説明

携帯端末、及び携帯端末の制御方法

【課題】個々のユーザの操作状況に応じて、最適な操作応答と画面表示とが連動して得られるような制御を実現できる携帯端末を提供する。
【解決手段】外部から入力情報を提供する操作キー2と、操作キー2の操作に連動して表示情報を表示させる表示手段(LCD)3と、操作キー2が提供した入力情報とLCD3が表示させた表示情報とを比較する監視手段(監視部)6と、監視部6が入力情報と表示情報とを比較した比較結果に基づいて、LCD3の表示情報を更新させるか否かの制御を行う制御手段(制御部)5とを備えている。このような構成により、制御部5は、監視部6によって比較された入力情報と表示情報とが異なるときに、LCD3への表示情報の表示をスキップさせる。これにより、CPUの処理負荷と消費電力を低減させることができるので、操作性と向上と省電力化とを図ることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話などの携帯端末の操作を支援するための制御技術に関し、詳しくは、操作キーの入力と画面への表示とを適切に対応させて行うように支援する機能を備えた携帯端末、及びその携帯端末の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯端末などの情報通信機器においては、高機能化に伴って様々な操作支援を行う技術が知られている。例えば、入力された文字列を基に、続いて入力される文字列を予測して1つの文章、熟語、又は単語を完成させるように入力予測処理を行って文章作成支援を行う技術が開示されている。この技術では、続いて入力される文字列の入力時間が所定値より遅いときのみ前記入力予測処理を行い、入力時間が所定値より速いときは、期待した速度で文字入力が行われているので、前記入力予測処理を行わないようにして、続いて入力される文字列通りの文章作成を行わせるようにしている(例えば、特許文献1参照)。また、携帯電話などにおいても、高機能化に伴って様々な入力操作の支援が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−048020号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、携帯電話などは、高機能化に伴って処理負荷と消費電力の増加が一段と進んできている。そのため、処理能力や電力容量が小さい携帯電話の操作性の面においてユーザがストレスを感じたり、次の操作に移るための待ち時間が長いなどなどの理由で不満を抱くことが多々見られる。言い換えると、携帯電話の高機能化や、その携帯電話で展開されるアプリケーションやコンテンツの高機能化に伴って、操作キーのレスポンスやその操作キーが占める処理時間の長さにストレスを感じることが多く見られる。また、携帯電話を利用するユーザにとっては、素早いキー入力操作を行うユーザも存在すれば、キー入力操作の遅いユーザも存在する。そこで、携帯電話における操作性の向上と消費電力の低減化が望まれているなかで、各ユーザの個人差に起因する処理制御や消費電力を低減させるような対策は少なく、全ての携帯電話において一様な制御を行っているのが現状である。
【0005】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、個々のユーザの操作状況に応じて、最適な操作応答と画面表示とが連動して得られるような制御を実現できる携帯端末、及び携帯端末の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題を解決すべくなされたもので、操作キーの操作に基づく入力情報と、前記操作キーの操作に連動する表示手段の表示情報との比較結果に基づいて、前記表示手段の表示情報を更新させるか否かを制御するように構成したことを特徴とする携帯端末である。
【0007】
また本発明は、入力情報を提供する操作キーと、前記操作キーの操作に連動して表示情報を表示させる表示手段と、前記操作キーが提供した入力情報と前記表示手段が表示させた表示情報とを比較する監視手段と、前記監視手段による前記入力情報と前記表示情報との比較結果に基づいて、前記表示手段の表示情報を更新させるか否かの制御を行う制御手段とを備えることを特徴とする携帯端末である。
【0008】
また本発明は、操作キーの操作に基づく入力情報と、前記操作キーの操作に連動する表示手段の表示情報との比較結果に基づいて、前記表示手段の表示情報を更新させるか否かの制御を行うことを特徴とする携帯端末の制御方法である。
