説明

携帯用電解水噴霧器

【課題】棚等に設置する電解水噴霧器は存在する。本発明は、ハンドバッグ等に収容して持ち歩く携帯用として好適な外観が筒状をなす形態とし、片手で持った状態で噴霧機構部の手動プッシュによって、電解水を任意に噴霧できる機能構成とする。この場合、ハンドバッグ等に収容して持ち歩く際に、噴霧機構部が不用意に押されて水が漏出しないようにカバー(キャップ)を設ける構成とすると共に、このカバー(キャップ)に電解水の生成を開始するスイッチ機能を持たせることにより、水の漏出防止作用と、スイッチ作用を両立させる新規な携帯用電解水噴霧器を提供するものである。
【解決手段】外観筒状をなし、内部に電解水生成用電解部が配置された筒状水タンク部を備えた本体部の上部に前記電解水を噴霧する噴霧機構部を配置し、前記噴霧機構部を覆うようノズルカバーが取り付けられ、前記円筒形本体部に対する前記ノズルカバーの回動位置によって、前記電解部への通電開始用スイッチ部を構成したこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被電解水を電気分解して生成した電解水をスプレー部から噴霧する電解水噴霧器に関し、特に、ハンドバッグ等に収容して持ち歩き、任意の部位に電解水を噴霧してその部位を除菌することに適する携帯用電解水噴霧器に関する。
【背景技術】
【0002】
インフルエンザ等の流行により、病院や人が出入りする公共施設、または家庭の棚等に設置して手指等を除菌または殺菌する器具があり、その一つとして、被電解水を電気分解して生成した電解水をスプレー部から噴霧する電解水噴霧器の技術が存在する。その電解水噴霧器の一つに、被電解水として容器に収容した塩素化合物の溶液を電気分解し、次亜塩素酸またはその塩の溶液である電解水を生成して、これをスプレー部から噴霧する次亜塩素酸生成噴霧器がある(特許文献1参照)。
【0003】
これは多量の塩素化合物の溶液を容器に収容し、この容器の上端にトリガスプレーヤーを着脱自在に取り付け、この取り付けによってトリガスプレーヤーから延びたディップチューブが容器内の塩素化合物の溶液に浸り、指でピストルの引き金を引くようにトリガを操作することにより、1回のトリガ操作によって、0.1ml〜1mlの塩素化合物の溶液が容器内から汲み上げられてノズルから噴霧されるものである。
【0004】
また、電解水噴霧器の他の形態として、略円筒状の容器本体2Aの上面と下面に2段円筒状のキャップ2Bと円板状のキャップ2Cが取り付けられて容器2を構成し、この容器2の上部に、噴霧機構である手動スプレーポンプ3が取り付けられたものがある。これは、容器本体2Aの上面に形成した隔壁6の上側に、キャップ2B内に電解溶液を貯留するタンク4が形成され、この隔壁6の下側で容器2内に電解槽5が形成され、手動スプレーポンプ3から下方へ延びたノズル3aが容器2の中心に配置され、手動スプレーポンプ3を押し圧操作するごとに、電解槽5の電解水が所定量、ノズル3aに吸引されて噴霧口3bから噴霧される構成の電解水生成噴霧器である(特許文献2参照)。
【0005】
特許文献2のものは、容器2の容器本体2A内は、上部に電解槽5が形成され、電解槽5の下方に2本のバッテリとバッテリの電流を制御する基板が背中合わせに配置され、バッテリと基板の下方を下部のキャップ2Cが覆う構成である。
【0006】
即ち、特許文献2のものは、被電解水を入れるタンク4と電解槽5が上下関係の配置となるように、タンク4がキャップ2B内に形成され、電解槽5が容器本体2Aに形成された状態で、容器本体2Aの上端にキャップ2Bがネジ結合される構成である。そして、手動スプレーポンプ3から下方へ延びたノズル3aが容器2の中心に配置されるために、電解槽5が容器本体2Aの上部の一方に偏った位置に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−130263号公報
【特許文献2】特開2009−154030号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この特許文献1のものは、図示された全体形態からして、病院や人が出入りする公共施設や病院、または家庭等の棚等に設置して使用するものであり、携帯用として開発されたものではないことが、一見して判明する。
【0009】
また特許文献2のものは、上記のように、被電解水を入れるタンク4がキャップ2B内に形成され、電解水を生成する電解槽5が容器本体2Aに形成されているため、タンク4と電解槽5が上下に分離し、それが結合される関係である。このため、タンク4に被電解水を入れる場合は、容器本体2Aからキャップ2Bを取り外し、タンク4に被電解水を入れた状態で、容器本体2Aを逆さま状態でもって、容器本体2Aとキャップ2Bとをネジ結合することとなり、被電解水の補充操作を行い難いこと、また、容器本体2Aの電解槽5に電解水が残っておれば、この電解水が零れ落ちることが懸念される。
【0010】
特許文献2のものは、手動スプレーポンプ3から下方へ延びたノズル3aが容器2の中心に配置されるために、電解槽5が容器本体2Aの上部の一方に偏った位置に配置されること、更に、電解槽5の下方に2本のバッテリとバッテリの電流を制御する基板が背中合わせに配置されるものであり、これらの構成によって容器2の直径が大きくなる。これらの点は、携帯用を創造するときの支障となるものである。
【0011】
上記の点及び全体形態からして、特許文献2のものは、病院や人が出入りする公共施設や病院、または家庭等の棚等に設置して使用するものであり、携帯用として開発されたものではないことが、一見して判明する。
【0012】
最近、インフルエンザ等の流行により、手指や出先での便座等を手軽に除菌することが望まれる。このような点に着目して、本発明は、ハンドバッグ等に収容して持ち歩き、手指や出先での便座等の任意の部位を手軽に除菌することに適する携帯用電解水噴霧器を提供するものである。
【0013】
本発明は、ハンドバッグ等に収容して持ち歩く携帯用として好適な外観が筒状をなす形態とし、片手で持った状態で噴霧機構部の手動プッシュによって、電解水を任意に噴霧できる機能構成とする。この場合、ハンドバッグ等に収容して持ち歩く際に、噴霧機構部が不用意に押されて水が漏出しないようにカバー(キャップ)を設ける構成とすると共に、このカバー(キャップ)に電解水の生成を開始するスイッチ機能を持たせることにより、水の漏出防止作用と、スイッチ作用を両立させる新規な携帯用電解水噴霧器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
第1発明の携帯用電解水噴霧器は、外観筒状をなし、内部に電解水生成用電解部が配置された筒状水タンク部を備えた本体部の上部に前記電解水を噴霧する噴霧機構部を配置し、前記噴霧機構部を覆うようノズルカバーが取り付けられ、前記円筒形本体部に対する前記ノズルカバーの回動位置によって、前記電解部への通電開始用スイッチ部を構成したことを特徴とする。
