2の状態における携帯型電子機器10の傾き方向に対応する方向」とは、第2の状態における携帯型電子機器10が、第1の状態における携帯型電子機器10に対してどの方向に傾いているのかを意味している。第2の状態における携帯型電子機器10の傾き方向に対応する移動方向は移動方向データ(図11)に基づいて取得される。
【0085】
選択範囲設定部42は、タッチパネルへのユーザの接触が解除された場合、開始位置設定部42Aによって設定された開始位置から、タッチパネルへのユーザの接触が解除された時点における終了位置までの範囲を選択範囲として確定する。
【0086】
処理実行部44について説明する。文字列の少なくとも一部が選択範囲として設定された場合、処理実行部44は該文字列の少なくとも一部に関する処理を実行する。
【0087】
「文字列の少なくとも一部に関する処理」とは、例えば、文字列の少なくとも一部を区別する処理であり、具体的には、文字列の少なくとも一部の表示態様(例えば文字色又は/及び背景色等)を他の部分と異ならせる処理である。また例えば、「文字列の少なくとも一部に関する処理」とは、例えば、文字列の少なくとも一部をコピー、カット、又は削除する処理である。すなわち、「文字列の少なくとも一部に関する処理」とは、例えば、文字列の少なくとも一部をクリップボード(主記憶部12)に保存する処理である。または、「文字列の少なくとも一部に関する処理」とは、例えば、文字列の少なくとも一部をクリップボード(主記憶部12)に保存するとともに、画面から消す処理である。あるいは、「文字列の少なくとも一部に関する処理」とは、例えば、文字列の少なくとも一部を画面から消す処理である。
【0088】
次に、上記に説明した機能ブロックを実現するために携帯型電子機器10で実行される処理について説明する。図13は、例えば図3に示すような画面が表示されている場合に携帯型電子機器10で実行される処理の一例を示すフロー図である。制御部11が図13に示す処理をプログラムに従って実行することによって、制御部11が、指示位置情報取得部36、傾き情報取得部40、選択範囲設定部42、及び処理実行部44として機能するようになる。
【0089】
図13に示すように、まず、制御部11はタッチパネルがユーザによって接触されたか否かを判定する(S101)。タッチパネルがユーザによって接触されたと判定されなかった場合、制御部11は、タッチパネルがユーザによって接触されたか否かの監視を続行する。一方、タッチパネルがユーザによって接触されたと判定された場合、制御部11は携帯型電子機器10の現在の姿勢を基準姿勢として設定する(S102)。
【0090】
また、制御部11は選択範囲20の開始位置を設定する(S103)。すなわち、制御部11(指示位置情報取得部36)はタッチパネルから供給される指示位置情報を取得する。そして、制御部11(開始位置設定部42A)は、ユーザの指示位置(接触位置)の最も近くに表示されている文字を選択範囲20の開始位置として設定する。
【0091】
また、制御部11は選択範囲20の終了位置を初期設定する(S104)。例えば、制御部11は、ステップS103で開始位置として設定された文字の次の文字を終了位置として初期設定する。
【0092】
その後、制御部11(終了位置移動部42B)は選択範囲20の終了位置を移動させる(S105)。
【0093】
例えば、制御部11は、携帯型電子機器10の姿勢が基準姿勢から変化したか否かを判定する。すなわち、制御部11は、携帯型電子機器10が基準姿勢から傾けられたか否かを判定する。なお、例えば、制御部11は、ジャイロセンサの検出結果に基づいて、携帯型電子機器10の現在の姿勢が基準姿勢に対していずれの方向にどれだけ傾いているのかを判断する。携帯型電子機器10の現在の姿勢が基準姿勢に対していずれの方向にどれだけ傾いているのかをジャイロセンサの検出結果に基づいて判断する方法としては公知の方法を用いるようにすればよい。
【0094】
