説明

携帯音楽再生装置の音楽再生方法及びプログラム

【課題】 ユーザによる操作を必要とせずに、携帯音楽再生装置で記憶している多数の音楽から、ユーザの置かれている状況に適合するものを自動的に抽出して再生する。
【解決手段】 携帯音楽再生装置2が携帯電話1に搭載されるか、これらが別個の装置であっても両者は無線などにより通信可能である。携帯音楽再生装置2に音楽データとシーンパラメータが記憶されている。携帯音楽再生装置2は、携帯電話の基地局10からの「時間」「場所」「天気」「外的状況」「内的状況」などのシーンパラメータを受け取り、当該シーンパラメータに一致する音楽データを抽出して再生する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、音楽再生装置を内蔵する携帯電話(又は、携帯電話に接続可能な音楽再生装置)で記憶している多数の音楽から状況に適合するものを抽出して再生するための方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯音楽再生装置が普及している。以前から携帯音楽再生装置が市販されていたが、カセットテープやミニディスクの再生装置であった。最近の携帯音楽再生装置は、大容量のメモリやハードディスクを内蔵し、カセットテープの再生装置に比べて非常に多数の音楽データを記憶することができるものである。このような携帯音楽再生装置によれば、いつでもどこでも好きな音楽を楽しむことができ、しかもカセットテープなどのメディアの交換が不要なため大変使いやすい。このような理由から大容量の音楽データを記憶できる携帯音楽再生装置の販売が伸びている。
【0003】
大容量の音楽データを記憶できる携帯音楽再生装置(以下、「携帯音楽再生装置」と記す)は、非常に多数の音楽を持ち運ぶことができ、任意の時間・場所で再生可能という優れた特質を備えるが、他方、大容量で非常に多数の音楽データを記憶しているがゆえの使いにくさも指摘されるようになった。つまり、あまりに多数の音楽があるため、どれを再生するのか、どのような順番で再生するのか、を指定することがユーザにとって面倒になってきたのである(媒体としてカセットテープを利用する装置の場合、カセットテープを交換するという行為が音楽を選択することであったが、携帯音楽再生装置ではそのような行為は存在しない、したがって再生の際に音楽を選択するという操作が要求される)。もっとも単純には、携帯音楽再生装置は記憶している順番に音楽を再生するが、それでは何度も聞くうちに飽きてしまう。そこで、ランダムに音楽の再生順序を入れ替える、いわゆるシャッフル機能をもつ携帯音楽再生装置が提供されるようになった。
【特許文献1】特開2002−73051号公報:コンテンツデータのメタデータに基づいて決定された再生順序に従ってコンテンツデータを再生する。携帯電話機の制御部は、通常、音楽データがダウンロードされた順序に従って再生順序リストを作成し、再生順序リストに従って音楽データを再生する。そして、制御部は、ユーザによって音楽データのメタデータに含まれるタイトル等の関連情報が入力されると、その入力された関連情報に基づいて再生順序を変更させた再生順序リストを作成し、再生順序リストに従って音楽データを再生する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、シャッフル機能は単に順番を入れ替えるだけであり、記憶している音楽データを順番に再生することに変わりがない。そのため、出勤途中で静かなムードミュージックを聞くことになったり、夜ひとりで過ごしているときにロックミュージックを聞くことになったり、そのときの状況にそぐわない音楽を聞かされることもあり得る。どのような音楽データを携帯音楽再生装置に記憶させるかはユーザひとりひとりで異なるが、非常に多数の音楽データを記憶可能であることから、さまざまなジャンルの音楽データを記憶させることが多いと考えられる。そうであれば、どのユーザも多かれ少なかれ上述のような使いにくさを感じているであろう。
【0005】
そのときの状況に合った音楽を聞くためには、聞きたい曲をユーザが予め選択しておけばよいが、前述のように、多数の音楽のうち、どれを再生するのか、どのような順番で再生するのか、を指定する操作はユーザにとって面倒なことである。特許文献1記載の発明によればその操作を少し簡便にできるが、ユーザに何らかの操作を要求する点は同じである。
【0006】