【0015】
第2発明の携帯用電解水噴霧器は、中間部に筒状水タンク部を配置し、前記筒状水タンク部の軸方向の一方側に噴霧機構部を他方側に電源部を配置し、前記筒状水タンク部内の中央部には下部から流入した前記筒状水タンク部の水を電気分解して電解水を生成する電解水生成用電極を備えた電解部が配置され、前記噴霧機構部の手動操作にて前記筒状水タンク部内の水を押圧しつつ前記電解部の電解水を先端のノズルから噴霧する前記噴霧機構部が前記筒状水タンク部の開口に水密状態に着脱自在結合され、前記電源部は電池と前記電極へ供給するための前記電池の電圧を昇圧する昇圧回路とを有し、前記噴霧機構部を覆うようノズルカバーが取り付けられ、前記筒状水タンク部に対する前記ノズルカバーの回動位置によって、前記電解部への通電開始用スイッチ部を構成したことを特徴とする。
【0016】
第3発明の携帯用電解水噴霧器は、第1発明または第2発明において、前記スイッチ部は、固定側の一次側接片と可動側の二次側接片とによって構成され、前記一次側接片は、前記筒状水タンク部に延びたリード線に接続されたプラス側接片とマイナス側接片を備え、前記二次側接片は、前記ノズルカバーに取り付けた導電性の板によって構成され、前記ノズルカバーの回動位置によって、前記二次側接片と前記一次側接片とを介して前記電解部への通電がONとなることを特徴とする。
【0017】
第4発明の携帯用電解水噴霧器は、第1発明乃至第3発明のいずれかにおいて、前記ノズルカバーには噴霧開口とこれに対応する下方位置に切り欠きを備え、前記筒状水タンク部の上端部または前記噴霧機構部の本体部の側面に前記噴霧機構部のノズルに対応する下方位置に位置決め用の係止突部を備え、前記係止突部と前記切り欠きとが対応した状態で前記電解部への通電がONとなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、インフルエンザ等の流行により、手指や出先での便座等を手軽に除菌することへの適用のために、ハンドバッグ等に収容して持ち歩き、手指や出先での便座等の任意の部位を手軽に除菌することに適する携帯用電解水噴霧器を提供できるものとなる。
【0019】
そして、カバー(キャップ)を設ける構成によって、ハンドバッグ等に収容して持ち歩く際に、噴霧機構部が不用意に押されて水が漏出しないようにできると共に、このカバー(キャップ)に電解水の生成を開始するスイッチ機能を持たせることにより、水の漏出防止作用と、スイッチ作用を両立させる新規な携帯用電解水噴霧器となる。
【0020】
また、ノズルカバーの切り欠きと、筒状水タンク部の上端部または噴霧機構部の本体部の側面の係止突部とが対応した状態で、電解部への通電がONとなることにより、ノズルカバーをスイッチ動作位置と不動作位置とに回動する際のノズルカバーの回動位置決めが容易となる。
【0021】
更に、筒状水タンク部内の中央部に筒状電解部が配置支持されており、水タンク部への水の補給に際して、噴霧機構部が筒状水タンク部と筒状電解部に対して着脱される構成であるため、水タンク部への水の補給が容易であり、その着脱操作も容易に行なえるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る携帯用電解水噴霧器の内部構成を示す説明図である。
【図2】本発明に係る携帯用電解水噴霧器の電解部と電源部の関係を示す説明図である。
【図3】本発明に係る携帯用電解水噴霧器の内部構成の第1実施形態を断面で示す説明図である。
【図4】図3の第1実施形態のプッシュ部をプッシュした状態の説明図である。
【図5】図3の第1実施形態のプッシュ部をプッシュした状態の電解水の流出部の拡大図である。
【図6】図3の第1実施形態の連通路部材を貫通した空気の連通路の拡大図である。
【図7】本発明に係る携帯用電解水噴霧器の電解部の3枚電極構成を示す横断面図である。
【図8】本発明に係る携帯用電解水噴霧器の内部構成の第2実施形態を断面で示す説明図である。
【図9】本発明に係る携帯用電解水噴霧器の噴霧機構部とノズルカバーとの分解斜視図である。
【図10】本発明に係る携帯用電解水噴霧器のノズルカバーによるスイッチON状態を示す説明図である。
【図11】本発明に係る携帯用電解水噴霧器のノズルカバーによるスイッチON状態でプッシュ部をプッシュした状態を示す説明図である。
【図12】本発明に係る携帯用電解水噴霧器のノズルカバーによるスイッチOFF状態を示す説明図である。
【図13】本発明に係る携帯用電解水噴霧器の噴霧状態を示す説明図である。
【図14】本発明に係る携帯用電解水噴霧器の外観図である。
【図15】本発明に係る携帯用電解水噴霧器の制御回路部の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の携帯用電解水噴霧器は、外観筒状をなし、内部に電解水生成用電解部が配置された筒状水タンク部を備えた本体部の上部に前記電解水を噴霧する噴霧機構部を配置し、前記噴霧機構部を覆うようノズルカバーが取り付けられ、前記円筒形本体部に対する前記ノズルカバーの回動位置によって、前記電解部への通電開始用スイッチ部を構成したものであり、以下に、その実施例を記載する。
【0024】
なお、本発明における「除菌」とは、除菌前の菌数に比べて除菌後の菌数が、100分の1以下になることを意味する。
【実施例1】
【0025】
以下、本発明に係る携帯用電解水噴霧器1は、図に示すように、外観が円筒形、楕円形、多角形等の筒状をなし、中間部に上面開口2Aの合成樹脂製の筒状水タンク部2を配置し、下部に電源部3を配置し、上部に合成樹脂製のプッシュ式噴霧機構部4を配置した構成である。図のものは、略同じ直径で構成された水タンク部2と電源部3によって筒状本体部1Aとして円筒形本体部1Aを形成し、この上にプッシュ式噴霧機構部4を配置した携帯用電解水噴霧器1を示している。
【0026】
水タンク部2内の中央部には、水タンク部2の水が下部の流入口5Eから流入し上面開口5Aから噴霧機構部4へ流出する筒状電解部5が水タンク部2の軸方向に配置され、筒状電解部5の周囲が水タンク部2の水溜め部となっており、水タンク部2の水が下部の流入口5Eから電解部5へ流入する。このため、携帯用電解水噴霧器1がプッシュ式噴霧機構部4を上にした垂直状態において、電解部5と水タンク部2の水位が同レベルとなる構成である。
【0027】
図3に示すように、電解部5は、その内部の水に浸るように、オゾンを発生させ電解水を生成するための電解水生成用電極6が収容されており、オゾンを発生することにより除菌用電解水としてのオゾン水を生成するものである。電解部5は、プラス電極6Aとマイナス電極6Bが、携帯用電解水噴霧器1の軸方向、即ち、水タンク部2の中央部に、水タンク部2の軸方向に収容された筒状電解部5を形成している。電極6は、水タンク部2の軸方向に並行に延びた2枚乃至5枚のプラス電極6Aとマイナス電極6Bで構成され、1枚のプラス電極6Aと1枚のマイナス電極6Bの一対で構成することもできるが、除菌用電解水を効果的に生成するためには、電極6の好ましい形態として、プラス電極6Aとマイナス電極6Bが交互配置となるように、少なくとも3枚の板状電極が、所定間隔を存してその板状面が対向配置される。
