携帯型電源装置
【課題】電気機器に作動電力を供給可能且つ非常時の家庭用電源等の他用途に使用可能な携帯型電源装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、電気機器に着脱自在に接続されて該電気機器に作動電力を供給するバッテリ2と、該バッテリ2が着脱可能に装着されて該バッテリ2を充電する充電器3と、を備えた携帯型電源装置1であって、前記充電器3は、前記バッテリ2の直流電圧を交流に変換するインバータ55と、該インバータ55によって変換された交流を出力する家電製品接続用コンセント56と、を備えていることを特徴とする。
【解決手段】本発明は、電気機器に着脱自在に接続されて該電気機器に作動電力を供給するバッテリ2と、該バッテリ2が着脱可能に装着されて該バッテリ2を充電する充電器3と、を備えた携帯型電源装置1であって、前記充電器3は、前記バッテリ2の直流電圧を交流に変換するインバータ55と、該インバータ55によって変換された交流を出力する家電製品接続用コンセント56と、を備えていることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリ及びこのバッテリを充電する充電器を備えた携帯型電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、大電力を要し、且つ電源と非接続状態で使用される電気機器に作動電力を供給する電源装置の多くは、機器毎に専用設計されたバッテリモジュール(以下、「バッテリ」)、及び対応する専用充電器により構成されている。
【0003】
このような電源装置の一例として、特許文献1には、電動車両に対して着脱可能なバッテリと、電動車両とは別体に設けられて上記したバッテリを充電する充電器と、によって構成される電源装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−267283号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような大容量バッテリは、使用対象機器の要求に合せて設計されているため、外形や接続端子形状などが専用設計となって汎用性に乏しく、またそのバッテリに接続可能な充電器の機能はバッテリの充電に限られていた。そのため、例えば災害時等の非常時において電源装置のバッテリに一定の電力が蓄えられていたとしても、これを家庭用電源として使用することはできなかった。
【0006】
そこで、本発明は上記の事情を考慮し、平常時はバッテリのみ分離して電気機器に作動電力を供給可能として、非常時はバッテリと充電器を組み合わせることで家庭用電源等の他用途に使用可能な携帯型電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、電気機器に着脱自在に接続されて該電気機器に作動電力を供給するバッテリと、該バッテリが着脱可能に装着されて該バッテリを充電する充電器と、を備えた携帯型電源装置であって、前記充電器は、前記バッテリの直流電圧を交流に変換するインバータと、該インバータによって変換された交流を出力する家電製品接続用コンセントと、を備えていることを特徴とする。
【0008】
このような構成を採用することにより、バッテリの直流電圧を容易に交流に変換して、家電製品の電源として多用途に使用することが可能となる。
【0009】
前記バッテリには、該バッテリを持ち上げるための取っ手と、バッテリ側係合部と、が設けられ、前記充電器には、前記バッテリ側係合部と対応する位置に充電器側係合部が設けられ、前記バッテリを前記充電器に装着すると、前記バッテリ側係合部が前記充電器側係合部に係合して前記バッテリが前記充電器に固定され、前記取っ手の引き上げに伴って前記充電器が前記バッテリと一体的に持ち上げられても良い。
【0010】
このような構成を採用することにより、バッテリを運ぶ感覚で電源装置全体を容易に運搬することが可能となり、電源装置の可搬性が向上する。また、バッテリに設けた取っ手を引き上げることでバッテリと充電器を一体的に持ち上げることができるため、バッテリと充電器の両方に取っ手を設ける必要が無く、部品点数を削減することができる。
【0011】
前記取っ手は、前記バッテリの上部に設けられ、前記バッテリ側係合部は、前記バッテリの底部に設けられていても良い。
【0012】
このように取っ手をバッテリの上部に設けることで、電源装置の持ち上げや運搬がし易くなり、電源装置の可搬性が更に向上する。また、バッテリ側係合部をバッテリの底部に設けることで、バッテリ側係合部と対応する充電器側係合部がバッテリの直下に位置することになる。そのため、充電器が水平方向に膨れにくくなり、例えばバッテリ側係合部をバッテリの側面に設ける場合と比較して、充電器の水平方向の幅を狭くすることができる。これに伴って、電源装置全体の設置スペースを小さくすることができる。
【0013】
前記バッテリは、上下方向に長い形状を成し、該バッテリの上部には、前記充電器との接続端子が設けられていても良い。
【0014】
このように上下方向に長いバッテリの上部に接続端子を設けることで、バッテリの底部に設けられるバッテリ側係合部とは離間した位置にバッテリの接続端子が配置されることになる。これに伴って、充電器にバッテリを装着する際に、バッテリの接続端子の位置を微調整しやすくなり、バッテリの接続端子を充電器の接続端子に容易に接続することが可能となる。また、バッテリの上部に接続端子を設けることで、同じくバッテリの上部に設けられる取っ手と近接した位置に接続端子が配置されることになる。そのため、充電器や電動車両の接続端子にバッテリの接続端子を接続する際に、各接続端子の位置を確認しやすくなる。
【0015】
前記充電器には、少なくとも前記バッテリの一面に対向し、且つ前記バッテリの着脱方向に沿って延びる支持面が設けられていても良い。
【0016】
このような形状の支持面を設けることで、バッテリの充電器への着脱時に、支持面によってバッテリをその着脱方向に沿ってガイドし、バッテリの倒れを抑制することが可能となる。そのため、バッテリの充電器への着脱が容易になる。
【0017】
前記バッテリが前記充電器に装着された状態で、前記充電器の重心は、側面視において前記取っ手の中心軸線及び前記バッテリ側係合部と前記充電器側係合部の係合点を含む仮想平面を挟んで前記バッテリとの接続端子の反対側に位置していても良い。
【0018】
このような構成を採用することで、バッテリを充電器に装着した状態で電源装置を持ち上げた時に、充電器の支持面にバッテリの対向する面を押し付ける方向のモーメントが発生することになる。そのため、接続端子同士が抜けにくくなり、接続端子の接続状態を確実に維持することができると共に、各接続端子の損傷を防止することが可能となる。
【0019】
前記支持面は、前記バッテリの着脱方向に対して所定角度傾斜する平坦部と、該平坦部から隆起し、前記バッテリの着脱方向に対する傾斜角度が前記平坦部よりも小さい隆起部と、を備え、前記バッテリの前記充電器への装着時に、前記バッテリが前記平坦部に沿って移動した後に前記隆起部に沿って移動するように構成されていても良い。
【0020】
このような構成を採用することにより、バッテリの着脱方向に対する傾斜角度が比較的大きい平坦部にバッテリを確実に接触させてから、バッテリの着脱方向に対する傾斜角度が比較的小さい隆起部によってバッテリを着脱方向に沿って容易にガイドすることができる。これに伴って、バッテリの充電器への着脱が一層容易になる。
【0021】
前記バッテリは、電動車両に駆動用の電力を供給するものであっても良い。
【0022】
特に、モータの駆動に大電力を要する電動車両用のバッテリは、通常は大容量であるため、携帯型の電源装置でありながら家電製品の電源として長時間の使用が期待できる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、電気機器に作動電力を供給可能且つ非常時の家庭用電源等の他用途に使用可能な携帯型電源装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態に係る携帯型電源装置を示す正面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る携帯型電源装置において、バッテリを示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る携帯型電源装置において、バッテリを示す平面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る携帯型電源装置において、バッテリを示す側面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る携帯型電源装置において、バッテリを示す底面図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る携帯型電源装置において、充電器を示す斜視図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る携帯型電源装置の充電器において、係合機構を示す正面図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る携帯型電源装置において、充電器を示す側面図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る携帯型電源装置において、(a)は、バッテリを充電器の支持面の平坦部に沿って保持した状態を示す側面図であり、(b)は、バッテリを充電器の支持面の隆起部に沿って下降させている状態を示す側面図であり、(c)は、バッテリを充電器に装着した状態を示す側面図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る携帯型電源装置の充電器において、(a)は、ストライカーが係合機構のフックに係合する前の状態を示す正面図であり、(b)は、ストライカーが係合機構のフックに係合した後の状態を示す正面図である。
