説明

携帯情報端末、情報配信装置及び情報配信システム

【課題】利用者が、パブリックディスプレイが設置されている位置を示す位置情報や、配信情報が表示されている時刻を示す時刻情報を取得して記録するなどの煩雑な操作を行うことなく、その場を去った後でも、所望の配信情報を取得して確認することができるようにする。
【解決手段】送信要求に含まれている状態情報が示す判定結果が、利用者が交通機関の利用を伴って移動している旨を示している場合、その状態情報と対応付けられている時刻と状態情報が示す位置の測位結果を参照して、利用者が利用している交通機関を特定するとともに、配信情報の配信履歴を参照して、交通機関内の表示装置7等に対して、配信が完了している配信情報を検索する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、配信情報の送信要求を情報配信装置に送信して、その情報配信装置から配信情報を受信する携帯情報端末と、携帯情報端末から送信された送信要求に応じて配信情報を携帯情報端末に配信する情報配信装置と、携帯情報端末と情報配信装置から構成されている情報配信システムとに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の情報配信システムでは、例えば、情報配信装置が、屋外に設置されている大画面ディスプレイや、交通機関内のディプレイに対して、広告情報などを配信することで、商品の広告などを行っている。これらのような、大衆の目に触れる場所に設置された表示装置を総称してパブリックディスプレイと呼ぶ。
パブリックディスプレイに表示されている商品の広告などを見ている利用者が、広告の詳細情報などを知りたい場合、例えば、携帯情報端末のGPS機能を利用して、そのパブリックディスプレイが設置されている位置を示す位置情報(≒携帯情報端末の位置情報)を取得し、その位置情報と時刻情報(広告情報が表示されている時刻)を情報配信装置に送信すれば、情報配信装置から広告情報(例えば、広告の詳細情報を含む情報)を得ることができる。
即ち、情報配信装置は、携帯情報端末から位置情報と時刻情報を受信すると、その位置情報と時刻情報から、利用者が見ているパブリックディスプレイと、そのパブリックディスプレイに対して配信している広告情報を特定することができるので、そのパブリックディスプレイに表示されている広告に関する広告情報を携帯情報端末に送信することができる(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
したがって、利用者は、パブリックディスプレイを見ているときであれば、そのパブリックディスプレイが設置されている位置を示す位置情報や、広告情報が表示されている時刻を示す時刻情報を取得することができるので、情報配信装置から広告情報を受信することができるが、利用者が、その場を去ってから、広告情報を得たくなっても、もはや、位置情報や時刻情報を取得することができず、情報配信装置から広告情報を受信することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−309655号公報(段落番号[0017]から[0023]、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の情報配信システムは以上のように構成されているので、利用者が、パブリックディスプレイが設置されている場所から去ってから、パブリックディスプレイに表示されている広告情報を得たくなっても、もはや、パブリックディスプレイが設置されている位置を示す位置情報や、広告情報が表示されている時刻を示す時刻情報を取得することができず、情報配信装置から広告情報を受信することができないなどの課題があった。
【0006】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、利用者が、パブリックディスプレイが設置されている位置を示す位置情報や、配信情報(例えば、広告情報)が表示されている時刻を示す時刻情報を取得して記録するなどの煩雑な操作を行うことなく、その場を去った後でも、所望の配信情報を取得して確認することができる情報配信システムを得ることを目的とする。
また、この発明は、上記のような情報配信システムに適用する携帯情報端末及び情報配信装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る情報配信システムは、携帯情報端末が、加速度測定手段により測定された三軸の加速度の推移を監視して、利用者が移動中であるか否かを判定するとともに、利用者が移動中であれば、交通機関の利用を伴う移動であるか否かを判定する移動判定手段と、移動判定手段の判定結果及び位置測位手段の測位結果を示す状態情報を時刻と対応付けて管理する状態情報管理手段と、状態情報管理手段により管理されている状態情報を参照して、移動判定手段の判定結果の中で、同一の判定結果が連続している時間帯を特定し、各時間帯における移動判定手段の判定結果を示す一覧表を表示する一覧表表示手段と、一覧表表示手段により表示されている一覧表の中から、所望の時間帯の選択を受け付ける選択受付手段と、状態情報管理手段により管理されている状態情報の中から、選択受付手段により選択が受け付けられた時間帯内の状態情報を取得し、その状態情報を含む配信情報の送信要求を情報配信装置に送信する送信要求送信手段とを備え、情報配信装置が、携帯情報端末の送信要求送信手段から送信された配信情報の送信要求に含まれている状態情報が示す判定結果が、利用者が交通機関の利用を伴って移動している旨を示している場合、その状態情報と対応付けられている時刻と状態情報が示す位置の測位結果を参照して、利用者が利用している交通機関を特定するとともに、配信履歴管理手段により管理されている配信履歴を参照して、交通機関内の表示装置又は交通機関の沿線にある表示装置に対して、その時刻までに配信が完了している配信情報を検索する第1の配信情報検索手段と、その状態情報が示す判定結果が、利用者が交通機関の利用を伴わずに移動している旨を示している場合、その状態情報が示す位置の測位結果を参照して、利用者の移動経路を特定するとともに、その配信履歴を参照して、移動経路にある表示装置に対して、その状態情報と対応付けられている時刻までに配信が完了している配信情報を検索する第2の配信情報検索手段と、その状態情報が示す判定結果が、利用者が移動していない旨を示している場合、その状態情報が示す位置の測位結果を参照して、利用者の静止位置を特定するとともに、その配信履歴を参照して、静止位置にある表示装置に対して、その状態情報と対応付けられている時刻までに配信が完了している配信情報を検索する第3の配信情報検索手段と、配信情報蓄積手段により蓄積されている配信情報の中から、第1、第2又は第3の配信情報検索手段により検索された配信情報を取得して、その配信情報を携帯情報端末に送信する配信情報送信手段とを備えるようにしたものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、携帯情報端末が、加速度測定手段により測定された三軸の加速度の推移を監視して、利用者が移動中であるか否かを判定するとともに、利用者が移動中であれば、交通機関の利用を伴う移動であるか否かを判定する移動判定手段と、移動判定手段の判定結果及び位置測位手段の測位結果を示す状態情報を時刻と対応