説明

携帯端末装置

【課題】ユーザの視認性を考慮して発光部の発光を制御することができる携帯端末装置を提供する。
【解決手段】本発明の一実施形態に係る携帯端末装置としての携帯電話機10は、複数の発光部23と、照度センサ25と、RGB値設定部42と、発光制御部43と、を備えるものである。複数の発光部23は、筐体の複数の開口部にそれぞれ設けられる。照度センサ25は、周囲の照度に応じた信号を出力する。RGB値設定部42は、周囲の照度が高くなると発光部23が出射する光の輝度値が段階的に下がるように、照度センサ25の出力に応じて発光部23ごとに発光部23が出射する光のRGB値を設定する。発光制御部43は、RGB値設定部42により設定されたRGB値である設定RGB値で発光部23を発光させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、携帯端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機などの携帯端末装置には、LEDなどの発光部を有するものが多い。発光部を発光させるためには、所要の電力が必要である。最近では、筐体に複数の発光部を有する携帯端末装置も増えてきた。この種の携帯端末装置は、これらの発光部の発光を制御することにより様々なイルミネーションを実現することができる一方で、発光部により消費電力はさらに増加してしまう。
【0003】
このため、発光部を有する携帯端末装置にとって発光部による消費電力を削減することが重要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−72212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発光部の消費電力を削減する際、発光部の発光を、ユーザの視認性を考慮せずに制御してしまうと、ユーザが発光を確認可能な輝度より高い輝度で発光部を発光させてしまうことがあり、十分に消費電力の削減が図れない場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態に係る携帯端末装置は、上述した課題を解決するために、複数の発光部と、照度センサと、RGB値設定部と、発光制御部と、を備えるものである。複数の発光部は、筐体の複数の開口部にそれぞれ設けられる。照度センサは、周囲の照度に応じた信号を出力する。RGB値設定部は、周囲の照度が高くなると発光部が出射する光の輝度値が段階的に下がるように、照度センサの出力に応じて発光部ごとに発光部が出射する光のRGB値を設定する。発光制御部は、RGB値設定部により設定されたRGB値である設定RGB値で発光部を発光させる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の一実施形態に係る携帯端末装置としての携帯電話機の外観の一例を示す全体構成図であり、(a)は携帯電話機が開いている状態における正面図、(b)は携帯電話機が開いた状態における背面図。
【図2】図1(b)のA部を拡大して示す図。
【図3】携帯電話機の内部構成例を概略的に示すブロック図。
【図4】図3に示す主制御部のCPUによる機能実現部の構成例を示す概略的なブロック図。
【図5】透光板の配色によらず周囲の照度に応じて光源の輝度制御を行うための輝度制御用テーブルの一例を示す説明図。
【図6】周囲の照度によらず透光板の配色に応じて光源の輝度制御を行うための輝度制御用テーブルの一例を示す説明図。
【図7】周囲の照度および透光板の配色に応じて光源の輝度制御を行うための輝度制御用テーブルの一例を示す説明図。
【図8】図1に示す携帯端末装置のCPUにより、ユーザの視認性を考慮して発光部の発光を制御することにより発光部による消費電力を削減するための処理際の手順を示すフローチャート。
【図9】図8のステップS2でRGB値設定部により実行されるRGB値設定処理の手順を示すサブルーチンフローチャート。
【図10】RGB値設定情報を事前に取得しておく場合の手順を示すフローチャート。
【図11】図10に示す手順により事前に取得されたRGB値設定情報を用いて発光イベント発生時の発光処理を行う場合の手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明に係る携帯端末装置の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0009】
