説明

携帯端末、店舗端末、送信方法、受信方法、決済システム、決済方法、プログラムおよびコンピュータ読み取り可能な記憶媒体

【課題】特別なデバイスを含まない携帯端末を用いた決済を可能とする技術を提供すること。
【解決手段】携帯端末は、決済口座を示すデータが符号化されてなるPCM形式の出力音声データを出力し、前記出力音声データをDA変換器に変換させることにより当該出力音声データに応じた音声をスピーカに出力させる。店舗端末は、マイクに入力される音声であって、前記携帯端末が出力する音声を示すPCM形式の入力音声データをAD変換器を介して取得し、前記入力音声データに基づいて前記決済口座を示すデータを復号し、前記決済口座を示すデータと、決済金額とを決済サーバに送信し、前記決済サーバから受信した決済の可否を示す情報に基づいて決済の結果を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は携帯端末、店舗端末、送信方法、受信方法、決済システム、決済方法、プログラムおよびコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、非接触型ICチップを内蔵するカードを用いて電子マネーの決済を行う技術が普及しつつある。また電子マネーの扱いをより便利にするため、非接触型ICチップを有する携帯電話にソフトウェアをインストールし、その携帯端末を電子マネーの決済に用いることも行われている。非接触型ICチップは、専用の周波数帯を用いた近接通信を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−272560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非接触型ICチップを内蔵した携帯端末の数は増加傾向にあるものの、スマートフォンの多くや低価格の携帯電話など、非接触型ICチップを搭載していない携帯端末も多い。それは、非接触型ICチップが電波を用いた専用の通信用ハードウェアであることが関連している。非接触型ICチップが組み込まれていない携帯端末がなくならないことは、携帯端末を用いた電子マネー決済が普及する上での障害となっている。非接触型ICチップが組み込まれていない携帯端末を所有しかつ電子マネーを利用する利用者は、非接触型ICカードを別途持ち歩かねばならなかった。
【0005】
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであって、その目的は、携帯端末が非接触型ICチップのような専用の近接通信用ハードウェアを有していない場合でも、その携帯端末を用いて決済することを可能とする技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明にかかる携帯端末は、店舗端末に送信する決済口座を示すデータを取得する手段と、前記決済口座を示すデータが符号化されてなるPCM形式の出力音声データを出力する符号化手段と、前記出力音声データをDA変換器に変換させることにより当該出力音声データに応じた音声をスピーカに出力させる音声出力手段と、を含むことを特徴とする。
【0007】
また、本発明にかかる店舗端末は、マイクに入力される音声であって、携帯端末が出力する決済口座を示すデータが符号化されてなる音声を示すPCM形式の入力音声データをAD変換器を介して取得する音声入力手段と、前記入力音声データに基づいて前記決済口座を示すデータを復号する復号手段と、前記決済口座を示すデータと、決済金額とを残高管理装置に送信する決済問合手段と、前記残高管理装置から受信した決済の可否を示す情報に基づいて決済の結果を示す情報を出力する結果出力手段と、を含むことを特徴とする。
【0008】
また、本発明にかかる送信方法は、店舗端末に送信する決済口座を示すデータを取得するステップと、前記決済口座を示すデータが符号化されてなるPCM形式の出力音声データを出力する符号化ステップと、前記出力音声データをDA変換器に変換させることにより当該出力音声データに応じた音声をスピーカに出力させる出力ステップと、を含むことを特徴とする。
【0009】
また、本発明にかかる受信方法は、マイクに入力される音声であって、携帯端末が出力する決済口座を示すデータが符号化されてなる音声を示すPCM形式の入力音声データをAD変換器を介して取得する入力ステップと、前記入力音声データに基づいて前記決済口座を示すデータを復号する復号ステップと、前記決済口座を示すデータと、決済金額とを残高管理装置に送信する決済問合ステップと、前記残高管理装置から受信した決済の可否を示す情報に基づいて決済の結果を示す情報を出力する結果出力ステップと、を含むことを特徴とする。
【0010】
また、本発明にかかる携帯端末用のプログラムは、店舗端末に送信する決済口座を示すデータを取得する手段、前記決済口座を示すデータが符号化されてなるPCM形式の出力音声データを出力する符号化手段、および、前記出力音声データをDA変換器に変換させることにより当該出力音声データに応じた音声をスピーカに出力させる音声出力手段、としてコンピュータを機能させることを特徴とする。
【0011】
また、本発明にかかる店舗端末用のプログラムは、店舗端末に送信する決済口座を示すデータを取得する手段、前記決済口座を示すデータが符号化されてなるPCM形式の出力音声データを出力する符号化手段、および、前記出力音声データをDA変換器に変換させることにより当該出力音声データに応じた音声をスピーカに出力させる音声出力手段、としてコンピュータを機能させることを特徴とする。
【0012】
また、本発明にかかる決済システムは、上述の携帯端末と店舗端末を含むことを特徴とする。
【0013】
また、本発明にかかる決済方法は、店舗端末に送信する決済口座を示すデータを取得するステップと、前記決済口座を示すデータが符号化されてなるPCM形式の出力音声データを出力する符号化ステップと、携帯端末が前記出力音声データをDA変換器に変換させることにより当該出力音声データに応じた音声をスピーカに出力させる出力ステップと、店舗端末がマイクに入力される音声であって、携帯端末が送信する決済口座を示すデータが符号化されてなる音声を示すPCM形式の入力音声データをAD変換器を介して取得する入力ステップと、前記入力音声データに基づいて前記決済口座を示すデータを復号する復号ステップと、前記決済口座を示すデータと、決済金額とを残高管理装置に送信する決済問合ステップと、前記残高管理装置から受信した決済の可否を示す情報に基づいて決済の結果を示す情報を出力する結果出力ステップと、を含むことを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、DA変換器及びスピーカを含む携帯端末と、AD変換器及びマイクを有する店舗端末と、を用いることにより、非接触型ICチップなどの専用の近接通信用ハードウェアを用いなくても決済することが可能となる。
【0015】
本発明の一態様では、前記符号化手段は前記出力音声データが示す音声の振幅変化を抑制するように当該出力音声データを出力してもよい。
【0016】
本発明の一態様では、携帯端末は、前記店舗端末に対し通信を開始することを示す音声を前記スピーカに出力させ、マイクに入力される音声であって前記通信を開始することを示す音声に前記店舗端末が応答する音声に基づいて前記音声出力手段が出力させる音声の大きさを変更する開始制御手段、をさらに含んでもよい。
【0017】
本発明の一態様では、携帯端末は、前記店舗端末に対し通信を開始することを示す音声を前記音声出力手段を用いて前記スピーカに出力させ、当該通信を開始することを示す音声に前記店舗端末が応答する音声を認識しない場合に、前記音声出力手段が出力させる音声の大きさを変更し、前記店舗端末に対し通信を開始することを示す音声を前記スピーカに出力させることを繰り返す開始制御手段、をさらに含んでもよい。
【0018】
本発明の一態様では、携帯端末は、ユーザIDに基づいて、前記ユーザIDに応じた決済口座を示す情報をネットワークを介して取得する決済情報取得手段をさらに含んでもよい。
【0019】
本発明の一態様では、前記決済口座を示す情報は、暗号化された前記決済口座の残高情報を含んでもよい。
【0020】
本発明の一態様では、携帯端末は、前記決済口座を示す情報に応じた音声をスピーカが出力した後に、更新されかつ暗号化された決済口座の残高情報を含む決済結果情報を前記店舗端末から取得する決済結果取得手段をさらに含んでもよい。
