説明

携帯端末

【課題】節電効果をより一層高めると共に、オートパワーオフした状態から通常の運転状態に戻るときに要する時間を、極力、従来構成と同等程度にする。
【解決手段】本発明の携帯端末1は、オートパワーオフ条件に達したときに、スタンバイ状態へ移行する運転制御手段2を備え、この運転制御手段2は、ユーザーにより電源オフ操作が実行されたときに、RAM5内の情報を不揮発性メモリ6に退避させてから、RAM5へ供給する電源をオフする電源オフ状態に移行させるように構成されており、更に、作業開始時刻や休息開始時刻や作業終了時刻等の情報からなる動作スケジュールを記憶する記憶手段6を備え、運転制御手段2は、オートパワーオフ条件に達したときに、現在時刻と動作スケジュールに基づいてスタンバイ状態または電源オフ状態のいずれかを選択して移行させるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工場や店舗等の事業所で使用されることが多い携帯端末である例えばBHT(バーコードハンディターミナル)に好適する携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
工場や店舗等で使用されるBHTは、電池(バッテリ)を電源として駆動されることから、運転時間を長くするために、種々の節電対策が施されている。節電対策の一例として、オートパワーオフ機能が組み込まれている(例えば特許文献1参照)。このオートパワーオフ機能は、ユーザーがBHTを使用しない状態が所定時間経過したときに、即ち、オートパワーオフ条件に達したときに、スタンバイ状態へ移行する機能である。このスタンバイ状態は、BHTのディスプレイやスキャン用の光源やその他の光源等を消灯させた待機状態であり、通常の運転状態に比べて節電することができる。そして、上記スタンバイ状態において、ユーザーが電源オン操作(電源スイッチをオン操作)を行うと、ディスプレイや各種の光源等が直ちに点灯され、通常の運転状態に戻るようになっている。
【特許文献1】特開平5−182006号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記スタンバイ状態の場合、RAMに対しては電源が供給された状態が保持されており、RAM内のデータが保持されていると共に、直ちに通常の運転状態に復帰することが可能となっている。
【0004】
これに対して、近年、節電効果を更に高めることが要望されていることから、オートパワーオフするときに、RAMへ供給する電源をオフして、節電効果を高めることを、本発明者は考えている。しかし、オートパワーオフ条件に達したときに、RAMへ供給する電源をオフする電源オフ状態に移行させた場合、この後、電源オフ状態において、ユーザーが電源オン操作(電源スイッチをオン操作)を行うと、フラッシュROMに退避しておいたデータをRAMに戻す処理を実行しないと、通常の運転状態に戻らない。そして、フラッシュROMに退避しておいたデータをRAMに戻す処理の実行に、ある程度の時間(例えば40〜50秒)がかかることから、従来のオートパワーオフした状態(即ち、スタンバイ状態)から通常の運転状態に戻る場合(例えば1〜2秒程度の時間)に比べて、かなり長い時間がかかってしまうため、ユーザーが違和感を強く感じてしまうという不具合が発生するおそれがあった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、節電効果をより一層高めることができると共に、オートパワーオフした状態から通常の運転状態に戻るときに要する時間を、極力、従来構成と同等程度にすることができる携帯端末を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の携帯端末は、オートパワーオフ条件に達したときに、スタンバイ状態へ移行する運転制御手段を備え、この運転制御手段は、ユーザーにより電源オフ操作が実行されたときに、RAM内の情報を不揮発性メモリに退避させてから、前記RAMへ供給する電源をオフする電源オフ状態に移行させるように構成されているものにおいて、作業開始時刻や休息開始時刻や作業終了時刻等の情報からなる動作スケジュールを記憶する記憶手段を備え、前記運転制御手段は、前記オートパワーオフ条件に達したときに、現在時刻と前記動作スケジュールに基づいてスタンバイ状態または電源オフ状態のいずれかを選択して移行させるように構成されているところに特徴を有する。