【0028】
筒状電解部5の構成として、筒状体5P内にプラス電極6Aとマイナス電極6Bが所定間隔で収容された構成であり、プラス電極6Aとマイナス電極6Bとの間が水の流通路となる電解室5Sである。プラス電極6Aとマイナス電極6B間の電解室5S以外の部分に水が存在すると、この部分ではオゾンを含んでいない水が発生し、これがプッシュ式噴霧機構部4から噴霧されると、除菌効果が損なわれる。これを防止するために、電解部5は、プラス電極6Aとマイナス電極6B間以外の部分を水が流れない筒状構成である。
【0029】
電解部5の一つの実施構成として、図7に横断面で示すように、プラス電極6Aとマイナス電極6Bが交互配置となるよう3枚の板状電極が絶縁材のスペーサ5Bを介して上下方向に略均一な所定間隔(0.1mm〜1mm)を存して対向配置され、中間の板状電極をプラス電極6Aとし、その両側の板状電極をマイナス電極6Bとし、電気分解に作用しない非対向面は、絶縁材で覆うように、この3枚の電極の外周を合成樹脂製の熱収縮チューブで構成した筒状体5Pで覆われている。プラス電極6Aとマイナス電極6Bが交互配置となるよう3枚の板状電極が絶縁性のスペーサ5Bを介して所定間隔に配置された状態のものを熱収縮チューブに挿入し、加熱により熱収縮チューブを収縮させることによって、熱収縮チューブが3枚の電極の周囲に密着することにより、筒状体5Pが形成されることとなる。これによって、プラス電極6Aとマイナス電極6Bとの間で、水の流通路となる電解室5Sが形成され、電解室5Sに存在する水を電気分解してオゾンを発生させ、オゾン水としての電解水を効果的に生成することができる。そして、後述のようにプッシュ式噴霧機構部4の作動によって噴霧されるとき、実質的に電解室5S以外の部分を水が流れない筒状構成となる。
【0030】
電解部5の軸方向に沿ったプラス電極6Aとその両側のマイナス電極6Bの軸方向長さが、略電解部5の軸方向長さに亘る長さである。また、プラス電極6Aとマイナス電極6Bのそれぞれの対向面の電気分解に作用する有効面積が略同じである。
【0031】
筒状体5Pは絶縁材が好ましく、上記のように合成樹脂製の熱収縮チューブで構成してもよく、または、円筒形状または非円筒形状に成形した合成樹脂の成形品で構成してもよい。いずれにしても、プラス電極6Aとマイナス電極6Bとの間で、水の流通路となる電解室5Sが形成され、実質的にプラス電極6Aとマイナス電極6B間以外の部分を水が流れない筒状構成とすればよい。
【0032】
後述のように、電極6に所定電圧(実施例では、5.5V〜5.6V)を印加することによって、プラス電極6Aとマイナス電極6Bとの間の電解室5Sに存在する水を電気分解してオゾンを発生させ、オゾン水としての電解水を効果的に生成することができる。
【0033】
電解部5の軸方向に沿ったプラス電極6Aとその両側のマイナス電極6Bの軸方向長さが、略電解部5の軸方向長さに亘る長さである。また、プラス電極6Aとマイナス電極6Bのそれぞれの対向面の電気分解に作用する有効面積が略同じである。
【0034】
上記のように、板状のプラス電極6Aとその両側の板状のマイナス電極6B間が、電解水の生成領域を形成すると共に、噴霧機構部4の作動によって水タンク部2の水が噴霧機構部4へ流れる水の流通路を形成するため、水タンク部2の水を噴霧機構部4へ流す流路形成がし易くなり、水タンク部2の中心部に電解部5を配置するコンパクト構成が達成できる。
【0035】
また、上記のように、電解部5の軸方向に沿ったプラス電極6Aとその両側のマイナス電極6Bの軸方向長さが、略電解部5の軸方向長さに亘る長さであることによって、電解部5全体を電解領域とすることができるため、携帯用電解水噴霧器1の全体長さを短くすることができる。
【0036】
また、上記のように、電極6は、板状プラス電極6Aと板状マイナス電極6Bの対向面が電解水生成作用面であり、非対向面が絶縁材で被覆された構成であるため、対向面での電解水生成作用が効果的に行なわれるものとなる。
【0037】
また、上記のように、プラス電極6Aとマイナス電極6Bのそれぞれの対向面の電気分解に作用する有効面積が略同じであることにより、電極のコストを下げることができる。
【0038】
携帯用電解水噴霧器1の組み立てのし易さを考慮して、電源部3は、環状パッキン21を介して水タンク部2と相互にネジ結合部22にて、使用者が取り外しできないように固定的に水密状態に結合されている。電源部3は、合成樹脂製の筺体23内に、電源用電池24、制御回路部25、LED26等が収容されている。後述のように、制御回路部25は、スイッチ27によって電源用電池24を電源として作動して、電源用電池24から制御回路部25へ電力が供給され、制御回路部25から電極6へ電力が供給されるように電気的に接続され、電極6を構成するプラス電極6Aとマイナス電極6Bへ電力を供給する。電源部3は、筺体23の外面が装飾のためにアルミニウムなどの金属製装飾体28によって覆われている。LED26は、携帯用電解水噴霧器1の外方から発光が目視できると共に、水が侵入しない防水構造によって、筺体23内に取り付けられている。
【0039】
電源用電池24は、単3または単4の再充電可能な1.2ボルト〜1.5ボルトの2次電池であり、筺体23内の電池収容部23Aに着脱自在に取り付けられる。電源用電池24は、筺体23内に形成した電池収容部23Aに収容された後、電源部3の下端に水密状態に取り付けられる電池カバー29の取り付けによって、筺体23内に保持される。この保持状態において、電池カバー29を筺体23に取り付けることによって、電源用電池24は制御回路部25の電源としてセットされる。電池カバー29を取り外し、電源用電池24を電源部3から取り外した状態で、電源用電池24を所定の充電器へセットすることにより充電可能である。また、電源用電池24を筺体23内に保持したままの状態で、所定の充電器へセットすることにより、電磁誘導にて充電(無接点充電)する構成でもよく、また、電磁誘導による充電の他に、直流電源から直接、電源用電池24を充電する方式でもよい。なお、図2に示すように、電池収容部23Aの側面に電池カバー29Aを着脱自在に設け、電源用電池24を電源部3から取り外すようにしてもよい。
【0040】