このようなことを考えると、ユーザの置かれた状況に適する音楽を自動的に選択して再生する機能又はサービスであって、ユーザの操作を一切必要としないものを提供すれば、広く受け入れられると考えられる。
【0007】
本発明は上記観点からなされたもので、ユーザの状況に適する音楽を自動的に選択して再生する機能又はサービスであって、ユーザの操作を一切必要としないシステム及び方法を提供することを目的とする。本発明は、自分のエモーションにあわせた音楽再生を可能としたシステム及び方法である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、携帯電話の基地局と、携帯電話と、これに接続可能な又は内蔵される音楽再生装置とを備えるシステムにおいて、前記音楽再生装置で記憶している多数の音楽からユーザのおかれている状況に適合するものを抽出して再生するための方法であって、
複数の音楽データを用意し、
前記複数の音楽データそれぞれに予め定められた複数のシーンパラメータの少なくともひとつを対応付け、
前記音楽再生装置に前記複数の音楽データ及び対応付けられた前記シーンパラメータを記憶し、
前記複数のシーンパラメータから選択された一部のシーンパラメータを前記基地局から送信し、
前記携帯電話で前記基地局からシーンパラメータを受信し、
受信した前記シーンパラメータを前記音楽再生装置へ送出し、
前記音楽再生装置で前記基地局から受信した前記シーンパラメータに一致又は対応するシーンパラメータが対応付けられた音楽データを前記複数の音楽データから抽出し、
抽出された音楽データを前記音楽再生装置で再生する、ものである。
【0009】
例えば、前記音楽データに対応づけられるシーンパラメータは時刻又は時間帯を示すものであり、
前記基地局から受信するシーンパラメータは少なくとも時刻情報を含むものであり、
前記音楽再生装置で前記基地局から受信した時刻情報に一致又は対応する時刻又は時間帯のシーンパラメータが対応付けられた音楽データを前記複数の音楽データから選択する。
【0010】
例えば、前記音楽データに対応づけられるシーンパラメータは前記基地局ごとに予め定められた場所を示すものであり、
前記基地局から受信するシーンパラメータは少なくとも当該基地局の識別情報又は場所情報を含むものであり、
前記音楽再生装置で前記基地局から受信した識別情報又は場所情報に一致又は対応するシーンパラメータが対応付けられた音楽データを前記複数の音楽データから選択する。
【0011】
例えば、前記音楽データに対応づけられるシーンパラメータは予め定められた他の携帯電話との相対的位置関係を示すものであり、
前記基地局から受信するシーンパラメータは少なくとも前記他の携帯電話の位置情報を含むものであり、
前記携帯電話で前記基地局から受信する当該基地局の場所情報又はGPSなどの位置測定手段の出力に基づき自分の前記携帯電話の位置情報を取得し、
前記他の携帯電話の位置情報と自分の前記携帯電話の位置情報に基づき両者の相対的位置関係を取得し、
前記音楽再生装置で前記相対的位置関係に一致又は対応するシーンパラメータが対応付けられた音楽データを前記複数の音楽データから選択する。
【0012】
例えば、前記音楽データに対応づけられるシーンパラメータは予め定められた他の携帯電話との相対的位置関係を示すものであり、
前記基地局から受信するシーンパラメータは少なくとも前記他の携帯電話との相対的位置情報を含むものであり、
前記音楽再生装置で前記相対的位置関係に一致又は対応するシーンパラメータが対応付けられた音楽データを前記複数の音楽データから選択する。
【0013】
この発明は、携帯電話に接続可能な又は内蔵される音楽再生装置であって、音楽データ及び前記音楽データに対応付けられた少なくともひとつのシーンパラメータを含むデータを複数記憶している音楽再生装置において、複数の音楽データからユーザのおかれている状況に適合するものを抽出して再生する方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記携帯電話で基地局からシーンパラメータを受信し、
受信した前記シーンパラメータを前記携帯電話から受け、
前記音楽再生装置で前記基地局から受信した前記シーンパラメータに一致又は対応するシーンパラメータが対応付けられた音楽データを前記複数の音楽データから抽出し、
抽出された音楽データを前記音楽再生装置で再生する、ことを実行させるためのプログラムである。
