説明

携帯情報端末

【課題】 本発明は、携帯情報端末の把持構造に関し、より詳細には携帯情報端末の背面に支持棒を備え、携帯情報端末の把持の際に支持棒に指を絡めて把持を補助する携帯情報端末に関するものである。
【解決手段】 本発明は筐体の背面に所定の開口寸法に凹設した収納部と、その開口寸法に嵌合する寸法の支持棒とを備え、支持棒の一端は収納部の上下左右いずれかの縁部に設けた一対の軸支部と軸支され、支持棒の他の一端を押し込んで収納されると共に、収納の状態から支持棒の他の一端を持ち上げ所定角度に開き支持棒を補助として把持される、ことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯情報端末の把持構造に関し、より詳細には携帯情報端末の背面に支持棒を備え、携帯情報端末の把持の際に支持棒に指を絡めて把持を補助する携帯情報端末に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スケジュール管理や住所録、メモ帳などの個人情報管理からスタートしたPDA(Personal Digital Assistants)は、最近ではインターネットへの接続やGPSによるナビゲーション、ワンセグに対応したTV観覧等も可能となっている。さらには、携帯電話とパソコンの機能をドッキングさせたものも現われ、ホストコンピュータとのデータの送受信がより簡便に行なわれるようになってきた。このため、従来の個人管理としてのツールに加えてビジネス面での利用が拡がりつつある。このような端末をここでは携帯情報端末と称することにする。
【0003】
図4に示す携帯情報端末10は一般的なPDAの従来例であり、正面(前面)には液晶ディスプレイによる表示部20とアプリケーションの呼び出しボタンやカーソルボタンなどからなる操作部30が配置され、背面(裏面)は特になにも配置していない(内蔵スピーカやデジタルカメラのレンズを搭載している場合もある)。図4に示す外形寸法は縦118mm、横幅73mmである。このように横幅の広い携帯情報端末10を両手で操作する場合は、図5(a)に示すように一方の手の掌を携帯情報端末の背面全体を覆うようにして把持し、もう一方の手で操作部のボタンを操作する。この場合は、特に問題はない。しかし、一方の手に何かを持つなどして片手操作を行なう場合は、携帯情報端末10は安定に把持されず操作は不確かにものに成り易い。即ち、図5(b)に示すように携帯情報端末10の背面を人指し指以下の4本の指で支持しながら親指で操作部30のボタンを操作することになるからである。携帯電話ではこの横幅が狭いためこの片手操作が当たり前に行なわれているが、ここに示す携帯情報端末10のように横幅が広い場合の片手操作は困難を伴う。
【0004】
本発明は、後述するように携帯情報端末の背面に把持するための支持棒を備えるものであるが、これとは異なる目的で背面に支持物を備える提案がなされている。例えば、情報処理装置の放熱を増大させるために情報処理装置の背面にスタンドを設け、そのスタンドを立てることにより筐体の底面と卓上面との間に空間を形成する構造が提案されている(特許文献1)。
【0005】
あるいは、携帯用電子機器の操作パネルの操作がしやすいように所望の載置面に携帯用電子機器を傾斜した状態で保持するための傾斜脚を備える構造が提案されている(特許文献2)。
【特許文献1】特開2003−58283号公報
【特許文献2】特開2000−200117号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記に述べたように、横幅の広い携帯情報端末を片手で操作しようとすると携帯情報端末は安定した状態で把持されず、親指での操作は不確かなものになってしまう問題があった。
【0007】
本発明は、携帯情報端末の背面に支持棒を備え、その支持棒に指を絡ませて携帯情報端末を把持することにより安定した把持が得られ、片手操作を確実に行なえる携帯情報端末を提供することを目的とする。
【0008】
特許文献1および特許文献2で提案された方法は、卓上面に情報処理装置あるいは電子機器を傾斜させて保持する方法であり、片手操作における把持を安定にするものではない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の携帯情報端末は以下のように構成される。
(1)第1の発明