本発明の一実施形態に係る携帯端末装置は、ユーザの視認性を考慮して発光部の発光を制御することにより発光部による消費電力を削減するものである。ユーザの視認性を考慮した発光部の発光制御方法としては、たとえば、周囲の照度が高いほど発光部の輝度を低下させる制御方法が考えられる。周囲の照度が高いと、発光部の輝度を高くしてもユーザによる視認性はあまり向上しないためである。また、発光部の透光板の色と同色の発光時には他色の発光時よりも輝度を低下させる制御方法も考えられる。ユーザは発光前からすでに、発光部の位置が透光板の色で配色されているように視認しているためである。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態に係る携帯端末装置の外観の一例を示す全体構成図である。なお、本実施形態では、本発明に係る携帯端末装置として、携帯電話機を用いる場合の一例について説明する。
【0011】
図1(a)には、携帯電話機10が開いている状態における正面図を、(b)には携帯電話機10が開いた状態における背面図を、それぞれ示した。
【0012】
携帯電話機10は、第1のユニット11、第2のユニット12および第2のユニット12に対し第1のユニット11を開閉自在に連結する連結部13を有する。
【0013】
図1(a)に示すように、第2のユニット12は、第1のユニット11に対して、開閉軸を中心として開閉自在となるように、連結部13(ヒンジ)を介して連結される。第2のユニット12が開閉軸を中心として回転することにより、携帯電話機10は、開いている状態と閉じた状態とで位置決めすることができる。
【0014】
第1のユニット11は、薄い箱形の筐体14を有し、この筐体14の上面の表面上には、入力部15およびマイクロフォン16が設けられる。第2のユニット12は、薄い箱形の筐体17を有する。この筐体17の上面の表面上には、表示部18およびレシーバ19が設けられる。
【0015】
第1の筐体11と第2の筐体12の内部には、それぞれ磁性片21と磁気センサ22が設けられている。磁性片21と磁気センサ22は、閉状態において互いに対向する位置に配置されている。
【0016】
また、図1(b)に示すように、第1の筐体14および第2の筐体17の背面には、複数の発光部23が設けられる。また、第1の筐体14の背面にはさらに、カメラ24および照度センサ25が設けられる。
図2は、図1(b)のA部を拡大して示す図である。
【0017】
図2に示すように、発光部23は、筐体14および筐体17の背面に設けられた開口部に埋設された光源26と、光源26を覆うとともに筐体17の開口部をふさぐように配設された透光板27と、を有する。光源26が出射した光は、透光板27を透過して外部に照射される。透光板27は、発光部23ごとに独立に配色される。なお、図1(b)には発光部23が筐体14および筐体17の背面にそれぞれ複数設けられる場合の例について示したが、発光部23は筐体14および筐体17のいずれか一方の背面のみに設けられてもよい。
【0018】
図3は、携帯電話機10の内部構成例を概略的に示すブロック図である。
【0019】
携帯電話機10は、図3に示すように、さらにアンテナ31、送受信部32、記憶部33、タイマ34および主制御部35を少なくとも有する。
【0020】
入力部15は、たとえばテンキー、タッチパネルなどの一般的な入力装置により構成され、ユーザの入力操作に対応した信号を出力する。マイクロフォン16は、ユーザによって入力された音声をデジタル音声信号に変換する。表示部18は、たとえば液晶ディスプレイやOLED(Organic Light Emitting Device)ディスプレイなどの一般的な表示出力装置により構成され、表示部18の背景画像(壁紙)、壁紙に重畳表示される電池残量や電波強度を概略的に示す画像などの各種アイコンや、着信時に表示される画像および映像などを表示する。レシーバ19は、受話音声をはじめとした各種の情報に対応した音声を出力する。
【0021】
磁気センサ22は、主制御部35に対し、磁性片21との距離に応じた出力を行う。このため、主制御部35は、この出力を監視することにより開閉状態を検知することができる。この磁気センサ22は、たとえばリードスイッチやホール素子などを用いて構成することができる。
【0022】
カメラ24は、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサなどにより構成され、携帯電話機10の周辺の映像を取り込んで映像信号を生成して主制御部35に与える。主制御部35は、カメラ24から受けた映像信号にもとづく画像を生成して表示部18に表示することができる。
【0023】
照度センサ25は、携帯電話機10の周囲の照度(lx)に応じた信号を主制御部35に出力する。主制御部35は、照度センサ25の出力に応じて発光部23ごとにRGB値を制御することができる。
【0024】
光源26は、たとえば無機LED(Light Emitting Diode)により構成され、主制御部35により駆動電流を制御されるとともに発光RGB値を制御される。主制御部35は、複数の発光部23の光源26の発光をそれぞれ独立に制御することにより、ユーザに多彩なイルミネーションを提供する。
【0025】
