説明

携帯電話機

【課題】二次電池が携帯電話機の電池収納部から不用に取り出せないようにした携帯電話機を提供すること。
【解決手段】携帯電話機本体1の電池収納部10の側方には電池係止部材13が作動可能に収納され、電池係止部材13は携帯電話機本体1に設けられた所定工具による操作が可能な操作部132により操作される。操作部132の操作により、電池係止部材13の係止片133が電池収納部10の側面から突出して二次電池2の係止突起22を係止する。この係止により、二次電池2の取り外しが規制されるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は携帯電話機本体と、二次電池と、該二次電池を収納するための電池収納部とを備えた携帯電話機に係り、特に二次電池が電池収納部から不用意に取り出されることを防止する機構を備えた携帯電話機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、携帯電話機は二次電池を電源としており、この二次電池は携帯電話機本体に設けた電池収納部に収納される。一方、近時は防犯ブザーの機能を加えた携帯電話機が普及しつつある。そして、このような携帯電話機にあっては、防犯ブザーが他者によって勝手に停止されないように考慮する必要がある。
【0003】
従来、このような携帯電話機としては、例えば下記特許文献1で示すものが提案されている。これは、防犯ブザーを作動させたときに作動の停止を暗証番号の入力により行うようにしたものである。具体的な構成としてこの携帯電話機には、防犯ブザーを作動させる押しボタンスイッチと、この押しボタンスイッチが押圧された際に押圧状態を保持する電磁石とが設けられている。これにより、押しボタンスイッチが一旦押圧されると、電磁石によって押圧状態が保持されることによって防犯ブザーの作動が継続され、押圧の解除を手動で行うことができない。押しボタンスイッチを元の状態に復帰させるためには、電磁石への電源供給を停止させる停止手段によって行う。この停止手段は、入力された暗証番号が、暗証番号記憶手段に記憶されている暗証番号と一致したときにはじめて電磁石への電源供給を停止するように作動する。従って、防犯ブザーは他者によって勝手に作動停止されることが不可能となり、警報機としての機能が高まる。
【0004】
しかし、携帯電話機は電源としての二次電池をパックとして電池収納部に収納しており、取り外すことが可能である。そのため、従来の携帯電話機は、二次電池を電池収納部から取り外すことにより防犯ブザーへの電源供給を停止させ、防犯ブザーの作動を停止させることができてしまう。
【0005】
ところで、二次電池を携帯電話機の電池収納部から誤って取り外すことがないようにするため、電池収納部にロック機構を備えたものがあり、これによって二次電池のパックを電池収納部にロックすることができる。携帯電話機における電池パックのロック機構としては、下記の特許文献2で示すものがある。この携帯電話機の本体には、摺動することによって電池パックの装着をロックするロックツマミが設けられている。また、ロックツマミの摺動ストローク上には自然の力だけでは簡単に移動不可能なストッパーツマミが配置される。ロックツマミは、ストッパーツマミを操作してロックツマミの摺動ストローク上から退避させてはじめて摺動操作することができ、ロックツマミを摺動させることによって電池パックを外すことが可能となる。これにより、誤ってロックツマミを操作して電池パックを外してしまう危険を避けることができる。
【0006】
更に、携帯電話機における電池パックのロック機構としては、下記の特許文献3で示すものがある。これは、電池パックの側部に嵌合凹部を形成し、この嵌合凹部に携帯電話機本体側から突出するロックツマミの先端を嵌合させ、電池パックを電池パック収容部に収容してロックするようにしたものである。ロックツマミはスプリングによって電池パック側に突出するよう付勢されており、電池パックを外そうとする外力が加わったとしても、ロックツマミの先端が嵌合凹部に嵌合されているので、電池パックは外れない。電池パックを外すときには、ロックツマミをスプリングの付勢力に逆らって強制的に移動させ、嵌合凹部への嵌合状態を解除すればよい。
【特許文献1】特開2002−57816号公報(段落[0004]、[0014]〜[0017])
【特許文献2】特開平10−64493号公報(要約、段落[0010]〜[0013])
【特許文献3】特開2000−123811号公報(要約、段落[0015]〜[0017])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した従来技術においては、携帯電話機から電池パックまたは二次電池を外すことに特に制約が設けられておらず、誰でも容易に取り外すことが可能であるという問題点があった。