【0009】
また本発明は、操作キーによって入力情報を提供する第1のステップと、前記操作キーの操作に連動して表示手段に表示情報を表示させる第2のステップと、前記操作キーが提供した入力情報と前記表示手段が表示させた表示情報とを比較する第3のステップと、前記第3のステップによる前記入力情報と前記表示情報との比較結果に基づいて、前記表示手段の表示情報を更新させるか否かの制御を行う第4のステップとを含むことを特徴とする携帯端末の制御方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の携帯端末によれば、操作キーの入力情報と表示手段(LCD)の表示情報(表示内容)とを比較しながらユーザの操作状況を常時監視し、それぞれの操作状況に最適な制御を行うことにより、操作性の向上と消費電力の低減化を図ることができる。言い換えると、ユーザによる操作キーの入力情報とLCDの表示情報とを比較にして、比較結果に基づいて処理内容を変更することにより、必然的に、省電力制御とCPU処理能力の変更制御とを行うことができる。例えば、操作キーの入力情報とLCDの表示情報とが異なるときには、LCDへの表示情報の表示をスキップさせるように処理内容を変更することにより、必然的に、電源容量及びCPUの処理能力の小さい携帯端末に対して、省電力化とCPUの処理負荷の軽減化とを図ることができる。これにより、携帯端末の動作環境を改善して、使い勝手のよい携帯端末を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施例に適用される携帯電話の外観斜視図である。
【図2】本発明の一実施例に適用される携帯電話の構成を示すブロック図である。
【図3】図2に示す携帯電話の制御の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の携帯端末は、操作キーの操作に基づく入力情報と、前記操作キーの操作に連動する表示手段の表示情報との比較結果に基づいて、前記表示手段の表示情報を更新させるか否かを制御するように構成したことにより、個々のユーザの操作状況に応じて最適な操作応答と画面表示とが連動して得られるような制御を実現できる携帯端末を提供するという目的を達成した。
【0013】
以下、本発明に係る携帯端末の具体的な実施例について、携帯電話を用いて図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本実施例を説明するための全図において、同一の構成要素は原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【実施例】
【0014】
図1は、本発明の一実施例に適用される携帯電話の外観斜視図である。図1に示すように、携帯電話(携帯端末)1は、ユーザが入力操作を行うための操作キー2と、操作キー2による入力情報に応じた情報内容の表示を行う表示手段であるLCD(Liquid Crystal Display:液晶ディスプレイ)3とを主な構成要素としている。
【0015】
図1に示すような構成において、携帯電話1は、ユーザが行う操作キー2による文字入力時において、操作キー2の入力速度に応じて自動的にLCD3の表示状態をON/OFFに切り替え、携帯電話1の最適なパフォーマンス(動作環境)をユーザに提供するように構成されている。具体的には、ユーザが操作キー2を操作したときときの文字入力速度が所定の速度より速い場合は、LCD3の表示文字4が追いつかないために、ユーザの意図しない表示内容となることがある。そのような場合においては、LCD3の表示状態は所望の役割を果たしていないので、LCD3における表示文字4の処理を強制的にスキップさせる。これにより、電力容量が小さく、かつCPUの処理能力が低い携帯電話1に対して、消費電力の低減化を図ることができると共に、CPU処理の最適化を図ることができる。
【0016】
以下、携帯電話1の動作状態に応じた操作キー2の入力情報と、それに対応するLCD3の表示内容とを比較することによって、携帯電話1に最適な動作環境を実現させる方法について詳細に説明する。
【0017】
