説明

携帯型電子機器の収納カバー

【課題】携帯型電子機器の使用時に、その背面の操作部の操作をも可能とする収納カバー
を提供する。
【解決手段】収納カバー1は前カバープレート2と後カバープレート3と電子機器90に
取り付け可能な取付部材4とを備える。前カバープレート2と後カバープレート3は、い
ずれも取付部材4に対する相対角度を変えることができるように、取付部材4に連結され
ている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前面に表示画面を有し背面にユーザが操作可能な操作部を備える携帯型電子機器の収納カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、前面に表示画面を有する携帯型電子機器が利用されている(例えば、下記特許文献1)。この種の電子機器は、その持ち運びの際などに衝撃を受けたり塵や埃に曝される場合が多い。そのため、電子機器を保護するケースやカバーが従来利用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開2007/0202956号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この種の電子機器の中には、電子機器の背面での作業が必要なものがある。例えば、上記特許文献1に開示される電子機器の背面には、記録媒体の受け入れ機構が設けられている。ユーザは電子機器の背面に設けられた蓋を開けることで、その受け入れ機構に記録媒体を挿入する。また、出願人は、電子機器の背面にタッチパネルを設けることも検討している。
【0005】
本発明の目的は、電子機器の使用時に背面の操作部の操作をも可能とする収納カバーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る収納カバーは、前面に表示画面を有し背面に操作部を有する携帯型電子機器の収納カバーである。前記収納カバーは、前記電子機器の前面を覆うための前カバープレートと、前記電子機器の背面を覆うための後カバープレートと、前記電子機器の縁に取り付け可能な取付部材と、を備える。前記前カバープレートと前記後カバープレートは、いずれも前記取付部材に対する相対角度を変えることができるように、前記取付部材に連結されている。
【0007】
本発明によれば、前カバープレートと後カバープレートの双方が電子機器に対して開いたり閉じたりできる。その結果、ユーザは電子機器の使用時に前面の表示画面を見るだけでなく、背面の操作部も操作できる。
【0008】
なお、本発明において、前カバープレートと後カバープレートのうち一方のカバープレートは、他方のカバープレートを通して取付部材に連結されてもよい。例えば、取付部材は一方のカバープレートの上縁や下縁に連結され、他方のカバープレートは前記一方のカバープレートの右縁や左縁に連結され、この一方のカバープレートを通して取付部材に連結されてもよい。このような構造においても、2つのカバープレートの取付部材に対する角度を変えることは可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係る収納カバーと、当該収納カバーによる収納が可能な携帯型電子機器の斜視図である。
【図2】上記電子機器の背面図である。
【図3】上記収納カバーの平面図である。
【図4】上記電子機器を収納した状態の収納カバーの側面図である。
【図5】上記電子機器を収納した状態の収納カバーの背面図である。
【図6】上記収納カバーが備える取付部材に設けられた取付部が電子機器に係合した様子を示す拡大斜視図である。
【図7】第2の例の収納カバーを開いた状態を示す斜視図である。
【図8】図7に示す収納カバーをスタンドとして機能させた状態を示す側面図である。
【図9】図7に示す収納カバーが備える取付部材104を示す図である。図9(a)は取付部材104の平面図であり、図9(b)は取付部材104の取付部142の拡大図であり、図9(c)は同図(b)のc−c線での断面図である。
【図10】図9に示す取付部材が電子機器に取り付けられた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は本発明の一実施形態に係る収納カバー1と、当該収納カバー1による収納が可能な携帯型電子機器90の斜視図である。図2は電子機器90の背面図である。図3は収納カバー1の平面図である。図4は電子機器90を収納した状態の収納カバー1の側面図である。図5は電子機器90を収納した状態の収納カバー1の背面図である。
【0011】
図1に示すように、この例の電子機器90は左右方向に細長い略直方体の機器である。電子機器90はその前面に表示画面91を有している。また、この例の電子機器90はゲーム装置や、動画像再生装置、通信装置として機能する装置であり、表示画面91の左右にユーザによる操作が可能な複数の操作部材を有している。具体的には、表示画面91の右側には複数の操作ボタン92Aと、操作スティック92Bとが配置されている。また、表示画面91の左側には十字キー92Cと、操作スティック92Dとが配置されている。これらの操作部材92A〜92Dは電子機器90の前面から突出している。