【0021】
本発明の一態様では、店舗端末は、前記マイクに入力される音声であって、携帯端末が通信を開始することを示す音声が所定の条件を満たす場合に、前記携帯端末が出力する音声の大きさを変更させる情報を示す音声をスピーカに出力させる開始応答手段をさらに含んでもよい。
【0022】
本発明の一態様では、前記結果出力手段は、前記残高管理装置から決済可能を示す情報を受信した場合に、前記決済の結果を示す情報として利用者が認識できる所定の音をスピーカに出力させる情報を出力してもよい。
【0023】
本発明の一態様では、前記決済口座を示すデータは暗号化された前記決済口座の残高情報を含み、前記結果出力手段は、前記残高管理装置から決済可能を示す情報を受信した場合に、前記残高管理装置から更新されかつ暗号化された決済口座の残高情報を受信し、当該受信した残高情報を前記携帯端末に送信してもよい。
【0024】
本発明の一態様では、店舗端末は、前記更新されかつ暗号化された決済口座の残高情報を前記携帯端末に送信した後に、前記携帯端末から当該残高情報を受信したことを示す情報を受信した場合に、前記残高管理装置に決済完了を示す情報を送信する完了情報送信手段をさらに含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】第1の実施形態にかかる決済システムの構成の一例を示す図である。
【図2】第1の実施形態にかかる支払者端末および店舗端末のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図3】第1の実施形態にかかる支払者端末が実現する機能を示す機能ブロック図である。
【図4】第1の実施形態にかかる店舗端末が実現する機能を示す機能ブロック図である。
【図5】第1の実施形態にかかる決済サーバが実現する機能を示す機能ブロック図である。
【図6】音声を用いた送信処理のフローの一例を示す図である。
【図7】出力音声データが示す音声の時間推移を示す図である。
【図8】有音区間における波形の一例を示す図である。
【図9】音声を用いた受信処理のフローの一例を示す図である。
【図10】支払者端末の処理フローの一例を示す図である。
【図11】店舗端末の処理フローの一例を示す図である。
【図12】決済サーバの処理フローの一例を示す図である。
【図13】決済サーバが管理する情報の一例を示す図である。
【図14】第2の実施形態にかかる決済システムの構成の一例を示す図である。
【図15】第2の実施形態にかかる支払者端末が実現する機能を示す機能ブロック図である。
【図16】第2の実施形態にかかる店舗端末が実現する機能を示す機能ブロック図である。
【図17】第2の実施形態にかかるブラックボックスが実現する機能を示す機能ブロック図である。
【図18】支払者端末の処理フローの一例を示す図である。
【図19】店舗端末の処理フローの一例を示す図である。
【図20】ブラックボックスの処理フローの一例を示す図である。
【図21】暗号化済残高情報の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下では、本発明の第1の実施形態および第2の実施形態について図面に基づいて説明する。同じ符号を付された構成については、その前に説明した内容と違いが無い場合はその構成の説明を省略する。
【0027】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態にかかる決済システムの構成の一例を示す図である。この決済システムは、支払者端末1と店舗端末2と決済サーバ3とを含む。支払者端末1と店舗端末2とは物理的にはつながれておらず、店舗端末2と決済サーバ3とは専用回線やプライベートネットワークなどの通信回線を介して接続されている。決済サーバ3は店舗端末を所有する店舗に関わらず同じであり、例えばデータセンタに設置されている。決済サーバ3は決済口座の残高情報等を一元的に所有し管理している。図2は、第1の実施形態にかかる支払者端末1および店舗端末2のハードウェア構成の一例を示す図である。支払者端末1および店舗端末2のそれぞれは、プロセッサ11、記憶部12、通信部13、表示操作部14、DA変換器15、AD変換器16、スピーカ17およびマイク18を含む。支払者端末1は、例えば商品に対する支払いをするユーザが所有するスマートフォンや携帯電話であってよい。店舗端末2は主に店舗が所有する決済用の端末であり、POSレジスタやスマートフォンであってよい。図示しないが、決済サーバ3はプロセッサ11、記憶部12、通信部13を含み、例えばPCサーバであってよい。
【0028】
プロセッサ11は、記憶部12に格納されているプログラムに従って動作する。またプロセッサ11は通信部13、表示操作部14、DA変換器15およびAD変換器16を制御する。なお、上記プログラムは、インターネット等のネットワークを介して提供されるものであってもよいし、フラッシュメモリ等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に格納されて提供されるものであってもよい。
【0029】
記憶部12は、RAMやフラッシュメモリ等のメモリ素子やハードディスクドライブ等によって構成されている。記憶部12は、上記プログラムを格納する。また、記憶部12は、各部から入力される情報や演算結果を格納する。
【0030】
通信部13は、他の装置と通信するものであり、有線LANや無線LANを構成する集積回路やアンテナ、通信端子などにより構成されている。通信部13は、CPU11の制御に基づいて、他の装置から受信した情報をCPU11や記憶部12に入力し、他の装置に情報を送信する。なお、通信部13は携帯電話の回線を用いて通信をしてもよい。
【0031】
表示操作部14は、液晶表示パネル等の表示出力デバイスを制御する手段や、タッチパネル等の入力デバイスを制御する手段などによって構成されている。表示操作部14は、プロセッサ11の制御に基づいて、画像データ等を表示出力デバイスに対して出力し、入力デバイスより操作者(ユーザ)からの情報を取得する。
【0032】
DA変換器15は、プロセッサ11の制御に基づいて、PCM形式の出力音声データを出力信号電圧に変換する。DA変換器15は、例えばΔΣ法を用いてDA変換する。またDA変換器15は、操作者による設定に応じて出力信号電圧を変換するボリューム制御の機能も有する。
【0033】
AD変換器16は、プロセッサ11の制御に基づいて、入力信号電圧をPCM形式の入力音声データに変換する。AD変換器16は、例えばΔΣ法を用いてAD変換を行う。
【0034】
スピーカ17は、DA変換器15が出力する出力信号電圧に応じた音声を出力する。スピーカ17は、音声出力用のスピーカであり、主に可聴周波数帯の音声を出力する特性を有する。
【0035】
マイク18は、入力される音声を入力信号電圧に変換する。マイク18は、音声入力用のマイクであり、主に可聴周波数帯の音声を入力する特性を有する。
【0036】
図3は、第1の実施形態にかかる支払者端末1が実現する機能を示す機能ブロック図である。支払者端末1は機能的に、開始制御部61、決済情報取得部62、決済情報送信部63、決済結果取得部64、符号化部65、音声出力部66、復号部67、抽出部68、および音声入力部69を含む。これらの機能は、支払者端末1を構成するプロセッサ11が記憶部12に格納されたプログラムを実行し、DA変換器15、AD変換器16、通信部13等を制御することで実現される。
【0037】
図4は、第1の実施形態にかかる店舗端末2が実現する機能を示す機能ブロック図である。店舗端末2は機能的に、開始応答部71、決済問合部72、結果出力部73、符号化部75、音声出力部76、復号部77、抽出部78、および音声入力部79を含む。これらの機能は、店舗端末2を構成するプロセッサ11が記憶部12に格納されたプログラムを実行し、DA変換器15、AD変換器16、通信部13等を制御することで実現される。
【0038】
図5は、第1の実施形態にかかる決済サーバ3が実現する機能を示す機能ブロック図である。決済サーバ3は機能的に、情報受信部81、残高更新部82、決済可否回答部83および口座管理部84を含む。これらの機能は、決済サーバ3に含まれるプロセッサ11が記憶部12に格納されたプログラムを実行し、記憶部12とデータをやりとりし、通信部13等を制御することで実現される。決済サーバ3は、電子マネー等の決済口座の残高を管理する装置である。