付けて管理する状態情報管理手段と、状態情報管理手段により管理されている状態情報を参照して、移動判定手段の判定結果の中で、同一の判定結果が連続している時間帯を特定し、各時間帯における移動判定手段の判定結果を示す一覧表を表示する一覧表表示手段と、一覧表表示手段により表示されている一覧表の中から、所望の時間帯の選択を受け付ける選択受付手段と、状態情報管理手段により管理されている状態情報の中から、選択受付手段により選択が受け付けられた時間帯内の状態情報を取得し、その状態情報を含む配信情報の送信要求を情報配信装置に送信する送信要求送信手段とを備え、情報配信装置が、携帯情報端末の送信要求送信手段から送信された配信情報の送信要求に含まれている状態情報が示す判定結果が、利用者が交通機関の利用を伴って移動している旨を示している場合、その状態情報と対応付けられている時刻と状態情報が示す位置の測位結果を参照して、利用者が利用している交通機関を特定するとともに、配信履歴管理手段により管理されている配信履歴を参照して、交通機関内の表示装置又は交通機関の沿線にある表示装置に対して、その時刻までに配信が完了している配信情報を検索する第1の配信情報検索手段と、その状態情報が示す判定結果が、利用者が交通機関の利用を伴わずに移動している旨を示している場合、その状態情報が示す位置の測位結果を参照して、利用者の移動経路を特定するとともに、その配信履歴を参照して、移動経路にある表示装置に対して、その状態情報と対応付けられている時刻までに配信が完了している配信情報を検索する第2の配信情報検索手段と、その状態情報が示す判定結果が、利用者が移動していない旨を示している場合、その状態情報が示す位置の測位結果を参照して、利用者の静止位置を特定するとともに、その配信履歴を参照して、静止位置にある表示装置に対して、その状態情報と対応付けられている時刻までに配信が完了している配信情報を検索する第3の配信情報検索手段と、配信情報蓄積手段により蓄積されている配信情報の中から、第1、第2又は第3の配信情報検索手段により検索された配信情報を取得して、その配信情報を携帯情報端末に送信する配信情報送信手段とを備えるように構成したので、利用者が、表示装置が設置されている位置を示す位置情報や、配信情報が表示されている時刻を示す時刻情報を取得して記録するなどの煩雑な操作を行うことなく、表示装置が設置されている場所を去った後でも、その表示装置に配信されている配信情報を取得して確認することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の実施の形態1による情報配信システムを示す構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1による携帯情報端末を示すハードウェア構成図である。
【図3】この発明の実施の形態1による情報配信装置を示すハードウェア構成図である。
【図4】この発明の実施の形態1による携帯情報端末の状態管理機能の処理内容を示すフローチャートである。
【図5】この発明の実施の形態1による携帯情報端末の移動判定部の処理内容を示すフローチャートである。
【図6】この発明の実施の形態1による情報配信装置の処理内容を示すフローチャートである。
【図7】時刻と対応付けられている状態情報の一例を示す説明図である。
【図8】各時間帯における移動判定部13の判定結果を示す一覧表の一例を示す説明図である。
【図9】広告情報の表示例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による情報配信システムを示す構成図である。
また、図2はこの発明の実施の形態1による携帯情報端末を示すハードウェア構成図であり、図3はこの発明の実施の形態1による情報配信装置を示すハードウェア構成図である。
図1において、携帯情報端末1はインターネットなどの通信網に接続可能な通信機能を有しており、例えば、携帯電話やモバイルPCなどの携帯可能な端末が該当する。
携帯情報端末1は利用者の操作の下で、配信情報(過去に情報配信装置3から表示装置4〜7に配信された情報)の送信要求を例えばインターネット経由で情報配信装置3に送信することで、その情報配信装置3から送信された配信情報を受信するなどの処理を実施する。
【0011】
運行管理サーバ2は電車やバスなどの各種の交通機関の運行情報(ある時刻における列車の在線位置やバスの運行位置などを示す情報)を管理し、交通機関の運行情報を情報配信装置3に配信する装置である。
情報配信装置3は携帯情報端末1から送信された送信要求に応じて配信情報を例えばインターネット経由で携帯情報端末1に配信する装置である。
【0012】
表示装置4〜7は情報配信装置3から配信された配信情報をディスプレイに表示する装置であり、図1の例では、特に表示装置4は駅前に設置されているパブリックの表示装置であり、表示装置5は商業施設に設置されている表示装置であり、表示装置6は駅中に設置されている表示装置であり、表示装置7は列車などの交通機関内に設置されている表示装置である。
携帯情報端末1において、位置測位部11、加速度測定部12、移動判定部13及び状態情報記録処理部14から状態管理機能が構成されている。
また、一覧表表示部16、選択受付部17、送信要求送信部18、配信情報受信部19及び配信情報表示部20から情報確認機能が構成されている。
【0013】
携帯情報端末1の位置測位部11は複数のGPS衛星から送信されるGPS信号を受信するGPS受信機101(図2を参照)などから構成されており、GPS受信機101により受信された複数のGPS信号を用いて、現在、携帯情報端末1が存在している位置を周期的に測位する処理を実施する。
ただし、位置測位部11はジャイロスコープなども実装しており、例えば、GPS受信機101がGPS信号を受信することができない状況下にあるような場合には、ジャイロスコープの検出情報や、携帯情報端末1が現在通信している基地局の情報などを利用して、現在の位置を測位する。
なお、位置測位部11は位置測位手段を構成している。
【0014】
加速度測定部12は3軸加速度センサ102(図2を参照)から構成されており、三軸の加速度を周期的に測定する処理を実施する。なお、加速度測定部12は加速度測定手段を構成している。
移動判定部13は例えば携帯情報端末1の通信機能や表示機能などを制御する中央処理装置103(例えば、CPU)あるいは、専用のチップで構成されており(図2を参照)、加速度測定部12により測定された三軸の加速度の推移を監視して、利用者が移動中であるのか、静止中であるのかを判定するとともに、利用者が移動中であれば、交通機関の利用を伴う移動であるか否かを判定(例えば、電車やバスなどの交通機関を利用して移動しているのか、歩行による移動であるのかを判定)する処理を実施する。
なお、移動判定部13は移動判定手段を構成している。
【0015】
状態情報記録処理部14は中央処理装置103(あるいは、専用のチップ)から構成されており、移動判定部13の判定結果(利用者の状態:「静止中」、「歩行中」、「交通機関による移動中」)、位置測位部11の測位結果(緯度、経度)及びGPS信号による測位品質を示す状態情報を時刻(携帯情報端末1のクロック104が示す時刻)と対応付けて、その状態情報を状態情報格納部15に記録する処理を実施する。
状態情報格納部15は携帯情報端末1の内部メモリ105(図2を参照)から構成されており、状態情報を格納する。
