説明

携帯端末装置

【課題】節電効果を高めて電池の使用時間を大幅に増加させる。
【解決手段】電源スイッチシステムS、電源部20を備える端末装置が、使用者の手指から離れて机上等の載置面18に載置された場合、端末装置の自重によって、接触子14a、15aがケース内部に押し込まれ、検出回路16、17のスイッチを開くように構成されている。検出回路16、17が開かれると、センサー制御部19を介して、電源部20の電源をOFFする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、ICタグ等に記録された非接触認識用データを読み取ったり書き込んだりする携帯端末装置に関する。
【0002】
情報記憶用のICチップとアンテナとを備えて構成されるいわゆるICタグ等の非接触タグは、非接触で情報を読み取りあるいは書き込むことが可能であり、しかも、格納できる情報量が多いため、種々の用途で急速に普及している。上記非接触タグのデータは、上記非接触タグに近接させられて情報を交信できるアンテナを備えた端末装置等によって読み取られ、あるいは書き込まれる。
【0003】
たとえば、ICタグの情報を読み取り、あるいは書き込む端末装置として、上記アンテナと、読み取ったデータ等を表示できる表示部とを備え、種々の場面で使用できる携帯型の端末装置が普及している。携帯型の端末装置は、充電式の電池で作動するものが多い。
【0004】
【特許文献1】特許第3666593号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献に記載されているような携帯型の端末装置は、主として業務用に使用するものであり、長時間連続的に使用されることが多いため、電池の消耗も激しい。このため、業務途中で電池切れになっても対応できるように、交換用の充電式電池を用意している場合も多い。しかしながら、充電池を交換する場合でも、一時的に業務が中断することになるため、交換が頻繁であると業務に支障が生じる場合もある。
【0006】
一方、携帯端末装置が実質的に作動しているのは、作業者が携帯端末装置を手に握持して、ICタグの情報を読み取りあるは書き込む場合等である。したがって、それ以外の場合は装置の電源を切っておくことにより、使用電力を抑制して、電池交換時期を延ばすことができる。しかしながら、現場作業者にとって、上記操作は非常に面倒である。また、電源スイッチを頻繁にON−OFFする場合、電源スイッチが傷む恐れも高くなる。
【0007】
また、端末装置を一定時間使用しない場合に電源をOFFするオートパワーオフ機能を搭載した端末装置も提供されているが、上記機能を発揮させるには所定の設定を行う必要があり、設定を行わず電源ONのまま放置して電池が尽きてしまうことも多い。また、上記オートパワーオフ機能は、一定時間使用されない場合に電源をOFFするものであるため、節電効果も限られている。
【0008】
本願発明は、上記問題を解決するために案出されたものであり、端末装置が使用者の手指から離れて、机上等に載置されたか否かを検出することにより、電源をON−OFFし、節電効果を高めて電池の使用時間を大幅に増加させることのできる携帯端末装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願の請求項1に記載した発明は、非接触認識用データを、読み取る及び/又は書き込む携帯端末装置であって、載置面を検出して電源をOFFする電源スイッチシステムを備えて構成される。
【0010】
本願発明は、種々の非接触認識用データを読み書きする携帯端末装置に適用できる。たとえば、アンテナを介してICチップ内の情報を読み取るICタグ用の携帯端末装置のみならず、光学的に情報を読み取るバーコードリーダ用の携帯端末装置等も含まれる。
【0011】
本願発明は、携帯端末装置は不使用時に机上や床面に載置されることが多いことに着目して案出されたものである。本願発明に係る携帯端末装置では、机等の載置面に載置された場合に不使用であると判断し、携帯端末装置の電源をOFFするように構成される。上記電源をOFFするために、上記載置面を検出して電源をOFFする電源スイッチシステムが設けられる。
【0012】
上記電源スイッチシステムは、載置面を検出するセンサー、センサー出力の処理制御回路、電源切断制御部等、種々の要素を含んで構成することができる。
【0013】
携帯端末装置を、常時手指で握持して使用することは稀であり、使用しない場合は、近傍の机上等に載置することが多い。このため、載置面を検出することにより、携帯端末装置の不使用開始時を確実にとらえて電源をOFFすることができる。したがって、節電効果を大幅に高めることが可能となり、一回の充電で使用できる携帯端末装置の使用可能時間を大幅に増加させることが可能となる。
【0014】
また、携帯端末装置のスイッチ操作を必要としないため、作業者に負担をかけることはない。さらに、メインの電源スイッチを頻繁に操作する必要もないため、スイッチ機構が傷む恐れもない。
【0015】
