説明

携帯機器用充電装置

【課題】 収容部に収容した携帯機器を確実に充電できる携帯機器用充電装置を提供する。
【解決手段】 傾いた状態で収容部60に差し込まれた携帯機器10が、収容部60の対向壁64と当接壁62とに当接し、携帯機器10の受電端子34が携帯機器用充電装置50の充電電源端子80から離れていたとしても、対向壁64のローラ74と当接壁62のローラ72とにより、傾いた携帯機器10が収容部60の底部69に当接する位置まで自重で下がり、携帯機器10の受電端子34に携帯機器用充電装置50の充電電源端子80が接し、携帯機器10を充電することができるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池で駆動する携帯機器を収容部に収容して充電する携帯機器用充電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
二次電池を搭載する携帯電話、情報コード読取装置等の携帯機器は、充電装置により充電を行いながら使用されている。充電装置には、充電装置側に備えられた収容部に携帯機器を差し込み、携帯機器の受電端子を収容部に設けられた充電電源端子へ接触させる充電方式が広く採用されている。
【0003】
ここで、充電装置側の充電電源端子と携帯機器の受電端子とが適正に接触しない限り、充電が行われないため、例えば、特許文献1等に、充電装置側にガイドリブを設け、携帯機器側に凹部を設け、ガイドリブで凹部を案内することで、充電電源端子に携帯機器の受電端子が適正に接触するようにした構成が示されている。
【特許文献1】特開平8−154342号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術では、例えば、図7に示すように携帯機器110を充電器150の収容部160に収容した状態であっても、携帯機器110の端部が収容部160の側壁164と当接している場合、充電器150側の充電電源端子180に携帯機器110の受電端子134が接触せず、充電が行えない事態が発生する。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、収容部に収容した携帯機器を確実に充電できる携帯機器用充電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、二次電池32で駆動する携帯機器10を充電する携帯機器用充電装置50であって、
前記携帯機器10を収容する開口61を備える収容部60と、
前記収容部60へ延在し、前記携帯機器10の受電端子34に接触する充電電源端子80と、
前記充電電源端子80に電力を供給する充電用電源部82と、を備え、
前記収容部60の前記開口61にローラ74を配置したことを技術的特徴とする。
【0007】
請求項1の携帯機器用充電装置50では、携帯機器10を収容する収容部60の開口61にローラ74を配置してあるため、例え、傾いた状態で収容部60に差し込まれた携帯機器10が、収容部60の開口61と側壁62とに当接し、携帯機器10の受電端子34が携帯機器用充電装置50の充電電源端子80から離れていたとしても、開口61のローラ74により、傾いた携帯機器10が収容部60の底部69に当接する位置まで自重で下がり、携帯機器10の受電端子34に携帯機器用充電装置50の充電電源端子80が接し、携帯機器10を充電することができるようになる。
【0008】
請求項2の発明は、二次電池32で駆動する携帯機器10を充電する携帯機器用充電装置50であって、
前記携帯機器10が傾いた状態で当接する当接壁62と、該当接壁62に対向する対向壁64とを有し、当該携帯機器10を傾斜させた状態で収容する収容部60と、
前記収容部60へ延在し、前記携帯機器10の受電端子34に接触する充電電源端子80と、
前記充電電源端子80に電力を供給する充電用電源部82と、を備え、
前記収容部60の対向壁64の上端部と、前記当接壁62の該対向壁64の上端部よりも低い位置とにローラ72、74をそれぞれ配置したことを技術的特徴とする。
【0009】
請求項2の携帯機器用充電装置50では、携帯機器10を収容する収容部60の対向壁64の上端部と、当接壁62の該対向壁64の上端部よりも低い位置とにローラ72、74を配置してあるため、例え、傾いた状態で収容部60に差し込まれた携帯機器10が、収容部60の対向壁64の上端部と当接壁62の該対向壁64の上端部よりも低い位置とに当接し、携帯機器10の受電端子34が携帯機器用充電装置50の充電電源端子80から離れていたとしても、対向壁64のローラ74と当接壁62のローラ72とにより、傾いた携帯機器10が収容部60の底部69に当接する位置まで自重で下がり、携帯機器10の受電端子34に携帯機器用充電装置50の充電電源端子80が接し、携帯機器10を充電することができるようになる。