【図11】本発明の一実施形態に係る携帯型電源装置のバッテリを搭載した自動二輪車の側面図である。
【図12】本発明の一実施形態に係る携帯型電源装置のバッテリを搭載した自動二輪車において、バッテリ収納部の周辺を示す斜視図である。
【図13】本発明の一実施形態に係る携帯型電源装置において、(a)は、充電時を示す使用概念図であり、(b)は、放電時を示す使用概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図1〜図8を用いて、本発明に係る携帯型電源装置(以下、「電源装置」と略称する。)の好適な実施形態について説明する。本実施形態では、電動二輪車に駆動電力を供給する電源装置に本発明の構成を適用する場合について説明する。以下、上下、左右、前後の方向は、バッテリを充電器に装着した状態(図1参照)を基準とし、図1における紙面手前側を電源装置の正面側(前側)とする。各図において適宜示される矢印Frは、正面側を示している。
【0026】
図1に示されるように、電源装置1は、バッテリ2と、バッテリ2が着脱可能に装着される充電器3と、を備えている。
【0027】
まず、バッテリ2について説明する。図2に示されるように、バッテリ2は、上下方向に長い形状を成しており、前後割のバッテリケース4によって全体を覆われている。バッテリケース4内には、複数の電池を直列及び並列に接続して形成される電池ブロック(図示せず)が収納されている。本実施形態では、上記した電池として、リチウムイオン電池を用いている。
【0028】
バッテリケース4の前後両面には、多数のフィン5によって構成される横長矩形状の放熱部6が、上下に所定の間隔を介して複数段ずつ設けられている。バッテリケース4の左右両側には、ガイド突起7が上下方向に延設されている。
【0029】
バッテリ2の上部(より詳しくは上端部)には、バッテリ2を持ち上げるための取っ手8が設けられている。取っ手8は、左右一対の取付部10と、この取付部10を連結して左右方向に延びる把持部11と、を備えており、略コ字状を成している。各取付部10の基端部(把持部11と離間した側の端部)は、バッテリケース4の左上隅部と右上隅部にそれぞれ突設された取っ手用支持部12に回転可能に支持されており、これにより、取っ手8が起立姿勢(図3、図4の実線参照)と傾倒姿勢(図3、図4の二点鎖線参照)との間で傾動可能となっている。図3に示されるように、取っ手8の中心軸線A(起立姿勢を基準とした把持部11の中心軸線)は、バッテリ2の重心G1の真上を通過している。
【0030】
図5に示されるように、バッテリ2の底面の中央には横長矩形状の下端開口部13が設けられ、下端開口部13の内側(上側)には、バッテリ側係合部としての丸棒状のストライカー14が、前後方向に延設されている。ストライカー14はバッテリ2の底部に設けられている。ストライカー14は、バッテリ2の重心G1の真下に位置しており、図4に示されるように、取っ手8の中心軸線Aとストライカー14の係合予定位置B(本実施形態では、ストライカー14の前部)を含む仮想平面Sは、バッテリ2の重心G1を通過する鉛直面になっている。換言すると、ストライカー14の係合予定位置Bは、取っ手8の中心軸線Aとバッテリ2の重心G1を含む仮想平面Sと重なっている。
【0031】
バッテリ2の前面の上部には、箱型形状の端子収容部15が突設されている。図5に示されるように、端子収容部15の下面には略横長矩形状の上側開口部16が設けられている。端子収容部15内には、複数のバッテリ側接続端子17が上側開口部16に臨む位置に並設されている。各バッテリ側接続端子17は、リード線(図示せず)を介して前述の電池ブロックに接続されている。
【0032】
次に、充電器3について説明する。図6に示されるように、充電器3は、扁平な略直方体形状を成す基台部18と、基台部18の前部から上方に向かって突出する支持部20と、を備えている。
【0033】
基台部18の後部の左右両側には、ガイド片21が上方に向かって突設され、各ガイド片21と支持部20の間に、凹部状のバッテリ装着部22が設けられている。各ガイド片21は、前後方向に延びる側方ガイド部23と、側方ガイド部23の後端から左右方向内側に向かって屈曲される後方ガイド部24と、を備えており、平面視略L字状を成している。側方ガイド部23の内面には、ガイド凹部25が鉛直方向に設けられている。後方ガイド部24の対向間隔には、下方に向かって縮径する背面視台形状の連通部26が形成されている。基台部18の側面の下部には、排風口27が設けられている。
【0034】
基台部18の上面には、バッテリ装着部22の底面にあたる位置に、係合機構28が固定されている。図7に示されるように、係合機構28は、基台部18の上面に立設されるベースプレート30と、第1回転軸31を介してベースプレート30に回転可能に支持される第1回転プレート32と、第2回転軸33を介してベースプレート30に回転可能に支持される第2回転プレート34と、第1回転プレート32と第2回転プレート34を連結するコイルスプリング35(牽引手段)と、を備えている。
【0035】
ベースプレート30は、基台部18の上面に沿って配置される固定板36と、この固定板36の後端部から上方に向かって屈曲されるガイド板37と、を備えており、側面視略L字状を成している。固定板36は固定ネジ38を介して基台部18の上面に固定されている。ガイド板37の左右方向中央には、上向きに開口された略U字状のガイド溝40が設けられている。
【0036】
第1回転プレート32の上端には、バッテリ2のストライカー14と対応する位置に、支持部側係合部としてのフック41が設けられ、フック41には、係合凹部42が設けられている。第1回転プレート32には、フック41よりも下方に、回転規制溝43が設けられ、回転規制溝43の更に下方に、第1スプリング取付部44が設けられている。第1スプリング取付部44には、コイルスプリング35の一端が固定されている。
【0037】
第2回転プレート34の下部には、第1回転プレート32側に向かって延びる回転規制突起45が設けられ、回転規制突起45の下方に、第2スプリング取付部46が設けられている。第2スプリング取付部46には、コイルスプリング35の他端が固定されている。第2回転プレート34の下部には、第2スプリング取付部46を挟んで回転規制突起45の反対側にワイヤー取付部47が設けられ、このワイヤー取付部47に、ワイヤー48の一端が取り付けられている。ワイヤー48の他端は、充電器3に設けられたリリースレバーやリリースキー等の操作手段(図示せず)に取り付けられている。
【0038】
図6に示されるように、支持部20の左右両面の上部には、側面視略台形状の側方凹部49が、前部から後端部に亘って設けられている。支持部20の後面には、略長方形状の支持面50が鉛直方向に沿って延びている。支持面50は、平坦部51と、平坦部51の左右両側に隆起して上下方向に延びる隆起部52と、を備えている。平坦部51と隆起部52は、鉛直方向に対して所定角度傾斜しており、隆起部52の鉛直方向に対する傾斜角度は、平坦部51の鉛直方向に対する傾斜角度よりも小さくなっている(図8参照)。各隆起部52は、略半円柱形状(アーチ形状)を成しており、各隆起部52の上端面は、球面状に湾曲している。各隆起部52は、下方に向かってテーパ状に縮幅している。なお、図8のG2は、充電器3の重心を示している。
【0039】
図6に示されるように、支持面50の上端には、支持部20の上面との間に跨って略直方体形状の端子用凹部53が設けられ、この端子用凹部53の底面には、複数の充電器側接続端子54が並設されている。
【0040】
充電器側接続端子54は、充電器3内に収納されたインバータ55を介して、支持部20の前面に設けられた家電製品接続用コンセント56(図1参照。)と電気的に接続されている。この家電製品接続用コンセント56は、AC100Vに対応している。充電器側接続端子54は、充電器3内に収容されたAC/DCコンバータ57を介して電源ケーブル58に接続されている。電源ケーブル58は、基台部18に設けられたケーブル挿通穴(図示せず)に貫挿されて充電器3の外部に引き出されている。電源ケーブル58の先端にはプラグ59が設けられている。
【0041】
以上の如く構成される電源装置1について、バッテリ2を充電器3に対して着脱する方法について、図9及び図10を用いて説明する。
【0042】
バッテリ2を充電器3に装着するには、まず、取っ手8を把持してバッテリ2を持ち上げて、図9(a)に示されるように、バッテリ2を充電器3の支持面50の平坦部51に沿って保持する。なお、バッテリ2を持ち上げた状態において、バッテリ2は直立姿勢を取っており、仮想平面Sが鉛直面になっている。
【0043】
この状態で、バッテリ2を充電器3の支持面50の平坦部51に沿って下降させていくと、図9(b)に示されるように、バッテリ2が、支持面50の隆起部52に接触する。そして、バッテリ2のガイド突起7を充電器3のガイド凹部25に係合させながらバッテリ2を支持面50の隆起部52に沿って下降させ、バッテリ2を充電器3のバッテリ装着部22に挿入していく。
