説明

携帯端末およびその表示制御方法

【課題】検出部が設けられていない筐体側で実行されるアプリケーションでも、2つの筐体間の開閉角度に拘わらず、検出部の値を用いた処理を行うこと。
【解決手段】本発明は、2つの筐体が互いに開閉可能に接続された携帯端末に適用される。本発明の携帯端末は、2つの筐体の各々に備えられた2つの表示部と、2つの筐体の各々でアプリケーションを実行する実行部と、一方の筐体に設けられ、一方の筐体の姿勢を示すデータを検出する検出部と、所定のタイミングで、他方の筐体を水平にすることを促すメッセージを報知し、水平にした旨の通知を受けた時点における検出部の検出値を、一方の筐体を水平にしたと仮定した場合における検出値となるように補正し、そのときの補正値を取得する補正値取得部と、補正値が取得された以降、検出部の検出値を補正値で補正し、補正後の検出値を、他方の筐体側で実行されるアプリケーションに通知する補正部と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの筐体が互いに開閉可能に接続された携帯端末およびその表示制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近の携帯端末の中には、2つの筐体が互いに開閉可能に接続され、各筐体に表示画面を備えさせた2画面端末と呼ばれるものがある(例えば、特許文献1)。
【0003】
また、2画面端末の中には、筐体の姿勢を検出する加速度センサを設けたものもあり、このような2画面端末で実行されるアプリケーションでは、加速度センサの値を用いて処理を行うことが可能となっている。
【0004】
ただし、2画面端末においては、コスト抑制の観点から、加速度センサは、一般的に、2つの筐体の一方にのみ設けられることが多い。
【0005】
そのため、2画面端末において、加速度センサの値を用いるアプリケーションを実行する場合には、そのアプリケーションを、加速度センサが設けられた筐体側で実行させることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−222951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、2画面端末においては、2つの筐体の各々で2つのアプリケーションを同時動作させることが可能であり、同時動作させる2つのアプリケーションが共に加速度センサの値を用いるケースも当然に考えられる。
【0008】
そのため、今後は、加速度センサが設けられていない筐体側で実行されるアプリケーションについても、加速度センサの値を用いた処理を行う必要性が高まると考えられる。
【0009】
しかしながら、2画面端末において、加速度センサが設けられていない筐体側で実行されるアプリケーションは、現状では、2つの筐体間の開閉角度を180度にして使用する時以外には、加速度センサの値を用いた処理を行うことができない。
【0010】
2画面端末の使用スタイルは様々であるため、2つの筐体間の開閉角度を180度にしない限り、加速度センサの値を用いた処理を行うことができないと、ユーザの利便性が低下してしまうという問題がある。
【0011】
そこで、本発明の目的は、上述の課題を解決し、加速度センサが設けられていない筐体側で実行されるアプリケーションでも、2つの筐体間の開閉角度に拘わらず、加速度センサの値を用いた処理を行うことができる携帯端末およびその表示制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の携帯端末は、
2つの筐体が互いに開閉可能に接続された携帯端末であって、
前記2つの筐体の各々に備えられた2つの表示部と、
前記2つの筐体の各々でアプリケーションを実行する実行部と、
前記2つの筐体の一方に設けられ、当該一方の筐体の姿勢を示すデータを検出する検出部と、
前記2つの筐体の他方の筐体を所定の姿勢にした時に、前記検出部で検出される前記一方の筐体の姿勢を示すデータを、前記一方の筐体を前記所定の姿勢にしたと仮定した場合におけるデータとなるように補正し、そのときの補正値を取得する補正値取得部と、
前記補正値が取得された以降、前記検出部の検出値を前記補正値で補正し、補正後の検出値を、前記他方の筐体側で実行されるアプリケーションに通知する補正部と、を有する。
【0013】
本発明の第2の携帯端末は、
2つの筐体が互いに開閉可能に接続された携帯端末であって、
前記2つの筐体の各々に備えられた2つの表示部と、
前記2つの筐体の各々でアプリケーションを実行する実行部と、
前記2つの筐体の一方に設けられ、当該一方の筐体の姿勢を示すデータを検出する検出部と、
所定のタイミングで、前記2つの筐体の他方を水平にすることを促すメッセージを報知し、水平にした旨の通知を受けた時点における前記検出部の検出値を、前記一方の筐体を水平にしたと仮定した場合における検出値となるように補正し、そのときの補正値を取得する補正値取得部と、