【0014】
前記プログラムで、
抽出された音楽データを前記音楽再生装置で再生しているときにキャンセル操作が行われた場合において、前記音楽再生装置でユーザに対して当該音楽が現在の状況にふさわしくないからキャンセルするのか、それとも一時的にキャンセルをするのかを問う表示を行い、
ユーザから前記表示に対する回答又は操作を受け、
前記回答又は操作に応じて当該音楽データの前記シーンパラメータを削除する、ことをさらに実行させるようにしてもよい。
【0015】
前記プログラムで、
前記シーンパラメータが全く対応づけられていない音楽データを検索し、
前記検索された音楽データを再生し、
ユーザによるキャンセル操作が行われるかどうか監視し、
ユーザによるキャンセル操作が行われなかったときに前記検索された音楽データに受信した前記シーンパラメータを割り当てる、ことをさらに実行させるようにしてもよい。
【0016】
この発明に係るプログラムは、例えば、記録媒体に記録される。
媒体には、例えば、EPROMデバイス、フラッシュメモリデバイス、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、光磁気ディスク、CD(CD−ROM、Video−CDを含む)、DVD(DVD−Video、DVD−ROM、DVD−RAMを含む)、ROMカートリッジ、バッテリバックアップ付きのRAMメモリカートリッジ、フラッシュメモリカートリッジ、不揮発性RAMカートリッジ等を含む。
【0017】
媒体とは、何等かの物理的手段により情報(主にデジタルデータ、プログラム)が記録されているものであって、コンピュータ、専用プロセッサ等の処理装置に所定の機能を行わせることができるものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、シーンパラメータを用いることにより、ユーザの状況に適する音楽を自動的に選択して再生することができる。したがって、ユーザは何ら特別の操作を行うことなく、多数の音楽から状況に適した音楽のみを聞くことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
発明の実施の形態1.
<システムの概要>
図1は、この発明の実施の形態の概要を示す図である。図1において、MCは携帯電話のキャリア、10は当該携帯電話キャリアの携帯電話基地局である。1は当該携帯電話キャリアのサービスを受けている携帯電話である。携帯電話1には携帯音楽再生装置2が内蔵されるか、又は携帯電話1に接続可能に構成されていて、携帯音楽再生装置2は携帯電話1を通じて携帯電話基地局10からシーンパラメータ(詳細は後述)を受信できるようになっている。携帯音楽再生装置2は、多数の音楽データ(後述のメタデータを含む)21aとシーンパラメータ21bを記憶する記憶部(ハードディスクや半導体メモリ/メモリカード)21と、シーンパラメータ21bに基づき多数の音楽データ21aからシーンパラメータに適合するものを抽出する音楽抽出部22とを備えるほか、図示しないスピーカーやオーディオアンプ、CPUやメモリ、D−A変換器等を備えている。
【0020】
図1のシステム、携帯音楽再生装置2が携帯電話1に搭載されるか、または、これらが別個の装置であっても両者は無線などにより通信可能であることが前提である。
【0021】
ユーザは、携帯音楽再生装置2に音楽データを登録するにあたり、その「曲名」や「秒数」「作家」などの情報を例えばインターネット経由で入手し登録している(詳細は後述)。
上記登録時、それに合わせて「シーンパラメータ」を取得し登録する。
【0022】
携帯電話の基地局からの「時間」「場所」「天気」「外的状況(社会的公知の状況=事故や事件などとの同期)」「内的状況(自局の状況:移動状況や事前登録した株式などの社会的公知状況、または特定携帯局との関係(彼女端末との距離))などの「シーンパラメータ」を受け取り、その「シーンパラメータ」にあった音楽を携帯音楽再生システムが再生する。パラメータとして上記以外のもの、例えば、気温、標高、Mailの数、電話回線の混雑度、同一利用基地局内の携帯電話の数、複数基地局エリアを自携帯電話が横切った時間などから計算され求められる移動スピードなどを適用することができる。
【0023】
利用イメージは次のようなものである。
・雨の降っている夕暮れに、都市部で携帯音楽再生装置を利用するユーザにもっとも合った曲の再生
