説明

携帯電子機器及びその制御方法

【課題】複数のアンテナのアンテナの性能を調整すること。
【解決手段】筐体1に配設され、通話信号の送信および受信を行う通話用アンテナ11と、筐体1に配設され、ワンセグ放送用信号の受信を行うワンセグ放送用アンテナ12と、通話用アンテナ11からの信号を処理する通話用RF回路13と、ワンセグ放送用アンテナ12からの信号を処理するワンセグ放送用RF回路14と、ワンセグ放送用アンテナ12とワンセグ放送用RF回路14との間で、アンテナの高周波的な整合状態を変更する第1のスイッチ部21と、ワンセグ放送用信号の受信状態および通話信号の通信状態に応じて、通話用アンテナとワンセグ放送用アンテナとの高周波的な整合状態を変更するように第1のスイッチ部21を制御するCPU15とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のアンテナを備える携帯電子機器及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、携帯電話・移動体端末向けの1セグメント部分受信サービス、いわゆる、ワンセグ放送を受信可能な携帯電話機が多数開発されている。このような携帯電話機において、ワンセグ放送の受信用のアンテナ(ワンセグ放送用アンテナ)を備えたものが知られている(特許文献1を参照)。
【0003】
このように構成される携帯電話機においては、通話用アンテナとワンセグ放送用アンテナとの性能は、アンテナ同士が干渉して、互いの性能を劣化させる等のトレードオフの関係になることが多い。また、現状においては、通話用アンテナをメインのアンテナとして重視する傾向がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−278560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述したような通話用アンテナおよびワンセグ放送用アンテナを備える携帯電話機に対して、ユーザからは、通話を重視するニーズが多い。また、一方で、例えば、ワンセグ放送の録画中に通話をするときには、ワンセグを重視したいというニーズもあり、設定や場合分けに応じて、通話とワンセグ放送のウエイトの変更可能にするような機能が望まれている。
【0006】
そこで、本発明は、複数のアンテナにおけるアンテナの性能を調整可能な携帯電子機器及びその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る携帯電子機器は、上記課題を解決するために、筐体と、前記筐体に配設され、無線通信信号の送信および受信を行う無線通信信号用アンテナと、前記筐体に配設され、テレビジョン信号の受信を行うテレビジョン信号用アンテナと、前記無線通信信号用アンテナからの信号を処理する無線通信信号処理部と、前記テレビジョン信号用アンテナからの信号を処理するテレビジョン信号処理部と、前記テレビジョン信号用アンテナと前記テレビジョン信号処理部との間で、アンテナの高周波的な整合状態を変更する整合状態変更部と、前記テレビジョン信号の受信状態および前記無線通信信号の通信状態に応じて、前記無線通信信号用アンテナと前記テレビジョン信号用アンテナとの高周波的な整合状態を変更するように前記整合状態変更部を制御する制御部と、を備える。
【0008】
また、携帯電子機器では、前記筐体は、第1の筐体と、第2の筐体とからなり、前記第1の筐体に対して前記第2の筐体が回動して折り畳み可能となるように、該第1の筐体と、該第2の筐体とを連結するヒンジ部と、を備え、前記無線通信信号用アンテナは、前記第1の筐体に配設され、前記テレビジョン信号用アンテナは、前記第2の筐体に配設される第2の回路基板をアンテナとして機能させる筐体ダイポールアンテナとして構成されることが好ましい。
【0009】
また、携帯電子機器では、前記無線通信信号用アンテナでの無線通信信号の受信状態または前記テレビジョン信号用アンテナでの前記受信状態の何れの状態を優先するかを設定する設定部を備え、前記制御部は、前記無線通信信号用アンテナでの無線通信信号の通信状態が受信状態であるとき、前記設定部により設定された内容に応じて、前記前記無線通信信号用アンテナでの無線通信信号の受信状態または前記テレビジョン信号用アンテナでの前記受信状態を優先するように前記整合状態変更部を制御することが好ましい。
【0010】
