説明

携帯型電子装置

携帯型電子装置100は、両端がユーザの両手によってそれぞれ把持される横長形状の筐体10と、筐体10の表面に嵌め込まれたLCDとを備える。筐体10を把持したユーザの指がかかる該筐体の背面両端部分に、外方向に凸状をなす膨らみ42L、42Rが形成されている。ユーザの指と手の平を自然に曲げた状態で膨らみ42L、42Rに沿わせることで、手に持った場合のなじみが良く、該装置によりゲームをプレイしているときに激しい動作をしても操作性が失われにくい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は携帯型電子装置の構造に関し、より詳細には携帯型電子装置の操作性を向上させる構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、多種多様なゲームが開発され、娯楽として高い地位を占めている。特に、最近では携帯型のゲーム装置が普及し、ユーザは場所を選ばずにゲームを楽しむことができるようになっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
携帯型ゲーム装置や個人情報端末(PDA)などの携帯型電子装置は、多種多様のものが開発されているが、その多くは直方体に近似した形状の筐体を有している。これらの携帯型電子装置を使用してゲームをプレイすると、筐体を把持しづらく操作性が不足するため、ゲームの興趣を削ぐことがあった。また、直方体形状の筐体では長時間把持すると、ユーザの手が疲労しやすいという問題もあった。
【0004】
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ユーザにより操作しやすい形状をなした携帯型電子装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のある態様は、両端がユーザの両手によってそれぞれ把持される横長形状の筐体と、前記筐体の表面に嵌め込まれた表示手段と、を備える携帯型電子装置に関する。この装置は、筐体を把持したユーザの指がかかる該筐体の背面両端部分に、外方向に凸状をなす膨らみが形成されていることを特徴とする。
【0006】
この態様によれば、ユーザの指と手の平を自然に曲げた状態で筐体背面の膨らみに沿わせることで、携帯型電子装置を把持しやすくなり、該装置によりゲームをプレイしているときに激しい動作をしても操作性が失われにくい。また、手に持った場合のなじみが良く、携帯型電子装置を長時間保持していても手が疲労しにくい。
【0007】
携帯型電子装置の筐体は樹脂成型部品であってもよく、この樹脂成型部品は、表示手段を視認可能な透光窓部と透光窓部以外の枠部とからなり、透光窓部は透明の第1樹脂から形成され、枠部は色付きの第2樹脂から形成され、第1樹脂と第2樹脂は二色成型により一体的に成型されることが好ましい。このように、透光窓部と枠部とを一体成型することで、筐体の強度を確保することができる。
【0008】
また、上記筐体の樹脂成型部品において、第1樹脂が枠部の表面全体を覆うように成型してもよい。こうすると、筐体の表面に継ぎ目、段差、隙間のない一様な面を形成することができるので、美観が向上する。
【0009】
携帯型電子装置は、筐体の内部にスピーカーを備え、該筐体の底面にスピーカーから発生される音声が通過する貫通穴が形成されており、該貫通穴には筐体の表面寄りに角度が付けられていてもよい。これによって、携帯型電子装置を把持したユーザの顔に近い方向に音声を発することができる。
【0010】
また、筐体の表面に第2の貫通穴が形成されており、スピーカーから発生される音声を第2の貫通穴に導く空間が前記筐体の内部に形成されていてもよい。これによって、ユーザは筐体の表面からも音が発せられているように感じ、臨場感が向上する。
【0011】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、携帯型電子装置の筐体の背面に膨らみを設けたので、携帯型電子装置の操作性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施の形態1に係る携帯型電子装置の正面図である。
【図2】実施の形態1に係る携帯型電子装置の平面図である。
【図3】実施の形態1に係る携帯型電子装置の背面図である。
【図4】実施の形態1に係る携帯型電子装置の底面図である。
【図5】実施の形態1に係る携帯型電子装置の左側面図である。
【図6】実施の形態1に係る携帯型電子装置の右側面図である。
【図7】上側部を構成する樹脂成型部品を示す図である。
【図8】上側部の枠部を示す図である。
【図9】携帯型電子装置を両手で把持したときの様子を示す図である。
【図10】携帯型電子装置の機能ブロック図である。
【図11】スピーカー構造を示す図である。
【図12】ヘッドフォンとリモートコントローラのジャックを示す図である。
【図13】実施の形態2に係る携帯型情報端末の正面図である。
【図14】実施の形態2に係る携帯型情報端末の平面図である。
【図15】実施の形態2に係る携帯型情報端末の背面図である。
【図16】実施の形態2に係る携帯型情報端末の第1変形例を示す正面図である。
【図17】実施の形態2に係る携帯型情報端末の第2変形例を示す正面図である。
【図18】実施の形態2に係る携帯型情報端末の第3変形例を示す正面図である。
【図19】図18の携帯型情報端末の動作を示す正面図である。
【符号の説明】
【0014】
10 筐体、10a 上側部、10b 中間部、10c 下側部、12 LCD、20 十字キー、22 アナログデバイス、26L、26R 底面貫通穴、28L、28R 上面貫通穴、30 ボタンキー、42L、42R 膨らみ、46L Lボタン、46R Rボタン、48L 左手領域、48R 右手領域、50 ボタン領域、70 入力用端子、72 電源端子、74 取り付け穴、80L、80R スピーカー、82 ヘッドフォンプラグ、84 コード、98L、98R ダクト、180 中央制御装置、182 画像処理ユニット、184 音声処理ユニット、190 インターフェース。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
実施の形態1.