【0008】
例えば、上記特許文献1で開示された携帯電話機の場合、電池を取り外してしまえば簡単に防犯ブザー等の警報動作を停止させることができ、他者が警報動作の停止を行うことは容易であった。その結果、警報機能を確実に発揮させることができなかった。
【0009】
一方、上記特許文献2、3で開示された携帯電話機は、電池収納部から電池が外れないようにするためのロック機構を備えるものではあるが、これらは電池が誤って外れることを防止することを目的とするものであって、他者の故意に電池を取り外すことを阻止することを目的とするものではない。
【0010】
つまり、上記特許文献2の携帯電話の場合、ストッパーツマミによってロックツマミをロックしているが、ストッパーツマミはクリックストップ的抵抗によってロックツマミのストローク上の位置とストローク上から退避した位置に保持されているだけで、容易に移動させることが可能である。したがって、ストッパーツマミを移動させてしまえば、容易に電池収納部から電池を取り外し、携帯電話の機能を停止させることが可能となってしまう。
【0011】
また、上記特許文献3の携帯電話の場合、ロックツマミを操作し、その先端を電池パックの嵌合凹部から外してしまえば、簡単に電池パックを電池収納部から外すことができる。
【0012】
すなわち、上記特許文献2及び3に示す方法では上述した警報動作時における強制的な警報停止動作(つまりは二次電池の取り外し)を阻止するには十分とはいえない。
【0013】
従って、本発明の目的は、上述したような従来の問題点を解消し、携帯電話機の電池が他者によって故意に取り外されてしまうことを阻止するためのロック機構を備えた携帯電話機を提供することである。
【0014】
本発明の更なる目的は、所定の工具を使用してはじめて電池を取り外すことができるようにした携帯電話機を提供することである。本発明は、特に、防犯機能を有する携帯電話機において上述のロック機能を適用することによって、警報装置が他者によって停止させられないようにした防犯機能を向上させた携帯電話機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記課題を解決するために、本願の請求項1に係る発明は、携帯電話機本体と、二次電池と、該二次電池を収納するための電池収納部と、を備えた携帯電話機であって、
前記二次電池の側面には係止突起が形成され、
前記携帯電話機本体の前記電池収納部の側方には電池係止部材が作動可能に収納され、該電池係止部材は、前記携帯電話機本体に設けられ所定工具による操作が可能な操作部により操作され、
前記操作部の操作により、前記電池係止部材が前記電池収納部の側面から突出して前記二次電池の係止突起を係止することにより、前記二次電池の取り外しが規制されることを特徴とする。
【0016】
また、本願の請求項2に係る発明は、請求項1に記載の携帯電話機において、前記電池係止部材は、一端に前記係止突起に係止する係止片を有し基部が前記操作部に固定され該操作部の操作に追従して作動する作動部材と、前記作動部材を作動自在に固定すると共に前記携帯電話機本体に固定される取付け部材と、から構成されることを特徴とする。
【0017】
また、本願の請求項3に係る発明は、請求項2に記載の携帯電話機において、前記取付け部材には円弧状のスリットが設けられ、前記作動部材には前記スリットに挿入される突起が設けられ、前記操作部を回動することにより前記作動部材は前記突起が前記スリット内を移動しながら回動して、前記電池収納部の側面から前記係止片を突出させ、前記係止突起を係止することを特徴とする。
【0018】
また、本願の請求項4に係る発明は、請求項3に記載の携帯電話機において、前記取付け部材は樹脂材で形成され、前記スリットの側壁には前記係止片が前記電池収納部から前記携帯電話機本体内に後退する後退位置と該携帯電話機本体から該電池収納部に突出する突出位置に対応する位置にカム溝が設けられており、前記作動部材は、前記突起が該カム溝に係合することにより、前記後退位置及び突出位置で停止するようになっていることを特徴とする。
【0019】
また、本願の請求項5に係る発明は、請求項1に記載の携帯電話機において、前記二次電池の前記係止突起が設けられた側面には、該係止突起の下方を覆うように保護突起が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明は上記構成を備えることにより、以下に示すような優れた効果を奏する。すなわち、請求項1の発明によれば、前記電池収納部に収納されている前記二次電池は、常に前記係止突起が前記電池係止部材により係止されて保持されているが、取り外す場合には、前記所定工具を用いて前記操作部を操作し該電池係止部材の係止状態を解除することにより行われる。そのため、所定工具を有しない他者は前記二次電池の取り外しを行うことができないので、作動されている防犯ブザーなどを他者によって強制的に停止されることがない。
