説明

携帯情報端末、及び携帯情報端末の制御方法

【課題】携帯情報端末において、内蔵する歪センサで検出した応力に基づき相手先の端末を選択する。
【解決手段】歪センサで検出した応力の時間変化が相似である携帯情報端末を相手先としてペアリングすることで、容易に相手先を選択できる。その後、情報ファイルが転送され、或いは受信した放送の画像がマルチモニタ表示される。情報ファイルを転送する際は、双方の携帯情報端末の表示画面でダブルタップ、ドラッグ、又はフリックする方法を使用することで、さらに容易に転送することができる。マルチモニタ表示モードの設定と解除は、前記応力に基づきトグルスイッチ式に切替えることで容易に行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は携帯情報端末、及び携帯情報端末の制御方法に係り、特に相手先の端末を容易に選択できる携帯情報端末、及び携帯情報端末の制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant)をはじめとする携帯情報端末の分野では、通信する相手先の端末を容易に選択できることが重要である。例えば、同じユーザが手元に二台の端末を有している場合を考える。この場合、二台の端末の間で電子ファイルを転送することは頻繁に行われる。同じ場所にある端末同士といえども、当然ながら、ネットワークを介して電子ファイルを転送する必要がある。しかし、相手のアドレスを入力して電子ファイルをメールに添付して送信し、或いは相手先のURL(Uniform Resource Locator)を入力して電子ファイルを貼り付けるのでは手間がかかるため、さらに簡便な方法が望まれている。
【0003】
特許文献1においては、二つの端末が共通の無線ネットワークに接続された状態で、二つの端末に同時に振動を与え、前記ネットワークに接続された端末のうち加速度センサが検出した変動値が一致する端末をファイルの転送先と設定する方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−021810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の方法では、二つの端末装置を重ねたうえで振動を与える動作が簡便でなく、誤って端末装置を落下させる恐れもあるため、さらに改善した方法が望まれる。
一方、前記した加速度センサとは異なる検出デバイスとして、振動を検出する歪ゲージ、或いは歪センサと呼ばれるデバイスが以前から使われていた。多くは金属箔を備えており、該金属箔が例えば圧力を受けて歪むことによる電気抵抗の変化を検出することで歪を検出していた。しかし、大きさが長手方向に数センチメータ程度あり、また電気抵抗の変化を示す微弱な信号を増幅するための増幅器を外付けする必要があって、例えば民生用の製品に使用するうえでは、必ずしも適したデバイスとは言えなかった。
【0006】
一方、最近では半導体歪センサと呼ばれる新しい検出デバイスが実用化の段階にある。半導体歪センサは、半導体チップのピエゾ抵抗の変化に応じて歪を検出するデバイスである。半導体チップは、例えば2〜3ミリメータ角の大きさであって、歪検出部のみならず、前記した増幅器、及び歪検出値をデータ化するAD変換器を内蔵している。前記半導体チップは、10ミリメータ角程度の小型基板に搭載して使用される。このため、小型で狭い場所に取付けることができ、また量産効果により低価格化することもでき、民生用の製品への広範囲な応用が期待されている。
【0007】
しかし、実際の応用方法については今後の展開が待たれている段階であって、例えば前記したような携帯情報端末への応用は、これからの開発が待たれている。
本発明の目的は前記した状況に鑑み、相手先の端末を容易に選択できる携帯情報端末、及び携帯情報端末の制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため本発明は、ネットワークを介して情報データを通信する携帯情報端末であって、前記ネットワークを介して情報データを通信する通信部と、該通信部における通信に係る画像を表示する表示部と、前記携帯情報端末に対して外部から与えられる応力を検出するためのセンサと、前記携帯情報端末の全体の動作を制御する制御部を有し、該制御部は、前記センサが検出した応力に基づき、通信相手である相手先の情報端末を決定することを特徴としている。
