説明

携帯用電解水噴霧器

【課題】棚等に設置する電解水噴霧器は存在する。本発明は、ハンドバッグ等に収容して持ち歩く携帯用として好適なスリム形態の携帯用電解水噴霧器を提供するものであり、特に、噴霧機構部が筒状水タンク部と筒状電解部に対して着脱される構成によって、水タンク部への水の補給が容易であり、その着脱操作も容易に行なえるものとする。
【解決手段】外観筒状をなし、中間部に上面に水補給開口を備えた筒状水タンク部を配置し、水補給開口を開閉するように水タンク部の上部に噴霧機構部が水密状態に着脱自在結合され、筒状水タンク部の下部に電源部を配置し、水タンク部内には電解水を生成する電極を含む筒状電解部を備え、筒状電解部は、水タンク部に対して噴霧機構部の着脱に伴って着脱されるよう噴霧機構部から水タンク部内に吊り下げ支持され、筒状電解部は、下部から水タンク部の水が流入しつつ電解水が上部から噴霧機構部へ流れる水の流通路を形成したこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被電解水を電気分解して生成した電解水をスプレー部から噴霧する電解水噴霧器に関し、特に、ハンドバッグ等に収容して持ち歩き、任意の部位に電解水を噴霧してその部位を除菌することに適する携帯用電解水噴霧器に関する。
【背景技術】
【0002】
インフルエンザ等の流行により、病院や人が出入りする公共施設、または家庭の棚等に設置して手指等を除菌または殺菌する器具があり、その一つとして、被電解水を電気分解して生成した電解水をスプレー部から噴霧する電解水噴霧器の技術が存在する。その電解水噴霧器の一つに、被電解水として容器に収容した塩素化合物の溶液を電気分解し、次亜塩素酸またはその塩の溶液である電解水を生成して、これをスプレー部から噴霧する次亜塩素酸生成噴霧器がある(特許文献1参照)。
【0003】
これは多量の塩素化合物の溶液を容器に収容し、この容器の上端にトリガスプレーヤーを着脱自在に取り付け、この取り付けによってトリガスプレーヤーから延びたディップチューブが容器内の塩素化合物の溶液に浸り、指でピストルの引き金を引くようにトリガを操作することにより、1回のトリガ操作によって、0.1ml〜1mlの塩素化合物の溶液が容器内から汲み上げられてノズルから噴霧されるものである。
【0004】
また、電解水噴霧器の他の形態として、略円筒状の容器本体2Aの上面と下面に2段円筒状のキャップ2Bと円板状のキャップ2Cが取り付けられて容器2を構成し、この容器2の上部に、噴霧機構である手動スプレーポンプ3が取り付けられたものがある。これは、容器本体2Aの上面に形成した隔壁6の上側に、キャップ2B内に電解溶液を貯留するタンク4が形成され、この隔壁6の下側で容器2内に電解槽5が形成され、手動スプレーポンプ3から下方へ延びたノズル3aが容器2の中心に配置され、手動スプレーポンプ3を押し圧操作するごとに、電解槽5の電解水が所定量、ノズル3aに吸引されて噴霧口3bから噴霧される構成の電解水生成噴霧器である(特許文献2参照)。
【0005】
特許文献2のものは、容器2の容器本体2A内は、上部に電解槽5が形成され、電解槽5の下方に2本のバッテリとバッテリの電流を制御する基板が背中合わせに配置され、バッテリと基板の下方を下部のキャップ2Cが覆う構成である。
【0006】
即ち、特許文献2のものは、被電解水を入れるタンク4と電解槽5が上下関係の配置となるように、タンク4がキャップ2B内に形成され、電解槽5が容器本体2Aに形成された状態で、容器本体2Aの上端にキャップ2Bがネジ結合される構成である。そして、手動スプレーポンプ3から下方へ延びたノズル3aが容器2の中心に配置されるために、電解槽5が容器本体2Aの上部の一方に偏った位置に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−130263号公報
【特許文献2】特開2009−154030号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この特許文献1のものは、図示された全体形態からして、病院や人が出入りする公共施設や病院、または家庭等の棚等に設置して使用するものであり、携帯用として開発されたものではないことが、一見して判明する。
【0009】
また特許文献2のものは、上記のように、被電解水を入れるタンク4がキャップ2B内に形成され、電解水を生成する電解槽5が容器本体2Aに形成されているため、タンク4と電解槽5が上下に分離し、それが結合される関係である。このため、タンク4に被電解水を入れる場合は、容器本体2Aからキャップ2Bを取り外し、タンク4に被電解水を入れた状態で、容器本体2Aを逆さま状態でもって、容器本体2Aとキャップ2Bとをネジ結合することとなり、被電解水の補充操作を行い難いこと、また、容器本体2Aの電解槽5に電解水が残っておれば、この電解水が零れ落ちることが懸念される。
【0010】
また、特許文献2のものは、手動スプレーポンプ3から下方へ延びたノズル3aが容器2の中心に配置されるために、電解槽5が容器本体2Aの上部の一方に偏った位置に配置されること、更に、電解槽5の下方に2本のバッテリとバッテリの電流を制御する基板が背中合わせに配置されるものであり、これらの構成によって容器2の直径が大きくなる。これらの点は、携帯用を創造するときの支障となるものである。
【0011】
上記の点及び全体形態からして、特許文献2のものは、人が出入りする公共施設や病院の棚等、または家庭等の棚等に設置して使用するものであり、携帯用として開発されたものではないことが、一見して判明する。
【0012】
最近、インフルエンザ等の流行により、手指や出先での便座等を手軽に除菌することが望まれる。このような点に着目して、本発明は、ハンドバッグ等に収容して持ち歩き、手指や出先での便座等の任意の部位を手軽に除菌することに適する携帯用電解水噴霧器を提供するものである。
【0013】
本発明は、ハンドバッグ等に収容して持ち歩く携帯用として好適な外観が筒状をなす形態とし、各部の機能部分の構成及びそれらの配置構成が、上記特許文献のものとは異なる新規な構成とする。
【0014】
そのため、本発明は、タンク内に水を補給し易くすること、及びタンク内の清掃をし易くするために、噴霧機構部の着脱に伴って水タンク部の中央部に配置した電解部も着脱されること、等の構成によって、新規な携帯用電解水噴霧器を提供するものである。
