説明

携帯式医療用チューブしごき器

【課題】使用するのにそれほど熟練を要することなく比較的容易にチューブをしごくことができ、さらには、従来よりも均一にチューブをつぶすことが可能な携帯式医療用チューブしごき器を提供する。
【解決手段】携帯式医療用チューブしごき器1は、対向配置されたローラ50,60を先端部に有するアーム部30,40を備える。アーム部30,40は、ローラ50,60の各々のローラ回転軸が平行関係を保った状態で、ローラ間を開閉する方向に沿って当該アーム部を回動することができるように、ベース部10との間で回動支持され、かつ、当該回動支持された部分からローラが配置された部分までのいずれかの部分に対して他方のアーム部側に向かう押圧力を付与することにより、ローラ間が閉じる方向に向けてアーム部30,40を回動可能に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用チューブ(以下、単にチューブと省略することもある。)をしごくために用いる携帯式医療用チューブしごき器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の携帯式医療用チューブしごき器として、ペンチ状に構成された携帯式医療用チューブしごき器が知られている(例えば、特許文献1参照。)。図24は、従来の携帯式医療用チューブしごき器800を説明するために示す図である。図24(a)は携帯式医療用チューブしごき器800の斜視図であり、図24(b)は携帯式医療用チューブしごき器800の使用状態を示す概念図である。
【0003】
従来の携帯式医療用チューブしごき器800は、図24に示すように、本体先端に設けられた一対のローラ850,860と、本体後端部に設けられたグリップ部830,840と、一対のローラ850,860及びグリップ部830,840の間に設けられた支点部820とを備える。従来の携帯式医療用チューブしごき器800は、グリップ部830,840を握ることにより支点部820を回動中心として一対のローラ850,860が回動するように構成されている。
このため、従来の携帯式医療用チューブしごき器800によれば、グリップ部830,840を握って一対のローラ850,860でチューブTを挟み、その状態でチューブTを引っ張ることにより、または携帯式医療用チューブしごき器800をチューブ長手方向に沿って押し進めることにより、チューブTをしごくことが可能となる。
【0004】
また、従来の他の携帯式医療用チューブしごき器として、筐体内に4つのローラが配設された医療用チューブしごき器が知られている(例えば、特許文献2参照。)。図25は、従来の他の携帯式医療用チューブしごき器900を説明するために示す図である。図25(a)は携帯式医療用チューブしごき器900の斜視図であり、図25(b)は携帯式医療用チューブしごき器900の使用状態を示す概念図である。
【0005】
従来の他の携帯式医療用チューブしごき器900は、図25に示すように、2つに分割された筐体910(上側筐体912及び下側筐体914)と、筐体910内に配設された4つのローラ950,952,960,962と、上側筐体912と下側筐体914とを繋ぐように設けられた蝶番部920とを備える。従来の他の携帯式医療用チューブしごき器900は、蝶番部920を軸として上側筐体912及び下側筐体914が回動可能に設けられている。
このため、従来の他の携帯式医療用チューブしごき器900によれば、筐体910を開いてローラ950,952とローラ960,962との間にチューブTを配置した後、筐体910を閉じてローラ950,952,960,962でチューブTを挟み、その状態でチューブTを引っ張ることにより、または携帯式医療用チューブしごき器900をチューブ長手方向に沿って押し進めることにより、チューブTをしごくことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭63−154037号公報
【特許文献2】実公昭48−35597号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の携帯式医療用チューブしごき器800においては、一対のローラ850,860から支点部820までの長さに比べて支点部820からグリップ部830,840までの長さが長いため、てこの原理により、チューブTを挟む力が強くなり過ぎてしまう場合がある。チューブを挟む力が強くなり過ぎてしまうと、ローラとチューブとの摩擦抵抗が必要以上に大きくなってしまい、チューブを引っ張ったり携帯式医療用チューブしごき器を押し進めたりするのに余計な力が必要となってしまう。かといってチューブを挟む力を弱くし過ぎてしまうと、チューブを適切にしごくことができない。すなわち、従来の携帯式医療用チューブしごき器800においては、微妙な力加減でグリップ部830,840を握る必要があるため、使用するのに熟練を要する。
【0008】
一方、従来の他の携帯式医療用チューブしごき器900は、従来の携帯式医療用チューブしごき器800のようにペンチ状に構成されたものではなく、筐体910を開閉することにより筐体910内に配設されたローラ950,952,960,962でチューブTを挟むように構成されているため、上述した使用に熟練を要する問題については、ある程度解消されているように考えられる。
【0009】
しかしながら、従来の他の携帯式医療用チューブしごき器900においては、各ローラ950,952,960,962のローラ回転軸(ローラの回転中心となる軸)が、筐体910の回動軸に沿った方向に対して直交関係となるように、各部材が構成されているため、筐体910を完全に閉じたときを除くと、上側筐体912に配設されたローラ950,952のローラ回転軸と下側筐体914に配設されたローラ960,962のローラ回転軸とは、平行関係にならない。このため、ローラ950,952,960,962でチューブTを挟んだときのチューブTのつぶれ具合をチューブ断面で見ると、蝶番部920とは反対側の部分の方が蝶番部920側の部分に比べてチューブがつぶれにくく、均一にチューブをつぶすことができない。均一にチューブをつぶすことができないと、チューブをしごいた時にチューブ内に血液が残ってしまう場合があるため好ましくない。また、チューブ内に血液が残らないようにチューブをしごこうとすると、より大きな力でチューブをしごかなければならず、結果として、チューブを引っ張ったり携帯式医療用チューブしごき器を押し進めたりするのに余計な力が必要となってしまう。
【0010】
そこで、本発明は、以上の問題を解決するためになされたもので、使用するのにそれほど熟練を要することなく比較的容易にチューブをしごくことができ、さらには、従来よりも均一にチューブをつぶすことが可能な携帯式医療用チューブしごき器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
[1]本発明の携帯式医療用チューブしごき器(1)は、医療用チューブをしごくために用いる携帯式医療用チューブしごき器であって、ベース部(10)と、対向配置された一対のローラ(50,60)を先端部に有し、当該一対のローラ間において医療用チューブを挟持できるように、前記ベース部に配設された一対のアーム部(30,40)と、前記一対のローラ間が開く方向に向けて、前記アーム部に対して付勢力を与えるバネ部材(20)とを備え、前記一対のアーム部のうち少なくとも一方のアーム部は、前記一対のローラの各々のローラ回転軸が平行関係を保った状態で、前記一対のローラ間を開閉する方向に沿って当該アーム部を回動することができるように、前記ベース部との間で回動支持され、かつ、当該回動支持された部分から前記ローラが配置された部分までのいずれかの部分に対して他方のアーム部側に向かう押圧力を付与することにより、前記一対のローラ間が閉じる方向に向けて当該アーム部を回動可能に構成されていることを特徴とする。
【0012】
このため、本発明の携帯式医療用チューブしごき器によれば、回動可能に構成されたアーム部における、回動支持された部分からローラが配置された部分までのいずれかの部分に対して押圧力を付与する構成としているため、支点(アーム部における回動支持された位置)から力点(押圧力を付与する位置)までの距離を、支点から作用点(ローラの位置)までの距離に比べて短く、または同程度とすることができる。つまり、実際に手からアーム部へ加える力(押圧力)とローラからチューブにかかる力(挟持力)とを同程度にすることができるため、従来のようにチューブを挟む力が強くなり過ぎてしまうのを抑制することが可能となり、結果として、熟練を要することなく比較的容易にチューブをしごくことが可能となる。
【0013】
また、本発明の携帯式医療用チューブしごき器によれば、一対のローラの各々のローラ回転軸が平行関係を保った状態でアーム部が回動するように構成されているため、一対のローラでチューブを挟んだときに従来よりも均一にチューブをつぶすことが可能となる。その結果、少ない力でもチューブ内に血液が残らないようにチューブをしごくことが可能となる。
【0014】
したがって、本発明の携帯式医療用チューブしごき器は、使用するのにそれほど熟練を要することなく比較的容易にチューブをしごくことができ、さらには、従来よりも均一にチューブをつぶすことが可能な携帯式医療用チューブしごき器となる。
【0015】
また、本発明の携帯式医療用チューブしごき器は、ペンチ状に構成された従来の携帯式医療用チューブしごき器とは異なり、押圧力を付与する位置とローラの位置とが極力近くなるように構成されていることから、より手元でチューブをしごくことができる。すなわち、本発明の携帯式医療用チューブしごき器は、手の感覚にマッチした優れた携帯式医療用チューブしごき器となる。
【0016】
また、本発明の携帯式医療用チューブしごき器によれば、一対のローラ間が開く方向に向けてアーム部に対して付勢力を与えるバネ部材を備えているため、アーム部に対して押圧力を加えていないときは、一対のローラ間が開いた状態となる。このため、一対のローラ間にチューブを配置するのが容易となる。
【0017】
なお、この明細書において「一対のローラ」とは、必ずしも計2つのローラが各アーム部に1つずつ対になって配置されている場合を意味するものではなく、例えば、一方側のアーム部に2つ以上のローラが配置され、他方側のアーム部に1つ以上のローラが配置されていてもよい。要は、一方側のアーム部に配置されたローラ(ローラ群)と他方側のアーム部に配置されたローラ(ローラ群)とでもって、ローラ間に配置されたチューブを挟むことが可能な構成であればよい。
【0018】
[2]上記[1]に記載の携帯式医療用チューブしごき器(1)においては、前記一対のローラの各ローラ回転軸が前記アーム部の回動軸に対して略平行となるように、前記一対のアーム部に対して前記一対のローラが配設されていることが好ましい。
【0019】
このように構成することにより、さほど構成を複雑なものとすることなく、一対のローラの各々のローラ回転軸が平行関係を保った状態でアーム部を回動させることが可能となる。
【0020】
[3]上記[1]又は[2]に記載の携帯式医療用チューブしごき器(1)においては、前記一対のアーム部(30,40)はともに、前記一対のローラ間を開閉する方向に沿って当該アーム部を回動することができるように、前記ベース部との間で回動支持されており、かつ、当該回動支持された部分から前記ローラが配置された部分までのいずれかの部分に対して他方のアーム部側に向かう押圧力を付与することにより、前記一対のローラ間が閉じる方向に向けて当該アーム部を回動可能に構成されていることが好ましい。
