説明

携帯型電子機器

【課題】アンテナの受信感度の低下を抑制する携帯型電子機器を提供する。
【解決手段】腕時計1は、GPS衛星から送信される衛星信号を受信するGPSアンテナ16と、受信した衛星信号を処理するGPSモジュール21と、文字板11と、を備え、GPSアンテナ16及びGPSモジュール21は、文字板11の表示面とは反対となる裏面側に配置され、かつ、文字板11を観察する観察方向から当該腕時計1を見て、互いに離間して配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、GPS衛星等の位置情報衛星から送信される衛星信号を受信する携帯型電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、GPS(Global Position System)衛星から送信される衛星信号を受信する携帯型電子機器が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1に記載の携帯型電子機器(腕時計)は、GPS衛星から送信された衛星信号を受信するアンテナと、当該アンテナと電気的に接続され、アンテナにより受信された衛星信号を処理する電子モジュールと、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−526985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の携帯型電子機器では、電子モジュール上にアンテナが配置されている。このように、アンテナと電子モジュールとが近接して配置されていると、電子モジュールから発信されるインバンドノイズが直接アンテナに入り、前述の衛星信号の受信感度が低下するという課題がある。
【0005】
本発明では、アンテナの受信感度の低下を抑制する携帯型電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の携帯型電子機器は、位置情報衛星から送信される衛星信号を受信するアンテナと、受信された衛星信号を処理する受信回路と、所定の情報を表示する表示部と、を備えた携帯型電子機器であって、前記アンテナ及び前記受信回路は、前記表示部の表示面とは反対となる裏面側に配置され、かつ、前記表示部により表示された前記情報が観察される観察方向から当該携帯型電子機器を見て、互いに離間して配置されていることを特徴とする。
ここで、アンテナ及び受信回路が、表示部の裏面側に配置されるとは、アンテナ及び受信回路が表示部に接して配置される構成の他、表示部の裏面から離間した位置に配置される構成をも含むものである。
【0007】
本発明によれば、表示部に表示される情報を観察する観察方向から当該携帯型電子機器を見た際、つまり、情報が表示される表示部の表示面に対して直交する方向から当該携帯型電子機器を見た平面視において、アンテナ及び受信回路が互いに離間して配置されている。このため、受信回路から発信されるインバンドノイズがアンテナに入りにくく、アンテナの受信感度の低下を抑制できる。
これに加え、本発明の携帯型電子機器では、表示部の裏面側にアンテナ及び受信回路が配置される。このため、表示部に表示される情報を観察する観察方向から当該携帯型電子機器を見た際に、アンテナや受信回路が表示部の情報を表示する表示面から露出せず、外観を良好にできる。また、アンテナ及び受信回路のいずれか一方が表示面側に設けられ、他方が裏面側に設けられる構成等に比べて、厚み寸法の増大を抑えられ、携帯型電子機器を小型化でき、携帯性を向上させることができる。
【0008】
本発明の携帯型電子機器では、前記アンテナ及び前記受信回路が設けられる基板を有することが好ましい。
本発明によれば、アンテナ及び受信回路が同一の基板上に配置されることとなる。これによれば、例えば、アンテナを配置する基板、及び受信回路を配置する基板を、それぞれ別基板として設ける構成と比べて、基板枚数を削減でき、基板間の配線も不要にできる。従って、携帯型電子機器の構成の簡略化を図れ、携帯型電子機器の一層の小型化、及び製造コストの削減を図ることができる。また、不要な配線が減少することで、受信回路における信号処理の安定性をも確保することができる。
【0009】
本発明の携帯型電子機器では、前記アンテナ及び前記受信回路は、前記基板の同一面上に配置されることが好ましい。
