説明

携帯電子機器

【課題】各種情報を表示する表示部を筐体内部に設けた携帯電子機器において、表示部の表示面を視認する状態においても筐体の外観意匠を良好に維持できるようにする。
【解決手段】表示部15の表示面15aを筐体3に形成された開口部21から外方に露出させると共に開口部21を閉塞するように筐体3の表面3e側に透明な板状部材23を固定し、該板状部材23を前記筐体3の表面3eから前記筐体3の厚さ方向に窪んで形成された収容凹部19に収容すると共に該収容凹部19の底壁面19aに配し、前記開口部21及び前記板状部材23の少なくとも一部を外方に露出させる装飾開口部29を形成した略板状の装飾部材27を前記筐体3の表面3e及び前記板状部材23の一端面23aに跨って配した携帯電子機器を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、各種情報を表示する表示部を備える携帯電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistants)、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、ノート型パーソナルコンピュータ等の携帯電子機器としては、筐体内部に各種情報を表示する表示部を備えると共に、筐体に表示部の表示面を外方に露出させる開口部を形成したものがある。また、この種の携帯電子機器には、筐体の表面から窪む凹部の底面に上記開口部を形成し、この凹部の底面に透明な表示窓部(板状部材)を貼り付けることで上記開口部を閉塞すると共に上記表示面の保護を図っているものもある(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2004−23610号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の携帯電子機器において、表示窓部は筐体に形成された凹部に収容されると共にこの凹部の底面に貼り付けられるため、凹部の側壁面と表示窓部との隙間に塵埃等が侵入する。特に、携帯電子機器の使用者が表示部の表示面を視認する際には上記隙間も同時に視認されるため、上記隙間に入り込んだ塵埃が上記使用者の視界に入り、携帯電子機器の使用状態における筐体の外観意匠を損なう虞がある。
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、表示部の表示面を視認する状態においても筐体の外観意匠を良好に維持できる携帯電子機器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明に係る携帯電子機器は、筐体内部に配された表示部の表示面を前記筐体に形成された開口部から外方に露出させると共に、前記開口部を閉塞するように前記筐体の表面側に透明な板状部材を固定した携帯電子機器であって、前記板状部材を前記筐体の表面から前記筐体の厚さ方向に窪んで形成された収容凹部に収容すると共に該収容凹部の底壁面に配し、前記開口部及び前記板状部材の少なくとも一部を外方に露出させる装飾開口部を形成した略板状の装飾部材を、前記筐体の表面及び外方に露出する前記板状部材の一端面に跨って配することを特徴とする。
【0005】
また、本発明に係る携帯電子機器は、前記板状部材の一端面及び該一端面に対向する前記装飾部材の対向面の少なくとも一方のうち、前記装飾開口部の周囲に、前記一端面若しくは前記対向面から前記厚さ方向に窪む略環状の環状窪み部が形成され、前記環状窪み部が前記装飾開口部から離間して位置することを特徴とする。
【0006】
さらに、本発明に係る携帯電子機器は、前記装飾部材の対向面に対向する前記筐体の表面が、前記環状窪み部の底面と略同一平面上に形成されていることを特徴とする。
また、本発明に係る携帯電子機器は、前記収容凹部の底壁面に対向する前記板状部材の他端面に、前記底壁面を目隠しする装飾が施されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、略板状の装飾部材により筐体に形成された収容凹部の側壁面と板状部材との隙間が覆い隠されるため、上記隙間に塵埃等が侵入することを防止できる。したがって、表示部の表示面を視認する状態においても筐体の外観意匠を良好に維持することができる。