・晴れ上がった朝に、田園地帯で携帯音楽再生装置を利用するユーザにもっとも合った曲の再生
【0024】
図1のシステムによれば、シーンパラメータを用いることにより、ユーザの状況に適する音楽を自動的に選択して再生することができる。図1のシステムは次の特徴を備える。
【0025】
1)ユーザが曲名を指定する必要がない
特許文献1記載の技術では、ユーザにより事前にあるいは聞く時に、曲名を選択指定し、再生をさせている。
しかし、発明の実施の形態に係る方法は曲名の指定をユーザが行うものではない。すなわち、ユーザが機器中に保存している曲の中から、そのシーンに合う曲を外部であるネットワーク経由で提供される、あるいは機器内部から発生するシーンパラメータを利用し適時再生させる技術であり、ユーザ自らは選曲に関与しない。
【0026】
2)再生順の指定を必要としない
特許文献1記載の技術では、事前に曲再生の何らかのリストを準備することが必要である。
しかし、発明の実施の形態に係る方法は再生順の指定をユーザが行う必要はない。上記1)で示すよう、再生順も外部的内部的に提供されるシーンパラメータに起因し、ユーザ自らは再生順に関与しない。
【0027】
<音楽データとシーンパラメータの取得>
図2は携帯音楽再生装置2に音楽データ(メタデータを含む)をダウンロードするためのシステムの概要図である。音楽データのダウンロードに際しては、音楽データのみならず、その音楽データに関連するメタデータも一緒にダウンロードされる。つまり、その音楽データのタイトル、作詞者、作曲者、再生時間、ジャンル、リリース年月日等の関連情報から成るメタデータも音楽データと一緒にダウンロードされる。そして、ダウンロードされた音楽データ、およびその音楽データのメタデータは、記憶部21に1つのファイル形式によって記録される(図7参照)。
【0028】
図2は、インターネット等のコンピュータネットワークを介した音楽データの配信システムを示したものである。
【0029】
音楽データ配信サーバSは、音楽データ、およびメタデータを保持し、携帯音楽再生装置2又は携帯電話1からの音楽データの配信要求に応じて、音楽データおよびメタデータをインターネットINTを介して携帯音楽再生装置2へ送信する。携帯音楽再生装置2は、音楽データ配信サーバSから受取った音楽データと、そのメタデータとを1つのファイル形式によって記憶部21に記録する(図7参照)。
【0030】
音楽データは、各種の配信システムを用いて配信され(図2は一例である)、携帯音楽再生装置2の記憶部21に音楽データと、その音楽データのメタデータとが記録される。
【0031】
図7を参照して、記憶部21に記録されるコンテンツ21aのデータフォーマットについて説明する。記憶部21は、コンテンツ1〜Nをファイル形式によって記憶する。コンテンツ1〜Nの各々は、メタデータ60と、音楽データ61とから成る。メタデータ60は、音楽データ61と関連する複数の関連情報から成る。関連情報としては、音楽データ61のタイトル、アーティスト名、再生時間、作詞者、作曲者、レーベル名、ジャンル、およびリリース年月日等である。また、記憶部21は、コンテンツリスト62も記憶する。コンテンツリスト62は、コンテンツ1〜Nのメタデータから主用な関連情報であるタイトル、アーティスト名、および再生時間を抜き出して作成されたものである。コンテンツリスト62は、携帯音楽再生装置2が記憶部21の音楽データを再生するとき読出され、現在、再生されている音楽データがユーザに解かるように図示しないディスプレイに表示するのに用いられる。
【0032】
コンテンツリスト62は、シーンパラメータも含んでいる。記憶部21に記憶されているシーンパラメータは、携帯電話基地局10から送られてくるシーンパラメータに対応するものであり、当該音楽を再生すべき状況を示すパラメータである。図7において符号a,b,c,・・・で示したものがシーンパラメータである。これらa,b,c,・・・は予めどのような状況を意味するか決められている。例えば、aは時刻又は時間帯に関するパラメータであって夕刻(16:00〜18:00)を意味し、bは場所に関するパラメータであって都市部(東京23区)を意味し、cは天気に関するパラメータであって降雨を意味する。
【0033】
図3は音楽データへのシーンパラメータ付加処理を示すフローチャートである。この処理は例えば音楽データ配信サーバSで実行される。
