説明

摺動式トリポード型等速ジョイント

【課題】ニードル循環タイプの摺動式トリポード型等速ジョイントにおいて、中間部材とトリポード軸部の接触点での耐焼付き性の向上を図り得るようにする。
【解決手段】内周面に3本の軌道溝16を有する外輪10と、軌道溝16に挿入される3本のトリポード軸部22を有するトリポード20と、トリポード軸部22の外周に揺動可能に設けられる中間部材40と、軌道溝16の側面と中間部材40との間に軌道溝16の側面に沿って転動可能に設けられる複数の軸状転動体50と、軸状転動体50が中間部材40の外周を循環可能となるように軸状転動体50を支持する保持器60とを備える。トリポード軸部22の外周面の軸方向の断面形状は、中間部材40の内側動力伝達面43aに向かって凸となる凸湾曲状に形成され、内側動力伝達面43aは、ジョイント角0°時におけるトリポード軸部22の軸方向の断面形状がストレート状に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、摺動式トリポード型等速ジョイントに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の摺動式トリポード型等速ジョイントとして、例えば、特開2005−98402号公報(特許文献1)に記載されたものがある。特許文献1に記載の摺動式トリポード型等速ジョイントは、内周面に3本の軌道溝が形成された筒状の外輪と、各軌道溝に挿入される3本のトリポード軸部を有するトリポードと、各軌道溝に挿入されたローラと、各トリポード軸部に外嵌されて各ローラを回転自在に支持する中間部材(リング)と、ローラとリングとの間に転動可能に介在された転動体(ボール)と、を備えている。この等速ジョイントにおいて動力を伝達する際には、転動体と中間部材、および転動体とローラの間には転がり抵抗の他に、滑りによって大きな抵抗が発生する。
【0003】
そこで、この抵抗を低減するために、例えば、特許第2763624号公報(特許文献2)に記載されたものがある。特許文献2に記載の摺動式トリポード型等速ジョイントは、転動体をニードルにするとともに上記のローラを排除することにより、転動体が軌道溝を転動するようにし、且つその転動体が中間部材(ブロック)の外周を循環可能に保持器によって支持されるように構成されている。これにより、転動体と中間部材、および転動体と軌道溝の間の滑りによる抵抗を大幅に低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−98402号公報
【特許文献2】特許第2763624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献2に記載の等速ジョイントは、ニードルが中間部材の外周を循環するように構成されたニードル循環タイプのものである。このタイプの等速ジョイントは、ジョイント角をとって動力を伝達する際に、中間部材が、トリポード軸部の外輪回転軸方向の動きに倣い、ニードルとの接触面で滑ることにより、外輪径方向において往復運動をする構造である。この場合、中間部材とトリポード軸部の位置決めが必要なため、中間部材は、トリポード軸部に対して球面接触する状態で外嵌されている。即ち、トリポード軸部の外周面は、凸状球面の一部を有するように形成され、中間部材の内周面は、トリポード軸部の凸状球面と合致する凹状球面の一部を有するように形成されている。
【0006】
そして、この等速ジョイントがジョイント角をとって動力を伝達する際には、トリポード軸部のスピン運動、即ち、トリポード中心が外輪回転軸周りを回動しつつ、トリポード軸部が外輪回転軸方向に往復運動(首振り運動)する動きが発生する。このとき、中間部材とトリポード軸部の球面接触部は、接触面のうちの1点を中心にして往復回転するように摺動する。しかし、その回転中心点は移動しないため、その回転中心点での油膜形成性が悪いことから、耐焼付き性が低いという問題があった。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ニードル循環タイプの摺動式トリポード型等速ジョイントにおいて、中間部材とトリポード軸部の接触点での耐焼付き性の向上を図り得るようにすることを解決すべき課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明の特徴は、
筒状に形成され、内周面に外輪回転軸方向に延びる3本の軌道溝を有する外輪と、
シャフトに連結されるボス部、および、前記ボス部の外周面からそれぞれ前記ボス部の径方向外方に延びるように立設されそれぞれの前記軌道溝に挿入される3本のトリポード軸部を備えるトリポードと、
前記トリポード軸部の外周に前記トリポード軸部に対して揺動可能に設けられ、前記トリポード軸部に接触して動力を伝達する内側動力伝達面と前記軌道溝の側面と対向する外側動力伝達面とを有する中間部材と、
前記軌道溝の側面と前記外側動力伝達面との間に、前記軌道溝の側面に沿って転動可能に設けられる複数の軸状転動体と、
前記軸状転動体が前記中間部材の外周を循環可能となるように前記軸状転動体を支持する保持器と、
を備え、