本発明によれば、アンテナ及び受信回路が、基板の同一面(同一実装面)上に配置されるため、例えば、基板の一面側にアンテナが配置され、他面側に受信回路が配置される構成等と比べて、厚み寸法を小さくできる。したがって、携帯型電子機器の更なる小型化を図れる。
【0010】
本発明の携帯型電子機器では、前記表示部は、前記情報を表示する指針と、前記観察方向から見て当該表示部の中心に位置し、前記指針を保持する指針軸と、を有し、前記アンテナ及び前記受信回路は、前記観察方向から見て、前記指針軸を中心として互いに点対称となる位置に配置されていることが好ましい。
本発明によれば、表示部の中心位置の指針軸に対して、アンテナ及び受信回路が互いに点対称に配置されるので、アンテナ及び受信回路を確実に離間配置することができる。従って、受信回路から発信されるインバンドノイズの影響もより確実に軽減でき、アンテナの受信感度を向上させることができる。
【0011】
本発明の携帯型電子機器では、前記表示部は、前記観察方向から当該表示部を観察する際、上方向を0時方向、右方向を3時方向、下方向を6時方向、左方向を9時方向とする文字板を有し、前記アンテナは、前記文字板の前記9時方向に対応する位置に配置されていることが好ましい。
本発明によれば、携帯型電子機器を腕時計として利用した場合に、衛星信号の受信をしやすくなる。つまり、腕時計を装着する場合、一般に、左腕(特に手首)に装着することが多く、この場合、腕を下に垂らした状態で9時方向が鉛直上側となる。したがって、この9時方向にアンテナを配置することで、例えば歩行時等の腕を鉛直下側に垂らしている状態において、アンテナが携帯型電子機器内で鉛直上側に位置することとなる。これにより、位置情報衛星から送信される衛星信号を受信しやすくなる。
【0012】
本発明の携帯型電子機器では、前記アンテナ及び前記受信回路を収納する筐体を備え、前記アンテナは、前記表示部に対向する上面と、当該上面に隣接する側面とを備え、前記筐体は、前記アンテナの前記側面に対向する側面部を有し、前記側面部は、非導電性材料により構成されていることが好ましい。
本発明によれば、筐体のうち、アンテナの側面に対向する側面部が非導電性材料により構成される。このため、携帯型電子機器における側方からの衛星信号が筐体により遮断されることを抑制できる。したがって、アンテナは、位置情報衛星からの衛星信号を良好に受信することができる。
【0013】
本発明の携帯型電子機器では、前記観察方向から見て前記アンテナと重なる領域は、非導電性材料により構成されていることが好ましい。
本発明によれば、表示部を観察する観察方向から見た平面視において、アンテナと重なる領域が非導電性材料により構成されている。このため、携帯型電子機器において観察方向から入力された衛星信号が、導電性部材により遮断されることがなく、当該衛星信号をアンテナにより良好に受信することができる。
【0014】
本発明の携帯型電子機器では、前記アンテナは、パッチアンテナであることが好ましい。
本発明によれば、アンテナとして、例えばチップアンテナ等に比べてGND基板が小さいパッチアンテナが用いられている。これにより、アンテナの小型化、及び携帯型電子機器の更なる小型化を図ることができる。また、パッチアンテナでは、アンテナの上面(表示部に対向する部分)及び側面(前記上部に隣接する面)での衛星信号の受信感度を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る腕時計を示す概略図。
【図2】本実施形態の腕時計の正面図。
【図3】本実施形態の腕時計の概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明の好適な実施の形態を、添付図面等を参照しながら詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0017】
図1は、本発明に係る携帯型電子機器であるGPS時刻修正装置付き腕時計1(以下「腕時計1」という)を示す概略図であり、図2は腕時計1の正面図である。また、図3は腕時計1の概略断面図である。
腕時計1は、地球の上空を所定の軌道で周回している複数のGPS衛星2のうち、少なくとも1つのGPS衛星2からの衛星信号を受信して衛星時刻情報を取得し、内部に保持した時刻情報(内部時刻情報)を修正できるように構成されている。なお、GPS衛星2は、本発明における位置情報衛星の一例であり、地球の上空に複数存在している。現在は約30個のGPS衛星2が周回している。
【0018】