【0021】
一対のアーム部のうち一方側のアーム部のみが回動可能に構成されている場合と比べて、一対のアーム部の両方が回動可能に構成されているほうが、各アーム部の回動量(回動角度)を極力小さくしつつ、アーム部に押圧力を付与していないときの一対のローラ間の距離を比較的広くすることができるため、上記[3]に記載の携帯式医療用チューブしごき器は、チューブを挟みやすく、使い勝手の良い携帯式医療用チューブしごき器となる。
【0022】
[4]本発明の携帯式医療用チューブしごき器(3)は、医療用チューブをしごくために用いる携帯式医療用チューブしごき器であって、ベース部(310)と、前記ベース部に配設されたガイドシャフト(380)と、対向配置された一対のローラ(50,60)を先端部に有し、当該一対のローラ間において医療用チューブを挟持できるように、前記ベース部に配設された一対のアーム部(330,340)と、前記一対のローラ間が開く方向に向けて、前記アーム部に対して付勢力を与えるバネ部材(320,322)とを備え、前記一対のアーム部のうち少なくとも一方のアーム部は、前記一対のローラの各々のローラ回転軸が平行関係を保った状態で、前記一対のローラ間を開閉する方向に沿って当該アーム部を平行移動することができるように、前記ガイドシャフトに支持され、かつ、当該支持された部分から前記ローラが配置された部分までのいずれかの部分に対して他方のアーム部側に向かう押圧力を付与することにより、前記一対のローラ間が閉じる方向に向けて当該アーム部を平行移動可能に構成されていることを特徴とする。
【0023】
本発明の携帯式医療用チューブしごき器によれば、平行移動可能に構成されたアーム部における、ガイドシャフトで支持された部分からローラが配置された部分までのいずれかの部分に対して押圧力を付与する構成としていることから、押圧力を付与する位置とローラの位置とを極力近くすることができ、結果として、実際に手からアーム部へ加える力(押圧力)とローラからチューブにかかる力(挟持力)とを同程度にすることが可能となる。このため、従来のようにチューブを挟む力が強くなり過ぎてしまうのを抑制することが可能となり、熟練を要することなく比較的容易にチューブをしごくことが可能となる。
【0024】
また、本発明の携帯式医療用チューブしごき器によれば、一対のローラの各々のローラ回転軸が平行関係を保った状態でアーム部が平行移動するように構成されているため、一対のローラでチューブを挟んだときに従来よりも均一にチューブをつぶすことが可能となる。その結果、少ない力でもチューブ内に血液が残らないようにチューブをしごくことが可能となる。
【0025】
したがって、本発明の携帯式医療用チューブしごき器は、使用するのにそれほど熟練を要することなく比較的容易にチューブをしごくことができ、さらには、従来よりも均一にチューブをつぶすことが可能な携帯式医療用チューブしごき器となる。
【0026】
また、本発明の携帯式医療用チューブしごき器は、ペンチ状に構成された従来の携帯式医療用チューブしごき器とは異なり、押圧力を付与する位置とローラの位置とが極力近くなるように構成されていることから、より手元でチューブをしごくことができる。すなわち、本発明の携帯式医療用チューブしごき器は、手の感覚にマッチした優れた携帯式医療用チューブしごき器となる。
【0027】
また、本発明の携帯式医療用チューブしごき器によれば、一対のローラ間が開く方向に向けてアーム部に対して付勢力を与えるバネ部材を備えているため、アーム部に対して押圧力を加えていないときは、一対のローラ間が開いた状態となる。このため、一対のローラ間にチューブを配置するのが容易となる。
【0028】
[5]上記[4]に記載の携帯式医療用チューブしごき器においては、前記一対のアーム部(330,340)はともに、前記一対のローラ間を開閉する方向に沿って当該アーム部を平行移動することができるように、前記ガイドシャフトに支持されており、かつ、当該支持された部分から前記ローラが配置された部分までのいずれかの部分に対して他方のアーム部側に向かう押圧力を付与することにより、前記一対のローラ間が閉じる方向に向けて当該アーム部を平行移動可能に構成されていることが好ましい。
【0029】
一対のアーム部のうち一方側のアーム部のみが平行移動可能に構成されている場合と比べて、一対のアーム部の両方が平行移動可能に構成されているほうが、各アーム部の移動量を極力小さくしつつ、アーム部に押圧力を付与していないときの一対のローラ間の距離を比較的広くすることができるため、上記[5]に記載の携帯式医療用チューブしごき器は、チューブを挟みやすく、使い勝手の良い携帯式医療用チューブしごき器となる。
【0030】
[6]上記[1]〜[5]のいずれか1つに記載の携帯式医療用チューブしごき器(1)においては、前記一対のアーム部は、前記一対のローラ間が閉じる方向に向けて前記アーム部を最も回動又は平行移動させたときに、前記一対のローラ間に所定の隙間ができるように構成されていることが好ましい。
【0031】
このように構成することにより、一対のローラ間が閉じる方向に向けてアーム部を最も回動又は平行移動させた場合であっても、チューブを必要以上に強くつぶしてしまうことなく、適した力でチューブをしごくことが可能となる。
【0032】
[7]上記[1]〜[6]のいずれか1つに記載の携帯式医療用チューブしごき器(1)においては、前記一対のローラ間が閉じる方向に向けて前記アーム部を最も回動又は平行移動させたときの、当該一対のローラ間の距離を調整するローラ間距離調整機構をさらに備えることが好ましい。
【0033】
このように構成することにより、チューブの太さに応じて一対のローラ間の距離を調整することができるため、チューブの太さが変わったとしてもチューブのしごきやすさを維持することが可能となる。
【0034】
[8]上記[7]に記載の携帯式医療用チューブしごき器(1)においては、前記ローラ間距離調整機構は、前記ベース部の側面のうち前記アーム部に対向する面又は前記アーム部の側面のうち前記ベース部に対向する面に配置され、前記ベース部の側面又は前記アーム部の側面から突出可能に構成されたローラ間距離調整用ネジ(70)であり、前記ベース部の側面又は前記アーム部の側面から突出する前記ローラ間距離調整用ネジの突出量を調整することにより、前記一対のローラ間が閉じる方向に向けて前記アーム部を最も回動又は平行移動させたときの、当該一対のローラ間の距離を調整可能に構成されていることが好ましい。
【0035】
このように構成することにより、比較的簡易な構成で一対のローラ間の距離を調整することが可能となる。
【0036】
[9]上記[8]に記載の携帯式医療用チューブしごき器(1)においては、前記アーム部には、前記ローラ間距離調整用ネジの突出量を調整するための治具(J)を挿通させる治具挿通用孔(76)が設けられていることが好ましい。
【0037】
このように構成することにより、治具挿通用孔を介してローラ間距離調整用ネジの突出量を調整することができるため、ローラ間の距離を調整する作業を比較的容易に行うことが可能となる。
【0038】
[10]上記[1]〜[9]のいずれか1つに記載の携帯式医療用チューブしごき器(4)においては、前記一対のローラ(50,60)間において医療用チューブを挟持したときに、前記ローラ回転軸方向に沿った前記医療用チューブの動きを規制する規制部材(490)をさらに備えることが好ましい。
【0039】
このように構成することにより、医療用チューブをしごいているときに、医療用チューブがローラの位置から外れてしまうのを抑制することが可能となる。
【0040】
[11]上記[10]に記載の携帯式医療用チューブしごき器(4)においては、前記規制部材(490)は、前記一対のアーム部のうち少なくとも一方のアーム部における、前記ローラの配設位置近傍に設けられていることが好ましい。
【0041】
このように構成することにより、医療用チューブがローラの位置から外れてしまうのをより確実に抑制することが可能となる。
【0042】
[12]上記[11]に記載の携帯式医療用チューブしごき器(4)においては、前記規制部材(490)は、一方のローラ側から他方のローラ側に向けて所定の高さ突出する凸部(492,494)を有し、前記凸部(492,494)は、前記アーム部の先端部であって、前記ローラを回転支持する位置近傍に設けられていることが好ましい。
【0043】
このように構成することにより、凸部という比較的簡易な構成でもって、医療用チューブの位置ずれ抑制効果を得ることが可能となる。
【0044】
[13]上記[1]〜[12]のいずれか1つに記載の携帯式医療用チューブしごき器(4)においては、前記ベース部(410)の一方面には、所定の曲面形状を有する曲面部(419)が設けられていることが好ましい。
【0045】
このように構成することにより、ベース部の一方面と手のひらが接するようにして携帯式医療用チューブしごき器を持ったときに、手になじみやすい。その結果、携帯式医療用チューブしごき器の使用感を向上することができる。
【0046】
なお、特許請求の範囲及び本欄(課題を解決するための手段の欄)に記載した各部材等の文言下に括弧をもって付加された符号は、特許請求の範囲及び本欄に記載された内容の理解を容易にするために用いられたものであって、特許請求の範囲及び本欄に記載された内容を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】実施形態1に係る携帯式医療用チューブしごき器1の斜視図。
【図2】実施形態1に係る携帯式医療用チューブしごき器1の斜視図。
【図3】実施形態1に係る携帯式医療用チューブしごき器1の正面図。
【図4】実施形態1に係る携帯式医療用チューブしごき器1の平面図。
【図5】ベース部10を説明するために示す図。
【図6】アーム部30及びローラ50を説明するために示す図。
【図7】ローラ間距離調整用ネジ70を説明するために示す図。
【図8】実施形態1に係る携帯式医療用チューブしごき器1の使用状態を示す概念図。
【図9】実施形態2に係る携帯式医療用チューブしごき器2を説明するために示す図。
【図10】実施形態3に係る携帯式医療用チューブしごき器3を説明するために示す図。
【図11】ベース部310を説明するために示す図。
【図12】ガイドシャフト380を説明するために示す図。
【図13】アーム部330及びローラ50を説明するために示す図。
【図14】実施形態3に係る携帯式医療用チューブしごき器3を説明するために示す図。
【図15】実施形態3に係る携帯式医療用チューブしごき器3を説明するために示す図。
【図16】ローラ間距離調整用ネジ370,372を説明するために示す図。
【図17】実施形態3に係る携帯式医療用チューブしごき器3の使用状態を示す概念図。
【図18】実施形態4に係る携帯式医療用チューブしごき器4を説明するために示す図。
【図19】実施形態4に係る携帯式医療用チューブしごき器4を説明するために示す図。
【図20】実施形態4に係る携帯式医療用チューブしごき器4を説明するために示す図。
【図21】変形例1のアーム部130a及びローラ150aを説明するために示す図。