基準姿勢からの傾きの大きさが基準値(以下「第1基準値」と呼ぶ。)よりも大きくなった場合にのみ、制御部11は携帯型電子機器10の姿勢が基準姿勢から変化したと判定する。すなわち、基準姿勢からの傾きの大きさが第1基準値よりも大きくなっていない場合には、制御部11は携帯型電子機器10の姿勢が基準姿勢から変化していないと判定する。ユーザが携帯型電子機器10を同じ姿勢で持ち続けることは困難であり、ユーザが携帯型電子機器10を傾ける意思を有していない場合であっても、携帯型電子機器10の姿勢が変化してしまう場合がある。そこで、携帯型電子機器10を傾ける意図(言い換えれば、終了位置を移動させる意図)をユーザが有している場合に限って、携帯型電子機器10の姿勢が基準姿勢から変化したと判定するようにするべく、上記のようにして、携帯型電子機器10の姿勢が基準姿勢から変化したか否かの判定を行うようにしている。
【0095】
携帯型電子機器10の姿勢が基準姿勢から変化したと判定された場合、制御部11は、選択範囲20の終了位置を移動させるための処理として、例えば図14に示すような処理を実行する。
【0096】
すなわち、まず、制御部11は携帯型電子機器10の姿勢が基準姿勢に戻ったか否かを判定する(S201)。
【0097】
例えば、携帯型電子機器10では、所定時間ごとに取得されるジャイロセンサの検出結果が主記憶部12(又は補助記憶部13)に保存される。そして、制御部11は、軸ごとに角速度を積分することによって、携帯型電子機器10の現在の姿勢が基準姿勢に対して各方向(α方向、β方向、及びγ方向)にどれだけ傾いているのかを判断する。
【0098】
なお、携帯型電子機器10の現在の姿勢が、基準姿勢との差が所定範囲内である姿勢に戻った場合、制御部11は携帯型電子機器10の姿勢が基準姿勢に戻ったとみなす。言い換えれば、携帯型電子機器10の現在の姿勢が、基準姿勢からの傾きの大きさが基準値(以下「第2基準値」と呼ぶ。)以下である姿勢に戻った場合に、制御部11は携帯型電子機器10の姿勢が基準姿勢に戻ったとみなす。携帯型電子機器10の姿勢を基準姿勢と完全に同じ姿勢に戻すことはユーザにとって困難であるため、このような判定を行うようにしている。なお、この場合の第2基準値は上述の第1基準値よりも小さい値に設定される。
【0099】
ステップS201において、携帯型電子機器10の姿勢が基準姿勢に戻ったと判定されなかった場合、制御部11は、携帯型電子機器10の姿勢が基準姿勢から変化したと判定されてからの経過時間が基準時間(例えば0.5秒)以内であるか否かを判定する(S202)。上記の経過時間が基準時間以内であると判定された場合、制御部11はステップS201の処理を再実行する。
【0100】
一方、ステップS201において、携帯型電子機器10の姿勢が基準姿勢に戻ったと判定された場合とは、ユーザが携帯型電子機器10の姿勢を比較的短い時間(例えば0.5秒以内の時間)だけ傾けたような場合である。
【0101】
この場合、制御部11は選択範囲20の終了位置の移動方向情報を取得する(S206)。例えば、制御部11は、基準姿勢から傾きの大きさが最も大きくなった時点における携帯型電子機器10の姿勢が基準姿勢から各方向(α方向、β方向、及びγ方向)にどれだけ傾いていたのかを判断する。そして、制御部11はその判断結果に対応する終了位置の移動方向情報を把持状態データ(図10)及び移動方向データ(図11)に基づいて取得する。その後、制御部11は選択範囲20の終了位置を、ステップS206で取得された移動方向情報が示す方向に1文字分だけ移動させる(S207)。この場合、図14に示す処理は終了する。
【0102】
一方、ステップS202において、上記の経過時間が基準時間(例えば0.5秒)以内であると判定されなかった場合とは、ユーザが携帯型電子機器10の姿勢を比較的長い時間(例えば0.5秒より長い時間)にわたって傾けているような場合である。
【0103】