前記補正値が取得された以降、前記検出部の検出値を前記補正値で補正し、補正後の検出値を、前記他方の筐体側で実行されるアプリケーションに通知する補正部と、を有する。
【0014】
本発明の第1の表示制御方法は、
互いに開閉可能に接続された2つの筐体の各々に備えられた2つの表示部を含む携帯端末の表示制御方法であって、
前記2つの筐体の一方に、当該一方の筐体の姿勢を示すデータを検出する検出部を設け、
前記2つの筐体の他方の筐体を所定の姿勢にした時に、前記検出部で検出される前記一方の筐体の姿勢を示すデータを、前記一方の筐体を前記所定の姿勢にしたと仮定した場合におけるデータとなるように補正し、そのときの補正値を取得し、
前記補正値が取得された以降、前記検出部の検出値を前記補正値で補正し、補正後の検出値を、前記他方の筐体側で実行されるアプリケーションに通知する。
【0015】
本発明の第2の表示制御方法は、
互いに開閉可能に接続された2つの筐体の各々に備えられた2つの表示部を含む携帯端末の表示制御方法であって、
前記2つの筐体の一方に、当該一方の筐体の姿勢を示すデータを検出する検出部を設け、
所定のタイミングで、前記2つの筐体の他方を水平にすることを促すメッセージを報知し、水平にした旨の通知を受けた時点における前記検出部の検出値を、前記一方の筐体を水平にしたと仮定した場合における検出値となるように補正し、そのときの補正値を取得し、
前記補正値が取得された以降、前記検出部の検出値を前記補正値で補正し、補正後の検出値を、前記他方の筐体側で実行されるアプリケーションに通知する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、筐体の姿勢を検出する検出部が設けられていない筐体側で実行されるアプリケーションでも、2つの筐体間の開閉角度に拘わらず、検出部の検出値を用いた処理を行うことができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態の携帯端末の外観図である。
【図2】図1に示した携帯端末の機能ブロック図である。
【図3】図1に示した携帯端末の動作を説明するフローチャートである。
【図4】図3に示したステップS6における補正値取得処理を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態の携帯端末1の外観図である。
【0020】
図1を参照すると、本実施形態の携帯端末1は、ヒンジ機構などにより互いに開閉可能に接続された2つの筐体10−1,10−2を有する2画面端末である。
【0021】
筐体10−1には表示部11−1が備えられており、また、筐体10−2には表示部11−2が備えられている。
【0022】
なお、本実施形態においては、筐体10−1側に、筐体10−1のX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向の加速度を検出することで筐体10−1の姿勢を示すデータを検出する検出部12(図2参照)を設けるものとして説明する。
【0023】
図2は、図1に示した携帯端末1の機能ブロック図である。
【0024】
図2を参照すると、本実施形態の携帯端末1は、表示部11−1,11−2と、検出部12と、操作部13と、アプリケーション実行部14と、制御部15と、を有している。
【0025】
検出部12は、筐体10−1側に設けられ、筐体10−1のX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向の加速度を検出する3軸の加速度センサである。なお、検出部12は、3軸の加速度センサと地軸センサとを含む6軸センサとしても良い。
【0026】
操作部13は、例えば、筐体10−1,10−2上に設けられたボタンである。ただし、本実施形態においては、表示部11−1,11−2の表示画面上にタッチパネルを設けた構成としても良く、この構成の場合は、タッチパネルも操作部13の1つとなる。
【0027】
アプリケーション実行部14は、表示部11−1,11−2の表示画面内でアプリケーションを実行する。
【0028】
制御部15は、携帯端末1の動作を制御するものであり、本発明の特徴的な構成要素として、補正値取得部16および補正部17を有している。なお、図2においては、制御部15が有するその他の構成要素は省略されている。
【0029】
補正値取得部16は、検出部12により検出された筐体10−1の姿勢を表す検出値(データ)を、筐体10−2の姿勢を表す検出値に補正するための補正値を取得する。
【0030】
補正部17は、補正値取得部16により補正値が取得されると、以降、検出部12の検出値を上記の補正値で補正し、補正後の検出値を、筐体10−2側で実行されるアプリケーションに対して通知する。
【0031】
なお、補正値取得部16の具体的な動作内容については後述する。