【0044】
これに伴って、図10(a)に示されるように、バッテリ2のストライカー14が充電器3の係合機構28に接近し、係合機構28のベースプレート30のガイド溝40にストライカー14が進入し、係合機構28の第1回転プレート32のフック41にストライカー14が当接する。
【0045】
この状態で、バッテリ2を下方に向かって押圧すると、ストライカー14がフック41を下方に押圧し、図10(a)の矢印aに示されるように、第1回転軸31を中心に第1回転プレート32が一方向(正面視で時計方向)に回転する。この回転により、図10(b)に示されるように、ストライカー14が係合予定位置Bにおいてフック41の係合凹部42に係合すると共に、第1回転プレート32の回転規制溝43に第2回転プレート34の回転規制突起45が係合し、ストライカー14が移動不能となる。これにより、バッテリ2が充電器3に固定され、取っ手8の引き上げに伴って充電器3をバッテリ2と一体的に持ち上げることが可能となる。
【0046】
また、上記したストライカー14のフック41への係合と並行して、図9(c)に示されるように、充電器3の充電器側接続端子54にバッテリ2のバッテリ側接続端子17を接続する。これにより、充電器3とバッテリ2とが電気的に接続される。
【0047】
以上により、バッテリ2の充電器3への装着が完了する。なお、このように充電器3にバッテリ2が装着されると、充電器3の重心G2は、バッテリ2の重心G1側に寄った位置G3に移動する。この充電器3の重心G3(一体化されたバッテリ2と充電器3の重心)は、仮想平面Sを挟んで充電器側接続端子54の反対側に位置している。
【0048】
次に、バッテリ2を充電器3から取り外す方法について説明する。
【0049】
まず、充電器3に設けられる操作手段を操作して、図10(b)に矢印bで示されるように、ワイヤー48を一方向(図面上右方向)に牽引する。これに伴って、図10(b)に矢印cで示されるように、係合機構28の第2回転プレート34が一方向(正面視で反時計方向)に回転する。この回転により、第1回転プレート32の回転規制溝43と第2回転プレート34の回転規制突起45の係合が解除され、第1回転プレート32が他方向(正面視で反時計方向)に回転する。これにより、図10(a)に示される状態に第1回転プレート32が復元し、ストライカー14の移動規制が解除される。この状態で、バッテリ2を充電器3から持ち上げることで、バッテリ2の充電器3からの取り外しが完了する。なお、上記各記載から明らかなように、本実施形態では、バッテリ2の充電器3への着脱方向が鉛直方向となっている。
【0050】
以上のように、本実施形態では、取っ手8の引き上げに伴って充電器3がバッテリ2と一体的に持ち上げられるように構成されているため、バッテリ2を運ぶ感覚で電源装置1を容易に運搬することが可能となり、電源装置1の可搬性が向上する。また、バッテリ2に設けた取っ手8を引き上げることでバッテリ2と充電器3を一体的に持ち上げることができるため、バッテリ2と充電器3の両方に取っ手8を設ける必要が無く、部品点数を削減することができる。
【0051】
また、バッテリ2の上部に取っ手8が設けられているため、電源装置1の持ち上げや運搬がし易くなり、電源装置1の可搬性が更に向上する。また、ストライカー14がバッテリ2の底部に設けられているため、ストライカー14と対応する充電器3のフック41がバッテリ2の直下に位置することになる。そのため、充電器3が水平方向に膨れにくくなり、例えばストライカー14をバッテリ2の側面に設ける場合と比較して、充電器3の水平方向の幅を狭くすることができる。これに伴って、電源装置1の設置スペースを小さくすることができる。
【0052】
また、本実施形態では、ストライカー14がバッテリ2の底部に設けられており、これに伴って、係合機構28が充電器3の基台部18の上面に固定されている。このような構成により、係合機構28を基台部18の上面に固定する固定ネジ38の軸力方向は、鉛直方向になっている(図7参照)。そのため、バッテリ2及び充電器3を一体的に持ち上げる際に、固定ネジ38が軸力方向に力を受けることになり、係合機構28が充電器3の側面に設けられて固定ネジ38の軸力方向が水平方向となるような場合と比較して、固定ネジ38がせん断力や曲げ力を受けにくくなり、強度上有利である。従って、小型の係合機構28によって十分な固定強度を確保することができ、係合機構28のコンパクト化を図ることが可能となる。
【0053】
また、上下方向に長いバッテリ2の上部にバッテリ側接続端子17が設けられているため、バッテリ2の底部に設けられるストライカー14とは離間した位置にバッテリ側接続端子17が配置されることになる。これに伴って、充電器3にバッテリ2を装着する際に、バッテリ側接続端子17の位置を微調整しやすくなり、バッテリ側接続端子17を充電器側接続端子54に容易に接続することが可能となる。また、バッテリ2の上部にバッテリ側接続端子17を設けることで、同じくバッテリ2の上部に設けられる取っ手8と近接した位置にバッテリ側接続端子17が配置されることになる。そのため、充電器側接続端子54にバッテリ側接続端子17を接続する際に、各接続端子17、54の位置を確認しやすくなる。
【0054】
また、バッテリ2の前面に対向し、且つバッテリ2の着脱方向(鉛直方向)に沿って延びる支持面50が充電器3に設けられているため、バッテリ2の充電器3への着脱時に、支持面50によってバッテリ2をその着脱方向に沿ってガイドし、バッテリ2の倒れを抑制することが可能となる。そのため、バッテリ2の充電器3への着脱が容易になる。
【0055】
また、バッテリ2の充電器3への装着時に、バッテリ2が支持面50の平坦部51に沿って下降した後に支持面50の隆起部52に沿って下降するように構成されている。そのため、バッテリ2の着脱方向(鉛直方向)に対する傾斜角度が比較的大きい平坦部51にバッテリ2を確実に接触させてから、バッテリ2の着脱方向に対する傾斜角度が比較的小さい隆起部52によってバッテリ2を着脱方向に沿って容易にガイドすることができる。これに伴って、バッテリ2の充電器3への着脱が一層容易になる。
【0056】
また、図9(c)に示されるように、バッテリ2が充電器3に装着された状態で、充電器3の重心G3が、仮想平面Sを挟んで充電器側接続端子54の反対側に位置している。これに伴って、電源装置1を持ち上げた時に、充電器3の支持面50にバッテリ2の前面を押し付ける方向のモーメントが発生することになる(図9(c)の矢印X参照)。そのため、接続端子17、54同士が抜けにくくなり、接続端子17、54の接続状態を確実に維持することができると共に、各接続端子17、54の損傷を防止することが可能となる。
【0057】
また、本実施形態では、バッテリ2のストライカー14が仮想平面Sと重なり、且つ、仮想平面Sがバッテリ2の充電器3に対する着脱方向(鉛直方向)と平行になっている。そのため、バッテリ2を充電器3に対して着脱する際に、力を加えやすく、バッテリ2をこじる方向に力が発生しにくい。そのため、バッテリ2を充電器3に対して容易に着脱することが可能となる。
【0058】
また、本実施形態では、バッテリ2の持ち上げ時に仮想平面Sが鉛直面になっており、これに伴って、バッテリ2を充電器3に装着する際に、バッテリ2の底面が真下を向くことになる。そのため、ストライカー14とフック41の位置合わせを容易に行うことが可能となる。
【0059】
次に、上記した電源装置1のバッテリ2によって駆動電力を供給される電動二輪車について、図11及び図12を用いて説明する。以下、上下、左右、前後の方向は、電動二輪車に乗車する運転者から見た方向を示す。
【0060】
図11に示されるように、電動二輪車61には、車体の骨組を構成する車体フレーム62が設けられている。車体フレーム62は、その前部上端に配置されるヘッドパイプ63と、ヘッドパイプ63から後下方に向かって延設されるダウンチューブ64と、ダウンチューブ64の後端から後上方に向かって延設されるリヤフレーム65と、を備えている。
【0061】
ヘッドパイプ63には、フロントフォーク66が支持され、フロントフォーク66の下端には前輪67が軸支されている。ヘッドパイプ63には、ステアリングシャフト68が取り付けられ、ステアリングシャフト68の上端にはハンドルバー70が固定されている。
【0062】
ヘッドパイプ63とダウンチューブ64の周囲は、前方からフロントカバー71により覆われるとともに後方からレッグシールド72により覆われている。ダウンチューブ64の後下部にはパワーユニット73の前端部が上下方向揺動可能に支持され、パワーユニット73の後端部には、後輪74が軸支されるとともに後輪74を駆動させるためのモータ75が固定されている。
【0063】
リヤフレーム65は、フレームカバー76によって覆われており、フレームカバー76とレッグシールド72の間には、運転者が乗車時に足を載置するための低床状のフットボード77が設けられ、フットボード77にはインバータ78が収納されている。フレームカバー76の上端には運転者シート80が設けられ、運転者シート80の下方にはバッテリボックス81が設けられている。
【0064】
図12に示されるように、バッテリボックス81は、上向きに開口されて箱型形状を成している。バッテリボックス81の上前方にはシートヒンジ82が設けられ、シートヒンジ82に運転者シート80の前端部を取り付けることで、運転者シート80がバッテリボックス81の上端に開閉可能に支持されている。