アンテナ31は、図示しない無線基地局との間で通信電波の送受信を行う。送受信部32は、通信電波に内在する無線信号を送受信する無線回路であり、主制御部35から出力される通信データを変調し、アンテナ31を介して送信する。また、送受信部32は、アンテナ31を介して受信した通信データを復調し、主制御部35へ出力する。通信データには、少なくとも通話を行うための音声データおよびインターネット通信を行うためのデータが含まれる。
【0026】
記憶部33は、発光部23と透光板27の配色の情報とを関連付けた情報である透光板色情報36をあらかじめ記憶している。また、記憶部33は、ユーザの視認性を考慮した発光部の発光制御を行うための輝度制御用テーブル37をあらかじめ記憶している。
【0027】
タイマ34は、主制御部35により制御され、所定の時間をセットされて起動される。たとえば、タイマ34は、所定の時間をセットされて起動されて計時開始後に所定の時間が経過すると、主制御部35に対してタイムアウト信号を出力し、リセットされて再度計時を開始する周期タイマとして利用される。タイマ34は、所定の時間ごとにタイムアウト信号を出力したり、ユーザにより設定された時刻が到来するとタイムアウト信号を出力したりするようになっている。
【0028】
主制御部35は、CPU、RAM、ROMなどにより構成され、ROM内に記憶されたプログラムに従って、携帯電話機10の処理動作を制御する。CPUは、ROM内に記憶された輝度制御プログラムおよびプログラムの実行のために必要なデータをRAMへロードし、輝度制御プログラムに従って、ユーザの視認性を考慮して発光部の発光を制御することにより発光部による消費電力を削減するための処理を実行する。
【0029】
RAMは、CPUが実行するプログラムおよびデータを一時的に格納するワークエリアを提供する。
【0030】
ROMは、携帯電話機10の起動プログラム、輝度制御プログラムや、これらのプログラムを実行するために必要な各種データを記憶する。
【0031】
なお、記憶部33およびROMは、磁気的もしくは光学的記録媒体または半導体メモリなどの、CPUにより読み取り可能な記録媒体を含んだ構成を有し、記憶部33およびROM内のプログラムおよびデータの一部または全部は電子ネットワークを介してダウンロードされるように構成してもよい。たとえば、輝度制御用テーブル37は、電子ネットワークを介してダウンロードした内容で更新されてもよい。
【0032】
図4は、図3に示す主制御部35のCPUによる機能実現部の構成例を示す概略的なブロック図である。なお、この機能実現部は、CPUを用いることなく回路などのハードウエアロジックによって構成してもよい。
【0033】
CPUは、輝度制御プログラムによって、少なくとも発光イベント判定部41、RGB値設定部42および発光制御部43として機能する。
【0034】
発光イベント判定部41は、光源26を制御して様々なイルミネーションを実現すべきイベント(以下、発光イベントという)が発生したか否かを判定する。発光イベントとしては、たとえば携帯電話機10のシステム電源がONになること(システム起動)や、音声着信、メール着信、筐体開閉、スケジュール時刻やアラーム時刻の到来などのほか、ウェブページや記憶部33に記憶されたコンテンツの再生などが挙げられる。コンテンツの再生時には、コンテンツの内容に連動してイルミネーションを変化させるとよい。
【0035】
一連のイルミネーションパターンにおける各光源26の発光パターンは、記憶部33にあらかじめ記憶されている。記憶部33は、複数のイルミネーションパターンを記憶しておく。イルミネーションパターンはそれぞれ発光イベントに関連付けられているとよい。一連のイルミネーションパターンにおいて、1つの光源26が発光色を時間とともに切り替える場合もある。
【0036】
RGB値設定部42は、配色情報取得部51、照度情報取得部52、照度レベル決定部53、RGB値取得部54およびRGB値書込み部55を有する。
【0037】
配色情報取得部51は、発光イベント判定部41から発光イベントが発生した旨の情報を受け、またはタイマ34からRGB値設定タイミングが到来した旨の情報を受けると、記憶部33に記憶された透光板色情報36から透光板27の配色情報を取得し、RGB取得部54に与える。
【0038】
照度情報取得部52は、照度センサ25から携帯電話機10の周囲の照度に応じた出力信号を受ける。照度レベル決定部53は、照度センサ25の出力に応じて現在の照度を複数のレベルに分類する。
【0039】
RGB値取得部54は、輝度制御用テーブル37に記憶された情報から、少なくとも所定の発光色について、現在の照度レベルに関連付けられたRGB値の情報を取得する。所定の発光色としては、たとえば透光板27の配色と同一色や類似色などが挙げられる。もちろん、輝度制御用テーブル37に光源26が発光する全ての色について照度レベルに応じたRGB値が記憶されている場合には、RGB値設定部42は、光源26が発光する全ての色についてRGB値を取得しても構わない。
