説明

摩擦駆動式ワーク搬送システム

【課題】ワークの搬送間隔を柔軟に変更することができる摩擦駆動式ワーク搬送システムを提供する。
【解決手段】搬送ライン120に配置された搬送レール内を走行可能な多関節型のキャリア140が、搬送ラインに離間して配置された複数の摩擦駆動機構160から推進力を得て走行し、多関節型のキャリアに設けられた支持部材152でワークを吊り下げて搬送する摩擦駆動式ワーク搬送システムにおいて、多関節型のキャリアが、進行方向先頭のキャリアバーに上下方向に揺動可能な係合フック156を有すると共に、進行方向最後尾のキャリアバーに後続の多関節型のキャリヤに設けられた係合フックと係合する連結板158を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送ラインに沿って走行するキャリアにワーク(搬送物)を吊り下げて搬送することが可能なワーク搬送システムに関し、特に、搬送ラインに沿って多関節型のキャリアを摩擦駆動機構により推進力を与えて走行させ、この多関節型のキャリアにワークを吊り下げて搬送する摩擦駆動式ワーク搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ワークを吊り下げて搬送する摩擦駆動式の搬送装置として、搬送ラインに沿って延設した円形断面を有する搬送レールに、滑動する多数の逆J字状フック部材を設け、この逆J字状フック部材にワークを吊り下げるようにした従動バーを横架固定し、この従動バーを逆J字状フック部材と共に摩擦駆動機構により走行させて、従動バーに吊り下げたワークを搬送するようにした摩擦駆動式トロリーコンベヤが知られている(特許文献1参照。)。
【0003】
従来の摩擦駆動式の搬送装置の要部を図9及び図10に示す。図9は、搬送装置の摩擦駆動機構を搬送方向から見たときの正面図であり、図10は、図9のX−X線における平面図である。図9及び図10に示した摩擦駆動式の搬送装置は、搬送レール330に滑動自在に設けた多数の逆J字状フック部材340、340相互間にワークを吊り下げる従動バー350を横架固定し、摩擦駆動機構360により従動バー350を走行させるものである。摩擦駆動機構360は、駆動用のフリクションローラ360aとフリーローラ360bとで従動バー350を両側面から挟装している。この摩擦駆動機構360を搬送ラインに沿って多数配置することによって、フリクションローラ360aで従動バー350に推進力を与えて走行させ、従動バー350に吊り下げたワークを搬送レール330に沿って搬送する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3589594号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の摩擦駆動式の搬送装置に用いる摩擦駆動機構360は、従動バー350を駆動用のフリクションローラ360aとフリーローラ360bとで従動バー350を両側面から挟装する構造であるため、図10に示すように、駆動用のフリクションローラ360aと従動バー350とが線接触Lとなる。そのため、充分な推進力を確保することができず、水平搬送はできるが、登り傾斜搬送、特に急勾配の登り傾斜搬送が困難であり、登り傾斜搬送路を含む三次元的な搬送ラインの場合、ワークを搬送することができないという問題があった。
【0006】
また、従来の摩擦駆動式の搬送装置は、各ワーク間の距離が従動バー350の長さで規定されるため、ワークを搬送する間隔を柔軟に変更することができないという問題があった。
【0007】
そこで、本発明が解決しようとする技術的課題、すなわち、本願発明の目的は、キャリアでワークを吊り下げて搬送する際、キャリアの走行に充分な推進力を確保することができ、登り傾斜搬送を行うことができ、それに伴って、登り傾斜搬送路を含む三次元的な搬送ラインでもワークを円滑に搬送することができると共にワークの搬送間隔を柔軟に変更することができる摩擦駆動式ワーク搬送システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