図2は、本発明の一実施例に適用される携帯電話1の構成を示すブロック図である。先ず、図2に示す携帯電話1の構成について説明する。携帯電話1は、ユーザが文字入力操作を行う操作キー2と、操作キー2によって入力された文字情報を表示するLCD(表示手段)3と、内蔵されたCPUによってメモリやプログラムを動作させて操作キー2やLCD3などのデバイスを制御する制御部(制御手段)5と、ユーザが操作した操作キー2の入力情報(要求)及び操作キーに連動したLCD2の表示情報(処理)の監視を行う監視部(監視手段)6とを備えている。
【0018】
各構成要素の機能についてさらに詳しく説明する。操作キー2は、電話をかける際に電話番号を入力したり、アドレス帳登録などのテキスト入力を行ったり、各種機能の設定入力を行ったりするためのユーザインタフェースである。LCD3は、発信時や着信時において相手方の電話番号を表示する、操作キー2と連動した各種の入力内容を表示する、電子メールの送受信機能で作成、受信したテキストメールの内容を表示する、等の機能を有している。制御部5は、内蔵されたCPUによってメモリやプログラムを動作させて操作キー2やLCD3などのデバイスの制御を行う機能を有している。監視部6は、ユーザが操作した操作キー3の入力情報(要求)と、前記操作キー3と連動したLCD2の表示情報(処理)の監視を行う機能を有している。なお、図2中の矢印は各構成要素の間における制御信号の流れの向きを表している。
【0019】
次に、図2に示す携帯電話1の動作について説明する。図3は、図2に示す携帯電話1の制御の流れを示すフローチャートである。従って、図1及び図2を参照しながら、図3のフローチャートの流れに沿って携帯電話1の制御の流れを説明する。
【0020】
図3において、先ず、ユーザが操作キー2の入力操作を行うことによって、制御部5が制御を開始する(ステップS1)。次に、監視部6が、操作キー2によって入力された入力情報を確認(検出)する(ステップS2)。さらに、監視部6は、操作キー2の操作に連動してLCD3に表示する表示情報(表示内容)を確認(検出)する(ステップS3)。そして、監視部6は、操作キー2の入力情報とLCD3の表示情報とを比較する(ステップS4)。
【0021】
ここで、操作キー2の入力情報とLCD3の表示情報とが一致している場合は(ステップS4で一致)、ステップS1へ戻り、前述のスッテップS1〜ステップS3の処理を繰り返す。一方、操作キー2の入力情報とLCD3の表示情報とが一致していない場合は(ステップS4で不一致)、LCD3の表示処理をスキップする(ステップS5)。そして、ユーザが操作キー2の入力操作を終了するか、または、所定時間に亘って操作キー2の入力操作を中止するのを待つ(ステップS6)。これにより、制御部5は、ユーザの最終的な操作キー2の入力情報を反映させ、LCD3の表示を再開させる(ステップS7)。
【0022】
すなわち、ステップS4における操作キー2の入力情報とLCD3の表示情報との比較結果において、操作キー2の入力情報とLCD3の表示情報とが不一致の場合は、ユーザによる操作キー2の入力速度に対してLCD3の表示処理が間に合わないため、ステップS5において、LCD3への表示処理が行われない間に入力された操作キー2の入力情報は無効化され、LCD3の表示処理がスキップされる。
【0023】
言い換えると、ユーザによる操作キー2の入力速度が速すぎる場合は、操作キー2の入力情報に対してLCD3の表示処理が間に合わないので、操作キー2の入力情報とLCD3の表示情報との間にズレが生じるため、ユーザによる操作キー2の誤入力を引き起こす要因となる。
【0024】
そこで、ユーザによる操作キー2の入力速度が速すぎる場合は、ステップS5においてLCD3の表示処理をスキップすることにより、例えば、その間はLCD3の表示をOFFにしたり、LCD3の表示更新を中止したりすることにより、携帯電話1の消費電力を必要最小限に抑えることができる。また、LCD3の表示処理に費やしていた制御部5のCPUの処理能力を、操作キー2の検出処理などに有効に使うことができる。これによって、制御部5のCPUは携帯電話1の処理能力を最大限に活用して、より高速な処理を実現することができる。
【0025】
また、ステップS5においてLCD3の表示処理をスキップしたときは、ステップS6において、一定時間に亘ってユーザによる操作キー2の入力操作がなければ(例えば、1秒間に亘って操作キー2の入力割り込みがなければ)、ステップS7において、ステップS5でLCD3の表示処理を停止してから、ユーザが操作キー2で入力した最終的な入力情報をLCD3の表示に反映させることにより、LCD3の表示を再開する。
【0026】
