説明

携帯端末および携帯端末の動作方法

【課題】使用者の撮影状況に応じて、表示画面の視野角を制御することができる携帯端末を提供する。
【解決手段】本発明に係る携帯端末1は、撮影部4と、撮影部4によって撮影中の画像を表示する表示部2と、撮影部4によって撮影中の画像を、表示部2が表示しているとき、表示部2の視野角を制御する視野角制御部7とを備えているので、使用者の撮影状況に応じて、表示画面の視野角を制御することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影機能を有する携帯端末、および当該携帯端末の動作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラまたはカメラ機能付き携帯電話など、表示ディスプレイをファインダーの代わりに用いて、静止画または動画を撮影する機能を有するモバイル端末が広く利用されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、撮影手段を備えた携帯端末が開示されており、画像表示モードであるか否かに応じて、液晶表示部の視野角を調整することが記載されている。
【0004】
図15の(a)および図15の(b)は、引用文献1に記載の携帯端末20の使用状態を示す説明図であり、図15の(a)は、液晶表示部を狭視野角に設定した場合を示し、図15の(b)は、液晶表示部を広視野角に設定した場合を示す。
【0005】
引用文献1の携帯端末20では、例えば、携帯端末20の使用者がメール等の操作をしているとき、図15の(a)に示すように、液晶表示部を狭視野角に設定する。この場合、図15の(a)中に網掛け部分21で示す視野角範囲よりも外側にいる人に、液晶表示部に表示される画面が見難い。一方、撮影した画像もしくは映像を表示する表示モードのときには、液晶層に印加する電圧を変えることにより、視角に対する透過率特性を変化させる。これにより、図15の(b)に示すように、液晶表示部を広視野角に設定する。この場合、視野角が、狭視野角に設定したときと比較して、図15の(b)中に網掛け部分22で示す範囲にまで広がっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−233527号公報(2004年8月19日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、近年、撮影手段を備えた携帯端末が広く利用されている。しかしながら、この携帯端末によって撮影する際、必ずしも撮影対象が移し出されている表示ディスプレイを直視しながら撮影できるとは限らない。
【0008】
例えば、人垣の後ろから撮影をする場合、または撮影しようとする位置の周囲に物が置かれている場合、十分に表示ディスプレイを覗くことができない、といった状況が考えられる。この場合、表示ディスプレイを斜視しながらの撮影となるため、表示ディスプレイの視角特性によっては、撮影対象を十分に確認できずに撮影せざるを得ない。
【0009】
通常、表示ディスプレイは、直視(正面視)状態が最も見栄えがよくなるように設計されている。そのため、斜視状態では、ディスプレイのコントラスト比特性または色再現範囲が劣化してしまう。一方、斜視状態の視角特性を上げると、今度は正面視状態の視角特性とのトレードオフとなる場合が多く、容易に切り換えることができない。
【0010】
また、特許文献1では、撮影した画像または映像を再生表示するときは、液晶表示部の視野角を広視野角に設定し、それ以外のときは、当該視野角を狭視野角に設定している。しかしながら、特許文献1では、携帯端末20が狭視野角または広視野角のどちらに設定されているときが、正面視状態の見栄えがよいのかについて記載されていない。そのため、撮影時の視野角が固定されている特許文献1の携帯端末20では、撮影対象を十分に確認できずに撮影せざるを得ないこともある。
【0011】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、使用者の撮影状況に応じて、表示画面の視野角を制御することができる携帯端末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る携帯端末は、上記の課題を解決するために、撮影部と、上記撮影部によって撮影中の画像を表示する表示部と、上記撮影部によって撮影中の画像を、上記表示部が表示しているとき、上記表示部の視野角を制御する視野角制御部とを備えていることを特徴としている。
【0013】
