説明

携帯式作業機

【課題】重量バランスに優れ、かつ、作業性にも優れた携帯式作業機を提供すること。
【解決手段】主杆1の始端部に電動モータ3を装備し、主杆1の終端部に刈払機4を装備する携帯式作業機100において、電動モータ3を駆動するバッテリ6を主杆1の中間部に設ける。重量の重いバッテリ6が主杆1の中間部に設けられるため、重量バランスに優れると共に、振動源となる電動モータ3が、ハンドル8の取付け位置となる主杆1の中間部とは離れた主杆1の始端部に装備されるため、作業者に振動が伝わりにくく、作業性に優れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刈払機やブロワなどの携帯式作業機に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
従来から、刈払機やブロワなどの作業機と、この作業機を駆動するモータとが、ハンドルが設けられた主杆に一体又は分離可能に取り付けられた携帯式作業機が知られている。
【0003】
例えば、以下の特許文献1には、メインパイプのハンドルより前方先端部に刈刃が取り付けられ、メインパイプのハンドルより後方部に電動モータ及びバッテリが取り付けられた一体型の電動刈払機が記載されている。また、以下の特許文献2には、操作杆の先端にモータが取り付けられ、このモータに直接カッターが取り付けられた電動式刈払い機が記載されている。これらの刈払機では、モータやバッテリといった重量物がいずれも主杆の端に配置されているため、重量バランスが悪く、作業性が悪い。
【0004】
このような問題を解決するために、以下の特許文献3に記載の草刈り機では、草刈り機全体の先端部に刈刃等が取り付けられた作用部を、中間部にモータが収納されたモータ部を、後方に電池が収納された電源部をそれぞれ配置し、作用部とモータ部とを前方側操作杆で連結すると共に、モータ部と電源部とを後方側操作杆で連結し、後方側操作杆のモータ部近傍にハンドルを設けている。そして、中間部にモータ部があるため、草刈り機の姿勢が変化しても重量バランスの変化が少なく、作用部側を持ち上げて作業する様な場合にも作業者の疲労が少ないとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−237189号公報
【特許文献2】実開平5−2620号公報
【特許文献3】特許第4122484号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の特許文献3に記載の草刈り機では、作業者が握るハンドルの近くに振動源となるモータ部が配置されているため、作業者に振動が伝わりやすく、作業性の低下の原因となるおそれがある。これを防止するためにハンドルとモータ部との間に減衰機構を設けることも考えられるが、装置が複雑となる。
【0007】
本発明は、このような課題を解決するために成されたものであり、重量バランスに優れ、かつ、作業性にも優れた携帯式作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る携帯式作業機は、主杆(1)の始端部に電動機(3)を装備し、主杆(1)の終端部に作業機(4)を装備する携帯式作業機において、電動機(3)を駆動するバッテリ(6)を主杆(1)の中間部に設けたことを特徴とする。
【0009】
本発明においては、重量の重いバッテリ(6)が主杆(1)の中間部に設けられるため、重量バランスに優れる。また、振動源となる電動機(3)が、ハンドル(8)の取付け位置となる主杆(1)の中間部とは離れた主杆(1)の始端部に装備されるため、作業者に振動が伝わりにくく、作業性に優れる。
【0010】
ここで、バッテリ(6)を保持するホルダ(5)に制御部(7)が取り付けられていると、バッテリ(6)と制御部(7)との間の配線(L2)をホルダ(5)内に収めることが可能とされるため、配線が容易となると共に配線(L2)を保護できる。
【0011】
また、バッテリ(6)を保持するホルダ(5)にハンドル(8)が取り付けられていると、構造が簡単となる。
【0012】
また、ハンドル(8)のグリップ部(83)に操作部(74A)が配置されていると、操作部(74A)の操作性がより向上し、さらに、バッテリ(6)と操作部(74A)との間の配線(L3)をハンドル(8)内に収めることが可能とされるため、配線が容易となると共に配線(L3)を保護できる。