【0010】
請求項3の携帯機器用充電装置50では、対向壁64に配置するローラ74R、74Lと、当接壁62に配置するローラ72R、72Lとを水平方向にずらしてそれぞれ複数設けられているので、ローラ72R、72L、74R、74Lと水平方向に傾けいた状態で携帯機器10が収容部60に差し込まれても、複数のローラ72R、72L、74R、74Lが独立して回転可能であるため、水平方向に傾いた携帯機器10が収容部60の底部69に当接する位置まで自重で下がり、携帯機器10の受電端子34に携帯機器用充電装置50の充電電源端子80が接し、携帯機器10を充電することができるようになる。
【0011】
請求項4の携帯機器用充電装置50では、ローラ72、74をローラ軸受77で支承しているので、どの方向に傾けいた状態で携帯機器10が収容部60に差し込まれても、ローラ72、74が自在に回転するため、傾いた携帯機器10が収容部60の底部69に当接する位置まで自重で下がり、携帯機器10の受電端子34に携帯機器用充電装置50の充電電源端子80が接し、携帯機器10を充電することができるようになる。
【0012】
請求項5の携帯機器用充電装置50では、ローラ72A、72B、72C、74A、74B、74Cを垂直方向に対してずらして複数個設けられているので、傾いた状態で収容部60に差し込まれても、携帯機器10が収容部60のいずれかのローラ72A、72B、72C、74A、74B、74Cと当接し、携帯機器10が収容部60の底部69に当接する位置まで自重で下がり、携帯機器10の受電端子34に携帯機器用充電装置50の充電電源端子80が接し、携帯機器10を充電することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
[第1実施形態]
以下、本発明の携帯機器用充電装置の第1実施形態について図を参照して説明する。まず、本実施形態に係る携帯機器用充電装置により充電される情報コード読取装置10の構成概要を図1に基づいて説明する。
図1に示すように、バーコードQを読み取る情報コード読取装置10は、主に、縦長のほぼ矩形箱状なすハウジング11と、このハウジング11内に収容される回路部20と、同じくこのハウジング11内に収容されて回路部20に駆動電力を供給する二次電池32と、により構成されている。
【0014】
ハウジング11は、例えば、ABS樹脂等の合成樹脂からなる成形部品で、その一端側に、ハウジング11の裏面方向に前傾するように「首曲がり形状」をなす読取口11aを備えている。この読取口11aは、後述する回路部20の受光センサ23に入射する入射光を導入可能な開口部である。読取口11aの近傍には、入射光を受光センサ23側に反射する反射鏡26が設けられている。このハウジング11の他端側には、二次電池32を収容する電池ボックス30が着脱自在に取り付けられている。電池ボックス30には、当該二次電池32への充電用の受電端子34が設けられている。ハウジング11の表面側には液晶表示器46を取付可能な開口部も形成されており、情報コード読取装置10の使用者が液晶表示器46に表示する表示内容を視覚的に把握可能に構成している。該液晶表示器46に隣接して操作スイッチ48が設けられている。
【0015】
回路部20は、ハウジング11の内部に収容されているプリント配線板15、16に実装される各種の電子部品18等によって構成されている。即ち、回路部20は、主に、照明光源25、受光センサ23、結像レンズ27等の光学系と、メモリ19、制御回路40、液晶表示器46等のマイクロコンピュータ系と、二次電池32等の電源系と、から構成されている。
【0016】
引き続き、該情報コード読取装置10を充電する充電装置50の構成について図2及び図3を参照して説明する。
図2(A)は充電装置50の平面図であり、図2(B)は側面図であり、図2(C)は、図2(A)のC−C断面図である。図3(A)は、充電装置50へ情報コード読取装置10を差し込んだ状態を示し、図3(B)は、充電装置50による情報コード読取装置10への充電可能状態を示す説明図である。
【0017】