【図22】変形例2のアーム部130b及びローラ150b,151bを説明するために示す図。
【図23】変形例3のアーム部130c,140cを説明するために示す図。
【図24】従来の携帯式医療用チューブしごき器800を説明するために示す図。
【図25】従来の他の携帯式医療用チューブしごき器900を説明するために示す図。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下、本発明の携帯式医療用チューブしごき器について、図に示す実施の形態に基づいて説明する。
【0049】
[実施形態1]
まず、実施形態1に係る携帯式医療用チューブしごき器1の構成について、図1〜図8を用いて詳細に説明する。
【0050】
図1及び図2は、実施形態1に係る携帯式医療用チューブしごき器1の斜視図である。図1(a)はローラ50,60間を開いた状態のときの斜視図であり、図1(b)はローラ50,60間を開いた状態のときにおける、図1(a)とは異なる角度から見た斜視図であり、図2(a)はローラ50,60間を閉じた状態のときの斜視図であり、図2(b)はローラ50,60間を閉じた状態のときにおける、図2(a)とは異なる角度から見た斜視図である。
図3は、実施形態1に係る携帯式医療用チューブしごき器1の正面図である。図3(a)はローラ50,60間を開いた状態のときの正面図であり、図3(b)はローラ50,60間を閉じた状態のときの正面図である。
図4は、実施形態1に係る携帯式医療用チューブしごき器1の平面図である。
【0051】
図5は、ベース部10を説明するために示す図である。図5(a)はベース部10の平面図であり、図5(b)はベース部10の底面図であり、図5(c)はベース部10の側面図であり、図5(d)は図5(a)のA−A断面図であり、図5(e)は図5(a)のB−B断面図である。
図6は、アーム部30及びローラ50を説明するために示す図である。図6(a)はアーム部30及びローラ50の平面図であり、図6(b)はローラ50側から見たときのアーム部30及びローラ50の側面図であり、図6(c)は幅広部32側から見たときのアーム部30及びローラ50の側面図であり、図6(d)はアーム部30及びローラ50の部分拡大斜視図である。
【0052】
図7は、ローラ間距離調整用ネジ70を説明するために示す図である。図7(a)はローラ50,60間の距離を調整する前の携帯式医療用チューブしごき器1の平面図であり、図7(b)はローラ50,60間の距離を調整した後の携帯式医療用チューブしごき器1の平面図である。なお、図7(b)においては、発明の理解を容易にするため、調整後のローラ50,60間の距離を誇張して図示している。
図8は、実施形態1に係る携帯式医療用チューブしごき器1の使用状態を示す概念図である。図8(a)はローラ50,60間にチューブTを配置した様子を示す図であり、図8(b)はローラ50,60でチューブTを挟んだ様子を示す図である。
【0053】
実施形態1に係る携帯式医療用チューブしごき器1は、医療用チューブをしごくために用いる携帯式医療用チューブしごき器であって、図1〜図4に示すように、ベース部10と、対向配置された一対のローラ50,60を先端部に有する一対のアーム部30,40と、ローラ50,60間が開く方向に向けて、アーム部30,40に対して付勢力を与えるバネ部材20(図3(a)参照。)と、ローラ間距離調整機構としてのローラ間距離調整用ネジ70(図7参照。)とを備える。
なお、実施形態1に係る携帯式医療用チューブしごき器1の全体的なサイズは、携帯式医療用チューブしごき器1を握ったときに手のひらの中に納まる程度のものである。
【0054】
ベース部10は、図5に示すように、ベース部10の側面からローラ50,60側に向けて所定量突出した突出部12と、断面コの字状(略C字状)に窪んだ窪み部14とを有する。突出部12には、後述するローラ間距離調整用ネジ70が埋設されている。窪み部14には、挿通孔15a〜15c,16a〜16cが形成されている。挿通孔15a,16aが、アーム部30の回動軸となるピン24を挿通させるための孔であり、挿通孔15b,16bが、バネ部材20を保持するためのピン22を挿通させるための孔であり、挿通孔15c,16cが、アーム部40の回動軸となるピン26を挿通させるための孔である。ベース部10の後端部(突出部12とは反対側の端部)には、貫通孔18が設けられている。
【0055】
アーム部30は、図1〜図4及び図6に示すように、平面視略L字状の部材であり、先端部に配置されたローラ50と、幅広部32と、アーム部30を回動させたときにバネ部材20の一方端を摺動させるための溝部36とを有する。ローラ50は、ピン52を回転中心として回転可能に立設配置されている。ピン52(ピン52の中心軸)が、ローラ50のローラ回転軸となる。また、ローラ50の上下には、ローラ50を円滑に回転させるためのベアリング54,56が配置されている。
【0056】
ローラ50とは反対側の端部には、ピン24を挿通させるための挿通孔34が形成されている(図6(a)〜図6(c)参照。)。アーム部30をベース部10の窪み部14に嵌め込んだ状態で、ベース部10の挿通孔15a,16a及びアーム部30の挿通孔34にピン24を挿通させることにより、アーム部30を所定方向(ローラ50,60間を開閉する方向)に沿って回動させることが可能となる。なお、ピン24の両端部は、留め具によりベース部10に固定されている。
【0057】
アーム部40も、アーム部30と同様に平面視略L字状の部材であり、先端部に配置されたローラ60と、幅広部42と、アーム部40を回動させたときにバネ部材20の他方端を摺動させるための溝部46とを有する。ローラ60は、ピン62を回転中心として回転可能に立設配置されている。ピン62(ピン62の中心軸)が、ローラ60のローラ回転軸となる。また、ローラ60の上下には、ローラ60を円滑に回転させるためのベアリング64,66が配置されている。
【0058】
図示による説明は省略するが、ローラ60とは反対側の端部には、ピン26を挿通させるための挿通孔44が形成されている。ローラ50,60が互いに向き合うようにしてアーム部40をベース部10の窪み部14に嵌め込み、さらにベース部10の挿通孔15c,16c及びアーム部40の挿通孔44にピン26を挿通させることにより、アーム部40を所定方向(ローラ50,60間を開閉する方向)に沿って回動させることが可能となる。なお、ピン26の両端部は、留め具によりベース部10に固定されている。
【0059】
アーム部30は、回動支持された部分(ピン24の部分)からローラ50が配置された部分までのいずれかの部分(例えば幅広部32)に対してアーム部40側に向かう押圧力を付与することにより、ローラ50,60間が閉じる方向に向けてアーム部30を回動可能に構成されている。アーム部40についても同様に、回動支持された部分(ピン26の部分)からローラ60が配置された部分までのいずれかの部分(例えば幅広部42)に対してアーム部30側に向かう押圧力を付与することにより、ローラ50,60間が閉じる方向に向けてアーム部40を回動可能に構成されている。
【0060】
なお、一対のアーム部30,40のうちアーム部30にのみ、治具挿通用孔76が設けられている(図6参照。)。治具挿通用孔76については、詳細に後述する。
【0061】
図1〜図4から分かるように、ローラ50の回転軸となるピン52の中心軸と、ローラ60の回転軸となるピン62の中心軸とは、平行関係である。また、アーム部30の回動軸となるピン24の中心軸とピン52の中心軸とは、平行関係であり、アーム部40の回動軸となるピン26の中心軸とピン62の中心軸とは平行関係である。つまり、ローラ50,60の各ローラ回転軸がアーム部30,40の回動軸に対して平行となるように、アーム部30,40に対してローラ50,60が配設されている。
【0062】
アーム部30の回動軸となるピン24の位置と、アーム部40の回動軸となるピン26の位置とは、所定間隔だけ離隔している。
【0063】
なお、アーム部30,40は、ローラ50,60間が閉じる方向に向けてアーム部30,40を最も回動させたとき、すなわち図3(b)に示す状態のときに、ローラ50,60間に隙間ができないように構成されている。つまり、ローラ50,60間が閉じる方向に向けてアーム部30,40を最も回動させたときの、ローラ50,60間の距離は、ほぼゼロに近い値である。なお、「ローラ50,60間の距離」とは、ローラ50におけるローラ60に対向する面(最表面)から、ローラ60におけるローラ50に対向する面(最表面)までの、最小直線距離のことをいう。
【0064】
バネ部材20は、図3(a)に示すように、ねじりバネ(ねじりコイルバネ)であって、ピン22に巻回保持されている。なお、ピン22の両端部は、留め具によりベース部10に固定されている。バネ部材20の一方端は、アーム部30を回動させたときに溝部36において摺動可能に構成されており(例えば図1(a)参照。)、バネ部材20の他方端は、アーム部40を回動させたときに溝部46において摺動可能に構成されている(例えば図2(b)参照。)。
バネ部材20から各アーム部30,40に対して、ローラ50,60間を開こうとする力(付勢力)が付与される(図8(a)に示す黒矢印を参照。)。
【0065】
ローラ間距離調整用ネジ70は、ローラ50,60間が閉じる方向に向けてアーム部30,40を最も回動させたときの、ローラ50,60間の距離を調整するための部材であって、図6及び図7に示すように、突出部12内に埋設されるように配置され、アーム部30に向けて突出可能に構成されている。また、アーム部30には、ローラ間距離調整用ネジ70の突出量(突出部12から露出するローラ間距離調整用ネジ70の露出量)を調整するための治具Jを挿通させる治具挿通用孔76が設けられている。
【0066】
ローラ50,60間の距離を調整する前の、ローラ50,60間の距離がほぼゼロに近い状態においては、ローラ間距離調整用ネジ70のネジ頭は突出部12内に完全に隠れるようになっており(図7(a)参照。)、治具Jを用いて突出部12からローラ間距離調整用ネジ70を露出させることにより、ローラ間距離調整用ネジ70のネジ頭がアーム部30の側面の一部74と当接するように構成されている(図6(b)、図6(d)及び図7(b)参照。)。つまり、突出部12から突出するローラ間距離調整用ネジ70の突出量を調整することにより、ローラ50,60間が閉じる方向に向けてアーム部30,40を最も回動させたときの、ローラ50,60間の距離を調整可能に構成されている。
【0067】
携帯式医療用チューブしごき器1を用いて医療用チューブをしごく場合は、図8(a)に示すように、ローラ50,60の間にチューブTを配置(セット)した後、図8(b)に示すように、幅広部32,42に押圧力を付与することによってアーム部30,40を回動させてローラ50,60でチューブTを挟み、その状態でチューブTを引っ張ることにより、または携帯式医療用チューブしごき器1をチューブ長手方向に沿って押し進めることにより、チューブTをしごくことが可能となる。
【0068】