この腕時計1は、図2に示すように、本発明の表示部を構成する文字板11および指針12を備える。
文字板11には、一般的な時計と同様に、各指針12による時刻を指示するための目盛が形成されている。ここで、腕時計1は、詳しい図示を省略するが、時針121を12時間で時計周り方向に1周させる通常の時計機能を有し、文字板11は、時針121により時間を表示可能な目盛を備える。したがって、腕時計1を腕に装着して、文字板11の目盛を観察する観察方向から見た状態(文字板11を厚み方向から見た平面視)で、上方向が0時方向、右方向が3時方向、下方向が6時方向、左方向が9時方向となる。
そして、この文字板11は、非導電性材料(例えば、プラスチック、ガラス等)により構成されており、GPS衛星2から送信される衛星信号を通過させやすい構成となっている。
指針12は、時針121、分針122、秒針123を備えて構成され、これらは文字板11の中心位置に設けられる指針軸124により回転可能に保持されている。そして、これらの指針12は、後述するステップモーター(機械的駆動手段)で歯車を介して駆動される。
【0019】
次に、腕時計1の詳細な構成について説明する。
図2及び図3に示すように、腕時計1は、筐体10を備えている。この筐体10は、外装ケース13(筐体の側面部を構成)と、表面ガラス140を保持するベゼル14と、裏蓋15と、を備える。
外装ケース13は、本発明における筐体の側面部を構成し、例えばプラスチック、セラミック、ガラス等の非導電性材料により構成されている。この外装ケース13は、略円筒状に形成され、外装ケース13の表面側の開口には、ベゼル14を介して表面ガラス140が取り付けられている。また、外装ケース13の裏面側の開口には裏蓋15が取り付けられている。裏蓋15は、金属で構成されてリング状に形成され、その中央の開口には裏面ガラス150が取り付けられている。なお、ここでは、裏面ガラス150が取り付けられる例を示すが、例えば金属製蓋部材が取り付けられる構成などとしてもよい。
また、外装ケース13には、図2に示すように、ボタン131,132やリューズ133等の外部操作部材が設けられている。
【0020】
外装ケース13の内部には、指針12を駆動するステップモーター、GPSアンテナ16、ソーラーパネル17、及び電池18などが配置されている。
ステップモーターは、モーターコイル19、図示略のステーター、ローターなどからなる時計用に用いられる一般的なものである。このステップモーターは歯車を介して指針12を駆動する。
【0021】
GPSアンテナ16は、地球の上空を所定の軌道で周回している複数のGPS衛星2からの衛星信号を受信するアンテナである。本実施形態では、このGPSアンテナ16は、パッチアンテナにより構成され、文字板11側からの衛星信号を主に受信する上面16Aと、外装ケース13側(腕時計1の側方)からの衛星信号を主に受信する側面16Bと、を備えている。このようなパッチアンテナでは、例えばチップアンテナ等の他のアンテナに比べてGND基板161を小さくでき、かつ、上面16A及び側面16Bにおいて高い受信感度を確保することができる。なお、GPSアンテナ16としては、パッチアンテナに限られず、例えばヘリカルアンテナ、チップアンテナ、逆Fアンテナなどを採用してもよい。
このGPSアンテナ16は、文字板11の表示面11A(図3参照)の反対側に配置される。ここで、上述のように、文字板11は非導電性材料で構成されているため、GPS衛星から送信される衛星信号は、表面ガラス140及び文字板11を通過して、GPSアンテナ16に入力される。また、ベゼル14は、前記衛星信号の受信性能を向上させるために、セラミックス製とされている。
【0022】
また、GPSアンテナ16は、図2に示すように、文字板11を観察方向から見た場合、つまり、文字板11を厚み方向から見た平面視において、指針12を保持する指針軸124に対して文字板11の9時方向に配置されている。このような構成では、腕時計1を装着した利用者が腕を鉛直下側に垂らした状態で、GPSアンテナ16が、腕時計1の中で鉛直上側に配置されることとなり、GPS衛星から送信される衛星信号を受信しやすい構造となる。
ここで、上述のように、GPSアンテナ16の側面16Bに対向する外装ケース13は、非導電性材料で構成されているため、腕時計1の側方から入力される衛星信号は、外装ケース13により遮断されることなく通過する。従って、腕時計1が腕に装着された状態であっても、腕時計1の側方からの衛星信号を、GPSアンテナ16により良好に受信することができる。