【0065】
バッテリボックス81の内部には、前方収納部83と後方収納部84が前後に並設されている。前方収納部83にはバッテリ2が着脱可能に収納され、後方収納部84にはスペア用のバッテリ2が着脱可能に収納されている。
【0066】
図11に示されるように、バッテリボックス81の前方には、コントローラ85が設けられている。コントローラ85には車両側接続端子(図示せず)が設けられており、この車両側接続端子がバッテリ2のバッテリ側接続端子17と接続されることで、バッテリ2とコントローラ85が電気的に接続されるようになっている。
【0067】
以上のような構成の電動二輪車61においては、バッテリ2からコントローラ85を介して車両側に電力が供給され、この電力によってモータ75及び後輪74が回転することで、電動二輪車61の走行が可能となる。そのため、バッテリ2内に蓄えられている電力が減少した場合には、バッテリ2の充電が必要となる。
【0068】
バッテリ2の充電を行うには、電動二輪車61の運転者シート80を開放してバッテリボックス81からバッテリ2を取り外し、前述の方法によりバッテリ2を充電器3に装着する。そして、図13(a)に示されるように、充電器3の電源ケーブル58の先端に設けられたプラグ59を、例えば家屋の内壁等に設けられた家庭用コンセント91(AC100Vの商用電源)に接続する。これにより、家庭用コンセント91から出力される交流電圧が、充電器3のAC/DCコンバータ57によって直流に変換された後にバッテリ2に供給され、バッテリ2が充電される。バッテリ2の充電が完了したら、前述の方法によりバッテリ2を充電器3から取り外し、電動二輪車61のバッテリボックス81に再度装着する。
【0069】
次に、上記した電源装置1を、災害時等の非常時に家庭用電源として使用する方法を説明する。
【0070】
まず、上記したバッテリ2の充電時と同様に、電動二輪車61のバッテリボックス81からバッテリ2を取り外し、充電器3に装着する。そして、図13(b)に示されるように、充電器3に設けられた家電製品接続用コンセント56に、家電製品92(例えば、卓上ライト)の接続ケーブル93の先端に設けられたプラグ94を接続し、充電器3の動作モードを充電モードから放電モードに切り替える。この切り替えは、例えば、充電器3に設けられたキーやボタン等の切換手段(図示せず)を操作することにより手動で行っても良いし、充電器3の家電製品接続用コンセント56に家電製品92のプラグ94が接続されるのに伴って自動的に行われても良い。
【0071】
この動作モードの切り替えに伴って、バッテリ2の直流電圧をインバータ55によって交流(AC100V)に変換し、家電製品接続用コンセント56から家電製品92に出力することが可能となる。
【0072】
なお、本実施形態では、バッテリ2と充電器3のAC/DCコンバータ57の間及びバッテリ2と充電器3のインバータ55の間でCAN通信(Controller Area Network通信)を行うことでバッテリ残容量(放電可能容量)を正確に把握し、この把握したバッテリ残容量を、バッテリ2又は充電器3に設けられる残量表示部において正確に表示できるように構成されている。
【0073】
本実施形態では、以上のように、充電器3にインバータ55と家電製品接続用コンセント56を設けることで、バッテリ2の直流電圧を容易に交流に変換して、家電製品92の電源として多用途に使用することが可能となる。特に、電動二輪車61のような電動車両に駆動電力を供給するバッテリ2は、モータ75の駆動に大電力を要するため、通常は大容量である。そのため、携帯型の電源装置1でありながら家電製品92の電源として長時間の使用が期待できる。
【0074】
このように、電源装置1のバッテリ2を、普段は充電器3から分離させて電動二輪車61の駆動源として単体で使用し、非常時には充電器3に装着して汎用電源として使用することが可能となっており、且つ、バッテリ2と充電器3の両者を容易に携帯できる構造となっている。
【0075】
また、電動二輪車61に駆動電力を供給するバッテリ2を家庭用電源として用いることで、化石燃料を使用する従来の発電機を用いる場合と比較して、排気ガスの発生を抑制することができる。そのため、災害時等の非常時に電源装置1を室内で使用することが可能となり、電源装置1の非常用電源としての利便性が向上する。
【0076】
また、本実施形態のバッテリ2を構成するリチウムイオン電池は、例えば鉛蓄電池と比較して、単位体積当たりのエネルギー密度が一般的に高い。そのため、リチウムイオン電池によってバッテリ2を構成することで、コンパクト且つ大容量のバッテリ2を実現することが可能となる。
【0077】
一方で、リチウムイオン電池を用いる場合には、過充電や過放電を抑制する必要が生じる。この点、本実施形態では前述のように、バッテリ2と充電器3間でCAN通信を行うことで、バッテリ2の残容量を正確に把握及び表示することができるため、過充電や過放電を未然に防止することが可能となり、安全性を確保することが可能となる。なお、過充電や過放電を未然に防止する具体的な構成としては、例えば、バッテリ残容量に応じて過充電や過放電を知らせる警告を表示したり警報を発したりする構成を採用することができる。また、バッテリ残容量に応じて充電や放電を停止する構成を採用することができる。
【0078】
本実施形態では、バッテリ2の充電器3への装着時にバッテリ2をガイドするためのガイド凹部25を充電器3に設ける場合について説明したが、例えば充電器3の横幅とバッテリ2の横幅が略同一であるような場合には、ガイド凹部25を設けなくても良い。
【0079】
本実施形態では、バッテリ2の電池ブロックをリチウムイオン電池によって構成する場合について説明したが、他の異なる実施形態では、ニッケル水素電池やニッケルカドミウム電池等の他の充電式電池によってバッテリ2の電池ブロックを構成しても良い。
【0080】
本実施形態では、電源装置1を非常時の家庭用電源として使用する場合を例に説明したが、非常時以外の通常時にも電源装置1を家庭用電源として使用できることは言うまでもない。
【0081】
本実施形態では、電動二輪車61に本発明の構成を適用する場合について説明したが、他の異なる実施形態では、例えば電動車いすや電動自転車等の電動二輪車61以外の電動小型車両に本発明の構成を適用しても良いし、電気自動車等の比較的大型の電動車両に本発明の構成を適用しても良い。また、電動車両以外の電気機器に本発明の構成を適用しても良い。
【符号の説明】
【0082】
1 携帯型電源装置
2 バッテリ
3 充電器
8 取っ手
11 把持部
14 ストライカー(バッテリ側係合部)
17 バッテリ側接続端子
41 フック(充電器側係合部)
50 支持面
51 平坦部
52 隆起部
54 充電器側接続端子
55 インバータ
56 家電製品接続用コンセント
61 電動二輪車(電気機器)
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリ及びこのバッテリを充電する充電器を備えた携帯型電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、大電力を要し、且つ電源と非接続状態で使用される電気機器に作動電力を供給する電源装置の多くは、機器毎に専用設計されたバッテリモジュール(以下、「バッテリ」)、及び対応する専用充電器により構成されている。
【0003】
このような電源装置の一例として、特許文献1には、電動車両に対して着脱可能なバッテリと、電動車両とは別体に設けられて上記したバッテリを充電する充電器と、によって構成される電源装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−267283号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような大容量バッテリは、使用対象機器の要求に合せて設計されているため、外形や接続端子形状などが専用設計となって汎用性に乏しく、またそのバッテリに接続可能な充電器の機能はバッテリの充電に限られていた。そのため、例えば災害時等の非常時において電源装置のバッテリに一定の電力が蓄えられていたとしても、これを家庭用電源として使用することはできなかった。
【0006】
そこで、本発明は上記の事情を考慮し、平常時はバッテリのみ分離して電気機器に作動電力を供給可能として、非常時はバッテリと充電器を組み合わせることで家庭用電源等の他用途に使用可能な携帯型電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、電気機器に着脱自在に接続されて該電気機器に作動電力を供給するバッテリと、該バッテリが着脱可能に装着されて該バッテリを充電する充電器と、を備えた携帯型電源装置であって、前記充電器は、前記バッテリの直流電圧を交流に変換するインバータと、該インバータによって変換された交流を出力する家電製品接続用コンセントと、を備えていることを特徴とする。
【0008】
このような構成を採用することにより、バッテリの直流電圧を容易に交流に変換して、家電製品の電源として多用途に使用することが可能となる。
【0009】
前記バッテリには、該バッテリを持ち上げるための取っ手と、バッテリ側係合部と、が設けられ、前記充電器には、前記バッテリ側係合部と対応する位置に充電器側係合部が設けられ、前記バッテリを前記充電器に装着すると、前記バッテリ側係合部が前記充電器側係合部に係合して前記バッテリが前記充電器に固定され、前記取っ手の引き上げに伴って前記充電器が前記バッテリと一体的に持ち上げられても良い。
