説明

携帯電子機器

【課題】回路基板の実装面積を確保することができる携帯電子機器を提供すること。
【解決手段】携帯電話機1は、操作部側筐体2の内部に配置され第1面72に基準電位パターン75が形成された回路基板70と、回路基板70の第1面72に配置される導電性のシールドケース60と、基準電位パターン75とシールドケース60との間に配置され基準電位パターン75およびシールドケース60に圧接する導電性の弾性部材78と、を備え、弾性部材78は、基準電位パターン75側の底面78aから鋭角方向に傾斜する側面78cを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機等の携帯電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機等の携帯電子機器における筐体には、電子部品が実装された回路基板が内蔵されている。回路基板に実装される電子部品には、例えば無線通信用の高周波回路部品のように、電磁波などの外部からのノイズに影響を受けやすいものも多い。このようなノイズに影響を受けやすい電子部品については、導電性のケース部材で覆って、外部からのノイズをシールド(遮蔽)する必要がある。また、回路基板に実装される電子部品には、ノイズを発生するものもある。このようなノイズを発生する電子部品についても、ケース部材で覆ってノイズが外部へ伝播することを防ぐことが求められる場合もある。
また、ケース部材を回路基板に載置する場合に、シールド機能を高めるために、ケース部材と回路基板との間に導電性の弾性部材を配置する携帯電子機器が提案されている(例えば、特許文献1)。特許文献1に記載の携帯電子機器は、弾性部材が弾性変形可能に構成されているため、ケース部材と回路基板との電気的な接続が確保され、電磁波などのノイズをシールド(遮蔽)する効果を高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−31358号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の携帯電子機器においては、弾性部材は、ケース部材と回路基板に圧接することで、回路基板における面に沿う方向に延びるように弾性変形される。そのため、回路基板の実装面積が制限される場合があった。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたもので、回路基板の実装面積を確保することができる携帯電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明に係る携帯電子機器は、筐体と、前記筐体の内部に配置され、一方の面に基準電位パターンが形成された回路基板と、前記回路基板の前記一方の面に配置される導電性のケース部材と、前記基準電位パターンと前記ケース部材との間に配置され、前記基準電位パターンおよび前記ケース部材に圧接する導電性の弾性部材と、を備え、前記弾性部材は、前記基準電位パターン側の端部および前記ケース部材側の端部の一方から他方に向けて鋭角方向に傾斜する第1傾斜面を有する。
好適には、前記弾性部材における前記基準電位パターン側の端面および前記ケース部材側の端面の一方は他方よりも広い。
好適には、前記弾性部材における前記基準電位パターン側の端面および前記ケース部材側の端面の他方は、前記回路基板の厚さ方向において一方に重畳される。
好適には、前記第1傾斜面は前記基準電位パターン側の端部に形成され、前記回路基板の前記一方の面に実装される電子部品を備え、前記電子部品は、前記弾性部材の前記第1傾斜面と対向する。
好適には、前記弾性部材は、前記回路基板の厚さ方向の断面において、前記回路基板の前記一方の面に沿う方向の両側に前記第1傾斜面を有する。
好適には、前記弾性部材は、前記基準電位パターン側の端部および前記ケース部材側の端部の他方から一方へ向けて鋭角方向に傾斜する第2傾斜面を有する。
好適には、前記回路基板の前記一方の面に実装される電子部品を備え、前記電子部品は、前記弾性部材の前記第1傾斜面および前記第2傾斜面と対向する。
好適には、前記第2傾斜面は、所定の点から前記第1傾斜面に連続して形成される。
好適には、前記弾性部材が前記基準電位パターンおよび前記回路基板に圧接した場合に、前記所定の点の前記回路基板からの高さが前記電子部品の前記回路基板からの高さよりも高い。
好適には、前記弾性部材は、前記回路基板の厚さ方向の断面において、前記回路基板の前記一方の面に沿う方向の両側に前記第1傾斜面および前記第2傾斜面を有する。