【0007】
上記構成によれば、オートパワーオフ条件に達したときに、現在時刻と前記動作スケジュールに基づいてスタンバイ状態または電源オフ状態のいずれかを選択して移行させるように構成したので、ユーザーが電源オン操作する可能性が低いときには、電源オフにすることができ、ユーザーが電源オン操作する可能性が高いときには、スタンバイ状態にすることができる。従って、節電効果をより一層高めることができると共に、オートパワーオフした状態から通常の運転状態に戻るときに要する時間を、極力、従来構成と同等程度にすることができる。
【0008】
また、上記構成の場合、前記運転制御手段は、前記オートパワーオフ条件に達したときに現在時刻が作業時間内であるときには、スタンバイ状態を選択して移行させて待機するように構成されていることが好ましい。
【0009】
更に、前記運転制御手段は、前記オートパワーオフ条件に達したときに現在時刻が作業時間外または休息時間内であるときには、電源オフ状態を選択して移行させ、作業開始時刻の直前でスタンバイ状態に移行させて待機するように構成されていることが良い。
【0010】
更にまた、前記運転制御手段は、前記オートパワーオフ条件に達したときに現在時刻が作業時間外または休息時間内であっても、現在時刻から作業開始時刻までの時間が設定時間以下であるときには、スタンバイ状態を選択して移行させて待機するように構成されていることがより一層好ましい。
【0011】
この場合、前記設定時間は、前記動作スケジュールの中の最短の休息時間に基づいて設定されることが良い構成である。また、前記設定時間は、ユーザーにより手動で設定されることも好ましい。
【0012】
更に、前記運転制御手段は、前記動作スケジュールが記憶されていないときには、前記オートパワーオフ条件に達したときに電源オフ状態を選択して移行させるように構成されていることが良い構成である。
【0013】
また、前記運転制御手段は、スタンバイ状態に移行させて待機している状態において、設定時間が経過したときには、電源オフ状態に移行させるように構成されていることがより一層好ましい構成である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明をBHT(バーコードハンディターミナル)に適用した第1の実施例について、図1及び図2を参照して説明する。まず、図1は、本実施例のBHT(携帯端末)1の電気的構成を示すブロック図である。BHT1は、CPU2と、受光部3と、画像処理部4と、RAM5と、FLASHROM6と、ROM7と、表示器8と、無線通信部9と、有線通信部10と、操作部11と、電源回路12と、電池13とを備えて構成されている。
【0015】
CPU2は、BHT1の動作全般を制御する機能を有しており、ROM7に記憶されているプログラムに従って動作する。受光部3は、CCD14と、AMP(増幅回路)15と、A/D変換器16とから構成されている。CCD14は、2次元コードやバーコード等の情報コードを光学系17を介して撮影し、撮影した画像信号をAMP15により増幅し、A/D変換器16によりA/D変換し、変換した画像データを画像処理部4へ出力するように構成されている。尚、情報コードは、上記撮影時に例えばLED等からなる照明部18により照明されるように構成されている。
【0016】
画像処理部4は、上記画像データを取り込み、この画像データをRAM5に記憶すると共に、上記データに含まれる情報コードを解析してデコードするように構成されている。尚、情報コードのデコード処理は、CPU2で実行しても良い。上記デコード結果は、RAM5に記憶されると共に、無線通信部9または有線通信部10を介して外部の機器(レジスタやホストコンピュータ等)へ出力されるように構成されている。
【0017】
表示器8は、例えばLCDで構成されており、CPU2により表示制御されることにより、種々の情報(上記でコード結果を含む)が表示される。操作部11は、トリガースイッチや各種の操作スイッチを備えて構成されており、これらスイッチのスイッチ信号はCPU2に与えられる。電源回路12は、電池13からの電力を入力して、所定の定電圧電源を生成し、この定電圧電源をCPU2をはじめとして各部へ供給するように構成されている。また、電池13は充電可能な2次電池で構成されており、外部の充電用電源により電源回路12を介して充電可能なように構成されている。尚、上記電池13を、1次電池で構成しても良い。