図1ないし図6は、本発明の一実施形態である携帯型電子装置100の外観を示す図である。図1は携帯型電子装置100の正面図であり、筐体10は、全体として横長の長円形状を有している。筐体10の両端は、中心線から一定の距離偏心した位置を中心とする円弧状に湾曲形成されている。
【0016】
筐体10は、図2および図4に示すように、上側部10a、中間部10bおよび下側部10cから構成され、その内部に各種ボタン操作による信号を発生するスイッチ接点と、その信号を処理し各種演算を実行する中央制御装置と、画像処理を実行する画像処理ユニットと、音声処理を実行する音声処理ユニットなどが搭載された回路基板(図示せず)を内蔵している。図示しない回路基板は、上側部10aまたは下側部10cに固定されている。また、中間部10bは上側部10aおよび下側部10cに比して剛性が高く、筐体10全体の剛性を確保している。
【0017】
図1に戻り、筐体10の中央部分には、表示装置としての液晶ディスプレイ(以下、「LCD」という)12が嵌め込まれている。このLCD12には、例えば、携帯型電子装置100がゲーム装置として機能する場合には、ゲーム画面が表示され、携帯型電子装置100がいわゆる個人情報端末(PDA)として機能する場合には、スケジュール帳や住所録などが表示される。
【0018】
図7は、上側部10aの形状を示す図である。上側部10aは樹脂成型部品であり、回路基板上に配置されたLCD12や各種ボタン等を覆うように設けられる。上側部10aは、透光窓部102と枠部104とからなる。図8は、枠部104を明示する図である。枠部104には、透光窓部102を成型するための略長方形状の空間と、各種ボタンを緩挿するため穴106、108や、LEDを視認するための穴などが多数形成される。
【0019】
透光窓部102はLCD1を保護し、LCD12を視認可能とするために透明の樹脂材料から形成される。枠部104は、回路基板が見えないようにするために、色付きの樹脂材料から形成される。透光窓部102と枠部104とは、異なる色や異なる材質の樹脂を同時に成型する二色成型技術により一体的に成型される。具体的には、型枠内に枠部104を形成する色付きの樹脂材料を注入した後、透光窓部102を形成する透明の樹脂材料を注入する。このとき、透明の樹脂材料は、透光窓部102だけでなく、枠部104の表面(つまり、携帯型電子装置100がユーザにより把持されたときに、ユーザが見る面)のうち、ボタン穴を除く全体を膜状に薄く覆うように成型される。これによって、透光窓部102と枠部104との間に、継ぎ目、段差、隙間のない一様な面が形成され、美観が増すとともに透光窓部102を通してLCD12を見やすくなる。
【0020】
枠部104のうち、透光窓部102の上下に位置する部分(つまり、装飾領域16とボタン領域50のある部分)は、図7、8に示すように非常に細いため、LCD12を保護するためにLCD上に透明の樹脂板を貼り付けたり、枠部104に透明の樹脂板を嵌め込むような構造に比べて、二色成型をすることによって上側部10aの強度を高めることができる。携帯型電子装置では、ユーザがボタン操作のために筐体の表面を強く押圧することがあるので、筐体に一定の強度が必要であるが、本実施形態のように透光窓部と枠部とを一体成型することで、強度を確保することができる。また、二色成型により、透光窓部102と枠部104を同時にかつ一体に成型できるので、コストの低減にも寄与する。さらに、枠部104の表面全体を、透明の樹脂材料で薄く膜状に覆うようにしたことで、コーティングを施したような光沢のある様相が得られ、美観が向上する。
【0021】
樹脂材料は、耐衝撃性と透明性を備えるポリカーボネート樹脂が好ましいが、アクリル樹脂などの他の樹脂を使用してもよい。また、透光窓部と枠部とを異なる樹脂材料で成型してもよい。
【0022】
図1に戻り、筐体10の上側部10aの表面、つまりユーザに対する面は、主に、ユーザの左手により把持される左手領域48Lと、右手により把持される右手領域48Rと、LCD12と、LCD12の下方に位置し各種ボタンが配置される横長のボタン領域50と、LCD12の上方に位置する装飾領域16と、から構成される。筐体10の上側部10aの左上部および右上部には、それぞれ切り欠き84L、84Rが形成されている。
【0023】
左手領域48Lには、主に方向指示入力をするための十字キー20と、主に方向指示のアナログ入力をするためのアナログデバイス22が設けられている。これらの詳細な構成および機能については後述する。左手領域48Lには、さらに、インジケータ32および34が設けられている。インジケータ32は、リムーバブル記憶媒体にアクセス中であることを標示し、インジケータ34は、ワイヤレスLAN(以下「WLAN」と表記する)通信中であることを標示する。
【0024】
アナログデバイス22は、十字キー20よりもユーザの手前側に位置する。また、アナログデバイス22の中心は、十字キー20の中心よりも、筐体10の中心側に位置している。これは、ユーザの左手の親指が十字キー20からアナログデバイス22に移動する際、筐体10の左下側面を支点として親指を回動させ、またアナログデバイス22の中心を傾けて操作するため、アナログデバイス22が内側にある方が、操作が容易となるためである。
【0025】
右手領域48Rには、主に単一の指示を入力するためのボタン30a、30b、30c、30d(以下、これらを総称するときには、「ボタンキー30」という)が設けられている。このボタンキー30の構造および機能については後述する。右手領域48Rには、さらに、インジケータ36、40が設けられている。インジケータ36は、携帯型電子装置100の電源がオンであるときに点灯し、インジケータ40は、携帯型電子装置100のいずれのキーも無効となっているホールド状態であるときに点灯する。
【0026】
図1に示すように、十字キー20とボタンキー30の中心は、筐体10の横長方向の中心よりも上方にずらして配置されている。
【0027】
十字キー20とボタンキー30の中心は、筐体10の左右方向の中心線14から等距離に配置されるが、十字キー20の円盤状キートップの押圧面20a、20b、20c、20d間の距離は、ボタン30a、30b、30c、30d間の距離よりも小さくされている。これは、以下の理由による。すなわち、十字キー20は、主に上下左右の移動を指示するために使用されるために、連続的に動かすことが多いので、十字キーから親指を離さずに操作できるように、キートップの押圧面20a、20b、20c、20d間の距離を設定するのが好ましい。これに対し、ボタンキー30は、各ボタン30a、30b、30c、30dで異なる指示を与えるために使用されることが多い。このため、親指をキーから離して操作する方が直感的に操作しやすいので、1つのボタン上に親指を置いたときに、他のボタンを指先で誤って押してしまうことがない程度の距離を各ボタン30a、30b、30c、30d間に設定することが好ましい。
【0028】
上側部10aの透光窓部102の両側には、左手領域48Lおよび右手領域48Rにそれぞれ一つずつ、上面貫通穴28L、28Rが設けられている。