図2(A)に示すように充電装置50は、情報コード読取装置10を収容する開口61を備える収容部60を有する。収容部60は、情報コード読取装置10が傾斜状態で当接する当接壁62(図3(B)参照)と、該当接壁62と対向する対向壁64と、当接壁62と対向壁64との間に側壁66、68と、情報コード読取装置10の底部と当接する底部69とを有する。対向壁64の上端、即ち、収容部60の開口61には、凹部64aが形成され、該凹部64aに円筒状樹脂製ローラ74が軸76により支持されている。同様に、当接壁62のの該対向壁64の上端部よりも低い位置に凹部62aが形成され、該凹部62aにローラ72が軸76により支持されている。当接壁62からは、バネ鋼線製の充電電源端子80が突出している。該充電電源端子80には、電源ライン84を介して充電用電源部82から充電電流が供給される。該充電用電源部82は、図示しない電力ケーブルを介して商用100V電圧が供給され、二次電池32を充電するための電位を生成する。
【0018】
第1実施形態の充電装置50では、図3(A)に示すように傾いた状態で収容部60に差し込まれた携帯機器10が、収容部60の対向壁64の上端部と当接壁62の該対向壁64の上端部よりも低い位置とに当接し、携帯機器10の受電端子34が充電装置50の充電電源端子80から離れていたとしても、対向壁64のローラ74と当接壁62のローラ72とに案内され、図3(B)に示すように携帯機器10が収容部60の底部69に当接する位置まで自重で下がり、携帯機器10の受電端子34に携帯機器用充電装置50の充電電源端子80が接し、携帯機器10を充電することができるようになる。
【0019】
[第2実施形態]
図4(A)は、第2実施形態に係る充電装置の平面図を示している。第1実施形態の充電装置50では、ローラ72、74が円筒形状に形成されていた。これに対して、第2実施形態の充電装置50では、ローラ72、74の表面にRが付けられている。第2実施形態では、ローラ72、74が情報コード読取装置10に点接触するため、第1実施形態のローラよりも回転が円滑である利点がある。
【0020】
[第3実施形態]
図4(B)は、第3実施形態に係る充電装置の平面図を示している。第1実施形態、第2実施形態の充電装置50では、ローラ72、74が1個ずつ配置されていた。これに対して、第3実施形態の充電装置50では、対向壁64に配置するローラ74R、74Lと、当接壁62に配置するローラ72R、72Lとを水平方向にずらしてそれぞれ複数設けてある。このため、ローラ72R、72L、74R、74Lと水平方向に傾けいた状態で携帯機器10が収容部60に差し込まれても、複数のローラ72R、72L、74R、74Lが独立して回転可能であるため、水平方向に傾いた携帯機器10が収容部60の底部69に当接する位置まで自重で下がり、携帯機器10の受電端子34に携帯機器用充電装置50の充電電源端子80が接し、携帯機器10を充電することができるようになる。
【0021】
[第4実施形態]
図5(A)は、第4実施形態に係る充電装置の平面図を示し、図5(B)は、図5(A)中のローラ球74を拡大して示している。第1〜第3実施形態の充電装置50では、ローラ72、74が軸76により回転可能に枢支されていた。これに対して、第4実施形態の充電装置50では、球形のローラ球72、77が1対の軸受77、77に軸支されている。第4実施形態の充電装置50では、ローラ球72、74をローラ軸受77、77で支承しているので、どの方向に傾けいた状態で携帯機器10が収容部60に差し込まれても、ローラ球72、74が自在に回転するため、傾いた携帯機器10が収容部60の底部69に当接する位置まで自重で下がり、携帯機器10の受電端子34に充電装置50の充電電源端子80が接し、携帯機器10を充電することができるようになる。
【0022】
[第5実施形態]
図5(C)は、第5実施形態に係る充電装置の平面図を示している。図5(A)を参照して上述した第4実施形態の充電装置50では、ローラ球72、74が1個ずつ配置されていた。これに対して、第5実施形態の充電装置50では、対向壁64に配置するローラ球74R、74Lと、当接壁62に配置するローラ球72R、72Lとを水平方向にずらしてそれぞれ複数設けてある。このため、ローラ球72R、72L、74R、74Lと水平方向に傾けいた状態で携帯機器10が収容部60に差し込まれても、複数のローラ球72R、72L、74R、74Lが独立して回転可能であるため、水平方向に傾いた携帯機器10が収容部60の底部69に当接する位置まで自重で下がり、携帯機器10の受電端子34に携帯機器用充電装置50の充電電源端子80が接し、携帯機器10を充電することができるようになる。