【0012】
また、電子機器90は、その背面に、ユーザが操作可能な操作部を有している。この例
の電子機器90は、図2に示すように、背面タッチパネル93を操作部として有している。ユーザは、操作部材92A〜92Dが設けられた電子機器90の右側部分及び左側部分を保持しながら、背面に配置した中指や人差し指で背面タッチパネル93を操作できる。ユーザは、背面タッチパネル93上で指を動かすことにより、表示画面91の画像をスクロールしたり、画像に描かれたポインターを移動させたりすることができる。さらに、この例の電子機器90は、その背面に、カメラ96を有している。ユーザは、操作部材92A〜92Dのいずれかを操作することにより、背面の向いた方向をカメラ96によって撮像できる。
【0013】
収納カバー1は、図1及び図4に示すように、電子機器90の前面を覆うための前カバープレート2と、電子機器90の背面を覆うための後カバープレート3とを有している。カバープレート2,3は電子機器90の前面,背面に対応した形状を有しており、前面,背面の全域を覆うことができる。この例の電子機器90は弧状に湾曲した側面90aを有しており、カバープレート2,3の左右の縁2a,3aも、側面90aに合わせて湾曲している。カバープレート2,3は、後述する連結部材5よりも高い剛性を有する板である。例えば、カバープレート2,3はプラスチック等で形成された基材を含む。基材の表面は化粧用のシートやクッション性を有するシートで覆われてもよい。なお、図4に示すように、収納カバー1による電子機器90の収納時には、電子機器90の側面90aは左右方向に露出している。
【0014】
収納カバー1は、図1に示すように、電子機器90の縁(この例では電子機器90の下縁)90bに取り付け可能な取付部材4を有している。取付部材4はカバープレート2,3に連結されている。カバープレート2,3は、いずれも取付部材4に対する相対角度を変えることができるように、取付部材4に連結されている。換言すると、カバープレート2,3は、これら2つのカバープレート2,3が開閉するように、いずれも取付部材4に対して相対的に動くことができる。なお、カバープレート2,3は取付部材4を通してのみ電子機器90に接続可能となっている。そのため、カバープレート2,3は、後述するホルダーベルト11を取り外した状態で、取付部材4に対するその角度を変えることができる。すなわち、収納カバー1を図4に示す状態から図1に示す状態に動かすことができる。収納カバー1のこのような構造によれば、ユーザは収納カバー1を電子機器90に取り付けたまま、操作部材92A〜92Dと背面タッチパネル93とを操作できる。取付部材4とカバープレート2,3との相対角度変化を可能とする具体的な構造については、後において詳説する。
【0015】
取付部材4は、図1及び図5に示すように、電子機器90の下縁90bに沿った方向(すなわち左右方向)に互いに離れて位置し、電子機器90の下縁90bに取り付け可能な複数(この例では2つ)の取付部42を有している(以下においては、下縁90bに沿った方向を単に左右方向と称する)。取付部材4のこの形状によれば、1つの取付部によって取付部材4を電子機器90に取り付ける構造に比べて、取付部材4と電子機器90との相対位置を安定させることができる。
【0016】
この例の取付部材4は、図3に示すように、左右方向に細長い棒状のフレーム部41を有している。取付部42はフレーム部41の両端に設けられている。そして、2つの取付部42は、図1に示すように、電子機器90の下縁90bの両端に取り付け可能となっている。
【0017】
取付部42は電子機器90に係合可能な構造を有している。すなわち、取付部42は、取付部材4が電子機器90に固定されるように、電子機器90に引っ掛かることができる。そのため、ユーザは、他の部材や、工具を要することなく、取付部材4を電子機器90に取り付けることができる。
【0018】
この例の電子機器90は、その下縁90bの両端に固定孔94を有している(図1及び図2参照)。この例の固定孔94は電子機器90の筐体を表示画面91の厚さ方向に貫通する孔である。取付部42は電子機器90の固定孔94の縁に引っ掛かることができるように形成されている。この例では、取付部42は固定孔94の内側に嵌るように形成され、固定孔94の縁に引っ掛かることができる。固定孔94は上述したように表示画面91の厚さ方向に貫通する孔である。電子機器90と取付部材4のこのような取付構造によれば、電子機器90の使用時に取付部42が電子機器90から容易に外れることを抑えることができる。
【0019】