上載置面を検出するセンサーとして種々のセンサーを採用することができる。たとえば、請求項4に記載した発明のように、携帯端末装置を机上等に載置したとき、載置面によって変位させられる接触子を備えるセンサーを採用することができる。この種のセンサーは、リミットスイッチと称されるものであり、載置面に接触して変位する接触子の動きをスイッチ部に伝達し、電源をOFFするように構成される。
【0016】
上記接触子の種類は特に限定されることはなく、携帯端末装置の形態、使用態様等に応じて、プッシュプランジャ型、ローラプランジャ型、レバー型等の種々の形態の接触子を採用することができる。
【0017】
上記接触子を備えるセンサーを採用する場合、接触子によって直接電源をOFFするように構成することもできるし、リレー回路やマイクロコンピュータ等を用いて電源回路を切断するように構成することもできる。
【0018】
また、請求項5に記載した発明のように、光を投光する投光部と、上記光の載置面からの反射光を検出する受光部とを備えて構成される、いわゆる光電センサーを採用することもできる。
【0019】
本願発明において採用される光電センサーは、可視光線、赤外線等の光を、投光部から信号光として発射し、検出物体、すなわち載置面によって反射等する光を受光部で検出する反射型のものが採用される。また、携帯端末装置の形態や使用態様に応じて、載置面での拡散反射光を受光する拡散反射型の光電センサー、発光部と受光部とを所定の角度に設定して載置面を検出する限定反射型等の光電センサーを採用することができる。上記拡散反射型及び上記限定反射型の光電センサーを採用する場合、センサーと載置面との間の距離を確保するため、携帯端末装置の背面に凹部を設けて、上記センサーを設けるのが好ましい。また、携帯端末装置にスリットを設けて、このスリット内から載置面にスポット光を照射し、載置面からの反射光を上記スリット内に設けた受光部で検出するように構成することもできる。
【0020】
本願の請求項6に記載した発明は、超音波を発する発信部と、上記超音波の載置面からの反射音を検出する受信部を備える超音波センサーを採用したものである。
【0021】
超音波センサーも、上記光電センサーと同様に発信部と受信部とを備えており、上記光電センサーと同様の手法で適用することができる。
【0022】
本願の請求項7に記載した発明は、上記センサーとして、載置面との間の静電容量を検出できる静電容量センサーを採用したものである。
【0023】
静電容量センサーは、載置面との間の静電容量の変化を検出することにより、載置面を検出するものであり、金属、ガラス、プラスチック等種々の材料から形成された載置面を検出することができる。
【0024】
また、リミットスイッチの接触子や光電センサーのような反射光を用いるものではないため、載置面の汚れ等の影響を受けにくい。また、発信部や受信部がないため、携帯端末装置の内部にセンサーを設けることも可能となる。
【0025】
本願の請求項2に記載した発明は、上記電源スイッチシステムを、載置面を関知しうる2以上のセンサーと、上記2以上のセンサーが同時に載置面を検出する場合に上記電源をOFFする制御部とを備えて構成したものである。
【0026】
たとえば、リミットスイッチを採用した場合、握持する手指で接触子を変位させてしまう場合がある。また、光電センサーを採用した場合、発光部から発射された光を、使用者の手指を介して反射させてしまう場合も考えられる。本請求項に記載した発明は、上記不都合を回避するため、2以上のセンサーを採用し、この2以上のセンサーが載置面を検出した場合に、電源をOFFするように構成したものである。
【0027】
上記構成を採用することにより、誤動作により電源がOFFされることがなくなり、携帯端末装置を安定した状態で使用することができる。
【0028】
採用されるセンサーの数は限定されることはなく、また、異なる種類のセンサーを採用することもできる。
【0029】
本願発明においては、載置面を検出して電源をOFFした後、使用に際して、電源装置のスイッチをONし、あるいはいずれかのキーを操作した場合に電源がONされるように構成することができる。
【0030】
また、請求項3に記載した発明のように、上記電源スイッチシステムを、上記センサーが載置面を検出しない場合に、電源をONする制御部を含んで構成することもできる。
【0031】
載置面を検出しない場合は、使用者が携帯端末装置を手指で握持しているものと考えられる。したがって、携帯端末装置を、載置面から持ち上げた際に使用を開始したと判断して電源をONすることにより、作業を迅速に開始することができる。
【発明の効果】
【0032】
本願発明によれば、不使用時に電源をOFFして節電効果を高め、携帯端末装置における電池の使用時間を大幅に増加させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本願発明の実施形態を図に基づいて説明する。
【0034】
図1から図4に、本願発明に係る携帯端末装置の第1の実施形態を示す。
