説明

携帯電話機および距離測定方法

【課題】携帯電話機を用い、簡単な処理で、2地点間の距離を測定する。
【解決手段】携帯電話機100をA筐体101とB筐体102とに分離可能とする。A筐体101に超音波振動子103を設け、B筐体102に超音波プローブ104を設ける。A筐体101とB筐体102とを分離し、A筐体101を所望の第1の地点(A地点)に配置し、B筐体102を所望の第2の地点(B地点)に配置し、超音波振動子103から超音波を発信させて超音波プローブ104で受信させ、受信された超音波の音圧に基づいて、A地点とB地点との2地点間の距離の測定を行わせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、2地点間の距離を測定する機能を備えた携帯電話機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機の普及は目覚ましく、電卓やカレンダー、時計など日常生活に必要な機能が基本機能として搭載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−242640号公報
【特許文献2】特開平05−240953号公報
【特許文献2】特開平06−094828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これまでの携帯電話機には、電卓やカレンダー、時計などと同様に基本生活で普遍的に利用される「ものさし」や「メジャー」の代わりとなるような距離を測定する機能を搭載した携帯電話機は存在しなかった。
【0005】
なお、2地点間の距離を測定する方法として、超音波を用いた距離測定方法が知られている(例えば、特許文献1,2,3参照)。この超音波を用いた距離測定方法では、何れも親機と子機とを用い、送受信の時間差に基づいて、親機と子機との間の距離を測定するようにしている。この場合、親機と子機との間の同期をとったり、各機内のディレイ時間を考慮して補正を行うなどしなければならず、処理が複雑となってしまう。
【0006】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、簡単な処理で、2地点間の距離を測定することができる携帯電話機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的を達成するために、本発明に係る携帯電話機は、所定の周波数の超音波を発信する超音波発信手段が設けられ測距時に所望の第1の地点に配置される第1の筐体と、第1の筐体に対して分離可能に設けられ測距時に第1の筐体から分離されて所望の第2の地点に配置される第2の筐体とを設け、第2の筐体に、第1の地点に配置された第1の筐体の超音波発信手段からの超音波を第2の地点で受信する超音波受信手段と、この超音波受信手段が受信した超音波の音圧に基づいて第1の地点と第2の地点との2地点間の距離を測定する距離測定手段とを設けたものである。
【0008】
本発明では、第1の筐体を所望の第1の地点に配置し、第2の筐体を第1の筐体から分離させて所望の第2の地点に配置し、第1の筐体に設けられている超音波発信手段から超音波を発信させると、この超音波が第2の筐体に設けられている超音波受信手段で受信され、この超音波受信手段で受信される超音波の音圧に基づいて、第1の地点と第2の地点との2地点間の距離の測定が行われる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、超音波の音圧に基づいて2地点間の距離の測定が行わるので、超音波発信手段と超音波受信手段との間で同期をとったり、ディレイ時間を考慮して補正を行うなどする必要がなく、処理が簡単となる。また、携帯電話機に、これまでに存在しなかった距離を測定する機能が搭載されるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る携帯電話機の一実施例の要部を示す図である。
【図2】この携帯電話機のA筐体とB筐体とを分離してA地点およびB地点に配置してA−B間の距離の測定を行う様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施例に基づき詳細に説明する。図1はこの発明に係る携帯電話機の一実施例の要部を示す図であり、図1(a)は本実施例の携帯電話機を表面側から見た視図、図1(b)は本実施例の携帯電話機を裏面側から見た図、図1(c)は本実施例の携帯電話機を第1の筐体(A筐体)と第2の筐体(B筐体)とに分離した状態を示す図である。
【0012】
この携帯電話機100は、折り畳み式の携帯電話機とされ、A筐体101とB筐体102とから構成されている。A筐体101とB筐体102とは、分離される前の通常の状態として、折り畳み可能に連結されている。
【0013】
また、A筐体101には所定の周波数の超音波を発信する超音波発振手段として超音波振動子103が設けられており、B筐体102には超音波振動子103から発信される所定の周波数の超音波を受信する超音波受信手段として超音波プローブ104が設けられている。
【0014】
また、A筐体101にはテンキーなどの操作部105が設けられ、B筐体102には液晶表示装置などの表示部106が設けられている。また、A筐体101とB筐体102とは分離可能とされており、分離してもそれぞれ1つの筐体で距離計測装置の発信部および受信部として動作することが可能とされている。すなわち、分離させた状態において、A筐体101は超音波の発信部として動作し、B筐体102は超音波の受信部として動作する。
【0015】
また、B筐体102には、超音波振動子103が発信する所定の周波数の超音波の所定の媒体(この例では、空気)における減衰率と距離(実測値)との関係が格納された距離データベース107が設けられている。なお、この実施例において、A筐体101には、発信部としての動作を行わせるための処理部108が設けられ、B筐体102には受信部としての動作を行わせるための処理部109が設けられているものとする。
【0016】