なお、状態情報記録処理部14及び状態情報格納部15から状態情報管理手段が構成されている。
【0016】
一覧表表示部16は中央処理装置103(あるいは、専用のチップ)及び携帯情報端末1のディスプレイ106(図2を参照)から構成されており、状態情報格納部15により格納されている状態情報を参照して、移動判定部13の判定結果の中で、同一の判定結果が連続している時間帯(同一の状態が連続している時間帯であり、例えば、「歩行中」が連続している時間帯や、「交通機関による移動中」が連続している時間帯)を特定し、各時間帯における移動判定部13の判定結果を示す一覧表を表示する処理を実施する。なお、一覧表表示部16は一覧表表示手段を構成している。
【0017】
選択受付部17は中央処理装置103(あるいは、専用のチップ)、携帯情報端末1の操作キー107及び操作キー107の信号入力インタフェース108(図2を参照)から構成されており、一覧表表示部16により表示されている一覧表の中から、所望の時間帯の選択を受け付ける処理を実施する。なお、選択受付部17は選択受付手段を構成している。
【0018】
送信要求送信部18は中央処理装置103(あるいは、専用のチップ)及び携帯情報端末1の通信インタフェース109(図2を参照)から構成されており、状態情報格納部15により格納されている状態情報の中から、選択受付部17により選択が受け付けられた時間帯内の状態情報を取得し、その状態情報を含む配信情報の送信要求を例えばインターネット経由で情報配信装置3に送信する処理を実施する。なお、送信要求送信部18は送信要求送信手段を構成している。
【0019】
配信情報受信部19は通信インタフェース109から構成されており、情報配信装置3から送信要求に伴って送信された配信情報を受信する処理を実施する。なお、配信情報受信部19は配信情報受信手段を構成している。
配信情報表示部20は中央処理装置103(あるいは、専用のチップ)及びディスプレイ106から構成されており、配信情報受信部19により受信された配信情報を表示する処理を実施する。なお、配信情報表示部20は配信情報表示手段を構成している。
【0020】
情報配信装置3の配信情報蓄積部31はハードディスク301(図3を参照)などの記録媒体から構成されており、表示装置4〜7に配信する配信情報を蓄積している。なお、配信情報蓄積部31は配信情報蓄積手段を構成している。
情報配信スケジューラ32は情報配信装置3の中央処理装置302(あるいは、専用のチップ)及び通信インタフェース303(図3を参照)から構成されており、予め設定されているスケジュールにしたがって配信情報蓄積部31に蓄積されている配信情報を例えばインターネット経由で表示装置4〜7に配信する処理を実施する。なお、情報配信スケジューラ32は情報配信手段を構成している。
【0021】
配信履歴記録処理部33は中央処理装置302(あるいは、専用のチップ)から構成されており、情報配信スケジューラ32により配信された配信情報の配信履歴(どの配信情報を、どの表示装置に、いつ配信したかを示す情報)を配信履歴格納部34に記録する処理を実施する。
配信履歴格納部34はハードディスク301などの記録媒体から構成されており、配信情報の配信履歴を格納する。
なお、配信履歴記録処理部33及び配信履歴格納部34から配信履歴管理手段が構成されている。
【0022】
運行情報受信部35は通信インタフェース303から構成されており、運行管理サーバ2から配信された交通機関の運行情報を受信する処理を実施する。
運行情報記録処理部36は中央処理装置302(あるいは、専用のチップ)から構成されており、運行情報受信部35により受信された交通機関の運行情報を運行情報格納部37に記録する処理を実施する。
運行情報格納部37はハードディスク301などの記録媒体から構成されており、交通機関の運行情報を格納する。
【0023】
送信要求受信部38は通信インタフェース303から構成されており、携帯情報端末1の送信要求送信部18から送信された配信情報の送信要求を受信する処理を実施する。なお、送信要求受信部38は送信要求受信手段を構成している。
配信情報検索処理部39は中央処理装置302(あるいは、専用のチップ)から構成されており、送信要求に対応する配信情報を検索する処理を実施する。
【0024】
第1の配信情報検索部39aは送信要求受信部38により受信された送信要求に含まれている状態情報が示す判定結果が、「交通機関による移動中」である旨を示している場合、その状態情報と対応付けられている時刻と、その状態情報が示す位置の測位結果(緯度、経度)と、運行情報格納部37により格納されている交通機関の運行情報とを参照して、利用者が利用している交通機関を特定する処理を実施する。また、配信履歴格納部34により格納されている配信履歴を参照して、その交通機関内の表示装置7又は交通機関の沿線にある表示装置4(交通機関の内部から見える位置に設置されている表示装置)に対して、その状態情報と対応付けられている時刻までに配信が完了している配信情報を検索する処理を実施する。なお、第1の配信情報検索部39aは第1の配信情報検索手段を構成している。
【0025】
第2の配信情報検索部39bは送信要求受信部38により受信された送信要求に含まれている状態情報が示す判定結果が、「歩行中」である旨を示している場合、その状態情報が示す位置の測位結果(緯度、経度)を参照して、利用者の移動経路を特定する処理を実施する。また、配信履歴格納部34により格納されている配信履歴を参照して、その移動経路にある表示装置(例えば、表示装置4,5,6)に対して、その状態情報と対応付けられている時刻までに配信が完了している配信情報を検索する処理を実施する。なお、第2の配信情報検索部39bは第2の配信情報検索手段を構成している。
【0026】
第3の配信情報検索部39cは送信要求受信部38により受信された送信要求に含まれている状態情報が示す判定結果が、「静止中」である旨を示している場合、その状態情報が示す位置の測位結果(緯度、経度)を参照して、利用者の静止位置を特定する処理を実施する。また、配信履歴格納部34により格納されている配信履歴を参照して、その静止位置にある表示装置(例えば、表示装置4)に対して、その状態情報と対応付けられている時刻までに配信が完了している配信情報を検索する処理を実施する。なお、第3の配信情報検索部39cは第3の配信情報検索手段を構成している。
【0027】
配信情報送信部40は中央処理装置302(あるいは、専用のチップ)及び通信インタフェース303から構成されており、配信情報蓄積部31により蓄積されている配信情報の中から、第1の配信情報検索部39a、第2の配信情報検索部39b又は第3の配信情報検索部39cにより検索された配信情報を取得し、その配信情報を例えばインターネット経由で携帯情報端末1に送信する処理を実施する。なお、配信情報送信部40は配信情報送信手段を構成している。
【0028】
図4はこの発明の実施の形態1による携帯情報端末1の状態管理機能の処理内容を示すフローチャートである。
また、図5はこの発明の実施の形態1による携帯情報端末1の移動判定部13の処理内容を示すフローチャートである。
図6はこの発明の実施の形態1による情報配信装置3の処理内容を示すフローチャートである。
【0029】
次に動作について説明する。