【0021】
また、請求項2の発明によれば、前記作動部材が係止片を有すると共に前記操作部に固定されているため、前記電池係止部材が簡単な構成で形成される。更に、該作動部材は前記取付け部材により前記携帯電話機本体に確実に取付けられる。
【0022】
また、請求項3の発明によれば、前記操作部によって回動される前記作動部材は、該作動部材に設けた前記突起が前記取付け部材の前記スリットによって円弧状に移動してガイドされ、前記係止片を前記係止突起に係止するように突出するので、該係止片の突出動作が確実に所定方向に向かって行われると共に、その動作が円滑に行われる。
【0023】
また、請求項4の発明によれば、前記スリットには前記後退位置と突出位置に対応して前記カム溝が形成されているので、前記作動部材を係止片の後退位置と突出位置とで確実に停止させることができる。また、前記取付け部材は樹脂材によって形成されているので、低コストで容易に製作できる。
【0024】
また、請求項5の発明によれば、前記係止突起が前記保護突起で下方から覆われているため、前記係止片が係止状態にあるときに該係止片も該保護突起によって覆われ、該係止片を下方から直接に移動させる操作を行うことができない。従って、前記係止片が直接的に操作されて、故意に係止状態が解除されてしまうことを簡単な構成で確実に防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明の最良の実施形態を説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための携帯電話機を例示するものであって、本発明をこの携帯電話機に特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものも等しく適応し得るものである。
【0026】
なお、下記に示す本発明の実施例において説明する携帯電話機は、二つ折り構造の筐体からなる折畳み式の携帯電話機であって、その一方の筐体にはLCDまたは有機EL素子等からなる表示画面が設けられ、もう一方の筐体にはプッシュボタン等の入力操作部が設けられるとともに二次電池を収納する電池収納部が設けられている。そして、本発明の構成は表示画面を有する筐体は公知のものと同一であるのでその説明を省略し、特に入力操作部及び電池収納部が設けられた側の筐体について説明する。また、以下の説明において述べる「上」とは、入力操作部を上にして電池収納部を下にした状態で上側になる方向をいい、「下」或いは「底」とは、同様の状態で下側になる方向をいうものとする。
【実施例】
【0027】
図1は本発明の実施形態に係る携帯電話機本体のうち電池収納部を有する部分を下側が見えるように上方から見た場合の斜視図、図2は図1における携帯電話機本体を上側が見えるような状態で電池係止部材を分離して上方から見た場合の斜視図、図3は本発明の携帯電話に使用される二次電池を、下を上にして見た場合の斜視図、図4は図3における二次電池の側面図、図5は電池係止部材を分解して示す斜視図、図6は図5における電池係止部材の操作部を示す断面図、図7は本発明の実施形態おいて二次電池を収納し係止した状態を、底側を上にして上方から見た場合の携帯電話機の正面図、図8は本発明の実施形態において二次電池を収納し係止した状態を示す携帯電話機の要部の断面図である。
【0028】
図に示す符号1は二つ折りされて携帯電話機を構成する一方の携帯電話機本体であり、携帯電話機本体1には矩形状の電池収納部10が形成されている。また、符号2は電池収納部10に収納される矩形状の二次電池である。二次電池2は携帯電話機の通話機能、防犯ブザー機能などの電源として用いられ、電池収納部10から取り外し可能である。
【0029】
二次電池2は、第一の側面に形成された電池側端子20と、第一の側面の両端に形成された支点突起21と、第一の側面の反対側の側面である第二の側面に形成された係止突起22とを備えている。
【0030】
携帯電話機本体1は、電池側端子20に対応するように本体側端子11が電池収納部10の側面に形成され、この側面の両端には支点突起21を受ける支点凹部12が設けられる。また、携帯電話本体1の係止突起22に対応する位置には電池係止部材13が取り付けられている。携帯電話本体1の電池収納部10の電池係止部材13が取付けられる部位に近接した側面には開口100が設けられる。