任意の音楽についてシーンパラメータを選択する(S1)。例えば、静かな気持ちを落ち着かせるような音楽であれば、夕刻を意味するパラメータ=a、都市部を意味するパラメータ=b、降雨を意味するパラメータ=cを選択する。この選択は人間により行われる。
選択されたシーンパラメータをメタデータに付加する(S2)。
【0034】
図4は基地局(又は携帯電話キャリア)でのシーンパラメータ送信処理を示す。
時刻情報を取得し、シーンパラメータに変換する(S10)。
自分の位置情報(基地局識別情報)シーンパラメータに割り当てる(S11)。東京23区内にある基地局であればシーンパラメータbを割り当てる。
当該基地局における気象情報を取得し、シーンパラメータに変換する(S12)。降雨であればシーンパラメータcとする。
その他の外的状況を取得し、シーンパラメータに変換する(S13)。外的状況として、事件や事故、株価指標、野球やサッカーなどの試合結果など、さまざまなものが考えられる。どのようなものをシーンパラメータに変換するかは、各ユーザが予め指定しておく。
以上のように得られたシーンパラメータを送信する(S14)。
【0035】
図5は、予め指定された他の携帯電話との相対的位置関係をシーンパラメータに変換する処理を示す。
予め申し込みを受けたユーザの携帯電話の位置を取得する(S20)。
当該携帯電話のユーザにより予め指定された他の携帯電話の位置を取得する(S21)。
両者の相対的位置関係(例えば距離)を算出する(S22)。携帯電話キャリアは、どの基地局と通信しているかを判別することにより各携帯電話のおおよそ位置を取得することができるので、前記相対的位置関係を求めることができる。
前記相対的位置関係をシーンパラメータに変換する(S23)。例えば、友人や恋人と待ち合わせているとき、両者の距離が短くなるにつれて、L1、L2、L3、・・・のようにシーンパラメータを変化させる。
以上のように得られたシーンパラメータを送信する(S24)。
【0036】
なお、図5は携帯電話キャリアで2つの携帯電話の相対的位置関係を求めるものであった。本発明はこれに限定されない。例えば次の手順で相対的位置関係を求めることもできる。
【0037】
基地局から受信するシーンパラメータには他の携帯電話の位置情報が含まれている。携帯電話で基地局から受信する当該基地局の識別情報又はGPSなどの位置測定手段から自分の前記携帯電話の位置情報を取得する(GPS付き携帯電話は公知である)。他の携帯電話の位置情報と自分の前記携帯電話の位置情報に基づき相対的位置関係を取得する。
【0038】
図6は携帯音楽再生装置の処理フローチャートである。
シーンパラメータを受信したら(S30)、シーンパラメータに一致又は対応する音楽を抽出する(S31)。シーンパラメータは、携帯電話基地局10から送られてくるシーンパラメータに対応するものであり、当該音楽を再生すべき状況を示すパラメータである。図7において符号a,b,c,・・・で示したものがシーンパラメータである。これらa,b,c,・・・は予めどのような状況を意味するか決められている。例えば、aは時刻又は時間帯に関するパラメータであって夕刻(16:00〜18:00)を意味し、bは場所に関するパラメータであって都市部(東京23区)を意味し、cは天気に関するパラメータであって降雨を意味する。例えば、携帯電話基地局10からシーンパラメータa,b,cが送られてきたとき、音楽抽出部22はシーンパラメータa,b,cを含むN番目の音楽を抽出する(S31)。抽出された音楽を再生する(S32)。
【0039】
このような手順により、「雨の降っている夕暮れに、都市部で携帯音楽再生装置を利用するユーザにもっとも合った曲」を再生することができる。
【0040】
シーンパラメータとして上記以外のもの、例えば、気温、標高、Mailの数、電話回線の混雑度、同一利用基地局内の携帯電話の数も利用することができる。これらパラメータの送信処理は図4の場合と同様であり、携帯音楽再生装置での処理は図6の場合と同様である。また、シーンパラメータとして、複数基地局エリアを自携帯電話が横切った時間などから計算され求められる移動スピードを適用することができる。この場合、携帯電話キャリアで当該携帯電話を追跡し、各基地局でカバーするエリアに当該携帯電話が入ってからそこを出るまでの時間から移動スピードを算出する。
【0041】
発明の実施の携帯によれば、シーンパラメータを用いることにより、ユーザの状況に適する音楽を自動的に選択して再生することができる。
【0042】
発明の実施の形態2.