好適には、前記弾性部材は、内部が中空に形成される。
好適には、前記弾性部材は、外壁面と内壁面の厚さが略一定になるように内部が中空に形成される。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、携帯電子機器に配置される回路基板の実装面積を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】携帯電話機1を操作部側筐体2と表示部側筐体3とを開いた状態で示す斜視図である
【図2】携帯電話機1の操作部側筐体2の分解斜視図である。
【図3】(a)第1実施形態における弾性部材78を図2の矢印Xの方向から見た断面図である。(b)第1実施形態における弾性部材78がシールドケース60と回路基板70との間に配置された状態を図2の矢印Xの方向から見た断面図である。
【図4】(a)第2実施形態における弾性部材78を図2の矢印Xの方向から見た断面図である。(b)第2実施形態における弾性部材78がシールドケース60と回路基板70との間に配置された状態を図2の矢印Xの方向から見た断面図である。
【図5】第2実施形態の弾性部材78の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明に係る携帯電子機器の実施形態について、図面を参照しながら説明する。まず、本発明に係る携帯電子機器の第1実施形態としての携帯電話機1の基本構造について、図1を参照しながら説明する。図1は、携帯電話機1を操作部側筐体2と表示部側筐体3とを開いた状態で示す斜視図である。
図1に示すように、携帯電話機1は、筐体としての操作部側筐体2と、表示部側筐体3と、を備える。操作部側筐体2と表示部側筐体3とは、ヒンジ機構を備える連結部4を介して開閉可能に連結される。具体的には、操作部側筐体2の上端部と表示部側筐体3の下端部とは、連結部4を介して連結される。これにより、携帯電話機1は、ヒンジ機構を介して連結された操作部側筐体2と表示部側筐体3とを相対的に動かすことが可能に構成される。つまり、携帯電話機1は、操作部側筐体2と表示部側筐体3とが開いた状態(開状態)と、操作部側筐体2と表示部側筐体3とが折り畳まれた状態(閉状態)とにすることができる。ここで、閉状態とは、両筐体が互いに重なるように配置された状態であり、開状態とは、両筐体が互いに重ならないように配置された状態をいう。
操作部側筐体2は、外面がフロントケース21とリアケース22とにより構成される。操作部側筐体2は、フロントケース21側に、操作キー群11と、携帯電話機1の使用者が通話時に発した音声が入力される音声入力部12とがそれぞれ露出するように構成される。
操作キー群11は、各種設定や電話帳機能やメール機能等の各種機能を作動させるための機能設定操作キー13と、電話番号の数字やメール等の文字等を入力するための入力操作キー14と、各種操作における決定や上下左右方向のスクロール等を行う決定操作キー15とにより構成される。
操作キー群11を構成する各キーそれぞれには、操作部側筐体2と表示部側筐体3との開閉状態や各種モード、或いは起動されているアプリケーション等の種類に応じて所定の機能が割り当てられる。そして、使用者が各キーを押圧することにより、各キーに割り当てられている機能に応じた動作が実行される。
音声入力部12は、操作部側筐体2の長手方向における連結部4側と反対の下端部側に配置される。つまり、音声入力部12は、携帯電話機1が開状態において一方の下端部側に配置される。
表示部側筐体3は、外面がフロントケース3aとリアケース3bとにより構成される。表示部側筐体3におけるフロントケース3a側には、各種情報を表示するための表示部30と、通話の相手側の音声を出力する音声出力部31と、が露出するように配置される。ここで、表示部30は、液晶パネルと、この液晶パネルを駆動する駆動回路と、この液晶パネルの背面側から光を照射するバックライト等の光源部とから構成される。
次に、操作部側筐体2の内部構造について、図2を参照しながら説明する。図2は、図1に示す携帯電話機1の操作部側筐体2の分解斜視図である。
図2に示すように、操作部側筐体2は、フロントケース21と、キーシート40と、フレキシブルプリント基板50と、ケース部材としてのシールドケース60と、基準電位パターン層75及び携帯電話機用のRF(Radio Frequency)モジュール等の各種電子部品を備える回路基板70と、メインアンテナ90と、バッテリリッド81を備えたリアケース22と、バッテリ80とを備える。