【0039】
決済を行う前には、支払者端末1を所有する支払者が購入したい商品を店員に示し、店員がその商品を識別する情報(バーコードなど)を店舗端末2に入力し、店舗端末2は商品データベース等から支払すべき金額(決済金額)を取得しその金額を記憶部12に記憶するとともに画面を介して支払者に示す。そして、決済の際には、支払者端末1と店舗端末2との間、店舗端末2と決済サーバ3との間で決済に関する1つ以上のデータの通信がなされる。特に、支払者端末1と店舗端末2との間では主に非可聴周波数帯の音声を用いた通信を行っている。支払者端末1から店舗端末2にデータを送信する場合には、大まかに以下の処理が行われる。はじめに支払者端末1の符号化部65が送信するデータを符号化して非可聴周波数帯の音声を含むPCM形式の出力音声データを出力し、音声出力部66はそのPCM形式の出力音声データをDA変換器15に変換させて、送信するデータを示す出力音声を支払者端末1のスピーカ17に出力させる。その出力音声は店舗端末2のマイク18に入力され、店舗端末2の音声入力部79はその音声を示すPCM形式の入力音声データをAD変換器16を介して取得する。さらに抽出部78は入力音声データから非可聴周波数帯の音声を抽出し、復号部77は抽出された音声に基づいて送信データを復号する。
【0040】
ここで、店舗端末2の符号化部75、音声出力部76は、それぞれ支払者端末1の符号化部65、音声出力部66と同様の機能であり、支払者端末1の復号部67、抽出部68、および音声入力部69は、それぞれ店舗端末2の復号部77、抽出部78、および音声入力部79と同様の機能である。
【0041】
以下では、符号化部65,75、音声出力部66,76、復号部67,77、抽出部68,78、および音声入力部69,79の機能の詳細について説明する。ここでは説明の容易のため支払者端末1から店舗端末2に送信する場合の処理について、つまり符号化部65、音声出力部66、復号部77、抽出部78、および音声入力部79の処理について説明する。図6は、音声を用いた送信処理のフローの一例を示す図である。
【0042】
符号化部65は、プロセッサ11および記憶部12を中心として実現される。符号化部65は、送信データが符号化されてなるPCM形式の出力音声データを出力する。
【0043】
出力音声データの形式について説明する。図7は、出力音声データが示す音声の時間推移を示す図である。出力音声データが示す音声は、出力開始を示す同期信号51と、出力終了を示す同期信号52と、時間的にみて同期信号51と同期信号52とに挟まれる複数の伝送信号区間53とからなる。これらの複数の伝送信号区間53は、送信データが変調された信号である。各伝送信号区間53は、音声が出力される有音区間であり、その出力される音声は、予め定められた2種類の音声のうち何れかである。各伝送信号区間53は、送信データを構成するビット配列のうちいずれかに対応する。ここでは、伝送信号区間53に出力される2種類の音声は、互いにその時間幅が異なる。具体的には、値が1となるビットに対応する伝送信号区間53の時間幅Tt1と、値が0となるビットに対応する伝送信号区間53の時間幅Tt0とが異なっている。図7の例では、時間幅Tt1は6ms、時間幅Tt0は2msである。また、隣り合う伝送信号区間53の間には無音区間が配置され、また同期信号51,52とそれらの隣の伝送信号区間53との間にも無音区間が配置される。無音区間の時間幅Tnは10msである。なお、本実施形態では時間幅Tt1と時間幅Tt0とが異なっていれば、時間幅Tt0,Tt1,Tnの時間幅は上述のものと異なっていてもよい。
【0044】
次に符号化部65の処理の詳細について説明する。符号化部65は、まず符号化部65に渡される送信データを取得する(ステップS401)。次に、出力音声データに同期信号51を示す音声データを設定し(ステップS402)、無音区間を示す音声データを追加する(ステップS403)。次に変数iに1を代入し(ステップS404)、複数の伝送信号区間53を出力音声データに追加する処理をする。
【0045】
符号化部65は、送信データからi番目のビットを取得する(ステップS405)。ここで、送信データは順序づけられて並ぶn個のビットの集合であるとする。次に、取得されたビットに応じた時間幅を有する有音区間を示す音声データを出力音声データに追加し(ステップS406)、さらに出力音声データに無音区間を示す音声データを追加する(ステップS407)。そして変数iの値を1増やし(ステップS408)、送信データを構成する全て(n個)のビットについて処理を行っていなければ(ステップS409のN)、ステップS405から処理を繰り返す。全てのビットについて処理を行っていれば(ステップS409のY)、出力音声データに同期信号52を示す音声データを追加する(ステップS410)。これらの処理により、符号化部65は送信データを2進数のビット列とした場合の各ビットに対応する種類の音声(有音区間)を順に出力する出力音声データを出力する。
【0046】
音声出力部66は、プロセッサ11、記憶部12を中心として実現される。音声出力部66は、出力音声データをDA変換器15に変換させることによりその出力音声データが示す音声をスピーカ17に出力させる。具体的には、まず音声出力部66は、出力音声データをDA変換器15に出力し(ステップS411)、DA変換器15はその出力音声データを出力信号電圧に変換する。DA変換器15から出力される出力信号電圧はスピーカ17に入力され、スピーカ17は出力信号電圧に応じた音声を出力する。
【0047】
ここで、有音区間の信号の詳細について説明する。図8は、有音区間における波形の一例を示す図である。実線は有音区間の音声の波形を示し、破線はその波形の振幅の時間変化を示す。有音区間においては、非可聴周波数帯、具体的には20kHz以上かつ出力可能な最大周波数(25kHz程度)以下の周波数の音声が出力されている。非可聴周波数帯の音声を通信に用いることで、周りの人間が不快なノイズを認識することを防ぐことができる。また、符号化部65は有音区間における音声の振幅の変化を抑制するように出力音声データを設定する。より具体的には、出力音声データが示す各有音区間は、音声の振幅が徐増する区間と、音声の振幅が徐減する区間とを有する。音声の振幅が徐増する区間は、無音区間から有音区間に切り替わった後の一定の区間(図8の例では前半部分)であり、音声の振幅が徐減する区間は、有音区間から無音区間に切り替わる前の一定の区間(図8の例では後半部分)である。本実施形態では、上述の特徴を有する有音区間の振幅は、有音区間の時間幅の2倍の周期のサイン関数から求められている。
【0048】
有音区間におけるタイムステップxにおける波形f(x)を示す式を以下に示す。ここで、PCM形式の出力音声データは16ビットであり、−32768〜32767の値を取ることができるとし、1タイムステップは1秒をサンプリングレートで割った時間とする。
【0049】
【数1】

【0050】
ここで、γは出力音声データのサンプリングレートを非可聴周波数帯の音声の周波数で割った値である。サンプリングレートは通信に用いる非可聴周波数帯の周波数の2倍以上かつ自然数倍にするとよい。サンプリング周期と音声の周期との違いにより目的とする周波数より低い周波数が出力されることを防ぐことができるからである。本実施形態では、サンプリングレートが44.1kHz、音声の周波数は22.05kHzとしている。Aは、有音区間のデータとして取りうる最大値を示している。Bは、サンプリングレートを振幅変化を示す周波数1000でわった値である。なお、実際の出力音声データでは、f(x)が示す値のうち小数部の情報は切り捨てられている。
【0051】
f(x)の式は、非可聴周波数帯の音声を示すサイン波に、振幅の時間変化を抑制するサイン波をかけた式になっている。これにより、以下のfs(x)の式が示す有音区間における振幅を一定とするサイン波に比べ振幅の時間変化が抑制される。
【0052】
【数2】

【0053】