上記の構成によれば、本発明に係る携帯端末は、撮影中の画像が表示されている、表示部の視野角を制御する。これにより、使用者が表示部を正面視する状態または斜視する状態のいずれであっても、状況に応じて、使用者にとって見栄えのよい画像を表示することができる。
【0014】
例えば、使用者が表示部を正面視する状態であれば、表示部の視野角を狭くすることによって、正面視状態の見栄えがよくなるように表示することができる。一方、使用者が表示部を斜視する状態であれば、表示部の視野角を広くすることによって、斜視状態の見栄えがよくなるように表示することができる。このように、使用者は表示部を正面視する状態でなくても、表示部に表示される画像を十分に確認することができる。
【0015】
また、本発明に係る携帯端末では、撮影部によって撮影中の画像を、表示部が表示しているとき、当該表示部の視野角を制御する。なお、本発明において、表示部は携帯端末を用いて撮影する際のファインダーとして機能するものであり、撮影部が撮影している画像が表示される。
【0016】
よって、例えば、使用者が表示部を直視して撮影する場合、人垣の後ろから撮影をする場合、または使用者が撮影している最中に、撮影しようとする位置を移動する場合など、撮影状況に応じて、表示部に対する使用者の位置が変わっても、容易に表示部の視野角を切り換えることができる。
【0017】
以上のように、本発明に係る携帯端末は、撮影部によって撮影中の画像を、表示部が表示しているとき、表示部の視野角を制御する。したがって、使用者の撮影状況に応じて、使用者にとって見栄えのよい画像を表示するように、表示部の視野角を制御することができる。
【0018】
また、本発明に係る携帯端末は、上記視野角制御部に対して視野角の設定情報を送信するための設定部をさらに備えていることが好ましい。
【0019】
上記の構成によれば、設定部は、視野角制御部に対して視野角の設定情報を送信する。すなわち、設定部では、表示部がどのような視野角に制御されるのかを示す設定情報が入力されると、入力された設定情報を視野角制御部に送信する。
【0020】
また、本発明に係る携帯端末は、使用者により上記視野角の設定情報が入力される視野角設定入力部をさらに備え、上記設定部は、入力された上記視野角の設定情報を上記視野角制御部に対して送信することが好ましい。これにより、設定部への入力を、使用者が自ら行なうことができる。
【0021】
よって、例えば、使用者が撮影する際に、どの位置から見ても表示部の見栄えがよくなるように、使用者自ら、表示部の視野角を設定することができる。
【0022】
また、本発明に係る携帯端末は、上記表示部を正面視する範囲内における、使用者の有無を検知する検知部をさらに備え、上記視野角制御部は、上記検知部が上記使用者を検知した場合には、上記視野角を狭視野角に制御し、上記検知部が上記使用者を検知しない場合には、上記視野角を広視野角に制御することが好ましい。
【0023】
上記の構成によれば、検知部は、表示部を正面視する範囲内に、使用者がいるか否かを検知する。すなわち、検知部は、例えばセンサ等を用いて、当該センサが使用者を検知するか否かによって、使用者の有無を判断する。これにより、使用者がどのような状態で表示部を見ているか、つまり、使用者が正面視状態であるか、または斜視状態であるかを判断することができる。
【0024】
また、本発明に係る携帯端末において、視野角制御部は、検知部による使用者の検知結果に応じて、視野角を制御する。すなわち、使用者が表示部を正面視する範囲内にいると検知部が検知した場合、視野角制御部は表示部の視野角が狭くなるように制御する。一方、検知部が使用者を検知しない場合、視野角制御部は表示部の視野角が広くなるように制御する。
【0025】
したがって、使用者が表示部に対してどのような位置にいるかに応じて、自動的に表示部の視野角を制御することができる。
【0026】
また、本発明に係る携帯端末において、上記検知部は、赤外線を送受信することによって、上記使用者の有無を検知することが好ましい。
【0027】
例えば、検知部が赤外線を送信する範囲を、表示部を正面視する範囲内とした場合、当該範囲内に使用者がいれば、検知部が送信した赤外線は使用者によって反射される。その結果、反射した赤外線を検知部が受信したとき、検知部は当該範囲内に使用者がいると判断する。一方、赤外線を送信しても、当該赤外線を受信しない場合、検知部は当該範囲内に使用者がいないと判断する。
【0028】
したがって、検知部が赤外線を受信するか否かによって、使用者が表示部を正面視する範囲内にいるか否かを判断することができる。
【0029】
また、本発明に係る携帯端末において、上記表示部は、液晶表示パネルであることが好ましい。