【0013】
また、バッテリ(6)を保持するホルダ(5)及び電動機(3)に、下方に向けて突出する載置用の足(53,31)が設けられていると、携帯式作業機を地面に載置する際に、接地箇所がホルダ(5)及び電動機(3)の二点となり、安定して地面に載置することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、重量バランスに優れ、かつ、作業性にも優れた携帯式作業機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第一実施形態に係る携帯式作業機を示す斜視図である。
【図2】図1に示す携帯式作業機を示す分解斜視図である。
【図3】図1に示す携帯式作業機の要部を示す拡大分解斜視図である。
【図4】図1に示す携帯式作業機の要部を示す拡大側面図である。
【図5】本発明の第二実施形態に係る携帯式作業機の要部を示す拡大側面図である。
【図6】本発明の第三実施形態に係る携帯式作業機を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ本発明に係る携帯式作業機の好適な実施形態について詳細に説明する。同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0017】
図1は本発明の第一実施形態に係る携帯式作業機を示す斜視図、図2は図1に示す携帯式作業機を示す分解斜視図、図3は図1に示す携帯式作業機の要部を示す拡大分解斜視図、図4は図1に示す携帯式作業機の要部を示す拡大側面図である。
【0018】
携帯式作業機100は、作業者がこれを肩掛ベルトで肩から提げ、両手で操りながら草や小木を刈払うためのものである。図1に示すように、携帯式作業機100は、図示右側の本体部110と、これより前側の作業機部120とを具備する。
【0019】
本体部110は棒状の後部杆11を備え、作業機部120は後部杆11と同等の太さで後部杆11よりも短い棒状の前部杆12を備えている。前部杆12は、後部杆11に設けられた連結部2で後部杆11と連結されており、後部杆11と前部杆12とで主杆1を成している。そして、図2に示すように、作業機部120が連結部2で本体部110と着脱可能となっている。
【0020】
図1に戻り、前部杆12の前端部、すなわち主杆1の前端部(終端部)には、刈払機(作業機)4が設けられている。この刈払機4は、刈刃41及びカバー42で構成されている。刈刃41は外周部に刃(不図示)が設けられた円盤状を成し、前部杆12の前端部に回転自在に取り付けられており、回転して草や小木を刈り払う。カバー42は前部杆12における刈刃41の後方に取り付けられており、刈刃41によって刈り払われた草や小木が作業者に向かって飛散しないように刈刃41を覆うと共に、携帯式作業機100を地面等に載置したときに載置用の足となる。
【0021】
後部杆11の後端部、すなわち主杆1の後端部(始端部)には、刈刃41を回転させるための電動モータ(電動機)3が取り付けられている。この電動モータ3には、下方(図示下側)に向けて突出する載置用の足31が設けられている。
【0022】
後部杆11の連結部2より後側近傍、すなわち主杆1のほぼ中間部には、バッテリホルダ5が設けられている。このバッテリホルダ5は、バッテリ6を保持するためのものであり、図3に示すように、ホルダ上部51、ホルダ下部52及び足53,53から構成されている。
【0023】
ホルダ上部51は外形が略直方体を成しており、その下面にはホルダ下部52が配置され、ホルダ上部51及びホルダ下部52の中心部を後部杆11が貫通している。ホルダ下部52の後部は前部よりも下方に向けて突出しており、その下面には、下方に向けて突出する載置用の足53,53が左右方向に離間して設けられている。そして、外形が略直方体を成すバッテリ6が、ホルダ下部52の前部下面と後部前面とに接するようにして、着脱可能に取り付けられる。
【0024】
バッテリ6はカセット式のバッテリであり、携帯式作業機100の全体重量のうち、約20%程度を占める重さとなっている。
【0025】