【0023】
GPSアンテナ16の裏蓋側には、回路基板20が配置され、回路基板20の裏蓋側には電池18が配置されている。
回路基板20には、後述するようにGPSアンテナ16で受信した信号を処理するGPSモジュール21(本発明の受信回路)や、前記指針12を駆動するステップモーター等の制御や受信した衛星信号に基づいた内部時刻情報の修正等を行う時計回路22が取り付けられている。GPSモジュール21や時計回路22は、電池18から供給される電力で駆動される。
【0024】
ここで、これらのGPSモジュール21や時計回路22は、回路基板20において文字板11に対向する面に配設されている。つまり、GPSアンテナ16、GPSモジュール21、及び時計回路22は、回路基板20の同一実装面上、言い換えると回路基板20の同一面上に設けられている。
また、図2に示すように、文字板11の厚み方向から見た平面視において、GPSモジュール21は、指針軸124に対して3時方向に配置されている。つまり、文字板11を観察する観察方向から腕時計1を見た際、GPSアンテナ16と、GPSモジュール21とは、指針軸124を中心として、互いに点対称となる位置に配置される。
このような構成では、GPSアンテナ16と、GPSモジュール21とが互いに離間して配置されることになり、GPSモジュール21から発信されるインバンドノイズがGPSアンテナ16に入りにくくなる。これにより、GPSアンテナ16の受信感度を向上させることが可能となる。
【0025】
GPSモジュール21は、具体的な構成の図示を略すが、GPS衛星から送信される衛星信号を受信してデジタル信号に変換するRF(Radio Frequency)部と、受信信号の相関判定を行って同期を行うBB部(ベースバンド部)と、BB部で復調された航法メッセージ(衛星信号)から時刻情報や測位情報を取得する情報取得部とを備える。
【0026】
RF部は、バンドパスフィルター、PLL回路、IFフィルター、VCO(Voltage Co
ntrolled Oscillator)、ADC(A/D変換器)、ミキサー、LNA(Low Noise Amplifier)、IFアンプ等を備えている。
そして、バンドパスフィルターで抜き出された衛星信号は、LNAで増幅された後、ミキサーでVCOの信号とミキシングされ、IF(Intermediate Frequency:中間周波数)にダウンコンバートされる。ミキサーでミキシングされたIFは、IFアンプ、IFフィルターを通り、ADC(A/D変換器)でデジタル信号に変換される。
【0027】
BB部は、GPS衛星で送信時に使用されたものと同一のC/Aコードからなるローカルコードを生成するローカルコード生成部と、前記ローカルコードとRF部から出力される受信信号との相関値を算出する相関部とを備える。
そして、前記相関部で算出された相関値が所定の閾値以上であれば、受信した衛星信号に用いられたC/Aコードと生成したローカルコードが一致していることになり、衛星信号を捕捉(同期)することができる。このため、受信した衛星信号を、前記ローカルコードを用いて相関処理することで、航法メッセージを復調することができる。
【0028】
情報取得部は、BB部で復調した航法メッセージから時刻情報や位置情報を取得する。すなわち、GPS衛星から送信される航法メッセージには、プリアンブルデータ及びHOW(Handover Word)のTOW(Time of Week、「Zカウント」ともいう)、各サブフレームデータが含まれている。サブフレームデータは、サブフレーム1からサブフレーム5まであり、各サブフレームには、例えば、週番号データや衛星健康状態データを含む衛星補正データ等や、エフェメリス(GPS衛星毎の詳細な軌道情報)や、アルマナック(全GPS衛星の概略軌道情報)などのデータが含まれている。
従って、情報取得部は、受信した航法メッセージから所定のデータ部分を抽出し、時刻情報や位置情報を取得している。
【0029】
時計回路22は、GPSモジュール21を制御し、取得した時刻情報に基づいて内部時刻情報を修正する。そして、時計回路22は、内部時刻情報に基づいて、指針12を駆動させ、時刻を表示させる。
【0030】
ソーラーパネル17は、光エネルギーを電気エネルギーに変換する光発電を行う光発電素子を備え、表面ガラス140を透過した光を受光して光発電を行うことができる。