ここでは、説明に便宜上、情報配信装置3が配信情報として、広告情報を配信するものについて説明する。ただし、広告情報は一例に過ぎず、広告情報以外の情報(例えば、ニュース)を配信情報としてもよいことは言うまでもない。
【0030】
情報配信装置3の情報配信スケジューラ32は、配信情報蓄積部31に蓄積されている広告情報(配信情報)の中から、予め設定されているスケジュールにしたがって配信対象の広告情報を取得し、例えばインターネット経由で、その広告情報を表示装置4〜7に配信する(図6のステップST31)。
ただし、表示装置4〜7に配信する広告情報は、同一の広告情報であってもよいし、相互に異なる広告情報であってもよい。
表示装置4〜7は、情報配信装置3から配信された広告情報を受信すると、その広告情報をディスプレイに表示する。
配信履歴記録処理部33は、情報配信スケジューラ32が広告情報を配信すると、その広告情報の配信履歴(どの広告情報を、どの表示装置に、いつ配信したかを示す情報)を配信履歴格納部34に記録する(ステップST32)。
【0031】
運行管理サーバ2は、電車やバスなどの各種の交通機関の運行情報(ある時刻における列車の在線位置やバスの運行位置などを示す情報)を管理しており、交通機関の運行情報を情報配信装置3に配信する。
情報配信装置3の運行情報受信部35は、運行管理サーバ2から配信された交通機関の運行情報を受信し、その運行情報を運行情報記録処理部36に出力する。
運行情報記録処理部36は、運行情報受信部35から交通機関の運行情報を受けると、その運行情報を運行情報格納部37に記録する。
【0032】
携帯情報端末1の位置測位部11は、GPS受信機101が複数のGPS衛星から送信されたGPS信号を受信すると、複数のGPS信号を用いて、現在、携帯情報端末1が存在している位置を周期的に測位する(図4のステップST1)。
ただし、位置測位部11は、ジャイロスコープなども実装しており、GPS受信機101がGPS信号を受信することができない環境下にある場合(例えば、利用者が地下街を歩いているような場合や、高いビルの谷間を歩いているような場合)、ジャイロスコープの検出情報や、携帯情報端末1が現在通信している基地局の情報などを利用して、現在の位置を測位することができる。
【0033】
なお、位置を測位する周期は、予め携帯情報端末1に設定された周期であり、利用者が携帯情報端末1の操作キー107を操作することで、適宜、周期を変更できるようにしてもよい。
位置測位部11により測位された位置を示す位置データは、例えば、リングバッファなどの記録媒体(あるいは、図2の内部メモリ105)に格納され(ステップST2)、後述する状態情報記録処理部14により定期的に参照される。
【0034】
加速度測定部12は、携帯情報端末1に内蔵されている3軸加速度センサ102を用いて、三軸の加速度を周期的に測定する(ステップST3)。
三軸の加速度は、移動判定部13が移動中であるか否か等を判定する際に利用する情報であり、その加速度を示す加速度データは、例えば、リングバッファなどの記録媒体(あるいは、図2の内部メモリ105)に格納され(ステップST4)、移動判定部13により参照される。
例えば、移動判定部13が、サンプリング間隔が100msの加速度データを10個用いて(1秒分の加速度データ)、後述する判定処理を実施するように設計されている場合、加速度測定部12は、100msの周期で三軸の加速度を測定する。
なお、加速度データのサンプリング間隔や処理に利用するデータ数は、情報配信装置3の処理性能などを考慮して設計され、必要に応じて変更するようにしてもよい。
【0035】
移動判定部13は、加速度測定部12により一定数の加速度データ(例えば、10個の加速度データ)が得られると(ステップST5)、それらの加速度データを用いて、判定処理を実施する(ステップST6)。
即ち、移動判定部13は、加速度測定部12により測定された三軸の加速度の推移を監視して、利用者が移動中であるのか、静止中であるのかを判定するとともに、利用者が移動中であれば、交通機関の利用を伴う移動であるか否かを判定する。
【0036】
以下、移動判定部13における判定処理の内容を具体的に説明する。
ここでは、説明の便宜上、利用者の状態を「静止中」、「歩行中」、「交通機関による移動中」の3つに分類するものとする。ここでは、3つの状態に分類するものについて説明するが、これは一例に過ぎず、他の状態に分類するようにしてもよい。
なお、詳細は後述するが、三軸の加速度の全てにおいて、変化が少ない場合に「静止中」、一定以上の上下方向の加速度が周期的に現れる場合に「歩行中」、重力加速度方向に垂直な加速度成分(水平方向に近い加速度成分)が増加する場合に「交通機関による移動中」であると判定する。
ただし、移動判定部13が判定処理を行うに際して、利用者による携帯情報端末1の持ち方が不定であることを考慮している(3軸加速度センサ102の取り付け軸と重力方向軸が一致しない場合を考慮している)。
【0037】
まず、移動判定部13は、加速度測定部12により一定数の加速度データが得られると、判定処理を開始し(ここでは、サンプリング周期100msの加速度データが10個得られると判定処理を開始するものとする)、10個の加速度データにおける各成分の平均値を算出する。即ち、10個の加速度データから三軸の成分をそれぞれ取り出して、各成分毎に、10個の加速度の平均値を算出する。
移動判定部13は、各成分の平均値を算出すると、各成分の平均値をベクトル化することで、重力加速度ベクトルを求める(図5のステップST11)。
【0038】
次に、移動判定部13は、最新の加速度データの各成分から、重力加速度ベクトルの各成分を差し引いて、正規化加速度ベクトル(正規化加速度ベクトルの各成分=最新の加速度データの各成分−重力加速度ベクトルの各成分)を求める(ステップST12)。
移動判定部13は、正規化加速度ベクトルを求めると、最新の加速度データが、どれだけ重力方向に影響しているかを調べるために、重力加速度ベクトルと正規化加速度ベクトルの内積を算出する(ステップST13)。
また、移動判定部13は、利用者の運動の有無を調べるために、正規化加速度ベクトルの大きさを算出するとともに、重力加速度ベクトルの大きさを算出する(ステップST14)。
【0039】
次に、移動判定部13は、重力加速度ベクトルと正規化加速度ベクトルの内積と、重力加速度ベクトル及び正規化加速度ベクトルの大きさから、重力加速度ベクトルと正規化加速度ベクトルのなす角度を算出する(ステップST15)。
移動判定部13は、ステップST11〜ステップST15の処理を予め設定された回数N(例えば、N=10回)だけ繰り返し実施し(ステップST16)、ステップST11〜ステップST15の処理をN回行うと、ステップST17の処理に移行して判定処理を実施する。
ただし、回数Nは、情報配信装置3の処理性能などを考慮して設計され、必要に応じて変更するようにしてもよい。
【0040】
移動判定部13は、ステップST11〜ステップST15の処理をN回(例えば、N=10回)行うと、正規化加速度ベクトルの大きさを示す算出結果がN個得られているので、N個の算出結果を所定の閾値A(閾値Aは、例えば、3軸加速度センサ102の性能や検知範囲などに応じて適宜設定されているものとする)と比較する。
このとき、移動判定部13は、N個の算出結果の中で、閾値A以下の算出結果がC個(例えば、C=7)未満であれば(ステップST17)、三軸の加速度の全てにおいて、変化が少ないので、利用者は「静止中」であると判定する(ステップST18)。