【0040】
RGB値書込み部55は、光源26と、発光色と、取得したRGB値(以下、設定RGB値という)と、を関連付けた情報であるRGB値設定情報を、RAMの所要のワークエリアに格納する。
【0041】
発光制御部43は、RAMの所要のワークエリアからRGB値設定情報を読み出して光源26を発光しようとする色に関連付けられた設定RGB値を取得し、この設定RGB値で光源26を発光させる。なお、光源26を発光しようとする色に関連付けられた設定RGB値がない場合、発光制御部43は、この発光色のデフォルトRGB値で光源26を発光させるとよい。発光色とデフォルトRGB値とは、互いに関連付けられて記憶部33などの記憶媒体にあらかじめ記憶させておくとよい。
【0042】
上述したように、記憶部33は、ユーザの視認性を考慮した発光部の発光制御を行うための輝度制御用テーブル37をあらかじめ記憶している。この輝度制御用テーブル37の内容によって、RGB値設定情報が決定されることになる。輝度制御用テーブル37は、主制御部35が周囲の照度や透光板の配色に応じて光源26の発光を制御可能な情報を内容とする。以下、図5〜図7を用いて輝度制御用テーブル37の構成例について簡単に説明する。
【0043】
図5は、透光板27の配色によらず周囲の照度に応じて光源26の輝度制御を行うための輝度制御用テーブル37の一例を示す説明図である。なお、以下の説明では、周囲の照度を暗いほうから明るいほうに向かって順に照度レベル1〜5の5段階に分類する場合の例について示す。
【0044】
周囲の照度が高いと、光源26の輝度を高くしてもユーザによる視認性はあまり向上しないと考えられる。そこで、周囲の照度が高いほど段階的に光源26の輝度を低下させることでユーザの視認性をあまり損なうことなく消費電力を削減する。
【0045】
この場合、ある発光色のデフォルトRGB値を(R:G:B)=(r:g:b)とすると、明るくなるにつれてr、g、bをそれぞれ1以下の係数で等倍することにより、RGB比率を維持しつつRGB値を低下させていくとよい。
【0046】
この場合、RGB値取得部54は、現在の照度レベルに関連付けられたRGB値の設定式を取得し、RGB値書込み部55はこの式をRGB値設定情報としてRAMの所要のワークエリアに格納する。そして、発光制御部43は、この式を用いて発光色のRGB値を求め、光源26を発光させる。
【0047】
図6は、周囲の照度によらず透光板27の配色に応じて光源26の輝度制御を行うための輝度制御用テーブル37の一例を示す説明図である。
【0048】
ユーザは、光源26の発光前からすでに、発光部23の位置が透光板27の色で配色されているように視認している。このため、透光板27と同一の色で発光部23が発光する場合は、他の色で発光する場合に比べて低輝度であってもユーザによる色の識別性を確保可能であると考えられる。そこで、透光板27と同一または類似の色の発光時には、他色の発光時よりも輝度を低下させることでユーザによる視認性をあまり損なうことなく消費電力を削減する。
【0049】
なお、以下の説明では、透光板27の配色について「white」などの7色であり、光源26が少なくとも透光板27が配色されうる7色と同一色を発光可能である場合の例について示す。
【0050】
図6に示すように、輝度制御用テーブル37は、光源26が透光板27と同一色で発光する場合には他色で発光する場合に比べて輝度を低下させるようになっている。たとえば透光板27が「white」で配色されている場合、輝度制御用テーブル37は、光源26が「white」で発光する場合には(1:1:1)がRGB値として設定されるよう、透光板27の配色と配色度同一色のRGB値とを関連付けて記憶している。
【0051】
この場合、RGB値取得部54は光源26ごとに透光板27と同一色のRGB値を取得し、RGB値書込み部55は、光源26と、光源26の透光板27と同一色と、設定RGB値とを関連付けたRGB値設定情報をRAMの所要のワークエリアに格納する。たとえば、「white」に配色された透光板27に対応する光源26では、RGB値設定情報において、光源26の情報と、「white」と、(1:1:1)と、が関連付けられる。
【0052】
そして、発光制御部43は、光源26を発光させる際に、光源26およびこれから光源26を発光させようとする色の情報でRGB値設定情報を検索し、設定RGB値を取得して、この設定RGB値で光源26を発光させる。
【0053】
なお、発光制御部43は、光源26を発光させようとする色の情報がRGB値設定情報において光源26に関連付けられていない場合(たとえば上記例では透光板27の色と異なる色で光源26を発光させる場合など)には、その色については同一色で発光する場合の輝度以上の所定の輝度で発光させるように、たとえばデフォルトRGB値(図6の2行目参照)で発光させるとよい。たとえば、RGB値設定情報において光源26の情報と「white」と(1:1:1)とが関連付けられており、この光源26を「red」で発光させる場合には、(7:0:0)を設定RGB値とするとよい。