【0018】
また、CPU2は、電源回路12から各部への電源供給を各別にオンオフすることが可能なように構成されている。
さて、BHT1の電源オフの状態は、ユーザーが電源オフのキー操作を実行することにより、CPU2が、CPU2を除いて上記各部への電源供給をほとんど停止した状態(いわゆる電源オフ状態)である。そして、BHT1の電源オンの状態は、ユーザーが電源オンのキー操作を実行することにより、CPU2が、上記各部への電源供給を開始した状態いわゆる電源オン状態)である。
【0019】
また、BHT1のスタンバイ状態は、BHT1の節電モードであり、CPU2により、表示器8、照明部18、受光部3、通信部9、10等に対する電源供給を停止した状態であると共に、少なくともRAM5への電源供給を保持した状態である。CPU2は、オートパワーオフ条件に達したときに、例えばユーザーがBHT1を操作しない状態が設定時間(予め決められた例えば5分、10分等の時間)経過したときに、BHT1を自動的に上記スタンバイ状態に移行させるように構成されている。この場合、CPU2は、運転制御手段としての機能を有している。
【0020】
ここで、上記スタンバイ状態において、RAM5への電源供給を保持している理由は、スタンバイ状態からユーザーが電源オン操作して電源オン状態へ戻すのに要する時間を短くする、例えば1秒程度にするためである。ちなみに、RAM5への電源供給を停止した電源オフ状態からユーザーが電源オン操作して電源オン状態へ戻すのに要する時間は、40〜50秒程度である。
【0021】
このように長い時間が掛かる理由は、BHT1の電源をオフするときに、RAM5内のデータを不揮発性メモリであるFLASHROM6に退避しておき、電源オフ状態から電源オン状態へ移行させるときに、上記退避しておいたデータをFLASHROM6からRAM5へ復帰させる処理を実行する必要があり、この復帰処理にかなり長い時間(40〜50秒程度)を要するためである。
【0022】
また、BHT1は、工場や店舗等の事業所で使用することが多く、このような事業所では、作業者の勤務時間のスケジュール、即ち、BHT1の動作スケジュールが決まっている。この動作スケジュールの一例を、下記の表1に示す。
【0023】
【表1】

そして、このような構成の動作スケジュールのデータテーブルが、予めFLASHROM6内の所定のエリアに登録されている。尚、この動作スケジュールの登録作業は、ユーザーによって実行される。この場合、上記FLASHROM6は、記憶手段を構成している。
【0024】
次に、上記した構成のBHT1の動作、特には、オートパワーオフが発生したときの動作について、図2のフローチャートに従って説明する。まず、図2のステップS10において、BHT1を起動して、通常の読取作業を実行する。この後、ユーザーがBHT1を操作することをやめて他の作業を行なっていたりすると、オートパワーオフ条件に達する時間が経過することがある。すると、ステップS20に進み、オートパワーオフ処理が発生する。続いて、ステップS30へ進み、動作スケジュールが登録されているか否かが判断される。
【0025】
ここで、動作スケジュールが登録されている場合には、ステップS30にて「YES」へ進み、ステップS40へ進む。このステップS40においては、動作スケジュールに基づいて現在の時刻が就業中であるか(例えば表1の動作スケジュールにおいてBUSYであるか)否かが判断される。この判断において、就業中でないとき(即ち、作業時間外または休息時間内のとき)には、ステップS40にて「NO」へ進み、電源オフの処理を行なう、即ち、ステップS50以下の処理を行なう。
【0026】
まず、ステップS50においては、動作スケジュールと現在時刻から、次に作業開始する時刻の直前までの時間、即ち、次回復帰時間Zを推測して算出する。尚、次に作業開始する時刻の直前としては、作業開始する時刻そのものでも良いし、それよりも少し前(例えば数分前)の時刻でも良い。
【0027】
そして、ステップS60へ進み、RAM情報退避処理、即ち、RAM5内のデータをFLASHROM6内へ退避させる処理を実行する。続いて、ステップS70へ進み、BHT1の電源をオフして電源オフ状態にする。この状態では、CPU2を除いてBHT1の各部への電源供給をほとんど停止した状態(RAM5への電源供給も停止した状態)である。
【0028】