以上説明したように、本発明の携帯電話1においては、ユーザによる操作キー2の入力情報とLCD3の表示情報(表示内容)とを比較して、操作キー2の入力情報とLCD3表示情報とが異なる場合はLCD3の表示処理をスキップさせる。これによって、制御部5内のCPUの処理能力を有効に利用して処理速度を優先させることができる。このような処理を行うことにより、携帯電話の消費電力を低減させることができると共に、操作キーによる操作待ち時間を少なくして、ストレスの少ないユーザ操作を実現することができる。
【0027】
以上、本発明の携帯端末を一実施例に基づいて具体的に説明したが、本発明は前記実施例の内容に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明の携帯端末によれば、ユーザの操作上の個人差を解消して使い勝手を向上させているので、汎用の携帯電話などに有効に利用できることは勿論であるが、その他あらゆる情報端末機器などに有効に利用することができる。
【符号の説明】
【0029】
1 携帯電話(携帯端末)
2 操作キー
3 LCD(表示手段)
4 表示文字
5 制御部(制御手段)
6 監視部(監視手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作キーの操作に基づく入力情報と、前記操作キーの操作に連動する表示手段の表示情報との比較結果に基づいて、前記表示手段の表示情報を更新させるか否かを制御するように構成したことを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
前記比較結果において前記入力情報と前記表示情報とが異なるときは、前記表示手段は前記表示情報の表示をスキップさせることを特徴とする請求項1に記載の携帯端末。
【請求項3】
入力情報を提供する操作キーと、
前記操作キーの操作に連動して表示情報を表示させる表示手段と、
前記操作キーが提供した入力情報と前記表示手段が表示させた表示情報とを比較する監視手段と、
前記監視手段による前記入力情報と前記表示情報との比較結果に基づいて、前記表示手段の表示情報を更新させるか否かの制御を行う制御手段と
を備えることを特徴とする携帯端末。
【請求項4】
前記制御手段は、前記監視手段による前記入力情報と前記表示情報との比較結果に基づいて、省電力制御及びCPUの処理負荷の変更制御を行うことを特徴とする請求項3に記載の携帯端末。
【請求項5】
前記制御手段は、前記監視手段によって比較された前記入力情報と前記表示情報とが異なるときは、前記表示手段への表示情報の表示をスキップさせることを特徴とする請求項3に記載の携帯端末。
【請求項6】
前記制御手段は、前記操作キーによる入力情報の提供速度に応じて、前記表示手段に表示させる表示情報を更新させるか否かの制御を行うことを特徴とする請求項3に記載の携帯端末。
【請求項7】
前記制御手段は、前記操作キーによる入力情報の提供速度が所定の速度より速いときは、前記表示手段への表示情報の表示をスキップさせることを特徴とする請求項6に記載の携帯端末。
【請求項8】
操作キーの操作に基づく入力情報と、前記操作キーの操作に連動する表示手段の表示情報との比較結果に基づいて、前記表示手段の表示情報を更新させるか否かの制御を行うことを特徴とする携帯端末の制御方法。
【請求項9】
操作キーによって入力情報を提供する第1のステップと、
前記操作キーの操作に連動して表示手段に表示情報を表示させる第2のステップと、
前記操作キーが提供した入力情報と前記表示手段が表示させた表示情報とを比較する第3のステップと、
前記第3のステップによる前記入力情報と前記表示情報との比較結果に基づいて、前記表示手段の表示情報を更新させるか否かの制御を行う第4のステップと
を含むことを特徴とする携帯端末の制御方法。
【請求項10】
前記第4のステップで比較された前記入力情報と前記表示情報とが異なるときは、前記表示手段への表示情報の表示をスキップさせることを特徴とする請求項9に記載の携帯端末の制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2011−165137(P2011−165137A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−30474(P2010−30474)
【出願日】平成22年2月15日(2010.2.15)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】