また、携帯電子機器では、前記無線通信信号用アンテナでの無線通信信号の受信状態または前記テレビジョン信号用アンテナでの前記受信状態の何れの状態を優先するかを設定する設定部を備え、前記制御部は、前記無線通信信号用アンテナでの無線通信信号の通信状態が送信状態であるとき、前記設定部により設定された内容に応じて、前記無線通信信号用アンテナでの無線通信信号の送信状態または前記テレビジョン信号用アンテナでの前記受信状態を優先するように前記整合状態変更部を制御することが好ましい。
【0011】
また、携帯電子機器では、通信先のアドレス情報を含むアドレス帳を記憶する記憶部を更に備え、前記制御部は、前記無線通信信号用アンテナでの無線通信信号の通信先が前記アドレス帳に登録されているアドレス情報と一致しない通信先であるとき、前記無線通信信号用アンテナでの無線通信信号の通信状態を優先するように前記整合状態変更部を制御することが好ましい。
【0012】
本発明に係る携帯電子機器の制御方法は、上記課題を解決するために、筐体と、前記筐体に配設され、無線通信信号の送信および受信を行う無線通信信号用アンテナと、前記筐体に配設され、テレビジョン信号の受信を行うテレビジョン信号用アンテナと、前記無線通信信号用アンテナからの信号を処理する無線通信信号処理部と、前記テレビジョン信号用アンテナからの信号を処理するテレビジョン信号処理部と、を備える携帯電話機の制御方法であって、前記テレビジョン信号の受信状態および前記無線通信信号の通信状態に応じて、前記テレビジョン信号用アンテナと前記テレビジョン信号処理部との間で、アンテナの高周波的な整合状態を変更する整合状態変更工程と、前記整合状態変更工程により、アンテナの高周波的な整合状態が変更されたテレビジョン信号に基づいて、前記テレビジョン信号処理部による信号処理を行う信号処理工程と、を含む。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、複数のアンテナを備える携帯電子機器において、それぞれのアンテナの性能を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の携帯電子機器の一実施形態である携帯電話機の外観を示す図である。
【図2】図1の携帯電話機の構成を示すブロック図である。
【図3】アンテナの性能の調整に係る機能的構成の例を示す機能ブロック図である。
【図4】本実施形態の携帯電話機の通話に係る動作を示すフローチャートである。
【図5】本実施形態の携帯電話機の設定を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好適な実施形態の一例について説明する。なお、本実施形態では、携帯電子機器の具体例として携帯電話機1を想定して説明するが、これに限られず、例えば、携帯電子機器とは使用周波数帯や変調方式等が異なるPHS(Personal Handy phone System)端末や、PDA(Personal Digital Assistant)等の様々な携帯電子機器に適用可能である。
【0016】
図1は、本発明の携帯電子機器の一実施形態である携帯電話機1の外観を示す図であり、(a)は展開状態を示す図であり、(b)は折り畳み状態を示す図である。
携帯電話機1は、図1(a)および図1(b)に示すように、操作部側筐体1A、と表示部側筐体1Bとをヒンジ部2で連結した折り畳み式の携帯電話機1として構成される。なお、本実施形態において、携帯電話機1は、折り畳み式の携帯電話機として説明するがこれに限られず、例えば、ストレート式の携帯電話機として構成することも可能である。
【0017】
また、携帯電話機1は、通話とワンセグ放送を受信可能に構成され、通話用アンテナ11と、ワンセグ放送用アンテナ12を備える。
図1に示すように、通話用アンテナ11は、操作部側筐体1Aのヒンジ部2の近傍に配設される。
一方、ワンセグ放送用アンテナ12は、表示部側筐体1Bに配設される。このワンセグ放送用アンテナ12は、表示部側筐体1Bをアンテナとして機能させる、いわゆる、筐体ダイポールアンテナとして構成される。
【0018】
図2は、図1の携帯電話機1の構成を示すブロック図である。
携帯電話機1は、通話用アンテナ11と、通話用RF回路13と、ワンセグ放送用アンテナ12と、ワンセグ放送用RF回路14と、CPU15(Central Processing Unit、制御部)と、記憶部16と、操作部17と、表示部18と、マイク19と、スピーカ20と、を備える。