まず、本請求項1に係る発明は、搬送ラインに配置された搬送レール内を走行可能な多関節型のキャリアが、前記搬送ラインに離間して配置された複数の摩擦駆動機構から推進力を得て走行し、前記多関節型のキャリアに設けられた支持部材でワークを吊り下げて搬送する摩擦駆動式ワーク搬送システムにおいて、前記多関節型のキャリアが、自在継ぎ手で連結された複数のキャリアバーを有し、該キャリアバーが、ワークを吊り下げる側と反対側に摩擦板を有し、前記摩擦駆動機構が、駆動側ローラと従動側ローラとに巻掛けられて循環走行する無端状のフリクションベルトと、該無端状のフリクションベルトの下側走行ベルトを前記摩擦板に押し付けて面接触させる押圧手段とを有し、前記多関節型のキャリアが、進行方向先頭のキャリアバーに上下方向に揺動可能な係合フックを有すると共に、進行方向最後尾のキャリアバーに後続の多関節型のキャリヤに設けられた係合フックと係合する連結板を有していることにより、前記課題を解決したものである。
【0009】
そして、本請求項2に係る発明は、請求項1に係る本発明の摩擦駆動式ワーク搬送システムにおいて、前記押圧手段が、無端状のフリクションベルトの下側走行ベルトに接触摺動する湾曲可能な金属板と該金属板を介して前記下側走行ベルトを前記摩擦板に押圧力により押し付けるエアバックとを有することにより、前記課題をさらに解決したものである。
【0010】
また、本請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係る摩擦駆動式ワーク搬送システムにおいて、前記多関節型のキャリアを構成する少なくとも2以上のキャリアバーにより1つのワークが支持されることにより、前記課題をさらに解決したものである。
【0011】
また、本請求項4に係る発明は、請求項1乃至3のいずれかに係る摩擦駆動式ワーク搬送システムにおいて、前記無端状のフリクションベルトの下側走行ベルトが、少なくとも2つの前記キャリアバーの摩擦板に同時に接触することにより、前記課題をさらに解決したものである。
【0012】
また、本請求項5に係る発明は、請求項1乃至4のいずれかに係る摩擦駆動式ワーク搬送システムにおいて、前記搬送レールが開放辺を対向させて配置した一対の断面コ字状のレール部材で構成され、前記多関節型のキャリアが、前記レール部材内を転動する一対の車輪を複数備えていることにより、前記課題をさらに解決したものである。
【発明の効果】
【0013】
本請求項1に係る発明によれば、搬送ラインに配置された搬送レール内を走行可能な多関節型のキャリアが、搬送ラインに離間して配置された複数の摩擦駆動機構から推進力を得て走行し、多関節型のキャリアに設けられた支持部材でワークを吊り下げて搬送する摩擦駆動式ワーク搬送システムにおいて、多関節型のキャリアが、自在継ぎ手で連結された複数のキャリアバーを有し、キャリアバーが、ワークを吊り下げる側と反対側に摩擦板を有し、摩擦駆動機構が、駆動側ローラと従動側ローラとに巻掛けられて循環走行する無端状のフリクションベルトと、無端状のフリクションベルトの下側走行ベルトを摩擦板に押し付けて面接触させる押圧手段とを有し、多関節型のキャリアが、進行方向先頭のキャリアバーに上下方向に揺動可能な係合フックを有すると共に、進行方向最後尾のキャリアバーに後続の多関節型のキャリヤに設けられた係合フックと係合する連結板を有していることにより、無端状のフリクションベルトの下側走行ベルトと摩擦板とが面接触するため、多関節型のキャリアに大きな推進力を与えることができる。その結果、登り傾斜搬送路でもワークを吊り下げた多関節型のキャリアを確実に走行させることができる。
【0014】
また、搬送レール内を走行する複数の多関節型のキャリアを相互に係合させることができるので、ワークの搬送間隔を柔軟に変更するとともに、複数の多関節型のキャリアに同時に推進力を与えることができるので、搬送ラインに配置する摩擦駆動機構の数を削減することができる。
【0015】
そして、本請求項2に係る発明によれば、請求項1に係る摩擦駆動式ワーク搬送システムが奏する効果に加えて、押圧手段が、無端状のフリクションベルトの下側走行ベルトに接触摺動する湾曲可能な金属板とこの金属板を介して下側走行ベルトを摩擦板に押圧力により押し付けるエアバックとを有することにより、エアバッグにより押し付け力をコントロール可能であるので、水平搬送路あるいは傾斜搬送路に配置する摩擦駆動機構を同じ構造のものとすることができる。