【0054】
また、RGB値取得部54およびRGB値書込み部55は、1つの光源26について透光板27と同一色に限らず類似の1または複数の発光色について発光色およびRGB値を関連付けてRGB値設定情報としてもよい。
【0055】
図7は、周囲の照度および透光板27の配色に応じて光源26の輝度制御を行うための輝度制御用テーブル37の一例を示す説明図である。
【0056】
図7は、図5と図6を組み合わせて作成された輝度制御用テーブル37の一例である。輝度制御用テーブル37が図7に示す情報を有する場合、RGB値取得部54は、透光板27の配色と同一色の発光色について、現在の照度レベルに関連付けられたRGB値を取得する。そして、RGB値書込み部55は、光源26と、光源26の透光板27と同一色と、現在の周囲の照度に応じた設定RGB値とを関連付けたRGB値設定情報をRAMの所要のワークエリアに格納する。
【0057】
なお、図7に示した場合においても、図6に示した場合と同様に、光源26を発光させようとする色の情報がRGB値設定情報において光源26に関連付けられていない場合には、発光制御部43は、その色については同一色で発光する場合の輝度以上の所定の輝度で発光させるように、デフォルトRGB値(図7の2行目参照)を設定RGB値として光源26を発光させるとよい。
【0058】
次に、本実施形態に係る携帯端末装置の動作の一例について説明する。
【0059】
図8は、図1に示す携帯端末装置10のCPUにより、ユーザの視認性を考慮して発光部の発光を制御することにより発光部23の消費電力を削減するための処理際の手順を示すフローチャートである。図8において、Sに数字を付した符号は、フローチャートの各ステップを示す。
【0060】
この手順は、ユーザにより入力部15を介して携帯端末装置10の起動指示があった時点でスタートとなる。
【0061】
まず、ステップS1において、主制御部35は、システムを構成する各ユニットへ電力を供給し、発光イベントの1つであるシステムの起動を開始する。このとき、システム起動は発光イベントであることから、発光イベント判定部41は、発光イベントが発生した旨の情報をRGB値設定部42に与える。
【0062】
次に、ステップS2において、RGB値設定部42は、発光イベント判定部41から発光イベントが発生した旨の情報を受け、ユーザの視認性を考慮した光源26の発光制御を行うために、少なくとも所定の発光色についてのRGB値を光源26ごとに設定する(RGB値設定処理を実行する)。所定の発光色としては、たとえば透光板27の配色と同一色や類似色などが挙げられる。
【0063】
もちろん、RGB値設定部42は、光源26が発光する全ての色についてRGB値を設定しても構わない。以下の説明では、所定の発光色は透光板27の配色と同一色であり、他の色についてはデフォルト値が設定RGB値(図7の2行目参照)とされる場合の例について示す。
【0064】
次に、ステップS3において、発光制御部43は、RAMの所要のワークエリアに格納されたRGB値設定情報にもとづいて、所定のイルミネーションパターンにおいて光源26を発光させようとする色について、設定RGB値があるか否かを判定する。設定RGB値がある場合は、ステップS4に進む。一方、設定RGB値がない場合はステップS5に進む。たとえば、輝度制御用テーブル37が図5に示す情報を有する場合、RGB値設定情報は全ての色について適用可能な式であるため、ステップS4に進むことになる。
【0065】
次に、ステップS4において、発光制御部43は、設定RGB値で光源26を発光させる。他方、ステップS5において、発光制御部43は、デフォルトRGB値で光源26を発光させる。
【0066】
以上のステップS3およびステップS5を全ての光源26について繰り返すことにより、ユーザに多彩なイルミネーションを提供しつつ、ユーザの視認性を考慮して発光部23の発光を自動的に制御することができ、発光部23による消費電力を削減することができる。このため、本実施形態に係る携帯電話機10によれば、ユーザにとって端末利用可能時間を増やすことができる。
【0067】
なお、図8においてはシステム起動時における発光処理について説明したが、他の発光イベントの発生時においても図8と同様の手順によりユーザの視認性を考慮して発光部23の発光を制御することにより発光部23による消費電力を削減することができる。
【0068】
図8に示す手順によれば、周囲の照度に応じた輝度制御を行う場合には、発光イベントが発生した際に現在の照度レベル等を確認することができるため、事前にRGB値設定情報を作成する場合に比べ、より正確な周囲の照度の情報を利用することができる。
【0069】
続いて、ユーザの視認性を考慮した光源26の発光制御を行うために、少なくとも所定の発光色についての設定RGB値を光源26ごとに設定する際の手順を説明する。