【0009】
また本発明は、ネットワークを介して情報データを通信する携帯情報端末の制御方法であって、前記携帯情報端末に外部から加えられた応力の検出機能があるか否かを前記ネットワークを介して他の情報端末に問合せる機能照会ステップと、該機能照会ステップでの問合せに対する回答を前記他の情報端末から前記ネットワークを介して受信する機能回答受信ステップと、該機能回答受信ステップで受信した回答に基づき前記検出機能を有する他の情報端末を登録する情報端末登録ステップと、前記検出機能が検出した応力データを、前記情報端末登録ステップで登録された他の情報端末と前記ネットワークを介して通信する応力データ通信ステップを有し、該応力データ通信ステップにおいて、前記応力データの時間的な変化が相似する他の情報端末が存在する場合には、該情報端末と通信を継続することを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、相手先の端末を容易に選択できる携帯情報端末、及び携帯情報端末の制御方法を提供でき、携帯情報端末の使い勝手の向上に寄与できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】一実施例における携帯情報端末のブロック図である。
【図2】一実施例における携帯情報端末の正面図である。
【図3】一実施例における携帯情報端末の断面図である。
【図4】一実施例における携帯情報端末間の応力を示す図である。
【図5】一実施例における携帯情報端末にかかる応力の時間変化を示す図である。
【図6】一実施例における携帯情報端末間のペアリング方法のフロー図である。
【図7】一実施例における携帯情報端末間のファイル転送を説明する図である。
【図8】一実施例におけるマルチモニタ表示を説明する図である。
【図9】一実施例におけるマルチモニタ表示のスイッチングを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施例につき図面を用いて説明する。
図1は、一実施例における携帯情報端末1のブロック図である。携帯情報端末1は、前記したように携帯電話機、PDA、或いはゲーム機であっても良く、特に限定されない。携帯情報端末1の全体は、CPU(Central Processing Unit)、或いはDSP(Digital Signal Processor)を有する制御部11により制御される。図示していないが、制御部11は携帯情報端末1を制御するためのソフトウェアを格納し、或いは演算中のデータや外部から供給された情報を格納するためのメモリを含んでいる。また、本実施例の携帯情報端末1は、前記した半導体歪センサをはじめとするセンサ12を有しており、センサ12は携帯情報端末1に対して外部から加えられる応力を検出すること、さらには検出した応力に基づき携帯情報端末1は相手先の端末を選択すること、即ちペアリングをとることが一つの特徴となっている。
【0013】
通信部13は基地局、或いは他の通信機器と通信を行って情報を送受信する。無線通信機能だけではなく、例えば図示しないLAN(Local Area Network)端子を介した有線通信機能を有しても良い。また、ワンセグ放送をはじめとする放送受信機能を併せて有しても良い。通信部13を介して受信した情報のうち映像情報は、例えばグラフィックRAM(Random Access Memory)を含む表示処理部14で映像表示に適したフォーマットの信号に変換され、例えば液晶パネルを含む表示部15に表示される。表示処理部14は外部から受信した映像情報のみならず、携帯情報端末1の内部で生成された映像情報も処理して表示部15に表示することは言うまでもない。
【0014】
表示部15を用いて、ユーザが指令を入力する機能を持たせる場合は、操作部16をさらに備える。操作部16は、例えばタッチパネル機能を表示部15に持たせるための構成要素であって、ユーザが表示部15のいずれの場所をタッチしたかを検出する。タッチパネル機能は、感圧式、静電容量式、等の方式で実現可能であるが、筐体周辺部に複数配した歪センサにより接触点を検出する方式とすれば、本発明の前記応力検出用のセンサ12を兼用する実施形態も考えられる。以下の説明では、操作部16とは別にセンサ12を有する場合を主に説明する。なお操作部16は、例えば表示部15の周辺に配置されたスイッチ式のソフトキーであっても良い。
