説明

携帯端末、経路算出システム及びその方法

【課題】GPSや基地局を利用せずに、携帯端末から目的物までの経路情報を算出できる携帯端末及び経路算出方法を提供すること。
【解決手段】携帯端末10は、ユーザから、ICタグ21が付与されている物品20の指定を受け付ける受付部141と、指定された物品20の位置情報をDBサーバ30から受信する物品位置取得部142と、携帯端末10から所定範囲内に位置するICタグ21に記憶されている情報を受信するICタグ情報受信制御部143と、受信したICタグ21に記憶されている情報に対応した物品20の位置情報をDBサーバ30より受信し、この位置情報を携帯端末10の位置情報とする端末位置特定部144と、指定された物品20の位置情報及び携帯端末10の位置情報に基づいて、携帯端末10から、指定された物品20までの経路情報を算出する経路算出部145と、算出した経路情報を表示する表示部12と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末、経路算出システム及びその方法に関する。特に、所定のフロアに配置され、当該所定のフロアにおける位置情報を記憶するICタグが付与されている物品のうち、ユーザが指定した物品への経路情報を算出する携帯端末、経路算出システム及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザが所持する携帯端末の位置情報を取得し、この携帯端末から、ユーザが指定した目的地までの経路情報を算出する方法が提案されている。
この方法では、GPS(Global Positioning System)を利用して、ユーザが所持する携帯端末の位置情報を取得する方法(例えば、特許文献1)や、携帯端末の基地局と通信を行い、この携帯端末の位置情報を取得する方法(例えば、特許文献2)により、携帯端末の位置情報を取得している。
これらの提案によれば、GPSや、携帯端末の基地局を利用して、携帯端末の正確な位置情報を取得できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−122092号公報
【特許文献2】特開2001−083231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の提案では、携帯端末が、GPSや基地局と通信ができない場所では、この携帯端末の位置情報を取得することができない。このため、GPSや基地局と通信ができない場所では、携帯端末から目的地までの経路情報を算出することもできない。
【0005】
本発明は、GPSや基地局を利用せずに、携帯端末の位置情報を特定して、この位置情報と目的物の位置情報とに基づいて経路情報を算出できる携帯端末、経路算出方法及びその方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明では、以下のような解決手段を提供する。
【0007】
(1) 所定のフロアに配置され、ICタグが付与されている物品のうち、ユーザが指定した物品への経路情報を算出する携帯端末であって、ユーザから、前記物品の指定を受け付ける受付手段と、指定された前記物品の情報をサーバに送信して、当該サーバから当該物品の位置情報を受信する物品位置取得手段と、前記携帯端末から所定範囲内に位置するICタグに記憶されている情報を受信するICタグ情報受信手段と、受信した前記ICタグに記憶されている物品の情報を前記サーバに送信して、当該サーバから当該物品の位置情報を受信し、当該位置情報を前記携帯端末の位置情報とする端末位置特定手段と、指定された前記物品の位置情報及び前記携帯端末の位置情報に基づいて、前記携帯端末から指定された前記物品までの経路情報を算出する経路算出手段と、前記経路情報を表示する表示手段と、前記表示手段に前記経路情報の表示制御を行う表示制御手段と、を備えることを特徴とする携帯端末。
【0008】
(1)記載の携帯端末によれば、物品位置取得手段により、指定された物品の情報をサーバに送信して、当該サーバから当該物品の位置情報を受信し、ICタグ情報受信手段により、携帯端末から所定範囲内に位置するICタグに記憶されている情報を受信し、端末位置特定手段により、受信したICタグに記憶されている物品の情報をサーバに送信して、当該サーバから当該物品の位置情報を受信し、当該位置情報を携帯端末の位置情報とし、経路算出手段により、指定された物品の位置情報及び携帯端末の位置情報に基づいて、携帯端末から指定された物品までの経路情報を算出する。
【0009】