【0031】
電池係止部材13は、電池係止部材13を携帯電話機本体1に取付けるための取付け部材134と、取付け部材134に回動可能に取付けられる作動部材131と、作動部材131を取付け部材134に回動可能に取付ける操作部132とから構成される。
【0032】
取付け部材134は、POM(ポリアセタール)樹脂等で形成される板状の部材で、回動軸130を回動自在に支持する支軸135と、支軸135を中心とする円弧状のスリット136とを有している。そしてスリット136の側壁には、カム溝139、140が形成される。
【0033】
作動部材131は、ガラス繊維入りポリアミド樹脂等で形成される板状の部材で、スリット136に沿って移動可能に挿入される突起138、作動部材131の一端面から突出した係止片133を備える。
【0034】
操作部132は、頂部に溝141を備えるビス状のものであって、胴部が回転軸130となっている。回動軸130は、作動部材131の所定位置に設けられた貫通孔内にインサート成形により取付け固定される。そして、溝141にドライバーの先端部分を係合して回すと、回動軸130と共に作動部材131を回動させることができる。また、回動軸130の底部は支軸135が遊嵌される受け穴142が設けられている。
【0035】
なお、上記のように、取付け部材134は樹脂で形成され、作動部材131は樹脂よりも強度の高いガラス繊維入り樹脂で形成され、回動軸130はさらに強度の高い金属で形成されると好ましい。このように各部材の材料に強度面の差異を持たせることにより、操作部132が工具によって損傷しにくくなるとともに、取付け部材134に対する作動部材132の回動操作がよりスムーズに行われるようになり、作動部材132が繰り返し回動されたり二次電池2に繰り返し係止された際に破損したりすることを防止できるので、長期間の使用にも耐えられるようになる。
【0036】
電池係止部材13は、作動部材131が取付け部材134と携帯電話機本体1との間に挟みこまれるようにネジ137によって携帯電話機本体1に取付けられる。
【0037】
電池係止部材13が携帯電話機本体1に取付けられると、作動部材131の係止片133は、電池収納部10の側面に設けられた開口100を通して電池収納部10内へ突出可能な位置に臨むことになる。また、携帯電話機本体1の底面には、貫通孔14が設けられており、操作部132の溝141を有する端面がこの貫通孔14内に位置する。これによって、操作部132は携帯電話機本体1の底面に露出していないためにペンチなどで直接回動させることができず、貫通孔14に先端を挿入でき、かつ溝141に係合可能な形状のもの、例えば所定のドライバーのみによって回動操作が可能となる。
【0038】
溝141にドライバーの先端を係合させて回動させると、それに伴って回動軸130及び作動部材131が回動する。このとき作動部材131は、突起138がスリット136のカム溝140内に位置し、係止片133が開口100から突出する突出位置をとることによって下記に詳述する二次電池2のロックが可能となるロック位置と、突起138がスリット136に沿って移動してカム溝139内に位置するとともに係止片133が開口100から後退する後退位置をとることによって二次電池2のロックを解除することが可能となる解除位置とをとる。
【0039】
係止突起22は二次電池2が電池収納部10に収納された際に係止片133の上側に位置するように設けられている。更に、二次電池2の係止突起22が設けられた側面には、係止突起22の下方の位置に保護突起23が設けられている。
【0040】
操作部132を回すことによって作動部材131をロック位置に回動させ、係止片133を開口100から電池収納部10に突出させると、係止片133は係止突起22と保護突起23との間に位置することになり、電池収納部10に収容された二次電池2を下方に移動させることが不可能となり、二次電池2を電池収納部10から取り外すことができなるくなる。このとき、突起138がカム溝140に係合するので作動部材131が不用意に回動せず係止片133の突出状態が確実に保たれる。
【0041】
図2で示すように、携帯電話機本体1には、作動部材131の先端がガイドされる円弧状のガイド枠15が設けられている。また、作動部材131には、回動軸130を中心とする円弧状のガイド溝143が形成されている。さらに、図5で示すように、取付け部材134には、ガイド突起144が設けられており、ガイド溝143に係合して摺動する。これらガイド枠15、ガイド溝143、ガイド突起144などによって、作動部材131は携帯電話機本体1と取付け部材134との間で回動軸130を中心にガタを生じることなく安定して回動するようになっている。
【0042】