【0015】
次に、センサ12の配置について説明する。図1では一例としてセンサ12が4個である例を描いたが、ここでも4個の例で述べる。
図2は、一実施例における携帯情報端末1の正面図であり、(a)と(b)の二つの例を示している。図2の(a)では4個のセンサ12a〜12dが表示部15の各辺の中央付近に、図2の(b)では四隅に配置されている。センサ12を4個とするのは一例であって限定条件ではない。いずれか1個だけでも良く、複数個の場合でも価格や取付け場所の問題がなければ特に上限はない。後記するように、個数に応じた使い方を考えることができる。
【0016】
図3は、一実施例における携帯情報端末1の断面図であり、例えば図2の(a)でセンサ12bが見える位置での部分断面図である。図3ではセンサを3箇所に描いてあるが、センサ12bの取付け位置を3つの例で示したものであり、3箇所全てに取付ける必要はない。携帯情報端末1は例えばプラスチック材の筐体で覆われており、ここでは筐体は、図上で上側の筐体151aと下側の筐体151bを組合せて構成されている。各構成要素は、例えばアルミ板によるフレーム152に対して固定される。固定される構成要素として、例えば鉄板によるシールド板153、ベークライトまたはガラスエポキシによる回路基板154、表示パネル155がある。
【0017】
歪センサを取付ける構成要素は、取付け強度から考えれば剛性の大きい構成要素であることが望ましいが、歪センサが検出する歪を発生する程度の柔軟性も必要である。ここでは、歪センサ12を設ける構成要素として、フレーム152、シールド板153、又は表示パネル155を選んでいる。後記するように本実施例では、他の携帯情報端末と接触させたことによって受ける応力を検出するため、これ以外の応力を検出しない位置にセンサ12を設けると良い。このため、筐体151a、151bの内部にあることが望ましい。また、外来の電磁波の影響を受けないよう、シールド効果を有する構成要素に覆われることが望ましい。図示する以外では、シールド板153によるシールド効果が大きい場合には、下側の筐体151bの内側に取付けることもできる。
【0018】
次に、センサ12による応力の検出方法と、これを用いた携帯情報端末の間のペアリングについて説明する。
図4は、一実施例における携帯情報端末間の応力を示す図である。図4の(a)〜(f)の各例において、二つの携帯情報端末1Aと1Bが示されている。これら二つの携帯情報端末は同じユーザの手元にあり、互いに接触されることにより双方に応力が与えられている。この応力をセンサ12が検出する。
【0019】
図5は、一実施例における携帯情報端末1にかかる応力の時間変化を示す図である。図4で示したように、互いに接触している二つの携帯情報端末では、応力の向きが反対で絶対値の時間変化が相似し、例えば極大値と極小値を示す時間が略一致する。なお、図4の(d)のように、斜め方向に接触させた場合には複数のセンサが検出した歪から求めた合力を前記した応力とする。応力変化が略一致した端末を通信する相手先の端末として認証する。即ち、ペアリングをとる。センサの感度バラツキにより、双方の応力の絶対値が一致しなくとも、時間変化する波形が相似していれば通信する相手として良い。これにより、メールアドレス或いはURLを指定することなく、相手先の端末を容易に選択できる。
【0020】
なお図4の(a)〜(c)において、センサ12を図2で示したように4個有した場合には、各携帯情報端末において四辺の内のいずれが接触しているかを判定することができる。図4の(d)、(e)のように斜め方向に接触させた場合でも、各センサで検出した応力を分析することにより接触方向を判定することができる。図4の(f)のように互いに重ね合わせた場合でも、接触方向を判定することができる。このように複数のセンサを有する場合には、接触状態に関する多くの情報を知ることができるので、後記するように応用範囲をさらに広くすることができる。
【0021】
実際にユーザが2台の携帯情報端末を接触させる際には、1台ずつ異なる手で握って持つことが多いので、双方に異なる大きさの力が加わると考えられる。この場合は、端末同士の接触による作用反作用の関係での前記した応力を正しく検出するには、例えば、同じ端末内の複数のセンサで同等に検出される応力を演算で除去するようにすると良い。