【0029】
ボタン領域50は、携帯型電子装置100を保持するユーザから近い側の、筐体10の上側部10aの外縁近傍に配置される。ボタン領域50は、十字キー20、アナログデバイス22、ボタンキー30以外のボタン52〜64が配置される領域であり、好ましくは、左手領域48Lおよび右手領域48Rと視覚的に明瞭に区別できるように構成される。この実施形態では、ボタン領域50は、左手領域48L、右手領域48RおよびLCD12からなる平面より隆起した、左右方向に伸びる細長い丘状に形成されており、その頂点付近に各種のボタン52〜64が配置される。こうすることで、ユーザは、ゲームやアプリケーションの進行中に操作すべきボタン類と、それ以外のボタン類を視覚的に区別することができる。さらに、ボタン領域50が盛り上がっていることから、ユーザは触覚的にボタン52〜64の配置を感得することができる。また、ボタン領域50の盛り上がりによって、LCD12を保護する働きもある。
【0030】
ボタン領域50は、上述の構造に限定されるわけではなく、左手領域48Lおよび右手領域48Rと高さが異なっていればよい。ここで、「高さ」とは、上側面10aが上を向くように水平面に筐体10を置いたときに、その水平面を基準とした高さのことを指す。例えば、ボタン領域50を台形断面または長方形断面の細長い段状の構造として、その上に各種のボタン52〜64を配置するようにしてもよい。または、左手領域48L、右手領域48RおよびLCD12と同じ高さの平面に横長に配置されたボタン52〜64の上下に、ボタン52〜64の頂部の高さと同じかそれよりも高い壁を設けて、十字キー20またはボタンキー30を操作するユーザの手によりボタン52〜64が容易に押されないように構成してもよい。
【0031】
ボタン領域50に配列される各種のボタン52〜64(これらを「サブ操作ボタン」とも呼ぶ)は、ゲームの進行やその他アプリケーションにおいて高頻度で必要となる操作には余り使用されず、頻繁に押す必要がないタイプのボタンであることが好ましい。具体的には、ホームボタン52は、ホーム画面に戻るためのボタンであり、ボリュームボタン54および56は、スピーカーまたはヘッドフォンから再生される音声の音量を減少または増加させるボタンである。ディスプレイボタン58は、LCD12のバックライトの電源をオンオフするボタンであり、サウンドボタン60は、音声出力をオンオフするボタンである。セレクトボタン62は、画面表示される項目を選択するボタンであり、スタートボタン64は、主にゲームプログラムを実行しているときに、ゲームのプレイを開始するボタンである。
【0032】
従来の携帯型電子装置またはゲーム用コントローラでは、上述のようなボタンを、本実施形態のように十字キーやボタンキーと別の面に配置するのではなく、例えば十字キーやボタンキーの下方などに配置していた。こうすると、十字キーまたはボタンキーを操作する際に指がこれらボタンに触れてしまって誤操作することがあった。本実施形態による携帯型電子装置では、これら各種ボタンを十字キーまたはボタンキーから離れた面に配置するようにしたため、誤操作が少なくなる。
【0033】
筐体10の上側部10aの左下部および右下部にも、左上部および右上部と同様に切り欠き86L、86Rが形成されている。切り欠き86Lの下にはそれぞれ把持部87Lが設けられている。把持部87Lには、穴24Lが形成されており、図示しないストラップ等を結ぶことができるようになっている。
【0034】
本実施形態の携帯型電子装置100を使用するには、図9を参照して後述するように、人差し指を筐体10の上面に当て、左手の親指を十字キー20またはアナログデバイス22の上方に、右手の親指をボタンキー30の上方に置くようにする。中指以下の指は筐体10の背面の膨らみを包むようにする。このようにすると、人差し指の作る曲面と筐体10の側面の形状とが馴染んで持ちやすく、同時に中指以下の指で筐体10の重量を保持するようになるため、操作のために親指または人差し指を動かしても残りの指で携帯型電子装置100を安定して保持することができる。
【0035】
図2は、携帯型電子装置100の平面図である。上述したように、筐体10の背面の両端には膨らみ42L、42R(以下、これらを総称するときには「膨らみ42」と呼ぶ)が形成されている。これら2つの膨らみの間は平面となっており、その平面のほぼ全体が、小型ディスクドライブの蓋44となっている。この蓋44の一端は、筐体の下側部10cに軸支され、中間部10bに設けられたスイッチ76をスライドすることによって、蓋44の他端が携帯型電子装置100の背面側に開くようになっている。蓋44を開いた筐体内部には、図示しない小型ディスクドライブが収容されており、ディスクを載置できるようになっている。このディスクは、携帯型電子装置100のアプリケーションプログラムやゲームプログラムを提供する。なお、小型ディスクドライブの光学ピックアップ(例えば、レンズ、サーボ機構)などの機構の大部分は、図1においてLCD12の右半面の裏側に配置されている。
【0036】
Lボタン46L、Rボタン46R(以下、これらを総称するときには「LRボタン46」と呼ぶ)は、上述したように、それぞれユーザの左手人差し指または中指、右手人差し指または中指で操作されるボタンである。これらLRボタン46は、十字キー20またはボタンキー30だけでは操作できない特別な指示を与えるために使用される。例えば、LCD12にゲーム画面が表示されるときには、LRボタン46は、ゲーム内のキャラクタの特別な動作(構え、しゃがみ込みなど)や、必殺技の発現などの際に操作される。
【0037】
筐体10の背面に把持用の膨らみ42を設けることで、小型ディスクドライブの蓋44にユーザの指先がふれにくくなり、使用中のディスクドライブに大きな力が与えられることを防止する。さらに、膨らみ42が筐体10の背面の両端に備えられているので、携帯型電子装置100を平面に置いた場合でも、小型ディスクドライブの蓋44が平面に接触することがない。また、小型ディスクドライブに与える衝撃が少なくなるので、ドライブの安定な動作が確保され、読み込みミスなどが減少する。
【0038】
また、図2からわかるように、十字キー20とボタンキー30の頂部は、LCD12が嵌め込まれていない面が下向きになるように筐体10を水平面に置いたときに、上側部10aの透明窓部102の表面の最大高さよりも高くなっている。これら頂部およびボタン領域50によって、LCD12の嵌め込まれている面が下向きになるように筐体10を置いた場合でも、LCD12を覆う透光窓部104の表面を傷つけることがない。さらに、図2に示すように、筐体10はその両端に向かうにつれて厚さが減少するように円弧断面をなしており、また十字キー20とボタンキー30もその断面形状に合わせて筐体10の外側に向かって傾斜するように配置されている。これは、筐体10を把持しやすくするとともに、親指による十字キー20とボタンキー30の操作性を向上させるためである。
【0039】