【0019】
通話用アンテナ11は、外部と通話用信号を送受信する。
通話用RF回路13は、通話用アンテナ11で受信された通話用信号を携帯電話機1で利用可能な信号に変換し、生成された送信用の信号を通話用アンテナ11から送信可能な信号に変換する高周波回路である。
ワンセグ放送用アンテナ12は、外部からワンセグ放送用信号を受信する。
ワンセグ放送用RF回路14は、ワンセグ放送用アンテナ12で受信された高周波のワンセグ放送用信号を処理する。
CPU15は、プログラムによって様々な数値計算や情報処理、機器制御等を行う中央演算処理装置であり、例えば、通話用RF回路13等の各種部位を制御する。
記憶部16は、受信されたワンセグ放送や通信先が登録されるアドレス帳を記憶する。
操作部17は、ユーザによる各種操作を入力する。携帯電話機1では、操作部17へのこの入力操作を受けて、CPU15等による制御が行われる。
表示部18は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)等のディスプレイとして構成され、受信したワンセグ放送を表示したり、着信の表示を行ったりするように構成される。
マイク19は、通話時のユーザからの音声等を入力する。
スピーカ20は、通話時の通信先からの音声等を出力する。
【0020】
このように構成される携帯電話機1は、通話用アンテナ11とワンセグ放送用アンテナ12の性能を調整することができる機能を備える。
【0021】
この携帯電話機1は、筐体1と、通話用アンテナ11(無線通信信号用アンテナ)と、ワンセグ放送用アンテナ12(テレビジョン信号用アンテナ)と、通話用RF回路13(無線通信信号処理部)と、ワンセグ放送用RF回路14と、第1のスイッチ部21、第2のスイッチ部22および整合回路、または第3のスイッチ部24および第2の整合回路25(整合状態変更部)と、CPU15(制御部)と、を備える。
通話用アンテナ11は、筐体に配設され、通話(無線通信信号)の送信および受信を行う。
ワンセグ放送用アンテナ12は、筐体に配設され、ワンセグ放送用信号(テレビジョン信号)の受信を行う。
通話用RF回路13は、通話用アンテナ11からの信号を処理する。
ワンセグ放送用RF回路14は、ワンセグ放送用アンテナ12からの信号を処理する。
第1のスイッチ部21、第2のスイッチ部22および整合回路、または第3のスイッチ部24および第2の整合回路25は、ワンセグ放送用アンテナ12とワンセグ放送用RF回路14との間で、アンテナの高周波的な整合状態を変更する。
CPU15は、ワンセグ放送用信号の受信状態および通話用信号の通信状態に応じて、通話用アンテナ11とワンセグ放送用アンテナ12との高周波的な整合状態を変更するように整合回路およびスイッチ部を制御する。
【0022】
このように携帯電話機1を構成することで、ワンセグ放送用アンテナ12とワンセグ放送用RF回路14との間で、アンテナの高周波的な整合状態が調整されるために、通話の状態を良好にして通話を重視した設定に切り替えることができる。
【0023】
また、携帯電話機1では、筐体は、操作部側筐体1A(第1の筐体)と、表示部側筐体1B(第2の筐体)とからなり、表示部側筐体1Bに対して操作部側筐体1Aが回動して折り畳み可能となるように、表示部側筐体1Bと、操作部側筐体1Aとを連結するヒンジ部2と、を備え、通話用アンテナ11は、操作部側筐体1Aに配設され、ワンセグ放送用アンテナ12は、表示部側筐体1Bに配設される表示部側回路基板(回路基板)をアンテナとして機能させる筐体ダイポールアンテナとして構成される。
【0024】
このように携帯電話機1を構成することにより、ワンセグ放送用アンテナ12が筐体ダイポールとなり、例えば、ワンセグ放送用アンテナ12を第1のスイッチ部21で切り離す、終端とすることで、通話用アンテナ11のアンテナの性能を向上させることができる。
【0025】
また、携帯電話機1では、CPU15(設定部)は、通話用アンテナ11での通話信号の通話状態またはワンセグ放送用アンテナ12での受信状態の何れの状態を優先するかを設定する。また、CPU15は、通話用アンテナ11での通話信号の通話状態が着信状態であるとき、設定された内容に応じて、通話用アンテナ11での通話信号の受信状態またはワンセグ放送用アンテナ12での受信状態を優先するように制御する。