【0030】
さらに、本発明に係る携帯端末において、上記視野角制御部は、上記液晶表示パネルの駆動パターンを変えることにより、上記視野角を制御することが好ましい。
【0031】
これにより、使用者の撮影状況に応じて、液晶表示パネルの駆動パターンを変えることにより、どの位置から見ても表示部の見栄えがよくなるように、表示部の視野角を設定することができる。
【0032】
本発明に係る携帯端末の動作方法は、上記の課題を解決するために、表示部と、使用者検知部と、設定部と、視野角制御部とを備える携帯端末の動作方法であって、上記表示部が、撮影中の画像を表示部に表示する表示工程と、上記使用者検知部が、上記表示部を正面視する範囲内における、使用者の有無を検知する検知工程と、上記使用者検知部が上記使用者を検知しないことを示す信号を、設定部を通じて上記視野角制御部が受信した場合、上記視野角制御部は、上記表示部の視野角を広視野角に制御する視野角制御工程とを包含する。
【0033】
これにより、使用者の撮影状況に応じて、使用者にとって見栄えのよい画像を表示するように、表示部の視野角を制御することができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明に係る携帯端末は、撮影部と、上記撮影部によって撮影中の画像を表示する表示部と、上記撮影部によって撮影中の画像を、上記表示部が表示しているとき、上記表示部の視野角を制御する視野角制御部とを備えているので、使用者の撮影状況に応じて、表示画面の視野角を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施形態に係る携帯端末の要部構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る携帯端末における表示部が、狭視野角に設定されている状態を示す説明図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る携帯端末における表示部が、広視野角に設定されている状態を示す説明図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る携帯端末における表示部が、図3に示す視野角よりもさらに広い視野角に設定されている状態を示す説明図である。
【図5】各視野角モードのγ特性を示すグラフである。
【図6】各視野角モードのγ特性を示すグラフである。
【図7】図7は、隣り合う画素に異なるγ値(γA,γB)を割り当てた表示部2を示す図であり、図7の(a)は画像信号の第mフレーム(mは自然数)におけるγ特性の割り当てを示し、図7の(b)は画像信号の第m+1フレームにおけるγ特性の割り当てを示す。
【図8】広視野角モード1および広視野角モード2のγ値(γA,γB)におけるγ特性を示すグラフである。
【図9】本発明の一実施形態に係る携帯端末の構成を示す外観図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る携帯端末の使用状態を示す説明図である。
【図11】本発明の一実施形態に係る携帯端末の使用状態を示す説明図である。
【図12】本発明の別の実施形態に係る携帯端末の構成を示す外観図である。
【図13】図13の(a)〜(c)は、図12に示す携帯端末1の使用状態を示す説明図である。
【図14】本発明の一実施形態に係る携帯端末における、視野角制御の処理の流れを示すフローチャートである。
【図15】従来のカメラ機能付携帯端末における使用状態を示す説明図であり、図15の(a)は、狭視野角に切り換えたときの状態を示し、図15の(b)は、広視野角に切り換えたときの状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明に係る携帯端末の一実施形態について、図1〜図14を参照して以下に説明する。
【0037】
(携帯端末1の構成)
図1は、本発明の一実施形態に係る携帯端末1の要部構成を示すブロック図である。図1に示すように、携帯端末1は、表示部2、設定部3、撮影部4、動作モード切換部5、使用者検知部(検知部)6、視野角制御部7および視野角設定入力部9を備えている。
【0038】
携帯端末1は、動画または静止画などの画像を撮影する、撮影機能付の携帯端末である。また、携帯端末1は、撮影中の画像を表示している表示部2の視野角を制御する。具体的には、使用者が表示部2を正面視する状態であれば、表示部2の視野角を狭くすることによって、正面視状態の見栄えがよくなるように表示することができる。一方、使用者が表示部2を斜視する状態であれば、表示部2の視野角を広くすることによって、斜視状態の見栄えがよくなるように表示することができる。このように、使用者は表示部2を正面視する状態でなくても、表示部2に表示される画像を十分に確認することができる。