【0035】
図1に示すように、携帯端末装置1は、電源部、交信回路等を内蔵するケース2と、このケース2の側部外周に配置されたループ状のアンテナ4とを備えて構成される。上記ケース2は、上面に液晶表示部5を備えるとともに、下面にバーコード等を読み取る光学読取部6を設けたヘッド部7と、このヘッド部7から一体的に延出形成されるとともに上面側に操作キー8等を配列した握持操作部9とを備える。
【0036】
本実施形態に係る上記ケース2は、上ケース10と下ケース11とを側部において互いに嵌合させることにより構成されている。また、図3に示すように、本実施形態では、上記ヘッド部7の背面側に所定幅の凹部12が設けられている。
【0037】
上記アンテナ4は、上記ヘッド部7の側部外周にコ字状に止着された保持部材3に被覆されるようにして上記ヘッド部7の側部外周に保持されている。上記保持部材3は、柔軟なゴム材料から形成されており、上記上ケース10と上記下ケース11の嵌合ライン13に沿って、上記ケース2のヘッド部7の側部外周を囲むように止着されている。
【0038】
なお、図示はしないが、携帯端末装置は、電源として充電池が採用されており、電池電圧が一定値以下になる前に充電を行わなければならない。本実施形態に係る携帯端末装置1においては、携帯端末装置1を机上等に載置した場合に、載置面を検出して電源をOFFする電源スイッチシステムSが設けられている。
【0039】
図5に示すように、上記電源スイッチシステムSは、一対のリミットスイッチ14,15と、このリミットスイッチによって開かれる検出回路16、17と、これらリミットスイッチ14,15を制御するセンサー制御部19とを備えて構成されている。図3及び図4に示すように、上記ヘッド部7と上記握持部9の背面側に、上記一対のリミットスイッチ14,15が設けられている。上記リミットスイッチ14,15は、上記下ケース11の背面から接触子14a,15aを所定量突出するようにして設けられている。
【0040】
図5及び図6に上記リミットスイッチ14,15の構造及び回路の概要を模式的に示す。図5に示すように、上記リミットスイッチ14,15は、力が作用していない状態で上記接触子14a,15aが上記下ケース11の背面から突出するように保持されており、この状態では検出回路16,17が閉じた状態に設定されている。
【0041】
一方、図6に示すように、上記ケース2を机上等の載置面18に載置した場合、上記携帯端末装置1の自重によって、上記接触子14a,15aがケース2の内部に押し込まれる。すると、上記接触子14a,15aが検出回路16,17のスイッチを開くように構成されている。上記検出回路16,17が開かれると、その情報がセンサー制御部19に出力されるとともに、図示しないリレー回路等を介して、電源部20の電源をOFFするように構成されている。
【0042】
上記構成を採用することにより、携帯端末装置1を握持して使用している場合には、上記接触子14a,15aが突出させられて電源がON状態となり、一方、机上等の載置面18に載置された場合には、上記接触子14a,15aが押し込まれて電源がOFF状態となる。これにより、不使用時の消費電力を削減することが可能となり、1回の充電で、長時間連続して携帯端末装置1を使用することが可能となる。
【0043】
なお、上記実施形態では、上記接触子によって検出回路を開くように構成したが、接触子によって検出回路を閉じるように構成し、電源をOFFするように設定することもできる。
【0044】
図7から図9に、本願発明の第2の実施形態を示す。
【0045】
第2の実施形態は、上記第1の実施形態の接触子を備えるリミットスイッチに代えて、光電センサー214を用いて載置面を検出するように構成したものである。
【0046】
図8に示すように、本実施形態に係る光電センサー214は、LED光源を備えて構成される発光部214aと、上記発光部214aから発射された光の載置面18での反射光を検出するフォトトランジスタを備える受光部214bとを備えて構成されている。
【0047】
本実施形態では、上記ケース2のヘッド部7背面側に、凹部12が形成されており、この凹部12を利用して上記光電センサー214が設けられている。
【0048】
上記光電センサー214は、上記凹部の底面から上記発光部214a及び上記受光部214bを外側に臨むようにして、ケース2内に設置されている。このため、上記携帯端末装置201を載置面18に載置した場合、上記光電センサー214と上記載置面18との間に、上記凹部12に対応した空間21を確保することができる。これにより、上記発光部214aから発射された光を、上記空間21を介して載置面18の広い範囲に照射することができるとともに、上記載置面18から広い範囲に反射光を発生させることが可能となり、この反射光を上記受光部214bで検出することにより、載置面18を確実に検出することができる。
【0049】