【0015】
また、本発明は、水タンク部の中央部に電解部を配置することにより、噴霧機構部の作動によって水タンク部の水が噴霧機構部へ流れる水の流通路形成をし易くする、新規な携帯用電解水噴霧器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
第1発明の携帯用電解水噴霧器は、外観筒状をなし、中間部に上面に水補給開口を備えた筒状水タンク部を配置し、前記水補給開口を開閉するように前記水タンク部の上部に前記噴霧機構部が水密状態に着脱自在結合され、前記筒状水タンク部の下部に電源部を配置し、前記水タンク部内には前記水タンク部から流入した水を前記電源部から供給される電力によって電解水を生成するプラス電極とマイナス電極を含む筒状電解部を備え、前記筒状電解部は、前記水タンク部に対して前記噴霧機構部の着脱に伴って着脱されるよう前記噴霧機構部から前記水タンク部内に吊り下げ支持され、前記筒状電解部は、下部から前記水タンク部の水が流入しつつ前記電解水が上部から前記噴霧機構部へ流れる水の流通路を形成したことを特徴とする。
【0017】
第2発明の携帯用電解水噴霧器は、第1発明において、前記電源部から前記プラス電極とマイナス電極への電力供給が、前記噴霧機構部の着脱に伴って接続遮断されることを特徴とする。
【0018】
第3発明の携帯用電解水噴霧器は、第1発明または第2発明において、前記筒状電解部は、前記水タンク部内中央部に軸方向に配置され、且つ下部に前記水タンク部の水が流入する流入口を備え上部が前記噴霧機構部へ連通した前記軸方向の水の流通路を形成したことを特徴とする。
【0019】
第4発明の携帯用電解水噴霧器は、第1発明乃至第3発明のいずれかにおいて、前記プラス電極とマイナス電極は、前記軸方向に並行配置され、前記電解部内の水の流通路が前記プラス電極とマイナス電極の対向面間のみで形成されることを特徴とする。
【0020】
第5発明の携帯用電解水噴霧器は、第1発明乃至第4発明のいずれかにおいて、前記筒状電解部を取り囲んで通水孔を形成した装飾筒が配置され、前記装飾筒は前記水タンク部の底部と上部に亘って支持され、前記装飾筒の上端は前記水補給開口が臨む大きさに開口していることを特徴とする。
【0021】
第6発明の携帯用電解水噴霧器は、第5発明において、前記水タンク部と前記装飾筒は円筒状をなし、前記筒状電解部は前記水タンク部内中央部に軸方向に配置され、前記装飾筒は前記水タンク部と同軸配置であることを特徴とする。
【0022】
第7発明の携帯用電解水噴霧器は、第1発明乃至第6発明のいずれかにおいて、前記プラス電極とマイナス電極は、筒状体内に並行配置の板状電極で構成され、前記水の流通路が前記板状プラス電極と板状マイナス電極の対向面間で形成されたことを特徴とする。
【0023】
第8発明の携帯用電解水噴霧器は、第1発明乃至第7発明のいずれかにおいて、前記噴霧機構部は、上下動可能に組み合わされた手動プッシュ部を備え、前記手動プッシュ部のプッシュ時の加圧空気となる空気の導入孔には、空気は通すが水は通さない選択膜を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明は、インフルエンザ等の流行により、手指や出先での便座等を手軽に除菌することへの適用のために、ハンドバッグ等に収容して持ち歩き、手指や出先での便座等の任意の部位を手軽に除菌することに適する携帯用電解水噴霧器を提供できるものとなる。
【0025】
本発明は、外観が筒状をなす形態であり、ハンドバッグ等に収容して持ち歩く携帯用として好適であり、そして、水タンク部に対して噴霧機構部と共に筒状電解部が着脱される構成であるため、タンク内への水の補給がし易く、また、水タンク内の清掃がし易い、新規な携帯用電解水噴霧器を提供できるものである。
【0026】
本発明は、筒状水タンク部内の中央部に筒状電解部が配置支持されており、水タンク部の上面の水補給開口を開閉するように、水タンク部の上部に噴霧機構部が水密状態に着脱自在結合されるため、噴霧機構部と共に筒状電解部が着脱されることにより、その着脱操作が容易に行なえるものとなる。
【0027】
本発明では、電源部から筒状電解部の電極への電力供給が、噴霧機構部の着脱に伴って接続遮断されるため、噴霧機構部の着脱の際の電気接続に係る特別な操作が必要なく、水の補給操作を簡単に行なえるものとなる。
【0028】
本発明では、板状電極間が電解水の生成領域を形成すると共に、噴霧機構部の作動によって水タンク部の水が噴霧機構部へ流れる水の流通路を形成することにより、水タンク部の水を噴霧機構部へ流す流路形成がし易くなる。また、この構成によって、水タンク部の中心部に電解部を配置するコンパクト構成が達成でき、携帯用電解水噴霧器の小型化を図ることができる。
【0029】
本発明では、また、電解部内の水の流通路が電解部のプラス電極とマイナス電極の対向面間のみで形成されることにより、電解部の小型化により水タンク部の小型化が達成され、携帯用電解水噴霧器の小型化を図ることができる。
【0030】
本発明では、また、噴霧機構部に設けた空気の導入孔に、空気は通すが水は通さない選択膜を設けたことにより、噴霧時の空気の導入はスムースに行われるが、携帯用電解水噴霧器をハンドバッグ等に入れて持ち歩く際に、水タンク部の水が空気の導入孔から漏洩する虞もなく、安心な携帯用電解水噴霧器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係る携帯用電解水噴霧器の内部構成を示す説明図である。
【図2】本発明に係る携帯用電解水噴霧器の一体化された噴霧機構部と電解部が水タンク部から取り外された関係を示す説明図である。
【図3】本発明に係る携帯用電解水噴霧器の一体化された噴霧機構部と電解部が水タンク部から取り外された関係を拡大で示す説明図である。
【図4】本発明に係る携帯用電解水噴霧器の一体化された噴霧機構部と電解部を水タンク部に取り付けた状態の説明図である。
【図5】図4のプッシュ部をプッシュした状態を拡大で示す説明図である。
【図6】本発明に係る携帯用電解水噴霧器の電解部の電極構成を示す説明図である。
【図7】本発明に係る携帯用電解水噴霧器の電解部の3枚電極構成を示す横断面図である。