【0039】
表示部2は、撮影部4によって撮影中の画像を表示するものであり、携帯端末1を用いて撮影する際のファインダーとして機能することもある。また、表示部2は、視野角制御部7によって視野角が制御される。表示部2は、例えば、視野角制御部7と一体的に表示パネル8として構成される。表示パネル8としては、特に限定されないが、例えば、液晶表示パネルを含む。
【0040】
なお、表示部2に表示されるのは、撮影部4が現在撮影中の画像に限定されるものではなく、例えば図示しない記憶メモリに記憶された、過去に撮影した画像、または携帯端末1における各種設定を選択するための選択画面(以下、「メニュー画面」とも言う)を表示してもよい。また、撮影部4によって撮影される画像に、当該選択画面を重ね合わせて同時に表示させてもよい。
【0041】
設定部3は、視野角制御部7に対して、表示部2の視野角の制御情報を設定(送信)する。すなわち、設定部3は、視野角検知部6からの使用者の検知結果情報、または視野角設定入力部9からの使用者の入力情報を受け取り、受け取った情報を設定情報として視野角制御部7に送信する。視野角制御部7は、送信された設定情報に従って、視野角を制御する。
【0042】
このように、設定部3への情報入力は、使用者検知部6からの情報に基づいて自動で行なうこともできるし、使用者が自ら手動で行なうこともできる。また、視野角制御部7へ送信する視野角設定情報として、視野角検知部6および視野角設定入力部9のどちらの情報を優先するかは、事前に使用者が決めておくことができる。よって、視野角設定入力部9からの情報を優先する設定とした場合、例えば、使用者が撮影する際に、どの位置から見ても表示部2の見栄えがよくなるように、使用者自ら、表示部2の視野角を設定することができる。
【0043】
なお、設定部3から視野角制御部7への送信方法は特に限定されるものではなく、例えば、SPIまたはI2C等のインターフェースのように、設定部3からのコマンド設定による送信方法がある。また、視野角制御部7への入力端子のひとつに、視野角の制御を設定する設定端子を備え、設定部3から「High」または「Low」の信号を送信する方法もある。
【0044】
なお、設定部3は、後述する視野角設定入力部9において使用者により動作モードの切り換え設定が入力されると、入力された設定情報を動作モード切換部5に送信することができる。
【0045】
撮影部4は、撮影対象を撮影しており、例えば、レンズおよび撮像素子を含む。すなわち、撮影部4は、撮影した画像を表示部2に送信する。表示部2は、撮影部4から送信された画像を表示する。
【0046】
なお、本明細書において、撮影部4が撮影している状態とは、撮像素子から伝達されてくる映像信号を、表示部2に表示している状態、すなわち撮影可能な状態を意味する。したがって、撮影した画像の記録は、例えば、静止画の場合は、シャッター等を押すことによって記録すればよいし、動画の場合は、記録開始ボタン等を押すことによって記録すればよい。
【0047】
動作モード切換部5は、携帯端末1における動作モードを切り換える。ここで、動作モードとは、携帯端末1がどのような動作をするかが設定されたモードであり、この動作モードに従って、表示部2が表示する画面を切り換える。
【0048】
すなわち、動作モード切換部5は、撮影部4によって撮影するときには、表示部2が表示する画面を撮影モードに切り換え、撮影した画像を確認するときには、表示部2が表示する画面を表示モードに切り換える。
【0049】
ここで、撮影モードとは、表示部2が撮影部4によって撮影中の画像を表示しているモードである。また、表示モードとは、撮影部4が過去に撮影した画像を表示部2に表示させるモードである。なお、動作モードとしては、これに限定されるものではなく、例えば上述したメニュー画面を表示部2に表示させる選択モード等を含む。
【0050】
使用者検知部6は、表示部2を正面視する範囲内に、使用者がいるか否かを検知する。すなわち、使用者検知部6は、例えばセンサ等を用いて、当該センサが使用者を検知するか否かによって、使用者の有無を判断する。これにより、使用者がどのような状態で表示部を見ているか、つまり、使用者が正面視状態であるか、または斜視状態であるかを判断することができる。使用者検知部6は、このように検知した情報を設定部3に送信する。設定部3は、使用者検知部6において検知された情報に基づいて、どの視野角モードで表示するかという設定情報を視野角制御部7に送信する。