この携帯電話機100を用いて2地点間の距離の測定を行う場合、携帯電話機100を距離測定モードに設定する。すると、超音波振動子103および超音波プローブ104が動作を開始する。これにより、超音波振動子103から所定の周波数の超音波が発信され、超音波プローブ104は所定の周波数の超音波の音圧測定を開始する。
【0017】
このような状態で、携帯電話機100をA筐体101とB筐体102とに分離し(図1(c)参照)、超音波振動103と超音波プローブ104とが向き合うように(図2参照)、A筐体101を所望の第1の地点(A地点)に配置し、B筐体102を所望の第2の地点(B地点)に配置する。
【0018】
これにより、A筐体101の超音波振動子103から発信された超音波が、B筐体102の超音波プローブ104で受信される。超音波プローブ104は、受信された超音波の音圧を測定する。この音圧は処理部109へ送られる。処理部109は、超音波振動子103から発信された超音波の音圧に対する超音波プローブ104が受信した超音波の音圧の減衰率を求め、この減衰率から距離データベース107を参照してA地点とB地点との2地点間の距離を求め、その求めた距離を測定結果として表示部106に表示する。
【0019】
このようにして、本実施例では、受信した超音波の音圧に基づいて2地点間の距離の測定が行わるので、超音波振動子103と超音波プローブ104との間で同期をとったり、ディレイ時間を考慮して補正を行うなどする必要がなく、処理が簡単となる。また、携帯電話機100に、これまでに存在しなかった距離を測定する機能が搭載されるものとなる。
【0020】
なお、上述した実施例では、携帯電話機100を折り畳み式の携帯電話機としたが、分離可能な2つ以上の筐体で構成されていればよく、どのような方式の携帯電話機であっても同様にして適用することが可能である。
【0021】
また、上述した実施例では、所定の媒体を空気としたが、超音波プローブ10での音圧測定が可能であればよく、所定の媒体は空気に限られるものではない。また、超音波の周波数についても、任意の周波数の超音波を利用することができる。この場合、媒体や超音波の周波数に合わせて、距離データベース107に格納する減衰率と距離との関係を適切に定めるようにすればよい。
【0022】
また、上述した実施例では、減衰率と距離との関係を格納した距離データベース107を用いるようにしたが、音圧から距離を求める計算式を予め定めておいて、その計算式に測定した音圧を代入して距離を算出するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明の携帯電話機は、2地点間の距離を測定する機能を備えた携帯電話機として、日常生活において利用することが可能である。
【符号の説明】
【0024】
100…携帯電話機、101…A筐体(第1の筐体)、102…B筐体(第2の筐体)、103…超音波振動子、104…超音波プローブ、105…操作部、106…表示部、107…距離データベース、108,109…処理部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の周波数の超音波を発信する超音波発信手段が設けられ測距時に所望の第1の地点に配置される第1の筐体と、
前記第1の筐体に対して分離可能に設けられ測距時に前記第1の筐体から分離されて所望の第2の地点に配置される第2の筐体とを備え、
前記第2の筐体は、
前記第1の地点に配置された前記第1の筐体の超音波発信手段からの超音波を前記第2の地点で受信する超音波受信手段と、
この超音波受信手段が受信した超音波の音圧に基づいて前記第1の地点と前記第2の地点との2地点間の距離を測定する距離測定手段と
を備えることを特徴とする携帯電話機。
【請求項2】
請求項1に記載された携帯電話機において、
前記所定の周波数の超音波の所定の媒体における減衰率と距離との関係が格納された距離データベースを備え、
前記距離測定手段は、
前記超音波発信手段から発信された超音波の音圧に対する前記超音波受信手段が受信した超音波の音圧の減衰率を求め、この減衰率から前記距離データベースを参照して前記2地点間の距離を求める
ことを特徴とする携帯電話機。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された携帯電話機において、
前記超音波発信手段は、超音波振動子であり、
前記超音波受信手段は、超音波プローブである
ことを特徴とする携帯電話機。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載された携帯電話機において、
前記距離測定手段が測定した前記2地点間の距離を表示する表示手段
を備えることを特徴とする携帯電話機。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項に記載された携帯電話機において、
前記第2の筐体は、前記第1の筐体から分離される前の通常の状態として、前記第1の筐体に折り畳み可能に連結されている
ことを特徴とする携帯電話機。
【請求項6】
携帯電話機の第1の筐体に所定の周波数の超音波を発信する超音波発信手段を設け、
前記第1の筐体に対して分離可能に設けられた第2の筐体に前記超音波発信手段から発信される超音波を受信する超音波受信手段を設け、
前記携帯電話機を前記第1の筐体と前記第2の筐体とに分離し、
分離した前記第1の筐体を所望の第1の地点に配置し、
分離した前記第2の筐体を所望の第2の地点に配置し、
前記超音波発信手段から超音波を発信させて前記超音波受信手段で受信させ、この超音波受信手段で受信される超音波の音圧に基づいて、前記第1の地点と前記第2の地点との2地点間の距離の測定を行わせる
ことを特徴とする距離測定方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−164053(P2011−164053A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−30017(P2010−30017)
【出願日】平成22年2月15日(2010.2.15)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】