この場合、制御部11は選択範囲20の終了位置の移動方向情報及び移動速度情報を取得する(S203)。例えば、制御部11は、携帯型電子機器10の現在の姿勢が基準姿勢から各方向(α方向、β方向、及びγ方向)にどれだけ傾いているのかを判断する。そして、制御部11は、その判断結果に対応する終了位置の移動方向情報を把持状態データ(図10)及び移動方向データ(図11)に基づいて取得する。また、制御部11は、その判断結果に対応する終了位置の移動速度情報を把持状態データ(図10)及び移動速度データ(図12)に基づいて取得する。そして、制御部11は、ステップS203で取得された移動方向情報及び移動速度情報に基づいて、選択範囲20の終了位置を移動させる(S204)。すなわち、制御部11は、選択範囲20の終了位置を、ステップS203で取得された移動方向情報が示す方向に、ステップS203で取得された移動速度情報が示す移動速度で移動させる。
【0104】
制御部11は、携帯型電子機器10の姿勢が基準姿勢に戻るまでの間、ステップS203及びS204の処理を繰り返し実行する。すなわち、ステップS204の処理が実行された後、制御部11は携帯型電子機器10の姿勢が基準姿勢に戻ったか否かを判定する(S205)。ステップS205の処理はステップS201と同様である。携帯型電子機器10の姿勢が基準姿勢に戻っていないと判定された場合、制御部11はステップS203の処理を再実行する。一方、携帯型電子機器10の姿勢が基準姿勢に戻ったと判定された場合、図14に示す処理は終了する。
【0105】
なお、選択範囲20の終了位置を移動させるための処理は図14に示した処理に限られない。例えば、図14に示した処理では、携帯型電子機器10の姿勢が基準姿勢から変化し始めてからの経過時間が基準時間(例えば0.5秒)より長くなるのを待ってから、ステップS203〜S205の処理が実行されるようになっていた。しかしながら、携帯型電子機器10の姿勢が基準姿勢から変化した場合、直ちに、ステップS203〜S205の処理が実行されるようにしてもよい。すなわち、ステップS201,S202の処理を省略するようにしてもよい。
【0106】
この場合、ステップS205において、携帯型電子機器10の姿勢が基準姿勢に戻ったと判定された場合、制御部11は、携帯型電子機器10の姿勢が基準姿勢から変化し始めてから基準姿勢に戻るまでにかかった時間が基準時間(例えば0.5秒)以内であるか否かを判定する。そして、上記の時間が基準時間以内であると判定された場合、制御部11は、ステップS203〜S205の処理によって行われた終了位置の移動をリセットする。すなわち、制御部11は、選択範囲20の終了位置を、携帯型電子機器10の姿勢が基準姿勢から変化し始めた時点における終了位置に戻す。その後、制御部11は、ステップS206及びS207の処理と同様の処理を実行し、選択範囲20の終了位置を、携帯型電子機器10の傾き方向に対応する方向に1文字分移動させる。
【0107】
このようにしても、選択範囲20の終了位置の移動制御を図14に示した処理と同様に行うことが可能になる。
【0108】
図13に示すように、ステップS105の処理が実行された後、制御部11は、タッチパネルから供給される指示位置情報に基づいて、タッチパネルへのユーザの接触が解除されたか否かを判定する(S106)。指示位置情報が「ユーザの指示位置を示す状態」から「ユーザの指示位置を示さない状態(ユーザの指示位置が検出されていないことを示す状態)」に変化した場合に、制御部11はタッチパネルへの接触が解除されたと判定する。
【0109】
タッチパネルへの接触が解除されたと判定されなかった場合、制御部11はステップS105,S106の処理を続行する。一方、タッチパネルへの接触が解除されたと判定された場合、制御部11は後述のステップS107の処理を実行する。なお、図14では省略されているが、実際には、図14に示す処理が実行されている間においても、タッチパネルへの接触が解除されたか否かが監視される。そして、図14に示す処理が実行されている間においてタッチパネルへの接触が解除された場合、制御部11は図14に示す処理の実行を中止し、後述のステップS107の処理を実行する。
【0110】
タッチパネルへの接触が解除されたと判定された場合、制御部11(選択範囲設定部42)は、ステップS103で設定された開始位置から、タッチパネルへの接触が解除された時点における終了位置までの部分を選択範囲20として確定する(S107)。