【0016】
また、本請求項3に係る発明によれば、請求項1又は請求項2に係る摩擦駆動式ワーク搬送システムが奏する効果に加えて、多関節型のキャリアを構成する少なくとも2以上のキャリアバーにより1つのワークが支持されることにより、ワークの荷重が分散して支持されるので、搬送ラインが三次元的に変化していてもワークの姿勢が安定的に維持され、円滑な搬送を実現することができる。
【0017】
また、本請求項4に係る発明によれば、請求項1乃至請求項3のいずれかに係る摩擦駆動式ワーク搬送システムが奏する効果に加えて、無端状のフリクションベルトの下側走行ベルトが、少なくとも2つのキャリアバーの摩擦板に同時に接触することにより、隣接するキャリアバーの摩擦板それぞれにフリクションベルトの下側走行ベルトをエアバッグの押圧力でバラツキなく均等に押し付けるので、多関節型のキャリアにムラなく推進力を伝達することができる。また、無端状のフリクションベルトの摩擦による駆動推進力を同時に隣接する複数の摩擦板に付与することができるので、多関節型のキャリアに大きな推進力を効率よく与えることができる。
【0018】
また、本請求項5に係る発明によれば、請求項1乃至請求項4のいずれかに係る摩擦駆動式ワーク搬送システムが奏する効果に加えて、搬送レールが開放辺を対向させて配置した一対の断面コ字状のレール部材で構成され、多関節型のキャリアが、レール部材内を転動する一対の車輪を複数備えていることにより、多関節型のキャリアが、搬送レール内を車輪に支持されて走行するので、質量の大きいワークでも多関節型のキャリアに吊り下げて搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施例の摩擦駆動式ワーク搬送システムの概略正面図。
【図2】水平搬送路における摩擦駆動機構要部の正面図。
【図3】図2のIII−III線における断面図。
【図4】フリクションベルトの断面図。
【図5】フリクションベルトの一部平面図。
【図6】2つの多関節型のキャリアの係合フックと連結板とが係合した状態を示す正面図。
【図7】2つの多関節型のキャリアの係合フックと連結板とが開放途中にある状態を示す正面図。
【図8】2つの多関節型のキャリアの係合フックと連結板とが開放した状態を示す正面図。
【図9】従来のフリクション駆動手段の要部断面図。
【図10】図9のX−X線における平面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の摩擦駆動式ワーク搬送システムは、搬送ラインに配置された搬送レール内を走行可能な多関節型のキャリアが、搬送ラインに離間して配置された複数の摩擦駆動機構から推進力を得て走行し、多関節型のキャリアに設けられた支持部材でワークを吊り下げて搬送し、多関節型のキャリアが、自在継ぎ手で連結された複数のキャリアバーを有し、キャリアバーが、ワークを吊り下げる側と反対側に摩擦板を有し、摩擦駆動機構が、駆動側ローラと従動側ローラとに巻掛けられて循環走行する無端状のフリクションベルトと、無端状のフリクションベルトの下側走行ベルトを摩擦板に押し付けて面接触させる押圧手段とを有し、多関節型のキャリアが、進行方向先端のキャリアバーに上下方向に揺動可能な係合フックを有すると共に、進行方向最後尾のキャリアバーに後続の多関節型のキャリヤに設けられた係合フックと係合する連結板を有しているものであって、キャリアでワークを吊り下げて搬送する際、キャリアの走行に充分な推進力を確保することができ、登り傾斜搬送を行うことができ、それに伴って、登り傾斜搬送路を含む三次元的な搬送ラインでもワークを円滑に搬送することができると共にワークの搬送間隔を柔軟に変更することができるものであれば、その具体的な実施の態様は、如何なるものであっても何ら構わない。
【0021】
本発明の一実施例を図1乃至図8に基づいて説明する。
