説明

携帯用電子機器のプレート及びその製造方法

【課題】携帯用電子機器の強度を向上させる携帯用電子機器のプレート及びその製造方法を提供する。
【解決手段】携帯用電子機器のプレートは、外層板402及び内層板406を備える。携帯用電子機器のプレートは、外層板402と内層板406との間に配置され、均一網状構造である保護層404をさらに備える。保護層404を網状構造にすることで、面積の大部分が中空状となるため、軽くて堅固となる。外層板402と内層板406の一面に接着剤を塗布し、外層板402と内層板406の間に保護層404を配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレート及びその製造方法に関し、特に、携帯用電子機器のプレート及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な携帯用機器が市場に急速に普及し、その機能も徐々に多様化してきている。そして、便利な無線インターネットと組み合わせることにより、人々はいつでもどこでも仕事をしたり趣味を楽しんだりすることが可能となった。携帯用機器の中でも特に携帯電話及びノートブック型コンピュータは、仕事や趣味で使用するのに人気がある。
【0003】
ノートブック型コンピュータは、携帯性を向上させるため、厚さや重量を低減させ、使用時間や構造強度を向上させることが常に求められている。しかし、ノートブック型コンピュータの厚さを減らしつつ構造強度を向上させることは困難であった。特に近年の発光ダイオードの進歩により、ノートブック型コンピュータのスクリーンは、バックライトモジュールを軽量かつ薄型にすることができるが、スクリーンが耐えられる強度はほぼ限界となっている。その上、ノートブック型コンピュータは、何処にでも携帯して持ち運び、仕事をすることができるが、公共交通機関を利用する際に、外部から加わる圧力に耐えられる構造が求められていた。そのため、ノートブック型コンピュータの本体構造の強度を高め、本体の厚さを減らすことが常に求められていた。
【0004】
一般に、ノートブック型コンピュータは、液晶パネルを覆う上プレートを替えることによりその強度を高めていた。例えば、外部から加わる圧力を分散させるため、弧形状にしたプレートが使用されていた。しかし、プレートを弧形状にした場合、厚さが増大し、ノートブック型コンピュータの厚さと構造強度との間で最適なバランスをとることが困難となった。
【0005】
そのため、良好な厚さと耐強度性とを達成することのできる携帯用電子機器のプレート及びその製造方法が求められていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、携帯用電子機器の強度を向上させる携帯用電子機器のプレート及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、外層板及び内層板を備えた携帯用電子機器のプレートにおいて、前記外層板と前記内層板との間に配置され、均一網状構造である保護層をさらに備えることを特徴とする携帯用電子機器のプレートを提供する。
【0008】
本発明は、(a)外層板及び内層板を準備し、前記外層板及び前記内層板の一面に接着剤を塗布する工程と、(b)前記外層板と前記内層板との間に均一網状構造である保護層を配置する工程と、(c)真空処理を行い、前記接着剤により前記外層板及び前記内層板を前記保護層に密着させる工程と、を含むことを特徴とする携帯用電子機器のプレートの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、均一網状構造である保護層を略ハニカム状にし、構造強度が高い携帯用電子機器のプレート及びその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0011】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態による携帯用電子機器のプレートを示す分解斜視図である。図1に示すように、このプレート構造は、外層板102、保護層104、内層板106及び防護層108を含んでいる。保護層104は、内層板106と外層板102との間に配置された均一網状構造である。防護層108は、保護層104と表裏の関係にある内層板106の一面に配置されている。
【0012】
図2は、保護層104の均一網状構造を示す。図2に示す網状構造は8種類であるが、これだけに限定されるわけではない。網状構造を採用する目的は、構造の強度を有効に向上させることにある。保護層104は、面積の大部分が中空状であるため、軽くて堅固である。
【0013】
図3は、プレートの製造方法を示す流れ図である。以下、図1及び図3に基づいて全体の工程及びそれに対応する各々の構成要素の配置を示す。まず、ステップ302において、内層板106及び外層板102を準備し、それらの一面に接着剤を塗布する。続いて、ステップ304において、外層板102と内層板106との間に保護層104を配置し、外層板102及び内層板106の接着剤が塗布された一面を、均一網状構造である保護層104に対向させる。最後に、ステップ306において、真空処理を利用し、保護層104の両側に接着剤により外層板102と内層板106とを密着させ、保護層104上に圧力を均一に分散させ、保護層104の網状構造の中に異物が入ることを防ぐ。
【0014】