次に、上述した構成の携帯電話機に二次電池2を着脱する際の動作について詳しく説明する。最初に、電池収納部10に二次電池2を収納する動作を説明する。
【0043】
使用者は、所定のドライバーで操作部132を回動させることによって、係止片133が電池収納部10から携帯電話機本体1内に後退した後退位置をとることにより作動部材131が解除位置を取るように操作する。作動部材131を解除位置まで回動させると、突起138がカム溝139に係合するので作動部材131が不用意に回動せず係止片133が電池収納部10から後退した状態が確実に維持される。
【0044】
次いで使用者は、二次電池2を斜めにして二次電池2の支点突起21を支点凹部12に挿入し、この点を支点として二次電池2を電池収納部10の底面と平行になるように回動させて電池収納部10内に位置させる。この状態のとき、電池側端子20と本体側端子11とが接続される。
【0045】
次に、使用者は、前述した所定のドライバーを用いて操作部132を回動し、係止片133を開口100から電池収納部10へ突出させることにより突出位置をとらせ、係止突起22と保護突起23との間に位置させる。
【0046】
このように、電池収納部10内の二次電池2は、一方の側面は支点突起21が支点凹部12に挿入されることにより固定され、他方の側面は係止突起22が係止片133によって係止される。これによって、二次電池2は電池収納部10に確実に保持される。その後、使用者はカバー(図示せず)で電池収納部10を覆って携帯電話機を使用可能状態とする。
【0047】
もし、他者が二次電池2を電池収納部10から取り外そうとする場合は、貫通孔14に挿入し溝141に係合することによって操作部132を回動させることができる工具、すなわち所定のドライバーを用意しなければならない。
【0048】
また、電池収納部10の下方から工具を差し込んでも電池収納部10に突出されている係止片133の先端に達することができない。これは保護突起23が係止片133の下方を覆っているためである。そのため、工具によって係止片133の先端を押して係止片133を強制的に電池収納部10から後退させることができない。
【0049】
次に、二次電池2を電池収納部10から取り外す場合の操作を説明する。所定工具のドライバーの先端を貫通孔14内に挿入し操作部132を回動する。この回動操作によって作動部材131が回動されると、開口100から電池収納部10に突出していた係止片133が携帯電話機本体1内に後退し、後退位置をとる。その結果、係止片133は係止突起22から係合状態が解除され、二次電池2を電池収納部10から取り外すことが可能になる。
【0050】
以上、上述した本発明の実施形態によれば、電池収納部10に収納されている二次電池2は、係止突起22が電池係止部材13の係止片133によって係止されることによりロックされている。二次電池2を電池収納部10から取り外すためには、所定工具(例えばドライバー)を用いて操作部132を操作することにより電池係止部材13の係止状態を解除しなければならない。そのため、所定工具を有しない他者は、二次電池2の取り外しを行うことができないように規制されたので、携帯電話機が防犯機能を付している場合には、作動中の防犯ブザーを他者が強制的に停止させることができなくなり、防犯機能の確保が可能となる。
【0051】
また、電池係止部材13の作動部材131は、基端で操作部132に固定され、さらに取付け部材134によって回動自在に携帯電話機本体1に固定されている。そのため作動部材131は、操作部132を操作することで作動部材131の端部に設けられた係止片133を後退位置と突出位置との間で容易に移動させることができる。また、その取付け構造が簡単で確実である。
【0052】
また、作動部材131は、それに設けられた突起138が取付け部材134のスリット136に沿ってガイドされる。そのため、係止片133の開口100から電池収納部10への突出動作が所定方向に向かって確実に行われる。
【0053】
また、作動部材131は、携帯電話機本体1に設けられた円弧状のガイド枠15、作動部材131に設けられた円弧状のガイド溝142、取付け部材134に設けられ、ガイド溝142に係合して摺動するガイド突起143等により、回動軸130を中心に、携帯電話機本体1と取付け部材134との間で安定して円滑に回動することが可能である。
【0054】
また、スリット136には係止片133の後退位置と突出位置に対応してカム溝139、140が形成されているので、振動のような外力によって作動部材131が作動してしまうことがない。そのため、作動部材131を係止片133の後退位置と突出位置とに停止させた状態が確実に保持できる。また、操作部132によって操作するに際して解除位置とロック位置とでクリックストップするため操作性がよい。