【0022】
センサ12を2個とする場合には、例えば図2の正面図における表示部15の中央付近の裏手側に、互いに応力の検出方向が90度異なるよう2個のセンサを配置する。これにより、4個の場合よりも感度が劣ることはあっても、同等の機能を有することができる。センサ12を1個とする場合には、応力の方向を検出することはできないが、接触させるための所定位置を定めると良い。
【0023】
次に、本実施例におけるペアリングの設定方法について説明する。
図6は、一実施例における携帯情報端末間のペアリング方法のフロー図である。ここでは携帯情報端末が、端末Aから端末Dと記した4台ある場合を例にとって説明する。これら4台の端末は互いに普段使用しているユーザが異なっていても良いが、互いに近い位置、例えば同じ家屋の中にあることが想定される。また、4台の端末のユーザが同じ人であっても一向に差支えない。ここではユーザは端末Aから起動をかけるものとする。さらに端末A、端末B、及び端末Cは、本実施例で述べる応力検出によるペアリング機能を有するが、端末Dはこれを有さないとする。
【0024】
まず、ネットワーク参加のためのステップS61が実行される。ネットワークに新たに参加した端末Aは、端末B、端末C、及び端末Dの3台の端末に所定のフォーマットで、応力検出によるペアリング機能の有無を問合せる(ステップS611)。これに応答して、端末Bと端末Cは前記ペアリング機能を有する旨の応答(図中のOK)を行うが、端末Dはこの機能がないので応答をしない、又はエラーを送信する(ステップS612)。これに基づき端末Aは、ペアリングのできる相手として端末Bと端末Cを登録してデータベースを作成し、一方で端末Bと端末Cは、ペアリングのできる相手として端末Aを追加して登録する(ステップS613)。もちろん、既に登録済の端末を改めて登録する必要はない。
【0025】
次いで、ユーザは端末Aと通信する相手として端末Bを選択する場合、端末Aと端末Bを互いに接触させる(ステップS62)。
次に、第1のペアリングのためのステップS63が実行される。端末Aは、ペアリングのできる相手である端末Bと端末Cに対して、センサ12が検出した応力データを送信する(ステップS631)。端末Bは、端末Aから受信した応力データが端末B自身の検出した応力データと時間変化が相似すると判定することにより、端末Aに対して応力データが略一致する旨を返信するが、一方で端末Cは、端末Aから受信した応力データが端末C自身の検出した応力データと時間変化が相似しないと判定することにより、端末Aに対して応力データが一致しない旨を返信する(ステップS632)。これにより、端末Aと端末Bは互いに相手をペアリングの相手として認証する(ステップS633)。
【0026】
第1のペアリングのためのステップS63と平行して、第2のペアリングのためのステップS64が実行される。端末Bは、ペアリングのできる相手である端末Aと端末Cに対して、センサ12が検出した応力データを送信する(ステップS641)。なお、端末Bが端末Cに対して応力データを送信するのは、端末Cに本実施例によるペアリング機能があることを端末Bが予め知っていた場合であり、知らない場合には送信しなくて良い。端末Aは、端末Bから受信した応力データが端末A自身の検出した応力データと時間変化が相似すると判定することにより、端末Bに対して応力データが略一致する旨を返信するが、一方で端末Cは、端末Bから受信した応力データが端末C自身の検出した応力データと時間変化が相似しないと判定することにより、端末Bに対して応力データが一致しない旨を返信する(ステップS642)。これにより、端末Aと端末Bは互いに相手をペアリングの相手として認証する(ステップS643)。
【0027】
なお、第1のペアリングのためのステップS63と第2のペアリングのためのステップS64は、同時に動作しても良く、いずれかのステップが終了した際に残る一方のステップを途中で停止しても良く、または、いずれか先に起動したステップのみを実行しても良い。
以上の動作フローにより、目的としたペアリング動作が実施される。
【0028】
次に、互いに接触した複数の携帯情報端末の応用動作について例をあげる。