【0023】
[第6実施形態]
図6(A)は第6実施形態の充電装置50の平面図であり、図6(B)は側面図であり、図6(C)は、図6(A)のC2−C2断面図である。
第6実施形態の充電装置50では、当接壁62にローラ72A、72B、72Cが、対向壁64に74A、74B、74Cが垂直方向に対してずらして複数個設けられている。このため、傾いた状態で収容部60に差し込まれても、携帯機器10が収容部60のいずれかのローラ72A、72B、72C、74A、74B、74Cと当接し、携帯機器10が収容部60の底部69に当接する位置まで自重で下がり、携帯機器10の受電端子34に充電装置50の充電電源端子80が接し、携帯機器10を充電することができるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
上述した実施形態では、本発明の携帯機器として情報コード読取装置10に充電する充電装置を例示したが、例えば、携帯電話、携帯端末、電動工具、髭剃り機等の種々の携帯機器の充電装置に本発明の構成は適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1実施形態に係る情報コード読取装置の断面図である。
【図2】図2(A)は第1実施形態に係る充電装置の平面図であり、図2(B)は側面図であり、図2(C)は、図2(A)のC−C断面図である。
【図3】図3(A)、図3(B)は、充電装置による情報コード読取装置への充電可能状態を示す説明図である。
【図4】図4(A)は第2実施形態に係る充電装置の平面図であり、図4(B)は第3実施形態に係る充電装置の平面図である。
【図5】図5(A)は第4実施形態に係る充電装置の平面図であり、図5(B)は、図5(A)中のローラ球を拡大して示す図であり、図4(C)は第5実施形態に係る充電装置の平面図である。
【図6】図6(A)は第6実施形態に係る充電装置の平面図であり、図6(B)は側面図であり、図6(C)は、図6(A)のC2−C2断面図である。
【図7】従来技術に係る充電装置の説明図である。
【符号の説明】
【0026】
10 情報コード読取装置(携帯機器)
32 二次電池
34 受電端子
50 充電装置
60 収容部
62 当接壁
64 対向壁
69 底部
72、72R、72L、74、74R、74L ローラ
80 充電電源端子
82 充電部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池で駆動する携帯機器を充電する携帯機器用充電装置であって、
前記携帯機器を収容する開口を備えた収容部と、
前記収容部へ延在し、前記携帯機器の受電端子に接触する充電電源端子と、
前記充電電源端子に電力を供給する充電用電源部と、を備え、
前記収容部の前記開口にローラを配置したことを特徴とする携帯機器用充電装置。
【請求項2】
二次電池で駆動する携帯機器を充電する携帯機器用充電装置であって、
前記携帯機器が傾いた状態で当接する当接壁と、該当接壁に対向する対向壁とを有し、当該携帯機器を傾斜させた状態で収容する収容部と、
前記収容部へ延在し、前記携帯機器の受電端子に接触する充電電源端子と、
前記充電電源端子に電力を供給する充電用電源部と、を備え、
前記収容部の対向壁の上端部と、前記当接壁の該対向壁の上端部よりも低い位置とにローラをそれぞれ配置したことを特徴とする携帯機器用充電装置。
【請求項3】
前記対向壁に配置するローラと、前記当接壁に配置するローラとを水平方向にずらしてそれぞれ複数設けることを特徴とする請求項2の携帯機器用充電装置。
【請求項4】
前記ローラをローラ軸受で支承したことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1の携帯機器用充電装置。
【請求項5】
前記ローラを垂直方向に対してずらして複数個設けることを特徴とする請求項〜請求項4のいずれか1の携帯機器用充電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−151357(P2007−151357A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−345251(P2005−345251)
【出願日】平成17年11月30日(2005.11.30)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】