【0026】
このように携帯電話機1を構成することで、ユーザは用途に合わせて、着信時における通話用アンテナ11またはワンセグ放送用アンテナ12を優先させるかを選択できるために、携帯電話機1の使用の自由度を高めることができる。
【0027】
また、携帯電話機1では、CPU15は、通話用アンテナ11での通話信号の通話状態または前記テレビジョン信号用アンテナでの前記受信状態の何れの状態を優先するかを設定する。また、CPU15は、通話用アンテナ11での通話信号の通信状態が発信状態であるとき、設定された内容に応じて、通話用アンテナ11での通話信号の発信状態またはワンセグ放送用アンテナ12での発信状態を優先するように制御する。
【0028】
このように携帯電話機1を構成することで、ユーザは用途に合わせて、発信時における通話用アンテナ11またはワンセグ放送用アンテナ12を優先させるかを選択できるために、携帯電話機1の使用の自由度を高めることができる。
【0029】
また、携帯電話機1では、通信先のアドレス情報を含むアドレス帳を記憶する記憶部16を備える。
CPU15は、通話用アンテナ11での通話信号の通信先がアドレス帳に登録されているアドレス情報と一致する通信先であるとき、通話用アンテナ11での通話信号の通話状態を優先するように制御する。
【0030】
このように構成される携帯電話機1は、アドレス帳に登録された通信先に対しては、通話を重視するように動作させることができる。
【0031】
また、携帯電話機1では、ワンセグ放送用信号の受信状態および通話信号の通信状態に応じて、ワンセグ放送用アンテナ12とワンセグ放送用RF回路14との間で、アンテナの高周波的な整合状態を変更する整合状態変更工程と、整合状態変更工程により、アンテナの高周波的な整合状態が変更されたワンセグ放送用信号に基づいて、ワンセグ放送用RF回路14による信号処理を行う信号処理工程と、を含む制御方法により制御される。
【0032】
このように携帯電話機1を構成することで、ワンセグ放送用アンテナ12とワンセグ放送用RF回路14との間で、アンテナの高周波的な整合状態が調整されるために、通話またはワンセグ放送のいずれかのアンテナの性能を向上させることができ、通話を重視した設定またはワンセグ放送を重視した設定に切り替えることができる。
【0033】
ここで、図3は、アンテナの性能の調整に係る機能的構成の例を示す機能ブロック図である。
本実施形態の携帯電話機1においては、上述したように各アンテナ(通話用アンテナ11およびワンセグ放送用アンテナ12)から受信した電波をアンテナに対応した各RF回路(通話用RF回路13およびワンセグ放送用RF回路)を介して利用するように構成される。
【0034】
本実施形態においては、アンテナの性能を調整するための内部機構の構成について、以下の3種類の構成を例として説明する。また、本実施形態の携帯電話機1においては、ワンセグ放送用アンテナ12側の整合を調整することにより、通話用アンテナ11とワンセグ放送用アンテナ12の性能を調整する。
【0035】
まず、第1の例としては、図3(a)に示すように、携帯電話機1は、通話用アンテナ11側と、ワンセグ放送用アンテナ12側とで、異なる構成となる。通話用アンテナ11側は、通話用アンテナ11と、通話用RF回路13と、を有する。通話用アンテナ11は、通話用RF回路13と直接接続される。
一方のワンセグ放送用アンテナ12側は、ワンセグ放送用アンテナ12と、第1のスイッチ部21と、ワンセグ放送用RF回路14と、を有する。
第1のスイッチ部21は、ワンセグ放送用アンテナ12とワンセグ放送用RF回路14とに接続される。この第1のスイッチ部21は、CPU15により、ワンセグ放送用アンテナ12とワンセグ放送用RF回路14との接続状態を切り替えるスイッチである。
【0036】
このように構成される携帯電話機1においては、第1のスイッチ部21をワンセグ放送用アンテナ12とワンセグ放送用RF回路14とが接続状態となるように切り替えた場合(図中の第1のスイッチ部21において、破線で示される状態)には、通話用アンテナ11の性能は低くなるが、ワンセグ放送の受信が可能な状態となる。