【0111】
その後、制御部11(処理実行部44)は、選択範囲20として設定された文字列部分に関する処理を実行する(S108)。例えば、制御部11は、複数種類の処理(例えばコピー、カット、又は削除等)のいずれかをユーザに選択するように要求するためのメニューを画面に表示する。そして、制御部11は、選択範囲20として設定された文字列部分を処理対象として、ユーザによって選択された処理を実行する。例えば、「コピー」が選択された場合、制御部11は、選択範囲20として設定された文字列部分をクリップボード(主記憶部12)に保存する。また例えば、「カット」が選択された場合、制御部11は、選択範囲20として設定された文字列部分をクリップボード(主記憶部12)に保存するとともに、画面から消去する。また例えば、「削除」が選択された場合、制御部11は、選択範囲20として設定された文字列部分を画面から消去する。
【0112】
なお、実行すべき処理が予め決まっている場合、制御部11は、上記のようなメニューを表示することなく、選択範囲20として設定された文字列部分を処理対象として該処理を実行するようにしてもよい。例えば、実行すべき処理として「カット」が予め決まっている場合、制御部11は、上記のようなメニューを表示することなく、選択範囲20として設定された文字列部分をクリップボード(主記憶部12)に保存するとともに、画面から消去するようにしてもよい。以上で図13に示す処理の説明を終了する。
【0113】
以上説明した携帯型電子機器10では、ユーザが携帯型電子機器10を傾けることによって選択範囲20の終了位置を指定できるようになっている。ユーザがタッチパネルに指を接触させることによって選択範囲20の終了位置を指示するような場合には、指によって文字が隠されてしまうことによって、どの文字が終了位置として指定されているのかをユーザが把握し難くなってしまう場合がある。これに対し、携帯型電子機器10によれば、このような不都合が生じないようになり、ユーザが選択範囲20の終了位置を指定し易くなる。
【0114】
また、携帯型電子機器10では、ユーザは携帯型電子機器10の傾きの大きさ(程度)を調整することによって選択範囲20の終了位置の移動速度を指定できるようになっている。携帯型電子機器10によれば、このような構成により、ユーザが選択範囲20の終了位置を指定し易くなる。
【0115】
さらに、携帯型電子機器10では、ユーザは携帯型電子機器10を比較的短い時間(例えば0.5秒以内の時間)だけ傾けることによって選択範囲20の終了位置を微調整できるようになっている。携帯型電子機器10によれば、このような構成により、ユーザが選択範囲20の終了位置を指定し易くなる。
【0116】
なお、携帯型電子機器10が、例えばスマートフォンのような比較的サイズの小さい携帯型電子機器である場合、ユーザは、携帯型電子機器10を持っている方の手の指(例えば親指)をタッチパネルに接触させることによって選択範囲20の開始位置を指定することができ、さらに、携帯型電子機器10を傾けることによって選択範囲20の終了位置を指定することができる。つまり、ユーザは携帯型電子機器10を持っている方の手のみを用いて選択範囲20を指定することができる。
【0117】
例えば、ユーザが電車内等で立っている場合、ユーザは一方の手でつり革等をつかみながら他方の手で携帯型電子機器10を持って携帯型電子機器10を使用する必要がある。携帯型電子機器10によれば、ユーザは携帯型電子機器10を持っている方の手のみを用いて選択範囲20を指定することができるため、上記のような場合であってもユーザは選択範囲20を容易に指定することができる。
【0118】
ところで、タッチパネルを備えた携帯型電子機器の画面に表示される文字列の少なくとも一部を選択範囲として指定するための操作としては、「指をタッチパネルに接触させることによって選択範囲の開始位置を指定し、その後、その指をタッチパネル上で所望の位置までスライド移動させることによって選択範囲の終了位置を指定する」というような操作を採用することも考えられる。