【0055】
取付け部材134は樹脂材によって形成されているので、低コストで容易に製作できる。また、作動部材131はガラス繊維入り樹脂で形成し、金属製の回動軸130をインサートにより一体成形することにより、強固な部品を低コストで容易に製作できる。
【0056】
また、二次電池2が電池収納部10に収納保持されている状態のとき、係止突起22の下方を保護突起23が覆っているため、各種の工具を下方から差し込んで係止片133を直接に移動させ、故意に係止状態が解除されてしまうことを確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】図1は本発明の実施形態に係る携帯電話機本体のうち電池収納部を有する部分を底側を上にして上方から見た場合の斜視図である。
【図2】図2は図1における携帯電話機本体を底側を下にした状態で電池係止部材を分離して上方から見た場合の斜視図である。
【図3】図3は本発明の携帯電話機に使用される二次電池を、下を上にしてみた場合の斜視図である。
【図4】図4は図3における二次電池の側面図である。
【図5】図5は電池係止部材を分解して示す斜視図である。
【図6】図6は図5における電池係止部材の操作部を示す断面図である。
【図7】図7は本発明の実施形態おいて二次電池を収納し係止した状態を、底側を上にして上方から見た場合の携帯電話機の正面図である。
【図8】図8は本発明の実施形態おいて二次電池を収納し係止した状態を示す携帯電話機の要部の断面図である。
【符号の説明】
【0058】
1 携帯電話機本体
2 二次電池
10 電池収納部
11 本体側端子
12 支点凹部
13 電池係止部材
14 貫通孔
15 ガイド枠
21 支点突起
22 係止突起
23 保護突起
100 開口
130 回動軸
131 作動部材
132 操作部
133 係止片
134 取付け部材
135 支軸
136 スリット
137 ネジ
138 突起
139 カム溝
140 カム溝
141 溝
142 受け穴
143 ガイド溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯電話機本体と、二次電池と、該二次電池を収納するための電池収納部と、を備えた携帯電話機であって、
前記二次電池の側面には係止突起が形成され、
前記携帯電話機本体の前記電池収納部の側方には電池係止部材が作動可能に収納され、該電池係止部材は、前記携帯電話機本体に設けられ所定工具による操作が可能な操作部により操作され、
前記操作部の操作により、前記電池係止部材が前記電池収納部の側面から突出して前記二次電池の係止突起を係止することにより、前記二次電池の取り外しが規制されることを特徴とする携帯電話機。
【請求項2】
前記電池係止部材は、一端に前記係止突起に係止する係止片を有し基部が前記操作部に固定され該操作部の操作に追従して作動する作動部材と、前記作動部材を作動自在に固定すると共に前記携帯電話機本体に固定される取付け部材と、から構成されることを特徴とする請求項1に記載の携帯電話機。
【請求項3】
前記取付け部材には円弧状のスリットが設けられ、前記作動部材には前記スリットに挿入される突起が設けられ、前記操作部を回動することにより前記作動部材は前記突起が前記スリット内を移動しながら回動して、前記電池収納部の側面から前記係止片を突出させ、前記係止突起を係止することを特徴とする請求項2に記載の携帯電話機。
【請求項4】
前記取付け部材は樹脂材で形成され、前記スリットの側壁には前記係止片が前記電池収納部から前記携帯電話機本体内に後退する後退位置と該携帯電話機本体から該電池収納部に突出する突出位置に対応する位置にカム溝が設けられており、前記作動部材は、前記突起が該カム溝に係合することにより、前記後退位置及び突出位置で停止するようになっていることを特徴とする請求項3に記載の携帯電話機。
【請求項5】
前記二次電池の前記係止突起が設けられた側面には、該係止突起の下方を覆うように保護突起が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の携帯電話機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−187242(P2008−187242A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−16604(P2007−16604)
【出願日】平成19年1月26日(2007.1.26)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】