一方、第1のスイッチ部21をワンセグ放送用アンテナ12とワンセグ放送用RF回路14とが非接続状態となるように切り替えた場合(図中の第1のスイッチ部21、実線で示される状態)には、ワンセグ放送の受信は行えない状態となり、通話用アンテナ11の性能が向上する。つまり、携帯電話機1においては、通話を優先した設定となる。本例の場合、携帯電話機1においては、ワンセグ放送用アンテナ12を切り離すことにより、通話用アンテナ11への干渉をなくし、VSWR(Voltage Standing Wave Ratio:電圧定在波比)が改善され、いわゆる食われが改善されるために、通話用アンテナ11の利得が向上する。
【0037】
次に、第2の例としては、図3(b)に示すように、ワンセグ放送用アンテナ12側は、第2のスイッチ部22と、第1の整合回路23と、ワンセグ放送用RF回路14とにより構成される。
第2のスイッチ部22は、ワンセグ放送用アンテナ12と、第1の整合回路23と、ワンセグ放送用RF回路14とに接続される。この第2のスイッチ部22は、CPU15により、ワンセグ放送用アンテナ12と、第1の整合回路23およびワンセグ放送用RF回路14と、の接続状態を切り替えるスイッチである。すなわち、第2のスイッチ部22では、ワンセグ放送用アンテナ12と第1の整合回路23との接続と、ワンセグ放送用アンテナ12とワンセグ放送用RF回路14との接続を切り替える。
第1の整合回路23は、通話用アンテナ11の性能を向上させるようにワンセグ放送用アンテナ12の整合を調整するように機能する回路であり、第2のスイッチ部22と表示部側基板12のクランドとに接続される。
【0038】
このように構成される携帯電話機1においては、第2のスイッチ部22をワンセグ放送用アンテナ12と第1の整合回路23とが接続状態となるように切り替えた場合(図中の第2のスイッチ部22において、実線で示される状態)には、ワンセグ放送の受信は行えない状態となり、通話用アンテナ11の性能が向上する。つまり、携帯電話機1においては、通話を優先した設定となる。
本例においては、第1の整合回路23により通話用アンテナ11の性能を向上させるために、通話用アンテナ11の干渉を最小限に抑えるように、ワンセグ放送用アンテナ12の整合が調整される。このため携帯電話機1においては、通話用アンテナ11の性能がさらに高められる。本例の場合、携帯電話機1においては、ワンセグ放送用アンテナ12を切り離すことにより、通話用アンテナ11への干渉をなくし、VSWRが改善され、いわゆる食われが改善されるために、通話用アンテナ11の利得が向上する。
一方、第2のスイッチ部22をワンセグ放送用アンテナ12とワンセグ放送用RF回路14とが接続状態となるように切り替えた場合(図中の第2のスイッチ部22、破線で示される状態)には、通話用アンテナ11の性能は低くなるが、ワンセグ放送の受信が可能な状態となる。
【0039】
次に、第3の例としては、図3(c)に示すように、ワンセグ放送用アンテナ12側は、第3のスイッチ部24と、第2の整合回路25と、第4のスイッチ部26と、ワンセグ放送用RF回路14とにより構成される。
第3のスイッチ部24は、ワンセグ放送用アンテナ12と、第2の整合回路25および第4のスイッチ部26とに接続される。この第3のスイッチ部24は、CPU15により、ワンセグ放送用アンテナ12と、第2の整合回路25および第4のスイッチ部26と、の接続状態を切り替えるスイッチである。すなわち、第3のスイッチ部24では、ワンセグ放送用アンテナ12と第2の整合回路25との接続と、ワンセグ放送用アンテナ12と第4のスイッチ部26との接続を切り替える。
第2の整合回路25は、通話用アンテナ11の性能を向上させるようにワンセグ放送用アンテナ12の整合を調整するように機能する回路であり、第3のスイッチ部24と第4のスイッチ部26とに接続される。
【0040】
このように構成される携帯電話機1においては、第3のスイッチ部24をワンセグ放送用アンテナ12と第2の整合回路25とが接続状態となり、第4のスイッチ部26を第2の整合回路25とが接続状態となるように切り替えた場合(図中の第3のスイッチ部24および第4のスイッチ部26において、実線で示される状態)には、ワンセグ放送用アンテナ12の性能が抑制され、通話用アンテナ11の性能が向上する。つまり、携帯電話機1においては、通話を優先した設定となる。
本例においては、第2の整合回路25により通話用アンテナ11の性能を向上させ、ワンセグ放送用アンテナ12へワンセグ放送用信号を極力通すために、通話用アンテナ11の干渉を最小限に抑えるように、ワンセグ放送用アンテナ12の整合が調整される。このため、携帯電話機1においては、通話用アンテナ11の性能がさらに高められる。本例の場合、携帯電話機1においては、第2の整合回路25により通話用アンテナ11への干渉を抑え、VSWRが改善され、いわゆる食われが改善されるために、通話用アンテナ11の利得が向上する。