まず、二台の携帯情報端末の間でのファイル転送に関し、視覚上分かり易くする方法について述べる。
図7は、一実施例における携帯情報端末間のファイル転送を説明する図である。二台の携帯情報端末1Aと1Bは、例えば液晶パネルを有する表示部15Aと15Bを備え、かつ図6で述べた歪センサで検出した応力に基づくペアリングのフローを経て、互いに相手を認証済みであり、ネットワークを介して互いに通信できる状態にあるとする。また、携帯情報端末1Aと1Bは、PC(Personal Computer)に類似した情報処理を行う状態にあり、例えば格納された情報ファイルのアイコンが表示部15Aと15Bに表示されているとする。さらに、携帯情報端末1Aと1Bは図1の操作部16を有することにより、表示部15Aと15Bはタッチパネルの機能を備えるとする。
【0029】
選択された情報ファイルを、携帯情報端末1Aから1Bに転送する際の操作を述べる。図7の(a)はダブルタップと呼ばれる操作である。ユーザは、先ず携帯情報端末1Aの表示部15Aに表示されたアイコンから転送する情報ファイルのアイコンを選択するために、当該アイコンを指先でタップ(軽く叩く)し、直後に携帯情報端末1Bの表示部15Bにおける表示の無い部分をタップする。その後、いずれか一方または双方の表示部に情報ファイルをコピーするか移動(ムーブ)するかを選択するための表示が現れ、ユーザの選択に基づきファイル転送が開始される。
【0030】
図7の(b)はドラッグと呼ばれる操作である。ユーザは、先ず携帯情報端末1Aの表示部15Aに表示されたアイコンから転送する情報ファイルのアイコンを選択するために、当該アイコンに指先を接触させ、次いで指先を接触させたまま携帯情報端末1Bの表示部15Bにドラッグ(引き寄せ)する。ドラッグ中は表示部15Aにおける当該アイコンは、元の位置では輝度または色度を下げた状態で表示される。その後、ユーザが指先を表示部15Bから離すと、いずれか一方または双方の表示部に情報ファイルをコピーするか移動(ムーブ)するかを選択するための表示が現れ、ユーザの選択に基づきファイル転送が開始される。
【0031】
図7の(c)はフリックと呼ばれる操作である。ユーザは、先ず携帯情報端末1Aの表示部15Aに表示されたアイコンから転送する情報ファイルのアイコンを選択するために、当該アイコンに指先を接触させ、次いで指先を接触させたまま携帯情報端末1Aの表示部15Aの上で、携帯情報端末1Bの方向にフリックする(飛ばす)。フリック中は表示部15Aにおける当該アイコンは、元の位置では輝度または色度を下げた状態で表示される。すると当該アイコンが表示部Aから表示部Bへ移動し、表示部15Bにおける表示の無い部分で停止した後、いずれか一方または双方の表示部に情報ファイルをコピーするか移動(ムーブ)するかを選択するための表示が現れ、ユーザの選択に基づきファイル転送が開始される。
携帯情報端末1Bの方向とは異なる方向にフリックした場合には、ファイル転送は行われない。図1のセンサ12は、前記したように接触する方向も検出することができる。このため、携帯情報端末は、フリックした方向に応じてファイル転送の実施の可否を決めることができる。
【0032】
この他、図4の(f)で示したように二台の携帯情報端末を重ね合わせた場合には、携帯情報端末1Aの表示部15A(図の上面側にあるとする)のアイコンをユーザが指先で一回タップすることにより、情報ファイルが携帯情報端末1Bにコピー、又は移動されるようにしても良い。
以上の動作におけるファイル転送と、表示部15Aと15Bにおける表示の連携動作は、ネットワークを介して行われることは言うまでもない。
【0033】
なお、一度ファイル転送を行うモードが設定された後、携帯情報端末1Aと1Bの接触が解除された場合には、例えば30秒程度の所定時間後にファイル転送モードを解除すれば良く、またファイル転送が実行中である際には、当該ファイル転送が終了した後にファイル転送モードを解除すれば良い。これにより、不必要なほどの頻度でモード切替えが行われ、或いはファイル転送が中断する不具合を解消することができる。
以上で示したようなファイル転送を行うことにより、本実施例は携帯情報端末の使い勝手の向上に寄与することができる。
【0034】