ここで、図1は、本実施例の摩擦駆動式ワーク搬送システムの概略正面図であり、図2は、水平搬送路における摩擦駆動機構の概略正面図であり、図3は、図2のIII−III線における断面図であり、図4は、フリクションベルトの断面図であり、図5は、フリクションベルトの一部平面図であり、図6は、2つの多関節型のキャリアの係合フックと連結板とが係合した状態を示す正面図であり、図7は、2つの多関節型のキャリアの係合フックと連結板とが開放途中にある状態を示す正面図であり、図8は、2つの多関節型のキャリアの係合フックと連結板とが開放した状態を示す正面図である。
【0022】
まず、本実施例の摩擦駆動式ワーク搬送システムの全体構成について説明する。
図1に示すように、摩擦駆動式ワーク搬送システム100は、水平搬送路122、湾曲搬送路124、傾斜搬送路126などを含む三次元的な搬送ライン120に配置された搬送レール130内を走行可能な多関節型のキャリア140が、搬送ライン120に離間して複数配置された摩擦駆動機構160から推進力を得て走行し、多関節型のキャリア140に設けられた2つの支持部材152の間に吊りアーム154を介してワークWを吊り下げて搬送する。
【0023】
次に、摩擦駆動式ワーク搬送システム100の主要構成要素の一つである多関節型のキャリア140の構成について説明する。
多関節型のキャリア140は、図2及び図3に示すように、摩擦板148がワークWを吊り下げる側と反対側に設けられた多数のキャリアバー142が、関節に相当する自在継ぎ手146で連結されて構成されている。そして、多関節型のキャリア140は、一対の車輪144、144を自在継ぎ手146の両外側部分に有している。また、搬送レール130は、図3に示すように、開放辺を対向させて配置した一対の断面コ字状のレール部材132、132で形成され、多関節型のキャリア140は、一対の断面コ字状のレール部材132、132の内側を転動する一対の車輪144、144に支持されて走行する。
【0024】
そして、多関節型のキャリア140は、図1に示すように、進行方向先頭のキャリアバーに上下方向に揺動可能な係合フック156を有するとともに、進行方向最後尾のキャリアバーに後続の多関節型のキャリア140に設けられた係合フック156と係合する連結板158を有している。
【0025】
次に、摩擦駆動式ワーク搬送システム100の主要構成要素の別の一つである摩擦駆動機構160の構成について説明する。
摩擦駆動機構160は、図2及び図3に示すように、駆動側ローラ162と従動側ローラ164とに巻掛けられて循環走行する無端状のフリクションベルト168と、無端状のフリクションベルト168の下側走行ベルト168aをキャリアバー142の摩擦板148に押し付けて面接触させる押圧手段180とで構成されている。フリクションベルト168は、市販されているもので、図4及び図5に示すように、基布168cに表面が凹凸のカバーゴム168dを一体成形したものである。この下側走行ベルト168aは、多関節型のキャリア140の少なくとも2つのキャリアバー142の摩擦板148に同時に接触する長さのものであり、その長さは水平搬送路に配置するか、急勾配の傾斜搬送路に配置するかなどに応じた適宜の長さとしても良いし、全て同じ長さのものとしても良い。なお、図2において、符号166はフリーローラ、168bはフリクションベルト168のリターン上側走行ベルト、192はコンベヤフレームを示している。
【0026】
押圧手段180は、図2及び図3に示すように、エアバッグ182と、無端状のフリクションベルト168の下側走行ベルト168aに接触摺動する湾曲可能な金属板184とで構成されている。エアバッグ182は、無端状のフリクションベルト168の内側に配置され、上側が押さえ板186で保持され、下側が金属板184に接触する。金属板184は、ステンレス製のものとすることが好ましく、エアバッグ182での押圧力により下方に撓んで湾曲する。また、この金属板184は無端状のフリクションベルト168の下側走行ベルト168aと接触摺動する。
【0027】
押圧手段180のエアバッグ182での押圧力により、金属板184を介して無端状のフリクションベルト168の下側走行ベルト168aをキャリアバー142の摩擦板148に押し付ける。この場合、無端状のフリクションベルト168の下側走行ベルト168aは、多関節型のキャリア140の少なくとも2つのキャリアバー142の摩擦板148に均一な圧力で同時に接触する。このようにすると、無端状のフリクションベルト168の摩擦による駆動推進力を効率よく多関節型のキャリア140に伝達することができる。