そして、ステップS80へ進み、上記次回復帰時間Zが経過したか否かを判断する。ここで、次回復帰時間Zが経過したときには、ステップS80にて「YES」へ進み、ステップS90へ進み、スタンバイ状態へ移行する。このスタンバイ状態では、RAM5への電源供給が開始されるが、表示器8、照明部18、受光部3、通信部9、10等に対する電源供給を停止した状態となる。
【0029】
続いて、ステップS100へ進み、FLASHROM6に退避しておいたデータ(RAM情報)をRAM5へ復帰させる処理を実行する。そして、ステップS110へ進み、ユーザーにより電源オン操作されるまで待機する。
【0030】
一方、前記ステップS40の判断において、就業中であるときには、「YES」へ進み、ステップS120へ進み、スタンバイ状態へ移行する。このスタンバイ状態では、少なくともRAM5への電源供給が維持されるが、表示器8、照明部18、受光部3、通信部9、10等に対する電源供給を停止した状態となる。続いて、ステップS110へ進み、ユーザーにより電源オン操作されるまで待機するように構成されている。
【0031】
また、前記ステップS30において、動作スケジュールが登録されていない場合には、「NO」へ進み、BHT1の電源をオフするための処理を実行する。まず、ステップS130へ進み、BHT1を電源オフするために、RAM情報退避処理、即ち、RAM5内のデータをFLASHROM6内へ退避させる処理を実行する。続いて、ステップS140へ進み、BHT1の電源をオフして電源オフ状態にする。そして、ステップS110へ進み、ユーザーにより電源オン操作されるまで待機するようになっている。
【0032】
このような構成の本実施例によれば、作業開始時刻や休息開始時刻や作業終了時刻等の情報からなる動作スケジュールをFLASHROM6に記憶させ、オートパワーオフ条件に達したときに、現在時刻と上記動作スケジュールに基づいてスタンバイ状態または電源オフ状態のいずれかを選択して移行させるように構成したので、ユーザーが電源オン操作する可能性が低いときには、電源オフにすることができ、ユーザーが電源オン操作する可能性が高いときには、スタンバイ状態にすることができる。従って、節電効果をより一層高めることができると共に、オートパワーオフした状態から通常の運転状態に戻るときに要する時間を、極力、従来構成と同等程度にすることができる。
【0033】
具体的には、上記実施例において、オートパワーオフ条件に達した後、ユーザーが電源オン操作する可能性が高いときとして、現在時刻が作業時間内であるときに、スタンバイ状態に移行させて待機させるように構成したので、ユーザーが電源オン操作したときに、BHT1を速やかに電源オン状態に復帰させることが可能となる。
【0034】
また、オートパワーオフ条件に達したときに、現在時刻が作業時間外または休息時間内であるときには、BHT1を電源オフ状態に移行させ、作業開始時刻の直前でスタンバイ状態に移行させて待機するように構成したので、電源オフ状態に移行させることにより、節電効果を高めることができる。そして、この構成の場合、作業開始時刻の直前でスタンバイ状態に移行させて待機するように構成したので、ユーザーが電源オン操作したときに、BHT1を速やかに電源オン状態に復帰させることが可能となる。
【0035】
更に、上記実施例においては、動作スケジュールが記憶されていないときには、電源オフ状態に移行させるように構成したので、節電効果を高めることができる。尚、この場合、ユーザーが動作スケジュールを設定しないのであるから、ユーザーが電源オン操作をして電源オンに復帰させるときに、多少時間がかかっても、問題ないと考えられる。
【0036】
図3は、本発明の第2の実施例を示すものである。尚、第1の実施例と同一構成(ステップ)には同一符号(ステップ番号)を付している。この第2の実施例においては、オートパワーオフ条件に達したときに、現在時刻が作業時間外または休息時間内であっても、現在時刻から作業開始時刻までの時間が設定時間以下であるときには、スタンバイ状態を選択して移行させて待機するように構成されている。以下、図3のフローチャートに従って具体的に説明する。
【0037】
まず、図3のフローチャートに示すように、ステップS10からステップS30までは、第1の実施例と同じである。そして、ステップS30において、動作スケジュールが登録されていない場合には、「NO」へ進み、第1の実施例と同様に、ステップS130、ステップS140を実行し、ステップS110へ進む。