つまり、電子機器90は、その使用時、表示画面91が前方に向く姿勢でユーザによって保持される。固定孔94は表示画面91の厚さ方向に電子機器90を貫通する孔であるため、収納カバー1の重量が電子機器90に対して作用する方向、すなわち鉛直方向は、取付部42の固定孔94への挿入方向に対して概ね直交することとなる。その結果、取付部42が電子機器90から取れることが抑えられる。なお、この例では、取付部42は電子機器90の背面から固定孔94に嵌められる。
【0020】
図6は取付部42が電子機器90に係合した様子を示す拡大斜視図である。この例の取付部42は、その先端側が二又に分かれている。すなわち、取付部42は、図6に示すように、フレーム部41の端部から同じ方向に伸び互いに対向する一対の突起42a,42bを有している。一方の突起(この例では電子機器90の中心寄りの突起)42aには、他方の突起42bとは反対側に突出し固定孔94の縁に引っ掛かることのできる爪部42cが形成されている。取付部42はこの爪部42cによって固定孔94に固定される。なお、このような爪部42cは突起42bにも形成されてよい。
【0021】
突起42a,42bは互いに接近するように弾性変形可能となっている。すなわち、2つの突起42a,42bの間隔が縮小するように、それらは弾性変形可能となっている。取付部42を固定孔94に挿入する時には、2つの突起42a,42bの間隔が一時的に狭まるため、取付部42を固定孔94に通すことができる。突起42a,42bが固定孔94に差し込まれた状態では、突起42a,42bは、それらの弾性力によって、固定孔94の内面に押し付けられる。その結果、爪部42cの固定孔94への引っ掛かりが安定する。
【0022】
この例の突起42a,42bは小さな板状に形成されている。図3に示すように、フレーム部41の一方の端部に設けられた取付部42の突起42a,42bと、他方の端部に設けられた取付部42の突起42a,42bは左右方向と平行でなく、取付部材4の左右方向の中心線C1に向くようにそれぞれ傾斜している。そのため、取付部42の大きさが固定孔94に完全に合致していない場合であっても、取付部材4が電子機器90に対して左右方向に位置ずれし難くなっている。
【0023】
取付部42とフレーム部41は、後述する連結部材5よりも高い剛性を有する材料、例えば、プラスチックや金属によって形成されている。そのため、電子機器90への取付強度として十分な強度を得ることが可能となる。2つの取付部42とフレーム部41はこれらプラスチック等によって一体的に形成されている。そのため、部品数の低減を図ることができる。
【0024】
図4に示すように、フレーム部41は、その長手方向(左右方向)に対して垂直な面を切断面とする断面として、弧状の断面を有している。すなわち、フレーム部41は湾曲した断面を有している。そのため、フレーム部41は、平らな断面を有する棒に比べて、曲がりにくくなっている。
【0025】
この例では、図4に示すように、電子機器90の背面の外周部90cも湾曲している。フレーム部41は外周部90cに合わせて湾曲している。フレーム部41は外周部90cに近接して配置されている。そして、フレーム部41は、電子機器90が収納カバー1に収納された状態では、外周部90cと後カバープレート3と、後述する第1連結部51とによって囲まれるスペースSに位置する。このように、電子機器90と収納カバー1との間に形成される狭いスペースを有効に利用できるように、フレーム部41は形成されている。
【0026】
図1及び図3に示すように、収納カバー1はカバープレート2,3と取付部材4とを連結する連結部材5を有している。連結部材5は、前カバープレート2の縁と、当該前カバープレート2の縁と対向する後カバープレート3の縁とを連結する第1連結部51を含んでいる。第1連結部51は可撓性を有している。そのため、カバープレート2,3を容易に開閉できる。第1連結部51は例えば、エラストマーやテキスタイルによって形成され得る。なお、2つのカバープレート2,3はこの第1連結部51と、電子機器90の収納時に使用される後述するホルダーベルト11によってのみ連結されている。
【0027】
この例の第1連結部51は左右方向に細長いシート状である。図5に示すように、電子機器90の収納時、第1連結部51は電子機器90の下面を覆う。電子機器90の下面にはコネクタ95が設けられている。第1連結部51にはコネクタ95を露出させるための孔51aが形成されている。コネクタ95は例えばヘッドホンジャックである。また、コネクタ95は電子機器90を充電するための電線が接続される充電コネクタでもよい。
【0028】
取付部材4は、後述する第2連結部52を通して、第1連結部51に連結されている。そのため、カバープレート2,3を図1に示すように開いた状態では、前カバープレート2から電子機器90に作用する荷重と、後カバープレート3から電子機器90に作用する荷重との間に、不均衡が生じることを抑えることができる。その結果、ユーザは、電子機器90の使用時に、電子機器90を快適に保持できる。
【0029】