このように、ICタグに記憶されている物品の情報に基づいてサーバから取得した物品の位置情報を、携帯端末の位置情報とするので、携帯端末の位置情報をGPSや基地局を利用せずに特定し、更に、携帯端末の位置情報と目的物としての物品の位置情報とに基づいて経路情報を算出できる。
【0010】
(2) 前記ICタグ情報受信手段は、定期的に実行されることを特徴とする(1)に記載の携帯端末。
【0011】
(2)記載の携帯端末によれば、ICタグ情報受信手段は、定期的に実行されるので、携帯端末の位置情報も定期的に特定され、携帯端末から指定された物品までの経路情報が随時更新されることになる。
よって、ユーザは、常に最新の経路情報を確認して、指定された物品を容易に探索できる。
【0012】
(3) 前記携帯端末の周囲の景色を撮像する撮像手段と、前記撮像手段により撮像した景色に対して、指定された前記物品の位置情報を合成する画像合成手段と、前記携帯端末が向いている方向を検知する方向検知手段と、を更に備え、前記表示制御手段は、前記携帯端末が向いている方向と前記経路情報とに基づいて、指定された前記物品への進行方向を決定し、当該進行方向と前記画像合成手段により合成した前記景色とを前記表示手段に表示させることを特徴とする(1)又は(2)に記載の携帯端末。
【0013】
(3)記載の携帯端末によれば、表示制御手段は、携帯端末が向いている方向と経路情報とに基づいて、指定された物品への進行方向を決定し、当該進行方向と、画像合成手段により合成した景色と、を表示手段に表示させる。
よって、携帯端末を所持するユーザは、撮像手段により撮像した景色に指定した物品が合成された画像を確認しながら、この指定した物品に容易に到達できる。
【0014】
(4) 所定のフロアに配置され、ICタグが付与されている物品のうち、ユーザが指定した物品への経路情報を算出して、携帯端末が備える表示手段に表示させる経路算出方法であって、ユーザから、前記物品の指定を受け付けるステップと、指定された前記物品の情報をサーバに送信して、当該サーバから当該物品の位置情報を受信するステップと、携帯端末から所定範囲内に位置するICタグに記憶されている情報を受信するステップと、受信した前記ICタグに記憶されている物品の情報を前記サーバに送信して、当該サーバから当該物品の位置情報を受信し、当該位置情報を前記携帯端末の位置情報とするステップと、指定された前記物品の位置情報及び前記携帯端末の位置情報に基づいて、前記携帯端末から、指定された前記物品までの経路情報を算出するステップと、算出した前記経路情報を前記表示手段に表示させるステップと、を含むことを特徴とする経路算出方法。
【0015】
このような方法によれば、当該方法を実施することにより、(1)と同様の効果が期待できる。
【0016】
(5) ユーザが所持する携帯端末と、所定のフロアに配置された物品に付与され、当該物品の情報を記憶するICタグと、前記携帯端末から前記ユーザが指定した物品までの経路情報を算出し、前記携帯端末に送信するサーバと、を備えた経路算出システムにおいて、前記携帯端末は、前記ユーザから、前記物品の指定を受け付ける受付手段と、指定された前記物品の情報を前記サーバに送信する第1送信手段と、前記携帯端末から所定範囲内に位置するICタグに記憶されている情報を受信するICタグ情報受信手段と、受信した前記ICタグに記憶されている物品の情報を前記サーバに送信する第2送信手段と、を備え、前記サーバは、前記物品の位置情報を記憶する記憶手段と、指定された前記物品の情報を前記携帯端末から受信する第1受信手段と、受信した、指定された前記物品の情報に基づいて、前記記憶手段から指定された前記物品の位置情報を取得する物品位置特定手段と、前記ICタグに記憶されている物品の情報を前記携帯端末から受信する第2受信手段と、受信した前記ICタグに記憶されている物品の情報に基づいて、前記記憶手段より、前記物品の位置情報を取得し、当該位置情報を前記携帯端末の位置情報とする端末位置特定手段と、指定された前記物品の位置情報及び前記携帯端末の位置情報に基づいて、前記携帯端末から、指定された前記物品までの経路情報を算出する経路算出手段と、算出した前記経路情報を前記携帯端末に送信する経路情報送信手段と、を備え、前記携帯端末は、前記サーバから前記経路情報を受信する経路情報受信手段と、前記受信した前記経路情報を表示する表示手段と、を備えることを特徴とする経路算出システム。
【0017】
このようなシステムによれば、指定された物品の位置情報及び携帯端末の位置情報に基づいて、携帯端末から指定された物品までの経路情報を算出する。