【0038】
一方、動作スケジュールが登録されている場合には、ステップS30にて「YES」へ進み、ステップS310へ進む。このステップS310においては、設定時間Yを自動設定するか否かを判断する。尚、自動設定するか否かの指定は、ユーザーが予め設定画面で指定しておく。また、自動設定しない(即ち、手動設定する)場合には、ユーザーは、設定時間Yを予め手動入力して設定しておく(尚、デフォルト値は予め設定されている)。
【0039】
上記ステップS310において、設定時間Yを自動設定するときには、「YES」へ進み、ステップS320へ進む。このステップS320では、動作スケジュールからすべての休止時間(X1,X2,・・・)を算出する。例えば、動作スケジュールが前記した表1である場合、休止時間(X1,X2,・・・)は下記の表2で示すように算出される。
【0040】
【表2】

続いて、ステップS330へ進み、最小(最短)の休止時間(Xmin)を選択する(上記表2の場合、Xminは15分となる)。そして、ステップS340へ進み、最小の休止時間(Xmin)を2倍した時間を設定時間Yとして設定する(上記表2の場合、Xminは15分であるから、設定時間Yは30分となる)。
【0041】
次に、ステップS50へ進み、動作スケジュールと現在時刻から、次に作業開始する時刻の直前までの時間、即ち、次回復帰時間Zを推測して算出する。そして、ステップS510へ進み、次回復帰時間Zが設定時間Yよりも大きいか否かを判断する。
【0042】
ここで、次回復帰時間Zが設定時間Yよりも大きいときには、ステップS510にて「YES」へ進み、以下、第1の実施例と同様に、ステップS60〜ステップS110を実行する。
【0043】
一方、上記ステップS510において、次回復帰時間Zが設定時間Y以下のときには、「NO」へ進み、ステップS120へ進み、スタンバイ状態へ移行する。続いて、ステップS110へ進み、ユーザーにより電源オン操作されるまで待機するように構成されている。
【0044】
また、上記ステップS310において、設定時間Yを自動設定しないときには、「NO」へ進み、ステップS350へ進む。このステップS350では、予め手動により設定された設定時間Yを、上記設定時間Yとして設定する。続いて、ステップS50へ進み、次回復帰時間Zを推測して算出する。これ以降の処理は、上述した通りである。
【0045】
そして、上述した以外の第2の実施例の構成は、第1の実施例と同じ構成となっている。従って、第2の実施例においても、第1の実施例とほぼ同じ作用効果を得ることができる。特に、第2の実施例では、オートパワーオフ条件に達したときに、現在時刻が作業時間外または休息時間内であっても、現在時刻から作業開始時刻までの時間が設定時間Y以下であるときには、スタンバイ状態に移行させて待機するように構成したので、作業開始時刻までの時間(即ち、休止時間)が短い場合には、電源オフされることがない、即ち、RAM情報退避処理が実行されない。これにより、FLASHROM6へのデータの書き込み回数を低減できることから、書き込み回数に制限があるFLASHROM6の寿命を長くすることが可能となる。
【0046】
また、上記第2の実施例の場合、設定時間Yを、動作スケジュールの中の最短の休息時間Xminに基づいて自動的に設定したので、即ち、最短の休息時間Xminの2倍の時間を設定時間Yとしたので、設定時間Yを容易且つ適切に自動設定することができる。更に、上記第2の実施例では、設定時間Yを、ユーザーにより手動で設定することが可能であるから、ユーザーの好みの制御を実現することも可能である。
【0047】
図4は、本発明の第3の実施例を示すフローチャートである。この第3の実施例では、スタンバイ状態に移行させて、ユーザーの電源オン操作を待機している状態において、待機開始から予め決めた所定(設定)時間が経過したときには、電源オフ状態に移行させるように構成した。
【0048】
具体的には、図4のステップS610において、スタンバイ状態に移行した状態で、ユーザーにより電源オン操作されるまで待機しているときに、ステップS620へ進み、待機開始から予め決めた所定時間が経過したか否かを判断する。ここで、所定時間が経過したら、ステップS620にて「YES」へ進み、ステップS630へ進み、RAM情報退避処理、即ち、RAM5内のデータをFLASHROM6内へ退避させる処理を実行する。
【0049】