なお、以上の実施例では、ペアリングの設定方法として一度の接触、及び応力検出に基づいて行う場合について説明したが、本願発明はこれに限るものではない。複数の端末からの応力データの時間変化が相似する場合には、当該複数の端末からペアリングの相手を選択するための画面や、端末同士を再度接触させて応力を検出するための指示画面等を表示するようにしても良い。
【0035】
次に、二台の携帯情報端末を用いたマルチモニタ表示について述べる。
図8は、一実施例におけるマルチモニタ表示を説明する図であり、携帯情報端末1Aと1Bは、ともに例えばワンセグ放送を受信してテレビジョン放送の映像を表示部15Aと15Bに表示する状態にあるとする。
【0036】
この場合は、二台の携帯情報端末が各々受信した放送を、各々の表示部15Aと15Bに表示しても良い。これに対して本実施例では、前記した歪センサで検出した応力に基づき、互いに認証した複数の携帯情報端末において、マルチモニタ表示を行う場合を述べる。例えば図8の(a)で示す方向に携帯情報端末1Aと1Bが接触された場合、図1のセンサ12は、前記したように接触する方向を検出することができる。従い、例えば携帯情報端末1Aで受信した放送の映像につき、表示部15Aと15Bの双方を使用して、図面上で横方向に長い画像のマルチモニタ表示をすることができる。この場合、等価的に2倍のサイズとなった表示部を用いて、視聴し易い画像をユーザに提供することができる。
【0037】
また、図8の(b)で示す方向に接触された場合は、各々の携帯情報端末が受信した放送を、各々の表示部15Aと15Bに表示しても良いが、図示するように表示する方向を例えば90度回転し、例えば携帯情報端末1Aで受信した放送の映像につき、表示部15Aと15Bの双方を使用してマルチモニタ表示しても良い。図8の(a)、(b)とも画面の等価的なアスペクト比(縦横比)が放送で前提とする値と異なると、表示画像が横方向または縦方向に相対的に長く歪んで表示されるため、これが問題となる場合には、画像の端部にブランキングを設けると良い。
【0038】
なお、前述のマルチモニタ表示は、ワンセグ放送の映像表示に限らず、携帯情報端末1Aが記憶する写真データを表示部15Aと15Bにマルチモニタ表示しても良いし、携帯情報端末1Aが有する二つのファイルをそれぞれ表示部15Aと15Bに表示しても良い。
以上の動作において、表示部15Aと15Bにおけるマルチモニタ表示のための連携動作は、ネットワークを介して行われることは言うまでもない。
【0039】
次に、図8で示したようなマルチモニタモードを設定し、また解除する方法について述べる。
図9は、一実施例におけるマルチモニタ表示のスイッチングを説明する図である。時間の経過(横軸)とともに、応力(縦軸)が図示したように変化する場合を述べる。
【0040】
まず、携帯情報端末1Aと1Bが接触した後、センサ12で検出される応力が次第に増加していく。例えば携帯情報端末1Bで検出した応力が所定値となった際に、双方の端末はマルチモニタ表示を行うよう状態が切替る。その後、応力が前記所定値よりも低下してもマルチモニタモードは維持されるが、再び所定値となった際に、マルチモニタモードは解除され、再び状態が切替る。その後、応力が前記所定値よりも低下しても状態は変わらずに維持されるが、改めて所定値となった際にマルチモニタモードに切替る。このようにセンサ12を使用し、トグルスイッチの動作に類似した切替えを行うことで、ユーザは簡単に表示モードを切替えることができる。
【0041】
なお、マルチモニタモードを設定する時と解除する時とで、前記した所定値は互いに異なる値であっても良い。また、図7で示したファイル転送のモード設定と解除においても、図9と同様な方法を使用しても良い。
ここまで示した実施形態は一例であって、本発明を限定するものではない。本発明の趣旨に基づきながら異なる実施形態を考えられるが、いずれも本発明の範疇にある。
【符号の説明】
【0042】
1:携帯情報端末、11:制御部、12:センサ、13:通信部、14:表示処理部、15:表示部、16:操作部、151:筐体、152:フレーム、153:シールド板、154:回路基板、155:表示パネル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して情報データを通信する携帯情報端末であって、
前記ネットワークを介して情報データを通信する通信部と、