図9に、上記光電センサー214を採用した場合の電源スイッチシステムSの一例を示す。この図に示すように、マイクロコンピュータ219から発光部214aへ光の発射信号を出力するとともに、受光部214bにおける受光出力をマイクロコンピュータ219に入力するように構成している。上記受光部214bにおいて光を検出した場合、上記マイクロコンピュータ219は、上記携帯端末装置201が、不使用状態にあると判断し、上記電源部220の電源をOFFするように設定されている。
【0050】
上記発光部214aからの光は、非常に短い間隔でパルス的に発射されており、上記受光部214bから所定数以上の受光出力があった場合には、携帯端末装置が使用されていないと判断して上記電源をOFFする一方、所定数量の受光出力がない場合には使用状態となったと判断して上記電源部20をONするように構成している。
【0051】
また、上記発光部214aからの光の強度は、載置面18の光の反射特性等に応じて調節できるように構成されているとともに、受光部214bにおける感度も調節できるように構成されている。これにより、誤動作なく載置面18を検出して、ON−OFF動作を行うことができる。
【0052】
上述した実施形態では、接触子を備えるリミットスイッチ14,15と、光電センサー214を採用した例を示したが、載置面18を検出できる他のセンサーを採用することができる。
【0053】
たとえば、超音波を発する発信部と、上記超音波の載置面からの反射音を検出する受信部とを備えて構成される超音波センサーを採用することができる。超音波センサーを採用する場合は、上記光電センサーと同様に、上記凹部12に設置するのが好ましい。
【0054】
また、載置面18との間の静電容量を検出できる静電容量センサーを採用することもできる。静電容量センサーを採用する場合、センサーの全体をケースの内部に収容することもできる。
【0055】
本願発明は、上述の実施形態に限定されることはない。今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本願発明の範囲は、実施形態で説明した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本願発明によって、節電効果が高く、電池の使用時間を大幅に増加させることのできる携帯端末を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本願発明に係る携帯端末装置の全体斜視図である。
【図2】図1に示す携帯端末装置の正面図である。
【図3】図1に示す携帯端末装置の右側面図である。
【図4】図1に示す携帯端末装置の背面図である。
【図5】第1の実施形態に係る電源スイッチシステムの概要を示す図である。
【図6】第1の実施形態に係る電源スイッチシステムの概要を示す図である。
【図7】本願発明の第2の実施形態に係る図であり、図3に相当する側面図である。
【図8】図7の要部の拡大断面図である。
【図9】第2の実施形態に係る電源スイッチシステムの概要を示す図である。
【符号の説明】
【0058】
1 携帯端末装置
S 電源スイッチシステム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接触認識用データを、読み取る及び/又は書き込む携帯端末装置であって、
載置面を検出して電源をOFFする電源スイッチシステムを備える、携帯端末装置。
【請求項2】
上記電源スイッチシステムは、
載置面を関知しうる2以上のセンサーと、
上記2以上のセンサーが同時に載置面を検出する場合に上記電源をOFFする制御部とを備える、請求項1に記載の携帯端末装置。
【請求項3】
上記電源スイッチシステムは、上記センサーが載置面を検出しない場合に、電源をONする制御部を含む、請求項1又は請求項2のいずれかに記載の携帯端末装置。
【請求項4】
上記センサーは、載置面によって変位させられる接触子を備える、請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の携帯端末装置。
【請求項5】
上記センサーは、光を投光する投光部と、上記光の載置面からの反射光を検出する受光部とを備えて構成される、請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の携帯端末装置。
【請求項6】
上記センサーは、超音波を発する発信部と、上記超音波の載置面からの反射音を検出する受信部を備えて構成される、請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の携帯端末装置。
【請求項7】
上記センサーは、載置面との間の静電容量を検出できる静電容量センサーである、請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の携帯端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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