フロントケース21とリアケース22とは、互いの凹状の内側面が向き合うように配置され、互いの外周縁が重なり合うようにして結合される。また、フロントケース21とリアケース22との間には、キーシート40と、フレキシブルプリント基板50と、シールドケース60と、弾性部材78と、回路基板70と、メインアンテナ90とが挟まれるようにして内蔵される。
キーシート40は、シリコンゴム製のシート41の表面に複数のキートップ42,43,44が接着剤により貼り付けられて構成される。キーシート40における複数のキートップ42,43,44は、フレキシブルプリント基板50のキースイッチ51,52,53とそれぞれ重なり合う位置に配置されると共に、フロントケース21に形成されるキー孔21a、21b、21cからそれぞれ露出するように配置される。
フレキシブルプリント基板50は、図2に示すように、フロントケース21側の面に複数のキースイッチ51,52,53を有し、シールドケース60上に載置される。フレキシブルプリント基板50のキースイッチ51,52,53は、椀状に湾曲して立体的に形成された金属板のメタルドームを有する構造になっている。メタルドームは、その椀状形状の頂点が押圧されると、フレキシブルプリント基板50の表面に印刷された不図示の電気回路に形成されるスイッチ端子に接触して電気的に導通する。なお、フレキシブルプリント基板50は、複数の絶縁フィルムの間に信号線を挟み込んだものである。
メインアンテナ90は、不図示の信号線を介して回路基板70に接続される。メインアンテナ90は、高周波信号を受信又は送信する。
リアケース22の外側には、開口が形成されており、この開口には、バッテリ80が挿脱可能に収納される。バッテリ80の外側は、バッテリリッド81に覆われる。
次に、回路基板70、シールドケース60及び弾性部材78について説明する。なお、以下の各実施形態において、回路基板70の第1面72に沿う方向で且つ操作部側筐体2の長手方向に直交する方向を第1方向D1という(図2参照)。
回路基板70は、略長方形状に形成される。回路基板70は、図2に示すように、一方の面としての第1面72がフロントケース21側に位置するように配置される。回路基板70における第1面72には、基準電位パターン75が形成される。基準電位パターン75は、回路基板70の周縁に沿うように、所定の幅を有して形成される。基準電位パターン75は、回路基板70の第1面72の表面に導電性の部材を所定パターンで印刷することで形成される。また、回路基板70は、携帯電話機1の基準電位である基準電位部(不図示)を有する。基準電位パターン75は、基準電位部に電気的に接続される。基準電位パターン75の電位は、基準電位部と同じく携帯電話機1の基準電位である。
回路基板70の第1面72には、複数の電子部品71が実装される。電子部品71は、基準電位パターン75の近傍に配置される。複数の電子部品71は、回路基板70に搭載されることにより電気回路を構成する。複数の電子部品71により構成される電気回路としては、例えば、RF(Radio Frequency)回路、CPU回路、電源回路等の回路ブロックが挙げられる。これら複数の電子部品71は、回路基板70上及び回路基板70の内部に設けられた配線(図示せず)等により電気的に接続される。
図2から図4(b)に示すように、シールドケース60は、回路基板70の第1面72側に配置される。シールドケース60は、回路基板70側が開放された箱形状を有しており、回路基板70の第1面72側に実装された電子部品71(71A〜71E)を覆うように配置される。
【0009】
シールドケース60は、図3に示すように、導電性を有する部材により形成される。シールドケース60は、回路基板70の第1面72に実装された電子部品71を覆うように配置されることにより、電磁波などのノイズをシールド(遮蔽)する。
【0010】
シールドケース60は、上面を構成する板状のベース部61と、ベース部61から回路基板70の第1面72側に突出して形成されるリブ部62とを備える。ベース部61は、回路基板70に平行に配置される。リブ部62は、ベース部61の外縁からベース部61に直交する方向に延びて形成される。
【0011】
リブ部62は、基準電位パターン75に対応するように形成される。リブ部62は、回路基板70に実装される電子部品71のうち最も高さのある電子部品の高さと同等又はそれよりも十分に高くなるように形成される。
【0012】
シールドケース60は、金属材料により形成されるものの他、骨格を樹脂により形成し、その表面に導体膜を形成したものであってもよい。