図1及び図3に示すように、連結部材5は第1連結部51に加えて第2連結部52を含んでいる。この例の第2連結部52は取付部材4からカバープレート2,3に向かって伸びるベルト状である。そのため、カバープレート2,3を開いた状態では、カバープレート2,3は電子機器90の下縁90bから離れて位置する。その結果、電子機器90の使用時に、カバープレート2,3が電子機器90の操作の障害となることを抑えることができる。
【0030】
図1及び図3に示すように、この例の連結部材5は左右方向において互いに離れて位置する複数(この例では2つ)の第2連結部52を有している。2つの第2連結部52は取付部材4のフレーム部41の端部にそれぞれ連結されている。具体的には、この例の連結部材5は、フレーム部41を保持する保持部53を有している。2つの第2連結部52の先端は保持部53に接続されている。
【0031】
第2連結部52は、第1連結部51と同様に、可撓性を有している。例えば、第2連結部52はエラストマーやテキスタイルによって形成され得る。そのため、取付部材4を電子機器90に固定しながらカバープレート2,3の双方を電子機器90に対して開閉可能とするための構造が簡素化され得る。
【0032】
上述したように、取付部材4は第2連結部52を通して第1連結部51に連結されている。図1及び図3に示すように、第2連結部52と第1連結部51との接続位置P1は、第1連結部51によって連結される前カバープレート2の縁と後カバープレート3の縁の、概ね中間の位置である。そのため、前カバープレート2から電子機器90に作用する荷重と、後カバープレート3から電子機器90に作用する荷重とを均衡させることができる。なお、第2連結部52は、接続位置P1からさらに伸び第1連結部51に取り付けられる取付部52bを有している。取付部52bは、例えば、第1連結部51に接着されたり、縫い付けられる。
【0033】
上述したように、カバープレート2,3は、いずれも取付部材4に対する相対角度を変えることができるように、取付部材4に連結されている。この例では、第2連結部52は、第1連結部51に対する第2連結部52の角度が変化できるように、接続位置P1で第1連結部51に接続されている。具体的には、第2連結部52は可撓性を有し、その取付部52bは接着や縫合により第1連結部51に取り付けられていることから、第2連結部52は第1連結部51に対してその角度を変えることができる。さらに、この例では、第2連結部52は、取付部材4を保持する保持部53に対する第2連結部52の角度が自由に変化できるように、接続位置P2で保持部53に繋がっている。この例では、保持部53は、可撓性を有する材料によって第2連結部52と一体的に形成されている。この構造により、第2連結部52は保持部53に対する角度を変えることができる。利用した、カバープレート2,3と取付部材4とを、このような第1連結部51と第2連結部52とを利用して連結することにより、カバープレート2,3は、この2つの接続位置P1,P2を中心として、取付部材4に対するその角度を変えることができる。
【0034】
上述したように、収納カバー1は、カバープレート2,3の閉じた状態を維持するためのホルダーベルト11を有している。図1及び図3に示すように、この例のホルダーベルト11は、前カバープレート2を挟んで第1連結部51とは反対側に設けられている。一方、後カバープレート3は、図4に示すように、ホルダーベルト11の端部を固定するための取付部11aを有している。この例では取付部11aは後カバープレート3の外面3aに設けられている。ホルダーベルト11とその取付部11aは例えば面ファスナー(ベルクロ(登録商標))である。
【0035】
図1及び図3に示すように、前カバープレート2は、その一方の面(カバープレート2,3を閉じたときに内側に向く面)に、プラスチックなどの剛性を有する材料を基材とする凸部12を有している。凸部12は前カバープレート2の左右方向の概ね中心に位置しており、電子機器90の収納時には、右側の操作部材92A,29Bと左側の操作部材92C,92Dとの間に位置する。図4に示すように、凸部12の高さhは複数の操作部材92A〜92Dのうち最も高い操作部材の高さに対応している。この例では、凸部12の高さhは操作スティック92B,92Dの高さに対応している。そのため、電子機器90の収納時に、前カバープレート2から操作スティック92B,92Dに大きな負荷がかかることを抑えることができる。
【0036】
また、この例の凸部12は厚板状で、そのサイズは概ね表示画面91のサイズに対応している。そのため、電子機器90の収納時に、前カバープレート2の外面に外力が作用した場合であっても、前カバープレート2が傾いたり、その一部が凹むことを防ぐことができる。
【0037】
本発明の第2の例である収納カバー100について説明する。収納カバー100は電子機器90のスタンドとして機能するよう構成されている。
【0038】