【0010】
このような構成を採用することにより、バッテリを運ぶ感覚で電源装置全体を容易に運搬することが可能となり、電源装置の可搬性が向上する。また、バッテリに設けた取っ手を引き上げることでバッテリと充電器を一体的に持ち上げることができるため、バッテリと充電器の両方に取っ手を設ける必要が無く、部品点数を削減することができる。
【0011】
前記取っ手は、前記バッテリの上部に設けられ、前記バッテリ側係合部は、前記バッテリの底部に設けられていても良い。
【0012】
このように取っ手をバッテリの上部に設けることで、電源装置の持ち上げや運搬がし易くなり、電源装置の可搬性が更に向上する。また、バッテリ側係合部をバッテリの底部に設けることで、バッテリ側係合部と対応する充電器側係合部がバッテリの直下に位置することになる。そのため、充電器が水平方向に膨れにくくなり、例えばバッテリ側係合部をバッテリの側面に設ける場合と比較して、充電器の水平方向の幅を狭くすることができる。これに伴って、電源装置全体の設置スペースを小さくすることができる。
【0013】
前記バッテリは、上下方向に長い形状を成し、該バッテリの上部には、前記充電器との接続端子が設けられていても良い。
【0014】
このように上下方向に長いバッテリの上部に接続端子を設けることで、バッテリの底部に設けられるバッテリ側係合部とは離間した位置にバッテリの接続端子が配置されることになる。これに伴って、充電器にバッテリを装着する際に、バッテリの接続端子の位置を微調整しやすくなり、バッテリの接続端子を充電器の接続端子に容易に接続することが可能となる。また、バッテリの上部に接続端子を設けることで、同じくバッテリの上部に設けられる取っ手と近接した位置に接続端子が配置されることになる。そのため、充電器や電動車両の接続端子にバッテリの接続端子を接続する際に、各接続端子の位置を確認しやすくなる。
【0015】
前記充電器には、少なくとも前記バッテリの一面に対向し、且つ前記バッテリの着脱方向に沿って延びる支持面が設けられていても良い。
【0016】
このような形状の支持面を設けることで、バッテリの充電器への着脱時に、支持面によってバッテリをその着脱方向に沿ってガイドし、バッテリの倒れを抑制することが可能となる。そのため、バッテリの充電器への着脱が容易になる。
【0017】
前記バッテリが前記充電器に装着された状態で、前記充電器の重心は、側面視において前記取っ手の中心軸線及び前記バッテリ側係合部と前記充電器側係合部の係合点を含む仮想平面を挟んで前記バッテリとの接続端子の反対側に位置していても良い。
【0018】
このような構成を採用することで、バッテリを充電器に装着した状態で電源装置を持ち上げた時に、充電器の支持面にバッテリの対向する面を押し付ける方向のモーメントが発生することになる。そのため、接続端子同士が抜けにくくなり、接続端子の接続状態を確実に維持することができると共に、各接続端子の損傷を防止することが可能となる。
【0019】
前記支持面は、前記バッテリの着脱方向に対して所定角度傾斜する平坦部と、該平坦部から隆起し、前記バッテリの着脱方向に対する傾斜角度が前記平坦部よりも小さい隆起部と、を備え、前記バッテリの前記充電器への装着時に、前記バッテリが前記平坦部に沿って移動した後に前記隆起部に沿って移動するように構成されていても良い。
【0020】
このような構成を採用することにより、バッテリの着脱方向に対する傾斜角度が比較的大きい平坦部にバッテリを確実に接触させてから、バッテリの着脱方向に対する傾斜角度が比較的小さい隆起部によってバッテリを着脱方向に沿って容易にガイドすることができる。これに伴って、バッテリの充電器への着脱が一層容易になる。
【0021】
前記バッテリは、電動車両に駆動用の電力を供給するものであっても良い。
【0022】
特に、モータの駆動に大電力を要する電動車両用のバッテリは、通常は大容量であるため、携帯型の電源装置でありながら家電製品の電源として長時間の使用が期待できる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、電気機器に作動電力を供給可能且つ非常時の家庭用電源等の他用途に使用可能な携帯型電源装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態に係る携帯型電源装置を示す正面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る携帯型電源装置において、バッテリを示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る携帯型電源装置において、バッテリを示す平面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る携帯型電源装置において、バッテリを示す側面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る携帯型電源装置において、バッテリを示す底面図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る携帯型電源装置において、充電器を示す斜視図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る携帯型電源装置の充電器において、係合機構を示す正面図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る携帯型電源装置において、充電器を示す側面図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る携帯型電源装置において、(a)は、バッテリを充電器の支持面の平坦部に沿って保持した状態を示す側面図であり、(b)は、バッテリを充電器の支持面の隆起部に沿って下降させている状態を示す側面図であり、(c)は、バッテリを充電器に装着した状態を示す側面図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る携帯型電源装置の充電器において、(a)は、ストライカーが係合機構のフックに係合する前の状態を示す正面図であり、(b)は、ストライカーが係合機構のフックに係合した後の状態を示す正面図である。
【図11】本発明の一実施形態に係る携帯型電源装置のバッテリを搭載した自動二輪車の側面図である。
【図12】本発明の一実施形態に係る携帯型電源装置のバッテリを搭載した自動二輪車において、バッテリ収納部の周辺を示す斜視図である。
【図13】本発明の一実施形態に係る携帯型電源装置において、(a)は、充電時を示す使用概念図であり、(b)は、放電時を示す使用概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図1〜図8を用いて、本発明に係る携帯型電源装置(以下、「電源装置」と略称する。)の好適な実施形態について説明する。本実施形態では、電動二輪車に駆動電力を供給する電源装置に本発明の構成を適用する場合について説明する。以下、上下、左右、前後の方向は、バッテリを充電器に装着した状態(図1参照)を基準とし、図1における紙面手前側を電源装置の正面側(前側)とする。各図において適宜示される矢印Frは、正面側を示している。
【0026】
図1に示されるように、電源装置1は、バッテリ2と、バッテリ2が着脱可能に装着される充電器3と、を備えている。
【0027】
まず、バッテリ2について説明する。図2に示されるように、バッテリ2は、上下方向に長い形状を成しており、前後割のバッテリケース4によって全体を覆われている。バッテリケース4内には、複数の電池を直列及び並列に接続して形成される電池ブロック(図示せず)が収納されている。本実施形態では、上記した電池として、リチウムイオン電池を用いている。
【0028】
バッテリケース4の前後両面には、多数のフィン5によって構成される横長矩形状の放熱部6が、上下に所定の間隔を介して複数段ずつ設けられている。バッテリケース4の左右両側には、ガイド突起7が上下方向に延設されている。
【0029】
バッテリ2の上部(より詳しくは上端部)には、バッテリ2を持ち上げるための取っ手8が設けられている。取っ手8は、左右一対の取付部10と、この取付部10を連結して左右方向に延びる把持部11と、を備えており、略コ字状を成している。各取付部10の基端部(把持部11と離間した側の端部)は、バッテリケース4の左上隅部と右上隅部にそれぞれ突設された取っ手用支持部12に回転可能に支持されており、これにより、取っ手8が起立姿勢(図3、図4の実線参照)と傾倒姿勢(図3、図4の二点鎖線参照)との間で傾動可能となっている。図3に示されるように、取っ手8の中心軸線A(起立姿勢を基準とした把持部11の中心軸線)は、バッテリ2の重心G1の真上を通過している。
【0030】
図5に示されるように、バッテリ2の底面の中央には横長矩形状の下端開口部13が設けられ、下端開口部13の内側(上側)には、バッテリ側係合部としての丸棒状のストライカー14が、前後方向に延設されている。ストライカー14はバッテリ2の底部に設けられている。ストライカー14は、バッテリ2の重心G1の真下に位置しており、図4に示されるように、取っ手8の中心軸線Aとストライカー14の係合予定位置B(本実施形態では、ストライカー14の前部)を含む仮想平面Sは、バッテリ2の重心G1を通過する鉛直面になっている。換言すると、ストライカー14の係合予定位置Bは、取っ手8の中心軸線Aとバッテリ2の重心G1を含む仮想平面Sと重なっている。