【図8】本発明に係る携帯用電解水噴霧器の電解部の5枚電極構成を示す横断面図である。
【図9】本発明に係る携帯用電解水噴霧器の電解部の4枚電極構成を示す横断面図である。
【図10】本発明に係る携帯用電解水噴霧器の電解部のプラス電極とマイナス電極が同軸配置の円筒形である電極構成を示す説明図である。
【図11】本発明に係る携帯用電解水噴霧器の電解部のプラス電極とマイナス電極一方が円柱形でありその外側に同軸配置の円筒形である電極構成を示す説明図である。
【図12】本発明に係る携帯用電解水噴霧器の外観図である。
【図13】本発明に係る携帯用電解水噴霧器の他の形態として、一体化された噴霧機構部と電解部が水タンク部から取り外された関係を拡大で示す説明図である。
【図14】図13に係る形態において一体化された噴霧機構部と電解部を水タンク部に取り付けた状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の携帯用電解水噴霧器は、外観筒状をなし、中間部に上面に水補給開口を備えた筒状水タンク部を配置し、前記水補給開口を開閉するように前記水タンク部の上部に前記噴霧機構部が水密状態に着脱自在結合され、前記筒状水タンク部の下部に電源部を配置し、前記水タンク部内には前記水タンク部から流入した水を前記電源部から供給される電力によって電解水を生成するプラス電極とマイナス電極を含む筒状電解部を備え、前記筒状電解部は、前記水タンク部に対して前記噴霧機構部の着脱に伴って着脱されるよう前記噴霧機構部から前記水タンク部内に吊り下げ支持され、前記筒状電解部は、下部から前記水タンク部の水が流入しつつ前記電解水が上部から前記噴霧機構部へ流れる水の流通路を形成した構成であり、以下に、その実施例を記載する。
【0033】
なお、本発明における「除菌」とは、除菌前の菌数に比べて除菌後の菌数が、100分の1以下になることを意味する。
【実施例1】
【0034】
以下、本発明に係る携帯用電解水噴霧器1は、図に示すように、外観が円筒形、楕円形、多角形等の筒状をなし、中間部に上面開口2Aの筒状水タンク部2を配置し、下部に電源部3を配置し、上部にプッシュ式噴霧機構部4を配置した構成である。図のものは、略同じ直径で構成された水タンク部2と電源部3によって円筒形本体部1Aを形成し、この上にプッシュ式噴霧機構部4を配置した携帯用電解水噴霧器1を示している。
【0035】
水タンク部2内の中央部には、水タンク部2の水が下部の流入口5Eから流入し上面開口5Aから噴霧機構部4へ流出する筒状電解部5が、水タンク部2に対し噴霧機構部4の着脱に伴って着脱されるように、噴霧機構部4から水タンク部2内に吊り下げ支持され、水タンク部2内にその軸方向に配置される構成である。これによって、主として筒状電解部5の周囲が水タンク部2の水溜め部となり、水タンク部2の水が下部の流入口5Eから電解部5へ流入する。このため、携帯用電解水噴霧器1がプッシュ式噴霧機構部4を上にした垂直状態において、電解部5と水タンク部2の水位HLが同レベルとなる。
【0036】
図4等に示すように、電解部5は、その内部の水に浸るように、オゾンを発生させ電解水を生成するための電解水生成用電極6が収容されており、オゾンを発生することにより除菌用電解水としてのオゾン水を生成するものである。電解部5は、プラス電極6Aとマイナス電極6Bが、携帯用電解水噴霧器1の軸方向、即ち、水タンク部2の中央部に、水タンク部2の軸方向に収容された筒状電解部5を形成している。電極6は、水タンク部2の軸方向に並行に延びた2枚乃至5枚のプラス電極6Aとマイナス電極6Bで構成され、1枚のプラス電極6Aと1枚のマイナス電極6Bの一対で構成することもできるが、除菌用電解水を効果的に生成するためには、電極6の好ましい形態として、プラス電極6Aとマイナス電極6Bが交互配置となるように、少なくとも3枚の板状電極が、所定間隔を存してその板状面が対向配置される。
【0037】
筒状電解部5の構成として、図6に示すように、筒状体5P内にプラス電極6Aとマイナス電極6Bが所定間隔で収容された構成であり、プラス電極6Aとマイナス電極6Bとの間が水の流通路となる電解室5Sである。プラス電極6Aとマイナス電極6B間の電解室5S以外の部分に水が存在すると、この部分ではオゾンを含んでいない水が発生し、これがプッシュ式噴霧機構部4から噴霧されると、除菌効果が損なわれる。これを防止するために、電解部5は、プラス電極6Aとマイナス電極6B間以外の部分を水が流れない筒状構成である。
【0038】
電解部5の一つの実施構成として、図7に横断面で示すように、プラス電極6Aとマイナス電極6Bが交互配置となるよう3枚の板状電極が絶縁材のスペーサ5Bを介して上下方向に略均一な所定間隔(0.1mm〜1mm)を存して対向配置され、中間の板状電極をプラス電極6Aとし、その両側の板状電極をマイナス電極6Bとし、電気分解に作用しない非対向面は、絶縁材で覆うように、この3枚の電極の外周を合成樹脂製の熱収縮チューブで構成した筒状体5Pで覆われている。プラス電極6Aとマイナス電極6Bが交互配置となるよう3枚の板状電極が絶縁性のスペーサ5Bを介して所定間隔に配置された状態のものを熱収縮チューブに挿入し、加熱により熱収縮チューブを収縮させることによって、熱収縮チューブが3枚の電極の周囲に密着することにより、筒状体5Pが形成されることとなる。これによって、プラス電極6Aとマイナス電極6Bとの間で、水の流通路となる電解室5Sが形成され、電解室5Sに存在する水を電気分解してオゾンを発生させ、オゾン水としての電解水を効果的に生成することができる。そして、後述のようにプッシュ式噴霧機構部4の作動によって噴霧されるとき、実質的に電解室5S以外の部分を水が流れない筒状構成となる。
【0039】
電解部5の軸方向に沿ったプラス電極6Aとその両側のマイナス電極6Bの軸方向長さが、略電解部5の軸方向長さに亘る長さである。また、プラス電極6Aとマイナス電極6Bのそれぞれの対向面の電気分解に作用する有効面積が略同じである。
【0040】
筒状体5Pは絶縁材が好ましく、上記のように合成樹脂製の熱収縮チューブで構成してもよく、または、円筒形状または非円筒形状に成形した合成樹脂の成形品で構成してもよい。いずれにしても、プラス電極6Aとマイナス電極6Bとの間で、水の流通路となる電解室5Sが形成され、実質的にプラス電極6Aとマイナス電極6B間以外の部分を水が流れない筒状構成とすればよい。