接着剤は、エポキシ樹脂又はポリウレタンでもよい。外層板102及び内層板106の各々に接着剤を塗布し、外層板102と内層板106との間に保護層104を配置し、120〜130℃の間で真空処理を行う。そして、外層板102及び内層板106の中の水分を完全に除去し、保護層と密着させる。第1実施形態の保護層104は、網状構造であるため構造強度が高い。そのため、保護層104は、約0.1mm以上にすることができる。網状構造の孔は、幅が約0.3〜5mmの間である。本実施形態の外層板102及び内層板106は、ガラスファイバ又はカーボンファイバなどの複合材料からなる。そのため、携帯用電子機器のプレート構造は、1.2〜1mmまで薄くすることができる。
【0015】
保護層104は、網状構造で上述の孔幅と略同じである上、一定条件の強度を有していればどんな材料で構成されてもよい。第1実施形態の保護層104は、アルミニウム金属又は繊維紙の材料からなるが、これだけに限定されるわけではない。保護層104の材料は、条件及びコストに応じて選択することができ、例えば、網状構造にすることのできる様々な金属、複合材料、プラスチックなど(例えば、アルミニウム、ケブラー(登録商標)、ノーメックス(登録商標)、クラフト紙、繊維紙など)でもよい。
【0016】
防護層108は、導電物質からなってもよいし、保護層104と表裏の関係にある内層板106の一面に塗布された導電性塗料でもよいし、保護層104と表裏の関係にある内層板106の一面にスパッタリング被覆された導電金属でもよい。防護層108は、シールド効果を有するため、プレート構造下の表示パネルが電磁障害を受けることを防ぐことができる。
【0017】
(第2実施形態)
携帯用電子機器は、ユーザが持ち運んで使用するため、軽量で高い構造強度が求められている他、その見栄えもユーザの心理的要求を満たすために高い品質が求められていた。特にノートブック型コンピュータは、携帯性以外に、ユーザが仕事で使用する際に、他人に注目され、他人に知的な印象を与えるなどの性質を持たせることにより、価値を高めることができる。
【0018】
そのため、本発明の第2実施形態は、プレート設計に特徴のあるノートブック型コンピュータを提供する。第2実施形態のノートブック型コンピュータは、プレート構造の強度を向上させ、厚さと重量を低減させることができる以外に、そのプレート上にブランド名及びロゴをデザインし、その価値を高めることができる。
【0019】
図4を参照する。図4は、本発明の第2実施形態によるノートブック型コンピュータのプレートを示す分解斜視図である。図4に示すように、第2実施形態のノートブック型コンピュータは、外層板402、保護層404、内層板406、防護層408及びフレーム410を含む。保護層404は、内層板406と外層板402との間に配置され、均一網状構造である。防護層408は、保護層404と表裏の関係にある内層板406の一面上に配置されている。フレーム410は、防護層408上に接着又は射出成形されている。
【0020】
第2実施形態の保護層404は、第1実施形態の構造特性及び材料と同じものが選択されているため、ここでは繰り返して述べない。第2実施形態と第1実施形態の最大の相違点は外層板402にある。フレーム410は、ヒンジ構造によりノートブック型コンピュータの本体及び表示パネルに接続されて表示パネルを覆い、上方に設けられたプレートと接続されている。
【0021】
続いて、図5により外層板402の外観設計を容易に行うことができる実施形態を説明する。図5は、本発明の第2実施形態による外層板構造500を示す分解斜視図である。第2実施形態の外層板構造500は、第1の層板502、第2の層板504及び第3の層板506の3層を含む。第2の層板504は、第1の層板502と第3の層板506との間に配置され、第1の層板502と第3の層板506とは同じ材料からなる。
【0022】
第1の層板502及び第3の層板506は、ポリカーボネート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、又はこれらを混合したプラスチック材料からなる。プラスチック材料が有する可塑性を利用し、第2の層板504と表裏の関係にある第1の層板502の一面にデザインを施し、プレートの見栄えを良くする。また、ガラスファイバやカーボンファイバなどの複合材料からなる第2の層板504が第1の層板502と第3の層板506との間に配置されているため、外層板構造500の強度を向上させることができる。
【0023】
また、外層板500の中にある第3の層板506は、同様に可塑性が高いプラスチック材料からなり、第1実施形態と同様に、接着剤により保護層404と接着される以外に、第3の層板506とフレーム410との形状が対応するように形成されており、保護層404、内層板406及び防護層408を係合させ、外層板構造500とフレーム410との間に一緒に固定することができる。そのため、保護層404の材料を迅速に交換することができ、大量生産を行う時のコストを低減することができる。
【0024】
防護層408は、導電物質からなってもよいし、保護層404と表裏の関係にある内層板406の一面に塗布された導電性塗料でもよいし、或いは、保護層404と表裏の関係にある内層板406の一面にスパッタリング被覆された導電金属でもよい。防護層408は、シールド効果を有するため、プレート構造の下にある表示パネルが電磁障害を受けることを防ぐことができる。
【0025】
上述の第1実施形態及び第2実施形態から分かるように、本発明は、保護層が網状構造であるため構造強度が高く、プレートの厚さ及び重量を有効に低減させ、強度と厚さとのバランスを良好にすることができる。網状構造の材料は、所定のパラメータに合致する限り、コスト及び設計の必要に応じて自由に選択することができる。