【0031】
バッテリ2の前面の上部には、箱型形状の端子収容部15が突設されている。図5に示されるように、端子収容部15の下面には略横長矩形状の上側開口部16が設けられている。端子収容部15内には、複数のバッテリ側接続端子17が上側開口部16に臨む位置に並設されている。各バッテリ側接続端子17は、リード線(図示せず)を介して前述の電池ブロックに接続されている。
【0032】
次に、充電器3について説明する。図6に示されるように、充電器3は、扁平な略直方体形状を成す基台部18と、基台部18の前部から上方に向かって突出する支持部20と、を備えている。
【0033】
基台部18の後部の左右両側には、ガイド片21が上方に向かって突設され、各ガイド片21と支持部20の間に、凹部状のバッテリ装着部22が設けられている。各ガイド片21は、前後方向に延びる側方ガイド部23と、側方ガイド部23の後端から左右方向内側に向かって屈曲される後方ガイド部24と、を備えており、平面視略L字状を成している。側方ガイド部23の内面には、ガイド凹部25が鉛直方向に設けられている。後方ガイド部24の対向間隔には、下方に向かって縮径する背面視台形状の連通部26が形成されている。基台部18の側面の下部には、排風口27が設けられている。
【0034】
基台部18の上面には、バッテリ装着部22の底面にあたる位置に、係合機構28が固定されている。図7に示されるように、係合機構28は、基台部18の上面に立設されるベースプレート30と、第1回転軸31を介してベースプレート30に回転可能に支持される第1回転プレート32と、第2回転軸33を介してベースプレート30に回転可能に支持される第2回転プレート34と、第1回転プレート32と第2回転プレート34を連結するコイルスプリング35(牽引手段)と、を備えている。
【0035】
ベースプレート30は、基台部18の上面に沿って配置される固定板36と、この固定板36の後端部から上方に向かって屈曲されるガイド板37と、を備えており、側面視略L字状を成している。固定板36は固定ネジ38を介して基台部18の上面に固定されている。ガイド板37の左右方向中央には、上向きに開口された略U字状のガイド溝40が設けられている。
【0036】
第1回転プレート32の上端には、バッテリ2のストライカー14と対応する位置に、支持部側係合部としてのフック41が設けられ、フック41には、係合凹部42が設けられている。第1回転プレート32には、フック41よりも下方に、回転規制溝43が設けられ、回転規制溝43の更に下方に、第1スプリング取付部44が設けられている。第1スプリング取付部44には、コイルスプリング35の一端が固定されている。
【0037】
第2回転プレート34の下部には、第1回転プレート32側に向かって延びる回転規制突起45が設けられ、回転規制突起45の下方に、第2スプリング取付部46が設けられている。第2スプリング取付部46には、コイルスプリング35の他端が固定されている。第2回転プレート34の下部には、第2スプリング取付部46を挟んで回転規制突起45の反対側にワイヤー取付部47が設けられ、このワイヤー取付部47に、ワイヤー48の一端が取り付けられている。ワイヤー48の他端は、充電器3に設けられたリリースレバーやリリースキー等の操作手段(図示せず)に取り付けられている。
【0038】
図6に示されるように、支持部20の左右両面の上部には、側面視略台形状の側方凹部49が、前部から後端部に亘って設けられている。支持部20の後面には、略長方形状の支持面50が鉛直方向に沿って延びている。支持面50は、平坦部51と、平坦部51の左右両側に隆起して上下方向に延びる隆起部52と、を備えている。平坦部51と隆起部52は、鉛直方向に対して所定角度傾斜しており、隆起部52の鉛直方向に対する傾斜角度は、平坦部51の鉛直方向に対する傾斜角度よりも小さくなっている(図8参照)。各隆起部52は、略半円柱形状(アーチ形状)を成しており、各隆起部52の上端面は、球面状に湾曲している。各隆起部52は、下方に向かってテーパ状に縮幅している。なお、図8のG2は、充電器3の重心を示している。
【0039】
図6に示されるように、支持面50の上端には、支持部20の上面との間に跨って略直方体形状の端子用凹部53が設けられ、この端子用凹部53の底面には、複数の充電器側接続端子54が並設されている。
【0040】
充電器側接続端子54は、充電器3内に収納されたインバータ55を介して、支持部20の前面に設けられた家電製品接続用コンセント56(図1参照。)と電気的に接続されている。この家電製品接続用コンセント56は、AC100Vに対応している。充電器側接続端子54は、充電器3内に収容されたAC/DCコンバータ57を介して電源ケーブル58に接続されている。電源ケーブル58は、基台部18に設けられたケーブル挿通穴(図示せず)に貫挿されて充電器3の外部に引き出されている。電源ケーブル58の先端にはプラグ59が設けられている。
【0041】
以上の如く構成される電源装置1について、バッテリ2を充電器3に対して着脱する方法について、図9及び図10を用いて説明する。
【0042】
バッテリ2を充電器3に装着するには、まず、取っ手8を把持してバッテリ2を持ち上げて、図9(a)に示されるように、バッテリ2を充電器3の支持面50の平坦部51に沿って保持する。なお、バッテリ2を持ち上げた状態において、バッテリ2は直立姿勢を取っており、仮想平面Sが鉛直面になっている。
【0043】
この状態で、バッテリ2を充電器3の支持面50の平坦部51に沿って下降させていくと、図9(b)に示されるように、バッテリ2が、支持面50の隆起部52に接触する。そして、バッテリ2のガイド突起7を充電器3のガイド凹部25に係合させながらバッテリ2を支持面50の隆起部52に沿って下降させ、バッテリ2を充電器3のバッテリ装着部22に挿入していく。
【0044】
これに伴って、図10(a)に示されるように、バッテリ2のストライカー14が充電器3の係合機構28に接近し、係合機構28のベースプレート30のガイド溝40にストライカー14が進入し、係合機構28の第1回転プレート32のフック41にストライカー14が当接する。
【0045】
この状態で、バッテリ2を下方に向かって押圧すると、ストライカー14がフック41を下方に押圧し、図10(a)の矢印aに示されるように、第1回転軸31を中心に第1回転プレート32が一方向(正面視で時計方向)に回転する。この回転により、図10(b)に示されるように、ストライカー14が係合予定位置Bにおいてフック41の係合凹部42に係合すると共に、第1回転プレート32の回転規制溝43に第2回転プレート34の回転規制突起45が係合し、ストライカー14が移動不能となる。これにより、バッテリ2が充電器3に固定され、取っ手8の引き上げに伴って充電器3をバッテリ2と一体的に持ち上げることが可能となる。
【0046】
また、上記したストライカー14のフック41への係合と並行して、図9(c)に示されるように、充電器3の充電器側接続端子54にバッテリ2のバッテリ側接続端子17を接続する。これにより、充電器3とバッテリ2とが電気的に接続される。
【0047】
以上により、バッテリ2の充電器3への装着が完了する。なお、このように充電器3にバッテリ2が装着されると、充電器3の重心G2は、バッテリ2の重心G1側に寄った位置G3に移動する。この充電器3の重心G3(一体化されたバッテリ2と充電器3の重心)は、仮想平面Sを挟んで充電器側接続端子54の反対側に位置している。
【0048】
次に、バッテリ2を充電器3から取り外す方法について説明する。
【0049】
まず、充電器3に設けられる操作手段を操作して、図10(b)に矢印bで示されるように、ワイヤー48を一方向(図面上右方向)に牽引する。これに伴って、図10(b)に矢印cで示されるように、係合機構28の第2回転プレート34が一方向(正面視で反時計方向)に回転する。この回転により、第1回転プレート32の回転規制溝43と第2回転プレート34の回転規制突起45の係合が解除され、第1回転プレート32が他方向(正面視で反時計方向)に回転する。これにより、図10(a)に示される状態に第1回転プレート32が復元し、ストライカー14の移動規制が解除される。この状態で、バッテリ2を充電器3から持ち上げることで、バッテリ2の充電器3からの取り外しが完了する。なお、上記各記載から明らかなように、本実施形態では、バッテリ2の充電器3への着脱方向が鉛直方向となっている。
【0050】
以上のように、本実施形態では、取っ手8の引き上げに伴って充電器3がバッテリ2と一体的に持ち上げられるように構成されているため、バッテリ2を運ぶ感覚で電源装置1を容易に運搬することが可能となり、電源装置1の可搬性が向上する。また、バッテリ2に設けた取っ手8を引き上げることでバッテリ2と充電器3を一体的に持ち上げることができるため、バッテリ2と充電器3の両方に取っ手8を設ける必要が無く、部品点数を削減することができる。
【0051】
また、バッテリ2の上部に取っ手8が設けられているため、電源装置1の持ち上げや運搬がし易くなり、電源装置1の可搬性が更に向上する。また、ストライカー14がバッテリ2の底部に設けられているため、ストライカー14と対応する充電器3のフック41がバッテリ2の直下に位置することになる。そのため、充電器3が水平方向に膨れにくくなり、例えばストライカー14をバッテリ2の側面に設ける場合と比較して、充電器3の水平方向の幅を狭くすることができる。これに伴って、電源装置1の設置スペースを小さくすることができる。