第1の発明の携帯情報端末は、筐体の前面に表示部と操作部を有するものであり、その筐体の背面に所定の開口寸法に凹設した収納部と、その開口寸法に嵌合する寸法の支持棒とを備えている。そして、その支持棒の一端は収納部の上下左右いずれかの縁部に設けた一対の軸支部と軸支され、支持棒の他の一端を収納部に押し込んで収納されると共に、収納の状態から支持棒の他の一端を持ち上げ所定角度に開き支持棒が補助として把持される、ことを特徴とする。即ち、携帯情報端末の背面に設けた支持棒は、その一端が筐体の収納部に形成した軸支部に軸支され、他の一端を押し込めば収納部に収納され、その一端を持ち上げれば支持棒が開き突き出す構造になっている。
【0010】
上記の構成により、筐体の背面に突き出した支持棒に指を絡ませて携帯情報端末を把持すれば携帯情報端末は安定し、確実な片手操作ができる。
(2)第2の発明
第2の発明は、第1の発明における携帯情報端末の背面に形成した収納部の軸支部近傍に所定形状の凸部または凹部の嵌合部を形成し、支持棒が軸支される一端の近傍に凸部または凹部に対応して嵌合する形状の被嵌合部を形成し、支持棒を所定角度に開いたときに嵌合部と被嵌合部が嵌合して開いた状態を保持する、ことを特徴とする。
【0011】
上記により、支持棒を開いて筐体の背面に突き出した状態にしたとき、所定角度で支持棒を固定できる。
(3)第3の発明
第3の発明は、第1と第2の発明における携帯情報端末の背面に形成した収納部の一対の軸支部が設けられた縁部と反対の縁部の位置に所定形状の凸部または凹部の嵌合部を形成し、支持棒が軸支されない他の一端の近傍に凸部または凹部に対応して嵌合する形状の被嵌合部を形成し、支持棒を折り畳んで収納部に収納したときに嵌合部と被嵌合部が嵌合して収納状態を保持する、ことを特徴とする。
【0012】
上記により、支持棒を閉じて収納部に収納したとき、支持棒は収納部に固定できる。
【発明の効果】
【0013】
上述のように本発明によれば、次に示す効果が得られる。
【0014】
第1の発明により、携帯情報端末の背面に突き出した状態の支持棒に指を絡ませて携帯情報端末を把持できるため把持が安定し、片手操作が可能となる携帯情報端末の提供ができる。
【0015】
第2の発明により、支持棒を開いた状態で固定できるので、把持がやり易い携帯情報端末の提供ができる。
【0016】
第3の発明により、支持棒を収納部に収納した状態で固定できるので、携帯時に支持棒が開くことなく携帯がやり易い携帯情報端末の提供ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
携帯情報端末の実施形態を、図1から図3を用いて説明する。
【0018】
図1は携帯情報端末100の筐体背面に形成した収納部200と支持棒300の構成を示すものである。図1(a)は支持棒300を収納部200に折り畳み収納した状態を示しており、左側が携帯情報端末100の筐体背面を正面に捉えて見た図で、右側は側面から見た図である。収納部200は筐体の背面を凹形状に形成し、収納部200の下方の位置に後述する軸支部を形成している。支持棒300は、収納部200の形状に納まる外形寸法で下方の端部は収納部200の軸支部に軸支されている。支持棒300の上方の端部はフリーで、支持棒300を開く場合にこの部分が利用者の指で持ち上げられることになる。このため、収納部200の上方と支持棒300の上方の間は指が差し込まれるので空間を形成している。
【0019】
支持棒300の寸法は例えば長さ30mm、幅10mm、厚さ5mmで、材質は例えばABS樹脂である。
【0020】
図1(b)は、図1(a)の状態から支持棒300を開いた状態を示している。上述したように、支持棒300は収納部200の下部で軸支されているので、上方の端部を持ち上げることにより開くことができる。図では支持棒300は約90度に開いた状態にある。
【0021】
図1において支持棒300は収納部200の下方で軸支される例を示したが、これが収納部200の上方で軸支されるものであってもよく、さらには収納部200の右方または左方で軸支されるものであってもよい。
【0022】
図2は開いた支持棒300を固定したり、収納した支持棒300を収納の状態に固定する例を説明する図で、図1で示した携帯情報端末100を横向きに倒した図で説明する。
【0023】
右下の図は、支持棒300を軸支する構造と支持棒300を開いたとき固定する構造の例を説明する図である。支持棒300の端部には円筒の軸310を一対で形成しておく。この軸310は、次に述べる収納部200の軸支部で軸支され、支持棒300の開閉を可能とするものである。また、その軸310の近傍に凹部320を形成しておく。凹部320は支持棒300を開いたときに開いた位置で固定(ロック)するためのものである。
【0024】