よって、携帯端末は、経路情報を算出する必要がないので、携帯端末にかかる負荷を軽減できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、GPSや基地局を利用せずに、携帯端末の位置情報を特定して、この位置情報と目的物の位置情報とに基づいて経路情報を算出できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1実施形態に係る経路表示システム1の構成を示す図である。
【図2】第1実施形態に係る携帯端末10の表示部12が経路情報を表示するまでの処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】第1実施形態に係る表示部12に経路情報が表示されたときの表示例を示す図である。
【図4】第2実施形態に係る経路表示システム1Aの構成を示す図である。
【図5】第3実施形態に係る経路表示システム1Bの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[第1実施形態]
以下、第1実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、第1実施形態に係る経路表示システム1の構成を示す図である。
【0021】
経路表示システム1は、所定のフロアに訪問したユーザが所持する携帯端末10と、この所定のフロアに配置される複数の物品20と、これら複数の物品20のそれぞれに付与されるIC(Integrated Circuit)タグ21と、所定のフロアにおける物品20とこの物品20の位置情報とを関連付けて記憶するデータベース(以下、データベースをDBという)サーバ30と、を備える。
【0022】
携帯端末10は、ユーザから直接的な入力を受け付ける操作部11と、携帯端末10の機能に関する情報を表示したり、携帯端末10からユーザが指定した物品20までの経路情報を表示したりする表示部12と、携帯端末10として機能させるための各種プログラム(図示省略)、本発明の機能を実行するプログラム(図示省略)等を記憶する記憶部13と、携帯端末10に係る各機能を統括的に制御する制御部14と、ICタグ21及びDBサーバ30と通信を行う通信部15と、を備える。なお、携帯端末10は、上述に記載した機能のほか、携帯端末10の基地局と通信を行う機能や、通話機能といった携帯電話機に係る機能を有しているが、詳細については省略する。
【0023】
制御部14は、ユーザから、物品20の指定を受け付ける受付手段としての受付部141と、指定された物品20の位置情報をDBサーバ30より取得する物品位置取得手段としての物品位置取得部142と、ICタグ21の情報を受信するICタグ情報受信手段としてのICタグ情報受信制御部143と、携帯端末10の位置情報を特定する端末位置特定手段としての端末位置特定部144と、携帯端末10から指定された物品20までの経路情報を算出する経路算出手段としての経路算出部145と、算出された経路情報を表示部12に表示させる表示制御手段としての経路表示制御部146と、を備える。
【0024】
受付部141は、操作部11を介して、ユーザより、ICタグ21が付与されている物品20の指定を受け付ける。具体的には、操作部11により、物品20の名称を入力することにより、受付部141は、物品20の指定を受け付ける。
【0025】
物品位置取得部142は、受付部141により物品20の指定を受け付けると、DBサーバ30に指定された物品20の情報を通信部15を介して送信し、このDBサーバ30から、指定された物品20の位置情報、及び所定のフロアのフロアマップを通信部15を介して受信する。このフロアマップには、所定のフロアにおける通路の各々の位置がノード情報として記憶されており、このノード情報は、経路算出部145により利用される。
【0026】
また、物品位置取得部142は、指定された物品20が所定のフロアに存在しない場合には、DBサーバ30よりエラー情報を受信して、指定された物品20が所定のフロアに存在しない旨を表示部12に表示させる。
【0027】
ICタグ情報受信制御部143は、通信部15を介して、携帯端末10から所定範囲内に位置するICタグ21に記憶されている情報を受信する。受信した情報には、物品20の名称や、物品コードが含まれている。
【0028】
ICタグ情報受信制御部143は、ICタグ21に記憶されている情報の受信を、1秒おき、3秒おき等、定期的に行う。このICタグ情報受信制御部143は、定期的に行う受信において、複数のICタグ21のいずれかより情報を受信したことに応じて、受信を終了する。つまり、ICタグ情報受信制御部143は、1秒おき、3秒おき、といった時間内に、ICタグ21に記憶されている情報を1回のみ受信する。