【0052】
また、本実施形態では、ストライカー14がバッテリ2の底部に設けられており、これに伴って、係合機構28が充電器3の基台部18の上面に固定されている。このような構成により、係合機構28を基台部18の上面に固定する固定ネジ38の軸力方向は、鉛直方向になっている(図7参照)。そのため、バッテリ2及び充電器3を一体的に持ち上げる際に、固定ネジ38が軸力方向に力を受けることになり、係合機構28が充電器3の側面に設けられて固定ネジ38の軸力方向が水平方向となるような場合と比較して、固定ネジ38がせん断力や曲げ力を受けにくくなり、強度上有利である。従って、小型の係合機構28によって十分な固定強度を確保することができ、係合機構28のコンパクト化を図ることが可能となる。
【0053】
また、上下方向に長いバッテリ2の上部にバッテリ側接続端子17が設けられているため、バッテリ2の底部に設けられるストライカー14とは離間した位置にバッテリ側接続端子17が配置されることになる。これに伴って、充電器3にバッテリ2を装着する際に、バッテリ側接続端子17の位置を微調整しやすくなり、バッテリ側接続端子17を充電器側接続端子54に容易に接続することが可能となる。また、バッテリ2の上部にバッテリ側接続端子17を設けることで、同じくバッテリ2の上部に設けられる取っ手8と近接した位置にバッテリ側接続端子17が配置されることになる。そのため、充電器側接続端子54にバッテリ側接続端子17を接続する際に、各接続端子17、54の位置を確認しやすくなる。
【0054】
また、バッテリ2の前面に対向し、且つバッテリ2の着脱方向(鉛直方向)に沿って延びる支持面50が充電器3に設けられているため、バッテリ2の充電器3への着脱時に、支持面50によってバッテリ2をその着脱方向に沿ってガイドし、バッテリ2の倒れを抑制することが可能となる。そのため、バッテリ2の充電器3への着脱が容易になる。
【0055】
また、バッテリ2の充電器3への装着時に、バッテリ2が支持面50の平坦部51に沿って下降した後に支持面50の隆起部52に沿って下降するように構成されている。そのため、バッテリ2の着脱方向(鉛直方向)に対する傾斜角度が比較的大きい平坦部51にバッテリ2を確実に接触させてから、バッテリ2の着脱方向に対する傾斜角度が比較的小さい隆起部52によってバッテリ2を着脱方向に沿って容易にガイドすることができる。これに伴って、バッテリ2の充電器3への着脱が一層容易になる。
【0056】
また、図9(c)に示されるように、バッテリ2が充電器3に装着された状態で、充電器3の重心G3が、仮想平面Sを挟んで充電器側接続端子54の反対側に位置している。これに伴って、電源装置1を持ち上げた時に、充電器3の支持面50にバッテリ2の前面を押し付ける方向のモーメントが発生することになる(図9(c)の矢印X参照)。そのため、接続端子17、54同士が抜けにくくなり、接続端子17、54の接続状態を確実に維持することができると共に、各接続端子17、54の損傷を防止することが可能となる。
【0057】
また、本実施形態では、バッテリ2のストライカー14が仮想平面Sと重なり、且つ、仮想平面Sがバッテリ2の充電器3に対する着脱方向(鉛直方向)と平行になっている。そのため、バッテリ2を充電器3に対して着脱する際に、力を加えやすく、バッテリ2をこじる方向に力が発生しにくい。そのため、バッテリ2を充電器3に対して容易に着脱することが可能となる。
【0058】
また、本実施形態では、バッテリ2の持ち上げ時に仮想平面Sが鉛直面になっており、これに伴って、バッテリ2を充電器3に装着する際に、バッテリ2の底面が真下を向くことになる。そのため、ストライカー14とフック41の位置合わせを容易に行うことが可能となる。
【0059】
次に、上記した電源装置1のバッテリ2によって駆動電力を供給される電動二輪車について、図11及び図12を用いて説明する。以下、上下、左右、前後の方向は、電動二輪車に乗車する運転者から見た方向を示す。
【0060】
図11に示されるように、電動二輪車61には、車体の骨組を構成する車体フレーム62が設けられている。車体フレーム62は、その前部上端に配置されるヘッドパイプ63と、ヘッドパイプ63から後下方に向かって延設されるダウンチューブ64と、ダウンチューブ64の後端から後上方に向かって延設されるリヤフレーム65と、を備えている。
【0061】
ヘッドパイプ63には、フロントフォーク66が支持され、フロントフォーク66の下端には前輪67が軸支されている。ヘッドパイプ63には、ステアリングシャフト68が取り付けられ、ステアリングシャフト68の上端にはハンドルバー70が固定されている。
【0062】
ヘッドパイプ63とダウンチューブ64の周囲は、前方からフロントカバー71により覆われるとともに後方からレッグシールド72により覆われている。ダウンチューブ64の後下部にはパワーユニット73の前端部が上下方向揺動可能に支持され、パワーユニット73の後端部には、後輪74が軸支されるとともに後輪74を駆動させるためのモータ75が固定されている。
【0063】
リヤフレーム65は、フレームカバー76によって覆われており、フレームカバー76とレッグシールド72の間には、運転者が乗車時に足を載置するための低床状のフットボード77が設けられ、フットボード77にはインバータ78が収納されている。フレームカバー76の上端には運転者シート80が設けられ、運転者シート80の下方にはバッテリボックス81が設けられている。
【0064】
図12に示されるように、バッテリボックス81は、上向きに開口されて箱型形状を成している。バッテリボックス81の上前方にはシートヒンジ82が設けられ、シートヒンジ82に運転者シート80の前端部を取り付けることで、運転者シート80がバッテリボックス81の上端に開閉可能に支持されている。
【0065】
バッテリボックス81の内部には、前方収納部83と後方収納部84が前後に並設されている。前方収納部83にはバッテリ2が着脱可能に収納され、後方収納部84にはスペア用のバッテリ2が着脱可能に収納されている。
【0066】
図11に示されるように、バッテリボックス81の前方には、コントローラ85が設けられている。コントローラ85には車両側接続端子(図示せず)が設けられており、この車両側接続端子がバッテリ2のバッテリ側接続端子17と接続されることで、バッテリ2とコントローラ85が電気的に接続されるようになっている。
【0067】
以上のような構成の電動二輪車61においては、バッテリ2からコントローラ85を介して車両側に電力が供給され、この電力によってモータ75及び後輪74が回転することで、電動二輪車61の走行が可能となる。そのため、バッテリ2内に蓄えられている電力が減少した場合には、バッテリ2の充電が必要となる。
【0068】
バッテリ2の充電を行うには、電動二輪車61の運転者シート80を開放してバッテリボックス81からバッテリ2を取り外し、前述の方法によりバッテリ2を充電器3に装着する。そして、図13(a)に示されるように、充電器3の電源ケーブル58の先端に設けられたプラグ59を、例えば家屋の内壁等に設けられた家庭用コンセント91(AC100Vの商用電源)に接続する。これにより、家庭用コンセント91から出力される交流電圧が、充電器3のAC/DCコンバータ57によって直流に変換された後にバッテリ2に供給され、バッテリ2が充電される。バッテリ2の充電が完了したら、前述の方法によりバッテリ2を充電器3から取り外し、電動二輪車61のバッテリボックス81に再度装着する。
【0069】
次に、上記した電源装置1を、災害時等の非常時に家庭用電源として使用する方法を説明する。
【0070】
まず、上記したバッテリ2の充電時と同様に、電動二輪車61のバッテリボックス81からバッテリ2を取り外し、充電器3に装着する。そして、図13(b)に示されるように、充電器3に設けられた家電製品接続用コンセント56に、家電製品92(例えば、卓上ライト)の接続ケーブル93の先端に設けられたプラグ94を接続し、充電器3の動作モードを充電モードから放電モードに切り替える。この切り替えは、例えば、充電器3に設けられたキーやボタン等の切換手段(図示せず)を操作することにより手動で行っても良いし、充電器3の家電製品接続用コンセント56に家電製品92のプラグ94が接続されるのに伴って自動的に行われても良い。
【0071】
この動作モードの切り替えに伴って、バッテリ2の直流電圧をインバータ55によって交流(AC100V)に変換し、家電製品接続用コンセント56から家電製品92に出力することが可能となる。
【0072】
なお、本実施形態では、バッテリ2と充電器3のAC/DCコンバータ57の間及びバッテリ2と充電器3のインバータ55の間でCAN通信(Controller Area Network通信)を行うことでバッテリ残容量(放電可能容量)を正確に把握し、この把握したバッテリ残容量を、バッテリ2又は充電器3に設けられる残量表示部において正確に表示できるように構成されている。
【0073】
本実施形態では、以上のように、充電器3にインバータ55と家電製品接続用コンセント56を設けることで、バッテリ2の直流電圧を容易に交流に変換して、家電製品92の電源として多用途に使用することが可能となる。特に、電動二輪車61のような電動車両に駆動電力を供給するバッテリ2は、モータ75の駆動に大電力を要するため、通常は大容量である。そのため、携帯型の電源装置1でありながら家電製品92の電源として長時間の使用が期待できる。