図7は収納カバー100を開いた状態を示す斜視図である。図8は収納カバー100をスタンドとして機能させた状態を示す側面図である。図9は収納カバー100が備える取付部材104を示す図である。図9(a)は取付部材104の平面図であり、図9(b)は取付部材104の取付部142の拡大図であり、図9(c)は同図(b)のc−c線での断面図である。図10は取付部材104が電子機器90に取り付けられた状態を示す図である。以下ではこれまで説明した例と同一箇所には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0039】
図7及び図8に示すように、収納カバー100は、第1連結部51を下側にして後カバープレート3を立てた状態で支持するスタンドプレート121を備えている。この例では、スタンドプレート121は、後において詳説するように、前カバープレート2に設けられている。また、収納カバー100は、後カバープレート3の内面に取り付けられたフック保持部131を有している(ここで内面とは電子機器90の収納時に当該電子機器90の背面と対向する面である)。フック保持部131は、電子機器90が後カバープレート3上に配置されたときの取付部材104の姿勢に当該取付部材104を保持できる(以下において、取付部材104のこの姿勢(図7及び図8に示す姿勢)を支持姿勢とする)。フック保持部131が取付部材104を保持することにより、収納カバー100は電子機器90を立てた状態で支持できる。
【0040】
図7に示すように、この例のフック保持部131は左右方向に細長いベルト状であり、その両端部が後カバープレート3の内面に取り付けられている。後カバープレート3の第1連結部51寄りの位置にフック保持部131は取り付けられている。一方、取付部材104はフレーム部41の中央部にフック143を有し、フック143には嵌合部143aが形成されている(図9(a)参照)。フック143は後カバープレート3を立てた状態で取付部材104の下方への移動を規制するよう保持ベルト131に引っ掛けることができる。この例では、収納カバー100をスタンドとして機能させているとき、第1連結部51が収納カバー100の下側に位置する。そのため、フック143の嵌合部143aは、第1連結部51とは反対側から第1連結部51に向けてフック保持部131に嵌めることができる。このようにフック保持部131にフック143を引っ掛けるという簡単な作業により、上述の支持姿勢に取付部材104を保持できる。なお、フック143をフック保持部131に引っ掛けていないときには、図1に示すように、後カバープレート3は電子機器90の背面から離すことができる。その結果、収納カバー100を電子機器90に装着しながら、電子機器90の背面タッチパネル93の操作が可能となる。
【0041】
図9(a)に示すように、この例のフック143は、フレーム部41から張り出す一対のアーム部143bと、アーム部143bの端部を連結する連結部143cとを有している。嵌合部143aは連結部143cからフレーム部41に向かって伸びている。アーム部143b、連結部143及び嵌合部143aのそれぞれは板状であり、これらは概ね同一平面上に形成されている。そのため、嵌合部143aをフック保持部131に嵌めているときに、フック143を後カバープレート3の内面に密着させることができる。その結果、取付部材104の後カバープレート3に対するぐらつきが防止され、電子機器90を安定的に支持できる。また、フック143はフレーム部41の中央部に形成されているので、1つのフックで電子機器90をバランス良く支持できる。
【0042】
取付部材104は、その両端に、上述の取付部42に対応する取付部142を有している(図9(a)参照)。取付部142は、フック143がフック保持部131に引っ掛かっている状態で、後カバープレート3に対して立つように形成されている。すなわち、フック143は取付部42の延伸方向と概ね直交する方向にフレーム部41から張り出している。取付部142が後カバープレート3に対して立つように配置されているとき、電子機器90は後カバープレート3に沿って配置される(図8参照)。
【0043】
図7に示すように、収納カバー100も第2連結部52を有している。この例の第2連結部52は左右に分割されており、それらの間にフック143が配置されている。第2連結部52も可撓性を有するベルト状である。取付部材104はこの第2連結部52を通して後カバープレート3に連結されている。取付部材104はこの第2連結部52の可撓性を利用して支持姿勢まで動かすことができる。
【0044】
後カバープレート3と前カバープレート2は、それらの外面が互いに向き合う角度まで動かすことができるように互いに連結されている(ここで外面とは収納カバー100に電子機器90を収納している時に外側に向く面である)。具体的には、後カバープレート3と前カバープレート2は第1連結部51によって連結されている。第1連結部51は上述したように可撓性を有しており、後カバープレート3と前カバープレート2は、この可撓性を利用して、それらの外面が互いに向き合う角度、すなわち、図8に示す姿勢まで回転させることができる。上述したように、収納カバー100は、当該収納カバー100をスタンドとして機能させるためのスタンドプレート121を有している。スタンドプレート121は前カバープレート2の内面に取り付けられている(ここで内面とは電子機器90の収納時に当該電子機器90の前面と対向する面である)。このような構造により、収納カバー100をスタンドとして機能させるための脚、この例ではスタンドプレート121を、収納カバー100の外面に設ける必要がなくなる。その結果、電子機器90を収納カバー100に収納しているときに、収納カバー100の良好な外観を得ることができる。