筐体10の中間部10bには、外部機器の入力用端子70と、外部機器を筐体10に固定するための取り付け穴74が設けられている。この入力用端子70を使用して外部機器と接続することによって、携帯型電子装置100を例えば既存のキーボードやマウスの代わりとして使用し、パーソナルコンピュータ等への入力装置として使用することができる。外部機器との接続については、さらに詳細に後述する。中間部10bには、さらに、小型ディスクドライブの蓋を開くためのスイッチ76と、赤外線モジュールのポート88も設けられている。
【0040】
図3は、携帯型電子装置100の背面図である。上述したように、携帯型電子装置100の背面の両端には膨らみ42R、42Lが設けられ、その間に小型ディスクドライブの蓋44が配されている。膨らみ42Rは、図示しないバッテリー収容部の蓋としての役割も有している。長円形状の凸部43を押下しながら膨らみ42Rを左方向(携帯型電子装置100の端の方向)にスライドさせると、膨らみ42Rが外れ、筐体の内部に収容された交換可能なバッテリーが表れる。
【0041】
図4は、携帯型電子装置100の底面図である。図中に点線で示すように、筐体10内部にはスピーカー80L、80Rが設けられている。スピーカー80L、80Rの前面に位置する中間部10bには、それぞれ底面貫通穴26L、26Rが穿たれている。また、ヘッドフォンおよびリモートコントローラに接続されるコード84のプラグ82が、図示しないジャックに挿入されている。これらについては、図12を参照して後述する。上側部10aの右側には、DC電力を携帯型電子装置100に供給するための端子66が設けられている。また、中間部10bには、いわゆる「クレードル」に携帯型電子装置100を置いたときに携帯型電子装置100に電力を供給するための電極78が設けられている。なお、底面貫通穴26L、26Rは、クレードルに携帯型電子装置100を載せるときにクレードルの突起が挿入されて携帯型電子装置100を支える役割も果たす。
【0042】
図5は、携帯型電子装置100の左側面図であり、中間部10bにはWLANのスイッチ90が、下側部10cにはリムーバブル記憶媒体を挿入するための挿入口92が設けられている。図6は、携帯型電子装置100の右側面図であり、中間部10bに携帯型電子装置100の電源をオン/オフする電源スイッチ94が設けられている。
【0043】
図9は、携帯型電子装置100がユーザにより把持されたときの様子を示す図である。携帯型電子装置100は、基本的に、ユーザの手で持った状態で操作される。筐体10の左右の縁をそれぞれ左右の手で保持する。図示するように、ユーザの左手を軽く曲げた状態で、筐体10の左側面の円弧形状に添えるようにして筐体10を把持する。このとき、ユーザの左手の親指が十字キー20の上に置かれ、この親指で十字キーを操作する。ユーザの右手も同様に軽く曲げた状態で、筐体10の右側面の円弧形状に添えるようにして筐体10を把持する。このとき、ユーザの右手の親指がボタンキー30の中央部分に置かれ、この親指でボタンキーを操作する。ユーザの人差し指のみ、または人差し指と中指は、軽く折り曲げられて、LRボタン46の上に置かれ、人差し指または中指でLRボタン46を操作する。
【0044】
ユーザの中指、薬指および小指、または薬指と小指は、軽く曲げられた状態で、筐体10の背面に添えられて携帯型電子装置100の重量を保持する。上述したように、筐体10の背面の両端には膨らみ42が設けられており、ユーザの指の曲線形状にフィットするようにされている。この膨らみ42は、一例ではプラスチック材料であるが、ゴムのように滑りにくい素材を使用したり、または質感を与えるために金属材料であってもよい。また、膨らみ42は、図2または図4では滑らかな円弧断面をなしているが、ユーザの指が添えやすいように段差が施されていたり、または滑りにくさを向上させるために小さな突起が多数形成されていてもよい。このように、膨らみ42を設けることによって、携帯型電子装置100を把持しやすくなり、該装置によりゲームをプレイしているときに激しい動作をしても操作性が失われにくい。また、指と手の平を自然に曲げた状態で筐体10の両側面の円弧形状に沿わせ、また筐体背面の膨らみ42に沿わせているので、手に持った場合になじみが良く、携帯型電子装置100を長時間保持していても手が疲労しにくい。また、携帯型電子装置100の重量を中指、薬指および小指で保持するようになっているので、親指や人差し指をボタンから離したときでも、携帯型電子装置100を安定的に保持することができる。
【0045】
図10は、携帯型電子装置100の機能ブロック図である。十字キー20、ボタン30a、30b、30c、30d、Lボタン46L、Rボタン46Rを押圧すると、押下操作に応じたデジタル信号がインターフェース(図10ではI/F190と表記する)を介して中央制御装置180に入力される。図10に示さない他のボタンについても同様である。ユーザがボタンから指を話すと、ボタンは元の位置に復元する。アナログデバイス22の操作は、デジタル信号に変換されて、I/F190を介して中央制御装置180に入力される。赤外線モジュール88、WLANモジュール90への入力信号は、I/F190を介して中央制御装置180に入力される。マイク142への音声入力は、デジタル信号に変換されて、中央制御装置180に入力される。リモートコントローラ140を操作すると、操作に応じたデジタル信号がI/F190を介して中央制御装置180に入力される。小型ディスクドライブ186およびメモリ188は、I/F190を介して中央制御装置180に接続される。中央制御装置180は、小型ディスクドライブ186に載置されたディスクに記録されているアプリケーションソフトウェア、またはメモリ188に記憶されているアプリケーションソフトウェアにしたがって、各種入力信号を処理し、それに応じた処理結果として画像信号および音声信号を出力する。画像処理ユニット182は、出力された画像信号を処理してLCD12に表示する。音声処理ユニット184は、出力された音声信号を処理して、スピーカー28またはヘッドフォン144を介して再生する。
【0046】
携帯型電子装置100は、複数の機能を持つ。一例では、携帯型電子装置100はゲーム装置として機能する。ユーザは、ゲームプログラムが格納されているディスクを筐体の背面に設けられた小型ディスクドライブ186に入れることで、ゲームをプレイすることができる。具体的には、ディスクをセットして電源スイッチ94をオンにすると、ゲームプログラムが読み出されて、LCD12にゲームの開始画面が表示される。この状態でスタートボタン64を押すと、ゲームが開始される。ユーザは十字キー20、アナログデバイス22またはボタンキー30を適宜操作して、画面上に表れるメニュー項目を選択したり、キャラクタを操作すると、その入力信号が中央制御装置180に送信され、中央制御装置180はこれらの入力信号とゲームプログラムとに従って、ゲームを進行させる。
【0047】