【0051】
このセンサとしては、例えば、赤外線センサ、熱感知センサまたはイメージセンサ等が挙げられる。
【0052】
視野角制御部7は、撮影部4によって撮影中の画像が表示されている、表示部2の視野角を制御する。これにより、使用者が表示部2を正面視する状態または斜視する状態のいずれであっても、状況に応じて、使用者にとって見栄えのよい画像を表示することができる。
【0053】
例えば、使用者が表示部2を正面視する状態であれば、表示部2の視野角を狭くすることによって、正面視に適した表示をすることができる。一方、使用者が表示部2を斜視する状態であれば、表示部2の視野角を広くすることによって、斜視に適した表示をすることができる。この結果、使用者は表示部2に対して正面視する範囲内にいなくても、表示部2に表示される画像を見ることができる。
【0054】
したがって、例えば、使用者が表示部2を直視して撮影する場合、人垣の後ろから撮影をする場合、または使用者が撮影している最中に、撮影しようとする位置を移動する場合など、撮影状況に応じて、表示部2に対する使用者の位置が変わっても、容易に表示部2の視野角を切り換えることができる。
【0055】
なお、視野角制御部7は特に限定されるものではないが、表示パネル8内のソースドライバに内蔵されていてもよい。
【0056】
視野角設定入力部9は、使用者が表示部2をどのような視野角にするかの設定を入力する。設定部3は、入力された設定情報を受け取り、視野角制御部7に送信する。視野角制御部7は、送信された設定情報に従って視野角を制御する。このように、視野角を制御する設定は使用者が自ら行なうことができる。
【0057】
また、使用者が視野角設定入力部9に設定を入力する方法としては、例えば、表示部2に視野角を設定できるメニュー画面を表示させておき、携帯端末1に設けられた図示しない操作キー等を操作して、目的とする視野角に設定されるように入力すればよい。また、入力方法としては、これに限定されず、例えば携帯端末1に、視野角の切換スイッチまたはプッシュボタン等を直接設けて、これらを押すだけで視野角が設定できるようにしてもよい。
【0058】
(携帯端末1における視野角制御)
次に、本実施形態に係る携帯端末1における視野角制御について、以下に説明する。図2は、本発明の一実施形態に係る携帯端末1における表示部2が、狭視野角に設定されている状態を示す説明図である。
【0059】
本実施形態に係る携帯端末1では、特に限定されないが、使用開始直後は、図2に示すように、表示部2は狭視野角に設定されている。この場合、使用者11が図2中に「A」で示す視野角の範囲内にいる場合、すなわち、表示部2を正面視する状態である場合には、表示部2が狭視野角に設定されていることにより、表示部2に表示される画像の見栄えがよい。
【0060】
一方、使用者11が「A」で示す視野角の範囲よりも外側にいる場合、すなわち斜視状態である場合、視野角を制御することによって、図3に示すように、視野角の範囲を広げる(図3中、「B」で示す範囲)。図3は、本発明の一実施形態に係る携帯端末1における表示部2が、広視野角に設定されている状態を示す説明図である。これにより、使用者11が表示部2を斜視する状態であっても、表示部2に表示される画像の見栄えがよい。
【0061】
なお、使用者11が広視野角にて撮影した後、撮影モードを終了することにより、速やかに狭視野角に切り換えることができる。
【0062】
また、例えば使用者11が、図3に示す位置よりもさらに外側にいる場合、視野角を制御することによって、図4に示すように、視野角の範囲をさらに広げることもできる(図4中、「C」で示す範囲)。図4は、本発明の一実施形態に係る携帯端末1における表示部2が、図3に示す視野角よりもさらに広い視野角に設定されている状態を示す説明図である。
【0063】
このように、本実施形態に係る携帯端末1は、表示部2の視野角を「狭い」または「広い」の2択ではなく、使用者11の位置に応じて、様々な視野角に制御することができる。
【0064】
また、視野角制御部7が視野角を制御する方法としては、次の方法が挙げられる。なお、ここでは、表示部2がVA(vertical alignment)モードの液晶表示パネルである場合について説明する。
【0065】
例えば、マトリックス状に配置された複数の画素を有している液晶表示パネルは、液晶表示パネル上に互いに直交して配置された複数の走査線と、複数のデータ線(信号線)により画定されている。各画素には、駆動用のスイッチング素子(TFT等)が設けてあり、これらスイッチング素子により画素ごとに駆動して画像を表示する。
【0066】