【0045】
スタンドプレート121は前カバープレート2の内面に対して開閉可能となっている。詳細には、図7に示すように、スタンドプレート121は、第1連結部51とは反対側の縁に、取付部121aを有している。取付部121aは前カバープレート2に取り付けられている。スタンドプレート121は取付部121aを中心にして開閉可能となっている(図8参照)。なお、この例でも、前カバープレート2の内面には凸部12が設けられている。この例では、前カバープレート2はその中央部にスタンドプレート121を有し、その左右に凸部12を有している。
【0046】
図8に示すように、スタンドプレート121と前カバープレート2との間には、ストッパベルト122が配置されている。ストッパベルト122は、スタンドプレート121の取付部121aから離れた位置と、前カバープレート2とを連結している。このストッパベルト122により、スタンドプレート121の前カバープレート2に対する開角度が制限される。なお、ストッパベルト122の中央部には折れ線(不図示)が形成されている。スタンドプレート121を前カバープレート2側に倒すときには、ストッパベルト122はこの折れ線で折れ曲がり、スタンドプレート121と前カバープレート2との間に収容される。
【0047】
図7及び図8に示すように、この例においても、前カバープレート2には、ホルダーベルト11が取り付けられている。ホルダーベルト11は第1連結部51とは反対側の縁から伸びている。一方、後カバープレート3の外面には、上述したように、ホルダーベルト11を取り付けるための取付部11aが設けられている。そのため、前カバープレート2と後カバープレート3とを、それらの外面が互いに向き合うように配置した時には、ホルダーベルト11を略U字形状に湾曲させることにより、取付部11aに取り付けることができる。その結果、前カバープレート2と後カバープレート3との相対的な位置を安定させることができる。
【0048】
上述したように、前カバープレート2と後カバープレート3は第1連結部51で連結されている。図8に示すように、第1連結部51は、収納カバー100をスタンドとして機能させているとき、略U字状に湾曲し、収納カバー100の下側に位置する。そのため、第1連結部51は収納カバー100が配置される面に接する。そのため、収納カバー100をスタンドとして利用しているとき、後カバープレート3は第1連結部51上で支持される。このため、第1連結部51を、電子機器90への振動等の伝達を抑える緩衝部材として利用できる。この例の第1連結部51は弾性材料(例えばゴム)を含んでいる。そのため、第1連結部51の弾性を利用して、さらに良好な緩衝機能を得ることができる。
【0049】
なお、スタンドプレート121を開いた状態では、スタンドプレート121の端部と、略U字形状の第1連結部51の外面(下面)とに接線を形成することができる。これにより、第1連結部51は収納カバー100が配置される面に接する。また、この例の第2連結部52は、図8に示すように、後カバープレート3と第1連結部51との境、すなわち後カバープレート3の縁と第1連結部51の縁とに取り付けられている。そのため、収納カバー100をスタンドとして機能させているとき、収納カバー100が配置される面には第1連結部51が接し、第2連結部52はその接触の障害とならない。
【0050】
上述したように、取付部材104もその両端に、電子機器90の固定孔94(図6)に嵌めるための取付部142を有している。図9(b)及び(c)に示すように、取付部142は、取付部42と同様に、互いに間隔を空けて形成された一対の突起142a,142bを含んでいる。突起142aには電子機器90の前面に引っ掛かる爪部142cが形成されている。図9(b)に示すように、突起142aは、電子機器90に形成された固定孔94の縁の形状に合わせて僅かに湾曲している。突起142aの突起142b側の面142dは凹んでいる。一方、突起142bの突起142aに向いた面は、突起142aの凹面142dに向けて膨らんでおり、突起142bの中央部の厚さTはその両側に比して厚くなっている。その結果、突起142bの強度を向上でき、突起142aの弾性力を増すことができている。
【0051】
また、取付部142は、その基部に、爪部142cとは反対方向に突出する凸部142eを有している。この例の取付部142は2つの凸部142eを有している。凸部142eと爪部142cは、電子機器90の厚さ方向において当該電子機器90を挟む(図8参照)。すなわち、爪部142cは固定孔94の前面側の縁に引っ掛かり、凸部142cは、固定孔94の背面側の縁に引っ掛かる。