電解部2でオゾン水を生成するためには、所定電圧以上の電力がプラス電極6Aとマイナス電極6Bへ印加されることが必要である。このため、電力電源用電池24は、複数の電池を直列接続すれば高い電圧が得られるが、携帯用電解水噴霧器1が大型化するため、本発明では、単3または単4の再充電可能な1.2ボルト〜1.5ボルトの2次電池を1個使用し、この電源用電池24の電圧を昇圧回路25Aによって昇圧して電極6に所定電圧(実施例では、5.5ボルト〜5.6ボルト)を印加する。制御回路部25は、電解室5S内での除菌用オゾン水の生成に必要な電圧を電極6へ印加するために、電源用電池24を電源として、電源用電池24の電圧を所定の電圧(実施例では、5.5ボルト〜5.6ボルト)まで昇圧するための昇圧回路25Aを備えている。
【0041】
水タンク部2は上部に上面開口2Aを形成しており、これが水補給開口2Aとなる。この水補給開口2Aを開閉するように、水タンク部2の上部にプッシュ式噴霧機構部4が水密状態に着脱自在結合である。具体的には、水タンク部2の水補給開口2A側へ噴霧機構部4を取り付けたとき、水補給開口2Aが閉じた状態となる。また、噴霧機構部4を水タンク部2から取り外したとき、水補給開口2Aが開放される状態となり、この水補給開口2Aから水タンク部2への水の補給を行なうことができる。
【0042】
水タンク部2の水補給開口2A周縁部、即ち上面開口2A周縁部には、水タンク部2内の水を押圧しつつ電解部5の電解水が先端のノズル4Aから噴霧するための噴霧機構部4が、水タンク部2に水密状態に着脱自在結合となっている。噴霧機構部4は、種々の形態があり、市販品を採用することもできるが、図示の噴霧機構部4では、合成樹脂製の円筒形のプッシュ部4Pが、環状パッキン12によって水密状態を保ちつつ、合成樹脂製の円筒形の噴霧本体部4Bに上下動可能に組み合わされ、プッシュ部4Pの側面には、小孔のノズル4Aが開口している。噴霧本体部4Bの下端開口部が水タンク部2の上面開口2A周縁とネジ結合部11によって着脱自在結合となっており、噴霧本体部4Bと水タンク部2とは、環状パッキン10によって水密状態である。
【0043】
噴霧本体部4Bには、水タンク部2内に延びた連通路部材13が、一体的に設けられている。この連通路部材13は、中心部に上下に貫通した電解水導出路7Bを形成している。噴霧機構部4の中心部には、ノズル4Aへ通じるように、上下に貫通した電解水導出路7が形成されている。プッシュ部4Pはノズル4Aへ通じる小径の電解水導出路7Aを形成し、電解水導出路7Aが下方へ延出する延出部4P1を形成している。この延出部4P1は、電解水導出路7Bの上方から、連通路部材13内に形成した電解水導出路7Bへ侵入して、連通路部材13に水密状態で上下動可能に組み合わされている。これによって、電解水導出路7Aと電解水導出路7Bが連通状態となって電解水導出路7が形成され、電解部5からノズル4Aへ通じる電解水導出路7となる。
【0044】
電解水導出路7Bには、電解水漏洩防止機構を備えている。この電解水漏洩防止機構は、図3に示すように、プッシュ部4Pが押圧されないときは、コイルバネ40によって上方へ付勢されるボール41によって電解水導出路7Bを閉じている。そして、図3乃至図5に示すように、プッシュ部4Pの押圧によって、延出部4P1がコイルバネ40に抗してボール41を下方へ押して電解水導出路7Bを開き、矢印のように電解部5の電解水が噴霧機構部4の電解水導出路7Aへ流れる構成である。この電解水漏洩防止機構によって、プッシュ部4Pが押圧されない状態において、携帯用電解水噴霧器1を上下逆さまにしたとき、電解部5の電解水が電解水導出路7を通ってノズル4Aから漏洩しないようになる。
【0045】
噴霧本体部4B内にはポンプ室16が形成されている。図3の構成では、噴霧本体部4B内にプッシュ部4Pの空気押圧部4P2と、連通路部材13の基部上面との間にポンプ室16が形成されている。ポンプ室16は、空気導入孔9によって外気と連通し、且つ、連通路部材13の基部を貫通した空気の連通路15及び水タンク部2の水補給開口2Aによって、水タンク部2内と連通している。ポンプ室16に設けたコイルバネ8によって、プッシュ部4Pは本体部4Bから上方へ突出状態に付勢され、この状態でポンプ室16は空気導入孔9によって外気と連通した状態である。連通路部材13の基部を貫通した空気の連通路15は、1箇所でもよいが、図6に示すように、略120度ピッチで周囲3箇所に形成してもよい。なお、ポンプ室16の形成のために、例えば、噴霧本体部4Bは、その上面が接着等にて一体化される別部材のトップ部材4B1で形成された構成となっている。
【0046】
本発明では、筒状電解部5は、筒状水タンク部2の中央部に、筒状水タンク部2の軸方向となるように配置されて支持され、筒状水タンク部2の上面の水補給開口2Aを開閉するように、噴霧機構部4が筒状水タンク部2と筒状電解部5に対して着脱される構成である。これに関し、具体的な構成を以下に説明する。
【0047】
筒状電解部5は、上記のようにプラス電極6Aとマイナス電極6Bが、携帯用電解水噴霧器1の軸方向、即ち、水タンク部2の中央部に、水タンク部2の軸方向となるように配置され支持されている。
筒状電解部5は、下部が水タンク部2の底部に設けた下部支持部17Aに支持され、上部が水タンク部2内に後述の上部支持部材17Bによって支持されている。
【0048】
先ず、上部支持部17Bによって支持する構成について説明する。筒状電解部5は、水タンク部2の中央部に、水タンク部2の軸方向となるように配置され、筒状電解部5は、上記のようにプラス電極6Aとマイナス電極6Bが、携帯用電解水噴霧器1の軸方向、即ち、水タンク部2の中央部に、水タンク部2の軸方向となるように配置され、筒状電解部5は、下部が水タンク部2の底部にて下部支持部17Aに支持され、上部が水タンク部2の上部にて合成樹脂製の上部支持部17Bにて支持されている。
【0049】
水タンク部2を合成樹脂製の透明部材で構成して、内部の水の量が目視できるようにする場合、筒状電解部5を覆う装飾を施すために、水タンク部2内には、筒状電解部5を取り囲むように装飾筒50が収容されている。この装飾筒50は、図示のように、水タンク部2の水補給開口2Aよりも大径でもって、水タンク部2の上部と下部に支持され、筒状電解部5を取り囲むように水タンク部2と同軸に配置されている。そして、筒状電解部5の上部が、この装飾筒50に上部支持部17Bを介して支持されている。装飾筒50は、多数の通水孔50Aを有し、水タンク部2内の水が筒状電解部5へ流通し易くしている。
【0050】
装飾筒50は、水タンク部2内の水が自由に流通するための多数の通水孔50Aを形成したステンレスからなるパンチングメタル等で構成され、多角形の筒状でもよいが実施例では円筒状であり、円筒状水タンク部2の中央部に筒状電解部5が配置され、筒状電解部5を取り囲むように円筒状装飾筒50が筒状水タンク部2と同軸配置である。また、筒状水タンク部2と円筒状装飾筒50を透明部材にて構成することにより、電解部5を透視できるようにすることもできる。
【0051】