また、板状部材の一端面及び装飾部材の対向面の少なくとも一方に環状窪み部を形成した場合には、装飾部材を板状部材の一端面に配した状態において、板状部材の一端面及び装飾部材の対向面のいずれか一方に形成された環状窪み部の底面と、板状部材の一端面及び装飾部材の対向面のいずれか他方との間に隙間が形成されることになる。ここで、上記環状窪み部は装飾部材の装飾開口部から離間した位置に形成されているため、上記隙間に接着剤を配すると共にこの接着剤を介して板状部材と装飾部材とを相互に接着固定する場合には、上記接着剤の厚さ寸法を上記隙間と略等しくすることで、装飾開口部に隣接する装飾部材の対向面を板状部材の一端面に当接させることができる。
【0008】
したがって、装飾部材を板状部材に接着固定した状態においては、板状部材と装飾部材との隙間が装飾開口部から外方に露出せず、装飾開口部から板状部材と装飾部材との間に塵埃が入り込むことを防止できる。
また、例えば、携帯電子機器を通話で使用する際に、髪の毛が装飾開口部から上記板状部材と装飾部材との間に入り込んで挟まることも防止できるため、携帯電子機器を容易に取り扱うことが可能となる。さらに、接着剤も装飾開口部から外方に露出しないため、接着剤に塵埃が付着する等して接着剤の接着力が低下することも確実に防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1から図5は本発明に係る一実施形態を示しており、ここで説明する実施の形態は、この発明を携帯電話機に適用した場合のものである。
図1に示すように、この実施の形態に係る携帯電話機(携帯電子機器)1は、第1の筐体2と、この第1の筐体2の厚さ方向に重ね合わせ可能な第2の筐体3と、これら2つの筐体2,3を相互に折り畳み自在に連結するヒンジ部5とを備えている。なお、ヒンジ部5は、2つの筐体2,3の各端部2a,3a(以下、基端部2a,3aと呼ぶ。)同士を連結するように配されている。
【0010】
第1の筐体2の内部には、通話キー、終話キー等の各種の押圧可能な操作キー6を備えたキー操作部7及び通話用のマイクロフォン部9が設けられている。キー操作部7の各操作キー6は、2つの筐体2,3を相互に重ね合わせた状態において第2の筐体3に対向する第1の筐体2の対向面2cから外方に露出している。マイクロフォン部9は、基端部2aとは反対側に位置する第1の筐体2の先端部2b側に配されており、第1の筐体2の対向面2cから第1の筐体2の内部空間に貫通する開口部2dを介して外方に露出している。なお、図中の符号11は、基地局と無線通信を行うためのアンテナである。
【0011】
図1,2に示すように、第2の筐体3の内部には、LCD(Liquid Crystal Display)等、各種情報を表示する表示面13a,15aを有する2つの表示部13,15、及び、通話用のスピーカ部17が設けられている。第1の表示部13の表示面13aは、2つの筐体2,3を相互に重ね合わせた状態において第1の筐体2に対向する第2の筐体3の対向面3cから外方に露出している。スピーカ部17は、基端部3aとは反対側に位置する第2の筐体3の先端部3bに配されており、第2の筐体3の対向面3cから第2の筐体3の内部空間に貫通する開口部3dを介して外方に露出している。
また、第2の表示部15の表示面15aは、2つの筐体2,3の開閉状態にかかわらず、対向面3cとは反対側に位置する第2の筐体3の外面3eから外方に露出している。
【0012】
また、第2の筐体3には、図3,4に示すように、その外面3eから第2の筐体3の厚さ方向に窪む収容凹部19が形成されると共に、この収容凹部19の底壁面19aから第2の筐体3の内部空間に貫通する平面視略矩形の開口部21が形成されている。前述した第2の表示部15の表示面15aは、この開口部21を介して外方に露出している。
収容凹部19には、ポリカーボネートやアクリル等の透明な材料を略板状に形成したカバーガラス(板状部材)23が収容されると共に収容凹部19の底壁面19aに両面テープ等の接着剤(不図示)を介して貼り付けられている。このカバーガラス23によって開口部21が閉塞されることになる。なお、カバーガラス23を収容凹部19に配した状態においては、収容凹部19の側壁面とカバーガラス23との間に隙間が形成されるが、この隙間は収容凹部19及びカバーガラス23の寸法公差に基づいて生じる程度の微少なものである。
【0013】
また、収容凹部19の底壁面19aに対向するカバーガラス23の下端面(他端面)23bには、色・模様等の装飾を施して収容凹部19の底壁面19aを目隠しする印刷層25が形成されており、収容凹部19の底壁面19aがカバーガラス23を介して外方側から視認されないようになっている。すなわち、この印刷層25により、前述のようにカバーガラス23を貼り付けるための接着剤を覆い隠すことができる。