該通信部における通信に係る画像を表示する表示部と、
前記携帯情報端末に対して外部から与えられる応力を検出するためのセンサと、
前記携帯情報端末の全体の動作を制御する制御部を有し、
該制御部は、
前記センサが検出した応力に基づき、通信相手である相手先の情報端末を決定することを特徴とする携帯情報端末。
【請求項2】
請求項1に記載の携帯情報端末において、前記制御部は、前記センサが検出した応力と、前記ネットワークを介して接続された他の情報端末が有する前記センサが検出した応力の時間的な変化が相似する場合に、該情報端末を通信相手である相手先の情報端末と決定することを特徴とする携帯情報端末。
【請求項3】
請求項2に記載の携帯情報端末において、通信相手である相手先の情報端末を決定した後、前記センサが検出した応力の時間的な変化の相似が失われた場合には、所定の時間を経過した後に通信を停止することを特徴とする携帯情報端末。
【請求項4】
請求項1に記載の携帯情報端末において、前記センサは、前記表示部の周辺に複数個設けられ、前記制御部は、前記複数個のセンサが検出した応力の合力に基づき、通信相手である相手先の情報端末を決定することを特徴とする携帯情報端末。
【請求項5】
請求項1に記載の携帯情報端末において、前記制御部は、通信相手である相手先の情報端末を決定し通信を開始した後、前記携帯情報端末の表示部と前記相手先の情報端末の表示部を連携したユーザの指令に応じて、前記携帯情報端末が格納する情報ファイルを前記相手先の情報端末に転送するよう制御することを特徴とする携帯情報端末。
【請求項6】
請求項5に記載の携帯情報端末において、前記ユーザの指令は、前記表示部におけるタップ、ダブルタップ、ドラッグ、フリックの動作による指令を含むことを特徴とする携帯情報端末。
【請求項7】
請求項5に記載の携帯情報端末において、前記センサが検出した応力の時間的な変化の相似が失われた場合でも、前記情報ファイルの転送動作を行っている場合は、前記情報ファイルの転送動作が終了した後に通信を停止することを特徴とする携帯情報端末。
【請求項8】
請求項1に記載の携帯情報端末において、通信相手である相手先の情報端末を決定し通信を開始した後、前記携帯情報端末の表示部と前記相手先の情報端末の表示部を連携し、画像をマルチモニタ表示することを特徴とする携帯情報端末。
【請求項9】
請求項8に記載の携帯情報端末において、前記マルチモニタ表示は、前記センサが検出した応力の大きさを所定値と比較した際の所定時間おきの比較結果に基づき、トグル動作で設定され解除されることを特徴とする携帯情報端末。
【請求項10】
請求項8に記載の携帯情報端末において、前記携帯情報端末はテレビジョン放送の受信部を有し、前記携帯情報端末の表示部と前記相手先の情報端末の表示部に、前記受信部で受信したテレビジョン放送の画像をマルチモニタ表示することを特徴とする携帯情報端末。
【請求項11】
ネットワークを介して情報データを通信する携帯情報端末の制御方法であって、
前記携帯情報端末に外部から加えられた応力の検出機能があるか否かを前記ネットワークを介して他の情報端末に問合せる機能照会ステップと、
該機能照会ステップでの問合せに対する回答を前記他の情報端末から前記ネットワークを介して受信する機能回答受信ステップと、
該機能回答受信ステップで受信した回答に基づき前記検出機能を有する他の情報端末を登録する情報端末登録ステップと、
前記検出機能が検出した応力データを、前記情報端末登録ステップで登録された他の情報端末と前記ネットワークを介して通信する応力データ通信ステップを有し、
該応力データ通信ステップにおいて、前記応力データの時間的な変化が相似する他の情報端末が存在する場合には、該情報端末と通信を継続することを特徴とする携帯情報端末の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−65963(P2013−65963A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−202255(P2011−202255)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(509189444)日立コンシューマエレクトロニクス株式会社 (998)
【Fターム(参考)】