このソーラーパネル17は、文字板11の表面側に配置され、図2に示すように、文字板11よりも径寸法が小さく形成されている。これにより、腕時計1を観察方向から観察した際に、文字板11の外周縁に沿って設けられた目盛が視認可能となる。
また、ソーラーパネル17は、図2に示すように、平面視において、少なくともGPSアンテナ16と重なる領域が開口する窓部171を備えている。このため、ソーラーパネル17を配置した場合であっても、GPS衛星2から送信される衛星信号がソーラーパネル17により阻害されず、GPSアンテナ16は、窓部171を通過した衛星信号を受信することが可能となる。
電池18は、リチウムイオン電池などの二次電池により構成される。この電池18は、腕時計1の電源であり、ソーラーパネル17で発生した電力を蓄積する。
【0031】
[実施形態の作用効果]
本実施形態の腕時計1では、文字板11を観察する観察方向から当該腕時計1を見た際(図2のような平面視において)、GPSアンテナ16及びGPSモジュール21が、互いに離間して配置されている。このため、GPSモジュール21から発信されるインバンドノイズが直接GPSアンテナ16に入る不都合を抑制でき、GPSモジュール21における受信感度を向上させることができる。
また、GPSアンテナ16及びGPSモジュール21が、表示部を構成する文字板11の裏側(裏蓋15側)に配置されている。このため、GPSアンテナ16やGPSモジュール21が、前記観察方向から見た際に、文字板11側に露出することがなく、外観が良好となる。また、本実施形態では、例えば文字板11の表面側にGPSアンテナ16及びGPSモジュール21の一方が配置され、裏面側に他方が配置されるような構成に比べて、腕時計1の厚み方向に対する制約が抑えられるため、小型化を図れる。
【0032】
本実施形態では、GPSアンテナ16及びGPSモジュール21は、同一の回路基板20に配置されている。このため、例えばGPSアンテナ16を配置するための基板、及びGPSモジュール21を配置するための基板をそれぞれ設けて、これらの基板間を配線する構成に比べて、腕時計1の構成を簡略化でき、小型化を促進できる。また、回路基板20にGPSアンテナ16及びGPSモジュール21を接続する回路を形成することができるため、不要な配線を減らすことができ、機器信頼性を向上させることができるとともに、信号の安定性を向上させることができる。
【0033】
本実施形態では、GPSアンテナ16及びGPSモジュール21は、回路基板20の文字板11に対向する面に配置されている。このように、GPSアンテナ16及びGPSモジュール21を回路基板20の一面側に設けることで、例えばGPSアンテナ16及びGPSモジュール21のいずれか一方を回路基板20の裏面に配置し、他方を表面に配置する構成等と比べて、厚み寸法の増大を抑制でき、腕時計1を更に小型化(薄型化)できる。
【0034】
本実施形態では、当該腕時計1を観察方向から見た際に、つまり、文字板11の厚み方向から見た平面視において、GPSアンテナ16及びGPSモジュール21は、指針軸124を中心として互いに点対称となる位置に配置されている。このような構成とすることで、GPSアンテナ16及びGPSモジュール21が確実に離間して配置されることとなり、GPSモジュール21から発信されるインバンドノイズのGPSアンテナ16に対する影響をより確実に軽減できる。また、比較的大きい部材であるGPSアンテナ16及びGPSモジュール21が点対称に配置されることで、配置位置のバランスが良好となり、腕時計1を構成する各部材の配置構造を最適化することができる。
【0035】
本実施形態では、当該腕時計1を文字板11の厚み方向から見た図2のような平面視において、GPSアンテナ16が文字板11の9時位置に配置されている。
このような構成では、腕時計1が利用者の左腕に装着され、利用者が腕を鉛直下側に下した状態で、GPSアンテナ16が腕時計1の中で鉛直上側に位置することとなる。このため、上空のGPS衛星2から送信される衛星信号をより好適にGPSアンテナ16で受信することができ、GPSアンテナ16の受信感度を向上させることができる。
【0036】
本実施形態では、GPSアンテナ16の側面16Bに対向する外装ケース13が非導電性材料により構成されている。
このため、利用者が腕時計1を左腕に装着し、かつ、腕を鉛直下側に下した状態でGPSアンテナ16による受信処理を実施した場合など、腕時計1の側方から衛星信号が入力される場合において、外装ケース13による衛生信号の遮断を抑制できる。従って、本実施形態では、利用者の腕が鉛直下側に下された状態でも、GPSアンテナ16の受信感度の低下を抑制することができる。