【0032】
以下、本実施形態の携帯端末1の動作について、図3を参照して説明する。
【0033】
図3を参照すると、アプリケーション起動時に(ステップS1のYES)、そのアプリケーションが検出部12の検出値を用いるものであり(ステップS2のYES)、かつ、そのアプリケーションが検出部12を設けていない筐体10−2側で起動される場合(ステップS1のYES)、以降、補正値取得部16は、検出部12により検出された筐体10−1の姿勢を表す検出値を、筐体10−2の姿勢を表す検出値に補正するための補正値を取得する処理を行う。
【0034】
このとき、補正値取得部16は、まず、ユーザに対し、筐体10−2を水平にすることを促すメッセージを報知する(ステップS4)。ここでは、水平にするとは、表示画面を上にするように筐体10−2を水平にすることを意味するものとする。報知方法の具体例としては、例えば、メッセージを表示部11−1または11−2に表示する方法や、不図示のスピーカから音声出力する方法等が考えられる。
【0035】
次に、補正値取得部16は、ユーザから筐体10−2を水平にした旨の通知を受けたか否かを判断する(ステップS5)。この通知方法は、ステップS4において、補正値取得部16が指定しても良く、また、通知方法の具体例としては、例えば、筐体10−1,10−2上に設けたボタンを押下する方法や、表示部11−1,11−2の表示画面上にタッチパネルを設けた場合は、タッチパネル上に設けたボタンを押下する方法等が考えられる。
【0036】
ユーザから上記通知を受けると(ステップS5のYES)、補正値取得部16は、その通知を受けた時点における検出部12の検出値を取得する。
【0037】
このとき、筐体10−2の姿勢は、略水平となっており、筐体10−1を水平にしたと仮定した場合における検出部12の検出値で表すことが可能である。
【0038】
そこで、補正値取得部16は、ユーザから上記通知を受けた時点における検出部12の検出値を、筐体10−1を水平にしたと仮定した場合における検出値となるように補正し、そのときの補正値を取得する(ステップS6)。よって、以降は、この補正値を用いることにより、検出部12により検出された筐体10−1の姿勢を表す検出値を、筐体10−2の姿勢を表す検出値になるように補正することができるようになる。
【0039】
より具体的には、図4を参照すると、筐体10−2が略水平な姿勢である時には、筐体10−2のX’軸方向およびY’軸方向の加速度は0と同等であり、また、筐体10−2のZ’軸方向の加速度は重力加速度と同等であると考えられる。
【0040】
そこで、補正値取得部16は、ユーザから上記通知を受けた時点で検出部12により検出された筐体10−1のX軸方向およびY軸方向の加速度の値を0となるように補正するとともに、筐体10−1のZ軸方向の加速度の値を重力加速度となるように補正し、そのときの補正値を取得する。
【0041】
補正値取得部16により補正値が取得されると、以降、補正部17は、検出部12の検出値を上記の補正値で補正し、補正後の検出値を、筐体10−2側で実行されるアプリケーションに対して通知する(ステップS7)。
【0042】
本実施形態の携帯端末1は、互いに開閉可能に接続された2つの筐体10−1,10−2を有する2画面端末であり、開閉角度を一定に保った状態で、利用することを想定している。そのため、以降、筐体10−2側で実行されるアプリケーションは、補正部17から通知された補正後の検出値を用いて処理を行うことが可能になる。
【0043】
上述したように本実施形態においては、筐体10−1にのみ検出部12を設けた場合において、筐体10−2を水平にすることを促すメッセージを報知し、水平にした旨の通知を受けた時点における検出部12の検出値を、筐体10−1を水平にしたと仮定した場合における検出値となるように補正し、以降、その補正値で検出部12の検出値を補正し、補正後の検出値を筐体10−2側で実行されるアプリケーションに通知する
ここで、上記通知を受けた時点の筐体10−2の姿勢は、略水平となっており、筐体10−1を水平にしたと仮定した場合における検出部12の検出値で表すことが可能である。そのため、以降に、上記の補正値によって検出部12の検出値を補正した検出値は、筐体10−2の姿勢を表したものとみなすことができる。
【0044】
したがって、2つの筐体10−1,10−2間をどのような開閉角度で使用する場合においても、ユーザが筐体10−2を水平にし、水平にした旨を通知すれば、筐体10−2側で実行されるアプリケーションは、筐体10−2の姿勢を表すよう補正された検出値を用いて処理を行うことができる。
【0045】
よって、検出部12が設けられていない筐体10−2側で実行されるアプリケーションでも、2つの筐体10−1,10−2間の開閉角度に拘わらず、検出部12の検出値を用いた処理を行うことができるという効果が得られる。