【0041】
移動判定部13は、閾値Aを越える算出結果がC個(例えば、C=7)以上であれば(ステップST17)、利用者は「移動中」であると判定し、利用者の移動手段を特定するため、N回算出している重力加速度ベクトルと正規化加速度ベクトルの内積の中で、最大の内積と最小の内積を特定し、最大の内積と最小の内積との差分を算出する。
そして、移動判定部13は、最大の内積と最小の内積との差分を所定の閾値B(閾値Bは、例えば、3軸加速度センサ102の性能や検知範囲などに応じて適宜設定されているものとする)と比較する。
このとき、移動判定部13は、最大の内積と最小の内積との差分が閾値Bを越える場合(ステップST19)、一定以上の上下方向の加速度が周期的に現れているので、利用者は「歩行中」であると判定する(ステップST20)。
【0042】
移動判定部13は、最大の内積と最小の内積との差分が閾値Bを越えていない場合(ステップST19)、N回算出している重力加速度ベクトルと正規化加速度ベクトルのなす角度の平均値を算出し、なす角度の平均値が90度±α度(α度は、例えば、3軸加速度センサ102の性能に応じて適宜設定されているものとする)の範囲内であるか否かを判定する。
このとき、移動判定部13は、なす角度の平均値が90度±α度の範囲内であれば、利用者の水平方向の加速度が増加しており、「交通機関による移動中」である可能性が高いので、最新の重力加速度ベクトルと正規化加速度ベクトルの内積が所定の閾値D(閾値Dは、例えば、3軸加速度センサ102の性能や検知範囲などに応じて適宜設定されているものとする)未満であり、かつ、最新の正規化加速度ベクトルの大きさが所定の閾値E(閾値Eは、例えば、3軸加速度センサ102の性能や検知範囲などに応じて適宜設定されているものとする)未満であれば(ステップST21)、「交通機関による移動中」であると判定する(ステップST22)。
【0043】
一方、なす角度の平均値が90度±α度の範囲内でない場合、あるいは、最新の重力加速度ベクトルと正規化加速度ベクトルの内積が閾値D以上である場合、あるいは、最新の正規化加速度ベクトルの大きさが閾値Eである場合、前回の判定結果を踏襲する(ステップST23)。
即ち、前回の判定結果が「静止中」であれば、今回の判定結果も「静止中」とし、前回の判定結果が「歩行中」であれば、今回の判定結果も「歩行中」とし、前回の判定結果が「交通機関による移動中」であれば、今回の判定結果も「交通機関による移動中」とする。
【0044】
ここでは、移動判定部13が上記の判定処理を実施して、利用者の状態を判定するものについて示したが、例えば、位置測位部11により測位される位置の変化から、移動者の移動量と速度を算出し、その移動量と速度を用いて、利用者の状態の判定結果を補正するようにしてもよい。
このとき、GPS信号の測位品質パラメータ(GPS信号による測位品質を示す情報)を参照することで、例えば、補正前の判定結果と補正後の判定結果のうち、より正しい可能性がある判定結果を選択するようにしてもよい。
例えば、GPS信号の測位品質パラメータが「最良」又は「良」であれば、補正後の判定結果を選択し、「最良」又は「良」以外であれば、補正前の判定結果を選択する。
【0045】
携帯情報端末1の状態情報記録処理部14は、移動判定部13の判定処理が終了すると、図7に示すように、移動判定部13の判定結果(利用者の状態:「静止中」、「歩行中」、「交通機関による移動中」)、位置測位部11の測位結果(緯度、経度)及びGPS信号の測位品質を状態情報として、その状態情報を時刻(携帯情報端末1のクロック104が示す時刻)と対応付けて、状態情報格納部15に記録する(図5のステップST7)。
【0046】
携帯情報端末1の一覧表表示部16は、状態情報格納部15により格納されている図7の状態情報を参照して、移動判定部13の判定結果の中で、同一の判定結果が連続している時間帯(同一の状態が連続している時間帯)を特定する。即ち、「静止中」が連続している時間帯、「歩行中」が連続している時間帯、「交通機関による移動中」が連続している時間帯を特定する。
一覧表表示部16は、同一の判定結果が連続している時間帯(同一の状態が連続している時間帯)を特定すると、同一の状態が連続している時間帯の判定結果をグルーピングする。即ち、「静止中」が連続している時間帯の判定結果をグルーピングし、「歩行中」が連続している時間帯の判定結果をグルーピングし、「交通機関による移動中」が連続している時間帯の判定結果をグルーピングする。
【0047】
ただし、同一の状態が連続している時間帯の判定結果をグルーピングする際、例えば、利用者が交通機関を利用して移動しているとき、微小時間だけ「歩行中」である旨を示す判定結果や「静止中」である旨を示す判定結果が、「交通機関による移動中」である旨を示す判定結果の間に含まれている場合、「歩行中」である旨を示す判定結果や「静止中」である旨を示す判定結果は誤検知であると考えて、「歩行中」である旨を示す判定結果や「静止中」である旨を示す判定結果を「交通機関による移動中」である旨を示す判定結果に集約するなどの整合性チェック処理を行うようにしてもよい。
【0048】
一覧表表示部16は、同一の状態が連続している時間帯の判定結果をグルーピングすると、各時間帯における移動判定部13の判定結果を示す一覧表を表示する。
ここで、図8は各時間帯における移動判定部13の判定結果を示す一覧表の一例を示す説明図である。
図8の例では、「2009/8/16 10:00〜10:07」は「交通機関による移動中」であり、「2009/8/16 10:08〜10:25」は「歩行中」であり、「2009/8/16 10:26〜11:55」は「静止中」であり、「2009/8/16 11:56〜12:10」は「歩行中」である旨を示している。
【0049】
なお、一覧表表示部16による一覧表の表示処理は、利用者が携帯情報端末1の操作キー107を操作して、例えば、一覧表の表示メニューが選択されたとき、あるいは、予め一覧表の表示処理が割り付けられている操作キー107が押されたときに起動されて、一覧表を表示する。
ここでは、各時間帯における移動判定部13の判定結果を表示しているが、例えば、GPS信号を利用して所在地が検索されている場合には、その検索結果を移動判定部13の判定結果と一緒に表示するようにしてもよい。
また、移動判定部13の判定結果が「交通機関による移動中」である場合には、予め情報配信サーバ3に問い合わせを実施して、交通機関の路線名や上り下り種別や走行駅間の情報を移動判定部13の判定結果と一緒に表示するようにしてもよい。
【0050】
選択受付部17は、一覧表表示部16により表示されている一覧表を見ている利用者が、操作キー107を操作して、一覧表の中から、所望の時間帯を指定すると、その時間帯の選択を受け付けて、その選択情報を送信要求送信部18に出力する。
送信要求送信部18は、選択受付部17から選択情報を受けると、状態情報格納部15により格納されている状態情報の中から、その選択情報が示す時間帯内の状態情報を取得する。
例えば、利用者が「2009/8/16 10:08〜10:25」の時間帯を選択すると、「2009/8/16 10:08〜10:25」の時間帯内の状態情報(「歩行中」である旨を示す判定結果や、位置情報(緯度、経度))を取得する。