発明の実施の形態1の図3の処理で音楽データにシーンパラメータが追加された後、シーンパラメータをユーザが編集できるようにしてもよい。例えば、直接シーンパラメータを削除・変更・追加できるようにしてもよい。さらに、以下のような学習機能を備えることが好ましい。
【0043】
発明の実施の形態2に係るシーンパラメータの学習機能を図8のフローチャートを参照して説明を加える。
【0044】
抽出した音楽を再生する(S40)。なお、図8では、図6の処理S30,S31の表示は省略している。その後のシーンパラメータを用いた音楽データの自動再生中にキャンセル操作を行うと(S41でYES)、携帯音楽再生装置は、キャンセルの理由として現状のシーンにふさわしくないのか、または、今回のみキャンセルをするのかを問い合わせる(S42)。例えば、携帯音楽再生装置の図示しない表示部にその旨の表示、例えば「1:一時的なキャンセルですか? 2:現在の音楽が現状のシーンにふさわしくないのですか? 1又は2を押してください」を行ったり、ヘッドフォンにその旨の自動音声を流すようにする。ユーザの回答(スイッチの操作)が現状のシーンにふさわしくない(前記例で「2」)を意味するとき、当該音楽データに対応するシーンパラメータが変更される(S43で2:ふさわしくない −> S44)。それ以降、その曲が同様のシーンで再生されることは無くなるようにシーンパラメータは修正される。図10(a)の例では、No.2の音楽に割り当てられていたシーンパラメータbが削除される。No.2の音楽にはひとつのシーンパラメータのみが割り当てられていたので、その結果No.2の音楽はシーンパラメータを持たなくなる。
【0045】
発明の実施の形態2によれば、特段の編集作業を行うことなく、キャンセル操作のみでユーザの好みに合う音楽とシーンパラメータの組み合わせを得ることができる。
【0046】
発明の実施の形態3.
発明の実施の形態1の図6の処理では、指定されたシーンパラメータに対応する少なくともひとつの音楽データが存在することを前提にしている。しかし、該当する音楽データが無い場合の考えられる(図10(a)参照)。発明の実施の形態1ではそのようなことが想定されていないが、その場合は、他の任意の音楽を再生するか、又は以下に述べる処理が有効である。
【0047】
発明の実施の形態3に係るシーンパラメータの学習機能を図9のフローチャートを参照して説明を加える。
【0048】
シーンパラメータを受信したら(S50)、シーンパラメータに一致又は対応する音楽を抽出する(S56)が、発明の実施の形態3では、まずシーンパラメータが空欄の音楽データを検索する(S51)。空欄の音楽データがあったとき(S52でYES)、最初に又は任意のタイミングでシーンパラメータが空欄の音楽を再生する(S53)。この再生に対してユーザがキャンセル操作を行わない場合(S54でNO)、そのシーンが適当であるとして当該音楽データに当該シーンパラメータを追加する(S56)。図10(b)の例では、空欄の音楽データとしてNo.2が検索され、これが再生され、キャンセルされなかったとき、図9のS50で受信されたシーンパラメータdが同S55でNo.2の音楽データに追加される。
【0049】
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】発明の実施の形態に係るシステムの概要を示す図である。
【図2】携帯音楽再生装置に音楽データをダウンロードするためのシステムの概要図である。
【図3】発明の実施の形態に係る音楽データへシーンパラメータを付加する処理フローチャートである。
【図4】発明の実施の形態に係る基地局(又は携帯電話キャリア)でのシーンパラメータ送信処理フローチャートである。
【図5】発明の実施の形態に係る、予め指定された他の携帯電話との相対的位置関係をシーンパラメータに変換する処理フローチャートである。
【図6】発明の実施の形態に係る携帯音楽再生装置の処理フローチャートである。
【図7】発明の実施の形態に係る音楽データ、メタデータ及びシーンパラメータのデータフォーマットの説明図である。
【図8】発明の実施の形態2に係る携帯音楽再生装置の処理フローチャートである。
【図9】発明の実施の形態3に係る携帯音楽再生装置の処理フローチャートである。
【図10】発明の実施の形態2と3の処理を説明するための音楽データとシーンパラメータの説明図である。
【符号の説明】
【0051】
1 携帯電話
2 携帯音楽再生装置
21 記憶部
22 音楽抽出部
3 パソコン
10 携帯電話基地局
INT インターネット
MC 携帯電話キャリア
INT インターネット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯電話の基地局と、携帯電話と、これに接続可能な又は内蔵される音楽再生装置とを備えるシステムにおいて、前記音楽再生装置で記憶している多数の音楽からユーザのおかれている状況に適合するものを抽出して再生するための方法であって、
複数の音楽データを用意し、
前記複数の音楽データそれぞれに予め定められた複数のシーンパラメータの少なくともひとつを対応付け、