一方、第3のスイッチ部24をワンセグ放送用アンテナ12と第4のスイッチ部26とが接続状態となり、第4のスイッチ部26を第3のスイッチ部24とが接続状態となるように切り替えた場合(図中の第3のスイッチ部24および第4のスイッチ部26において、破線で示される状態)には、ワンセグ放送用アンテナ12の性能が抑制されずに、通常の状態となる。
【0041】
次に、本実施形態の携帯電話機1の通話に係る動作について図4を用いて説明する。図4は、本実施形態の携帯電話機1の通話に係る動作を示すフローチャートである。
このように構成される携帯電話機1は、本実施形態においては、設定により、通話用アンテナ11の性能を高めるように動作する。さらに、携帯電話機1は、通話用アンテナ11の性能を高める設定において、通信先のアドレス帳への登録の有無の違いで、通話用アンテナ11の性能を高めるように動作するように構成される。
【0042】
本実施形態の携帯電話機1においては、着信時に通話を重視する設定とするか否かを設定により選択する機能を有する。以下、着信時に通話を重視する設定を着信時メイン重視設定という。
携帯電話機1は、本実施形態においては、図5(a)に示すように、3つの設定(常時ON、電話帳設定でON、常時OFF)を有しており、ユーザは、各設定の中から設定を選択する。なお、図5(a)は、表示部18に表示される着信時メイン重視設定の選択画面の一例を示す図である。
【0043】
また、本実施形態の携帯電話機1においては、図5(b)に示すように、アドレス帳に登録されている個別の電話番号に対応して、着信時メイン重視設定を行うか否かを設定により選択する機能を有する。本例においては、例えば、名前:「山田 太郎」・電話番号:「090−XXXX−oooo」は、着信時メイン重視設定:「○」であり、着信時メイン重視設定を行うように設定される。また、名前:「鈴木 一郎」・電話番号:「090−oXoX−XXXX」は、着信時メイン重視設定:「×」であり、着信時メイン重視設定を行わないように設定される。なお、図5(b)は、アドレス帳に対応する個別設定の内容の一例を示す図である。
【0044】
また、本実施形態の携帯電話機1においては、図5(c)に示すように、アドレス帳には個別の電話番号をグループ分けして登録可能であり、このグループ毎で着信時メイン重視設定を行うか否かを設定により選択する機能を有する。本例においては、例えば、グループ:「非通知」は、着信時メイン重視設定:「×」であり、着信時メイン重視設定を行わないように設定される。また、グループ:「友人」は、着信時メイン重視設定:「○」であり、着信時メイン重視設定を行うように設定される。なお、図5(c)は、アドレス帳に対応するグループ設定の内容の一例を示す図である。
【0045】
以下の携帯電話機1の動作の説明は、設定毎に行う。なお、本動作の説明には、図3(a)に示す第1の例を用いて行う。
まず、常時ONの設定がされた場合についての動作について説明する。
【0046】
ステップST1において、ユーザは、着信時メイン重視設定の選択を行う。本説明においては、常時ONの設定の選択がなされる。その後、処理はステップST2−1に進む。
【0047】
ステップST2−1において、携帯電話機1は、待ち受け状態となる。着信があった場合には、処理はステップST4に進む。
【0048】
ステップST4において、CPU15は、アンテナをメイン重視に設定する。具体的には、CPU15は、図3(a)に示すように、第1のスイッチ部21を、ワンセグ放送用RF回路14と非接続状態(図中の第1のスイッチ部21において、破線で示される状態)となるように切り替える。
これにより、携帯電話機1においては、通話用アンテナ11の性能が向上して、高い通話品質を確保することができる。
その後、処理はステップST5に進む。
【0049】
ステップST5において、携帯電話機1は、通話を行う。
通話を終了した場合は、処理が終了し、携帯電話機1は再び待受状態に戻る。
【0050】
次に、電話帳設定ONの設定がされた場合についての動作について説明する。
【0051】