一般に、VAモードの液晶表示パネルの場合、使用者が表示部2を斜視状態で見ると、γ特性が浮いて白っぽい画面になる。そこで、このγ特性が浮く現象を抑えることにより表示部2の視野角を広げることができる。
【0067】
視野角の制御方法としては、例えば、表示するγ特性(階調−輝度特性)を深くする、すなわちγ値を高くする方法がある。この方法では、下記の表1および図5に示すように、狭視野角モード(図5中「A」で示す)、広視野角モード1(図5中「B」で示す)および広視野角モード2(図5中「C」で示す)と視野角が広くなるに従ってγ値を高く設定することにより、γ特性が浮いたとしても、画面の見難さを緩和することができる。図5は、表示部2において、各視野角モードのγ特性が異なることを示すグラフであり、横軸は階調レベルを示し、縦軸は輝度を示す。なお、本明細書において、広視野角モード2は、広視野角モード1よりもさらに視野角を広く設定したモードである。
【0068】
【表1】

【0069】
図6は、各視野角モードにおけるγ特性を示すグラフである。図6中、γ=2.2は「A」で示し、γ=3.0は「D」で示し、γ=3.4は「B」で示し、γ=5.4は「C」で示す。
【0070】
また、別の視野角制御方法としては、例えば、隣接する画素に2つのγ特性を割り当てて表示する方法がある。図7は、隣り合う画素10に異なるγ値(γA,γB)を割り当てた表示部2を示す図であり、図7の(a)は画像信号の第mフレーム(mは自然数)におけるγ特性の割り当てを示し、図7の(b)は画像信号の第m+1フレームにおけるγ特性の割り当てを示す。
【0071】
図7の(a)に示すように、この方法ではx行y列の画素数を持つ表示部2において、隣接する画素10にはそれぞれ異なるγ値を割り当てている。また、各画素10に割り当てるγ値は、例えば、図7の(a)に示す第mフレームの次のフレームである図7の(b)に示す第m+1フレームでは、γAおよびγBの割り当てを図7の(a)と逆転させてもよい。また、この方法では120Hz駆動をする場合もある。
【0072】
γ値(γA,γB)の求め方は、任意の階調nにおける狭視野角モード時の相対輝度をLnとし、γAおよびγB上の相対輝度をLnA,LnBとする。このとき、Ln=(LnA+LnB)/2が成立するようなγAおよびγBを設定することによって、視野角を拡大することができる。このように目標相対輝度を求めた広視野角モード1および広視野角モード2のγ値(γA,γB)におけるγ特性のグラフを図8に示す。図8は、広視野角モード1および広視野角モード2のγ値(γA,γB)におけるγ特性を示すグラフであり、図8中、狭視野角モードは「A」で示し、広視野角モード1のγAは「E」で示し、広視野角モード1のγBは「F」で示し、広視野角モード2のγAは「G」で示し、広視野角モード2のγBは「H」で示す。
【0073】
したがって、この方法では、γ特性の浮きへの寄与が大きい中間調領域を極力使用しないようにすることにより、全体におけるγ特性の浮きを抑えることができる。
【0074】
なお、視野角の制御方法はこれに限定されるものではなく、例えば、γA、γB、γCおよびγDなど4種類を適用してもよい。この場合、複数のγ特性を空間的または時間的に複数の画素に割り当てて、見た目上、狭視野角と同じ見栄えにすればよい。このように、液晶表示パネルの駆動パターンを変えることにより、表示部2の視野角を制御することができる。
【0075】
これにより、狭視野角のときに、正面視が最も見栄えがよい状態であっても、撮影時に視野角を切り換えることによって、斜視状態における、表示部2のコントラスト比特性または色再現範囲の劣化を防ぎ、使用者にとって見栄えのよい状態で表示することができる。
【0076】
このように、本実施形態に係る携帯端末1は、撮影部4によって撮影中の画像を、表示部2が表示しているとき、表示部2の視野角を制御する。したがって、使用者の撮影状況に応じて、使用者にとって見栄えのよい画像を表示するように、表示部2の視野角を制御することができる。
【0077】
(使用者検知部6に応じた視野角制御)
図9は、本実施形態に係る携帯端末1の構成を示す外観図である。図9に示すように、本実施形態において、携帯端末1はデジタルカメラであり、表示部2以外の筺体の一部に、操作キー等を含む視野角設定入力部9が設けられている。
【0078】
また、図9に示す携帯端末1において、使用者検知部6は、赤外線を送信する赤外線送信部61、および赤外線を受信する赤外線受信部62を備えている。よって、使用者検知部6は、赤外線受信部62が赤外線を受信するか否かによって、使用者が表示部2を正面視する範囲内にいるか否かを判断することができる。具体的には、図10および図11を参照して説明する。