前記トリポード軸部の外周面の前記トリポード軸部の軸方向の断面形状は、前記トリポード軸部が接触する前記内側動力伝達面に向かって凸となる凸湾曲状に形成され、
前記内側動力伝達面は、ジョイント角0°時における前記トリポード軸部の軸方向の断面形状がストレート状に形成され、
前記トリポード軸部は、前記中間部材に対して前記トリポード軸部の軸方向に相対移動可能であることである。
【0009】
なお、本明細書において、ジョイント角0°時とは、外輪の回転軸とトリポードに連結されるシャフトの回転軸が一致している姿勢のことをいう。
【0010】
請求項2に係る発明の特徴は、請求項1において、
前記内側動力伝達面のストレート方向の両側には、前記中間部材の前記トリポード軸部からの抜け出しを阻止するストッパ部が設けられていることである。
【0011】
請求項3に係る発明の特徴は、請求項1または2において、
前記中間部材は、前記トリポード軸部と接触する側の面に、ジョイント角0°時における前記トリポード軸部の軸直交方向の断面が円弧状でジョイント角0°時における前記トリポード軸部の軸方向に沿って延びる凹部を有し、
前記内側動力伝達面は、前記凹部に設けられていることである。
【0012】
請求項4に係る発明の特徴は、請求項1〜3の何れか一項において、
前記中間部材の前記軌道溝の側面と対向する面には、前記軌道溝の延伸方向に延びる前記外側動力伝達面を有する中間部材軌道凹部が形成され、
前記軸状転動体は、前記軸状転動体の前記中間部材側に位置する部分が前記中間部材軌道凹部に嵌め込まれて前記外側動力伝達面に沿って転動可能に設けられていることである。
【0013】
請求項5に係る発明の特徴は、請求項1〜4の何れか一項において、
前記軌道溝の側面には、前記軌道溝の延伸方向に延びる外輪軌道凹部が形成され、
前記軸状転動体は、前記軌道溝の側面側に位置する部分が前記外輪軌道凹部に嵌め込まれて前記外輪軌道凹部の底面に沿って転動可能に設けられていることを特徴とする摺動式トリポード型等速ジョイント。
【0014】
請求項6に係る発明の特徴は、請求項1〜5の何れか一項において、
前記中間部材は、前記軌道溝の側面の両側から前記トリポード軸部を挟むように分離状態で配置された一対の分割部材で構成されていることである。
【発明の効果】
【0015】
上記のように構成した請求項1に係る発明によれば、トリポード軸部の外周面のトリポード軸部の軸方向の断面形状は、トリポード軸部が接触する内側動力伝達面に向かって凸となる凸湾曲状に形成され、内側動力伝達面は、ジョイント角0°時におけるトリポード軸部の軸方向の断面形状がストレート状に形成され、トリポード軸部は、中間部材に対してトリポード軸部の軸方向に相対移動可能とされている。これにより、等速ジョイントがジョイント角をとって動力を伝達する際に、トリポード軸部のスピン運動が発生すると、トリポード軸部と中間部材の内側動力伝達面との接触部は、内側動力伝達面上で内側動力伝達面のストレート方向に沿って滑りながら往復運動する。そのため、中間部材とトリポード軸部の接触部での油膜形成性が良好となるので、耐焼付け性の向上を図ることができる。
【0016】
請求項2に係る発明によれば、内側動力伝達面のストレート方向の両側には、中間部材のトリポード軸部からの抜け出しを阻止するストッパ部が設けられている。これにより、等速ジョイントの組付け時や搬送時のサブアッシー状態において、中間部材のトリポード軸部からの抜け出しを確実に防止することができる。
【0017】
請求項3に係る発明によれば、中間部材は、トリポード軸部と接触する側の面に、ジョイント角0°時におけるトリポード軸部の軸直交方向の断面が円弧状でジョイント角0°時におけるトリポード軸部の軸方向に沿って延びる凹部を有し、内側動力伝達面は、凹部に設けられている。これにより、中間部材とトリポード軸部の位置決めが容易になるので、組付け作業を容易化することができる。
【0018】
請求項4に係る発明によれば、中間部材の軌道溝の側面と対向する面には、軌道溝の延伸方向に延びる外側動力伝達面を有する中間部材軌道凹部が形成され、軸状転動体は、軸状転動体の中間部材側に位置する部分が中間部材軌道凹部に嵌め込まれて外側動力伝達面に沿って転動可能に設けられている。これにより、軸状転動体に対して中間部材を位置決めすることができるので、等速ジョイントがジョイント角をとって動力を伝達する際に、中間部材とトリポード軸部の接触部の内側動力伝達面上での移動をより確実に生起させることが可能となる。
【0019】
請求項5に係る発明によれば、軌道溝の側面には、軌道溝の延伸方向に延びる外輪軌道凹部が形成され、軸状転動体は、軌道溝の側面側に位置する部分が外輪軌道凹部に嵌め込まれて外輪軌道凹部の底面に沿って転動可能に設けられている。これにより、スキューにより軸状転動体にその軸方向へ移動しようとする力が発生した場合には、外輪軌道凹部により軸状転動体の当該移動を規制することができる。なお、スキューとは、軸状転動体の軸中心が、軸状転動体の転がる方向に対して傾斜する状態のことである。軸状転動体にスキューが発生することにより、軸状転動体には軸方向への力が発生する。
【0020】