【0028】
次に、摩擦駆動式ワーク搬送システム100の前後に位置する多関節型のキャリア140相互を係合・離脱する機構について図6乃至図8に基づいて説明する。
多関節型のキャリア140は、進行方向先頭のキャリアバー142に上下方向に揺動可能な係合フック156を有すると共に、進行方向最後尾のキャリアバー142に後続の多関節型のキャリア140に設けられた係合フック156と係合する連結板158を有している。そして、係合フック156の先端部上側にウエイトを兼ねたガイドローラ157が軸支されている。係合フック156は、図6に示すように、重力により先端部が下がり、連結板158の開口部に係合フック156の鉤部が引っかかることにより、前後に位置する多関節型のキャリア140が連結される。この時、係合フック156の端部が軸支部材の凸部と接触することにより、係合フック156の揺動下限が規制されている。また、係合フック156に固設したガイドローラ157は、搬送ラインの適宜の個所に設けられた傾斜を有するガイドレール194と摺接し、多関節型のキャリア140の進行と共に図7に示すようにガイドレール194の傾斜上を転がり、それと連動して係合フック156の先端部が上昇する。そして、図8に示すように、ガイドローラ157がガイドレール194の傾斜を上りきったところで、係合フック156と連結板158との係合が完全に外れる。このように、本実施例の摩擦駆動式ワーク搬送システム100は、多関節型のキャリア140の連結を解除したい場所にガイドレール194を設置するだけで自動的に多関節型のキャリア140の連結を解除することができる。
【0029】
以上のような構成からなる摩擦駆動式ワーク搬送システム100は、次のような作用効果を有している。搬送ライン120に配置された搬送レール130内を走行可能な多関節型のキャリア140がワークWを吊り下げて搬送する。多関節型のキャリア140は、キャリアバー142の摩擦板148に摩擦駆動機構160の循環走行する無端状のフリクションベルト168の下側走行ベルト168aが、押圧手段180により押し付けられて走行する。このとき、下側走行ベルト168aは押圧手段180を構成するエアバッグ182と金属板184とにより、キャリアバー142の摩擦板148に押し付けられ、下側走行ベルト168aと摩擦板148とが面接触するため、多関節型のキャリア140に大きな推進力を与えることができる。そのため、急勾配の登り傾斜搬送路でもワークWを搬送することができ、その結果、水平搬送路122、湾曲搬送路124、傾斜搬送路126などを含む三次元的な搬送ライン120に沿ってワークWを搬送することができる。
【0030】
摩擦駆動機構160を構成する押圧手段180は、エアバッグ182と、無端状のフリクションベルト168の下側走行ベルト168aに接触摺動する湾曲可能な金属板184とで構成されているので、大きな推進力を与えることが可能な摩擦駆動機構160を小型化することができる。また、エアバッグ182での押圧力により、金属板184を介して無端状のフリクションベルト168の下側走行ベルト168aをキャリアバー142の摩擦板148に押し付けるので、エアバッグ182による押し付け力のコントロールが可能となり、水平搬送路122あるいは傾斜搬送路126に配置する摩擦駆動機構160を同じ構造のものとすることができる。
【0031】
また、無端状のフリクションベルト168の下側走行ベルト168aは、複数のキャリアバー142の摩擦板148に同時に接触するので、隣接するキャリアバー142の摩擦板148それぞれにフリクションベルト168の下側走行ベルト168aをエアバッグ182の押圧力でバラツキなく均等に押し付けることができる。その結果、無端状のフリクションベルト168の摩擦による駆動推進力を同時に隣接する複数の摩擦板148に伝達することができ、多関節型のキャリア140に大きな推進力を効率よく与えることができる。
【0032】
さらに、多関節型のキャリア140が、進行方向先頭のキャリアバー142に上下方向に揺動可能な係合フック156を有すると共に、進行方向最後尾のキャリアバー142に後続の多関節型のキャリヤ140に設けられた係合フック156と係合する連結板158を有していることにより、複数の多関節型のキャリア140を連結して駆動することができるので、摩擦駆動機構160の設置個数を削減することができる。