ホルダ上部51の前部には、電動モータ3の駆動を制御するための制御部7が取り付けられている。図4に示すように、この制御部7には配線L1が接続されており、この配線L1はバッテリホルダ5内を通り、バッテリホルダ5の後端部を貫通して後部杆11の外面に沿い後方に向かって配線され、電動モータ3と接続されている(図1参照)。配線L1の後部杆11の外面に沿った部分は被覆材で覆われ配線L1が保護されている。また、制御部7には配線L2が接続されており、この配線L2は、バッテリホルダ5内を通り、ホルダ下部52内に設けられた端子部54と接続されている。そして、この端子部54は、バッテリ6と接続されている。従って、バッテリ6の電力は、制御部7を介して電動モータ3に供給される。
【0026】
図3に示すように、制御部7は表示部71と操作部72とを備え、操作部72は電源スイッチ73と回転数調整スイッチ74とを有している。電源スイッチ73及び回転数調整スイッチ74は電動モータ3の操作を行うためのものであり、電源スイッチ73によって電動モータ3のオンオフを行い、回転数調整スイッチ74によって電動モータ3の回転数を制御し、刈刃41の回転数を調整する。表示部71はバッテリ6の残量や刈刃41の回転数等を表示する。
【0027】
ホルダ上部51の後部上面には、ハンドル8が取り付けられている。ハンドル8は、ハンドル取付部81、ハンドル部82,82及びグリップ部83,83によって構成されている。ハンドル取付部81は外形が略直方体を成し、ホルダ上部51の後部上面に取り付けられ、ハンドル部82,82はそれぞれL字状に曲がった棒状を成し、ハンドル取付部81の側面にそれぞれ取り付けられている。ハンドル部82の端部は後方上方に向けて突出し、この端部にはグリップ部83が設けられている。
【0028】
なお、主杆1の内部には電動モータ3の駆動力を刈刃41に伝えるための伝達機構が設けられ、バッテリホルダ5の近傍には、肩掛けベルトが取り付けられる。
【0029】
このような携帯式刈払機100では、作業者が肩掛けベルトを介して携帯式刈払機100を肩から提げ、電源スイッチ73を押し電動モータ3を駆動して刈刃4を回転させ、ハンドル8のグリップ部83を握りを両手で操りながら、回転する刈刃4により草や小木を刈り払う。
【0030】
草や小木を刈り払う際、重量の重いバッテリ6がバッテリホルダ5を介して主杆1の中間部に設けられているため、重量バランスに優れる。
【0031】
また、振動源となる電動モータ3が、ハンドル8の取付け位置である主杆1の中間部とは離れた主杆1の後端部に装備されているため、作業者に振動が伝わりにくく、作業性に優れる。
【0032】
また、バッテリ6を保持するバッテリホルダ5に制御部7が取り付けられているため、バッテリ6と制御部7との間の配線L2がバッテリホルダ5内に収められ、配線が容易となると共に配線L2を保護できる。
【0033】
また、ハンドル8近傍に制御部7が設けられるため、制御部7に設けられている電源スイッチ73及び回転数調整スイッチ74の操作性が向上すると共に、制御部7に設けられている表示部71の視認性が向上する。
【0034】
また、バッテリ6を保持するバッテリホルダ5にハンドル8が取り付けられているため、構造が簡単である。
【0035】
また、バッテリ6を保持するバッテリホルダ5及び電動モータ3に、下方に向けて突出する載置用の足31,53,53が設けられているため、作業機部120を取り外して本体部110を地面に載置する際に、接地箇所がバッテリホルダ5及び電動モータ3の二点となり、安定して地面に載置することができ、そのため作業機部120の着脱が容易になる。なお、作業機部120を取り付けたまま携帯式作業機100を地面に載置する際には、設置箇所が刈払機4のカバー41、バッテリホルダ5及び電動モータ3の三点となる。
【0036】
また、バッテリ6はカセット式であるため、バッテリホルダ5との着脱が容易である。
【0037】
次に、本発明の第二実施形態に係る携帯式刈払機について説明する。
【0038】
図5は、本発明の第二実施形態に係る携帯式作業機の要部を示す拡大側面図である。この携帯式作業機200が第一実施形態に係る携帯式作業機100と異なる点は、回転数調整スイッチ74をグリップ部83に配置し、回転数調整スイッチレバー74Aとした点である。これに伴い、回転数調整スイッチレバー74Aからハンドル8内及びホルダ上部51内を通って制御部7と接続される配線L3が増設されている。
【0039】