【0079】
図10および図11は、本発明の一実施形態に係る携帯端末1の使用状態を示す説明図である。例えば、赤外線送信部61が赤外線を送信する範囲を、表示部2を正面視する範囲内とした場合、図10に示すように、当該範囲内に使用者11がいれば、赤外線送信部61が送信した赤外線は使用者11によって反射される。そのため、この反射した赤外線を赤外線受信部62が受信したとき、使用者検知部6は当該範囲内に使用者がいると判断する。
【0080】
一方、図11に示すように、表示部2を正面視する範囲内に使用者11がいなければ、赤外線送信部61が送信した赤外線は使用者によって反射されず、そのまま進んでいく。そのため、赤外線受信部62が赤外線を受信しなければ、使用者検知部6は当該範囲内に使用者がいないと判断する。
【0081】
このように、本実施形態に係る視野角制御方法は、表示部2が、撮影中の画像を表示部2に表示する表示工程と、使用者検知部6が、表示部2を正面視する範囲内における、使用者11の有無を検知する検知工程と、使用者検知部6が使用者11を検知しないことを示す信号を、設定部3を通じて視野角制御部7が受信した場合、視野角制御部7は、表示部2の視野角を広視野角に制御する視野角制御工程とを包含する。
【0082】
したがって、使用者検知部6が、赤外線を受信するか否かによって、使用者が表示部2を正面視する範囲内にいるか否かを判断することができる。また、この検知結果に応じて、表示部2の視野角が自動的に制御される。
【0083】
なお、使用者検知部6において、赤外線送信部61が赤外線を送信するタイミングは、特に限定されず、例えば、携帯端末1が撮影モードに切り換わったとき、撮影モードの間、または撮影モード時に、シャッターを半押ししたとき等が挙げられる。また、赤外線送信部61が赤外線を送信するタイミングを、使用者が設定することもできる。
【0084】
(使用者検知部6に応じた段階的な視野角制御)
図12は、本実施形態に係る携帯端末1の別の例を示す図である。図12に示すように、赤外線受信部62は、赤外線送信部61の左右にそれぞれ設けられていてもよい。この携帯端末1における段階的な視野角制御について、図13に示す。図13の(a)〜(c)は、図12に示す携帯端末1の使用状態を示す説明図である。
【0085】
図13の(a)に示すように、使用者11が携帯端末1に対してほぼ中央に位置し、表示部2を正面視する場合、赤外線送信部61から垂直に送信された赤外線12は使用者11に反射され、赤外線受信部62が受信する。この場合、表示部2を狭視野角モードで駆動させる。
【0086】
また、図13の(b)に示すように、使用者11が携帯端末1に対して図13の(a)に示すよりも少し斜めに位置する場合、先ほどと同様に赤外線送信部61から送信された赤外線12は使用者11に反射されない。よって、今度は携帯端末1からの垂線14よりも少し傾けた方角に赤外線12を送信する。このとき、赤外線受信部62が使用者11からの反射光13を受信した場合、表示部2を上述した広視野角モード1で駆動させる。
【0087】
次に、図13の(c)に示すように、使用者11が携帯端末1に対して図13の(b)に示すよりもさらに斜めに位置する場合、上記2つの場合と同様に赤外線送信部61から送信された赤外線12は使用者11に反射されない。このように、赤外線送信部61から送信する赤外線12を傾けても、使用者11を反射する反射光13を受信できない場合には、表示部2を上述した広視野角モード2で駆動させる。
【0088】
なお、赤外線送信部61および赤外線受信部62の配置および数はこれに限定されるものではない。
【0089】
(携帯端末1の動作)
次に、本実施形態に係る携帯端末1における視野角制御の処理の流れについて、図14を参照して説明する。図14は、本発明の一実施形態に係る携帯端末1における、視野角制御の処理の流れを示すフローチャートである。
【0090】
まず、使用者が携帯端末1の電源を入れる(ステップS1)。このとき、本実施形態に係る携帯端末1では、表示部2に表示されている初期状態の画面が、例えばメニュー画面等、撮影モード以外の動画モードに設定されているとする。次に、表示部2がメニュー画面を表示し、使用者が視野角設定入力部9において動画モードを撮影モードに切り換える設定を入力すると、設定部3は入力された設定情報を受け取り、動作モード切換部5に送信する。これにより、動作モード切換部5が動作モードを撮影モードに切り換え(ステップS2)、携帯端末1は、撮影可能な状態となる。なお、本実施形態では、携帯端末1に電源を入れたときから、撮影モードに切り替わるときまで、表示部2の視野角は狭視野角に設定されている。