筒状電解部5の下部は、電源部3の後述の筺体23の上面に一体的に矩形環状に形成された下部支持部17A内に支持されている。図示のものは下部支持部17Aが筺体23と一体形成であるが、筺体23とは別個に形成した下部支持部17Aを筺体23の上面に取り付けた構成でもよい。流入口5Eは、下部支持部17Aを貫通して形成されており、水タンク部2内と電解部5内の水の連通は、流入口5Eのみである。
【0052】
組み立てに関し、予め筒状電解部5に上部支持部17Bを取り付けた状態で、装飾筒50の内面と上部支持部17Bの円板状支持部17Cとが圧接して、筒状電解部5の上部が支持される構成となっている。支持部17Cには複数の貫通孔17Pが形成され、この貫通孔17Pは、水補給開口2Aから水タンク部2へ注入される水が通過するためのものである。電源部3は環状パッキン21を介して水タンク部2と相互にネジ結合部22にて、使用者が取り外しできないように固定的に水密状態に結合されている。
【0053】
上記のように、筒状電解部5が、水タンク部2内に下部支持部17Aと上部支持部17Bにて支持された状態において、噴霧機構部4を水タンク部2から取り外し、水タンク部2の水補給開口2Aから水タンク部2へ水を補給する。このとき水は、支持部17Cの貫通孔17Pを通過して流下すると共に、通水孔50Aを通過して装飾筒50の内側と外側の領域に溜まり、且つ下部の流入口5Eから筒状電解部5内にも溜まる。この溜まった水の量は、透明な水タンク部2から目視できる。この状態で、水タンク部2の水補給開口2A側へ噴霧機構部4をネジ結合部11によって取り付ける。この取り付けに伴って連通路部材13の下端部が、筒状電解部5の上部に取り付けた上部支持部17Bに水密状態で嵌合すると共に、噴霧本体部4Bと水タンク部2とは、環状パッキン10によって水密状態となる。
【0054】
後述のように、図10の状態において、コイルバネ8によって本体部4Bから上方へ突出状態に付勢されているプッシュ部4Pは、指でノズルカバー18を押し下げることによりプッシュ部4Pが同時に押し上げられ(プッシュされ)、延出部4P1がコイルバネ40に抗してボール41を下方へ押して電解水導出路7Bを開くと共に、ポンプ室16の空気はプッシュ部4Pの空気押圧部4P2が空気導入孔9を通り過ぎた位置から、連通路15を通して水タンク部2内の水面HLの上面空間ASに加圧空気が作用し、この加圧空気によって、水タンク部2内の水が流入口5Eから電解部5内へ押し込まれる。これと共に、電解水導出路7Aの下端部開口7A1は、図4及び図5に示すように、電解水導出路7Bの拡大径部分によって開放されるため、電解水導出路7A、7Bが連通し、電解部5の電解水は電解水導出路7を通って、ノズル4Aから噴出する。ノズルカバー18の押し下げを止めることにより、コイルバネ8によってプッシュ部4Pと共にノズルカバー18が上昇するため、再度指でノズルカバー18を押し下げることにより、上記同様にして電解水がノズル4Aから噴出する。
【0055】
そして、水タンク部2への水の補給に際しては、水タンク部2に対して、ネジ結合部11の結合が外れる方向へ噴霧本体部4Bを回転させることにより、水タンク部2と噴霧本体部4Bとの結合が外れると共に、連通路部材13の下端部が筒状電解部5の上部に取り付けた上部支持部17Bから外れる。このため、水タンク部2の上面の水補給開口2Aが開放され、上記同様に、水補給開口2Aから水タンク部2への水の補給を行うことができる。
【0056】
上記のように、噴霧機構部4と筒状電解部5の上部とは、上部支持部17Bによって着脱自在に連結されるため、上部支持部17Bは連結部と称することもできる。上記の構成では、筒状電解部5内の上部が上部支持部17Bの円板状支持部17Cを介して装飾筒50に支持されているが、図3及び図4に示すように、上部支持部17Bには円板状支持部17Cを形成せず、上部支持部17Bは噴霧機構部4との連結部としての役目を保ちつつ、上部支持部17Bとは別個に筒状電解部5の上部の支持として、第2の上部支持部53を上部支持部17Bの下方部に設け、この第2の上部支持部53を介して装飾筒50内に支持される構成とすることもできる。上部支持部53には、水補給開口2Aから水タンク部2へ注入される水の通過用貫通孔53Pを形成している。
【0057】
このように上部支持部53による支持の場合も、筒状水タンク部2の上面の水補給開口2Aを開閉するように、噴霧機構部4が筒状水タンク部2と筒状電解部5に対して着脱される構成、及び水補給開口2Aから水タンク部2への水の補給は、上記同様である。
【0058】
円筒状装飾筒50を設けない構成を図8に示す。これにおいて、筒状電解部5は、下部が水タンク部2の底部に設けた下部支持部17Aに支持され、上部が上部支持部17Bによって水タンク部2内に支持される。具体的には、円筒状の水タンク部2の内面に、合成樹脂製の上部支持部17Bの円板状支持部17Cが当接して、筒状電解部5の上部が水タンク部2に支持される。図3の形態に対して、上部支持部17Bの円板状支持部17Cが大きくなっており、その他の構成は図3に示す構成と同様であるため、図3の形態と同じ機能部には同じ符号を付している。
【0059】
電源用電池24は、単3または単4の再充電可能な1.2ボルト〜1.5ボルトの2次電池であり、筺体23内の電池収容部23Aに着脱自在に取り付けられる。電源用電池24は、筺体23内に形成した電池収容部23Aに収容された後、電源部3の下端に水密状態に取り付けられる電池カバー29の取り付けによって、筺体23内に保持される。この保持状態において、電源用電池24は電池カバー29の内側に設けたバネ30によって押圧されて、電源用電池24を電源とした制御回路部25へ電力が供給され、電極6へ電力が供給可能状態となる。電池カバー29を取り外し、電源用電池24を電源部3から取り外した状態で、電源用電池24を所定の充電器へセットすることにより充電可能である。なお、図2に示すように、電池収容部23Aの側面に電池カバー29Aを着脱自在に設け、電源用電池24を電源部3から取り外すようにしてもよい。
【0060】
電解部2でオゾン水を生成するためには、所定電圧以上の電力がプラス電極6Aとマイナス電極6Bへ印加されることが必要である。このため、電力電源用電池24は、複数の電池を直列接続すれば高い電圧が得られるが、携帯用電解水噴霧器1が大型化するため、本発明では、単3または単4の再充電可能な1.2ボルト〜1.5ボルトの2次電池を1個使用し、この電源用電池24の電圧を昇圧手段によって昇圧して電極6に所定電圧(実施例では、5.5ボルト〜5.6ボルト)を印加する。制御回路部25は、このように、電解室5S内での除菌用オゾン水の生成に必要な電圧を電極6へ印加するために、図1及び図15に示すように、電源用電池24を電源として、電源用電池24の電圧を所定の電圧(実施例では、5.5ボルト〜5.6ボルト)まで昇圧するための昇圧回路25Aを備える。
【0061】