以上のように構成された実施形態1に係る携帯式医療用チューブしごき器1によれば、回動可能に構成されたアーム部30,40における、回動支持された部分(ピン24,26の部分)からローラ50,60が配置された部分までのいずれかの部分に対して押圧力を付与する構成としているため、支点(アーム部30,40における回動支持された位置)から力点(押圧力を付与する位置。この場合、例えば幅広部32,42。)までの距離を、支点から作用点(ローラ50,60の位置)までの距離に比べて短く、または同程度とすることができる。つまり、実際に手からアーム部30,40へ加える力(押圧力)とローラ50,60からチューブTにかかる力(挟持力)とを同程度にすることができるため、従来のようにチューブを挟む力が強くなり過ぎてしまうのを抑制することが可能となり、結果として、熟練を要することなく比較的容易にチューブをしごくことが可能となる。
【0069】
また、実施形態1に係る携帯式医療用チューブしごき器1によれば、ローラ50,60の各々のローラ回転軸が平行関係を保った状態でアーム部30,40が回動するように構成されているため、ローラ50,60でチューブTを挟んだときに従来よりも均一にチューブをつぶすことが可能となる。その結果、少ない力でもチューブ内に血液が残らないようにチューブをしごくことが可能となる。
【0070】
したがって、実施形態1に係る携帯式医療用チューブしごき器1は、使用するのにそれほど熟練を要することなく比較的容易にチューブをしごくことができ、さらには、従来よりも均一にチューブをつぶすことが可能な携帯式医療用チューブしごき器となる。
【0071】
また、実施形態1に係る携帯式医療用チューブしごき器1は、ペンチ状に構成された従来の携帯式医療用チューブしごき器とは異なり、押圧力を付与する位置(幅広部32,42)とローラ50,60の位置とが極力近くなるように構成されていることから、より手元でチューブをしごくことができる。すなわち、実施形態1に係る携帯式医療用チューブしごき器1は、手の感覚にマッチした優れた携帯式医療用チューブしごき器となる。
【0072】
また、実施形態1に係る携帯式医療用チューブしごき器1によれば、ローラ50,60間が開く方向に向けてアーム部30,40に対して付勢力を与えるバネ部材20を備えているため、アーム部30,40に対して押圧力を加えていないときは、ローラ50,60間が開いた状態となる。このため、ローラ50,60間にチューブTを配置するのが容易となる。
【0073】
実施形態1に係る携帯式医療用チューブしごき器1においては、ローラ50,60の各ローラ回転軸がアーム部30,40の回動軸に対して略平行となるように、アーム部30,40に対してローラ50,60が配設されている。これにより、さほど構成を複雑なものとすることなく、ローラ50,60の各々のローラ回転軸が平行関係を保った状態でアーム部30,40を回動させることが可能となる。
【0074】
実施形態1に係る携帯式医療用チューブしごき器1においては、一対のアーム部30,40はともに、ローラ50,60間を開閉する方向に沿ってアーム部を回動することができるように、ベース部10との間で回動支持されており、かつ、当該回動支持された部分からローラ50,60が配置された部分までのいずれかの部分に対して他方のアーム部側に向かう押圧力を付与することにより、ローラ50,60間が閉じる方向に向けてアーム部を回動可能に構成されている。これにより、各アーム部30,40の回動量(回動角度)を極力小さくしつつ、アーム部30,40に押圧力を付与していないときのローラ50,60間の距離を比較的広くすることができるため、実施形態1に係る携帯式医療用チューブしごき器1は、チューブを挟みやすく、使い勝手の良い携帯式医療用チューブしごき器となる。
【0075】
実施形態1に係る携帯式医療用チューブしごき器1においては、ローラ50,60間が閉じる方向に向けてアーム部30,40を最も回動させたときときの、ローラ50,60間の距離を調整するローラ間距離調整機構(ローラ間距離調整用ネジ70)をさらに備えるため、チューブTの太さに応じてローラ50,60間の距離を調整することができ、その結果、チューブの太さが変わったとしてもチューブのしごきやすさを維持することが可能となる。
【0076】
実施形態1に係る携帯式医療用チューブしごき器1においては、ローラ間距離調整用ネジ70は、突出部12の側面のうちアーム部30に対向する面に配置され、突出部12の側面からアーム部30に向けて突出可能に構成されており、突出部12の側面から突出するローラ間距離調整用ネジ70の突出量を調整することにより、ローラ50,60間が閉じる方向に向けてアーム部30,40を最も回動させたときときの、ローラ50,60間の距離を調整可能に構成されている。これにより、比較的簡易な構成でローラ50,60間の距離を調整することが可能となる。
【0077】
実施形態1に係る携帯式医療用チューブしごき器1においては、アーム部30には、ローラ間距離調整用ネジ70の突出量を調整するための治具Jを挿通させる治具挿通用孔76が設けられている。これにより、治具挿通用孔76を介してローラ間距離調整用ネジ70の突出量を調整することができるため、ローラ50,60間の距離を調整する作業を比較的容易に行うことが可能となる。
【0078】
実施形態1に係る携帯式医療用チューブしごき器1においては、各ローラ50,60の上下にベアリング54,56,64,66が配置されているため、チューブのしごきやすさを向上させることが可能となる。
【0079】
実施形態1に係る携帯式医療用チューブしごき器1においては、ベース部10に貫通孔18が形成されているため、この貫通孔18に紐やストラップを通すことができ、携帯するのにより便利なものとなる。
【0080】
[実施形態2]
図9は、実施形態2に係る携帯式医療用チューブしごき器2を説明するために示す図である。図9(a)はローラ50,60間にチューブTを配置した様子を示す図であり、図9(b)はローラ50,60でチューブTを挟んだ様子を示す図である。なお、図9において、図8と同一の部材については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0081】
実施形態2に係る携帯式医療用チューブしごき器2は、基本的には実施形態1に係る携帯式医療用チューブしごき器1と良く似た構成を有するが、一方側のアーム部のみが回動可能に構成されている点で、実施形態1に係る携帯式医療用チューブしごき器1とは異なる。
【0082】
すなわち、実施形態2に係る携帯式医療用チューブしごき器2においては、図9に示すように、ベース部210とアーム部240とが一体形成されており、ベース部210に対してアーム部240が回動できないように構成されている。
【0083】
アーム部230は、実施形態1で説明したアーム部30と同様に、回動支持された部分(ピン24の部分)からローラ50が配置された部分までのいずれかの部分(例えば幅広部232)に対してアーム部240側に向かう押圧力を付与することにより、ローラ50,60間が閉じる方向に向けてアーム部230を回動可能に構成されている。
ただし、アーム部230は、実施形態1で説明したアーム部30に比べて、回動量(回動角度)を大きくしている。
【0084】
このように、実施形態2に係る携帯式医療用チューブしごき器2は、実施形態1に係る携帯式医療用チューブしごき器1とは、一方側のアーム部のみが回動可能に構成されている点が異なるが、回動可能に構成されたアーム部230における、回動支持された部分(ピン24の部分)からローラ50が配置された部分までのいずれかの部分(例えば幅広部232)に対して押圧力を付与する構成としているため、支点(アーム部230における回動支持された位置)から力点(押圧力を付与する位置)までの距離を、支点から作用点(ローラ50,60の位置)までの距離に比べて短く、または同程度とすることができる。その結果、実施形態1に係る携帯式医療用チューブしごき器1と同様、熟練を要することなく比較的容易にチューブをしごくことが可能となる。
【0085】
また、実施形態2に係る携帯式医療用チューブしごき器2によれば、ローラ50,60の各々のローラ回転軸が平行関係を保った状態でアーム部230が回動するように構成されているため、実施形態1に係る携帯式医療用チューブしごき器1の場合と同様に、ローラ50,60でチューブTを挟んだときに従来よりも均一にチューブをつぶすことが可能となる。その結果、少ない力でもチューブ内に血液が残らないようにチューブをしごくことが可能となる。
【0086】
したがって、実施形態2に係る携帯式医療用チューブしごき器2は、実施形態1に係る携帯式医療用チューブしごき器1と同様、使用するのにそれほど熟練を要することなく比較的容易にチューブをしごくことができ、さらには、従来よりも均一にチューブをつぶすことが可能な携帯式医療用チューブしごき器となる。
【0087】
実施形態2に係る携帯式医療用チューブしごき器2は、一方側のアーム部のみが回動可能に構成されている点以外では、実施形態1に係る携帯式医療用チューブしごき器1と同様の構成を有するため、実施形態1に係る携帯式医療用チューブしごき器1が有する効果のうち該当する効果をそのまま有する。
【0088】
[実施形態3]
まず、実施形態3に係る携帯式医療用チューブしごき器3の構成について、図10〜図17を用いて詳細に説明する。
【0089】
図10は、実施形態3に係る携帯式医療用チューブしごき器3を説明するために示す図である。図10(a)は携帯式医療用チューブしごき器3の平面図であり、図10(b)は携帯式医療用チューブしごき器3の正面図であり、図10(c)は携帯式医療用チューブしごき器3の左側面図である。
図11は、ベース部310を説明するために示す図である。図11(a)はベース部310の平面図であり、図11(b)はベース部310の正面図であり、図11(c)はベース部310の左側面図であり、図11(d)はベース部310の右側面図であり、図11(e)は図11(a)のA−A断面図であり、図11(f)は図11(a)のB−B断面図であり、図11(g)は図11(b)のC−C断面図である。
【0090】
図12は、ガイドシャフト380を説明するために示す図である。図12(a)はガイドシャフト380の拡大平面図であり、図12(b)はガイドシャフト380の拡大正面図であり、図12(c)は図12(a)のA−A断面図であり、図12(d)は図12(a)のB−B断面図である。
図13は、アーム部330及びローラ50を説明するために示す図である。図13(a)はアーム部330及びローラ50の平面図であり、図13(b)はアーム部330及びローラ50の底面図であり、図13(c)はローラ50側から見たときのアーム部330及びローラ50の側面図であり、図13(d)は幅広部332側から見たときのアーム部330及びローラ50の側面図である。
【0091】
図14は、実施形態3に係る携帯式医療用チューブしごき器3を説明するために示す図である。図14(a)はベース部310及びガイドシャフト380を示す図であり、図14(b)は突出部312のシャフト挿通孔316にガイドシャフト380を挿通させたときの様子を示す部分拡大図であり、図14(c)は突出部312及びガイドシャフト380とともにバネ部材320,322及びシャフト固定部材384を示す図であり、図14(d)はガイドシャフト380にバネ部材320,322を装着するとともにシャフト固定部材384でガイドシャフト380を固定したときの様子を示す部分拡大図である。