【0037】
本実施形態では、文字板11が非導電性材料により構成されている。また、ソーラーパネル17は、平面視において、GPSアンテナ16と重なる位置が開口する窓部171を備えている。つまり、本実施形態では、平面視において、少なくともGPSアンテナ16と重なる領域の部材が非導電性材料により構成されることとなる。
このような構成では、表面ガラス140側からの衛星信号が文字板11やソーラーパネル17により阻害されることない。したがって、GPSアンテナ16は、良好な受信感度で衛星信号を受信することができる。
【0038】
そして、本実施形態では、GPSアンテナ16として、パッチアンテナが採用されている。このようなパッチアンテナはGND基板161が他のアンテナに比べて小型化ができる。このため、腕時計1の小型化にも貢献できる。また、パッチアンテナでは、文字板に対向する上面16Aや、上部に隣接する側面16Bで高い受信感度を確保することができるため、他の種類のアンテナが配置される場合に比べて、受信感度の向上を図れる。
【0039】
〔変形例〕
なお、本発明は前記実施形態に限定されない。
例えば、前記実施形態では、文字板11の表面側にソーラーパネル17を配置する構成としたが、例えば、ソーラーパネル17上に目盛を配置する等することで、本発明の表示部として機能させてもよい。この場合、窓部171に非導電性材料を装着することで、GPSアンテナ16の露出を防止して外観を高品位に維持することができるとともに、GPSアンテナ16の受信感度の低下を抑制できる。
【0040】
上記実施形態では、9時位置にGPSアンテナ16が配置される例を示したが、これに限らない。例えば左利きの利用者が右腕に腕時計が装着することを想定して、3時位置にGPSアンテナ16が設けられ、9時位置にGPSモジュール21が配置される構成などとしてもよい。また、0時位置や6時位置等にGPSアンテナ16が配置される構成などとしてもよい。
【0041】
上記実施形態では、9時方向にGPSアンテナ16を配置し、3時方向にGPSモジュール21を配置することで、これらのGPSアンテナ16及びGPSモジュール21が指針軸124に対して互いに点対称となる配置構成を例示したが、これに限定されない。例えば、GPSアンテナ16が9時方向に配置され、GPSモジュール21が4時位置に設けられる構成などとしてもよい。このような場合でも、平面視において、GPSアンテナ16及びGPSモジュール21が離間して配置されるため、これらが隣接して設けられる構成に比べて、インバンドノイズの影響を軽減させることができる。
【0042】
さらに、GPSアンテナ16及びGPSモジュール21が、同一の回路基板20上に配置される構成を例示したが、それぞれ異なる基板に配置される構成としてもよい。
また、GPSアンテナ16及びGPSモジュール21が、回路基板20の文字板11に対応する面に配置される例を示したが、裏蓋15に対向する面に配置される構成としてもよい。
さらに、GPSアンテナ16が回路基板20の文字板11側に配置され、GPSモジュール21が裏蓋15側に配置されるなど、それぞれ同一平面上に配置されない構成としてもよい。この場合、腕時計1の厚み寸法が増大することが考えられるが、GPSモジュール21とGPSアンテナ16の位置をより離間させることができる。したがって、GPSモジュール21で発生するインバンドノイズの影響をより軽減でき、GPSアンテナ16の受信感度の低下をより確実に抑制できる。
【0043】
また、筐体10の外装ケース13が非導電性材料により構成される例を示したが、表面ガラス140側からの衛星信号のみを受信する場合では、外装ケース13が金属等の導電性材料により構成されてもよい。
さらに、上記実施形態では、携帯型電子機器として腕時計1を例示し、表面ガラス140側からの衛星信号を受信する構成としたが、例えば、裏蓋15側や外装ケース13側(側方)から衛星信号を受信可能な場合、文字板11を導電性材料により構成してもよい。
【0044】
本発明の携帯型電子機器は、指針を有するアナログ時計に限らず、指針およびディスプレイを有するコンビネーション時計や、ディスプレイのみを有するデジタル時計に適用してもよい。さらに、本発明は、腕時計に限らず、懐中時計などの各種携帯型の時計や、携帯電話機、デジタルカメラ、PND(パーソナル・ナビゲーション・デバイス)、カーナビなどの各種携帯型情報端末等に適用してもよい。