【0070】
図9は、図8のステップS2でRGB値設定部42により実行されるRGB値設定処理の手順を示すサブルーチンフローチャートである。なお、図9には、輝度制御用テーブル37が図7に示す情報を有する場合の例について示した。
【0071】
ステップS21において、配色情報取得部51は、記憶部33に記憶された透光板色情報36から透光板27の配色情報を取得し、RGB取得部54に与える。
【0072】
次に、ステップS22において、照度情報取得部52は、照度センサ25から携帯電話機10の周囲の照度に応じた出力信号を取得する。
【0073】
次に、ステップS23において、照度レベル決定部53は、照度センサ25の出力に応じて現在の照度を複数のレベルに分類する(図7参照)。
【0074】
次に、ステップS24において、RGB値取得部54は、現在の照度レベルを用いて輝度制御用テーブル37を検索する。
【0075】
次に、ステップS25において、RGB値取得部54は、輝度制御用テーブル37に記憶された情報から、透光板27の配色と同一色の発光色について、現在の照度レベルに関連付けられたRGB値を取得する。また、他の発光色については、デフォルトRGB値を取得してもよい。
【0076】
次に、ステップS26において、RGB値書込み部55は、光源26と、光源26の透光板27と同一色と、現在の周囲の照度に応じた設定RGB値とを関連付けたRGB値設定情報をRAMの所要のワークエリアに格納し、図1のステップS3に進む。また、RGB値取得部54が他の発光色についてデフォルトRGB値を取得した場合、RGB値書込み部55は、他の発光色についてデフォルトRGB値を設定RGB値とする旨の情報をRGB値設定情報に加える。
【0077】
以上の手順により、輝度制御用テーブル37が図7に示す情報を有する場合において、ユーザの視認性を考慮した光源26の発光制御を行うために、少なくとも所定の発光色についての設定RGB値を光源26ごとに設定することができる。
【0078】
図10は、RGB値設定情報を事前に取得しておく場合の手順を示すフローチャートである。また、図11は、図10に示す手順により事前に取得されたRGB値設定情報を用いて発光イベント発生時の発光処理を行う場合の手順を示すフローチャートである。図10および図11において、図8と同等のステップには同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0079】
発光イベントが発生するごとにRGB値設定処理を行う場合(図8参照)、発光イベントが発生してから発光処理を行うまでにRGB値設定処理を実行するための時間がかかってしまう。このRGB値設定処理を事前に行いRGB値設定情報をRAMの所要のワークエリアに事前に格納しておき、このRGB値設定情報を利用することにより、発光イベント発生時の発光処理までの時間を短縮することが可能となる。
【0080】
このRGB値設定処理を事前に行いRGB値設定情報をRAMの所要のワークエリアに事前に格納する場合は、まず、図10のステップS31において、主制御部35は、タイマ34の出力を監視し、タイマ34が所定の周期(たとえば1分など)が到来したか否かを判定する。所定の周期が到来した場合は、ステップS2に進み、RGB値設定処理が実行される。一方、所定の周期が到来していない場合は、ステップS32に進む。
【0081】
ステップS32において、主制御部35は、タイマ34の出力を監視し、ユーザにより設定された所定の時刻(たとえば毎日夜8時など)が到来したか否かを判定する。所定の時刻が到来した場合は、ステップS2に進み、RGB値設定処理が実行される。一方、所定の周期が到来していない場合は、ステップS32に進む。
【0082】
ステップS2でRGB値設定処理が実行されてRAMの所要のワークエリアにRGB値設定情報が格納されると、ステップS33において、主制御部35は、入力部15を介してユーザからまたはオペレーティングシステムからシステムの終了指示があったか否かを判定する。システムの終了指示があった場合はシステムを終了し一連の手順は終了となる。一方、システムの終了指示がない場合は、引き続き所定の周期および所定の時刻でRGB値設定情報を更新すべくステップS31に戻る。
【0083】
以上の手順により、事前にRGB値設定情報を取得しておくことができるとともに、このRGB値設定情報を所定の周期および所定の時刻で更新することができる。
【0084】
この事前に取得したRGB値設定情報がある場合には、図11に示すように、ステップS41で発光イベント判定部41により発光イベントが発生したか否かを判定される。そして、発光イベントが発光したと判定されると、ステップS3に進み、事前にRAMの所要のワークエリアに格納されたRGB値設定情報を用いて速やかに発光制御部43による一連の発光処理(ステップS3〜S5)が実行可能となる。