一方、収納部200には支持棒300に形成した軸310を通す溝211を形成する。この溝211は収納部200の底面に向かって傾斜し、溝211の底部が軸支部210となって支持棒300の軸310が納まる形状にしている。そして、軸支部210にある軸310が再び溝211を通って外れないように溝211の底部近傍に突起部212を形成しておく。支持棒300が収納部200に軸支されるよるするには、支持棒300を収納部200の上面の溝211から挿入し、この溝211に従って底面に向かって押し進め、突起部212を越えて溝211の底部まで押し込む。これで、支持棒300は収納部200の軸支部210で軸支されることになる。
【0025】
また、収納部200には軸支した支持棒300が開いた状態で固定できるよう支持棒の凹部320に対応して凸部220を形成しておく。支持棒300が開いた状態で、この凸部220は支持棒300の凹部320と嵌合し、固定状態に保持することができる。図に示す凹部320と凸部220が第2の発明の嵌合部と被嵌合部に相当する。また、凹部320を凸に、凸部220を凹に形成するようにしてもよい。
【0026】
左下の図は、支持棒300を収納したときの収納状態を固定する例で、収納部200には半球の凸部230を形成しておく。そして、支持棒300には、その凸部230に対応する凹部330を形成しておく。支持棒300が利用者の指によって収納部200に押し込まれたとき、この凸部230と凹部330が嵌合し、収納状態を保持する。図に示す凸部230と凹部330が第3の発明の嵌合部と被嵌合部に相当する。また、凸部230を凹に、凹部330を凸に形成するようにしてもよい。
【0027】
支持棒300を開いた状態、あるいは閉じた状態で固定するためにここでは凹凸の突起を用いた構造の例を示したが、この構造に限定するものではない。
【0028】
図3は、本発明の支持棒300を備えた携帯情報端末100の使用の状態を示すものである。開らかれた支持棒300を指で絡めることにより携帯情報端末100は安定した形で把持され、この状態で親指によるボタン操作が確実にできる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明による実施例である。
【図2】支持棒のロック例である。
【図3】支持棒に指を絡め、携帯情報端末を操作する例である。
【図4】従来のPDAの正面と背面例である。
【図5】従来のPDA記使用例である。
【符号の説明】
【0030】
10 携帯情報端末
20 表示部
30 操作部
100 携帯情報端末
200 収納部
210 軸支部
211 溝
212 突起部
220 凸部
230 凸部
300 支持棒
310 軸
320 凹部
330 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体の前面に表示部と操作部を有する携帯情報端末であって、
前記筐体の背面に所定の開口寸法に凹設した収納部と、
前記開口寸法に嵌合する寸法の支持棒とを備え、
前記支持棒の一端は前記収納部の上下左右いずれかの縁部に設けた一対の軸支部と軸支され、該支持棒の他の一端を前記収納部に押し込んで収納されると共に、該収納の状態から該支持棒の他の一端を持ち上げ所定角度に開き該支持棒が補助として把持される
ことを特徴とする携帯情報端末。
【請求項2】
前記収納部の軸支部近傍に所定形状の凸部または凹部の嵌合部を形成し、前記支持棒が軸支される一端の近傍に該凸部または該凹部に対応して嵌合する形状の被嵌合部を形成し、該支持棒を所定角度に開いたときに該嵌合部と該被嵌合部が嵌合して開いた状態を保持する
ことを特徴とする請求項1に記載の携帯情報端末。
【請求項3】
前記収納部の一対の軸支部が設けられた縁部と反対の縁部の位置に所定形状の凸部または凹部の嵌合部を形成し、前記支持棒が軸支されない他の一端の近傍に該凸部または該凹部に対応して嵌合する形状の被嵌合部を形成し、該支持棒を折り畳んで該収納部に収納したときに該嵌合部と該被嵌合部が嵌合して収納状態を保持する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の携帯情報端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−176563(P2008−176563A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−9369(P2007−9369)
【出願日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】