【0029】
また、ICタグ情報受信制御部143は、操作部11により、経路表示終了に係る所定の操作が受け付けられたことに応じて、定期的に行う受信を終了する。これにより、経路表示に係る一連の処理は終了する。
【0030】
端末位置特定部144は、受信したICタグ21に記憶されている情報に含まれる物品20の情報に基づいて、DBサーバ30より当該物品20の位置情報を取得して、当該位置情報を携帯端末10の位置情報とする。すなわち、端末位置特定部144は、受信したICタグ21に記憶されている物品20の情報をDBサーバ30に送信して、このDBサーバ30から、この物品20の位置情報を受信し、この受信した位置情報を携帯端末10の位置情報とする。
【0031】
経路算出部145は、指定された物品20の位置情報及び携帯端末10の位置情報に基づいて、携帯端末10から、指定された物品20までの経路情報を算出する。より具体的には、経路算出部145は、フロアマップに記憶されているノード情報に対して、携帯端末10の位置情報をスタート地点、指定された物品20の位置情報をゴール地点として登録し、経路探索アルゴリズムにより経路情報を算出する。この経路探索アルゴリズムには、ダイクストラ法や、A*(A−star、エースター)といった、経路探索アルゴリズムが用いられる。
【0032】
通信部15は、ICタグ21及びDBサーバ30と通信を行う。具体的には、通信部15は、ICタグ21との非接触通信を行うためのICチップ及びアンテナを備えているとともに、DBサーバ30との通信を行うための通信アダプタを備えている。
この通信部15は、ICタグ情報受信制御部143により、ICタグ21から情報を受信する場合、携帯端末10から1メートル以内に位置するICタグ21に限定して情報を受信するように、受信強度が調整されている。
【0033】
DBサーバ30は、所定のフロアにおける物品20の情報(物品20の名称)と、この物品20の位置情報と、を関連付けて記憶している。このDBサーバ30は、これらの関連付けされた情報を予め記憶している。また、このDBサーバ30は、サーバ側通信部(図示省略)を備え、このサーバ側通信部により、携帯端末10との送受信を行う。
【0034】
DBサーバ30は、携帯端末10から、物品20の名称や物品コードといった物品20の情報を受信すると、受信した情報に対応した物品20の位置情報を抽出し、この位置情報を携帯端末10に送信する。
【0035】
[処理フロー]
図2は、第1実施形態に係る携帯端末10の表示部12が経路情報を表示するまでの処理の流れを示すフローチャートである。
【0036】
ステップS11では、制御部14(受付部141)は、ユーザが操作部11により、物品20の名称を入力することにより、ICタグ21が付与されている物品20の指定を受け付ける。
ステップS12では、制御部14(物品位置取得部142)は、ステップS11にて、、物品20の指定を受け付けると、通信部15を介して、DBサーバ30に指定された物品20の情報を送信する。
【0037】
ステップS13では、制御部14(物品位置取得部142)は、DBサーバ30より情報を受信する。具体的には、制御部14(物品位置取得部142)は、指定された物品20の情報、すなわち、指定された物品20の位置情報、及び所定のフロアのフロアマップか、エラー情報か、を受信する。
ステップS14では、制御部14(物品位置取得部142)は、受信した情報が、指定された物品20の位置情報及びフロアマップか否かを判定する。この判定がYESの場合、ステップS15に移り、NOの場合、ステップS22に移る。
【0038】
ステップS15では、制御部14(ICタグ情報受信制御部143)は、経路表示終了に係る所定の操作が受け付けられたか否かを判定する。この判定がYESの場合、経路情報を表示する処理を終了し、NOの場合、ステップS16に移る。
ステップS16では、制御部14(ICタグ情報受信制御部143)は、ICタグ21に記憶されている情報を前回受信してから所定期間経過したか否かを判定する。この判定がYESの場合、ステップS17に移り、NOの場合、ステップS16の処理を再び実行する。
ステップS17では、制御部14(ICタグ情報受信制御部143)は、携帯端末10から所定範囲内に位置するICタグ21に記憶されている情報を受信する。
【0039】
ステップS18では、制御部14(端末位置特定部144)は、ステップS17にて受信したICタグ21の情報に含まれる物品20の情報に基づいて、DBサーバ30から物品20の位置情報を受信する。