【0119】
しかしながら、上記のような操作を採用した場合には、携帯型電子機器を持っている方の手のみを用いて選択範囲を指定することを行い難い場合がある。選択範囲の開始位置として指定したいとユーザが考えている位置(第1の位置)と、選択範囲の終了位置として指定したいとユーザが考えている位置(第2の位置)と、の位置関係によっては、携帯型電子機器を持っている方の手の指(例えば親指)を第1の位置から第2の位置へとスライド移動させ難い場合があるからである。
【0120】
これに対し、本実施形態に係る携帯型電子機器10によれば、選択範囲の開始位置として指定したいとユーザが考えている位置と、選択範囲の終了位置として指定したいとユーザが考えている位置と、の位置関係がどのような位置関係であったとしても、ユーザは携帯型電子機器を持っている方の手のみを用いて選択範囲を容易に指定することができる。
【0121】
また、タッチパネルを備えた携帯型電子機器の画面に表示される文字列の少なくとも一部を選択範囲として指定するための操作としては、「一の指をタッチパネルに接触させることによって選択範囲の開始位置を指し示し、他の指とタッチパネルに接触させることによって選択範囲の終了位置を指し示す」というような操作を採用することも考えられる。
【0122】
しかしながら、このような操作を採用した場合には、携帯型電子機器を持っている方の手のみを用いて選択範囲を指定することが困難になってしまう場合がある。選択範囲の開始位置として指定したいとユーザが考えている位置(第1の位置)と、選択範囲の終了位置として指定したいとユーザが考えている位置(第2の位置)と、の位置関係によっては、携帯型電子機器を持っている方の手の一の指(例えば親指)で第1の位置を指し示し、他の指(例えば人差し指、中指、薬指、又は小指)で第2の位置を指し示すことが困難である場合があるからである。
【0123】
これに対し、本実施形態に係る携帯型電子機器10によれば、選択範囲の開始位置として指定したいとユーザが考えている位置と、選択範囲の終了位置として指定したいとユーザが考えている位置と、の位置関係がどのような位置関係であったとしても、ユーザは携帯型電子機器を持っている方の手のみを用いて選択範囲を容易に指定することができる。
【0124】
なお、本発明は以上に説明した実施形態に限定されるものではない。
【0125】
[1]例えば、ステップS206において、制御部11(終了位置移動部42B)は、選択範囲20の終了位置の移動方向情報とともに終了位置の移動量情報も取得するようにしてもよい。
【0126】
この場合、制御部11は、基準姿勢から傾きの大きさが最も大きくなった時点における携帯型電子機器10の姿勢が基準姿勢から各方向(α方向、β方向、及びγ方向)にどれだけ傾いているのかを判断する。そして、制御部11はその判断結果に対応する終了位置の移動方向情報を把持状態データ(図10)及び移動方向データ(図11)に基づいて取得する。
【0127】
また、制御部11はその判断結果に対応する終了位置の移動量情報を把持状態データ(図10)及び移動速度データ(図12)に基づいて取得する。この場合、図12に示す移動速度データにおける「移動速度情報」は終了位置の移動量を示す情報となる。すなわち、「移動速度情報」は、終了位置を何文字分移動させるかを示す情報となる。
【0128】
そして、ステップS207において、制御部11(終了位置移動部42B)は、選択範囲20の終了位置を、ステップS206で取得された移動方向情報が示す方向に、ステップS206で取得された移動量情報が示す移動量(文字数分)だけ移動させる。
【0129】
[2]また例えば、ユーザが選択範囲20の開始位置を指定するためにタッチパネルに指を接触させた場合、制御部11は、複数種類の処理のいずれかを選択するための画像を画面に表示するようにしてもよい。
【0130】