【0041】
電気分解を速やかに行なうため、及びまたは電解水濃度を高めるためには、図8に示すように、プラス電極6Aとマイナス電極6Bが交互配置にて、絶縁性のスペーサ5Bを介して5枚の板状電極が上下方向に略均一な所定間隔(0.1mm〜1mm)を存して対向配置される形態とすることもできる。図7に示す場合と同様に、筒状体5Pが形成される。
【0042】
3枚の板状電極の場合も、また5枚の板状電極も、後述のように、電極6に所定電圧(実施例では、5.5V〜5.6V)を印加することによって、プラス電極6Aとマイナス電極6Bとの間の電解室5Sに存在する水を電気分解してオゾンを発生させ、オゾン水としての電解水を効果的に生成することができる。
【0043】
上記の場合は、電極6は、水タンク部2の軸方向に並行に延びたプラス電極6Aとマイナス電極6Bが交互配置となるように、3枚または5枚の板状電極が所定間隔を存してその板状面が対向配置しているが、図9のように、絶縁性のスペーサ5Bを介して4枚の板状電極が所定間隔を存してその板状面が対向するように、プラス電極6Aとマイナス電極6Bが交互配置となるように構成することも可能である。また、図9において、プラス電極6Aの位置をマイナス電極6Bとし、マイナス電極6Bの位置をプラス電極6Aとするように配置することもできる。図7に示す場合と同様に、筒状体5Pが形成される。
【0044】
2枚の板状電極の場合も、4枚の板状電極の場合も、また5枚の板状電極の場合も、電解部5の軸方向に沿ったプラス電極6Aとその両側のマイナス電極6Bの軸方向長さが、略電解部5の軸方向長さに亘る長さである。また、プラス電極6Aとマイナス電極6Bのそれぞれの対向面の電気分解に作用する有効面積が略同じである。
【0045】
上記のように、板状のプラス電極6Aとその両側の板状のマイナス電極6B間が、電解水の生成領域を形成すると共に、噴霧機構部4の作動によって水タンク部2の水が噴霧機構部4へ流れる水の流通路を形成するため、水タンク部2の水を噴霧機構部4へ流す流路形成がし易くなり、水タンク部2の中心部に電解部5を配置するコンパクト構成が達成できる。
【0046】
また、上記のように、電解部5の軸方向に沿ったプラス電極6Aとその両側のマイナス電極6Bの軸方向長さが、略電解部5の軸方向長さに亘る長さであることによって、電解部5全体を電解領域とすることができるため、携帯用電解水噴霧器1の全体長さを短くすることができる。
【0047】
また、上記のように、電極6は、板状プラス電極6Aと板状マイナス電極6Bの対向面が電解水生成作用面であり、非対向面が絶縁材で被覆された構成であるため、対向面での電解水生成作用が効果的に行なわれるものとなる。
【0048】
また、上記のように、プラス電極6Aとマイナス電極6Bのそれぞれの対向面の電気分解に作用する有効面積が略同じであることにより、電極のコストを下げることができる。
【0049】
また、電極6の他の形態を図10及び図11に示す。図10の形態は、プラス電極6Aとマイナス電極6Bは、共に同軸配置の円筒形であり、内側の円筒形がプラス電極6Aである場合は、その外側に同軸配置の円筒形がマイナス電極6Bである。また、内側の円筒形がマイナス電極6Bである場合は、その外側に同軸配置の円筒形がプラス電極6Aである。いずれの場合も、外側の円筒形の電極の外側面は、合成樹脂製の熱収縮チューブで構成した筒状体5Pで覆われるか、円筒形に成形した合成樹脂製の筒状体5Pで覆われる。また、他の構成として、外側の円筒形の電極が筒状体5Pを兼用する構成とすることができる。この場合、外側の円筒形の電極の外側面は、絶縁材の層が形成される。
【0050】
また、図11の形態は、プラス電極6Aとマイナス電極6Bのうち、一方が円柱形であり、その外側に同軸配置の円筒形であり、中心部の円柱がプラス電極6Aである場合は、その外側に同軸配置の円筒形がマイナス電極6Bである。また、中心部の円柱がマイナス電極6Bである場合は、その外側に同軸配置の円筒形がプラス電極6Aである。いずれの場合も、外側の円筒形の電極の外側面は、合成樹脂製の熱収縮チューブで構成した筒状体5Pで覆われるか、円筒形に成形した合成樹脂製の筒状体5Pで覆われる。また他の構成として、外側の円筒形の電極が筒状体5Pを兼用する構成とすることができる。この場合、外側の円筒形の電極の外側面は、絶縁材の層が形成される。
【0051】
水タンク部2は上部に上面開口2Aを形成しており、これが水補給開口2Aとなる。この水補給開口2Aを開閉するように、水タンク部2の上部にプッシュ式噴霧機構部4が水密状態に着脱自在結合である。具体的には、水タンク部2の水補給開口2A側へ噴霧機構部4を取り付けたとき、水補給開口2Aが閉じた状態となる。また、噴霧機構部4を水タンク部2から取り外したとき、水補給開口2Aが開放される状態となり、この水補給開口2Aから水タンク部2への水の補給を行なうことができる。
【0052】
水タンク部2の水補給開口2A周縁部、即ち上面開口2A周縁部には、水タンク部2内の水を押圧しつつ電解部5の電解水が先端のノズル4Aから噴霧するための噴霧機構部4が、水タンク部2に水密状態に着脱自在結合となっている。噴霧機構部4は、種々の形態があり、市販品を採用することもできるが、図示の噴霧機構部4では、円筒形のプッシュ部4Pが、環状パッキン12によって水密状態を保ちつつ、円筒形の噴霧本体部4Bに上下動可能に組み合わされ、プッシュ部4Pの側面には、小孔のノズル4Aが開口している。噴霧本体部4Bの下端開口部が水タンク部2の上面開口2A周縁とネジ結合部11によって着脱自在結合となっており、噴霧本体部4Bと水タンク部2とは、環状パッキン10によって水密状態である。
【0053】
噴霧本体部4Bには、水タンク部2内に延びた連通路部材13が、一体的に設けられている。この連通路部材13は、中心部に上下に貫通した電解水導出路7Bを形成している。噴霧機構部4の中心部には、ノズル4Aへ通じるように、上下に貫通した電解水導出路7が形成されている。プッシュ部4Pはノズル4Aへ通じる小径の電解水導出路7Aを形成し、電解水導出路7Aが下方へ延出する延出部4P1を形成している。この延出部4P1は、電解水導出路7Bの上方から、連通路部材13内に形成した電解水導出路7Bへ侵入して、連通路部材13に水密状態で上下動可能に組み合わされている。これによって、電解水導出路7Aと電解水導出路7Bが連通状態となって電解水導出路7が形成され、電解部5からノズル4Aへ通じる電解水導出路7となる。