ステップS19では、制御部14(端末位置特定部144)は、ステップS18にてDBサーバ30から受信した物品20の位置情報を携帯端末10の位置情報として、携帯端末10の位置を特定する。
【0040】
ステップS20では、制御部14(経路算出部145)は、指定された物品20の位置情報及び携帯端末10の位置情報に基づいて、携帯端末10から指定された物品20までの経路情報を算出する。
ステップS21では、制御部14(経路表示制御部146)は、ステップS20で算出された経路情報を表示部12に表示させる。この処理が終了すると、ステップS16に移る。
【0041】
ステップS22では、制御部14(物品位置取得部142)は、指定された物品20が所定のフロアに存在しない旨を表示部12に表示させる。
【0042】
[表示例]
図3は、第1実施形態に係る表示部12に経路情報が表示されたときの表示例を示す図である。
図3では、物品20としての書店の書籍に対して、ICタグ21が付与されている場合の、この書店における所定のフロアマップ121が、表示部12に示されている。そして、このフロアマップ121には、携帯端末10の位置情報を示すシンボル121Aと、ユーザが指定した物品20としての書籍の位置情報を示すシンボル121Bと、携帯端末10からユーザが指定した書籍までの経路情報を示す破線121Cと、が示されている。すなわち、携帯端末10を示すシンボル121Aからユーザが指定した書籍を示すシンボル121Bまでの経路情報が確認できるので、ユーザは、ユーザが指定した書籍を容易に探すことができる。
【0043】
以上の発明によれば、以下のような効果がある。
(1)物品位置取得部142により、指定された物品20の情報をDBサーバ30に送信して、DBサーバ30から物品20の位置情報を受信させ、ICタグ情報受信制御部143により、携帯端末10の所定範囲内のICタグ21に記憶されている情報を受信させ、端末位置特定部144により、受信したICタグ21に記憶されている物品20の情報をDBサーバ30に送信して、DBサーバ30から物品20の位置情報を受信し、この位置情報を携帯端末10の位置情報とし、経路算出部145により、指定された物品20の位置情報及び携帯端末10の位置情報に基づいて、携帯端末10から指定された物品20までの経路情報を算出させた。
【0044】
このように、ICタグ21に記憶されている物品20の情報に基づいて、DBサーバ30から取得した物品20の位置情報を携帯端末10の位置情報とするので、携帯端末10の位置情報をGPSや基地局を利用せずに特定し、更に、携帯端末10の位置情報と指定した物品20の位置情報とに基づいて経路情報を算出できる。
【0045】
(2)ICタグ情報受信制御部143は、定期的に実行されるので、携帯端末10の位置情報も定期的に特定され、携帯端末10から指定された物品20までの経路情報が随時更新されることになる。
よって、携帯端末10を所持するユーザは、常に最新の経路情報を確認して、指定された物品20を容易に探索できる。
【0046】
[第2実施形態]
図4は、本発明の第2実施形態に係る経路表示システム1Aの構成を示す図である。
本実施形態では、撮像部16が撮像した携帯端末10Aの周囲の景色に、画像合成部147により、指定された物品20の位置情報を合成し、経路表示制御部146Aにより、この合成した画像を表示部12に表示させるとともに、携帯端末10Aの方向と経路情報とに基づいて、指定された物品20への進行方向を表示部12に表示させる点が第1実施形態と異なり、その他の点については、第1実施形態と同様である。
【0047】
すなわち、本実施形態の経路表示システム1Aの携帯端末10Aは、携帯端末10Aの周囲の景色を撮像する撮像手段としての撮像部16と、この撮像部16により撮像した景色に対して、指定された物品20の位置をエアタグとして合成する画像合成手段としての画像合成部147と、この携帯端末10Aが向いている方向を検知する方向検知手段としての方向検知部17と、を備える。
【0048】
撮像部16は、レンズ等により構成されており、レンズにうつった携帯端末10Aの周囲の景色を撮像する。
画像合成部147は、撮像部16により撮像された景色に、指定された物品20の位置情報をリアルタイムで合成する。
【0049】
方向検知部17は、地磁気センサ等により構成されており、この地磁気センサが検出する地磁気から得られる方向を検知する。