図15はこの場合の画面の一例を示している。図15に示す例では、「コピー」及び「カット」のいずれかを選択するためのメニュー22が画面に表示されている。このメニュー22の表示位置はユーザの指示位置(接触位置)に基づいて設定される。すなわち、メニュー22はユーザの指示位置(選択範囲20の開始位置)付近に表示される。
【0131】
選択範囲20の終了位置を所望の位置まで移動させた場合、ユーザは、タッチパネルに接触している指(すなわち、選択範囲20の開始位置を指定するためにタッチパネルに接触させた指)を、メニュー22中の所望の処理が表示されている領域までタッチパネル上をスライド移動させる。そして、その後、ユーザは指をタッチパネルから離す。
【0132】
タッチパネルへの接触が解除された場合、制御部11は、タッチパネルへの接触が解除される直前におけるユーザの指示位置(接触位置)が、メニュー22に表示されている複数種類の処理に対応するようにして設定される複数の判定領域のうちのいずれかに含まれているか否かを判定する。タッチパネルへの接触が解除される直前におけるユーザの指示位置(接触位置)がいずれかの判定領域内に含まれている場合、制御部11は、該判定領域に対応する処理を実行する。例えば、タッチパネルへの接触が解除される直前におけるユーザの指示位置が「カット」に対応する判定領域内に含まれている場合、制御部11は、選択範囲20として設定された文字列部分をクリップボード(主記憶部12)に保存するとともに、画面から消去する。
【0133】
以上のようにすれば、選択範囲20として設定された文字列部分に関する処理の内容もユーザは選択し易くなる。
【0134】
[3]また例えば、以上の説明では、携帯型電子機器10の姿勢(傾き)を主にジャイロセンサの検出結果に基づいて判断する場合について説明したが、携帯型電子機器10の姿勢(傾き)を加速度センサの検出結果に基づいて判断するようにしてもよい。この場合、携帯型電子機器10の姿勢を加速度センサの検出結果に基づいて判断する方法としては公知の方法を用いるようにすればよい。なお、ユーザが電車等の乗物に乗っている場合、加速度センサは電車等の加速又は減速による影響を受けてしまい、携帯型電子機器10の姿勢(傾き)の判断の精度が低下してしまう場合がある。この点、ジャイロセンサを用いるようにすれば、そのような影響を受けないようになる。
【0135】
[4]また例えば、表示部16に表示される画面には、テキストデータが所定数ページ(例えば1ページ)ごとに表示されるようにしてもよい。この場合、選択範囲20の開始位置が画面に表示されているページの末尾まで到達した場合には、次のページを画面に表示するとともに、終了位置を該次のページの先頭に移動するようにすればよい。
【0136】
[5]また例えば、本発明は、テキストデータと画像データとを含んでなるようなデータが画面に表示されるような携帯型電子機器10にも適用することが可能である。例えば、HTMLデータが画面に表示されるような携帯型電子機器10に適用することができる。すなわち、HTMLデータのテキスト部分(文字列部分)の少なくとも一部をユーザが選択できるようにする場合にも本発明は適用することができる。
【0137】
[6]また例えば、図3等では、アルファベット及び数字が画面に表示される場合の例を示したが、本発明は、アルファベット及び数字以外の文字が画面に表示されるような携帯型電子機器10にも適用することができる。すなわち、平仮名、片仮名、及び漢字が画面に表示されるような携帯型電子機器10にも本発明は適用することができる。また、日本語以外の言語に対応する文字(例えば簡体字、繁体字、又はハングル文字)が画面に表示されるような携帯型電子機器10にも本発明は適用することができる。
【符号の説明】
【0138】
10 携帯型電子機器、11 制御部、12 主記憶部、13 補助記憶部、14 姿勢検出センサ、15 操作部、16 表示部、17 音声出力部、18 通信部、20 選択範囲、22 メニュー、30 記憶部、32 表示制御部、34 指示位置検出部、36 指示位置情報取得部、38 傾き検出部、40 傾き情報取得部、42 選択範囲設定部、42A 開始位置設定部、42B 終了位置移動部、44 処理実行部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯型電子機器であって、