【0045】
発電装置としては、ソーラーパネル17に限定されず、回転錘で発電機を作動させるものなどでもよい。また、腕時計1に発電装置を設けずに、外部電源、たとえばコンセントなどからの電力で電池18を充電してもよい。
さらに、電源としては、充電可能な二次電池に限らず、一次電池でもよい。
【0046】
また、上述の実施形態は、位置情報衛星の例としてGPS衛星について説明したが、本発明の位置情報衛星としては、GPS衛星だけではなく、ガリレオ(EU)、GLONASS(ロシア)、北斗(中国)などの他の全地球的航法衛星システム(GNSS)や、SBASなどの静止衛星や準天頂衛星などの時刻情報を含む衛星信号を発信する位置情報衛星でもよい。
【符号の説明】
【0047】
1…腕時計(携帯型電子機器)、2…GPS衛星(位置情報衛星)、10…筐体、11…文字板(表示部)、11A…表示面、12…指針、13…外装ケース(筐体に側面部を構成)、16…GPSアンテナ(アンテナ)、16A…上面、16B…側面、20…回路基板(基板)、21…GPSモジュール(受信回路)、124…指針軸。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置情報衛星から送信される衛星信号を受信するアンテナと、
受信された衛星信号を処理する受信回路と、
所定の情報を表示する表示部と、を備えた携帯型電子機器であって、
前記アンテナ及び前記受信回路は、前記表示部の表示面とは反対となる裏面側に配置され、かつ、前記表示部により表示された前記情報が観察される観察方向から当該携帯型電子機器を見て、互いに離間して配置されている
ことを特徴とする携帯型電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の携帯型電子機器において、
前記アンテナ及び前記受信回路が設けられる基板を有する
ことを特徴とする携帯型電子機器。
【請求項3】
請求項2に記載の携帯型電子機器において、
前記アンテナ及び前記受信回路は、前記基板の同一面上に配置されている
ことを特徴とする携帯型電子機器。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の携帯型電子機器において、
前記表示部は、
前記情報を表示する指針と、
前記観察方向から見て当該表示部の中心に位置し、前記指針を保持する指針軸と、を有し、
前記アンテナ及び前記受信回路は、前記観察方向から見て、前記指針軸を中心として互いに点対称となる位置に配置されている
ことを特徴とする携帯型電子機器。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の携帯型電子機器において、
前記表示部は、前記観察方向から当該表示部を観察する際、上方向を0時方向、右方向を3時方向、下方向を6時方向、左方向を9時方向とする文字板を有し、
前記アンテナは、前記文字板の前記9時方向に対応する位置に配置されている
ことを特徴とする携帯型電子機器。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の携帯型電子機器において、
前記アンテナ及び前記受信回路を収納する筐体を備え、
前記アンテナは、前記表示部に対向する上面と、当該上面に隣接する側面とを備え、
前記筐体は、前記アンテナの前記側面に対向する側面部を有し、
前記側面部は、非導電性材料により構成されている
ことを特徴とする携帯型電子機器。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の携帯型電子機器において、
前記観察方向から見て前記アンテナと重なる領域は、非導電性材料により構成されている
ことを特徴とする携帯型電子機器。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれかに記載の携帯型電子機器において、
前記アンテナは、パッチアンテナである
ことを特徴とする携帯型電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−44704(P2013−44704A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−184657(P2011−184657)
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】