別の例では、携帯型電子装置100は、音楽プレーヤーとしても機能する。ユーザは、音楽データが格納されているディスクを小型ディスクドライブ186に入れたり、リムーバブル記憶媒体を挿入口92に挿入したりすることで、記憶されている音楽を聴取することができる。この場合、十字キー20またはアナログデバイス22を使用して、LCD12に表示される曲名の中から自分の聴きたい曲名を選択することができる。選択された音楽データは、音声処理ユニット184によりアナログ音声に変換されて、スピーカー28またはヘッドフォン144から出力される。
【0048】
なお、携帯型電子装置100の機能は、これらに限定されるものではなく、従来の個人情報端末(PDA)と同様に、住所録、スケジュール帳、メモ帳、メール通信機能などを備えていてもよい。
【0049】
以上、本実施形態に係る携帯型電子装置100の概略構成について説明した。続いて、各主要部分の構成および機能について詳細に説明する。
【0050】
1.十字キー
十字キー20は、上下左右の4方向と、これら4方向の間の方向からなる8方向の離散的な方向指示を行う。図1に示すように、十字キー20は、円盤状キートップの表面に、上下左右の4方向に対応する凸状の押圧面20a、20b、20c、20dが形成されているキーである。円盤状キートップは、その中心に位置する支点20eにより、該キートップを8方向に傾けることができるように傾動可能に支持されている。各押圧面20a、20b、20c、20dの下部には、それぞれ上述した変形部材、通電部材およびスイッチ接点が配設されており、十字型キーの各押圧面20a、20b、20c、20dのいずれかを下方へ押すと、押された押圧面の直下のスイッチ接点のみがオンにされる。十字キー20は、例えば、LCD12に表示されるゲームのキャラクタの上下左右移動や、メニュー画面の項目の選択などに使用される。また、各押圧面20a、20b、20c、20dは凸状に形成されているので、ユーザは十字キー20を目視することなく所望の操作をすることができる。上述したように、凸状の押圧面の頂部は、上側部10aの透明窓部102の表面の最大高さよりも高くなるように形成されているので、LCD12が下向きになるように置かれたときでもLCD12の表面にある透明窓部102の傷付きが防止される。また、円盤状キートップは中心の支点20eに向かってすり鉢状に傾斜しているので、中心部分に親指を載せやすく、十字キー20を確実に操作することができる。
【0051】
2.アナログデバイス
アナログデバイス22は、360度の任意の方向を指示できる連続的な方向指示を行う。アナログデバイス22は、筐体10の表面に穿設された穴22aと、この穴を貫通するように設けられ穴22aの内部で前後左右に移動自在であり、例えばゴム製である操作パッド22bと、この操作パッドの移動量および移動方向を電気信号に変換する図示しない検出手段とを含む。
【0052】
アナログデバイス22の操作パッド22bは、バネなどにより穴22aの中央に付勢されており、ユーザが操作しないときは、常に穴22aの中央に位置するようになっている。操作時には、360度にわたってストロークさせることができる。このストロークは2mm程度とされるため、ユーザは最大のストロークで入力するのに無理がかからず、かつ中位の入力を細かく行うことができる。
【0053】
このような構造を取ることによって、小型ながらもいわゆる「ジョイスティック」と同様の機能を実現することができ、ゲーム用のコントローラとしての高い操作性を得ることができる。
【0054】
検出手段によって電気信号に変換された入力は、図示しない基板に配置されたA/D変換部によってデジタル信号に変換され、中央制御装置180に伝達される。そして、中央制御装置180は、ゲームプログラムに基づいて演算を実行し、入力に応じた表示をLCD12上に表示する。
【0055】
なお、十字キー20からの入力と、アナログデバイス22からの入力のいずれを用いるかは、ソフトウェア上の処理によって容易に選択することができる。別の実施形態として、十字キー20とアナログデバイス22とで入力を切り替えるためのスイッチを別に設けるようにしてもよい。
【0056】
3.ボタンキー
図1に示すように、ボタンキー30は、円筒状のキートップの表面に、マル、バツ、三角、四角の符号が付されたボタン30a、30b、30c、30dで構成される。これらボタンは、それぞれが単一の指示入力を与えるために使用される。ボタン30a、30b、30c、30dの下部には、それぞれ上述した変形部材、通電部材およびスイッチ接点が配設されており、ボタン30a、30b、30c、30dのいずれかを下方へ押すと、押されたボタンの直下のスイッチ接点のみがオンされるようになっている。各ボタンキーがどのような入力に対応するかは、携帯型電子装置100で実行されているゲームプログラムやアプリケーションによって異なる。一例を挙げると、ゲームにおける攻撃、アイテムの取得、メニュー画面の表示、アイテムの選択、問い合わせに対する決定などの入力に用いられる。
【0057】
各ボタンキーは、図1に示すように、正方形の4頂点に1つずつ配置されるように、それぞれ一定の間隔を置いて設けられている。このため、ユーザは筐体10を把持する位置をほとんど変えることなく、右手の親指を伸ばすと右手側から見て奥の三角ボタン、四角ボタンを操作することができ、右手の親指を曲げたときには、右手側から見て手前のマルボタン、バツボタンを操作することができる。これらボタンの表面には、各ボタンを識別可能となるように、マル、バツ、三角、四角に対応する突起または溝等が設けられていてもよい。
【0058】
4.LRキー
近年のビデオゲームのように複雑な操作を要求される場合には、従来から設けられている十字キーやボタンキーのみでは操作手段が不足する場合があった。そこで、最近のコントローラでは、操作手段を増やすべく、Lボタン、Rボタンが別途設けられている場合が多い。本実施形態に係る携帯型電子装置100では、図1および図2に示すように、LRボタン46は、筐体10の中間部10bの上面に配置され、非押圧時には中間部10bの一部を構成するような外観を示す押しボタンである。また、上述したように、LRボタン46は、ユーザが筐体10を把持した場合に、人差し指の腹部が当たる位置に設けられている。
【0059】
ところで、ゲーム製作者がゲーム内容を考えるときには、コントローラによる操作性を考慮する必要があり、コントローラの機能とゲーム内容とは密接な関係にあるといえる。換言すれば、コントローラの機能や操作性によりゲーム内容が制限されてしまうことが多い。本実施形態に係る携帯型電子装置では、上述のように、コンパクトな外形ながら、十字キー、アナログデバイス、ボタンキー、およびLRボタンと、いわゆる据え置き型のゲーム装置のコントローラに備えられている機能と同等以上の操作ボタンを有している。従来の携帯型のゲーム装置では、このように多種のコントローラが備えられていないために、ゲーム内容が限定されていたり、据え置き型のゲーム装置のゲームを携帯型ゲーム装置に移植する際にもプログラムの変更を施したりする必要があったが、本実施形態に係る携帯型電子装置では、そのような問題が生じることがなく、ゲーム制作者の創作の範囲を広げることができる。