ここで、前述のように支払者端末1(および店舗端末2)のスピーカ17は音声用のスピーカであるので、20kHz以上の非可聴周波数帯の音を出力する場合、物理的な特性のために出力信号電圧の変化に追随できない現象が起きる場合がある。その現象がおきると、スピーカ17からより低い周波数のノイズのような音が出力される。上述の現象は、fs(x)が示す有音区間の音声を出力する場合にはほぼ確実に発生するが、f(x)のように振幅の時間変化を制限すると、スピーカ17が出力信号電圧の時間変化に追随しやすくなるため発生しなくなる。これにより、通信時にスピーカ17が発生するノイズであってユーザが認識できるノイズを大幅に減少させることができる。
【0054】
なお、符号化部65が出力する出力音声データにおける1つの伝送信号区間53が、必ずしも1ビットのデータを表さなくてもよい。例えば、1つの伝送信号区間53の時間幅の種類を4種類にし、1つの伝送信号区間53が送信データの2ビットに対応させてもよい。また送信データをk進数(k>3)の値の配列に変換し、k種類の音声のうちそれぞれの値に対応するものを出力するように符号化部65が出力音声データを出力してもよい。
【0055】
図9は、音声を用いた受信処理のフローの一例を示す図である。以下ではこの処理フローに従い復号部77、抽出部78、および音声入力部79が有する機能を説明する。
【0056】
音声入力部79は、プロセッサ11および記憶部12を中心として実現される。音声入力部79は、AD変換器16からマイク18に入力される音声が変換されてなるPCM形式の入力音声データを取得する(ステップS501)。この処理は、マイク18には送信元(支払者端末1のスピーカ17)が出力する音声が入力する状態で行われる。すると、入力音声データには送信データが符号化されてなる音声のデータを含まれる。なお、本実施形態では、サンプリングレートは送信元(支払者端末1)と同じサンプリングレートとしている。
【0057】
抽出部78は、プロセッサ11および記憶部12を中心として実現される。抽出部78は、音声入力部79が取得した入力音声データから非可聴周波数帯の音声を抽出し(ステップS502)、抽出された音声を示すデータを記憶部12に格納する。抽出部78は、非可聴周波数帯の音声を抽出するためにバンドパスフィルタ(bandpass filter)を用いる。この処理を行うことにより、周囲の人の声などのノイズの影響を取り除くことができる。雑音が少ない環境で通信を行う前提であれば、この処理を行なわずに復号部77に入力音声データをそのまま渡してもよい。
【0058】
復号部77は、プロセッサ11および記憶部12を中心として実現される。復号部77は抽出された音声を示すデータに基づいて送信データを復号する。まず、復号部77は抽出された音声の振幅を正規化する(ステップS503)。これにより、マイク18に入力される音声の大きさが通信するごとに異なっていても、後続の処理で問題が生じなくなる。なお、正規化の際にその音声の大きさが所定の範囲の外にある(最大値より大きいあるいは最小値より小さい)場合には、そのことを示す情報(エラー情報)を復号部67が復号するデータを渡す先の機能に通知する。
【0059】
復号部77は、次に有音区間と無音区間との境界を検出し、複数の有音区間のそれぞれの時間幅を検出する(ステップS504)。復号部77は、検出された各有音期間の時間幅に応じて、ビットの値の配列を取得し(ステップS505)、取得した値の配列を復号された受信データとして記憶部12等に出力する(ステップS506)。ここで、復号部77はCRC訂正などの公知の誤り訂正技術を用いて受信データの精度を向上させてもよい。また、送信元(支払者端末1)が出力する伝送信号区間53の時間幅の種類が3以上であれば、それに応じた値の配列を取得して受信データを復号してもよい。
【0060】
DA変換器15に接続されるスピーカ17を含む送信側の装置と、AD変換器16に接続されるマイク18を含む受信側の装置とは、上述の技術を用いて、他のデバイスを付加せずに通信を行うことができる。非可聴周波数帯の音声は電波に比べれば指向性が強いので、送信内容を誤って別の装置が受信する恐れも少なくなり、電波を用いる場合のように混信を防ぐための機能を付加したり操作を複雑化する必要もない。しかも、非可聴周波数帯の音声を用い、かつノイズの発生も抑えられているので、スピーカを用いて通信を行っているにも関わらず、その通信により人が不快な音を認識することはない。そのため、人体への影響も少ない。
【0061】
また、上述の説明ではスピーカ17が出力する音声の時間幅を用いて送信データを符号化しているが、他の変調方法を用いて送信データを符号化してもよい。例えば、AM変調方式のように音声の振幅の違いによって送信するビット配列の各ビットを表してもよいし、FM変調方式のように音声の周波数の違いによってビット配列の各ビットを表してもよい。ただし、音声の時間幅を用いた方が、前者に比べてノイズ等の環境変化に強く、また後者に比べて復号に必要な計算量が少ない。
【0062】
なお、店舗端末2から支払者端末1にデータを送受信する場合は、店舗端末2の符号化部75、音声出力部76が、それぞれ支払者端末1の符号化部65、音声出力部66と同様の処理を行い、支払者端末1の復号部67、抽出部68、および音声入力部69は、それぞれ店舗端末2の復号部77、抽出部78、および音声入力部79と同様の処理を行う。
【0063】
上述の非可聴周波数帯の音声による通信を用いた決済の処理およびその処理を行う機能について、処理の順番に従って説明する。図10は、支払者端末1の処理フローの一例であり、図11は店舗端末2の処理フローの一例を示す図であり、図12は決済サーバ3の処理フローの一例を示す図である。
【0064】
支払者端末1の開始制御部61は、プロセッサ11および記憶部12を中心として実現される。開始制御部61は、スピーカ17に対し店舗端末2に対し開始情報を示す音声を出力させることにより、開始情報を送信する(ステップS101)。開始情報は、通信の開始を店舗端末2に知らせる情報である。より具体的には、開始制御部61は、開始情報を送信データとして符号化部65に符号化させ、音声出力部66を介して符号化部65が出力する出力音声データをDA変換器15に変換させることで、開始情報を示す音声をスピーカ17に出力させる。
【0065】
店舗端末2の開始応答部71は、プロセッサ11および記憶部12を中心として実現される。開始応答部71は、マイク18に入力される音声から支払者端末1が出力する開始情報を取得し、開始情報に応答するACK信号を示す音声を店舗端末2のスピーカ17に出力させる。また、マイク18に入力される開始情報を示す音声の大きさが所定の範囲にない場合に、支払者端末1のスピーカ17が出力する音声の音量を、その大きさが所定の範囲に入るように変更させる情報を示す音声をスピーカに出力させる。より具体的には、はじめに、音声入力部79は、開始応答部71の指示に基づいて、マイク18に入力される音声が変換されてなるPCM形式の入力音声データを取得する(ステップS201)。次に、開始応答部71は、その入力音声データに基づいて抽出部78および復号部77が処理をした結果として、復号された情報やエラー情報を取得する。開始応答部71は、エラー情報が、取得した音声が小さすぎてデコードできないなど、取得した音声の大きさが所定の範囲にあることを示さない場合(ステップS202のN)には、支払者端末1の音声出力部66によりスピーカ17が出力する音声の音量を、取得した音声の大きさが所定の範囲に入るように変更させる(上述の場合には大きくさせる)音量補正信号を示す音声を店舗端末2の符号化部75および音声出力部76を用いてスピーカ17に出力させ(ステップS203)、その応答となる音声のデータを取得するようステップS201から繰り返す。開始応答部71は、エラー情報が、取得した音声の大きさが所定の範囲にあることを示す場合(ステップS202のY)には、取得した音声から復号された情報が開始情報であるか判定する(ステップS204)。その情報が開始情報でない場合には(ステップS204のN)、ステップS201から音声のデータを取得することを繰り返す。またその情報が開始情報である場合には(ステップS204のY)、開始情報に応答するACK信号を示す音声を店舗端末2の符号化部75および音声出力部76を用いてスピーカ17に出力させる(ステップS205)。
【0066】