経路表示制御部146Aは、方向検知部17により検知した携帯端末10Aの方向と指定された物品20の位置情報とに基づいて、携帯端末10Aに対する物品20の位置情報を特定する。そして、経路表示制御部146Aは、物品20の位置情報をエアタグとして合成した景色(画像)を、表示部12に表示させるとともに、指定された物品20への進行方向を表示部12に表示させる。
【0050】
以上の発明によれば、以下のような効果がある。
(3)経路表示制御部146Aは、携帯端末10Aの方向と経路情報とに基づいて、指定された物品20への進行方向を決定し、この進行方向と、画像合成手段により合成した景色と、を表示部12に表示させる。
よって、携帯端末10Aを所持するユーザは、撮像部16により撮像した景色に、指定した物品20が合成された画像を表示部12で確認しながら、この指定した物品20に容易に到達できる。
【0051】
[第3実施形態]
図5は、本発明の第3実施形態に係る経路表示システム1Bの構成を示す図である。
本実施形態では、DBサーバ30Bが経路情報を算出し、この経路情報を携帯端末10Bに送信する点が第1実施形態と異なる。
【0052】
すなわち、本実施形態の経路表示システム1BのDBサーバ30Bは、物品20の位置情報を記憶する記憶手段としてのサーバ側記憶部31と、携帯端末10Bにより指定された物品20の情報、及びICタグ21に記憶されている物品20の情報を携帯端末10Bから受信し、経路情報を携帯端末10Bに送信する、第1受信手段、第2受信手段及び経路情報送信手段としてのサーバ側通信部32と、サーバ側通信部32より受信した、指定された物品20の位置情報をサーバ側記憶部31より取得する物品位置取得手段としての物品位置取得部33と、サーバ側通信部32により受信したICタグ21に記憶されている物品20の情報に基づいて、サーバ側記憶部31より、物品20の位置情報を取得し、この位置情報を携帯端末10Bの位置情報とする端末位置特定部34と、指定された物品20の位置情報及び携帯端末10Bの位置情報に基づいて、携帯端末10Bから、指定された物品20までの経路情報を算出する経路算出部35と、を備える。
【0053】
携帯端末10Bの制御部14は、物品20の指定を受け付ける受付手段としての受付部141と、携帯端末10Bから所定範囲内に位置するICタグ21に記憶されている情報を受信するICタグ情報受信制御部143と、経路情報を表示部12に表示させる経路表示制御部146と、を備える。また、通信部15は、第1送信手段、第2送信手段、経路情報受信手段として機能するものであり、指定された物品20の情報及び携帯端末10Bから所定範囲内に位置するICタグ21に記憶されている情報をDBサーバ30Bに送信し、DBサーバ30より、携帯端末10Bから指定された物品20までの経路情報を受信する。
【0054】
以上の発明によれば、以下のような効果がある。
(4)DBサーバ30Bは、指定された物品20の位置情報及び携帯端末10Bの位置情報に基づいて、携帯端末10Bから、指定された物品までの経路情報を算出する。
よって、携帯端末10Bは、経路情報を算出する必要がないので、携帯端末10Bにかかる負荷を軽減できる。
【0055】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施例に記載されたものに限定されるものではない。
【0056】
例えば、第3実施形態では、DBサーバ30Bにおいて物品20の位置情報を記憶するとともに、経路情報を算出させる機能を備えることとしたが、これに限らず、複数のサーバを設けて、DBサーバ30Bが有するそれぞれの機能を複数のサーバに分散させてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1、1A、1B 経路表示システム
10、10A、10B 携帯端末
11 操作部
12 表示部
13 記憶部
14 制御部
15 通信部
16 撮像部
17 方向検知部
20 物品
21 ICタグ
30、30B DBサーバ
31 サーバ側記憶部
32 サーバ側通信部
33、142 物品位置取得部
34、144 端末位置特定部
35、145 経路算出部
141 受付部
143 ICタグ情報受信制御部
146、146A 経路表示制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のフロアに配置され、ICタグが付与されている物品のうち、ユーザが指定した物品への経路情報を算出する携帯端末であって、
ユーザから、前記物品の指定を受け付ける受付手段と、
指定された前記物品の情報をサーバに送信して、当該サーバから当該物品の位置情報を受信する物品位置取得手段と、