図15は、実施形態3に係る携帯式医療用チューブしごき器3を説明するために示す図である。図15(a)はガイドシャフト380を装着したベース部310とともにアーム部330,340を示す平面図であり、図15(b)はガイドシャフト380を装着したベース部310とともにアーム部330を示す側面図であり、図15(c)はガイドピン386をベース部310のガイドピン挿通孔315aに挿通させ、さらにアーム部330のガイド溝334に嵌め合わせたときの様子を示す図である。なお、図15(b)及び図15(c)においては、発明の理解を容易にするため、ガイドピン386に斜線を付して図示している。
【0092】
図16は、ローラ間距離調整用ネジ370,372を説明するために示す図である。図16(a)はローラ50,60間の距離を調整する前の携帯式医療用チューブしごき器3の平面図であり、図16(b)はローラ50,60間の距離を調整した後の携帯式医療用チューブしごき器3の平面図である。なお、図16(a)及び図16(b)においては、ネジ埋設用孔338,348内でのローラ間距離調整用ネジ370,372の位置の理解を容易にするため、ローラ間距離調整用ネジ370,372に斜線を付して図示している。また、図16(b)においては、発明の理解を容易にするため、調整後のローラ50,60間の距離を誇張して図示している。
図17は、実施形態3に係る携帯式医療用チューブしごき器3の使用状態を示す概念図である。図17(a)はローラ50,60間にチューブTを配置した様子を示す図であり、図17(b)はローラ50,60でチューブTを挟んだ様子を示す図である。なお、図17(a)及び図17(b)においては、シャフト挿入孔336,346内でのガイドシャフト380の位置及びガイド溝334,344内でのガイドピン386,388の位置の理解を容易にするため、ガイドシャフト380及びガイドピン386,388に斜線を付して図示している。
【0093】
なお、図10〜図17において、図1〜図8と同一の部材については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0094】
実施形態3に係る携帯式医療用チューブしごき器3は、医療用チューブをしごくために用いる携帯式医療用チューブしごき器であって、図10に示すように、ベース部310と、ベース部310に配設されたガイドシャフト380(図12及び図14参照。)と、対向配置された一対のローラ50,60を先端部に有する一対のアーム部330,340と、ローラ50,60間が開く方向に向けて、アーム部330,340に対して付勢力を与えるバネ部材320,322と、ローラ間距離調整機構としてのローラ間距離調整用ネジ370,372(図16参照。)とを備える。
なお、実施形態3に係る携帯式医療用チューブしごき器3の全体的なサイズは、携帯式医療用チューブしごき器3を握ったときに手のひらの中に納まる程度のものである。
【0095】
ベース部310は、図11に示すように、ベース部310の側面からローラ50,60側に向けて所定量突出した突出部312を有する。突出部312には、ガイドシャフト380を挿通させるためのシャフト挿通孔316と、シャフト挿通孔316に対して直交するように設けられたシャフト固定孔317とが形成されている。ベース部310の端部には、後述するガイドピン386,388を挿通させるためのガイドピン挿通孔315a,315bが形成されている。ベース部310の後端部(突出部312とは反対側の端部)には、貫通孔318が設けられている。
【0096】
ガイドシャフト380は、図12から分かるように、断面円形の円筒状部材であり、中間部に平面からなる切り欠き部382が設けられている。
ガイドシャフト380は、図14(a)及び図14(b)から分かるように、突出部312に形成されたシャフト挿通孔316に挿通可能に構成されている。また、図14(c)及び図14(d)に示すように、シャフト挿通孔316にガイドシャフト380を挿通させた状態で、シャフト固定孔317にシャフト固定部材384を挿通させることにより、突出部312にガイドシャフト380を固定することが可能となる。なお、シャフト固定部材384としては、例えば、ガイドシャフト380の切り欠き部382の形状に対応するように、先端が平面で構成されたネジ状部材を好適に用いることができる。
【0097】
アーム部330は、図10及び図13に示すように、平面視略L字状の部材であり、先端部に配置されたローラ50と、幅広部332と、ガイド溝334とを有する。ガイド溝334は、アーム部330を平行移動させたときに後述するガイドピン386(図17参照。)をガイドするために設けられた溝であって、図13から分かるように、下面側には開口しているが上面側には開口しておらず、貫通してはいない。
また、アーム部330の側面には、ガイドシャフト380の一方端を挿入するためのシャフト挿入孔336と、ローラ間距離調整用ネジ370を埋設するためのネジ埋設用孔338とが形成されている。ローラ間距離調整用ネジ370及びネジ埋設用孔338については、詳細に後述する。
【0098】
アーム部340も、アーム部330と同様に平面視略L字状の部材であり、先端部に配置されたローラ60と、幅広部342と、アーム部340を平行移動させたときに後述するガイドピン388(図17参照。)をガイドするためのガイド溝344とを有する。また、アーム部340の側面にも、ガイドシャフト380の他方端を挿入するためのシャフト挿入孔346(図15(a)参照。)と、ローラ間距離調整用ネジ372を埋設するためのネジ埋設用孔348(図16(b)参照。)とが形成されている。
【0099】
ガイドシャフト380(バネ部材320,322は装着済みである。)を装着したベース部310とアーム部330,340とを組み合わせるに際しては、まず、アーム部330,340のシャフト挿入孔336,346にガイドシャフト380をそれぞれ挿入する(図15(a)参照。)。次に、アーム部330,340のガイド溝334,344とベース部310のガイドピン挿通孔315a,315bとを位置合わせし、ガイドピン386,388をガイドピン挿通孔315a,315b及びガイド溝334,344に嵌め込む。これにより、アーム部330,340を所定方向(ローラ50,60間を開閉する方向)に沿って平行移動させることが可能となる。なお、ガイドピン386,388の下端部は、図示しない留め具によりベース部310に固定されている。
【0100】
アーム部330は、ガイドシャフト380で支持された部分(シャフト挿入孔336の周辺部分)からローラ50が配置された部分までのいずれかの部分(例えば幅広部332)に対してアーム部340側に向かう押圧力を付与することにより、ローラ50,60間が閉じる方向に向けてアーム部330を平行移動可能に構成されている。アーム部340についても同様に、ガイドシャフト380で支持された部分(シャフト挿入孔346の周辺部分)からローラ60が配置された部分までのいずれかの部分(例えば幅広部342)に対してアーム部330側に向かう押圧力を付与することにより、ローラ50,60間が閉じる方向に向けてアーム部340を平行移動可能に構成されている。
【0101】
なお、図示による説明は省略するが、アーム部330,340は、実施形態1で説明したアーム部30,40の場合と同様に、ローラ50,60間が閉じる方向に向けてアーム部330,340を最も平行移動させたときに、ローラ50,60間に隙間ができないように構成されている。つまり、ローラ50,60間が閉じる方向に向けてアーム部330,340を最も平行移動させたときの、ローラ50,60間の距離は、ほぼゼロに近い値である。
【0102】
バネ部材320,322は、圧縮コイルバネであって、コイル中にガイドシャフト380を挿入できるように構成されている(図14(c)及び図14(d)参照。)。
バネ部材320,322から各アーム部330,340に対して、ローラ50,60間を開こうとする力(付勢力)が付与される(図17(a)に示す黒矢印を参照。)。
【0103】
ローラ間距離調整用ネジ370,372は、ローラ50,60間が閉じる方向に向けてアーム部330,340を最も平行移動させたときの、ローラ50,60間の距離を調整するための部材であって、図16に示すように、各アーム部330,340のネジ埋設用孔338,348に埋設され、突出部312に向けて突出可能に構成されている。なお、ネジ埋設用孔338,348は、実施形態1で説明した治具挿通用孔としての機能も備えており、ネジ埋設用孔338,348を介して治具Jを用いてローラ間距離調整用ネジ370,372の突出量を調整することができるように構成されている。
【0104】
ローラ50,60間の距離を調整する前の、ローラ50,60間の距離がほぼゼロに近い状態においては、ローラ間距離調整用ネジ370,372はネジ埋設用孔338,348内に完全に隠れるようになっており(図16(a)参照。)、治具Jを用いてネジ埋設用孔338,348からローラ間距離調整用ネジ370,372を露出させることにより、ローラ間距離調整用ネジ370,372が突出部312の側面と当接するように構成されている(図16(b)参照。)。つまり、アーム部330,340(ネジ埋設用孔338,348)から突出するローラ間距離調整用ネジ370,372の突出量を調整することにより、ローラ50,60間が閉じる方向に向けてアーム部330,340を最も平行移動させたときの、ローラ50,60間の距離を調整可能に構成されている。なお、ローラ50,60間の距離を調整するにあたっては、必ずしも両方のローラ間距離調整用ネジ370,372の突出量を調整しなくてもよく、いずれか一方のローラ間距離調整用ネジの突出量を調整するだけでもよい。
【0105】
携帯式医療用チューブしごき器3を用いて医療用チューブをしごく場合は、図17(a)に示すように、ローラ50,60の間にチューブTを配置(セット)した後、図17(b)に示すように、幅広部332,342に押圧力を付与することによってアーム部330,340を平行移動させてローラ50,60でチューブTを挟み、その状態でチューブTを引っ張ることにより、または携帯式医療用チューブしごき器3をチューブ長手方向に沿って押し進めることにより、チューブTをしごくことが可能となる。
【0106】
以上のように構成された実施形態3に係る携帯式医療用チューブしごき器3によれば、平行移動可能に構成されたアーム部330,340における、ガイドシャフト380で支持された部分(シャフト挿入孔336,346の周辺部分)からローラ50,60が配置された部分までのいずれかの部分に対して押圧力を付与する構成としていることから、押圧力を付与する位置(例えば、幅広部332,342)とローラ50,60の位置とを極力近くすることができ、結果として、実際に手からアーム部330,340へ加える力(押圧力)とローラ50,60からチューブTにかかる力(挟持力)とを同程度にすることが可能となる。このため、従来のようにチューブを挟む力が強くなり過ぎてしまうのを抑制することが可能となり、熟練を要することなく比較的容易にチューブをしごくことが可能となる。
【0107】
また、実施形態3に係る携帯式医療用チューブしごき器3によれば、ローラ50,60の各々のローラ回転軸が平行関係を保った状態でアーム部330,340が平行移動するように構成されているため、ローラ50,60でチューブTを挟んだときに従来よりも均一にチューブをつぶすことが可能となる。その結果、少ない力でもチューブ内に血液が残らないようにチューブをしごくことが可能となる。
【0108】