前記音楽再生装置に前記複数の音楽データ及び対応付けられた前記シーンパラメータを記憶し、
前記複数のシーンパラメータから選択された一部のシーンパラメータを前記基地局から送信し、
前記携帯電話で前記基地局からシーンパラメータを受信し、
受信した前記シーンパラメータを前記音楽再生装置へ送出し、
前記音楽再生装置で前記基地局から受信した前記シーンパラメータに一致又は対応するシーンパラメータが対応付けられた音楽データを前記複数の音楽データから抽出し、
抽出された音楽データを前記音楽再生装置で再生する、ことを特徴とする携帯音楽再生装置の音楽再生方法。
【請求項2】
前記音楽データに対応づけられるシーンパラメータは時刻又は時間帯を示すものであり、
前記基地局から受信するシーンパラメータは少なくとも時刻情報を含むものであり、
前記音楽再生装置で前記基地局から受信した時刻情報に一致又は対応する時刻又は時間帯のシーンパラメータが対応付けられた音楽データを前記複数の音楽データから選択することを特徴とする請求項1記載の携帯音楽再生装置の音楽再生方法。
【請求項3】
前記音楽データに対応づけられるシーンパラメータは前記基地局ごとに予め定められた場所を示すものであり、
前記基地局から受信するシーンパラメータは少なくとも当該基地局の識別情報又は場所情報を含むものであり、
前記音楽再生装置で前記基地局から受信した識別情報又は場所情報に一致又は対応するシーンパラメータが対応付けられた音楽データを前記複数の音楽データから選択することを特徴とする請求項1記載の携帯音楽再生装置の音楽再生方法。
【請求項4】
前記音楽データに対応づけられるシーンパラメータは予め定められた他の携帯電話との相対的位置関係を示すものであり、
前記基地局から受信するシーンパラメータは少なくとも前記他の携帯電話の位置情報を含むものであり、
前記携帯電話で前記基地局から受信する当該基地局の場所情報又はGPSなどの位置測定手段の出力に基づき自分の前記携帯電話の位置情報を取得し、
前記他の携帯電話の位置情報と自分の前記携帯電話の位置情報に基づき両者の相対的位置関係を取得し、
前記音楽再生装置で前記相対的位置関係に一致又は対応するシーンパラメータが対応付けられた音楽データを前記複数の音楽データから選択することを特徴とする請求項1記載の携帯音楽再生装置の音楽再生方法。
【請求項5】
前記音楽データに対応づけられるシーンパラメータは予め定められた他の携帯電話との相対的位置関係を示すものであり、
前記基地局から受信するシーンパラメータは少なくとも前記他の携帯電話との相対的位置情報を含むものであり、
前記音楽再生装置で前記相対的位置関係に一致又は対応するシーンパラメータが対応付けられた音楽データを前記複数の音楽データから選択することを特徴とする請求項1記載の携帯音楽再生装置の音楽再生方法。
【請求項6】
携帯電話に接続可能な又は内蔵される音楽再生装置であって、音楽データ及び前記音楽データに対応付けられた少なくともひとつのシーンパラメータを含むデータを複数記憶している音楽再生装置において、複数の音楽データからユーザのおかれている状況に適合するものを抽出して再生する方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記携帯電話で基地局からシーンパラメータを受信し、
受信した前記シーンパラメータを前記携帯電話から受け、
前記音楽再生装置で前記基地局から受信した前記シーンパラメータに一致又は対応するシーンパラメータが対応付けられた音楽データを前記複数の音楽データから抽出し、
抽出された音楽データを前記音楽再生装置で再生する、ことを実行させるためのプログラム。
【請求項7】
抽出された音楽データを前記音楽再生装置で再生しているときにキャンセル操作が行われた場合において、前記音楽再生装置でユーザに対して当該音楽が現在の状況にふさわしくないからキャンセルするのか、それとも一時的にキャンセルをするのかを問う表示を行い、
ユーザから前記表示に対する回答又は操作を受け、
前記回答又は操作に応じて当該音楽データの前記シーンパラメータを削除する、ことをさらに実行させるための請求項6記載のプログラム。
【請求項8】
前記シーンパラメータが全く対応づけられていない音楽データを検索し、
前記検索された音楽データを再生し、
ユーザによるキャンセル操作が行われるかどうか監視し、
ユーザによるキャンセル操作が行われなかったときに前記検索された音楽データに受信した前記シーンパラメータを割り当てる、ことをさらに実行させるための請求項6記載のプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2006−259082(P2006−259082A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−74841(P2005−74841)
【出願日】平成17年3月16日(2005.3.16)
【出願人】(504002470)株式会社ピイ.ピイ.コミュニケーションズ (1)
【Fターム(参考)】