携帯用電解水噴霧器1をハンドバッグなどに入れて使用しないときに、何らかの状態によってプッシュ部4Pが押されて噴霧機構部4から電解水が不用意に噴出しないようするために、噴霧機構部4を覆うようにノズルカバー18(キャップ18とも称する)が取り付けられている。本体部4Bの水タンク部2寄りの外周に、環状パッキン19が取り付けられており、プッシュ部4Pを覆うようにノズルカバー18を本体部4Bに被せ、後述のように、水タンク部2方向へ押すことにより、ノズルカバー18が環状パッキン19に圧接して保持される。この状態で、ノズルカバー18は、円筒形本体部1A(筒状水タンク部2)に対して回動可能であるが、容易に着脱できない程度の保持が達成された構成である。本発明では、スイッチ27をノズルカバー18の操作によってON−OFFする構成としている。
【0062】
スイッチ27は、固定側の一次側接片FTと、可動側の二次側接片STとによって構成されており、一次側接片FTは、円筒形本体部1A(筒状水タンク部2)に延びたリード線に接続されてプラス側接片FT1とマイナス側接片FT2とが離間した状態にて本体部4Bに設けられている。また、二次側接片STは、ノズルカバー18の内周面に取り付けた所定面積の導電性の板によって構成されている。離間した状態の一次側接片FTが二次側接片STによる短絡にて(閉じて)ONとなり、この短絡解除にて一次側接片FTが開いてOFFするスイッチ構成である。
【0063】
円筒形本体部1Aに延びたプラス側のリード線58Aと、本体部4Bに設けられているプラス側接片FT1へのリード線との接続、及び、円筒形本体部1Aに延びたマイナス側のリード線58Bと、本体部4Bに設けられているマイナス側接片FT2へのリード線との接続は、いずれも噴霧機構部4を円筒形本体部1Aに取り付けることによって相互に接続される接続端子部57でそれぞれ行なわれる。
【0064】
携帯用電解水噴霧器1をハンドバッグなどに入れて使用しないときは、ノズルカバー18の位置は、図12のように、一次側接片FTと二次側接片STとは非対向位置であり、スイッチONとならない状態、即ちスイッチOFF状態に保たれている。この状態で、ノズル4Aとノズルカバー18に形成した噴霧開口18Aとは合致せず、ノズル4Aはノズルカバー18の側壁にて覆われた状態である。
【0065】
ノズルカバー18には、噴霧開口18Aに対応する下方位置に切り欠き55が形成されており、一方、円筒形本体部1Aの上端部(水タンク部2の上端部)または本体部4Bの側面には、ノズル4Aに対応する下方位置に位置決め用の係止突部56が設けられており、係止突部56に記した位置決め目印56Aと、切り欠き55に記した位置決め目印55Aとが対応した状態で、係止突部56に切り欠き55が対応する位置となる。上記の図12の状態でノズルカバー18を押し下げても、ノズルカバー18の下端が係止突部56に当接して押し下げが阻止される。
【0066】
この状態から電解水を噴霧するためには、図10のように、係止突部56側の位置決め目印56Aと切り欠き55側の位置決め目印55Aとが対応する状態へノズルカバー18を回動させることにより、ノズル4Aと噴霧開口18Aとが合致する状態となる。この状態において、一次側接片FTが二次側接片STを短絡して(閉じて)スイッチ27がONとなる。この状態で電解部5での電解作用が行なわれると共に、LED26が発光して電解作用中を表示するため、ノズルカバー18を押し下げることによりプッシュ部4Pが同時に押し上げられ(プッシュされ)、図11に示すように、切り欠き55が係止突部56に嵌合しつつ、一次側接片FTは二次側接片STを短絡して(閉じて)スイッチ27がON状態を維持したまま、電解水がノズル4Aから噴出する。図11の状態でノズルカバー18を押し下げるごとに、電解水がノズル4Aから噴出する。
【0067】
なお、図9のようにノズルカバー18を円筒形本体部1Aから取り外した状態、または図12のようにノズルカバー18を回動させた状態では、一次側接片FTのプラス側接片とマイナス側接片とが離間した状態のままであるため、スイッチ27がOFF状態となり、電解部5においては電解作用が行なわれない。この状態はLED26が発光していないので、それによって確認できる。
【0068】
上記では、ノズルカバー18の回動位置によって、スイッチ27がON、OFF動作する仕組みであるが、図10の状態が継続すればその間連続して電解部5において電解作用が行なわれるため、スイッチ27をOFFし忘れたときは、電池24の電力が電極6へ供給され続けるため、所謂電池24切れの状態になり易い。これを防止するために、スイッチ27が一旦ONしたときは所定時間(例えば10秒)のみ、電極6へ通電されて電解部5において電解作用が行なわれるように、制御回路部25にタイマ回路25Bを設け、その時間経過後は電極6への通電が終わるようにすればよい。そして、再度スイッチ27をONしなければ、電解部5において電解作用が行なわれない。
【0069】
上記のように、プッシュ部4Pの1プッシュごとに(プッシュごとに)電解水の噴霧が行なわれるため、上記所定時間(実施例では10秒)の間に、プッシュ部4Pを複数回プッシュすることによって、その都度電解水を噴霧することができる。そして、この所定時間(実施例では10秒)中はLED26が発光するので、電解部5において電解作用が行なわれていることが分かる。この所定時間(実施例では10秒)経過にてLED26は消灯(非発光)するが、ノズルカバー18の回動によって、スイッチ27を一旦OFFした後、再度スイッチ27をONすることによって、上記所定時間(実施例では10秒)が開始するため、この時間内にプッシュ部4Pを複数回プッシュすることによって、その都度電解水を噴霧することができる。
【0070】
図15には、制御回路部25に昇圧回路25Aとタイマ回路25Bを設けた一つに実施回路を示している。図15において、タイマ回路25Bは、コンデンサCと抵抗Rの時定数素子と、これに接続されたトランジスタTR1と、スイッチングトランジスタTR2を備え、上記のようにスイッチ27のONによって、電源用電池24の1.2V〜1.5VによってコンデンサCが瞬時に充電され、トランジスタTR1がON(導通)し、それによってスイッチングトランジスタTR2がON(導通)する。トランジスタTR2がON(導通)することによって、昇圧回路25Aへ電源用電池24の1.5Vが印加され、昇圧回路25Aの動作によって、ラインL1とL2(アースライン)間に5.5ボルト〜5.6ボルトに昇圧された電圧が現れ、この昇圧された電圧がプラス電極6Aとマイナス電極6B間に印加され、電解室5S内に除菌用オゾン水が生成される。また、ラインL1とL2(アースライン)間の5.5ボルト〜5.6ボルトによって、LED26が点灯(発光)し、使用者は除菌用オゾン水の生成中であることを視認できる。
【0071】