送信要求送信部18は、選択情報が示す時間帯内の状態情報を取得すると、その状態情報を含む配信情報の送信要求を例えばインターネット経由で情報配信装置3に送信する。
【0051】
情報配信装置3の送信要求受信部38は、携帯情報端末1の送信要求送信部18から送信された配信情報の送信要求を受信し(図6のステップST33)、その送信要求を配信情報検索処理部39に出力する。
配信情報検索処理部39は、送信要求受信部38から配信情報の送信要求を受けると、その送信要求に対応する広告情報(配信情報)を検索する。
具体的には、配信情報検索処理部39における配信情報検索部39a,39b,39cが、以下に示すようにして、送信要求に対応する広告情報を検索する。
【0052】
第1の配信情報検索部39aは、送信要求受信部38により受信された送信要求に含まれている状態情報が示す判定結果が、「交通機関による移動中」である旨を示している場合(ステップST34)、その状態情報と対応付けられている時刻と、その状態情報が示す位置の測位結果(緯度、経度)と、運行情報格納部37により格納されている交通機関の運行情報とを参照して、利用者が利用している交通機関を特定する(ステップST35)。
即ち、第1の配信情報検索部39aは、送信要求に含まれている状態情報が示す判定結果が、「交通機関による移動中」である旨を示している場合、その状態情報が示す位置の測位結果(緯度、経度)から利用者の移動経路を特定し、交通機関の路線情報(路線情報は、予めハードディスク301に記憶されているものとする)が示す路線の中で、その移動経路と一致する交通機関の路線を検索する。
第1の配信情報検索部39aは、交通機関の路線を検索すると、その状態情報と対応付けられている時刻と位置の測位結果(緯度、経度)を、その路線に係る運行情報(ある時刻における列車の在線位置やバスの運行位置などを示す情報)と対比することで、利用者が乗車している列車やバスなどの交通機関を特定する(例えば、列車番号、バス番号を特定する)。
【0053】
第1の配信情報検索部39aは、利用者が乗車している列車やバスなどの交通機関を特定すると、配信履歴格納部34により格納されている配信履歴を参照して、その列車やバスなどの交通機関の内部に設置されている表示装置7に対して、その状態情報と対応付けられている時刻までに配信が完了している広告情報を検索する(ステップST36)。
また、利用者が乗車している列車やバス等の沿線にある表示装置4(列車やバス等の内部から見える位置に設置されている表示装置)に対して、その状態情報と対応付けられている時刻までに配信が完了している広告情報を検索する(ステップST36)。
【0054】
第2の配信情報検索部39bは、送信要求受信部38により受信された送信要求に含まれている状態情報が示す判定結果が、「歩行中」である旨を示している場合(ステップST37)、その状態情報が示す位置の測位結果(緯度、経度)を参照して、利用者の移動経路を特定する(ステップST38)。
第2の配信情報検索部39bは、利用者の移動経路を特定すると、配信履歴格納部34により格納されている配信履歴を参照して、その移動経路にある表示装置(例えば、表示装置4,5,6)に対して、その状態情報と対応付けられている時刻までに配信が完了している広告情報を検索する(ステップST39)。
【0055】
第3の配信情報検索部39cは、送信要求受信部38により受信された送信要求に含まれている状態情報が示す判定結果が、「静止中」である旨を示している場合(ステップST40)、その状態情報が示す位置の測位結果(緯度、経度)を参照して、利用者の静止位置を特定する(ステップST41)。
第3の配信情報検索部39cは、利用者の静止位置を特定すると、配信履歴格納部34により格納されている配信履歴を参照して、その静止位置にある表示装置(例えば、表示装置4)に対して、その状態情報と対応付けられている時刻までに配信が完了している広告情報を検索する(ステップST42)。
【0056】
ここでは、第1の配信情報検索部39a、第2の配信情報検索部39b及び第3の配信情報検索部39cが、状態情報と対応付けられている時刻までに配信が完了している広告情報を検索するものについて示したが、状態情報と対応付けられている時刻までに配信が完了している広告情報が複数存在している場合、その時刻において、表示装置が、いずれの広告情報を表示しているのかは不明であるため、複数の広告情報を検索する。
ただし、表示装置が、常に最新の広告情報を表示するように設定されているような場合には、複数の広告情報の中で、最新の広告情報(配信時刻が最も遅い広告情報)を検索する。
【0057】
配信情報送信部40は、第1の配信情報検索部39a、第2の配信情報検索部39b又は第3の配信情報検索部39cが広告情報を検索すると、配信情報蓄積部31により蓄積されている広告情報の中から、第1の配信情報検索部39a、第2の配信情報検索部39b又は第3の配信情報検索部39cにより検索された広告情報を取得する(ステップST43)。
そして、配信情報送信部40は、例えば、その広告情報をHTMLなどの形式を用いてレイアウティングし、レイアウティング後の広告情報を例えばインターネット経由で携帯情報端末1に送信する(ステップST44)。
【0058】
なお、配信情報送信部40は、第1の配信情報検索部39a、第2の配信情報検索部39b又は第3の配信情報検索部39cにより複数の広告情報が検索された場合、配信情報蓄積部31により蓄積されている広告情報の中から、複数の検索結果に対応する複数の広告情報を取得して、携帯情報端末1に送信するが、その際、予め設定されている優先度が高い広告情報から順番に携帯情報端末1に送信する。
広告情報の優先度は、例えば、広告料金などを考慮して設定されることが想定されるが、必要に応じて適宜変更するようにしてもよい。
【0059】
携帯情報端末1の配信情報受信部19は、情報配信装置3から送信要求に伴って送信された広告情報(レイアウティング後の広告情報)を受信する。
配信情報表示部20は、配信情報受信部19が広告情報を受信すると、一般的なHTMLビューワによって、その広告情報をディスプレイ106に表示する。
ここで、図9は広告情報の表示例を示す説明図である。
図9の例では、文字のみで構成されている広告情報を表示しているが、図や写真やビデオなど含む広告情報を表示するようにしてもよい。
【0060】
以上で明らかなように、この実施の形態1によれば、携帯情報端末1が、加速度測定部12により測定された三軸の加速度の推移を監視して、利用者が移動中であるか否かを判定するとともに、利用者が移動中であれば、交通機関の利用を伴う移動であるか否かを判定する移動判定部13と、移動判定部13の判定結果及び位置測位部11の測位結果を示す状態情報を時刻と対応付けて状態情報格納部15に記録する状態情報記録処理部14と、状態情報格納部15により格納されている状態情報を参照して、移動判定部13の判定結果の中で、同一の判定結果が連続している時間帯を特定し、各時間帯における移動判定部13の判定結果を示す一覧表を表示する一覧表表示部16と、一覧表表示部16により表示されている一覧表の中から、所望の時間帯の選択を受け付ける選択受付部17と、状態情報格納部15により格納されている状態情報の中から、選択受付部17により選択が受け付けられた時間帯内の状態情報を取得し、その状態情報を含む配信情報の送信要求を情報配信装置3に送信する送信要求送信部18とを設け、配信情報表示部20が配信情報受信部19により受信された送信要求に係る配信情報を表示するように構成したので、利用者が、表示装置4〜7が設置されている位置を示す位置情報や、配信情報が表示されている時刻を示す時刻情報を取得して記録するなどの煩雑な操作を行うことなく、表示装置4〜7が設置されている場所を去った後でも、その表示装置4〜7に配信されている配信情報を取得して確認することができる効果を奏する。