さらに、第2の筐体3の外面3e、及び、外方に露出するカバーガラス23の上端面(一端面)23aの上方には、略板状の装飾部材27が配されるようになっている。この装飾部材27には、第2の筐体3の開口部21及びカバーガラス23の一部を外方に露出させる装飾開口部29が形成されている。
【0014】
また、この装飾部材27は、第2の筐体3に係合させることで第2の筐体3に対して位置決めされるように構成されている。すなわち、カバーガラス23の上端面23aに対向する装飾部材27の対向面27aの周縁には、対向面27aから第2の筐体3の外面3eに向けて突出する側壁部27bが形成されている。そして、第2の筐体3には、上記側壁部27bを挿入させる係合溝3fが、収容凹部19の周囲を囲繞するように第2の筐体3の外面3eから窪んで形成されている。したがって、装飾部材27の側壁部27bを第2の筐体3の係合溝3fに挿入することにより、第2の筐体3に対する装飾部材27の位置決めが行われることになる。
上記の状態においては、装飾部材27が第2の筐体3の外面3e及びカバーガラス23の上端面23aに跨って配されることになる、すなわち、装飾部材27によって収容凹部19の側壁面とカバーガラス23との微少な隙間が覆い隠されることになる。
【0015】
この装飾部材27は、図5に示すように、両面テープ等の接着剤G1によりカバーガラス23の上端面23aに接着固定されるようになっている。この接着剤G1は、カバーガラス23の上端面23aから窪んで形成された環状窪み部31の底面31aに配される。ここで、環状窪み部31は、装飾部材27の装飾開口部29の周囲に環状に形成されており、また、装飾開口部29から離間した位置に形成されている。なお、この環状窪み部31は、その深さ寸法が接着剤G1の厚さ寸法と略等しくなるように形成されている。
また、この装飾部材27は、両面テープ等の接着剤G2により第2の筐体3の外面3eにも接着固定されるようになっている。ここで、上記接着剤G2を配する外面3eは、環状窪み部31の底面31aと略同一平面上に形成されており、カバーガラス23及び装飾部材27を相互に接着固定する接着剤G1と同様の厚さ寸法の接着剤G2を配することができるようになっている。
【0016】
上記のように、この携帯電話機1によれば、略板状の装飾部材27により第2の筐体3に形成された収容凹部19の側壁面とカバーガラス23との隙間が覆い隠されるため、上記隙間に塵埃等が侵入することを確実に防止できる。したがって、第2の表示部15の表示面15aを視認する状態においても第2の筐体3の外観意匠を良好に維持することができる。
また、カバーガラス23の上端面23aに環状窪み部31を形成しておくと共に、環状窪み部31の深さ寸法と略等しい厚さ寸法を有する接着剤G1を装飾部材27の対向面27aと環状窪み部31の底面31aとの隙間に配することにより、上記接着剤G1によりカバーガラス23と装飾部材27とを相互に接着した状態において、装飾開口部29に隣接する装飾部材27の対向面27aをカバーガラス23の上端面23aに当接させることができる。
【0017】
したがって、装飾部材27をカバーガラス23に接着固定した状態においては、カバーガラス23と装飾部材27との隙間が装飾開口部29から外方に露出せず、装飾開口部29からカバーガラス23と装飾部材27との間に塵埃が入り込むことを確実に防止できる。
また、例えば、携帯電話機1を通話で使用する際に、髪の毛が装飾開口部29を介してカバーガラス23と装飾部材27との間に入り込んで挟まることも防止できるため、携帯電話機1を容易に取り扱うことが可能となる。さらに、上記接着剤G1も装飾開口部29から外方に露出しないため、接着剤G1に塵埃が付着する等して接着剤G1の接着力が低下することも確実に防止できる。
【0018】
さらに、装飾部材27と第2の筐体3との接着固定に使用する接着剤G2が配される第2の筐体3の外面3eは、環状窪み部31の底面31aと略同一平面上に形成されているため、装飾部材27とを接着する接着剤G1と同様の厚さ寸法の接着剤G2を配することができ、装飾部材27を第2の筐体の外面3eにも容易に接着固定することが可能となる。
また、カバーガラス23の下端面23bに形成された印刷層25により、前述のようにカバーガラス23を貼り付けるための接着剤を覆い隠すことができるため、さらに良好な外観意匠を有する携帯電話機1を提供することができる。