ステップST1において、ユーザは、着信時メイン重視設定の選択を行う。本説明においては、電話帳設定ONの設定の選択がなされる。その後、処理はステップST2−2に進む。
【0052】
ステップST2−2において、携帯電話機1は、待ち受け状態となる。着信があった場合には、処理はステップST3に進む。
【0053】
ステップST3において、CPU15は、誰からの着信かアドレス帳で確認する。具体的には、CPU15は、発信元の電話番号がアドレス帳に登録されており、着信時メイン重視設定がなされているか否かの判定を行う。
発信元の電話番号がアドレス帳に登録されており、着信時メイン重視設定がなされている場合(アドレス帳 メイン重視設定:○)には、ステップST4に進む。
発信元の電話番号がアドレス帳に登録されていないか、または、発信元の電話番号がアドレス帳に登録されており、着信時メイン重視設定がなされていない場合(アドレス帳 メイン重視設定:×)には、ステップST6に進む。
【0054】
ステップST4において、CPU15は、アンテナをメイン重視に設定する。具体的には、CPU15は、図3(a)に示すように、第1のスイッチ部21を、ワンセグ放送用RF回路14と非接続状態(図中の第1のスイッチ部21において、破線で示される状態)となるように切り替える。
これにより、携帯電話機1においては、通話用アンテナ11の性能が向上して、高い通話品質を確保することができる。
その後、処理はステップST5に進む。
【0055】
ステップST5において、携帯電話機1は、通話を行う。
通話を終了した場合は、処理が終了し、携帯電話機1は再び待受状態に戻る。
【0056】
一方、発信元の電話番号がアドレス帳に登録されていないか、または、発信元の電話番号がアドレス帳に登録されており、着信時メイン重視設定がなされていない場合(アドレス帳 メイン重視設定:×)、ステップST6において、携帯電話機1は、通話を行う。
通話を終了した場合は、処理が終了し、携帯電話機1は再び待受状態に戻る。
【0057】
次に、常時OFFの設定された場合についての動作について説明する。
【0058】
ステップST1において、ユーザは、着信時メイン重視設定の選択を行う。本説明においては、常時OFFの設定の選択がなされる。その後、処理はステップST2−3に進む。
【0059】
ステップST2−3において、携帯電話機1は、待ち受け状態となる。着信があった場合には、処理はステップST3に進む。
【0060】
ステップST5において、携帯電話機1は、通話を行う。
通話を終了した場合は、処理が終了し、携帯電話機1は再び待受状態に戻る。
【0061】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0062】
なお、上述した通話用アンテナ及びワンセグ用アンテナは、本実施形態においては、通話用アンテナを操作部側筐体1Aに内蔵し、ワンセグ用アンテナを表示部側筐体1Bに内蔵して構成したが、これに限られない。通話用アンテナ及びワンセグ用アンテナは、操作部側筐体1Aまたは表示部側筐体1Bのいずれかの筐体に配設されていればよく、筐体に内蔵されるアンテナであっても筐体の外部に露出するアンテナであってもよい。
【0063】
また、上述した実施形態においては、ワンセグ放送用アンテナ12側において、整合状態を調整する構成を備えるように構成したがこれに限られず、通話用アンテナ11側に整合状態を調整する構成を備えるように構成してもよい。
【0064】
また、上述した実施形態においては、ワンセグ放送の受信と、通話による通信との整合状態を変更するように構成したがこれに限られない。例えば、複数のアンテナから受信される信号の整合状態を変更可能であればよく、例えば、ワンセグ放送と、データ通信との整合状態とを変更するように構成してもよい。
【0065】
また、上述の実施形態では、本発明は、携帯電話機1を例として説明したが、特にこれに限定されない。本発明は、ワンセグ放送を受信可能であり、通話が可能な電子機器一般に適用することができる。
【符号の説明】
【0066】
1 筐体
1A 操作部側筐体
1B 表示部側筐体
11 通話用アンテナ(無線通信信号用アンテナ)
12 ワンセグ放送用アンテナ(テレビジョン信号用アンテナ)
13 通話用RF回路(無線通信信号処理部)
14 ワンセグ放送用RF回路(テレビジョン信号処理部)
15 CPU(制御部)
21 第1のスイッチ部(整合状態変更部)
22 第2のスイッチ部(整合状態変更部)