【0061】
この実施の形態1によれば、情報配信装置3が、携帯情報端末1の送信要求送信部18から送信された配信情報の送信要求に含まれている状態情報が示す判定結果が、利用者が交通機関の利用を伴って移動している旨を示している場合、その状態情報と対応付けられている時刻と状態情報が示す位置の測位結果を参照して、利用者が利用している交通機関を特定するとともに、配信履歴格納部34により格納されている配信履歴を参照して、交通機関内の表示装置7又は交通機関の沿線にある表示装置4に対して、その時刻までに配信が完了している配信情報を検索する第1の配信情報検索部39aと、その状態情報が示す判定結果が、利用者が交通機関の利用を伴わずに移動している旨を示している場合、その状態情報が示す位置の測位結果を参照して、利用者の移動経路を特定するとともに、その配信履歴を参照して、移動経路にある表示装置に対して、その状態情報と対応付けられている時刻までに配信が完了している配信情報を検索する第2の配信情報検索部39bと、その状態情報が示す判定結果が、利用者が移動していない旨を示している場合、その状態情報が示す位置の測位結果を参照して、利用者の静止位置を特定するとともに、その配信履歴を参照して、静止位置にある表示装置に対して、その状態情報と対応付けられている時刻までに配信が完了している配信情報を検索する第3の配信情報検索部39cとを設け、配信情報送信部40が、配信情報蓄積部31により蓄積されている配信情報の中から、第1の配信情報検索部39a、第2の配信情報検索部39b又は第3の配信情報検索部39cにより検索された配信情報を取得して、その配信情報を携帯情報端末1に送信するように構成したので、利用者が見ている可能性が高い配信情報を携帯情報端末1に送信することができる効果を奏する。
【0062】
また、この実施の形態1によれば、配信情報送信部40が、第1の配信情報検索部39a、第2の配信情報検索部39b又は第3の配信情報検索部39cにより複数の配信情報が検索された場合、優先度が高い配信情報から順番に携帯情報端末1に送信するように構成したので、例えば、広告価値が高い配信情報を優先的に送信することができる効果を奏する。
なお、携帯情報端末1の送信要求送信部18が配信情報の送信要求を情報配信装置3に送信する際、例えば、利用者の性別や年齢などを示す属性情報を情報配信装置3に送信し、情報配信装置3の配信情報送信部40が、その属性情報に応じて複数の配信情報の送信順序を適宜変更するようにしてもよい。
【0063】
この実施の形態1によれば、配信情報検索部39a,39b,39cが、状態情報と対応付けられている時刻までに配信が完了している配信情報が複数存在する場合、最新の配信情報を検索するように構成したので、利用者が見ている可能性が高い配信情報を携帯情報端末1に送信することができる効果を奏する。
【0064】
実施の形態2.
上記実施の形態1では、配信情報送信部40が、第1の配信情報検索部39a、第2の配信情報検索部39b又は第3の配信情報検索部39cにより検索された配信情報を携帯情報端末1に送信するものについて示したが、その配信情報を携帯情報端末1に送信する際、例えば、配信情報に掲載している広告商品の購入サイトに対するリンクや、その配信情報に関する詳細情報を示す情報サイトに対するリンク(図9を参照)を当該配信情報に含めて送信するようにしてもよい。
これにより、利用者は、リンクをクリックするだけで、広告商品の購入サイトや、詳細情報を示す情報サイトを表示することができるので、簡単に広告商品を購入することができるとともに、簡単に広告商品の詳細な情報を知ることができる効果を奏する。
【0065】
このように、購入サイトや情報サイトに対するリンクを配信情報に含めて送信するようにする場合、購入サイトや情報サイトに対する携帯情報端末1のアクセス回数をカウントするカウント手段を情報配信装置3が実装するようにしてもよい。
例えば、情報配信装置3の配信情報送信部40が、CGI(Common Gateway Interface)やASP(Active Server Pages)で実現されているパラメータを含むリンクを設定するようにして、一旦、情報配信サーバ3が、購入サイトや情報サイトに対する携帯情報端末1からのアクセス要求を受信するようにすれば、購入サイトや情報サイトに対する携帯情報端末1のアクセス回数をカウントするカウント手段を構成することができる。
また、利用者が購入サイトで広告商品を購入した場合、購入サイトの運営者又は携帯情報端末1が、広告商品が購入された旨を示す購入完了情報を情報配信装置3に送信するようにすれば、情報配信装置3側では、情報検索から購入実績までをカウントすることが可能になる。この方法を用いると、広告などの提供情報により、どれだけの効果があったかを知ることができるようになる。
【符号の説明】
【0066】
1 携帯情報端末、2 運行管理サーバ、3 情報配信装置、4〜7 表示装置、11 位置測位部(位置測位手段)、12 加速度測定部(加速度測定手段)、13 移動判定部(移動判定手段)、14 状態情報記録処理部(状態情報管理手段)、15 状態情報格納部(状態情報管理手段)、16 一覧表表示部(一覧表表示手段)、17 選択受付部(選択受付手段)、18 送信要求送信部(送信要求送信手段)、19 配信情報受信部(配信情報受信手段)、20 配信情報表示部(配信情報表示手段)、31 配信情報蓄積部(配信情報蓄積手段)、32 情報配信スケジューラ(情報配信手段)、33 配信履歴記録処理部(配信履歴管理手段)、34 配信履歴格納部(配信履歴管理手段)、35 運行情報受信部、36 運行情報記録処理部、37 運行情報格納部、38 送信要求受信部(送信要求受信手段)、39 配信情報検索処理部、39a 第1の配信情報検索部(第1の配信情報検索手段)、39b 第2の配信情報検索部(第2の配信情報検索手段)、39c 第3の配信情報検索部(第3の配信情報検索手段)、40 配信情報送信部(配信情報送信手段)、101 GPS受信機、102 3軸加速度センサ、103 中央処理装置、104 クロック、105 内部メモリ、106 ディスプレイ、107 操作キー、108 信号入力インタフェース、109 通信インタフェース、301 ハードディスク、302 中央処理装置、303 通信インタフェース。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現在の位置を周期的に測位する位置測位手段と、三軸の加速度を周期的に測定する加速度測定手段と、上記加速度測定手段により測定された三軸の加速度の推移を監視して、利用者が移動中であるか否かを判定するとともに、利用者が移動中であれば、交通機関の利用を伴う移動であるか否かを判定する移動判定手段と、上記移動判定手段の判定結果及び上記位置測位手段の測位結果を示す状態情報を時刻と対応付けて管理する状態情報管理手段と、上記状態情報管理手段により管理されている状態情報を参照して、上記移動判定手段の判定結果の中で、同一の判定結果が連続している時間帯を特定し、各時間帯における上記移動判定手段の判定結果を示す一覧表を表示する一覧表表示手段と、上記一覧表表示手段により表示されている一覧表の中から、所望の時間帯の選択を受け付ける選択受付手段と、上記状態情報管理手段により管理されている状態情報の中から、上記選択受付手段により選択が受け付けられた時間帯内の状態情報を取得し、上記状態情報を含む配信情報の送信要求を情報配信装置に送信する送信要求送信手段と、上記情報配信装置から上記送信要求に伴って送信された配信情報を受信する配信情報受信手段と、上記配信情報受信手段により受信された配信情報を表示する配信情報表示手段とを備えた携帯情報端末。