【0085】
図10および図11に示す手順によれば、RGB値設定処理を事前に行いRGB値設定情報を事前に取得しておくことができ、このRGB値設定情報を利用することにより、発光イベント発生時の発光処理までの時間を短縮することができる。
【0086】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0087】
たとえば、照度センサ25が照度レベルに分類する機能を有し、照度センサ25の出力が照度レベルに応じた信号である場合には、照度情報取得部52および照度レベル決定部53は不要である。
【0088】
また、上記実施形態では、フローチャートの各ステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理の例を示したが、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別実行される処理をも含むものである。
【符号の説明】
【0089】
10 携帯電話機
14 第1のユニット11の筐体
17 第2のユニット12の筐体
23 発光部
25 照度センサ
26 光源
27 透光板
33 記憶部
34 タイマ
35 主制御部
41 発光イベント判定部
42 RGB値設定部
43 発光制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体の複数の開口部にそれぞれ設けられた複数の発光部と、
周囲の照度に応じた信号を出力する照度センサと、
前記周囲の照度が高くなると前記発光部が出射する光の輝度値が段階的に下がるように、前記照度センサの出力に応じて前記発光部ごとに前記発光部が出射する光のRGB値を設定するRGB値設定部と、
前記RGB値設定部により設定された前記RGB値である設定RGB値で前記発光部を発光させる発光制御部と、
を備えたことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項2】
前記発光部は、
前記開口部に埋設された光源と、
前記光源を覆うとともに前記開口部をふさぐよう配設され、他の透光板とは独立に配色された透光板と、
を有し、
前記発光制御部は、
前記光源ごとに、前記光源の発光色および輝度を制御し、
前記RGB値設定部は、
前記光源が前記透光板の色と同一の色で発光する場合には、前記周囲の照度が高くなると前記光源が出射する前記透光板の色の光の輝度値が段階的に下がるように、前記照度センサの出力に応じて前記発光部ごとに前記透光板の色の光について前記設定RGB値を決定し、
前記発光制御部はさらに、
前記光源を前記透光板の色と同一の色で発光させる場合には、前記透光板の色の光についての前記設定RGB値で発光させる、
請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項3】
前記RGB値設定部は、
前記光源が前記透光板の色と異なる色で発光する場合には、前記周囲の照度によらず前記光源が出射する前記透光板の色の光の最大輝度値以上の所定の輝度値で発光するように、前記発光部ごとに前記透光板の色と異なる色の光について設定RGB値を決定し、
前記発光制御部は、
前記光源を前記透光板の色と異なる色で発光させる場合には、前記所定の輝度値で発光するように、前記透光板の色と異なる色の光についての前記設定RGB値で発光させる、
請求項2記載の携帯端末装置。
【請求項4】
前記RGB設定部は、
前記照度センサの出力にもとづいて前記周囲の照度を複数の照度レベルに分類し、前記周囲の照度が高くなると前記発光部が出射する光の輝度値が段階的に下がるように、前記発光部のそれぞれに対し前記照度レベルごとに前記設定RGB値を決定する、
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の携帯端末装置。
【請求項5】
前記RGB値設定部は、
あらかじめ、所定の時間ごとに、前記照度センサの出力に応じて前記発光部ごとに前記設定RGB値を決定することにより、前記設定RGB値を前記所定の時間ごとに更新し、
前記発光制御部は、
前記所定の時間ごとに更新された最新の前記設定RGB値で前記発光部を発光させる、
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の携帯端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−54714(P2012−54714A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−194901(P2010−194901)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(310022372)富士通東芝モバイルコミュニケーションズ株式会社 (219)
【Fターム(参考)】