【0013】
リブ部62は、基準電位パターン75に対応して形成される対向部63を有する。対向部63は、リブ部62におけるベース部61と反対側の端部(端面)に形成される。ケース部材60が回路基板70に載置された状態において、対向部63は、基準電位パターン75に対向するように配置される。
【0014】
対向部63は、リブ部62において、ベース部61から基準電位パターン75側に向かって最も突出した位置に形成される。対向部63は、シールドケース60が回路基板70に載置された状態において、回路基板70における基準電位パターン75に接触する。これにより、シールドケース60は、回路基板70における基準電位パターン75と電気的に導通する。
【0015】
シールドケース60は、例えば、対向部63と基準電位パターン75とを半田付けすることにより回路基板70に取り付けられる。なお、シールドケース60の回路基板70への取り付け構造は、限定されない。例えば、不図示のネジ部材で回路基板70に取り付けられることにより、対向部63と基準電位パターン75とが接触するように配置されていてもよい。
【0016】
弾性部材78は、回路基板70の厚さ方向において、シールドケース60におけるベース部61と基準電位パターン75との間に配置される。弾性部材78は、基準電位パターン75及びベース部61に当接して配置される。弾性部材78は、基準電位パターン75とシールドケース60とを電気的に導通させる導電性を有する部材である。
【0017】
弾性部材78は、基準電位パターン75とシールドケース60とを電気的に導通させることにより、シールドケース60のシールド(遮蔽)機能を高めることができる。弾性部材78は、例えば、回路基板70の第1面72に実装される表面実装型のガスケットにより構成される。
図3(a)は、第1実施形態における弾性部材78を図2の矢印Xの方向から見た断面図である。図3(b)は、第1実施形態における弾性部材78がシールドケース60と回路基板70との間に配置された状態を図2の矢印Xの方向から見た断面図である。
図3(a)に示すように、弾性部材78は、D1方向の断面において略台形に形成されている。すなわち、弾性部材78は、基準電位パターン75側の底面78aと、シールドケース60側の頂面78bと、底面78aから鋭角方向に傾斜する側面78cおよび78dを有する。本実施形態においては、弾性部材78は、底面78aが基準電位パターン75に半田付けされて実装される。
弾性部材78は、弾性変形可能に構成される。弾性部材78は、基準電位パターン75とベース部61とに挟み込まれる前の状態(自然状態)において、底面78a、頂面78bのD1方向における長さがそれぞれA、Cであり、底面78aから頂面78bまでの高さがBである。弾性部材78の高さBは、回路基板70の第1面72からベース部61の内面までの長さB’よりも長く形成される。
また、弾性部材78は、弾性部材78は、回路基板の厚さ方向(図2におけるD2方向)の平面視において、底面78aに対応する領域に頂面78bに対応する領域が含まれている。
図3(b)に示すように、弾性部材78は、基準電位パターン75とベース部61とに挟み込まれることにより、回路基板70の厚さ方向に押しつぶされるように弾性変形する。すなわち、弾性部材78は、基準電位パターン75及びシールドケース60に圧接する。弾性部材78は、回路基板70の第1面72に沿う方向に延びるように弾性変形される。弾性変形された弾性部材78は、弾性力により、基準電位パターン75及びシールドケース60に密着するように付勢されている。そのため、基準電位パターン75及びシールドケース60は、弾性部材78を介して電気的に安定して導通される。
このとき、弾性部材78の底面78aは基準電位パターン75に半田付けされて実装されているので、D1方向における長さはAのままほぼ変化せず、頂面78bの長さは自然状態におけるCよりも長いC’となっている。
以上に述べた第1実施形態の携帯電子機器によれば、弾性部材78が基準電位パターン75側の底面78aから鋭角方向に傾斜する側面78cおよび78dを有しているので、弾性部材78のD1方向における断面が長方形である場合(すなわち、弾性部材78が自然状態において底面78aおよび頂面78bのD1方向における長さが共にAである場合)と比較して、弾性部材78が基準電位パターン75および3およびシールドケース60に圧接したときの変形が低減される。これにより、回路基板70の実装面積を確保することができる。また、弾性部材78が弾性変形して電子部品71に当接し、電子部品71がショートすることを低減できる。