23 第1の整合回路(整合状態変更部)
24 第3のスイッチ部(整合状態変更部)
25 第2の整合回路(整合状態変更部)
26 第4のスイッチ部(整合状態変更部)
100 携帯電話機(携帯電子機器)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体に配設され、無線通信信号の送信および受信を行う無線通信信号用アンテナと、
前記筐体に配設され、テレビジョン信号の受信を行うテレビジョン信号用アンテナと、
前記無線通信信号用アンテナからの信号を処理する無線通信信号処理部と、
前記テレビジョン信号用アンテナからの信号を処理するテレビジョン信号処理部と、
前記テレビジョン信号用アンテナと前記テレビジョン信号処理部との間で、アンテナの高周波的な整合状態を変更する整合状態変更部と、
前記テレビジョン信号の受信状態および前記無線通信信号の通信状態に応じて、前記無線通信信号用アンテナと前記テレビジョン信号用アンテナとの高周波的な整合状態を変更するように前記整合状態変更部を制御する制御部と、を備える携帯電子機器。
【請求項2】
前記筐体は、第1の筐体と、第2の筐体とからなり、
前記第1の筐体に対して前記第2の筐体が回動して折り畳み可能となるように、該第1の筐体と、該第2の筐体とを連結するヒンジ部と、を備え、
前記無線通信信号用アンテナは、前記第1の筐体に配設され、
前記テレビジョン信号用アンテナは、前記第2の筐体に配設される回路基板をアンテナとして機能させる筐体ダイポールアンテナとして構成される請求項1記載の携帯電子機器。
【請求項3】
前記無線通信信号用アンテナでの無線通信信号の通信状態または前記テレビジョン信号用アンテナでの前記受信状態の何れの状態を優先するかを設定する設定部を備え、
前記制御部は、前記無線通信信号用アンテナでの無線通信信号の通信状態が受信状態であるとき、前記設定部により設定された内容に応じて、前記前記無線通信信号用アンテナでの無線通信信号の受信状態または前記テレビジョン信号用アンテナでの前記受信状態を優先するように前記整合状態変更部を制御する請求項1または2記載の携帯電子機器。
【請求項4】
前記無線通信信号用アンテナでの無線通信信号の通信状態または前記テレビジョン信号用アンテナでの前記受信状態の何れの状態を優先するかを設定する設定部を備え、
前記制御部は、前記無線通信信号用アンテナでの無線通信信号の通信状態が送信状態であるとき、前記設定部により設定された内容に応じて、前記無線通信信号用アンテナでの無線通信信号の送信状態または前記テレビジョン信号用アンテナでの前記受信状態を優先するように前記整合状態変更部を制御する請求項1から3のいずれか1項に記載の携帯電子機器。
【請求項5】
通信先のアドレス情報を含むアドレス帳を記憶する記憶部を更に備え、
前記制御部は、前記無線通信信号用アンテナでの無線通信信号の通信先が前記アドレス帳に登録されているアドレス情報と一致する通信先であるとき、前記無線通信信号用アンテナでの無線通信信号の通信状態を優先するように前記整合状態変更部を制御する請求項1から4のいずれか1項に記載の携帯電子機器。
【請求項6】
筐体と、前記筐体に配設され、無線通信信号の送信および受信を行う無線通信信号用アンテナと、前記筐体に配設され、テレビジョン信号の受信を行うテレビジョン信号用アンテナと、前記無線通信信号用アンテナからの信号を処理する無線通信信号処理部と、前記テレビジョン信号用アンテナからの信号を処理するテレビジョン信号処理部と、を備える携帯電子機器の制御方法であって、
前記テレビジョン信号の受信状態および前記無線通信信号の通信状態に応じて、前記テレビジョン信号用アンテナと前記テレビジョン信号処理部との間で、アンテナの高周波的な整合状態を変更する整合状態変更工程と、
前記整合状態変更工程により、アンテナの高周波的な整合状態が変更されたテレビジョン信号に基づいて、前記テレビジョン信号処理部による信号処理を行う信号処理工程と、を含む携帯電子機器の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−138715(P2012−138715A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−288854(P2010−288854)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】