【0060】
また、十字キー、ボタンキー、LRキーなどの操作手段は、ユーザと携帯型電子装置の間に介在するマンマシン・インタフェースとして機能し、特にゲームをプレイする場合は非常に重要となる。すなわち、携帯型電子装置の筐体の操作性や操作手段の機能性は、ゲームの遊び易さや面白さとの関連が高い。本実施形態によれば、ユーザによって両手で把持される程度の大きさの筐体ながら、操作性が高く、拡張性がある携帯型電子装置を提供することができる。
【0061】
5.スピーカー
携帯型電子装置100は、筐体10の上面に設けられている上面貫通穴28L、28R、および筐体10の底面に設けられている底面貫通穴26L、26Rから音声を出力させることができる。
【0062】
図4に示すように、音声を出力するスピーカー80L、80Rは、筐体10内の底面近傍に、筐体10の表面に対して略垂直になるように左右にひとつずつ設けられている。スピーカー80L、80Rは、筐体10の底面方向に音声を発するように配置される。底面貫通穴26L、26Rは、中間部10bのスピーカー80L、80Rの対向する位置に設けられており、スピーカ80L、80Rから出力された音声は、底面貫通穴26R、26Lから筐体外部に発せられる。底面貫通穴26L、26Rは、ユーザが携帯型電子装置100を把持したときにユーザの顔に近い方向に音が出るように、上向き(筐体の表面向き)の角度を持つように穿たれている。
【0063】
また、図11に示すように、スピーカー80L、80Rの裏面からは、上面貫通穴28L、28Rに通じるダクト98L、98Rがそれぞれ筐体10の内部に形成されており、これによって、スピーカー80L、80Rから出力された音声の一部が、筐体10を把持しているユーザの顔の方向に発せられるようになる。このため、ユーザは筐体10の表面からも音が発せられているように感じ、ユーザの体感する臨場感が向上する。このダクトをいわゆるバスレフ構造として設計し、低音を強調するようにしてもよい。
【0064】
このように、筐体10の表面と底面に4つある貫通穴から2方向に音声が発せられるので、臨場感を増すことができる。また、4つの貫通穴によって、携帯型電子装置100からサラウンド効果のある音を出すこともできる。
【0065】
6.ヘッドフォン
図12は、ヘッドフォン(図示せず)のプラグ82を筐体10から外したときの様子を示す。円形のジャック146はヘッドフォンへの音声出力用のジャックであり、長方形のジャック148はリモートコントローラ(図示せず)およびマイク(図示せず)からの入力用のジャックである。プラグ82には、ジャック146およびジャック148にそれぞれ挿入される2つの形状の異なる端子が設けられている。
【0066】
7.入力用端子および電源端子
上述したように、筐体10の中間部10bには、外部機器の入力用端子70と、外部機器を筐体10に固定するための取り付け穴74が設けられている。本実施形態の携帯型電子装置100は、入力用端子70を使用して外部機器と接続することによって、携帯型電子装置100を例えば既存のキーボードやマウスの代わりとして使用し、パーソナルコンピュータ等への入力装置として使用することができる。
【0067】
この入力用端子70が、携帯型電子装置100から外部機器に電力を供給することのできない端子構造を有している場合もある。この様な端子構造でありながら、携帯型電子装置100にカメラ等の外部機器を取り付けて外部機器からのデータ入力を受けたいときのために、入力用端子70の両側に、携帯型電子装置100から外部機器に電力を供給することのできる電源端子72を設けておいてもよい。
【0068】
外部機器の例としては、カメラユニットやGPSユニットがある。カメラユニットを取り付けることによって、通常のデジタルカメラとして使用する態様の他、携帯型電子装置100を把持しているユーザの顔を携帯型電子装置100のLCD12に表示させて、ゲームの画面として使用したり、または、カメラにより撮影されたユーザの動作を認識することで、ゲームの入力の代わりとするような使用態様が考えられる。また、GPSユニットを取り付けることによって、道案内やユーザの移動履歴の記録のように、携帯型電子装置100をハンディタイプのGPS装置として使用することが可能となる。他にも、入力用端子70には、キーボードや携帯電話モジュール等を接続することができる。
【0069】
実施の形態2.
図13は、本発明の別の実施形態に係る携帯型情報端末200の正面図である。本図で示すように、携帯型情報端末200は、LCD210、小型スティック212、アナログ/デジタル選択スイッチ214、メインボタン216、中央基板250、正面側カバー260、左くぼみ280、右くぼみ282を備える。
【0070】
LCD210は携帯型情報端末200の中央部に設けられ、ゲームの内容や映像コンテンツを表示する。LCD210の表示は、後述する正面側カバー260を通しても、ユーザが表示内容を十分に視認できるよう所定の明度や色調を持つよう調整される。小型スティック212は、ジョイスティックの機能をコンパクトに実現するもので、360度任意の方向への可倒性を有するとともに、その倒れ具合を入力の強度として、原則としてアナログ的に取得する。アナログ/デジタル選択スイッチ214は、ゲームの操作上の必要等に応じて、ユーザが小型スティック212の入力を、アナログからデジタルへ、またはデジタルからアナログへ選択的に変更するためのスイッチである。メインボタン216はそれぞれが特定の機能割り付けをもつ○、△、□、×のボタンである。メインボタン216を構成するこれらのボタンは、略同一円周上の上下左右の位置に配置される。小型スティック212およびメインボタン216は、例えばゲームのキャラクタの操作に用いられる。
【0071】
中央基板250には図示されるLCD210等や図示しないCPU等の内蔵部品が搭載される。中央基板250の周縁部はその全体が後述する正面側カバー260および背面側カバー270で規定される筐体より突出している。中央基板250は例えば金属等所定の硬度をもつ材料で形成されているため、この構成により筐体のたわみ剛性を高めることができる。
【0072】
正面側カバー260は、中央基板250の正面側に載置され、中央基板250に搭載された内蔵部品を覆うカバーである。正面側カバー260は所定の透明度や色彩を有する素材で形成され、例えばポリカーボネートなどの樹脂で一体成型されればよい。紫外線を遮る効果を有するポリカーボネートを用いれば、屋外での使用による直射日光等から中央基板250や内蔵部品を保護できる。このような樹脂で形成される正面側カバー260は、一定の色彩や透明度を有し、ユーザは正面側カバー260を通して、既述のごとく明度等が調整されたLCD210の表示内容を十分に視認することができる。このため、LCD210の部分に、例えば従来の携帯型情報端末一般の筐体に設けられていた透明な表示窓を切り込む必要がなくなり、正面側カバーの一体性が確保されるため、デザイン上斬新な印象をユーザに与えることができる。なお、正面側カバー260は例えばアルミニウム等の金属を鋳造して形成してもよい。その場合、LCD210の視認性を確保するため、形状上の配慮がなされる。