【0074】
このように、電源装置1のバッテリ2を、普段は充電器3から分離させて電動二輪車61の駆動源として単体で使用し、非常時には充電器3に装着して汎用電源として使用することが可能となっており、且つ、バッテリ2と充電器3の両者を容易に携帯できる構造となっている。
【0075】
また、電動二輪車61に駆動電力を供給するバッテリ2を家庭用電源として用いることで、化石燃料を使用する従来の発電機を用いる場合と比較して、排気ガスの発生を抑制することができる。そのため、災害時等の非常時に電源装置1を室内で使用することが可能となり、電源装置1の非常用電源としての利便性が向上する。
【0076】
また、本実施形態のバッテリ2を構成するリチウムイオン電池は、例えば鉛蓄電池と比較して、単位体積当たりのエネルギー密度が一般的に高い。そのため、リチウムイオン電池によってバッテリ2を構成することで、コンパクト且つ大容量のバッテリ2を実現することが可能となる。
【0077】
一方で、リチウムイオン電池を用いる場合には、過充電や過放電を抑制する必要が生じる。この点、本実施形態では前述のように、バッテリ2と充電器3間でCAN通信を行うことで、バッテリ2の残容量を正確に把握及び表示することができるため、過充電や過放電を未然に防止することが可能となり、安全性を確保することが可能となる。なお、過充電や過放電を未然に防止する具体的な構成としては、例えば、バッテリ残容量に応じて過充電や過放電を知らせる警告を表示したり警報を発したりする構成を採用することができる。また、バッテリ残容量に応じて充電や放電を停止する構成を採用することができる。
【0078】
本実施形態では、バッテリ2の充電器3への装着時にバッテリ2をガイドするためのガイド凹部25を充電器3に設ける場合について説明したが、例えば充電器3の横幅とバッテリ2の横幅が略同一であるような場合には、ガイド凹部25を設けなくても良い。
【0079】
本実施形態では、バッテリ2の電池ブロックをリチウムイオン電池によって構成する場合について説明したが、他の異なる実施形態では、ニッケル水素電池やニッケルカドミウム電池等の他の充電式電池によってバッテリ2の電池ブロックを構成しても良い。
【0080】
本実施形態では、電源装置1を非常時の家庭用電源として使用する場合を例に説明したが、非常時以外の通常時にも電源装置1を家庭用電源として使用できることは言うまでもない。
【0081】
本実施形態では、電動二輪車61に本発明の構成を適用する場合について説明したが、他の異なる実施形態では、例えば電動車いすや電動自転車等の電動二輪車61以外の電動小型車両に本発明の構成を適用しても良いし、電気自動車等の比較的大型の電動車両に本発明の構成を適用しても良い。また、電動車両以外の電気機器に本発明の構成を適用しても良い。
【符号の説明】
【0082】
1 携帯型電源装置
2 バッテリ
3 充電器
8 取っ手
11 把持部
14 ストライカー(バッテリ側係合部)
17 バッテリ側接続端子
41 フック(充電器側係合部)
50 支持面
51 平坦部
52 隆起部
54 充電器側接続端子
55 インバータ
56 家電製品接続用コンセント
61 電動二輪車(電気機器)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機器に着脱自在に接続されて該電気機器に作動電力を供給するバッテリと、該バッテリが着脱可能に装着されて該バッテリを充電する充電器と、を備えた携帯型電源装置であって、
前記充電器は、
前記バッテリの直流電圧を交流に変換するインバータと、
該インバータによって変換された交流を出力する家電製品接続用コンセントと、を備えていることを特徴とする携帯型電源装置。
【請求項2】
前記バッテリには、該バッテリを持ち上げるための取っ手と、バッテリ側係合部と、が設けられ、
前記充電器には、前記バッテリ側係合部と対応する位置に充電器側係合部が設けられ、
前記バッテリを前記充電器に装着すると、前記バッテリ側係合部が前記充電器側係合部に係合して前記バッテリが前記充電器に固定され、前記取っ手の引き上げに伴って前記充電器が前記バッテリと一体的に持ち上げられることを特徴とする請求項1に記載の携帯型電源装置。
【請求項3】
前記取っ手は、前記バッテリの上部に設けられ、
前記バッテリ側係合部は、前記バッテリの底部に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の携帯型電源装置。
【請求項4】
前記バッテリは、上下方向に長い形状を成し、
該バッテリの上部には、前記充電器との接続端子が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の携帯型電源装置。
【請求項5】
前記充電器には、少なくとも前記バッテリの一面に対向し、且つ前記バッテリの着脱方向に沿って延びる支持面が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の携帯型電源装置。
【請求項6】
前記バッテリが前記充電器に装着された状態で、前記充電器の重心は、側面視において前記取っ手の中心軸線及び前記バッテリ側係合部と前記充電器側係合部の係合点を含む仮想平面を挟んで前記バッテリとの接続端子の反対側に位置することを特徴とする請求項5に記載の携帯型電源装置。
【請求項7】
前記支持面は、
前記バッテリの着脱方向に対して所定角度傾斜する平坦部と、
該平坦部から隆起し、前記バッテリの着脱方向に対する傾斜角度が前記平坦部よりも小さい隆起部と、を備え、
前記バッテリの前記充電器への装着時に、前記バッテリが前記平坦部に沿って移動した後に前記隆起部に沿って移動するように構成されていることを特徴とする請求項5又は6に記載の携帯型電源装置。
【請求項8】
前記バッテリは、電動車両に駆動用の電力を供給することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の携帯型電源装置。
【請求項1】
電気機器に着脱自在に接続されて該電気機器に作動電力を供給するバッテリと、該バッテリが着脱可能に装着されて該バッテリを充電する充電器と、を備えた携帯型電源装置であって、
前記充電器は、
前記バッテリの直流電圧を交流に変換するインバータと、
該インバータによって変換された交流を出力する家電製品接続用コンセントと、を備えていることを特徴とする携帯型電源装置。
【請求項2】
前記バッテリには、該バッテリを持ち上げるための取っ手と、バッテリ側係合部と、が設けられ、
前記充電器には、前記バッテリ側係合部と対応する位置に充電器側係合部が設けられ、
前記バッテリを前記充電器に装着すると、前記バッテリ側係合部が前記充電器側係合部に係合して前記バッテリが前記充電器に固定され、前記取っ手の引き上げに伴って前記充電器が前記バッテリと一体的に持ち上げられることを特徴とする請求項1に記載の携帯型電源装置。
【請求項3】
前記取っ手は、前記バッテリの上部に設けられ、
前記バッテリ側係合部は、前記バッテリの底部に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の携帯型電源装置。
【請求項4】
前記バッテリは、上下方向に長い形状を成し、
該バッテリの上部には、前記充電器との接続端子が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の携帯型電源装置。
【請求項5】
前記充電器には、少なくとも前記バッテリの一面に対向し、且つ前記バッテリの着脱方向に沿って延びる支持面が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の携帯型電源装置。
【請求項6】
前記バッテリが前記充電器に装着された状態で、前記充電器の重心は、側面視において前記取っ手の中心軸線及び前記バッテリ側係合部と前記充電器側係合部の係合点を含む仮想平面を挟んで前記バッテリとの接続端子の反対側に位置することを特徴とする請求項5に記載の携帯型電源装置。
【請求項7】
前記支持面は、
前記バッテリの着脱方向に対して所定角度傾斜する平坦部と、
該平坦部から隆起し、前記バッテリの着脱方向に対する傾斜角度が前記平坦部よりも小さい隆起部と、を備え、
前記バッテリの前記充電器への装着時に、前記バッテリが前記平坦部に沿って移動した後に前記隆起部に沿って移動するように構成されていることを特徴とする請求項5又は6に記載の携帯型電源装置。
【請求項8】
前記バッテリは、電動車両に駆動用の電力を供給することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の携帯型電源装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−99200(P2013−99200A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242347(P2011−242347)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(000002082)スズキ株式会社 (3,196)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(000002082)スズキ株式会社 (3,196)
【Fターム(参考)】
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