したがって、実施形態3に係る携帯式医療用チューブしごき器3は、実施形態1及び2に係る携帯式医療用チューブしごき器1,2と同様、使用するのにそれほど熟練を要することなく比較的容易にチューブをしごくことができ、さらには、従来よりも均一にチューブをつぶすことが可能な携帯式医療用チューブしごき器となる。
【0109】
また、実施形態3に係る携帯式医療用チューブしごき器3は、ペンチ状に構成された従来の携帯式医療用チューブしごき器とは異なり、押圧力を付与する位置(幅広部332,342)とローラ50,60の位置とが極力近くなるように構成されていることから、より手元でチューブをしごくことができる。すなわち、実施形態3に係る携帯式医療用チューブしごき器3は、手の感覚にマッチした優れた携帯式医療用チューブしごき器となる。
【0110】
また、実施形態3に係る携帯式医療用チューブしごき器3によれば、ローラ50,60間が開く方向に向けてアーム部330,340に対して付勢力を与えるバネ部材320,322を備えているため、アーム部330,340に対して押圧力を加えていないときは、ローラ50,60間が開いた状態となる。このため、ローラ50,60間にチューブTを配置するのが容易となる。
【0111】
実施形態3に係る携帯式医療用チューブしごき器3においては、一対のアーム部330,340はともに、ローラ50,60間を開閉する方向に沿ってアーム部を平行移動することができるように、ガイドシャフト380に支持されており、かつ、当該支持された部分からローラ50,60が配置された部分までのいずれかの部分に対して他方のアーム部側に向かう押圧力を付与することにより、ローラ50,60間が閉じる方向に向けてアーム部を平行移動可能に構成されている。これにより、各アーム部330,340の移動量を極力小さくしつつ、アーム部330,340に押圧力を付与していないときのローラ50,60間の距離を比較的広くすることができるため、実施形態3に係る携帯式医療用チューブしごき器3は、チューブを挟みやすく、使い勝手の良い携帯式医療用チューブしごき器となる。
【0112】
実施形態3に係る携帯式医療用チューブしごき器3においては、ローラ50,60間が閉じる方向に向けてアーム部330,340を最も平行移動させたときの、ローラ50,60間の距離を調整するローラ間距離調整機構(ローラ間距離調整用ネジ370,372)をさらに備えるため、チューブTの太さに応じてローラ50,60間の距離を調整することができ、その結果、チューブの太さが変わったとしてもチューブのしごきやすさを維持することが可能となる。
【0113】
実施形態3に係る携帯式医療用チューブしごき器3においては、ローラ間距離調整用ネジ370,372は、各アーム部330,340の側面のうち突出部312に対向する面に配置され、アーム部330,340の側面から突出部312に向けて突出可能に構成されており、アーム部330,340の側面から突出するローラ間距離調整用ネジ370,372の突出量を調整することにより、ローラ50,60間が閉じる方向に向けてアーム部330,340を最も平行移動させたときの、ローラ50,60間の距離を調整可能に構成されている。これにより、比較的簡易な構成でローラ50,60間の距離を調整することが可能となる。
【0114】
実施形態3に係る携帯式医療用チューブしごき器3においては、アーム部330,340には、治具挿通用孔としての機能も果たすネジ埋設用孔338,348が設けられている。これにより、ネジ埋設用孔338,348を介してローラ間距離調整用ネジ370,372の突出量を調整することができるため、ローラ50,60間の距離を調整する作業を比較的容易に行うことが可能となる。
【0115】
実施形態3に係る携帯式医療用チューブしごき器3においては、各ローラ50,60の上下にベアリング54,56,64,66(ベアリング54,56のみ図13(c)に図示。)が配置されているため、チューブのしごきやすさを向上させることが可能となる。
【0116】
実施形態3に係る携帯式医療用チューブしごき器3においては、ベース部310に貫通孔318が形成されているため、この貫通孔318に紐やストラップを通すことができ、携帯するのにより便利なものとなる。
【0117】
[実施形態4]
図18〜図20は、実施形態4に係る携帯式医療用チューブしごき器4を説明するために示す図である。図18(a)は携帯式医療用チューブしごき器4の斜視図であり、図18(b)は携帯式医療用チューブしごき器4の左側面図である。図19(a)はローラ50,60間を開いた状態における携帯式医療用チューブしごき器4の正面図であり、図19(b)はローラ50,60間を開いた状態における携帯式医療用チューブしごき器4の平面図である。図20(a)はローラ50,60間を閉じた状態における携帯式医療用チューブしごき器4の正面図であり、図20(b)はローラ50,60間を閉じた状態における携帯式医療用チューブしごき器4の平面図である。
なお、図18〜図20において、図1〜図4と同一の部材については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0118】
実施形態4に係る携帯式医療用チューブしごき器4は、基本的には実施形態1に係る携帯式医療用チューブしごき器1と良く似た構成を有するが、規制部材を備えている点並びにベース部及びバネ部材の構成が、実施形態1に係る携帯式医療用チューブしごき器1とは異なる。
【0119】
すなわち、実施形態4に係る携帯式医療用チューブしごき器4においては、図18〜図20に示すように、ローラ50,60間において医療用チューブを挟持したときに、ローラ回転軸方向(図18(b)に示す白抜き矢印方向)に沿った医療用チューブの動きを規制する規制部材490をさらに備える。規制部材490は、アーム部440の先端部であって、ローラ60の配設位置近傍に設けられている。
【0120】
規制部材490は、ローラ60(一方のローラ)側からローラ50(他方のローラ)側に向けて所定の高さ突出する2つの凸部492,494を有する。凸部492,494は、図18(a)、図19(b)及び図20(b)から分かるように、ローラ60を回転支持する位置(ピン62が留め具によって留められた位置)近傍であって、ベース部410から遠い位置に設けられている。
【0121】
また、実施形態4に係る携帯式医療用チューブしごき器4においては、図18(b)、図19(a)及び図20(a)に示すように、ベース部410の一方面(底面側の面)に、例えば楕円面形状からなる曲面部419が設けられている。ベース部410は、曲面部419が設けられることによって、ベース部410の中央部分が縁部分に比べて厚くなるように構成されている。
【0122】
また、実施形態4に係る携帯式医療用チューブしごき器4においては、バネ部材として、図19(b)及び図20(b)に示すように、圧縮コイルバネからなるバネ部材420,422を備えている。バネ部材420,422は、コイル中にガイドシャフト480を挿入できるように構成されている。
バネ部材420,422から各アーム部430,440に対して、ローラ50,60間を開こうとする力(付勢力)が付与される。
【0123】
このように、実施形態4に係る携帯式医療用チューブしごき器4は、実施形態1に係る携帯式医療用チューブしごき器1とは、規制部材を備えている点並びにベース部及びバネ部材の構成が異なるが、回動可能に構成されたアーム部430,440における、回動支持された部分(ピン24,26の部分)からローラ50,60が配置された部分までのいずれかの部分(例えば幅広部432,442)に対して押圧力を付与する構成としているため、支点(アーム部430,440における回動支持された位置)から力点(押圧力を付与する位置)までの距離を、支点から作用点(ローラ50,60の位置)までの距離に比べて短く、または同程度とすることができる。その結果、実施形態1に係る携帯式医療用チューブしごき器1と同様、熟練を要することなく比較的容易にチューブをしごくことが可能となる。
【0124】
また、実施形態4に係る携帯式医療用チューブしごき器4によれば、ローラ50,60の各々のローラ回転軸が平行関係を保った状態でアーム部430,440が回動するように構成されているため、実施形態1に係る携帯式医療用チューブしごき器1の場合と同様に、ローラ50,60でチューブTを挟んだときに従来よりも均一にチューブをつぶすことが可能となる。その結果、少ない力でもチューブ内に血液が残らないようにチューブをしごくことが可能となる。
【0125】
したがって、実施形態4に係る携帯式医療用チューブしごき器4は、実施形態1に係る携帯式医療用チューブしごき器1と同様、使用するのにそれほど熟練を要することなく比較的容易にチューブをしごくことができ、さらには、従来よりも均一にチューブをつぶすことが可能な携帯式医療用チューブしごき器となる。
【0126】
実施形態4に係る携帯式医療用チューブしごき器4においては、上記した規制部材490をさらに備えるため、医療用チューブをしごいているときに、医療用チューブがローラ60の位置から外れてしまうのを抑制することが可能となる。
【0127】
実施形態4に係る携帯式医療用チューブしごき器4においては、規制部材490は、アーム部440における、ローラ60の配設位置近傍に設けられているため、医療用チューブがローラ60の位置から外れてしまうのをより確実に抑制することが可能となる。
【0128】
実施形態4に係る携帯式医療用チューブしごき器4においては、規制部材490は、上記した凸部492,494を有し、凸部492,494は、アーム部440の先端部であって、ローラ60を回転支持する位置近傍に設けられている。これにより、凸部という比較的簡易な構成でもって、医療用チューブの位置ずれ抑制効果を得ることが可能となる。
【0129】
実施形態4に係る携帯式医療用チューブしごき器4においては、ベース部410の一方面に曲面部419が設けられているため、ベース部420の一方面(曲面部419が設けられている側の面)と手のひらが接するようにして携帯式医療用チューブしごき器4を持ったときに、手になじみやすい。その結果、携帯式医療用チューブしごき器の使用感を向上することができる。
【0130】
実施形態4に係る携帯式医療用チューブしごき器4は、規制部材を備えている点並びにベース部及びバネ部材の構成が異なる点以外では、実施形態1に係る携帯式医療用チューブしごき器1と同様の構成を有するため、実施形態1に係る携帯式医療用チューブしごき器1が有する効果のうち該当する効果をそのまま有する。
【0131】
以上、本発明の携帯式医療用チューブしごき器を上記の各実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0132】
(1)上記各実施形態においては、「対向配置された一対のローラを先端部に有する一対のアーム部」として、一方側のアーム部の先端部に1つのローラ50が配置され、他方側のアーム部の先端部に1つのローラ60が配置されている場合を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
図21は、変形例1のアーム部130a及びローラ150aを説明するために示す図である。図21(a)はアーム部130a及びローラ150aの平面図であり、図21(b)はローラ150a側から見たときのアーム部130a及びローラ150aの側面図であり、図21(c)はローラ150a部分を模式的に示す斜視図である。