続いて、ステップS640へ進み、BHT1の電源をオフして電源オフ状態にする。そして、ステップS650へ進み、ユーザーにより電源オン操作されるまで待機するように構成されている。
【0050】
尚、この第3の実施例の制御は、第1の実施例及び第2の実施例の制御に適宜組み込むことが好ましい。
上記第3の実施例によれば、スタンバイ状態でユーザーにより電源オン操作されるまで長時間待機する構成に比べて、電源オフ状態で待機するので、節電効果を高めることができる。
【0051】
尚、上記第3の実施例において、所定時間をユーザーにより手動で変更設定可能なように構成することが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の第1の実施例を示すBHTのブロック図
【図2】フローチャート
【図3】本発明の第2の実施例を示す図2相当図
【図4】本発明の第3の実施例を示すフローチャート
【符号の説明】
【0053】
図面中、1はBHT(携帯端末)、2はCPU(運転制御手段)、3は受光部、4は画像処理部、5はRAM、6はFLASHROM(不揮発性メモリ、記憶手段)、11は操作部、12は電源回路、13は電池、14はCCDを示す

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オートパワーオフ条件に達したときに、スタンバイ状態へ移行する運転制御手段を備え、この運転制御手段は、ユーザーにより電源オフ操作が実行されたときに、RAM内の情報を不揮発性メモリに退避させてから、前記RAMへ供給する電源をオフする電源オフ状態に移行させるように構成されている携帯端末において、
作業開始時刻や休息開始時刻や作業終了時刻等の情報からなる動作スケジュールを記憶する記憶手段を備え、
前記運転制御手段は、前記オートパワーオフ条件に達したときに、現在時刻と前記動作スケジュールに基づいてスタンバイ状態または電源オフ状態のいずれかを選択して移行させるように構成されていることを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
前記運転制御手段は、前記オートパワーオフ条件に達したときに現在時刻が作業時間内であるときには、スタンバイ状態を選択して移行させて待機するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の携帯端末。
【請求項3】
前記運転制御手段は、前記オートパワーオフ条件に達したときに現在時刻が作業時間外または休息時間内であるときには、電源オフ状態を選択して移行させ、作業開始時刻の直前でスタンバイ状態に移行させて待機するように構成されていることを特徴とする請求項2記載の携帯端末。
【請求項4】
前記運転制御手段は、前記オートパワーオフ条件に達したときに現在時刻が作業時間外または休息時間内であっても、現在時刻から作業開始時刻までの時間が設定時間以下であるときには、スタンバイ状態を選択して移行させて待機するように構成されていることを特徴とする請求項3記載の携帯端末。
【請求項5】
前記設定時間は、前記動作スケジュールの中の最短の休息時間に基づいて設定されることを特徴とする請求項4記載の携帯端末。
【請求項6】
前記設定時間は、ユーザーにより手動で設定されることを特徴とする請求項4記載の携帯端末。
【請求項7】
前記運転制御手段は、前記動作スケジュールが記憶されていないときには、前記オートパワーオフ条件に達したときに電源オフ状態を選択して移行させるように構成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の携帯端末。
【請求項8】
前記運転制御手段は、スタンバイ状態に移行させて待機している状態において、設定時間が経過したときには、電源オフ状態に移行させるように構成されていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の携帯端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−299310(P2007−299310A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−128299(P2006−128299)
【出願日】平成18年5月2日(2006.5.2)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】