支払者端末1の音声入力部69、抽出部68、復号部67は、一定の時間の間にマイク18から入力される音声について上述の受信処理を行い、受信データがあれば、その受信データを店舗端末2が応答する音声から復号された応答情報として受信する(ステップS102)。次に、開始制御部61は、その応答情報が音量補正信号であるか、応答情報を受信していない場合には(ステップS103のY)、音声出力部66が音量補正信号が示す大きさで音声を出力させるよう、あるいは音量補正信号を受信していない場合にはその大きさを大きくするように音声出力部66の音量を変更し(ステップS104)、再度ステップS101の開始情報を送信することから繰り返す。また、応答情報を受信しておりその応答情報が音量補正信号でなく、さらにACK信号でもない場合には(ステップS105のN)、ステップS101から繰り返す。そして応答情報がACK信号の場合には(ステップS105のY)、決済情報送信部63の処理を行う。
【0067】
これまでに説明した開始制御部61や開始応答部71の処理によって、通信に必要な音声のボリュームを適切に調整することができる。これにより、セキュリティと通信エラーとのバランスを最適に調整することができる。
【0068】
支払者端末1の決済情報送信部63は、プロセッサ11および記憶部12を中心として実現される。決済情報送信部63は、予め記憶部12に記憶されている決済口座を示すデータである決済口座情報を取得し(ステップS106)、符号化部65および音声出力部66に送信データとして決済口座情報を入力することで、スピーカ17の音声を介して決済口座情報を送信する(ステップS107)。決済口座情報は、この例では口座番号である。
【0069】
ここで、決済口座情報は、予め決済情報取得部62により事前に取得され、記憶部12に記憶された情報である。決済情報取得部62は、プロセッサ11、記憶部12および通信部13を中心として実現される。決済情報取得部62は、ユーザIDとパスワードなどの認証情報とを通信部13を用いてネットワークを介して決済サーバ3に送信し、決済サーバ3からユーザIDに応じた口座情報を取得する。
【0070】
決済サーバ3の口座管理部84は、プロセッサ11、記憶部12および通信部13を中心として実現される。口座管理部84は、口座情報および残高情報を管理する。図13は決済サーバ3が管理する情報の一例を示す図である。図13に示す情報は記憶部12に記憶されている。図13の「UserID」の欄はユーザIDを、「PW」の欄はパスワードを、「Account Number」の欄は口座情報を、「Balance」の欄は残高情報であるユーザの残高を示す。これらの情報は図示しないキーバリューストアに格納されている。
【0071】
ユーザIDおよびパスワードは、事前に支払者端末1を保有するユーザを登録する際に設定される情報である。口座管理部84は、支払者端末1やPC等を介してユーザから個人情報の入力を受け、さらにそのユーザとの間でユーザID、パスワードを決定し、記憶部12に記憶する。また口座管理部84は口座番号を生成し記憶部12に記憶する。さらに口座管理部84は、ユーザIDに対応する口座情報を支払者端末1の決済情報取得部62に送信する。また口座管理部84は、支払者端末1の決済情報取得部62からユーザIDとパスワードなどの認証情報とを受信した場合、そのユーザIDについて認証情報を用いて認証を行い、認証できれば口座情報を決済情報取得部62に送信する。こうすることで、ユーザはユーザIDとパスワードを記憶していれば、支払者端末1を他のものに変えても、新しい支払者端末1で決済を行うことが可能になる。もちろん、口座情報をユーザにも見せないことで、セキュリティを確保することもできる。なお、口座管理部84は入出金履歴などの利用履歴も管理してよいし、口座管理部84が支払者端末1を用いて支払者がクレジットカード等から入金する画面を提供してもよいし、支払者端末1側で残高が所定の金額より低い場合に自動的に口座管理部84にアクセスし所定額を入金するようにしてもよい。
【0072】
ここで、支払者端末1が決済口座情報を送信した後の店舗端末2の処理以降を説明する。まず、店舗端末2の音声入力部79、抽出部78、復号部77は、マイク18から入力される音声について上述の受信処理を行い、その受信データを決済口座情報として受信する(ステップS206)。
【0073】
店舗端末2の決済問合部72は、プロセッサ11、記憶部12および通信部13を中心として実現される。決済問合部72は、決済口座を示すデータである決済口座情報と、決済金額とを決済サーバ3に送信する(ステップS207)。
【0074】
決済サーバ3の情報受信部81は、プロセッサ11、記憶部12および通信部13を中心として実現される。情報受信部81は、決済口座情報と、決済金額とを店舗端末2から受信する(ステップS301)。
【0075】
決済サーバ3の残高更新部82は、プロセッサ11および記憶部12を中心として実現される。残高更新部82は、受信した決済口座情報が示す口座の残高を取得する(ステップ302)。そして、残高が決済金額以上でなければ(ステップS303のN)、支払い不可を示す決済結果情報を店舗端末2に送信する(ステップS304)。そして、残高が決済金額以上であれば(ステップS303のY)、残高から決済金額を減算することで残高を更新し(ステップS305)、支払い許可を示す決済結果情報を店舗端末2に送信する(ステップS306)。図12の例では決済サーバ3の決済に関する処理はこれで終了する。
【0076】
店舗端末2の結果出力部73は、プロセッサ11および記憶部12を中心として実現される。結果出力部73は、決済サーバから決済の可否を示す決済結果情報を受信する(ステップS208)。そして結果出力部73は、決済結果情報に基づいて決済の結果を示す情報を出力する。より具体的には、結果出力部73は、符号化部75および音声出力部76を用いて、決済結果情報を送信データとして支払者端末1に決済結果情報を送信し(ステップS209)、また決済結果情報が支払い許可を示す場合(ステップS210のY)には成功音のデータを音声出力部76に渡し、店舗端末2のスピーカ17に成功音を出力させ(ステップS211)、決済結果情報が支払い不可を示す場合(ステップS210のY)には失敗音のデータを音声出力部76に渡し、店舗端末2のスピーカ17に失敗音を出力させる(ステップS212)。なお、結果出力部73は、支払者端末1に決済結果情報を送信しなくてもよい。
【0077】
支払者端末1の決済結果取得部64は、プロセッサ11、記憶部12および表示操作部14を中心として実現される。決済結果取得部64は、音声入力部69、抽出部68、復号部67を用いて決済結果情報を受信し(ステップS108)、決済結果情報が支払い不可を示す場合には(ステップS109のN)表示操作部14を介して失敗メッセージを出力する(ステップS110)。
【0078】
これまでに説明した決済方法によれば、スマートフォンや携帯電話機などにアプリケーションプログラムをインストールするだけで、非接触型ICチップを搭載していないスマートフォンや携帯電話機であっても支払者端末1になることができる。スマートフォンや携帯電話機は、必ずDA変換器15とそれに接続されるスピーカ17、AD変換器16とそれに接続されるマイク18を装備しているからである。アプリケーションプログラムは、決済事業者が用意するサーバによって配信されてもよいし、スマートフォンやOSを提供する事業者、あるいは携帯電話のキャリアが提供する配信システムによって配信されてもよい。
【0079】
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、第1の実施形態に対し、残高情報を支払者端末1に保持することで、残高情報を必ずしも決済サーバ3で一元管理しなくてもよい点が異なる。以下では第2の実施形態について、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0080】
図14は、第2の実施形態にかかる決済システムの構成の一例を示す図である。この決済システムは、支払者端末1と店舗端末2とブラックボックス4とを含む。第1の実施形態と比べると、支払者端末1と店舗端末2とは物理的にはつながれていない点は同様であるが、ブラックボックス4は店舗ごとに存在し、決済口座の残高情報そのものを保有せず残高情報を一元管理していない点が主に異なる。支払者端末1および店舗端末2のハードウェア構成は第1の実施形態の図2で説明したものと同じであるので説明を省略する。また図示しないが、ブラックボックス4はプロセッサ11、記憶部12、通信部13を含む。ブラックボックス4に含まれるプロセッサ11や記憶部12はリバースエンジニアリングや暗号キーの流出を防ぐために外部からのデータの読み出しを制限する機能を有する。