【符号の説明】
【0033】
100 ・・・ 摩擦駆動式ワーク搬送システム
120 ・・・ 搬送ライン
122 ・・・ (搬送ラインの)水平搬送路
124 ・・・ (搬送ラインの)湾曲搬送路
126 ・・・ (搬送ラインの)傾斜搬送路
130 ・・・ 搬送レール
132 ・・・ 断面コ字状のレール部材
140 ・・・ 多関節型のキャリア
142 ・・・ キャリアバー
144 ・・・ 車輪
146 ・・・ 自在継ぎ手
148 ・・・ 摩擦板
152 ・・・ 支持部材
154 ・・・ 吊りアーム
156 ・・・ 係合フック
157 ・・・ ガイドローラ
158 ・・・ 連結板
160 ・・・ 摩擦駆動機構
162 ・・・ 駆動側ローラ
164 ・・・ 従動側ローラ
166 ・・・ フリーローラ
168 ・・・ フリクションベルト
168a・・・ 下側走行ベルト
168b・・・ リターン上側走行ベルト
168c・・・ 基布
168d・・・ カバーゴム
180 ・・・ 押圧手段
182 ・・・ エアバッグ
184 ・・・ 金属板
186 ・・・ 押さえ板
192 ・・・ コンベヤフレーム
194 ・・・ ガイドレール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送ラインに配置された搬送レール内を走行可能な多関節型のキャリアが、前記搬送ラインに離間して配置された複数の摩擦駆動機構から推進力を得て走行し、前記多関節型のキャリアに設けられた支持部材でワークを吊り下げて搬送する摩擦駆動式ワーク搬送システムにおいて、
前記多関節型のキャリアが、自在継ぎ手で連結された複数のキャリアバーを有し、
該キャリアバーが、ワークを吊り下げる側と反対側に摩擦板を有し、
前記摩擦駆動機構が、駆動側ローラと従動側ローラとに巻掛けられて循環走行する無端状のフリクションベルトと、該無端状のフリクションベルトの下側走行ベルトを前記摩擦板に押し付けて面接触させる押圧手段とを有し、
前記多関節型のキャリアが、進行方向先頭のキャリアバーに上下方向に揺動可能な係合フックを有すると共に、進行方向最後尾のキャリアバーに後続の多関節型のキャリヤに設けられた係合フックと係合する連結板を有していることを特徴とする摩擦駆動式ワーク搬送システム。
【請求項2】
前記押圧手段が、無端状のフリクションベルトの下側走行ベルトに接触摺動する湾曲可能な金属板と該金属板を介して前記下側走行ベルトを前記摩擦板に押圧力により押し付けるエアバックとを有することを特徴とする請求項1に記載の摩擦駆動式ワーク搬送システム。
【請求項3】
前記多関節型のキャリアを構成する少なくとも2以上のキャリアバーにより1つのワークが支持されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の摩擦駆動式ワーク搬送システム。
【請求項4】
前記無端状のフリクションベルトの下側走行ベルトが、少なくとも2つの前記キャリアバーの摩擦板に同時に接触することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の摩擦駆動式ワーク搬送システム。
【請求項5】
前記搬送レールが開放辺を対向させて配置した一対の断面コ字状のレール部材で構成され、前記多関節型のキャリアが、前記レール部材内を転動する一対の車輪を複数備えていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の摩擦駆動式ワーク搬送システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−168171(P2010−168171A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−12197(P2009−12197)
【出願日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【出願人】(000003355)株式会社椿本チエイン (861)
【Fターム(参考)】