前記携帯端末から所定範囲内に位置するICタグに記憶されている情報を受信するICタグ情報受信手段と、
受信した前記ICタグに記憶されている物品の情報を前記サーバに送信して、当該サーバから当該物品の位置情報を受信し、当該位置情報を前記携帯端末の位置情報とする端末位置特定手段と、
指定された前記物品の位置情報及び前記携帯端末の位置情報に基づいて、前記携帯端末から指定された前記物品までの経路情報を算出する経路算出手段と、
前記経路情報を表示する表示手段と、
前記表示手段に前記経路情報の表示制御を行う表示制御手段と、
を備えることを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
前記ICタグ情報受信手段は、定期的に実行されることを特徴とする請求項1に記載の携帯端末。
【請求項3】
前記携帯端末の周囲の景色を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段により撮像した景色に対して、指定された前記物品の位置情報を合成する画像合成手段と、
前記携帯端末が向いている方向を検知する方向検知手段と、を更に備え、
前記表示制御手段は、前記携帯端末が向いている方向と前記経路情報とに基づいて、指定された前記物品への進行方向を決定し、当該進行方向と前記画像合成手段により合成した前記景色とを前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項1又は2に記載の携帯端末。
【請求項4】
所定のフロアに配置され、ICタグが付与されている物品のうち、ユーザが指定した物品への経路情報を算出して、携帯端末が備える表示手段に表示させる経路算出方法であって、
ユーザから、前記物品の指定を受け付けるステップと、
指定された前記物品の情報をサーバに送信して、当該サーバから当該物品の位置情報を受信するステップと、
携帯端末から所定範囲内に位置するICタグに記憶されている情報を受信するステップと、
受信した前記ICタグに記憶されている物品の情報を前記サーバに送信して、当該サーバから当該物品の位置情報を受信し、当該位置情報を前記携帯端末の位置情報とするステップと、
指定された前記物品の位置情報及び前記携帯端末の位置情報に基づいて、前記携帯端末から、指定された前記物品までの経路情報を算出するステップと、
算出した前記経路情報を前記表示手段に表示させるステップと、
を含むことを特徴とする経路算出方法。
【請求項5】
ユーザが所持する携帯端末と、所定のフロアに配置された物品に付与され、当該物品の情報を記憶するICタグと、前記携帯端末から前記ユーザが指定した物品までの経路情報を算出し、前記携帯端末に送信するサーバと、を備えた経路算出システムにおいて、
前記携帯端末は、
前記ユーザから、前記物品の指定を受け付ける受付手段と、
指定された前記物品の情報を前記サーバに送信する第1送信手段と、
前記携帯端末から所定範囲内に位置するICタグに記憶されている情報を受信するICタグ情報受信手段と、
受信した前記ICタグに記憶されている物品の情報を前記サーバに送信する第2送信手段と、を備え、
前記サーバは、
前記物品の位置情報を記憶する記憶手段と、
指定された前記物品の情報を前記携帯端末から受信する第1受信手段と、
受信した、指定された前記物品の情報に基づいて、前記記憶手段から指定された前記物品の位置情報を取得する物品位置特定手段と、
前記ICタグに記憶されている物品の情報を前記携帯端末から受信する第2受信手段と、
受信した前記ICタグに記憶されている物品の情報に基づいて、前記記憶手段より、前記物品の位置情報を取得し、当該位置情報を前記携帯端末の位置情報とする端末位置特定手段と、
指定された前記物品の位置情報及び前記携帯端末の位置情報に基づいて、前記携帯端末から、指定された前記物品までの経路情報を算出する経路算出手段と、
算出した前記経路情報を前記携帯端末に送信する経路情報送信手段と、を備え、
前記携帯端末は、
前記サーバから前記経路情報を受信する経路情報受信手段と、
前記受信した前記経路情報を表示する表示手段と、を備えることを特徴とする経路算出システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−55034(P2011−55034A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−199281(P2009−199281)
【出願日】平成21年8月31日(2009.8.31)
【出願人】(500257300)ヤフー株式会社 (1,128)
【Fターム(参考)】