次に、図4を参照して本発明の第2実施形態に係る携帯電子機器について説明する。図4(a)は、第2実施形態における弾性部材78を矢印Xの方向から見た断面図である。図4(b)は、第2実施形態における弾性部材78がシールドケース60と回路基板70との間に配置された状態を矢印Xの方向から見た断面図である。以下では、上記の第1実施形態と異なる部分についてのみ説明を行い、他については割愛する。
図4(a)に示すように、本第2実施形態においては、弾性部材78は、シールドケース60側の頂面78bから鋭角方向に傾斜する側面78eおよび78fを有する。弾性部材78は、側面78cと側面78eとの境界および側面78dと側面78fとの境界にそれぞれ所定の点としての屈曲点PおよびQを有する。また、弾性部材78は、内部に中空部780が形成されている。弾性部材78は、自然状態において、底面78aおよび頂面78bのD1方向における長さがAであり、底面78aから頂面78bまでの高さがBである。頂面78bのD1方向における長さが底面78aと同一であるため、弾性部材78とシールドケース60との接触面積が確保され、弾性部材78が安定してシールドケース60に圧接する。また、電気的接触を安定して得ることができる。
弾性部材78の中空部780は、その外面(すなわち、弾性部材の内面)と弾性部材78の外面との距離が略一定になるように形成されている。これにより、弾性部材78は押圧されたときに柔軟に変形する。
図4(b)に示すように、弾性部材78は、基準電位パターン75とベース部61とに挟み込まれることにより、第1実施形態と同様に回路基板70の厚さ方向に押しつぶされるように弾性変形する。すなわち、弾性部材78は、基準電位パターン75及びシールドケース60に圧接する。このとき、弾性部材78は屈曲点PおよびQを中心として回路基板70の厚さ方向に折れ曲がるので、D1方向への変形が抑制される。
また、弾性部材78は、基準電位パターン75およびシールドケース60に圧接した状態において、屈曲点PおよびQの底面78aからの高さが、回路基板70に実装される電子部品71の高さよりも高くなっている。この構成により、シールドケース60に対してD1方向の成分を含む外力が作用した場合に、弾性部材78が弾性変形して側面78cおよび78eが電子部品71に当接し電子部品71がショートすることを低減できる。
なお、第2実施形態における弾性部材78は、図5に示す変形例のように構成することもできる。この変形例に係る弾性部材78は、側面78cが屈曲して形成されている。すなわち、側面78cは曲面である。側面78cは曲面であるが、局所的に見ると底面78aおよび頂面78bから鋭角方向に傾斜する傾斜面を有するということができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限定されることなく種々の形態で実施することができる。
【0018】
例えば、前述の実施形態は、本発明を携帯電話機に適用したものであるが、本発明は、これに限定されない。本発明は、携帯電子機器以外の電子機器、例えば、PHS(登録商標;Personal Handy phone System)、PDA(Personal Digital Assistant)、ポータブルナビゲーション装置、ノートパソコン、携帯ゲーム機等に適用することができる。
また、前述の実施形態においては、連結部4により折り畳み可能な携帯電話機1の説明をしているが、このような折り畳み式ではなく、操作部側筐体2と表示部側筐体3との重ね合わせた状態から一方の筐体を一方向にスライドさせるようにしたスライド式や、操作部側筐体2と表示部側筐体3との重ね合せ方向に沿う軸線を中心に一方の筐体を回転させるようにした回転(ターン)式や、操作部側筐体2と表示部側筐体3とが一つの筐体に配置され連結部を有さない型式(ストレートタイプ)でもよい。
また、前述の実施形態においては、ケース部材60は、操作部側筐体2に設けられているが、これに限定されず、表示部側筐体3に設けられていてもよい。
また、前述の実施形態においては、本発明を操作部側筐体2に配置された回路基板70に適用したが、これに限定されない。本発明を表示部側筐体3に配置された回路基板に適用してもよい。
また、上述の実施形態においては、弾性部材78はD1方向における側面78cおよび78dの両方が底面78aから鋭角方向に傾斜する傾斜面であるが、本発明はこれに限定されず、例えば電子部品71と対向する側の側面のみが傾斜面であってもよい。