【0091】
ここで、使用者が表示部2を正面視する状態であるか否かによって、視野角制御部7は視野角をどのように制御するかを判断する(ステップS3)。すなわち、使用者が表示部2を正面視する範囲内にいれば、すでに表示部2は狭視野角となっているため、そのまま撮影する。
【0092】
一方、使用者が表示部2を正面視する範囲内にいない場合、視野角制御部7は表示部2の視野角を広視野角に制御する(ステップS4)。なお、この視野角の制御は、上述したように、使用者が手動で設定することによって制御してもよいし、使用者検知部6が使用者を検知するか否かによって制御してもよい。その後、視野角が広視野角となったら、撮影する。
【0093】
なお、本実施形態に係る携帯端末1は、視野角制御部7が視野角を制御する際に指示を入力する手段として、視野角設定入力部9および使用者検知部6をともに備えた形態を示したが、これに限定されず、どちらか一方を備えていればよい。
【0094】
また、視野角設定入力部9および使用者検知部6をともに備えている場合、どちらの指示が優先されるかは、例えば、予め使用者が設定しておくことができる。これにより、使用者の使用状況に応じて、表示画面の視野角を制御することができる。
【0095】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明は、撮影機能付の携帯端末に適用可能であり、例えば、デジタルカメラおよびカメラ機能付携帯電話などに利用することができる。
【符号の説明】
【0097】
1 携帯端末
2 表示部
3 設定部
4 撮影部
5 動作モード切換部
6 使用者検知部
7 視野角制御部
8 表示パネル
9 視野角設定入力部
61 赤外線送信部
62 赤外線受信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影部と、
上記撮影部によって撮影中の画像を表示する表示部と、
上記撮影部によって撮影中の画像を、上記表示部が表示しているとき、上記表示部の視野角を制御する視野角制御部とを備えていることを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
上記視野角制御部に対して視野角の設定情報を送信するための設定部をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の携帯端末。
【請求項3】
使用者により上記視野角の設定情報が入力される視野角設定入力部をさらに備え、
上記設定部は、入力された上記視野角の設定情報を上記視野角制御部に対して送信することを特徴とする請求項2に記載の携帯端末。
【請求項4】
上記表示部を正面視する範囲内における、使用者の有無を検知する検知部をさらに備え、
上記視野角制御部は、上記検知部が上記使用者を検知した場合には、上記視野角を狭視野角に制御し、上記検知部が上記使用者を検知しない場合には、上記視野角を広視野角に制御することを特徴とする請求項1に記載の携帯端末。
【請求項5】
上記検知部は、赤外線を送受信することによって、上記使用者の有無を検知することを特徴とする請求項4に記載の携帯端末。
【請求項6】
上記表示部は、液晶表示パネルであることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の携帯端末。
【請求項7】
上記視野角制御部は、上記液晶表示パネルの駆動パターンを変えることにより、上記視野角を制御することを特徴とする請求項6に記載の携帯端末。
【請求項8】
表示部と、使用者検知部と、設定部と、視野角制御部とを備える携帯端末の動作方法であって、
上記表示部が、撮影中の画像を表示部に表示する表示工程と、
上記使用者検知部が、上記表示部を正面視する範囲内における、使用者の有無を検知する検知工程と、
上記使用者検知部が上記使用者を検知しないことを示す信号を、設定部を通じて上記視野角制御部が受信した場合、上記視野角制御部は、上記表示部の視野角を広視野角に制御する視野角制御工程とを包含する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−272995(P2010−272995A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−121459(P2009−121459)
【出願日】平成21年5月19日(2009.5.19)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】