【0052】
図10に示すように、取付部材104が電子機器90に取り付けられているとき、フレーム部41は電子機器90の下面に沿って配置される。電子機器90の下面にはコネクタ95,97やマイク98が設けられており、フレーム部41はこれらを避けるように形成されている。この例のフレーム部41には、マイク98を避けるように、凹部41aが形成されている。
【0053】
以上説明したように、収納カバー1,100では、前カバープレート2と後カバープレート3は、いずれも取付部材4,104に対する相対角度を変えることができるように、取付部材4,104に連結されている。そのため、前カバープレート2と後カバープレート3が電子機器90の前面と背面に対してそれぞれ開いたり閉じたりできる。その結果、ユーザは電子機器90の使用時に前面の表示画面91を見るだけでなく、背面のタッチパネル93も操作できる。
【0054】
また、収納カバー1,100は、前カバープレート2の縁と後カバープレート3の縁とを連結する第1連結部51を含み、取付部材4,104は第1連結部51に連結されている。そのため、前カバープレート2から電子機器90に作用する荷重と、後カバープレート3から電子機器90に作用する荷重との間に、不均衡が生じることを抑えることができる。
【0055】
また、収納カバー1,100は、取付部材4,104から第1連結部51に向かって伸びる第2連結部52を備えている。そのため、電子機器90の使用時に、カバープレート2,3が電子機器90の操作の障害となることを抑えることができる。
【0056】
また、前カバープレート2と後カバープレート3は、可撓性を有する連結部材5(すなわち連結部51,52)を通して取付部材4,104に連結されている。そのため、取付部材4,104を電子機器90に固定しながらカバープレート2,3の双方を電子機器90に対して開閉可能とするための構造が簡素化され得る。
【0057】
また、取付部材4,104は、電子機器90の下縁90bに沿った方向に互いに離れて位置し、電子機器90の下縁90bに取り付け可能な2つの取付部42,142を有している。この構造によれば、1つの取付部によって取付部材4を電子機器90に取り付ける構造に比べて、取付部材4と電子機器90との相対位置を安定させることができる。
【0058】
また、2つの取付部42,142は、電子機器90の下縁90bの両端に取り付け可能となっている。この構造によれば、取付部材4,142と電子機器90との相対位置をさらに安定させることができる。
【0059】
また、取付部材4,104は、当該取付部材4,104が電子機器90に固定されるように、電子機器90に引っ掛かることができるように構成されている。この構造によれば、取付部材4,104の電子機器90への取り付け作業が容易となる。
【0060】
また、取付部材4,104は、電子機器90の縁に形成された固定孔94の縁に引っ掛かる取付部42,142を有している。この構造によれば、取付部材4,104の電子機器90への取付強度を増すことが容易となる。
【0061】
また、収納カバー100は、電子機器90が後カバープレート3上に配置されたときの取付部材104の姿勢に当該取付部材104を保持可能なフック保持部131と、後カバープレート3を立てた状態に支持するスタンドプレート121とを備えている。これにより、収納カバー100をスタンドとして機能させることができる。
【0062】
また、取付部材104はフック143を含み、後カバープレート3はフック保持部131を有し、フック143は後カバープレート3を立てた状態で取付部材104の下方への移動を規制するようフック保持部131に引っ掛けることができる。この構造によれば、簡単な作業で収納カバー100をスタンドとして機能させることができる。
【0063】
また、収納カバー100では、後カバープレート3と前カバープレート2は、それらの外面が互いに向き合う角度まで動かすことができるように互いに連結されており、スタンドプレート121は前カバープレート2の内面に取り付けられている。これによれば、収納カバー100によって電子機器90を収納している時に、収納カバー100の外観が良好になる。
【0064】
また、収納カバー100では、後カバープレート3の縁と前カバープレート2の縁は可撓性を有する第1連結部51で連結され、第1連結部51は後カバープレート3と前カバープレート2とを立てた状態でそれらの下側に位置する。これによれば、第1連結部51を緩衝部材として機能させることができる。
【0065】
なお、本発明は以上説明した収納カバー1に限られず種々の変更が可能である。
【0066】
例えば、以上の説明では、連結部材5は第2連結部52を有していた。しかしながら、連結部材5は必ずしも第2連結部52を有していなくてもよい。つまり、第1連結部51が直接的に取付部材4に連結されてもよい。
【0067】
また、以上の説明では、第2連結部52は第1連結部51に接続されていた。しかしながら、第2連結部52は前カバープレート2の縁や後カバープレート3の縁に接続されてもよい。