【0054】
電解水導出路7Bには、電解水漏洩防止機構を備えている。この電解水漏洩防止機構は、図4に示すように、プッシュ部4Pが押圧されないときは、コイルバネ40によって下方へ付勢されるボール41によって電解水導出路7Bを閉じている。そして、後述のように、プッシュ部4Pの押圧によって、電解部5の電解水がコイルバネ40に抗してボール41を押し上げ、電解水導出路7Bの下端が開放されるため、電解部5の電解水は電解水導出路7を通って、ノズル4Aから噴出する。この電解水漏洩防止機構によって、プッシュ部4Pが押圧されない状態において、携帯用電解水噴霧器1を上下逆さまにしたとき、電解部5の電解水が電解水導出路7を通ってノズル4Aから漏洩しないようになる。
【0055】
噴霧本体部4B内にはポンプ室16が形成されている。実施形態の一つとして図4に示すように、噴霧本体部4B内にプッシュ部4Pの空気押圧部4P2と、連通路部材13の基部上面との間にポンプ室16が形成されている。ポンプ室16は、空気導入孔9によって外気と連通し、且つ、連通路部材13の基部を貫通した空気の連通路15及び水タンク部2の水補給開口2Aによって、水タンク部2内と連通している。ポンプ室16に設けたコイルバネ8によって、プッシュ部4Pは本体部4Bから上方へ突出状態に付勢され、この状態でポンプ室16は空気導入孔9によって外気と連通した状態である。連通路部材13の基部を貫通した空気の連通路15は、1箇所でもよいが、略120度ピッチで周囲3箇所に形成してもよい。なお、ポンプ室16の形成のために、例えば、噴霧本体部4Bは、その上面が接着等にて一体化される別部材のトップ部材4B1で形成された構成となっている。
【0056】
本発明では、筒状電解部5は、水タンク部2に対して噴霧機構部4の着脱に伴って着脱されるよう噴霧機構部4から水タンク部2内に吊り下げ支持され、下部から水タンク部2の水が流入しつつ電解水が上部から噴霧機構部4へ流れる水の流通路を形成した構成である。これに関し、具体的な構成を以下に説明する。
【0057】
筒状電解部5は、上記のようにプラス電極6Aとマイナス電極6Bが、携帯用電解水噴霧器1の軸方向、即ち、水タンク部2の中央部に、水タンク部2の軸方向となるように、噴霧機構部4から吊り下げ支持されている。具体的には、筒状電解部5は、連通路部材13の下端部に上部支持部17Bを介して固定状態に支持されており、これによって、噴霧機構部4から固定状態に吊り下げ支持される。
【0058】
筒状電解部5の筒状体5Pの下端部は開放されており、プラス電極6Aとマイナス電極6Bとの間の電解室5Sが開放されている。これによって、筒状電解部5の下端部には、水タンク部2の水が筒状電解部5へ流入する流入口5Eが形成された状態である。具体的には、筒状電解部5は筒状体5Pで覆われており、それによって、筒状電解部5の下端部には、電解室5Sへ水タンク部2の水が流入する流入口5Eが形成された状態である。
【0059】
後述の電源部3から筒状電解部5の電極であるプラス電極6Aとマイナス電極6Bへの電力供給が、筒状水タンク部2に対する噴霧機構部4の着脱に伴って接続遮断されるように、電気的接続部60を設けている。
【0060】
電気的接続部60は、図1乃至図5に示すように、電源部3のプラス電源部とマイナス電源部へリード線61にて接続された筒状水タンク部2側の一次側接続部60Aと、噴霧機構部4に吊り下げ支持された筒状電解部5のプラス電極6Aとマイナス電極6Bへリード線62にて接続された筒状電解部5側の二次側接続部60Bとの着脱によって、筒状電解部5のプラス電極6Aとマイナス電極6Bへの電力供給状態と遮断状態になる構成である。図の構成では、例えば、左側の一次側接続部60Aと二次側接続部60Bが、プラス電極6Aへの電気的接続部601であり、右側の一次側接続部60Aと二次側接続部60Bが、マイナス電極6Bへの電気的接続部602となるように、プラス電極6Aへの電気的接続部601とマイナス電極6Bへの電気的接続部602によって、電気的接続部60を構成している。
【0061】
携帯用電解水噴霧器1の組み立てのし易さを考慮して、電源部3は、環状パッキン21を介して水タンク部2と相互にネジ結合部22にて、使用者が取り外しできないように固定的に水密状態に結合されている。電源部3は、合成樹脂製の筺体23内に、電源用電池24、制御回路部25、LED26等が収容されている。図1に示すように、制御回路部25は、操作部27Pによって電源部3の外面から操作されるスイッチ27によって電源用電池24を電源として作動して、電源用電池24から制御回路部25へ電力が供給され、制御回路部25から電極6へ電力が供給されるように電気的に接続され、電極6を構成するプラス電極6Aとマイナス電極6Bへ電力を供給する。電源部3は、筺体23の外面が装飾のためにアルミニウムなどの金属製装飾体28によって覆われている。LED26は、携帯用電解水噴霧器1の外方から発光が目視できると共に、水が侵入しない防水構造によって、筺体23内に取り付けられている。
【0062】
電源用電池24は、単3または単4の再充電可能な1.2ボルト〜1.5ボルトの2次電池であり、筺体23内に形成した電池収容部23Aに収容されており、制御回路部25の電源として機能する。電源用電池24の充電は、電磁誘導にて充電する所定の充電器へセットすることにより達成できる。なお、電源用電池24を電源部3から取り外し可能な構成によって、電源用電池24を電源部3から取り外し、所定の充電器へセットすることにより充電可能であり、または、新規の電池と交換可能となる。
【0063】