【0073】
携帯型情報端末200は、ユーザに両手または片手で把持され、人差し指が上面側に親指が正面側に配置されることを想定した形状を有している。
【0074】
正面側カバー260には、小型スティック212を中心に略円形の左くぼみ280が設けられる。さらに、メインボタン216の○、△、□、×のボタンが配される円周の内側には、右くぼみ282が形成される。左くぼみ280、右くぼみ282は、その周縁部にユーザが親指の先端を引っ掛けることができる程度の所定の大きさを持っており、ユーザは親指を左くぼみ280、右くぼみ282にそれぞれ引っ掛けて筐体を把持できるため、ユーザは安定的に携帯型情報端末を把持し、携帯型情報端末を容易に操作することが可能となる。また、小型スティック212の操作中に誤って、指がジョイスティックから外れてしまった場合であっても、咄嗟にこのくぼみに指を引っ掛けて携帯型情報端末200を把持できるため、例えば落下等を防止する効果も得られる。
【0075】
また、メインボタン216が右くぼみ282の周縁に配置されたことによって、メインボタン群を操作するユーザの親指が自然にくぼみに納置され、くぼみに親指を引っ掛けた状態での携帯型情報端末200の把持が容易に実現できるため、把持の安定性が高まる。
【0076】
左くぼみ280と右くぼみ282は、図示するように筐体正面において左右対称の位置に配置される。これにより、ユーザはより自然に携帯型情報端末を把持することができる。また、正面側カバー260は、筐体が略紡錘型となるよう図中左右両端に向けて奥側への緩やかな傾斜を有しており、左くぼみ280と右くぼみ282はそれぞれこの左側の傾斜面と右側の斜面とに配置される。これらの構成により、ユーザの指がくぼみに納置された際、指の押力が筐体の中心方向に向かうため、ユーザは携帯型情報端末200をより安定的に把持することができる。
【0077】
図14は、実施の形態2に係る携帯型情報端末200の平面図である。本図で示すように携帯型情報端末200は、さらにディスクカートリッジスロット220、メディア再生ボタン群222、小型USBコネクタ224、左ショルダスイッチ226、右ショルダスイッチ228、取り出しボタン230、背面側カバー270を備える。
【0078】
ディスクカートリッジスロット220にはゲームソフトや映像コンテンツ、音楽コンテンツ等を格納したディスカートリッジが挿入される。メディア再生ボタン群222は図中破線で囲った部分に設けられる。同図中では理解を助けるため当該部分を拡大したメディア再生ボタン群222の詳細も併せて示している。メディア再生ボタン群222は音楽コンテンツ、映像コンテンツの再生を制御するためのボタン群であり、図中左から再生ボタン、早送りボタン、巻き戻しボタン、停止ボタン、一時停止ボタンである。小型USBコネクタ224は例えばパーソナルコンピュータ等と携帯型情報端末200を接続するためのコネクタである。左ショルダスイッチ226および右ショルダスイッチ228は主にユーザの人差し指で操作され、図13で説明した小型スティック212やメインボタン216同様ゲームのキャラクタ操作などに用いられる。取り出しボタン230はディスクカートリッジスロット220に挿入されたディスクカートリッジを取り出すためのボタンである。
【0079】
背面側カバー270は中央基板250の背面側に載置され、前述の正面側カバー260とともに携帯型情報端末200の筐体を規定する。背面側カバー270も、正面側カバー260同様例えば樹脂や金属等で形成される。ただし、背面側カバー270は、所定の摩擦抵抗を有する素材で形成されることが好ましく、例えば表面が毛羽立っている材質を用いたり、そのような加工を表面に施したりしてユーザの手との間に摩擦を生じやすくしている。これにより、グリップ感が高まり、ユーザが携帯型情報端末200を把持する際の滑り止めとして機能し、安定して把持できるようになる。別の例では背面側カバー270は例えば皮革やゴムなどで成型してもよい。
【0080】
図15は、実施の形態2に係る携帯型情報端末200の背面図である。本図で示すように携帯型情報端末200は、さらにバッテリー232、透明部材234、スタンド236、メモリスロット238、ACアダプタジャック挿入口240を備える。
【0081】
バッテリー232は、携帯型情報端末200を駆動する電力を供給する。バッテリー232は携帯型情報端末200と着脱可能に構成され、ユーザは図示しない充電器を用いて充電を行う。別の例ではバッテリー232は携帯型情報端末200に固定され、後述するACアダプタジャック挿入口240を介して、図示しないACアダプタにより充電されてもよい。透明部材234はディスクカートリッジのユーザが動作状態を視認できるよう設けられる。図14で述べたディスクカートリッジスロット220に挿入されたディスクカートリッジの回転動作をユーザが視認できるため、デザイン性が高まる。スタンド236は、ユーザが携帯型情報端末200を手で保持せず、例えば机の上等に置いたまま映像コンテンツ等を視聴できるよう携帯型情報端末200を立たせるための二位置安定型の機構である。メモリスロット238は、ゲームや映像コンテンツ、音楽コンテンツ等を格納した記録媒体の挿入口である。ACアダプタジャック挿入口には、バッテリー232によらず、携帯型情報端末200が駆動するための電力を、例えば家庭用電源などから直接取得するための、図示しないACアダプタのジャックが挿入される。既述のごとく、このACアダプタを用いてバッテリー232への充電がなされてもよい。
【0082】
図16は、実施の形態2の第1変形例である携帯型情報端末300の正面図である。図13との違いのみを述べる。この例では筐体の四隅及び筐体から突出する中央基板250の四隅が丸みを帯びた形状を有している。これにより、ユーザが人差し指で図示されていない左ショルダスイッチ226および右ショルダスイッチ228を操作する場合でも筐体が手になじみやすく違和感なく操作できる。また、全体が丸みを帯びたデザインとなり、斬新な印象を与える形状が実現できる。さらに、携帯型情報端末300には、二位置安定型のグリップ部材312が筐体の左右両端に内蔵されている。ユーザは適宜グリップ部材312を引き出し、安定的に携帯型情報端末300を把持できる。
【0083】
図17は、実施の形態2の第2変形例である携帯型情報端末400の正面図である。図13との違いのみを述べる。この例では筐体および筐体から突出する中央基板250の右上隅および左上隅が丸みを帯びた形状を有している。これにより、図示しない左ショルダスイッチ226および右ショルダスイッチ228の操作に関して、第1変形例と同様の効果が得られる。また、この例では、図13の携帯型情報端末200と同様に、筐体および筐体から突出する中央基板250の右下隅および左下隅は略直角になっているため、当該部分における、ユーザによる筐体の把持の安定性は損なわれない。
【0084】