【0068】
また、前カバープレート2と後カバープレート3のうち一方のカバープレートは、他方のカバープレートを通して取付部材4に連結されてもよい。例えば、取付部材4は前カバープレート2の下縁に連結され、後カバープレート3は前カバープレート2の右縁や左縁に連結され、前カバープレート2を通して取付部材4に連結されてもよい。このような構造では、後カバープレート3は前カバープレート2の右縁又は左縁を中心にしてその角度を変化させることにより、結果的に取付部材4に対するその角度を変えることができる。
【符号の説明】
【0069】
1,100 収納カバー、2 前カバープレート、3 後カバープレート、4,104 取付部材、5 連結部材、11 ホルダーベルト、41 フレーム部、42,142 取付部、51 第1連結部、52 第2連結部、53 保持部、90 携帯型電子機器、91 表示画面、93 背面タッチパネル、94 固定孔、95,97 コネクタ,98 マイク,131 ホルダー部、143 フック、121 スタンドプレート。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に表示画面を有し背面に操作部を有する携帯型電子機器の収納カバーであって、
前記電子機器の前面を覆うための前カバープレートと、
前記電子機器の背面を覆うための後カバープレートと、
前記電子機器の縁に取り付け可能な取付部材と、を備え、
前記前カバープレートと前記後カバープレートは、いずれも前記取付部材に対する相対角度を変えることができるように、前記取付部材に連結されている、
ことを特徴とする収納カバー。
【請求項2】
請求項1に記載の収納カバーにおいて、
前記前カバープレートの縁と前記後カバープレートの縁とを連結する第1連結部を含み、
前記取付部材は前記第1連結部に連結されている、
ことを特徴とする収納カバー。
【請求項3】
請求項2に記載の収納カバーにおいて、
前記取付部材から前記第1連結部に向かって伸びる第2連結部をさらに備える、
ことを特徴とする収納カバー。
【請求項4】
請求項1に記載の収納カバーにおいて、
前記前カバープレートと前記後カバープレートは、可撓性を有する連結部材を通して前記取付部材に連結されている、
ことを特徴とする収納カバー。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の収納カバーにおいて、
前記取付部材は前記電子機器の前記縁に沿った方向に互いに離れて位置し、前記電子機器の前記縁に取り付け可能な少なくとも2つの取付部を有する、
ことを特徴とする収納カバー。
【請求項6】
請求項5に記載の収納カバーにおいて、
前記少なくとも2つの取付部は、前記電子機器の前記縁の両端に取り付け可能である、
ことを特徴とする収納カバー。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の収納カバーにおいて、
前記取付部材は、当該取付部材が前記電子機器に固定されるように、前記電子機器に引っ掛かることができるように構成されている、
ことを特徴とする収納カバー。
【請求項8】
請求項7に記載の収納カバーにおいて、
前記取付部材は、前記電子機器の縁に形成された孔の縁に引っ掛かる取付部を有している、
ことを特徴とする収納カバー。
【請求項9】
請求項1に記載の収納カバーにおいて、
前記電子機器が前記後カバープレート上に配置されたときの取付部材の姿勢に当該取付部材を保持可能な保持部と、
前記後カバープレートを立てた状態に支持するスタンド部と、をさらに備える、
ことを特徴とする収納カバー。
【請求項10】
請求項9に記載の収納カバーにおいて、
前記取付部材はフックを含み、
前記後カバープレートは前記保持部を有し、
前記フックは前記後カバープレートを立てた状態で前記取付部材の下方への移動を規制するよう前記保持部に引っ掛けることができる、
ことを特徴とする収納カバー。
【請求項11】
請求項9に記載の収納カバーにおいて、
前記後カバープレートと前記前カバープレートは、それらの外面が互いに向き合う角度まで動かすことができるように互いに連結されており、
前記スタンド部は前記前カバープレートの内面に取り付けられている、
ことを特徴とする収納カバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−16767(P2013−16767A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−199859(P2011−199859)
【出願日】平成23年9月13日(2011.9.13)
【特許番号】特許第4914947号(P4914947)
【特許公報発行日】平成24年4月11日(2012.4.11)
【出願人】(310021766)株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント (417)
【Fターム(参考)】