【請求項2】
配信情報を蓄積する配信情報蓄積手段と、上記配信情報蓄積手段により蓄積されている配信情報を少なくとも1以上の表示装置に配信する情報配信手段と、上記情報配信手段により過去に配信された配信情報の配信履歴を管理する配信履歴管理手段と、携帯情報端末から送信された配信情報の送信要求を受信する送信要求受信手段と、上記送信要求受信手段により受信された送信要求に含まれている状態情報が示す判定結果が、利用者が交通機関の利用を伴って移動している旨を示している場合、上記状態情報と対応付けられている時刻と上記状態情報が示す位置の測位結果を参照して、利用者が利用している交通機関を特定するとともに、上記配信履歴管理手段により管理されている配信履歴を参照して、上記交通機関内の表示装置又は上記交通機関の沿線にある表示装置に対して、上記時刻までに配信が完了している配信情報を検索する第1の配信情報検索手段と、上記状態情報が示す判定結果が、利用者が交通機関の利用を伴わずに移動している旨を示している場合、上記状態情報が示す位置の測位結果を参照して、利用者の移動経路を特定するとともに、上記配信履歴を参照して、上記移動経路にある表示装置に対して、上記状態情報と対応付けられている時刻までに配信が完了している配信情報を検索する第2の配信情報検索手段と、上記状態情報が示す判定結果が、利用者が移動していない旨を示している場合、上記状態情報が示す位置の測位結果を参照して、利用者の静止位置を特定するとともに、上記配信履歴を参照して、上記静止位置にある表示装置に対して、上記状態情報と対応付けられている時刻までに配信が完了している配信情報を検索する第3の配信情報検索手段と、上記配信情報蓄積手段により蓄積されている配信情報の中から、上記第1、第2又は第3の配信情報検索手段により検索された配信情報を取得し、上記配信情報を上記携帯情報端末に送信する配信情報送信手段とを備えた情報配信装置。
【請求項3】
配信情報送信手段は、第1、第2又は第3の配信情報検索手段により複数の配信情報が検索された場合、優先度が高い配信情報から順番に携帯情報端末に送信することを特徴とする請求項2記載の情報配信装置。
【請求項4】
第1、第2及び第3の配信情報検索手段は、状態情報と対応付けられている時刻までに配信が完了している配信情報が複数存在する場合、最新の配信情報を検索することを特徴とする請求項2記載の情報配信装置。
【請求項5】
配信情報送信手段は、第1、第2又は第3の配信情報検索手段により検索された配信情報を携帯情報端末に送信する際、上記配信情報に掲載されている広告商品の購入サイトに対するリンク又は上記配信情報に関する詳細情報を示す情報サイトに対するリンクを上記配信情報に含めて送信することを特徴とする請求項2から請求項4のうちのいずれか1項記載の情報配信装置。
【請求項6】
購入サイト又は情報サイトに対する携帯情報端末のアクセス回数をカウントするカウント手段を設けたことを特徴とする請求項5記載の情報配信装置。
【請求項7】
携帯情報端末と情報配信装置から構成されている情報配信システムにおいて、
上記携帯情報端末は、現在の位置を周期的に測位する位置測位手段と、三軸の加速度を周期的に測定する加速度測定手段と、上記加速度測定手段により測定された三軸の加速度の推移を監視して、利用者が移動中であるか否かを判定するとともに、利用者が移動中であれば、交通機関の利用を伴う移動であるか否かを判定する移動判定手段と、上記移動判定手段の判定結果及び上記位置測位手段の測位結果を示す状態情報を時刻と対応付けて管理する状態情報管理手段と、上記状態情報管理手段により管理されている状態情報を参照して、上記移動判定手段の判定結果の中で、同一の判定結果が連続している時間帯を特定し、各時間帯における上記移動判定手段の判定結果を示す一覧表を表示する一覧表表示手段と、上記一覧表表示手段により表示されている一覧表の中から、所望の時間帯の選択を受け付ける選択受付手段と、上記状態情報管理手段により管理されている状態情報の中から、上記選択受付手段により選択が受け付けられた時間帯内の状態情報を取得し、上記状態情報を含む配信情報の送信要求を上記情報配信装置に送信する送信要求送信手段と、上記情報配信装置から上記送信要求に伴って送信された配信情報を受信する配信情報受信手段と、上記配信情報受信手段により受信された配信情報を表示する配信情報表示手段とを備えており、
上記情報配信装置は、配信情報を蓄積する配信情報蓄積手段と、上記配信情報蓄積手段により蓄積されている配信情報を少なくとも1以上の表示装置に配信する情報配信手段と、上記情報配信手段により過去に配信された配信情報の配信履歴を管理する配信履歴管理手段と、上記携帯情報端末の送信要求送信手段から送信された配信情報の送信要求を受信する送信要求受信手段と、上記送信要求受信手段により受信された送信要求に含まれている状態情報が示す判定結果が、利用者が交通機関の利用を伴って移動している旨を示している場合、上記状態情報と対応付けられている時刻と上記状態情報が示す位置の測位結果を参照して、利用者が利用している交通機関を特定するとともに、上記配信履歴管理手段により管理されている配信履歴を参照して、上記交通機関内の表示装置又は上記交通機関の沿線にある表示装置に対して、上記時刻までに配信が完了している配信情報を検索する第1の配信情報検索手段と、上記状態情報が示す判定結果が、利用者が交通機関の利用を伴わずに移動している旨を示している場合、上記状態情報が示す位置の測位結果を参照して、利用者の移動経路を特定するとともに、上記配信履歴を参照して、上記移動経路にある表示装置に対して、上記状態情報と対応付けられている時刻までに配信が完了している配信情報を検索する第2の配信情報検索手段と、上記状態情報が示す判定結果が、利用者が移動していない旨を示している場合、上記状態情報が示す位置の測位結果を参照して、利用者の静止位置を特定するとともに、上記配信履歴を参照して、上記静止位置にある表示装置に対して、上記状態情報と対応付けられている時刻までに配信が完了している配信情報を検索する第3の配信情報検索手段と、上記配信情報蓄積手段により蓄積されている配信情報の中から、上記第1、第2又は第3の配信情報検索手段により検索された配信情報を取得し、上記配信情報を上記携帯情報端末に送信する配信情報送信手段とを備えていることを特徴とする情報配信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−97427(P2011−97427A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−250590(P2009−250590)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】