電解部2でオゾン水を生成するためには、所定電圧以上の電力がプラス電極6Aとマイナス電極6Bへ印加されることが必要である。このため、電力電源用電池24は、複数の電池を直列接続すれば高い電圧が得られるが、携帯用電解水噴霧器1が大型化するため、本発明では、単3または単4の再充電可能な1.2ボルト〜1.5ボルトの2次電池を1個使用し、この電源用電池24の電圧を昇圧回路25Aによって昇圧して電極6に所定電圧(実施例では、5.5ボルト〜5.6ボルト)を印加する。制御回路部25は、電解室5S内での除菌用オゾン水の生成に必要な電圧を電極6へ印加するために、電源用電池24を電源として、電源用電池24の電圧を所定の電圧(実施例では、5.5ボルト〜5.6ボルト)まで昇圧するための昇圧回路25Aを備え、且つ、スイッチ27をONしたときから電池24の電力が昇圧回路25Aを介して電極6へ供給される時間を制限するタイマ回路25Bを備えている。
【0064】
携帯用電解水噴霧器1において、電源用電池24の電力を電極6へ供給する方式として、タイマ回路を設けずに、使用者が携帯用電解水噴霧器1を使用する際にスイッチ27をONし、使用が終わったときスイッチ27をOFFするようにすることも可能であるが、もし、スイッチ27をOFFし忘れたときは、電池24の電力が電極6へ供給され続けるため、所謂電池24切れの状態になり易い。本発明では、このようなことを防止するために、スイッチ27として、操作部27Pを押圧したときのみ瞬時の間ONする構成とし、例えば、操作部27Pを押圧したときONし直ちに自動OFFする自動復帰式の押圧式スイッチ、または操作部27Pを押圧したときONし瞬時にOFFするトランジスタを含む回路構成等を採用し、スイッチ27のONからタイマ回路25Bが作動し、所定時間(実施例では10秒)だけ電池24の電力を昇圧回路25Aで昇圧した電圧が電極6へ供給されるようにしている。
【0065】
上記のように、昇圧回路によって電解室5S内での除菌用オゾン水の生成に必要な電圧を電極6へ印加するため、電源用電池24は1.2V〜1.5Vの単3または単4電池が使用でき、小型化となる。また、スイッチ27をONしたときから所定時間(実施例では10秒)のみ電極6に通電することによって、除菌の必要時のみ電解水を生成するため、電池24の寿命を数年に亘るように長く保つことができる。
【0066】
上記のように、筒状電解部5が噴霧機構部4から固定状態に吊り下げ支持された状態の噴霧機構部4を、図2に示すように、水タンク部2から取り外した状態において、水タンク部2の水補給開口2Aから水タンク部2へ水を補給する。この補給された水は、下部の流入口5Eから筒状電解部5内にも溜まる。この溜まった水の量は、水タンク部2が透明であれば、外部から目視できる。このように水タンク部2へ水を補給した状態で、水タンク部2の水補給開口2A側へ噴霧機構部4をネジ結合部11によって取り付ける。この取り付けに伴って、噴霧本体部4Bと水タンク部2とは、環状パッキン10によって水密状態となり、筒状電解部5が水タンク部2の中央部に軸方向に配置される。
【0067】
このように、水タンク部2の水補給開口2A側へ噴霧機構部4をネジ結合部11することによって、左側の一次側接続部60Aと二次側接続部60Bが当接して、プラス電極6Aへの電気的接続部601が接続され、また、右側の一次側接続部60Aと二次側接続部60Bが当接して、マイナス電極6Bへの電気的接続部602が接続状態となる。
【0068】
この状態で、操作部27Pを押圧してスイッチ27をONすることによって、タイマ回路25Bが作動し、電池24の電力を昇圧回路25Aで昇圧した電圧が、各電気的接続部601及び602を通して所定時間(実施例では10秒)だけ電極6へ供給される。この所定時間(実施例では10秒)だけLED26が発光する。
【0069】
この所定時間(実施例では10秒)のうちに、コイルバネ8によって本体部4Bから上方へ突出状態に付勢されているプッシュ部4Pを押圧することによって、延出部4P1がコイルバネ40に抗してボール41を下方へ押すと共に、ポンプ室16の空気はプッシュ部4Pの空気押圧部4P2が空気導入孔9を通り過ぎた位置から、連通路15を通して水タンク部2内の水面HLの上面空間ASに加圧空気が作用し、この加圧空気によって、水タンク部2内の水が流入口5Eから電解部5内へ押し込まれる。この加圧作用によって、電解部5の電解水がコイルバネ40に抗してボール41を押し上げ、電解水導出路7Bの下端が開放されるため、電解部5の電解水は電解水導出路7を通って、ノズル4Aから噴出する。この作用がプッシュ部4Pの1プッシュごとに行なわれるため、上記所定時間(実施例では10秒)のうちに、プッシュ部4Pを複数回プッシュすることによって、その都度電解水を噴霧することができる。この所定時間(実施例では10秒)経過にてLED26は消灯(非発光)するが、再度操作部27Pを押圧してスイッチ27をONすることによって、上記所定時間(実施例では10秒)が開始するため、この時間内にプッシュ部4Pを複数回プッシュすることによって、その都度電解水を噴霧することができる。
【0070】
水タンク部2への水の補給に際しては、水タンク部2に対して、ネジ結合部11の結合が外れる方向へ噴霧本体部4Bを回転させることにより、水タンク部2と噴霧本体部4Bとの結合が外れると共に、筒状電解部5も水タンク部2から外れるため、水タンク部2の上面の水補給開口2Aが開放され、上記同様に、水補給開口2Aから水タンク部2への水の補給を行うことができる。
【0071】
図12に示すように、水タンク部2を透明部材で構成して、内部の水の量が目視できるようにする場合、筒状電解部5を覆う装飾を施すために、水タンク部2内には、筒状電解部5を取り囲むように円筒状の水タンク部2と同軸にて円筒状の装飾筒50を収容した構成とすることができる。この場合、装飾筒50は、その上端が水補給開口2Aよりも大きく開口するように、水タンク部2の水補給開口2Aよりも大径でもって、水タンク部2の上部と下部に支持され、筒状電解部5と間隔をもって筒状電解部5を取り囲むように、水タンク部2と同軸に配置されている。そして、筒状電解部5の上部が、この装飾筒50に上部支持部17Bを介して噴霧機構部4に吊り下げ支持されている。装飾筒50は、多数の通水孔50Aを有し、水タンク部2内の水が筒状電解部5の下部の流入口5Eへ流通し易くしている。
【0072】