文字列を含む画面を表示する表示手段と、
ユーザによって指示された前記画面内の位置を検出する指示位置検出手段と、
前記携帯型電子機器の傾きを検出する傾き検出手段と、
前記文字列の少なくとも一部を選択範囲として設定する選択範囲設定手段と、
を含み、
前記選択範囲設定手段は、
前記指示位置検出手段によって検出された前記ユーザの指示位置に基づいて、前記選択範囲の開始位置を設定する開始位置設定手段と、
前記選択範囲の前記開始位置が設定された後において、前記傾き検出手段による検出結果に基づいて、前記選択範囲の終了位置を移動させる終了位置移動手段と、を含む、
ことを特徴とする携帯型電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の携帯型電子機器において、
前記終了位置移動手段は、前記傾き検出手段によって検出される前記携帯型電子機器の傾き方向に対応する方向に前記終了位置を移動させることを特徴とする携帯型電子機器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の携帯型電子機器において、
前記終了位置移動手段は、前記傾き検出手段によって検出される前記携帯型電子機器の傾きの大きさに基づいて、前記終了位置の移動速度を設定することを特徴とする携帯型電子機器。
【請求項4】
請求項3に記載の携帯型電子機器において、
前記終了位置移動手段は、前記傾き検出手段によって検出される前記携帯型電子機器の傾きの大きさに対応する文字数ごとに前記終了位置を移動させることを特徴とする携帯型電子機器。
【請求項5】
請求項3に記載の携帯型電子機器において、
前記終了位置移動手段は、前記携帯型電子機器の傾きの大きさに対応する時間間隔ごとに、前記終了位置を所定の文字数分移動させることを特徴とする携帯型電子機器。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の携帯型電子機器において、
前記終了位置移動手段は、
前記傾き検出手段によって検出される前記携帯型電子機器の傾きの状態が第1の状態から第2の状態まで変化し、該第2の状態から、前記第1の状態との差が所定範囲内である状態に戻った場合に、前記携帯型電子機器の傾きの状態が前記第1の状態から前記第2の状態へと変化し始めてから、前記第1の状態との差が前記所定範囲内である前記状態に戻るまでにかかった時間が基準時間以内であるか否かを判定する手段と、
前記時間が前記基準時間以内であると判定された場合、前記第2の状態における前記携帯型電子機器の、前記第1の状態における前記携帯型電子機器に対する傾き方向に対応する方向に、前記終了位置を1文字だけ移動させる手段と、を含む、
ことを特徴とする携帯型電子機器。
【請求項7】
請求項1乃至5のいずれかに記載の携帯型電子機器において、
前記終了位置移動手段は、
前記傾き検出手段によって検出される前記携帯型電子機器の傾きの状態が第1の状態から第2の状態まで変化し、該第2の状態から、前記第1の状態との差が所定範囲内である状態まで戻った場合に、前記携帯型電子機器の傾きの状態が前記第1の状態から前記第2の状態へと変化し始めてから、前記第1の状態との差が前記所定範囲内である前記状態に戻るまでにかかった時間が基準時間以内であるか否かを判定する手段と、
前記時間が前記基準時間以内であると判定された場合、前記第2の状態における前記携帯型電子機器の、前記第1の状態における前記携帯型電子機器に対する傾き方向に対応する方向に、前記終了位置を、前記第2の状態における前記携帯型電子機器の、前記第1の状態における前記携帯型電子機器に対する傾きの大きさに対応する文字数だけ移動させる手段と、を含む、
ことを特徴とする携帯型電子機器。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載の携帯型電子機器において、
前記指示位置検出手段はタッチパネルであり、