【0019】
なお、上記の実施形態においては、カバーガラス23に接着剤G1を配するための環状窪み部31が形成されるとしたが、これに限ることはなく、少なくとも装飾開口部29から離間した位置に接着剤G1を配する隙間が、カバーガラス23と装飾部材27との間に形成されていればよい。したがって、上記実施形態と同様の環状窪み部が、例えば、装飾部材27にその対向面27aから厚さ方向に窪んで形成されるとしても構わないし、これらカバーガラス23及び装飾部材27の両方に形成されるとしてもよい。
また、ヒンジ部5によって互いに連結された2つの筐体2,3を備える携帯電話機1について述べたが、これに限ることはなく、少なくとも各種情報を表示する表示部を備えていればよく、例えば、1つの筐体から構成される携帯電話機であっても構わない。
【0020】
さらに、携帯電話機に限ることはなく、例えば、PDAやデジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、ノート型パーソナルコンピュータに適用しても構わない。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明の一実施形態に係る携帯電話機の第1、第2の筐体を相互に開いた状態を示す概略斜視図である。
【図2】図1の携帯電話機において、第1、第2の筐体の筐体を相互に閉じた状態を第2の筐体の外面側から見た様子を示す概略平面図である。
【図3】図1の携帯電話機において、第2の筐体、並びに、これに取り付けられるカバーガラス及び装飾部材を相互に分離した状態を示す概略斜視図である。
【図4】図1の携帯電話機において、第2の筐体にカバーガラス及び装飾部材を取り付けた状態を示す概略断面図である。
【図5】図1の携帯電話機において、第2の筐体及びカバーガラスと装飾部材との接着状態を示す要部拡大断面図である。
【符号の説明】
【0022】
1 携帯電話機(携帯電子機器)
3 第2の筐体
3e 外面(表面)
15 第2の表示部
15a 表示面
19 収容凹部
19a 底壁面
21 開口部
23 カバーガラス(板状部材)
23a 上端面(一端面)
23b 下端面(他端面)
27 装飾部材
27a 対向面
29 装飾開口部
31 環状窪み部
31a 底面


【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内部に配された表示部の表示面を前記筐体に形成された開口部から外方に露出させると共に、前記開口部を閉塞するように前記筐体の表面側に透明な板状部材を固定した携帯電子機器であって、
前記板状部材を前記筐体の表面から前記筐体の厚さ方向に窪んで形成された収容凹部に収容すると共に該収容凹部の底壁面に配し、
前記開口部及び前記板状部材の少なくとも一部を外方に露出させる装飾開口部を形成した略板状の装飾部材を、前記筐体の表面及び外方に露出する前記板状部材の一端面に跨って配することを特徴とする携帯電子機器。
【請求項2】
前記板状部材の一端面及び該一端面に対向する前記装飾部材の対向面の少なくとも一方のうち、前記装飾開口部の周囲に、前記一端面若しくは前記対向面から前記厚さ方向に窪む略環状の環状窪み部が形成され、
前記環状窪み部が、前記装飾開口部から離間して位置することを特徴とする請求項1に記載の携帯電子機器。
【請求項3】
前記装飾部材の対向面に対向する前記筐体の表面が、前記環状窪み部の底面と略同一平面上に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の携帯電子機器。
【請求項4】
前記収容凹部の底壁面に対向する前記板状部材の他端面に、前記底壁面を目隠しする装飾が施されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の携帯電子機器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−124001(P2007−124001A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−309528(P2005−309528)
【出願日】平成17年10月25日(2005.10.25)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】