装飾筒50は、水タンク部2内の水が自由に流通するための多数の通水孔50Aを形成したステンレスで構成されたパンチングメタル等で構成され、多角形の筒状でもよいが実施例では水タンク部2が円筒状であるため、これに合わせて円筒状である。円筒状水タンク部2の中心軸線上に筒状電解部5が配置され、筒状電解部5を取り囲むように円筒状装飾筒50が、筒状水タンク部2の底部と上部に亘って支持され、筒状水タンク部2と同軸配置である。また、筒状水タンク部2と円筒状装飾筒50を透明部材にて構成することにより、電解部5を透視できるようにすることもできる。
【0073】
この構成でも、筒状水タンク部2の上面の水補給開口2Aを開閉するように、噴霧機構部4が筒状水タンク部2に対して着脱される構成、この着脱に伴って筒状電解部5のプラス電極6Aとマイナス電極6Bへの電力供給状態と遮断状態になる構成、水タンク部2が筒状電解部5へ流入しつつ電解水がノズル部4Aから噴霧される構成、及び水補給開口2Aから水タンク部2への水の補給等は、上記同様である。
【0074】
携帯用電解水噴霧器1をハンドバッグなどに入れて使用しないときに、噴霧機構部4から電解水が不用意に噴出しないようするために、本体部4Bには、プッシュ部4Pを覆うノズルカバー18が着脱自在に取り付けられている。
【0075】
また、携帯用電解水噴霧器1をハンドバッグなどに入れて持ち歩くときに、水タンク部2の水が空気導入孔9から流出しないようにするため、及び、水タンク部2内の気泡抜きのために、空気導入孔9には、空気は通すが水は通さない選択膜52を設けている。
【0076】
携帯用電解水噴霧器1の小型化を達成するためには、水タンク部2の大きさを小さくすることが望まれるが、使用性を考慮すれば、水タンク部2の内容積としては、数十回の噴霧ができる水の量を確保する必要がある。
【0077】
本発明の携帯用電解水噴霧器1は、ハンドバッグ等に入れて持ち歩く場合の便利さのために、外観筒状をなす。その一つの実施形態を図12に示す。これにおいて、携帯用電解水噴霧器1は、外形寸法において、透明アクリルで成形した筒状水タンク部2と電源部3が直径22mmの円筒形であり、電源部3の長さが78mm、タンク部2の長さが53mm、携帯用電解水噴霧器1の全体の長さが163mmである。
【0078】
そして、図11に示すように、プラス電極6Aとマイナス電極6Bが交互配置となるよう3枚の板状電極が対向配置され、中間の板状電極をプラス電極6Aとし、その両側の板状電極をマイナス電極6Bとし、この3枚の電極の外周を合成樹脂製の熱収縮チューブで覆って筒状体5Pを形成する。電極6に印加される電圧は、1.2ボルト〜1.5ボルトの単3または単4電池24を昇圧回路によって昇圧して5.5ボルト〜5.6ボルトとしている。実質的に電解水を生成するプラス電極6Aとマイナス電極6Bの対向する面の面積をそれぞれ1.5平方センチメートルとし、プラス電極6Aとマイナス電極6Bの間隔を0.1mm〜1mmの範囲内での所定の間隔とすることにより、電解部5の小型化を図りつつ、所定の濃度のオゾン水と、1回の所定の噴霧量(実施例では、0.1ミリリットル)を確保している。
【0079】
この場合、タンク部2内に満タンで貯留される水の量は、1回の噴霧量の数十倍の10ミリリットルであり、満タン時に電解部5の電解室5Sに貯留される水の量は、1回の噴霧量よりも少ない0.06ミリリットルである。このため、1回の噴霧操作によって、電解室5S内の電解水の量よりも若干多い量の水が、タンク部2内から流入口5Eを通して電解部5内へ押し込まれ、電解室5S内の電解水の全量が電解室5Sから噴霧機構部4へ押し出される。そのため、プラス電極6Aとマイナス電極6Bとの間の電解水が完全に入れ替わると同時に、マイナス電極6Bの表面の気泡も一緒に上方の噴霧機構部4へ流れ、引き続いて行なわれる噴霧では、気泡を含まない正規の電解水をノズル4Aから噴霧することができる。
【0080】
なお、電池24としては、出力が大きく、一回の満充電によって数ヶ月乃至数年に亘って使用可能な長寿命のものであれば構わない。
【0081】
なお、電源部3の外面の金属製装飾体28は、意匠効果のために外面が化学的に梨地処理されたアルミニウムで形成した不透明材である。
【0082】
図13及び図14には、電気的接続部60の他の形態を採用した一体化された噴霧機構部と電解部が水タンク部か取り外し可能に構成した携帯用電解水噴霧器を示している。図13は、一体化された噴霧機構部と電解部が水タンク部から取り外された関係を拡大で示す説明図であり、図14は、一体化された噴霧機構部と電解部を水タンク部に取り付けた状態の説明図である。
【0083】
図13及び図14において、図3乃至図5の構成と異なるところは、プラス電極6Aへの電気的接続部601とマイナス電極6Bへの電気的接続部602が、上下に分離した位置に配置されることによって、一次側接続部60Aと二次側接続部60Bの接続が良好に行なえるようにしたものである。
【0084】
具体的には、筒状水タンク部2の上面の水補給開口2Aを形成する環状口部の外周下端部に、プラス電極6Aへの一次側接続部60Aを環状に配置し、これに対向するように噴霧機構部4に、プラス電極6Aへの二次側接続部60Bを環状に配置して、プラス電極6Aへの電気的接続部601を構成する。また、筒状水タンク部2の上面の水補給開口2Aを形成する環状口部の上端に、マイナス電極6Bへの一次側接続部60Aを環状に配置し、これに対向するように噴霧機構部4に、マイナス電極6Bへの二次側接続部60Bを環状に配置して、マイナス電極6Bへの電気的接続部602を構成する。なお、環状パッキン10は、電気的接続部602の内側に配置している。
【0085】
この構成によって、筒状水タンク部2の上面の水補給開口2Aに噴霧機構部4を取り付けるとき、噴霧機構部4のねじ込みのいずれの角度位置においても、プラス電極6Aへの一次側接続部60Aと二次側接続部60Bの接触が達成でき、また、マイナス電極6Bへの一次側接続部60Aと二次側接続部60Bの接触が達成できることとなる。
【0086】
図13及び図14の構成において、図3乃至図5の構成と同じ機能部には同じ符号付しており、この構成でも、筒状水タンク部2の上面の水補給開口2Aを開閉するように、噴霧機構部4が筒状水タンク部2に対して着脱される構成、この着脱に伴って筒状電解部5のプラス電極6Aとマイナス電極6Bへの電力供給状態と遮断状態になる構成、水タンク部2が筒状電解部5へ流入しつつ電解水がノズル部4Aから噴霧される構成、及び水補給開口2Aから水タンク部2への水の補給等は、上記同様である。
【0087】