図22は、変形例2のアーム部130b及びローラ150b,151bを説明するために示す図である。図22(a)はアーム部130b及びローラ150b,151bの平面図であり、図22(b)はローラ150b,151b側から見たときのアーム部130b及びローラ150b,151bの側面図である。
「対向配置された一対のローラを先端部に有する一対のアーム部」としては、図21に示すように、ローラ回転軸に沿って4つの小ローラR1〜R4が配列されたローラ150aを有するアーム部130aを用いてもよいし、図22に示すように、並列配置された2つのローラ150b,151bを有するアーム部130bを用いてもよい。なお、変形例1においては、ローラ150aは4つの小ローラR1〜R4に分割されているが、小ローラが2つ、3つ又は5つ以上に分割されていてもよい。また、変形例2においては、2つのローラ150b,151bが並列配置されているが、3つ以上のローラが並列配置されていてもよい。
なお、図21及び図22に示すアーム部130a,130bは、実施形態1で説明したアーム部30,40の構成をもとにしたものであるが、変形例1及び2に示すローラの構成を実施形態3で説明したアーム部330,340に援用することができることは言うまでもない。
また、一対のアーム部のうち一方のアーム部が実施形態1で説明したアーム部30(1つのローラ50を先端部に有するアーム部)であり、他方のアーム部が変形例1で説明したアーム部130a(複数個に分割された小ローラを先端部に有するアーム部)であるというように、各アーム部が異なる種類のローラを有するアーム部であってもよい。ただし、チューブをより均一につぶすという観点から言えば、一対のアーム部はともに同種のローラを先端部に有するアーム部であるほうが好ましい。
【0133】
(2)上記各実施形態においては、一対のアーム部が、ローラ50,60間が閉じる方向に向けてアーム部を最も回動又は平行移動させたときに、ローラ50,60間に隙間ができないように構成されている場合(例えば図3(b)参照。)を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
図23は、変形例3のアーム部130c,140cを説明するために示す図である。図23(a)はローラ50,60間を閉じた状態のときのアーム部130c,140cの正面図であり、図23(b)は図23(a)に示す符号P部分の拡大図である。なお、図23(a)及び図23(b)においては、発明の理解を容易にするため、ローラ50,60に斜線を付して図示している。
一対のアーム部としては、ローラ50,60間が閉じる方向に向けてアーム部130c,140cを最も回動(又は平行移動)させたとき、すなわち図23(a)に示す状態のときに、ローラ50,60間に所定の隙間g(図23(b)参照。)ができるように構成されていてもよい。この場合は、ローラ50,60間が閉じる方向に向けてアーム部130c,140cを最も回動(又は平行移動)させた場合であっても、チューブを必要以上に強くつぶしてしまうことなく、適した力でチューブをしごくことが可能となる。
上記したローラ50,60間に設ける所定の隙間gの値は、チューブの厚みやチューブをつぶしたときのつぶれ具合に応じて適宜設定することが好ましい。所定の隙間gは、例えば、0mmより大きく2mm以下の値であることが好ましく、0.8mm±0.2mmの値であることがより好ましい。
【0134】
(3)上記各実施形態においては、アーム部の形状が平面視略L字状である場合を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。先端部に対向配置された一対のローラによって医療用チューブを挟持可能であれば、アーム部の形状としては、例えば、板状(平面視I字状)など、他の形状であってもよい。
【0135】
(4)上記実施形態1においては、アーム部30の回動軸(ピン24の位置)とアーム部40の回動軸(ピン26の位置)とが、所定間隔だけ離隔している場合を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、アーム部30の回動軸とアーム部40の回動軸とが同じ位置となるように(例えば、ピン22の位置が各アーム部の回動軸となるように)構成されていてもよい。上記実施形態4においても同様に、アーム部430の回動軸とアーム部440の回動軸とが同じ位置となるように構成されていてもよい。
【0136】
(5)上記各実施形態においては、ベース部10,310,410に貫通孔18,318,418が形成されている場合を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、貫通孔が形成されていなくてもよいし、貫通孔に相当する孔が複数形成されていてもよい。
【0137】
(6)上記実施形態1及び2においては、バネ部材20がねじりバネである場合を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。一対のローラ間が開く方向に向けてアーム部に対して付勢力を与えることが可能であれば、バネ部材として、例えば板バネ等の他のバネ部材を用いてもよい。上記実施形態3及び4においても同様に、バネ部材320,322,420,422が圧縮コイルバネである場合を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、一対のローラ間が開く方向に向けてアーム部に対して付勢力を与えることが可能であれば、他のバネ部材を用いてもよい。
【0138】
(7)上記実施形態1及び2においては、突出部12にローラ間距離調整用ネジ70が配設され、ローラ間距離調整用ネジ70がアーム部30,230に向けて突出可能に構成されている場合を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、上記構成に代えて、例えばアーム部30,230にローラ間距離調整用ネジが配設され、当該ローラ間距離調整用ネジが突出部12に向けて突出可能に構成されていてもよい。また、上記実施形態3においては、アーム部330,340にローラ間距離調整用ネジ370,372が配設され、ローラ間距離調整用ネジ370,372が突出部312に向けて突出可能に構成されている場合を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、上記構成に代えて、例えば突出部312にローラ間距離調整用ネジが配設され、当該ローラ間距離調整用ネジがアーム部330,340のうち少なくとも一方に突出可能に構成されていてもよい。
【0139】
(8)上記実施形態1においては、ローラ間距離調整用ネジ70がアーム部30に向けて突出可能に構成され、治具挿通用孔76がアーム部30に形成されている場合を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。ローラ間距離調整用ネジが、アーム部30ではなくアーム部40に向けて突出可能に構成され、治具挿通用孔が、アーム部30ではなくアーム部40に形成されていてもよい。または、上記実施形態1の構成に加えて、ローラ間距離調整用ネジ70及び治具挿通用孔76とは異なる他のローラ間距離調整用ネジ及び治具挿通用孔を備え、他のローラ間距離調整用ネジがアーム部40に向けて突出可能に構成され、他の治具挿通用孔がアーム部40に形成されていてもよい。
【0140】
(9)上記実施形態1及び2においては、治具挿通用孔76が、アーム部の内側から外側(幅広部側)に向けて真っ直ぐに貫通する孔である場合を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。治具を挿通させてローラ間距離調整用ネジの突出量を調整することが可能であれば、必ずしもアーム部の内側から外側(幅広部側)に向けて真っ直ぐに貫通していなくてもよい。また、治具挿通用孔が無くてもローラ間距離調整用ネジの突出量を調整可能に構成されていれば、治具挿通用孔は無くてもよい。
【0141】
(10)上記実施形態3においては、アーム部330,340の両方にローラ間距離調整用ネジ370,372が配設されている場合を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、アーム部330,340のいずれか一方のアーム部にのみローラ間距離調整用ネジが配設されていてもよい。
【0142】
(11)上記各実施形態においては、ローラ間距離調整機構として、ローラ間距離調整用ネジを用いた場合を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。一対のローラ間が閉じる方向に向けてアーム部を最も回動又は平行移動させたときの、当該一対のローラ間の距離を調整することが可能であれば、他の手段を用いても構わない。
【0143】
(12)上記実施形態3においては、ガイドシャフトが断面円形の円筒状部材である場合を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、断面正方形の角筒状部材など、他の形状からなる部材を用いてもよい。この場合、ガイドシャフトの形状に応じて、ベース部のシャフト挿通孔、アーム部のシャフト挿入孔及びバネ部材のコイル形状等を適宜変更することが好ましい。また、上記実施形態3においては、切り欠き部382が設けられたガイドシャフト380とシャフト固定部材384とを用いて、ベース部310にガイドシャフト380を固定する場合を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ベース部にガイドシャフトを固定可能であれば、他の手段を用いても構わない。
【0144】
(13)上記実施形態2においては、上側(正面視左側)のアーム部230が回動可能に構成され、下側(正面視右側)のアーム部240が回動できないように構成されている場合を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、下側(正面視右側)のアーム部が回動可能に構成され、上側(正面視左側)のアーム部が回動できないように構成されていてもよい。
【0145】
(14)上記実施形態3においては、両方のアーム部330,340が平行移動可能に構成されている場合を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、実施形態2のように、一方のアーム部のみが平行移動可能に構成され、他方のアーム部は平行移動できないように構成されていてもよい。
【0146】
(15)上記各実施形態の携帯式医療用チューブしごき器1〜4の構成に加えて、ローラ50,60でチューブを挟んだときの挟持力を表示するための挟持力表示手段を備えていてもよい。挟持力表示手段としては、赤色発光LEDからなる赤色LED部と、緑色発光LEDからなる緑色LED部と、ローラ50,60で医療用チューブを挟んだときの挟持力(ローラ50,60にかかる力)を算出し当該挟持力に応じて赤色LED部及び緑色LED部の発光状態を制御する制御部とを備える挟持力表示手段を例示することができる。このような挟持力表示手段を備えている場合、例えば、チューブを挟む力が適切ではない場合は赤色LED部が発光し、チューブを挟む力が適切である場合は緑色LED部が発光するように構成することにより、ローラでチューブを適切に挟めているか否かを容易に知ることが可能となる。