【0081】
図15は、第2の実施形態にかかる支払者端末1が実現する機能を示す機能ブロック図である。支払者端末1は機能的に、開始制御部61、決済情報送信部63、決済結果取得部64、符号化部65、音声出力部66、復号部67、抽出部68、および音声入力部69を含む。これらの機能は、支払者端末1を構成するプロセッサ11が記憶部12に格納されたプログラムを実行し、DA変換器15、AD変換器16、通信部13等を制御することで実現される。
【0082】
図16は、第2の実施形態にかかる店舗端末2が実現する機能を示す機能ブロック図である。店舗端末2は機能的に、開始応答部71、決済問合部72、結果出力部73、完了情報送信部74、符号化部75、音声出力部76、復号部77、抽出部78、および音声入力部79を含む。これらの機能は、店舗端末2を構成するプロセッサ11が記憶部12に格納されたプログラムを実行し、DA変換器15、AD変換器16、通信部13等を制御することで実現される。
【0083】
図17は、第2の実施形態にかかるブラックボックス4が実現する機能を示す機能ブロック図である。ブラックボックス4は機能的に、情報受信部91、暗号復号部92、残高更新部93、暗号部94、決済可否回答部95、決済終了部96を含む。これらの機能は、ブラックボックス4に含まれるプロセッサ11が記憶部12に格納されたプログラムを実行し、通信部13等を制御することで実現される。ブラックボックス4は、支払者端末1から受け取った電子マネー等の決済口座の残高を変更(管理)する装置である。なお、ある店舗に複数の店舗端末2が設置されていてもブラックボックス4は店舗に1つでよい。ネットワークを介して店舗端末2とブラックボックス4を接続すれば、店舗端末2ごとにブラックボックス4を設ける必要はないからである。またブラックボックス4が一般的な通信機能を有すると、ブラックボックス4に接続することが容易になる。例えば店舗端末2がスマートフォンのように拡張が難しい機器である場合でも、容易にブラックボックス4のセキュリティ機能を利用できる。
【0084】
第2の実施形態にかかる符号化部65,75、音声出力部66,76、復号部67,77、抽出部68,78、および音声入力部69,79は、第1の実施形態と同じ機能であるので説明を省略し、以下では決済の処理およびその決済を行う機能について処理フローに従い説明する。図18は、支払者端末1の処理フローの一例であり、図19は店舗端末2の処理フローの一例を示す図であり、図20はブラックボックス4の処理フローの一例を示す図である。
【0085】
支払者端末1の開始制御部61は、プロセッサ11および記憶部12を中心として実現される。開始制御部61は、スピーカ17に対し店舗端末2に対し開始情報を示す音声を出力させることにより、開始情報を送信する(ステップS151)。より具体的には、開始制御部61は、開始情報を送信データとして符号化部65に符号化させ、音声出力部66を介して符号化された出力音声データをDA変換器15に変換させて、開始情報を含む音声をスピーカ17に出力させる。
【0086】
店舗端末2の開始応答部71は、プロセッサ11および記憶部12を中心として実現される。開始応答部71は、マイク18に入力される音声から支払者端末1が出力する開始情報を取得し、開始情報に応答するACK信号を示す音声を店舗端末2のスピーカ17に出力させる。また、マイク18に入力される開始情報を示す音声の大きさが所定の範囲にない場合に、支払者端末1のスピーカ17が出力する音声の音量を、その大きさが所定の範囲に入るように変更させる情報を示す音声を店舗端末2のスピーカ17に出力させる。より具体的には、はじめに、音声入力部79は、開始応答部71の指示に基づいて、マイク18に入力される音声が変換されてなるPCM形式の入力音声データを取得する(ステップS251)。次に、開始応答部71は、その入力音声データに基づいて抽出部78および復号部77により復号された情報を取得する。次に開始応答部71は、取得した音声から復号された情報が開始情報であるか判定する(ステップS252)。その情報が開始情報でない場合には(ステップS252のN)、ステップS251から音声のデータを取得することを繰り返す。またその情報が開始情報である場合には(ステップS252のY)、開始情報に応答するACK信号を示す音声を店舗端末2の符号化部75および音声出力部76を用いてスピーカ17に出力させる(ステップS253)。
【0087】
支払者端末1の音声入力部69、抽出部68、復号部67は、マイク18から入力される音声について上述の受信処理を行い、受信データがACK信号であるか判定する(ステップS152)。ACK信号を受信していない場合には(ステップS152のN)、再度受信処理から繰り返す。ACK信号を受信した場合には(ステップS152のY)、決済情報送信部63の処理を行う。なお、第1の実施形態のように、店舗端末2が音声の大きさをチェックし必要に応じて音量補正信号を送信し、支払者端末1がその信号等に応じて音量を変更するようにしてもよい。
【0088】
支払者端末1の決済情報送信部63は、プロセッサ11および記憶部12を中心として実現される。決済情報送信部63は、予め記憶部12に記憶されている決済口座を示すデータである暗号化済残高情報を取得し(ステップS153)、符号化部65および音声出力部66に送信データとして暗号化済残高情報を入力することで、音声を介して暗号化済残高情報を送信する(ステップS154)。
【0089】
図21は、暗号化済残高情報の一例を示す図である。暗号化済残高情報は、暗号化されたデータ(暗号化部)とチェックサムとを含む。チェックサムはデータの転送が問題なく行われたか否かを確認するための誤り検出符号の一種であり、開始情報や第1の実施形態における決済口座情報など、符号化部65,75、復号部67,77を用いて通信する他のデータにも含まれている。暗号化部は、口座番号(Account No)、残高情報(Balance)、およびコントロールコード(Control Code)が暗号化されたデータである。口座番号は64ビット長であり、残高情報は16ビット長であり、コントロールコードは16ビット長である。コントロールコードは、口座番号や残高情報等から非公開の計算方法を用いて計算される値であり、第三者は生成することができない。ブラックボックス4側でコントロールコードが正しいかチェックすることで、改ざんを検出する。よって、仮に暗号化済残高情報を改ざんしようとする者がいても、暗号化キーとコントロールコードの計算方法の秘密の2つの情報を取得せねばならないので、セキュリティが確保される。
【0090】
店舗端末2の音声入力部79、抽出部78、復号部77は、マイク18から入力される音声について受信処理を行い、その受信データを暗号化済残高情報として受信する(ステップS254)。
【0091】
店舗端末2の決済問合部72は、プロセッサ11、記憶部12および通信部13を中心として実現される。決済問合部72は、決済口座を示すデータである暗号化済残高情報と、決済金額とをブラックボックス4に送信する(ステップS255)。
【0092】
ブラックボックス4の情報受信部81は、プロセッサ11、記憶部12および通信部13を中心として実現される。情報受信部81は、暗号化済残高情報と、決済金額とを店舗端末2から受信する(ステップS351)。
【0093】
ブラックボックス4の暗号復号部92は、プロセッサ11および記憶部12を中心として実現される。暗号復号部92は、記憶部12に記憶されている秘密鍵を用いて暗号化済残高情報を復号し、残高を取得する(ステップS352)。
【0094】
ブラックボックス4の残高更新部93は、プロセッサ11および記憶部12を中心として実現される。残高更新部93は、残高が決済金額以上である場合に(ステップS353のY)、残高から決済金額を減算して残高を更新する(ステップS355)。
【0095】
ブラックボックス4の暗号部94は、プロセッサ11および記憶部12を中心として実現される。暗号部94は記憶部12に記憶されている秘密鍵を用いて更新された残高や口座番号などの情報を暗号化し、暗号化済残高情報を生成する(ステップS356)。
【0096】