また、弾性部材78の変形を抑制できる構造であれば、底面78aと比較して頂面78bが広くなるよう形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0019】
1 携帯電話機(携帯電子機器)
2 操作部側筐体(筐体)
3 表示部側筐体
11 操作キー群
12 音声入力部
60 シールドケース(ケース部材)
70 回路基板
71 電子部品
72 第1面(一方の面)
75 基準電位パターン
78 弾性部材
78a 底面
78b 頂面
78c、78d 側面(第1傾斜面)
78e、78f 側面(第2傾斜面)
780 中空部
P、Q 屈曲点(所定の点)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体の内部に配置され、一方の面に基準電位パターンが形成された回路基板と、
前記回路基板の前記一方の面に配置される導電性のケース部材と、
前記基準電位パターンと前記ケース部材との間に配置され、前記基準電位パターンおよび前記ケース部材に圧接する導電性の弾性部材と、を備え、
前記弾性部材は、前記基準電位パターン側の端部および前記ケース部材側の端部の一方から他方に向けて鋭角方向に傾斜する第1傾斜面を有することを特徴とする携帯電子機器。
【請求項2】
前記弾性部材における前記基準電位パターン側の端面および前記ケース部材側の端面の一方は他方よりも広いことを特徴とする請求項1に記載の携帯電子機器。
【請求項3】
前記弾性部材における前記基準電位パターン側の端面および前記ケース部材側の端面の他方は、前記回路基板の厚さ方向において一方に重畳されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の携帯電子機器。
【請求項4】
前記第1傾斜面は前記基準電位パターン側の端部に形成され、
前記回路基板の前記一方の面に実装される電子部品を備え、
前記電子部品は、前記弾性部材の前記第1傾斜面と対向することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の携帯電子機器。
【請求項5】
前記弾性部材は、前記回路基板の厚さ方向の断面において、前記回路基板の前記一方の面に沿う方向の両側に前記第1傾斜面を有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の携帯電子機器。
【請求項6】
前記弾性部材は、前記基準電位パターン側の端部および前記ケース部材側の端部の他方から一方へ向けて鋭角方向に傾斜する第2傾斜面を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の携帯電子機器。
【請求項7】
前記回路基板の前記一方の面に実装される電子部品を備え、
前記電子部品は、前記弾性部材の前記第1傾斜面および前記第2傾斜面と対向することを特徴とする請求項6に記載の携帯電子機器。
【請求項8】
前記第2傾斜面は、所定の点から前記第1傾斜面に連続して形成されることを特徴とする請求項7に記載の携帯電子機器。
【請求項9】
前記弾性部材が前記基準電位パターンおよび前記回路基板に圧接した場合に、前記所定の点の前記回路基板からの高さが前記電子部品の前記回路基板からの高さよりも高いことを特徴とする請求項8に記載の携帯電子機器。
【請求項10】
前記弾性部材は、前記回路基板の厚さ方向の断面において、前記回路基板の前記一方の面に沿う方向の両側に前記第1傾斜面および前記第2傾斜面を有することを特徴とする請求項6乃至請求項9のいずれか一項に記載の携帯電子機器。
【請求項11】
前記弾性部材は、内部が中空に形成されることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか一項に記載の携帯電子機器。
【請求項12】
前記弾性部材は、外壁面と内壁面の厚さが略一定になるように内部が中空に形成されることを特徴とする請求項11に記載の携帯電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−129972(P2011−129972A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−283721(P2009−283721)
【出願日】平成21年12月15日(2009.12.15)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】