【0147】
(16)上記実施形態4においては、規制部材490(凸部492,494)がアーム部440側にのみ設けられている場合を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、アーム部430側にのみ規制部材が設けられていてもよいし、両方のアーム部430,440に設けられていてもよい。
また、上記実施形態4においては、凸部492,494が、ローラ60を回転支持する位置(ピン62が留め具によって留められた位置)近傍であって、ベース部410から遠い位置に設けられている場合を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ローラ60を回転支持する位置(ピン62が留め具によって留められた位置)近傍であって、ベース部410に近い位置に設けられていてもよい。
また、上記実施形態4においては、図18(a)から分かるように、規制部材490(凸部490,492)がアーム部440と一体化して形成されている場合を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、規制部材がアーム部から着脱可能に形成されていてもよい。
また、上記実施形態4においては、規制部材として、所定高さ突出する凸部490,492が設けられている場合を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。一対のローラ50,60間において医療用チューブを挟持したときに、ローラ回転軸方向に沿った医療用チューブの動きを規制することが可能であれば、規制部材は他の形状及び構成からなっていてもよい。
【0148】
(17)上記実施形態4においては、曲面部419が楕円面形状からなる場合を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、球面形状であってもよいし、シリンドリカル面(円筒状面)形状であってもよいし、非球面形状(手の形にフィットしやすい形状)であってもよい。
【符号の説明】
【0149】
1,2,3,4,800,900 携帯式医療用チューブしごき器
10,210,310,410 ベース部
12,312 突出部
14 窪み部
15a,15b,15c,16a,16b,16c 挿通孔
18,318,418 貫通孔
20,320,322,420,422 バネ部材
22,24,26,52,62 ピン
30,40,130a,130b,130c,140c,230,240,330,340,430,440 アーム部
32,42,132a,132b,232,242,332,342,432,442 幅広部
34 挿通孔
36,46 溝部
50,60,150a,150b,151b,850,860,950,952,960,962 ローラ
54,56,154a,154b,155b,156a,156b,157b,64,66 ベアリング
70,370,372 ローラ間距離調整用ネジ(ローラ間距離調整機構)
74 アーム部30の側面の一部
76 治具挿通用孔
315a,315b ガイドピン挿通孔
316 シャフト挿通孔
317 シャフト固定孔
334,344 ガイド溝
336,346 シャフト挿入孔
338,348 ネジ埋設用孔
380,480 ガイドシャフト
382 切り欠き部
384 シャフト固定部材
419 曲面部
490 規制部材
492,494 凸部
820 支点部
830,840 グリップ部
910 筐体
912 上側筐体
914 下側筐体
920 蝶番部
g (ローラ間の)隙間
J 治具
R1〜R4 小ローラ
T (医療用)チューブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用チューブをしごくために用いる携帯式医療用チューブしごき器であって、
ベース部(10)と、
対向配置された一対のローラ(50,60)を先端部に有し、当該一対のローラ間において医療用チューブを挟持できるように、前記ベース部に配設された一対のアーム部(30,40)と、
前記一対のローラ間が開く方向に向けて、前記アーム部に対して付勢力を与えるバネ部材(20)とを備え、
前記一対のアーム部のうち少なくとも一方のアーム部は、
前記一対のローラの各々のローラ回転軸が平行関係を保った状態で、前記一対のローラ間を開閉する方向に沿って当該アーム部を回動することができるように、前記ベース部との間で回動支持され、かつ、
当該回動支持された部分から前記ローラが配置された部分までのいずれかの部分に対して他方のアーム部側に向かう押圧力を付与することにより、前記一対のローラ間が閉じる方向に向けて当該アーム部を回動可能に構成されていることを特徴とする携帯式医療用チューブしごき器(1)。
【請求項2】
請求項1に記載の携帯式医療用チューブしごき器において、
前記一対のローラの各ローラ回転軸が前記アーム部の回動軸に対して略平行となるように、前記一対のアーム部に対して前記一対のローラが配設されていることを特徴とする携帯式医療用チューブしごき器(1)。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の携帯式医療用チューブしごき器において、
前記一対のアーム部(30,40)はともに、
前記一対のローラ間を開閉する方向に沿って当該アーム部を回動することができるように、前記ベース部との間で回動支持されており、かつ、
当該回動支持された部分から前記ローラが配置された部分までのいずれかの部分に対して他方のアーム部側に向かう押圧力を付与することにより、前記一対のローラ間が閉じる方向に向けて当該アーム部を回動可能に構成されていることを特徴とする携帯式医療用チューブしごき器(1)。
【請求項4】
医療用チューブをしごくために用いる携帯式医療用チューブしごき器であって、
ベース部(310)と、
前記ベース部に配設されたガイドシャフト(380)と、
対向配置された一対のローラ(50,60)を先端部に有し、当該一対のローラ間において医療用チューブを挟持できるように、前記ベース部に配設された一対のアーム部(330,340)と、
前記一対のローラ間が開く方向に向けて、前記アーム部に対して付勢力を与えるバネ部材(320,322)とを備え、
前記一対のアーム部のうち少なくとも一方のアーム部は、
前記一対のローラの各々のローラ回転軸が平行関係を保った状態で、前記一対のローラ間を開閉する方向に沿って当該アーム部を平行移動することができるように、前記ガイドシャフトに支持され、かつ、
当該支持された部分から前記ローラが配置された部分までのいずれかの部分に対して他方のアーム部側に向かう押圧力を付与することにより、前記一対のローラ間が閉じる方向に向けて当該アーム部を平行移動可能に構成されていることを特徴とする携帯式医療用チューブしごき器(3)。
【請求項5】
請求項4に記載の携帯式医療用チューブしごき器において、
前記一対のアーム部(330,340)はともに、
前記一対のローラ間を開閉する方向に沿って当該アーム部を平行移動することができるように、前記ガイドシャフトに支持されており、かつ、
当該支持された部分から前記ローラが配置された部分までのいずれかの部分に対して他方のアーム部側に向かう押圧力を付与することにより、前記一対のローラ間が閉じる方向に向けて当該アーム部を平行移動可能に構成されていることを特徴とする携帯式医療用チューブしごき器(3)。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の携帯式医療用チューブしごき器において、
前記一対のアーム部は、前記一対のローラ間が閉じる方向に向けて前記アーム部を最も回動又は平行移動させたときに、前記一対のローラ間に所定の隙間ができるように構成されていることを特徴とする携帯式医療用チューブしごき器(1)。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の携帯式医療用チューブしごき器において、
前記一対のローラ間が閉じる方向に向けて前記アーム部を最も回動又は平行移動させたときの、当該一対のローラ間の距離を調整するローラ間距離調整機構をさらに備えることを特徴とする携帯式医療用チューブしごき器(1)。
【請求項8】
請求項7に記載の携帯式医療用チューブしごき器において、
前記ローラ間距離調整機構は、
前記ベース部の側面のうち前記アーム部に対向する面又は前記アーム部の側面のうち前記ベース部に対向する面に配置され、前記ベース部の側面又は前記アーム部の側面から突出可能に構成されたローラ間距離調整用ネジ(70)であり、
前記ベース部の側面又は前記アーム部の側面から突出する前記ローラ間距離調整用ネジの突出量を調整することにより、前記一対のローラ間が閉じる方向に向けて前記アーム部を最も回動又は平行移動させたときの、当該一対のローラ間の距離を調整可能に構成されていることを特徴とする携帯式医療用チューブしごき器(1)。
【請求項9】
請求項8に記載の携帯式医療用チューブしごき器において、
前記アーム部には、前記ローラ間距離調整用ネジの突出量を調整するための治具(J)を挿通させる治具挿通用孔(76)が設けられていることを特徴とする携帯式医療用チューブしごき器(1)。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の携帯式医療用チューブしごき器において、
前記一対のローラ(50,60)間において医療用チューブを挟持したときに、前記ローラ回転軸方向に沿った前記医療用チューブの動きを規制する規制部材(490)をさらに備えることを特徴とする携帯式医療用チューブしごき器(4)。
【請求項11】
請求項10に記載の携帯式医療用チューブしごき器において、
前記規制部材(490)は、
前記一対のアーム部のうち少なくとも一方のアーム部における、前記ローラの配設位置近傍に設けられていることを特徴とする携帯式医療用チューブしごき器(4)。
【請求項12】
請求項11に記載の携帯式医療用チューブしごき器において、
前記規制部材(490)は、一方のローラ側から他方のローラ側に向けて所定の高さ突出する凸部(492,494)を有し、
前記凸部(492,494)は、前記アーム部の先端部であって、前記ローラを回転支持する位置近傍に設けられていることを特徴とする携帯式医療用チューブしごき器(4)。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の携帯式医療用チューブしごき器において、
前記ベース部(410)の一方面には、所定の曲面形状を有する曲面部(419)が設けられていることを特徴とする携帯式医療用チューブしごき器(4)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2010−221008(P2010−221008A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−254375(P2009−254375)
【出願日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(000200035)川澄化学工業株式会社 (103)
【出願人】(391015926)千代田電機工業株式会社 (17)
【Fターム(参考)】