前記開始位置設定手段は、前記ユーザによって接触された前記タッチパネル上の位置に基づいて、前記開始位置を設定し、
前記終了位置設定手段は、前記タッチパネルが前記ユーザによって接触された場合、前記タッチパネルへの前記ユーザの接触が解除されるまでの間、前記傾き検出手段による検出結果に基づいて、前記終了位置を移動させ、
前記選択範囲設定手段は、前記タッチパネルへの前記ユーザの接触が解除された場合、前記開始位置から、前記タッチパネルへの前記ユーザの接触が解除された時点における前記終了位置までの範囲を前記選択範囲として確定する、
ことを特徴とする携帯型電子機器。
【請求項9】
画面を表示する表示手段と、ユーザによって指示された前記画面内の位置を検出する指示位置検出手段と、携帯型電子機器の傾きを検出する傾き検出手段と、を含む携帯型電子機器の制御方法であって、
文字列を含む画面を前記表示手段に表示させるステップと、
前記ユーザの指示位置に関する指示位置情報を前記指示位置検出手段から取得するステップと、
前記携帯型電子機器の傾きに関する傾き情報を前記傾き検出手段から取得するステップと、
前記文字列の少なくとも一部を選択範囲として設定する選択範囲設定ステップと、
を含み、
前記選択範囲設定ステップは、
前記選択範囲の開始位置を前記指示位置情報に基づいて設定する開始位置設定ステップと、
前記選択範囲の前記開始位置が設定された後において、前記選択範囲の終了位置を前記傾き情報に基づいて移動させる終了位置移動ステップと、を含む、
ことを特徴とする携帯型電子機器の制御方法。
【請求項10】
画面を表示する表示手段と、ユーザによって指示された前記画面内の位置を検出する指示位置検出手段と、携帯型電子機器の傾きを検出する傾き検出手段と、を含む携帯型電子機器を、
文字列を含む画面を前記表示手段に表示させる表示制御手段、
前記ユーザの指示位置に関する指示位置情報を前記指示位置検出手段から取得する手段、
前記携帯型電子機器の傾きに関する傾き情報を前記傾き検出手段から取得する手段、及び、
前記文字列の少なくとも一部を選択範囲として設定する選択範囲設定手段、
として機能させるプログラムであって、
前記選択範囲設定手段は、
前記選択範囲の開始位置を前記指示位置情報に基づいて設定する開始位置設定手段と、
前記選択範囲の前記開始位置が設定された後において、前記選択範囲の終了位置を前記傾き情報に基づいて移動させる終了位置移動手段と、を含む、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項11】
画面を表示する表示手段と、ユーザによって指示された前記画面内の位置を検出する指示位置検出手段と、携帯型電子機器の傾きを検出する傾き検出手段と、を含む携帯型電子機器を、
文字列を含む画面を前記表示手段に表示させる表示制御手段、
前記ユーザの指示位置に関する指示位置情報を前記指示位置検出手段から取得する手段、
前記携帯型電子機器の傾きに関する傾き情報を前記傾き検出手段から取得する手段、及び、
前記文字列の少なくとも一部を選択範囲として設定する選択範囲設定手段、
として機能させるプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体であって、
前記選択範囲設定手段は、
前記選択範囲の開始位置を前記指示位置情報に基づいて設定する開始位置設定手段と、
前記選択範囲の前記開始位置が設定された後において、前記選択範囲の終了位置を前記傾き情報に基づいて移動させる終了位置移動手段と、を含む、
ことを特徴とする情報記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−54401(P2013−54401A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−190084(P2011−190084)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(399037405)楽天株式会社 (416)
【Fターム(参考)】