コンデンサCの充電は、スイッチ27のON時のみとし、スイッチ27のONが継続してもコンデンサCの充電が行われないように充電電圧印加回路27Cを備えることにより、タイマ回路25Bの機能な生きてくる。このため、上記のようにスイッチ27ONによって、充電電圧印加回路27Cを通して電池24のプラス電圧が充電電圧としてコンデンサCへ印加されて、コンデンサCが所定電圧に瞬時に充電される。そして、スイッチ27のONが継続していても、充電電圧印加回路27Cによって充電電圧の印加がOFFするため、それによってコンデンサCの電圧は、抵抗Rを通してコンデンサCと抵抗Rの時定数に従って徐々に放電され、それに伴ってトランジスタTR1の入力レベルが低下し、遂にトランジスタTR1がOFF(非導通)となる。トランジスタTR1のOFF(非導通)によって、スイッチングトランジスタTR2がOFF(非導通)し、昇圧回路25Aへの電源用電池24の1.5Vの印加が停止し、プラス電極6Aとマイナス電極6B間への電力供給が停止するため、電解室5S内での除菌用オゾン水の生成が停止すると共に、LED26が消灯(非発光)となる。再度除菌用オゾン水を生成するためには、ノズルカバー18の回動によって、スイッチ27を一旦OFF後、再度ONすればよい。
【0072】
このように、トランジスタTR1がON(導通)しOFF(非導通)するまでの時間は、コンデンサCと抵抗Rの時定数によって定められる。実施例では、このタイマ動作時間として定めた所定時間を10秒としている。この時間は、使用者が除菌用オゾン水を目標箇所へ噴霧するために必要な好ましい時間であり、コンデンサCと抵抗Rの値を選択することにより、これよりも短く、または長く設定することも可能である。
【0073】
昇圧回路25Aは、図15に示すように、コイルL1、コンデンサC1、ダイオードD1、Nch Power CMOSトランジスタQ1、及びスイッチングレギュレータコントローラSR(セイコーインスツル株式会社製S−8355M55MC)、各抵抗R1〜R4、コンデンサC2、C3等で構成されており、スイッチングトランジスタTR2を通して電源用電池24の1.5Vが印加され、昇圧回路25Aの動作によって、ラインL1とL2(アースライン)間に5.5ボルト〜5.6ボルトに昇圧された電圧が現れる。
【0074】
上記のように、昇圧回路25Aによって電解室5S内での除菌用オゾン水の生成に必要な電圧を電極6へ印加するため、電源用電池24は1.2V〜1.5Vの単3または単4電池が使用でき、小型化となる。また、スイッチ27をONしたときから所定時間(実施例では10秒)のみ電極6に通電することによって、除菌の必要時のみ電解水を生成するため、電池24の寿命を数年に亘るように長く保つことができる。
【0075】
上記のように、スイッチ27の動作によってタイマ回路25Bが動作し、タイマ回路25Bの動作によって昇圧手段としての昇圧回路25Aが動作し、電極6へ昇圧した所定電力が供給される関係であるため、タイマ回路25Bが所定時間経過したときは、昇圧回路25Aへの電力供給が断たれ、電力消費を抑制できる効果がある。
【0076】
スイッチ27は、円筒形本体部1Aに対してノズルカバー18の回動位置によって、ON状態とOFF状態に切り替え動作するため、この原理に基づき、種々の形態とすることができる。
【0077】
また、携帯用電解水噴霧器1をハンドバッグなどに入れて持ち歩くときに、水タンク部2の水が空気導入孔9から流出しないようにするため、及び、水タンク部2内の気泡抜きのために、空気導入孔9には、空気は通すが水は通さない選択膜52を設けている。
【0078】
携帯用電解水噴霧器1の小型化を達成するためには、水タンク部2の大きさを小さくすることが望まれるが、使用性を考慮すれば、水タンク部2の内容積としては、数十回の噴霧ができる水の量を確保する必要がある。
【0079】
本発明の携帯用電解水噴霧器1は、ハンドバッグ等に入れて持ち歩く場合の便利さのために、外観筒状をなす。その一つの実施形態を図14に示す。これにおいて、携帯用電解水噴霧器1は、外形寸法において、透明アクリルで成形した筒状水タンク部2と電源部3が直径22mmの円筒形であり、ノズルカバー18は直径17mmの円筒形であり、電源部3の長さが78mm、タンク部2の長さが53mmであり、携帯用電解水噴霧器1の全体の長さが163mmである。
【0080】
この場合の電極6は、図7に示すように、プラス電極6Aとマイナス電極6Bが交互配置となるように、3枚の板状電極が対向配置され、中間の板状電極をプラス電極6Aとし、その両側の板状電極をマイナス電極6Bとし、この3枚の電極の外周を合成樹脂製の熱収縮チューブで覆って筒状体5Pを形成する。電極6に印加される電圧は、1.2ボルト〜1.5ボルトの単3または単4電池24を昇圧回路によって昇圧して5.5ボルト〜5.6ボルトとしている。実質的に電解水を生成するプラス電極6Aとマイナス電極6Bの対向する面の面積をそれぞれ1.5平方センチメートルとし、プラス電極6Aとマイナス電極6Bの間隔を0.1mm〜1mmの範囲内での所定の間隔とすることにより、電解部5の小型化を図りつつ、所定の濃度のオゾン水と、1回の所定の噴霧量(実施例では、0.1ミリリットル)を確保している。
【0081】
この場合、タンク部2内に満タンで貯留される水の量は、1回の噴霧量の数十倍の10ミリリットルであり、満タン時に電解部5の電解室5Sに貯留される水の量は、1回の噴霧量よりも少ない0.06ミリリットルである。このため、1回の噴霧操作によって、電解室5S内の電解水の量よりも若干多い量の水が、タンク部2内から流入口5Eを通して電解部5内へ押し込まれ、電解室5S内の電解水の全量が電解室5Sから噴霧機構部4へ押し出される。そのため、プラス電極6Aとマイナス電極6Bとの間の電解水が完全に入れ替わると同時に、マイナス電極6Bの表面の気泡も一緒に上方の噴霧機構部4へ流れ、引き続いて行なわれる噴霧では、気泡を含まない正規の電解水をノズル4Aから噴霧することができる。
【0082】
なお、電池24としては、出力が大きく、一回の満充電によって数ヶ月乃至数年に亘って使用可能な長寿命のものであれば構わない。
【0083】
なお、電源部3の外面の金属製装飾体28は、意匠効果のために外面が化学的に梨地処理されたアルミニウムで形成した不透明材である。
【0084】
また、携帯用電解水噴霧器1は、ハンドバッグ等に入れて持ち歩き可能な形態であるが、図1に示すように、タンク部2の外面上部にストラップ係止用のリング51を設ければ、使用者が任意のストラップを取り付け可能である。
【0085】