ブラックボックス4の決済可否回答部95は、プロセッサ11および記憶部12を中心として実現される。決済可否回答部95は、残高が決済金額以上である場合に更新された残高等を暗号化した暗号化済残高情報と支払い許可を示す支払情報を店舗端末2に送信し(ステップS357)、残高が決済金額未満である場合に(ステップS353のN)、支払い不可を示す支払情報を店舗端末2に送信する(ステップS354)。なお、支払許可を示す支払情報には、平文の残高の情報も含まれる。この残高は、支払者端末1が利用者に残高を知らせるために用いられる。
【0097】
店舗端末2の結果出力部73は、プロセッサ11および記憶部12を中心として実現される。結果出力部73は、ブラックボックス4から決済の可否(決済結果)を示す情報である支払情報を受信し、支払許可の場合には暗号化済残高情報も受信する(ステップS256)。そして結果出力部73は、支払者端末1に決済の結果を示す支払情報を送信する(ステップS257)。そして、支払情報が支払不可を示す場合には(ステップS258のN)店舗端末2の処理を終了し、支払情報が支払許可を示す場合には(ステップS258のY)、符号化部75および音声出力部76を用い、送信データを暗号化済残高情報として、支払者端末1にその暗号化済残高情報を送信する(ステップS259)。ここで、支払者端末1から受信通知を受信しなければ(ステップS260のN)、結果出力部73はステップS259から支払者端末1にその暗号化済残高情報を送信する処理を繰り返す。支払者端末1から受信通知を受信した場合(ステップS260のY)、完了情報送信部74の処理をする。
【0098】
支払者端末1の決済結果取得部64は、プロセッサ11、記憶部12および表示操作部14を中心として実現される。決済結果取得部64は、音声入力部69、抽出部68、復号部67を用いて支払情報を受信し(ステップS155)、支払情報が支払い不可を示す場合には(ステップS156のN)表示操作部14を介して失敗メッセージを出力する(ステップS157)。また支払情報が支払許可を示す場合には(ステップS156のY)、決済結果取得部64は音声入力部69、抽出部68、復号部67を用いて店舗端末2から暗号化済残高情報を受信する(ステップS158)、なお、暗号化済残高情報を受信しなければ(ステップS159のN)、ステップS158から繰り返す。また暗号化済残高情報を受信したら(ステップS159のY)、符号化部65および音声出力部66を用いて受信通知を送信する(ステップS161)。さらに決済結果取得部64は音声入力部69、抽出部68、復号部67を用いて店舗端末2から送信される支払成功通知を受信し、支払成功通知を一定時間受信できなければ(ステップS160)ステップS159の受信通知の送信を繰り返す。また支払成功通知を受信したら(ステップS161)、記憶部12に記憶されている古い暗号化済残高情報を、受信した更新後の暗号化済残高情報に更新する(ステップS161)。また記憶部12に記憶される平文の残高の情報を、支払情報に含まれる平文の残高の情報で更新し、また表示操作部14を用いて利用者に残高を知らせる。
【0099】
店舗端末2の完了情報送信部74は、プロセッサ11および記憶部12を中心として実現される。完了情報送信部74は、支払者端末1から受信通知を受信した場合(ステップS260のY)に、支払の成功音をスピーカ17出力させるとともに、支払者端末1に支払成功通知を送信する(ステップS261)。またブラックボックス4に完了通知を送信する(ステップS262)。
【0100】
ブラックボックス4の決済終了部96は、プロセッサ11および記憶部12を中心として実現される。決済終了部96は店舗端末2から完了通知を受信したら、決済金額、口座番号および残高の利用履歴を記憶部12に記憶する、暗号化済残高情報を削除するなどの終了処理を行う(ステップS358)。記憶部12に記憶される利用履歴は締めなどのタイミングで外部に読み出され、決済金額の支払いを決済業者に要求する売上請求の情報として決済を管理するセンターに転送される。支払者端末1が暗号化済残高情報を受信したことを店舗端末2が確認し、さらにその確認の後でブラックボックス4の利用履歴を記憶することで、通信経路に問題が生じた場合の残高等の情報の食い違いを抑えることができる。
【0101】
以上に説明した方法によって、スマートフォンや携帯電話機などのようにDA変換器15やAD変換器16を用いて音声の入出力をする支払者端末1があれば、電子マネーなどの電子的な決済をすることができる。なお、支払者端末1からの入金を、ブラックボックス4や外部のサーバを用いて実現してもよい。例えば、店舗端末4でなされた入金に基づいて、残高が加算された後の暗号化済残高情報をブラックボックス4から支払者端末1に向けて送信してもよい。なお、ブラックボックス4の代わりに、ブラックボックス4の機能を有し、かつ店舗にかかわらず共通に設けられる決済サーバを設けてもよい。こうすれば、決済サーバ側でも口座の残高を管理し、不正利用をより容易に検出することも可能になり、また決済サーバが入金の機能を提供してもよい。
【0102】
また、支払者端末1が第1の実施形態にかかる店舗端末2と第2の実施形態にかかる店舗端末2との両方に対応するようにしてもよい。例えば店舗端末2が開始情報に応答する際に店舗端末2のタイプの情報を送信し、そのタイプの情報に応じてその後は決済口座情報を扱う処理をするか、暗号化済残高情報を扱う処理とするかを選択してよい。なお、これまでに説明した支払者端末1および店舗端末2の処理は、必ずしも汎用的なプロセッサ11や記憶部12で行わなくてもよい。例えば専用に設計された集積回路などのデバイスを用いてこれらの処理を実現してもよい
【0103】
また、支払者端末1と店舗端末2との間での決済に関する通信手順(プロトコル)は、第1の実施形態や第2の実施形態で説明したものには限られず、他のプロトコルであってもよい。例えば、既存の電子マネーの決済で用いる通信手順に対し、非接触型ICを用いた電波による通信を、これまでに説明した非可聴音声を用いた通信に置き換えた通信手順であってよい。より具体的には、例えばFelica(登録商標)等の非接触型ICで稼働するOSの下で生成された決済用の通信データを、符号化部65等を用いて非可聴音声として送信し、復号部67等を用いて非可聴音声から復号される決済用の通信データを、そのOSの下で処理することで、決済処理を行えばよい。
【符号の説明】
【0104】
1 支払者端末、2 店舗端末、3 決済サーバ、4 ブラックボックス、11 プロセッサ、12 記憶部、13 通信部、14 表示操作部、15 DA変換器、16 AD変換器、17 スピーカ、18 マイク、51,52 同期信号、53 伝送信号区間、61 開始制御部、62 決済情報取得部、63 決済情報送信部、64 決済結果取得部、65,75 符号化部、66,76 音声出力部、67,77 復号部、68,78 抽出部、69,79 音声入力部、71 開始応答部、72 決済問合部、73 結果出力部、74 完了情報送信部、81,91 情報受信部、82 残高更新部、83,95 決済可否回答部、84 口座管理部、92 暗号復号部、93 残高更新部、94 暗号部、96 決済終了部、Tn,Tt0,Tt1 時間幅。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
店舗端末に送信する決済口座を示すデータを取得する手段と、
前記決済口座を示すデータが符号化されてなるPCM形式の出力音声データを出力する符号化手段と、
前記出力音声データをDA変換器に変換させることにより当該出力音声データに応じた音声をスピーカに出力させる音声出力手段と、
を含むことを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
前記符号化手段は、前記出力音声データが示す音声の振幅変化を抑制するように当該出力音声データを出力する、
ことを特徴とする請求項1に記載の携帯端末。
【請求項3】
前記店舗端末に対し通信を開始することを示す音声を前記スピーカに出力させ、マイクに入力される音声であって前記通信を開始することを示す音声に前記店舗端末が応答する音声に基づいて前記音声出力手段が出力させる音声の大きさを変更する開始制御手段、
をさらに含むことを特徴とする請求項1または2に記載の携帯端末。
【請求項4】
前記店舗端末に対し通信を開始することを示す音声を前記音声出力手段を用いて前記スピーカに出力させ、当該通信を開始することを示す音声に前記店舗端末が応答する音声を認識しない場合に、前記音声出力手段が出力させる音声の大きさを変更し、前記店舗端末に対し通信を開始することを示す音声を前記スピーカに出力させることを繰り返す開始制御手段、