【0026】
外層板は、必要に応じて選択することができる。例えば、外層板は、単一の材料や多層構造で構成されてもよい。さらに、プラスチック材料が有する可塑性を利用することにより、携帯用電子機器のプレートの見栄えを良くすることもできる。そのため、本発明をノートブック型コンピュータのプレートに応用すると、見栄えが良くなったり、ブランド名をデザインすることができるようになったりする。そのため商品価値が高まる。
【0027】
当該分野の技術を熟知するものが理解できるように、本発明の好適な実施の形態を前述の通り開示したが、これらは決して本発明を限定するものではない。本発明の主旨と範囲を脱しない範囲内で各種の変更や修正を加えることができる。従って、本発明の特許請求の範囲は、このような変更や修正を含めて広く解釈されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1実施形態による携帯用電子機器のプレートを示す分解斜視図である。
【図2】保護層の網状構造を示す概略図である。
【図3】携帯用電子機器のプレートの製造方法を示す流れ図である。
【図4】本発明の第2実施形態によるノートブック型コンピュータのプレートを示す分解斜視図である。
【図5】本発明の第2実施形態による外層板を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
【0029】
102:外層板
104:保護層
106:内層板
108:防護層
402:外層板
404:保護層
406:内層板
408:防護層
410:フレーム
500:外層板構造
502:第1の層板
504:第2の層板
506:第3の層板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外層板及び内層板を備えた携帯用電子機器のプレートにおいて、
前記外層板と前記内層板との間に配置され、均一網状構造である保護層をさらに備えることを特徴とする携帯用電子機器のプレート。
【請求項2】
前記外層板は、第1の層板、第2の層板及び第3の層板を有し、
前記第2の層板は、前記第1の層板と前記第3の層板との間に配置され、前記第1の層板と前記第3の層板との材料は同じであることを特徴とする請求項1に記載の携帯用電子機器のプレート。
【請求項3】
前記第1の層板及び前記第3の層板は、ポリカーボネート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、又はこれらを混合したプラスチック材料であることを特徴とする請求項2に記載の携帯用電子機器のプレート。
【請求項4】
前記第2の層板は、ガラスファイバ又はカーボンファイバの複合材料からなることを特徴とする請求項2に記載の携帯用電子機器のプレート。
【請求項5】
前記外層板及び前記内層板は、ガラスファイバ又はカーボンファイバの複合材料からなることを特徴とする請求項1に記載の携帯用電子機器のプレート。
【請求項6】
前記保護層の厚さは、0.1mm以上であり、
前記均一網状構造の網の孔径は、0.3〜5mmの間であることを特徴とする請求項1に記載の携帯用電子機器のプレート。
【請求項7】
前記保護層と表裏の関係にある前記内層板の一面に配置され、導電物質からなる防護層をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の携帯用電子機器のプレート。
【請求項8】
前記保護層と表裏の関係にある前記内層板の一面には、導電性塗料が塗布されるか導電金属がスパッタリング被覆されることを特徴とする請求項1に記載の携帯用電子機器のプレート。
【請求項9】
(a)外層板及び内層板を準備し、前記外層板及び前記内層板の一面に接着剤を塗布する工程と、
(b)前記外層板と前記内層板との間に均一網状構造である保護層を配置する工程と、
(c)真空処理を行い、前記接着剤により前記外層板及び前記内層板を前記保護層に密着させる工程と、
を含むことを特徴とする携帯用電子機器のプレートの製造方法。
【請求項10】
前記保護層の厚さは、0.1mm以上であり、
前記均一網状構造の網の孔径は、0.3〜5mmの間であることを特徴とする請求項9に記載の携帯用電子機器のプレートの製造方法。
【請求項11】
前記工程(c)は、120〜130℃の間で行うことを特徴とする請求項9に記載の携帯用電子機器のプレートの製造方法。
【請求項12】
前記工程(c)を行った後に、
(d)前記保護層と表裏の関係にある前記内層板の一面に防護層を形成する工程を行い、前記防護層の形成とは、前記保護層と表裏の関係にある前記内層板の一面に導電性塗料を塗布するか、導電金属をスパッタリング被覆することであることを特徴とする請求項9に記載の携帯用電子機器のプレートの製造方法。
【請求項13】
前記工程(d)を行った後に、
接着又は射出成形により、前記防護層上にフレームを形成する工程をさらに含むことを特徴とする請求項12に記載の携帯用電子機器のプレートの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−42167(P2008−42167A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−129955(P2007−129955)
【出願日】平成19年5月16日(2007.5.16)
【出願人】(500045431)コンパル エレクトロニクス インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】