上記の構成では、ノズルカバー18に切り欠き55を設け、筒状水タンク部2の上端部または噴霧機構部4の本体部4Bの側面に、噴霧機構部4のノズル4Aに対応する下方位置に位置決め用の係止突部56を設けて、係止突部56と切り欠き55とが対応した状態で、電解部5への通電がONとなる構成であるが、これに替わって、筒状水タンク部2の上端部または噴霧機構部4の本体部4Bの側面に、係止突部56に替わる先端円形状係止突部を設け、一方、ノズルカバー18の内側面の下部に、円弧状の溝の一端に縦方向の溝が連通して全体としてL字状をなすガイド溝を形成し、このガイド溝に前記先端円形状係止突部が嵌合するように、両者がノズルカバー18の若干の弾性を利用して嵌合することにより、ノズルカバー18は、円弧状の溝の範囲で円周方向に(左右方向に)回動するが上方へ抜け難い状態に保持されるようにすることができる。そして、上記同様にノズルカバー18の回動位置がノズル4Aと噴霧開口18Aとが合致する第1位置で、一次側接片FTが二次側接片STを短絡して(閉じて)スイッチ27がONとなり、この状態で前記ガイド溝の縦方向の溝の下端に前記先端円形状係止突部が位置し、ノズルカバー18と共にプッシュ部4Pを押すことにより、前記先端円形状係止突部が前記ガイド溝の縦方向の溝を移動し、ノズル4Aから電解水を噴霧する。そして、ノズル4Aと噴霧開口18Aとが合致しない第2位置で、一次側接片FTが二次側接片STから外れて(開いて)スイッチ27がOFFとなると共に、この状態で前記先端円形状係止突部は前記ガイド溝の縦方向から外れて円弧状の溝の一端側へ位置し、ノズルカバー18と共にプッシュ部4Pを押すことができない状態となる。
【0086】
上記の場合は、電解部5でオゾンを発生してオゾン水である電解水を生成するものであるが、次亜塩素酸発生用の電極を用いれば、電極間に塩化物イオンを含む水を貯留させ、この水を電気分解して次亜塩素酸を発生させて、次亜塩素酸水である電解水を生成するものとすることもできる。次亜塩素酸水を生成する場合は、塩化物イオンを含む上水道水等、使用する水が制限されるため、水の補給場所の制限を受けるが、オゾン水を生成する場合は水の種類は問わないため、水がある場所であればどこでも補給できることとなり、使用上の便利さが向上したものとなる。また、アルコール等の消毒液を使用する場合は、補給用の消毒液を持ち歩く必要があるが、オゾン水を生成する場合はその必要がなく、水がある場所であればどこでも補給できるものとなる。
【0087】
携帯用電解水噴霧器1は、長期間使用しているうちに、電極6の表面にカルシウム等のスケールが付着して、電気分解作用が阻害されるため、時々、タンク部2内にクエン酸溶液を入れて電極6を浸すことにより、電極6の表面に付着したカルシウム等のスケールを取り除くことができる。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明に係る携帯用電解水噴霧器は、上記実施例に示した構成に限定されず、種々の形態のものに適用できるものであり、本発明の技術範囲において種々の形態を包含するものである。
【符号の説明】
【0089】
1・・・・・携帯用電解水噴霧器
1A・・・・円筒形本体部
2・・・・・筒状水タンク部
2A・・・・筒状水タンク部の上面開口
3・・・・・電源部
4・・・・・プッシュ式噴霧機構部
4A・・・・ノズル
4P・・・・プッシュ部
5・・・・・筒状電解部
5A・・・・筒状電解部の上面開口
5E・・・・流入口
5P・・・・筒状体
5S・・・・電解室
6・・・・・電極
6A・・・・プラス電極またはマイナス電極
6B・・・・プラス電極またはマイナス電極
7・・・・・電解水導出路
7A・・・・電解水導出路
7B・・・・電解水導出路
8・・・・・コイルバネ
9・・・・・空気導入孔
10・・・・環状パッキン
11・・・・ネジ結合部
12・・・・環状パッキン
13・・・・連通路部材
16・・・・ポンプ室
15・・・・空気の連通路(水補給開口)
17A・・・下部支持部
17B・・・上部支持部
18・・・・ノズルカバー
18A・・・噴霧開口
19・・・・環状パッキン
21・・・・環状パッキン
25・・・・制御回路部
25A・・・昇圧回路
25B・・・タイマ回路
26・・・・LED
27・・・・スイッチ
50・・・・円筒状装飾筒
50A・・・通水孔
51・・・・リング
52・・・・選択膜
53・・・・第2の上部支持部
55・・・・切り欠き
56・・・・係止突部
57・・・・接続端子部
FT・・・・一次側接片
ST・・・・二次側接片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外観筒状をなし、内部に電解水生成用電解部が配置された筒状水タンク部を備えた本体部の上部に前記電解水を噴霧する噴霧機構部を配置し、前記噴霧機構部を覆うようノズルカバーが取り付けられ、前記円筒形本体部に対する前記ノズルカバーの回動位置によって、前記電解部への通電開始用スイッチ部を構成したことを特徴とする携帯用電解水噴霧器。
【請求項2】
中間部に筒状水タンク部を配置し、前記筒状水タンク部の軸方向の一方側に噴霧機構部を他方側に電源部を配置し、前記筒状水タンク部内の中央部には下部から流入した前記筒状水タンク部の水を電気分解して電解水を生成する電解水生成用電極を備えた電解部が配置され、前記噴霧機構部の手動操作にて前記筒状水タンク部内の水を押圧しつつ前記電解部の電解水を先端のノズルから噴霧する前記噴霧機構部が前記筒状水タンク部の開口に水密状態に着脱自在結合され、前記電源部は電池と前記電極へ供給するための前記電池の電圧を昇圧する昇圧回路とを有し、前記噴霧機構部を覆うようノズルカバーが取り付けられ、前記筒状水タンク部に対する前記ノズルカバーの回動位置によって、前記電解部への通電開始用スイッチ部を構成したことを特徴とする携帯用電解水噴霧器。
【請求項3】
前記スイッチ部は、固定側の一次側接片と可動側の二次側接片とによって構成され、前記一次側接片は、前記筒状水タンク部に延びたリード線に接続されたプラス側接片とマイナス側接片を備え、前記二次側接片は、前記ノズルカバーに取り付けた導電性の板によって構成され、前記ノズルカバーの回動位置によって、前記二次側接片と前記一次側接片とを介して前記電解部への通電がONとなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の携帯用電解水噴霧器。
【請求項4】
前記ノズルカバーには噴霧開口とこれに対応する下方位置に切り欠きを備え、前記筒状水タンク部の上端部または前記噴霧機構部の本体部の側面に前記噴霧機構部のノズルに対応する下方位置に位置決め用の係止突部を備え、前記係止突部と前記切り欠きとが対応した状態で前記電解部への通電がONとなることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の携帯用電解水噴霧器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−110537(P2011−110537A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−272278(P2009−272278)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】