【0046】
なお、本実施形態においては、補正値を取得する際に、筐体10−2を水平にする構成としたが、本発明はこれに限定されない。
【0047】
例えば、筐体10−2を予め決められた所定の姿勢にした時に、その時点の検出値を、筐体10−1を上記の所定の姿勢にしたと仮定した場合における検出値となるように補正することとして、その補正値を取得することも可能である。
【符号の説明】
【0048】
1 携帯端末
10−1,10−2 筐体
11−1,11−2 表示部
12 検出部
13 操作部
14 アプリケーション実行部
15 制御部
16 補正値取得部
17 補正部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの筐体が互いに開閉可能に接続された携帯端末であって、
前記2つの筐体の各々に備えられた2つの表示部と、
前記2つの筐体の各々でアプリケーションを実行する実行部と、
前記2つの筐体の一方に設けられ、当該一方の筐体の姿勢を示すデータを検出する検出部と、
前記2つの筐体の他方の筐体を所定の姿勢にした時に、前記検出部で検出される前記一方の筐体の姿勢を示すデータを、前記一方の筐体を前記所定の姿勢にしたと仮定した場合におけるデータとなるように補正し、そのときの補正値を取得する補正値取得部と、
前記補正値が取得された以降、前記検出部の検出値を前記補正値で補正し、補正後の検出値を、前記他方の筐体側で実行されるアプリケーションに通知する補正部と、を有する携帯端末。
【請求項2】
2つの筐体が互いに開閉可能に接続された携帯端末であって、
前記2つの筐体の各々に備えられた2つの表示部と、
前記2つの筐体の各々でアプリケーションを実行する実行部と、
前記2つの筐体の一方に設けられ、当該一方の筐体の姿勢を示すデータを検出する検出部と、
所定のタイミングで、前記2つの筐体の他方を水平にすることを促すメッセージを報知し、水平にした旨の通知を受けた時点における前記検出部の検出値を、前記一方の筐体を水平にしたと仮定した場合における検出値となるように補正し、そのときの補正値を取得する補正値取得部と、
前記補正値が取得された以降、前記検出部の検出値を前記補正値で補正し、補正後の検出値を、前記他方の筐体側で実行されるアプリケーションに通知する補正部と、を有する携帯端末。
【請求項3】
前記所定のタイミングは、前記他方の筐体において、前記検出部の検出値を用いた処理を行うアプリケーションが起動されるタイミングである、請求項2に記載の携帯端末。
【請求項4】
前記検出部は、前記一方の筐体のX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向の加速度を検出する3軸の加速度センサを含んでおり、
前記補正値取得部は、前記所定のタイミングで、前記通知を受けた時点における前記一方の筐体のX軸方向およびY軸方向の加速度の値を0となるように補正するとともに、前記通知を受けた時点における前記一方の筐体のZ軸方向の加速度の値を重力加速度となるように補正し、そのときの補正値を取得する、請求項2または3に記載の携帯端末。
【請求項5】
互いに開閉可能に接続された2つの筐体の各々に備えられた2つの表示部を含む携帯端末の表示制御方法であって、
前記2つの筐体の一方に、当該一方の筐体の姿勢を示すデータを検出する検出部を設け、
前記2つの筐体の他方の筐体を所定の姿勢にした時に、前記検出部で検出される前記一方の筐体の姿勢を示すデータを、前記一方の筐体を前記所定の姿勢にしたと仮定した場合におけるデータとなるように補正し、そのときの補正値を取得し、
前記補正値が取得された以降、前記検出部の検出値を前記補正値で補正し、補正後の検出値を、前記他方の筐体側で実行されるアプリケーションに通知する、表示制御方法。
【請求項6】
互いに開閉可能に接続された2つの筐体の各々に備えられた2つの表示部を含む携帯端末の表示制御方法であって、
前記2つの筐体の一方に、当該一方の筐体の姿勢を示すデータを検出する検出部を設け、
所定のタイミングで、前記2つの筐体の他方を水平にすることを促すメッセージを報知し、水平にした旨の通知を受けた時点における前記検出部の検出値を、前記一方の筐体を水平にしたと仮定した場合における検出値となるように補正し、そのときの補正値を取得し、
前記補正値が取得された以降、前記検出部の検出値を前記補正値で補正し、補正後の検出値を、前記他方の筐体側で実行されるアプリケーションに通知する、表示制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−70252(P2012−70252A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−213925(P2010−213925)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】