図18は、実施の形態2の第3変形例である携帯型情報端末500の正面図である。図13との違いのみを述べる。この例の携帯型情報端末500は収納部332を有する。さらに、筐体および中央基板250は図示しないスライド機構を有しており、図19に示すごとく筐体および中央基板250の左右両翼をスライドさせて収納部332の内部に収納することができる。これにより、携帯型情報端末500全体を小型化して持ち運べるため、運搬時の利便性が高まる。さらに、小型スティック212、アナログ/デジタル選択スイッチ214、メインボタン216等の操作用の機構が全て収納部332内に収納されるため、運搬時の誤動作等を防止する効果も得られる。
【0085】
以上、実施の形態をもとに本発明を説明した。これらの実施形態は例示であり、各構成要素の組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。また、実施の形態で述べた構成要素の任意の組合せもまた、本発明の態様として有効である。
【0086】
実施の形態では携帯型電子装置または携帯型情報端末について説明したが、本発明に係るボタンの構造やボタンの配置は据え置き型ゲーム装置のゲーム用コントローラについても適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明は、携帯型電子装置の操作性を向上するために用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端がユーザの両手によってそれぞれ把持されることができ、横長形状の筐体と、
前記筐体に嵌め込まれた表示手段と、を備える携帯型電子装置であって、
前記筐体を把持したユーザの指がかかる該筐体の背面両端部分に、外方向に凸状をなす膨らみが形成されていることを特徴とする携帯型電子装置。
【請求項2】
前記背面両端部分に設けられた2つの膨らみの間に平面領域が設けられ、その平面領域の少なくとも一部が外部ディスクドライブ装置の蓋となっていることを特徴とする請求項1に記載の携帯型電子装置。
【請求項3】
前記筐体の両端の外縁が、該筐体を把持したユーザの手の平が形作る曲線に沿うように円弧状に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の携帯型電子装置。
【請求項4】
前記筐体を横長方向に切断したときの断面が、該筐体の中央からユーザの右手または左手方向に向けて緩やかな傾斜を有していることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の携帯型電子装置。
【請求項5】
前記筐体を把持したユーザの親指で操作される第1の操作手段と第2の操作手段とが該筐体の表面に設けられており、
前記第1の操作手段は、複数の操作方向にそれぞれ対応する複数の押圧面を有する方向指示キーであり、前記第2の操作手段は、それぞれが単一の指示を出力する複数のボタンキーであり、
前記方向指示キーの中心と前記複数のボタンキーの中央とが、前記筐体の中心線よりもユーザから見て奥側に位置していることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の携帯型電子装置。
【請求項6】
前記表示手段が嵌め込まれていない面が下向きになるように前記筐体を水平面に置いたときに、前記方向指示キーの頂部と、前記複数のボタンキーのいずれかひとつの頂部とが、前記筐体の最大高さよりも高いことを特徴とする請求項5に記載の携帯型電子装置。
【請求項7】
前記筐体の表面は少なくとも2つの面から構成されており、
前記方向指示キーと前記複数のボタンキーは第1の面に配置され、
前記表示手段に表示されるゲームの進行中に使用されない少なくともひとつのサブ操作ボタンが第2の面に配置され、
前記表示手段が嵌め込まれていない面が下向きになるように前記筐体を水平面に置いたときに、前記水平面から計測した前記第1の面の高さと前記第2の面の高さが異なることを特徴とする請求項5または6に記載の携帯型電子装置。
【請求項8】
前記第2の面が前記第1の面から隆起していることを特徴とする請求項7に記載の携帯型電子装置。
【請求項9】
前記方向指示キーの各押圧面間の間隔と、前記複数のボタンキーの各ボタン間の間隔とが異なることを特徴とする請求項5に記載の携帯型電子装置。
【請求項10】
前記方向指示キーよりもユーザの手前側に位置し、かつ該方向指示キーの中心よりも内側にその中心が来るように、方向指示のアナログ信号を出力するアナログ操作手段が設けられていることを特徴とする請求項5ないし9のいずれかに記載の携帯型電子装置。
【請求項11】
前記筐体の表面は樹脂成型部品であり、
前記樹脂成型部品は、前記表示手段を視認可能な透光窓部と、透光窓部以外の枠部とからなり、前記透光窓部は透明の第1樹脂から形成され、前記枠部は色付きの第2樹脂から形成され、第1樹脂と第2樹脂は二色成型により一体的に成型されることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の携帯型電子装置。
【請求項12】
前記第1樹脂が前記枠部の表面全体を覆うように成型されていることを特徴とする請求項11に記載の携帯型電子装置。
【請求項13】
前記筐体の内部にスピーカーを備え、
前記筐体の底面に前記スピーカーから発生される音声が通過する貫通穴が形成されており、該貫通穴には前記筐体の表面寄りに角度が付けられていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の携帯型電子装置。
【請求項14】
前記筐体の表面に第2の貫通穴が形成されており、
前記スピーカーから発生される音声を第2の貫通穴に導く空間が前記筐体の内部に形成されていることを特徴とする請求項13に記載の携帯型電子装置。
【請求項15】
両端がユーザの両手によってそれぞれ把持されることができ、横長形状の筐体と、
前記筐体に嵌め込まれた表示手段と、を備える携帯型電子装置であって、
前記筐体の両端の外縁が、該筐体を把持したユーザの手の平が形作る曲線に沿うように円弧状に形成されており、
前記筐体を横長方向に切断したときの断面が、該筐体の中央からユーザの右手または左手方向に向けて緩やかな傾斜を有していることを特徴とする携帯型電子装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【国際公開番号】WO2005/032228
【国際公開日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【発行日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−514179(P2005−514179)
【国際出願番号】PCT/JP2004/013689
【国際出願日】平成16年9月17日(2004.9.17)
【出願人】(395015319)株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント (871)
【Fターム(参考)】