そして、回転数調整スイッチレバー74Aを握ると電動モータ3が駆動して刈刃41が回転するようになっている。回転数調整スイッチレバー74Aの押し込み量が大きい程、刈刃41の回転数は高くなり、回転数調整スイッチレバー74Aの押し込み量が最大になると刈刃41の回転数は最大に達する。そして、回転数調整スイッチレバー74Aを握ることを止めると刈刃41の回転が止まる。
【0040】
このような携帯式作業機200では、ハンドル8のグリップ部83に回転数調整スイッチレバー74Aが配置されているため、回転数調整スイッチレバー74Aの操作性がより向上し、刈刃41の回転数の調整が容易となる。
【0041】
さらに、制御部7と回転数調整スイッチレバー74Aとの間の配線L3をハンドル8内及びバッテリホルダ5内に収められ、配線が容易となると共に配線L3を保護できる。
【0042】
次に、本発明の第三実施形態に係る携帯式刈払機について説明する。
【0043】
図6は、本発明の第三実施形態に係る携帯式作業機を示す分解斜視図である。この携帯式作業機300が第一実施形態に係る携帯式作業機100と異なる点は、刈払機4を有する作業機部120に代えて、ブロワ(作業機)9を有する作業機部130を用いた点である。ブロワ9は、電動モータ3から伝達された駆動力によって回転羽根が回転して風を発生させ、この風で草や小木を吹き飛ばすためのものであり、前部杆12の前端部に取り付けられている。このブロワ9にも、下方に向けて突出する載置用の足91が設けられている。
【0044】
このような携帯式作業機300では、刈払機4を有する携帯式作業機100で草や小木を刈り払った後、作業機部120を連結部2から取り外してブロワ9を有する作業機部130に付け替え、刈り払われた草や小木をブロワ9で吹き飛ばすことができる。このように、作業機部が連結部2で本体部110と着脱可能になっているため、多様な作業機に変更できる。
【0045】
また、重量の重いバッテリ6がバッテリホルダ5を介して主杆1の中間部に設けられているため、重量バランスに優れ、作業機を変更しても同等の重量バランスで作業を行える。
【0046】
なお、本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、第二実施形態に係る携帯式作業機200では、回転数調整スイッチレバー74Aをグリップ部83に配置しているが、電源スイッチ73をグリップ部83に配置して電源スイッチレバー73Aとしても良い。こうすると、電動モータ3の駆動が容易に行える。
【符号の説明】
【0047】
1…主杆、3…電動モータ(電動機)、4…刈払機(作業機)、5…バッテリホルダ(ホルダ)、6…バッテリ、7…制御部、8…ハンドル、9…ブロワ(作業機)、31,53…足、72,72A…操作部、83…グリップ部、100,200,300…携帯式作業機。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主杆(1)の始端部に電動機(3)を装備し、前記主杆(1)の終端部に作業機(4)を装備する携帯式作業機において、
前記電動機(3)を駆動するバッテリ(6)を前記主杆(1)の中間部に設けたこと、
を特徴とする携帯式作業機。
【請求項2】
前記バッテリ(6)を保持するホルダ(5)に制御部(7)が取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の携帯式作業機。
【請求項3】
前記バッテリ(6)を保持するホルダ(5)にハンドル(8)が取り付けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の携帯式作業機。
【請求項4】
ハンドル(8)のグリップ部(83)に操作部(74A)が配置されていることを特徴とする請求項1に記載の携帯式作業機。
【請求項5】
前記バッテリ(6)を保持するホルダ(5)及び前記電動機(3)に、下方に向けて突出する載置用の足(53,31)が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の携帯式作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−55195(P2012−55195A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−199300(P2010−199300)
【出願日】平成22年9月6日(2010.9.6)
【出願人】(000141174)株式会社丸山製作所 (134)
【Fターム(参考)】