をさらに含むことを特徴とする請求項1または2に記載の携帯端末。
【請求項5】
ユーザIDに基づいて、前記ユーザIDに応じた決済口座を示す情報をネットワークを介して取得する決済情報取得手段、
をさらに含むことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の携帯端末。
【請求項6】
前記決済口座を示す情報は、暗号化された前記決済口座の残高情報を含む、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の携帯端末。
【請求項7】
前記決済口座を示す情報に応じた音声をスピーカが出力した後に、更新されかつ暗号化された決済口座の残高情報を含む決済結果情報を前記店舗端末から取得する決済結果取得手段をさらに含む、
ことを特徴とする請求項6に記載の携帯端末。
【請求項8】
店舗端末に送信する決済口座を示すデータを取得するステップと、
前記決済口座を示すデータが符号化されてなるPCM形式の出力音声データを出力する符号化ステップと、
前記出力音声データをDA変換器に変換させることにより当該出力音声データに応じた音声をスピーカに出力させる出力ステップと、
を含むことを特徴とする送信方法。
【請求項9】
店舗端末に送信する決済口座を示すデータを取得する手段、
前記決済口座を示すデータが符号化されてなるPCM形式の出力音声データを出力する符号化手段、および
前記出力音声データをDA変換器に変換させることにより当該出力音声データに応じた音声をスピーカに出力させる音声出力手段、
としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項10】
店舗端末に送信する決済口座を示すデータを取得する手段、
前記決済口座を示すデータが符号化されてなるPCM形式の出力音声データを出力する符号化手段、および
前記出力音声データをDA変換器に変換させることにより当該出力音声データに応じた音声をスピーカに出力させる音声出力手段、
としてコンピュータを機能させるためのプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項11】
マイクに入力される音声であって、携帯端末が出力する決済口座を示すデータが符号化されてなる音声を示すPCM形式の入力音声データをAD変換器を介して取得する音声入力手段と、
前記入力音声データに基づいて前記決済口座を示すデータを復号する復号手段と、
前記決済口座を示すデータと、決済金額とを残高管理装置に送信する決済問合手段と、
前記残高管理装置から受信した決済の可否を示す情報に基づいて決済の結果を示す情報を出力する結果出力手段と、
を含むことを特徴とする店舗端末。
【請求項12】
前記マイクに入力される音声であって、携帯端末が通信を開始することを示す音声が所定の条件を満たす場合に、前記携帯端末が出力する音声の大きさを変更させる情報を示す音声をスピーカに出力させる開始応答手段をさらに含む、
ことを特徴とする請求項11に記載の店舗端末。
【請求項13】
前記結果出力手段は、前記残高管理装置から決済可能を示す情報を受信した場合に、前記決済の結果を示す情報として利用者が認識できる所定の音をスピーカに出力させる情報を出力する、
ことを特徴とする請求項11または12に記載の店舗端末。
【請求項14】
前記決済口座を示すデータは暗号化された前記決済口座の残高情報を含み、
前記結果出力手段は、前記残高管理装置から決済可能を示す情報を受信した場合に、前記残高管理装置から更新されかつ暗号化された決済口座の残高情報を受信し、当該受信した残高情報を前記携帯端末に送信する、
ことを特徴とする請求項11から13のいずれかに記載の店舗端末。
【請求項15】
前記更新されかつ暗号化された決済口座の残高情報を前記携帯端末に送信した後に、前記携帯端末から当該残高情報を受信したことを示す情報を受信した場合に、前記残高管理装置に決済完了を示す情報を送信する完了情報送信手段をさらに含む、
ことを特徴とする請求項14に記載の店舗端末。
【請求項16】
マイクに入力される音声であって、携帯端末が出力する決済口座を示すデータが符号化されてなる音声を示すPCM形式の入力音声データをAD変換器を介して取得する入力ステップと、
前記入力音声データに基づいて前記決済口座を示すデータを復号する復号ステップと、
前記決済口座を示すデータと、決済金額とを残高管理装置に送信する決済問合ステップと、
前記残高管理装置から受信した決済の可否を示す情報に基づいて決済の結果を示す情報を出力する結果出力ステップと、
含むことを特徴とする受信方法。
【請求項17】
マイクに入力される音声であって、携帯端末が出力する決済口座を示すデータが符号化されてなる音声を示すPCM形式の入力音声データをAD変換器を介して取得する音声入力手段、
前記入力音声データに基づいて前記決済口座を示すデータを復号する復号手段、
前記決済口座を示すデータと、決済金額とを残高管理装置に送信する決済問合手段、および、
前記残高管理装置から受信した決済の可否を示す情報に基づいて決済の結果を示す情報を出力する結果出力手段、
としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項18】
マイクに入力される音声であって、携帯端末が出力する決済口座を示すデータが符号化されてなる音声を示すPCM形式の入力音声データをAD変換器を介して取得する音声入力手段、
前記入力音声データに基づいて前記決済口座を示すデータを復号する復号手段、
前記決済口座を示すデータと、決済金額とを残高管理装置に送信する決済問合手段、および、
前記残高管理装置から受信した決済の可否を示す情報に基づいて決済の結果を示す情報を出力する結果出力手段、
としてコンピュータを機能させるためのプログラムを記憶するコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項19】
携帯端末と店舗端末とを含む決済システムであって、
前記携帯端末は、
決済口座を示すデータを取得する手段と、
前記決済口座を示すデータが符号化されてなるPCM形式の出力音声データを出力する符号化手段と、
前記出力音声データをDA変換器に変換させることにより当該出力音声データに応じた音声をスピーカに出力させる音声出力手段と、
を含み、
前記店舗端末は、
マイクに入力される音声であって、前記携帯端末が出力する音声を示すPCM形式の入力音声データをAD変換器を介して取得する音声入力手段と、
前記入力音声データに基づいて前記決済口座を示すデータを復号する復号手段と、
前記決済口座を示すデータと、決済金額とを残高管理装置に送信する決済問合手段と、
前記残高管理装置から受信した決済の可否を示す情報に基づいて決済の結果を示す情報を出力する結果出力手段と、
を含む、ことを特徴とする決済システム。
【請求項20】
店舗端末に送信する決済口座を示すデータを取得するステップと、
前記決済口座を示すデータが符号化されてなるPCM形式の出力音声データを出力する符号化ステップと、
携帯端末が前記出力音声データをDA変換器に変換させることにより当該出力音声データに応じた音声をスピーカに出力させる出力ステップと、
店舗端末がマイクに入力される音声であって、携帯端末が送信する決済口座を示すデータが符号化されてなる音声を示すPCM形式の入力音声データをAD変換器を介して取得する入力ステップと、
前記入力音声データに基づいて前記決済口座を示すデータを復号する復号ステップと、
前記決済口座を示すデータと、決済金額とを残高管理装置に送信する決済問合ステップと、
前記残高管理装置から受信した決済の可否を示す情報に基づいて決済の結果を示す情報を出力する結果出力ステップと、
を含むことを特徴とする決済方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2013−98666(P2013−98666A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−238024(P2011−238024)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(399037405)楽天株式会社 (416)
【Fターム(参考)】