上記のいずれの構成の場合も、電解部5でオゾンを発生してオゾン水である電解水を生成するものであるが、次亜塩素酸発生用の電極を用いれば、電極間に塩化物イオンを含む水を貯留させ、この水を電気分解して次亜塩素酸を発生させて、次亜塩素酸水である電解水を生成するものとすることもできる。次亜塩素酸水を生成する場合は、塩化物イオンを含む上水道水等、使用する水が制限されるため、水の補給場所の制限を受けるが、オゾン水を生成する場合は水の種類は問わないため、水がある場所であればどこでも補給できることとなり、使用上の便利さが向上したものとなる。また、アルコール等の消毒液を使用する場合は、補給用の消毒液を持ち歩く必要があるが、オゾン水を生成する場合はその必要がなく、水がある場所であればどこでも補給できるものとなる。
【0088】
携帯用電解水噴霧器1は、長期間使用しているうちに、電極6の表面にカルシウム等のスケールが付着して、電気分解作用が阻害されるため、時々、タンク部2内にクエン酸溶液を入れて電極6を浸すことにより、電極6の表面に付着したカルシウム等のスケールを取り除くことができる。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明に係る携帯用電解水噴霧器は、上記実施例に示した構成に限定されず、種々の形態のものに適用できるものであり、本発明の技術範囲において種々の形態を包含するものである。
【符号の説明】
【0090】
1・・・・・携帯用電解水噴霧器
2・・・・・筒状水タンク部
2A・・・・筒状水タンク部の上面開口
3・・・・・電源部
4・・・・・プッシュ式噴霧機構部
4A・・・・ノズル
4P・・・・プッシュ部
5・・・・・筒状電解部
5A・・・・筒状電解部の上面開口
5E・・・・流入口
5P・・・・筒状体
5S・・・・電解室
6・・・・・電極
6A・・・・プラス電極またはマイナス電極
6B・・・・プラス電極またはマイナス電極
7・・・・・電解水導出路
7A・・・・電解水導出路
7B・・・・電解水導出路
8・・・・・コイルバネ
9・・・・・空気導入孔
10・・・・環状パッキン
11・・・・ネジ結合部
12・・・・環状パッキン
13・・・・連通路部材
16・・・・ポンプ室
15・・・・空気の連通路(水補給開口)
17A・・・下部支持部
17B・・・上部支持部
18・・・・ノズルカバー
20・・・・保護体
21・・・・環状パッキン
25・・・・制御回路部
26・・・・LED
27・・・・スイッチ
50・・・・円筒状装飾筒
50A・・・通水孔
51・・・・リング
52・・・・選択膜
53・・・・第2の上部支持部
60・・・・電気的接続部
60A・・・一次側接続部
60B・・・二次側接続部
601・・・プラス電極への電気的接続部
602・・・マイナス電極への電気的接続部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外観筒状をなし、中間部に上面に水補給開口を備えた筒状水タンク部を配置し、前記水補給開口を開閉するように前記水タンク部の上部に前記噴霧機構部が水密状態に着脱自在結合され、前記筒状水タンク部の下部に電源部を配置し、前記水タンク部内には前記水タンク部から流入した水を前記電源部から供給される電力によって電解水を生成するプラス電極とマイナス電極を含む筒状電解部を備え、前記筒状電解部は、前記水タンク部に対して前記噴霧機構部の着脱に伴って着脱されるよう前記噴霧機構部から前記水タンク部内に吊り下げ支持され、前記筒状電解部は、下部から前記水タンク部の水が流入しつつ前記電解水が上部から前記噴霧機構部へ流れる水の流通路を形成したことを特徴とする携帯用電解水噴霧器。
【請求項2】
前記電源部から前記プラス電極とマイナス電極への電力供給が、前記噴霧機構部の着脱に伴って接続遮断されることを特徴とする請求項1に記載の携帯用電解水噴霧器。
【請求項3】
前記筒状電解部は、前記水タンク部内中央部に軸方向に配置され、且つ下部に前記水タンク部の水が流入する流入口を備え上部が前記噴霧機構部へ連通した前記軸方向の水の流通路を形成したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の携帯用電解水噴霧器。
【請求項4】
前記プラス電極とマイナス電極は、前記軸方向に並行配置され、前記電解部内の水の流通路が前記プラス電極とマイナス電極の対向面間のみで形成されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の携帯用電解水噴霧器。
【請求項5】
前記筒状電解部を取り囲んで通水孔を形成した装飾筒が配置され、前記装飾筒は前記水タンク部の底部と上部に亘って支持され、前記装飾筒の上端は前記水補給開口が臨む大きさに開口していることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の携帯用電解水噴霧器。
【請求項6】
前記水タンク部と前記装飾筒は円筒状をなし、前記筒状電解部は前記水タンク部内中央部に軸方向に配置され、前記装飾筒は前記水タンク部と同軸配置であることを特徴とする請求項5に記載の携帯用電解水噴霧器。
【請求項7】
前記プラス電極とマイナス電極は、筒状体内に並行配置の板状電極で構成され、前記水の流通路が前記板状プラス電極と板状マイナス電極の対向面間で形成されたことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の携帯用電解水噴霧器。
【請求項8】
前記噴霧機構部は、上下動可能に組み合わされた手動プッシュ部を備え、前記手動プッシュ部のプッシュ時の加圧空気となる空気の導入孔には、空気は通すが水は通さない選択膜を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の携帯用電解水噴霧器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−110540(P2011−110540A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−272290(P2009−272290)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】