請求項6に係る発明によれば、中間部材は、軌道溝の側面の両側からトリポード軸部を挟むように分離状態で配置された一対の分割部材で構成されている。このようにすることで、中間部材を容易にトリポード軸部に組み付けることができる。さらに、中間部材を分離した二つの分割部材により構成することで、動力伝達を行う面の背面側において、中間部材と外輪の軌道溝との接触を抑制することができる。さらに、上記のように、中間部材を分離した二つ分割部材としたとしても、中間部材をトリポード軸部の外周面に嵌合可能な形状とすることで、中間部材および保持器がトリポード軸部から離脱することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】等速ジョイント1の斜視図であり、外輪10を軸方向に切断した状態を示す。
【図2】等速ジョイント1の一部の組み付け状態における、外輪10の開口側から見た図である。
【図3】等速ジョイント1の一部の径方向断面図である。
【図4】中間部材40の分割部材41のみの斜視図である。
【図5】図4に示す分割部材41のA−A断面図である。
【図6】図4に示す分割部材41のB−B断面図である。
【図7】保持器60に軸状転動体50を組み付けた状態の斜視図である。
【図8】(a):保持器60の正面図である。(b):(a)のC−C断面図である。(c):(a)のD−D断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の摺動式トリポード型等速ジョイント(以下、単に「等速ジョイント」と称する)を具体化した実施形態について図1〜図8を参照しつつ説明する。ここで、本実施形態の等速ジョイントは、車両の動力伝達シャフトの連結に用いる場合を例に挙げて説明する。例えば、ディファレンシャルギヤに連結された軸部とドライブシャフトの中間シャフトとの連結部位に用いる場合である。
【0023】
図1〜図3に示すように、等速ジョイント1は、外輪10と、トリポード20と、ニードルユニット30とから構成される。
【0024】
図1に示すように、外輪10は、筒状部11と、連結軸部12とから構成される。筒状部11は、有底筒状に形成されている。連結軸部12は、筒状部11の底部から軸方向外方に延びるように、筒状部11と同軸的に且つ一体に形成されている。この連結軸部12は、ディファレンシャルギヤ(図示せず)に連結されている。
【0025】
そして、図1〜図3に示すように、筒状部11の内周面には、外輪回転軸方向(図2の前後方向)に延びる軌道溝16が、外輪回転軸の周方向に等間隔に3本形成されている。各軌道溝16における溝延伸方向に直交する断面形状が、外輪10の回転軸中心に向かって開口するコの字形をなしている。つまり、各軌道溝16は、ほぼ平面状に形成された溝底面161と、溝底面161に直交するようなほぼ平面状に形成され且つそれぞれ平行に対向する側面162、163とを備える。
【0026】
それぞれの側面162、163には、外輪回転軸方向に延びる外輪軌道凹部17、18が形成されている。この外輪軌道凹部17、18は、軌道溝16の側面162、163のうち、外輪10の径方向のほぼ中央部に形成されている。この外輪軌道凹部17、18の開口幅(図2、図3の上下幅)は、開口部側に向かって徐々に大きくなるように形成されている。つまり、外輪軌道凹部17、18は、ほぼ平面状の底面17a、18aと傾斜した側面17b、18bとを有している。
【0027】
図1および図3に示すように、トリポード20は、外輪10の筒状部11の内側に配置されている。このトリポード20は、ボス部21と、3本のトリポード軸部22とを備える。ボス部21は、環状であり、その内周側には内歯スプライン21aが形成されている。この内歯スプライン21aは、中間シャフト2の端部の外歯スプラインに嵌合連結される。また、ボス部21の外周面は、ほぼ球面凸状に形成されている。
【0028】
それぞれのトリポード軸部22は、ボス部21の外周面からそれぞれボス部21の径方向外方に延びるように立設されている。これらのトリポード軸部22は、ボス部21の周方向に等間隔(120°間隔)に形成されている。そして、それぞれのトリポード軸部22の少なくとも先端部は、外輪10の筒状部11のそれぞれの軌道溝16内に挿入されている。
【0029】
それぞれのトリポード軸部22は、円柱状に形成されており、トリポード軸部22の軸方向先端側に少し寄った部位には、径方向外方向へ凸球面状に膨出した膨出部22aが設けられている。これにより、トリポード軸部22の外周面のトリポード軸部22の軸方向の断面形状は、動力を伝達する際にトリポード軸部22が接触する中間部材40の内側動力伝達面43aに向かって凸となる凸湾曲状に形成されている。なお、トリポード軸部22の径方向外方向へ最も膨出した部位は、その軸方向中央から先端側に少し寄った所に位置している。ここで、トリポード20の回転軸(中間シャフト2の回転軸)と、トリポード軸部22の中心軸(以下、「トリポード軸」とも称する。)とは直交する。
【0030】
ニードルユニット30は、図1および図7に示すように、全体形状としては環状であり、トリポード軸部22の外周側に配置されている。さらに、ニードルユニット30は、軌道溝16が延びる方向に移動可能となるように、軌道溝16に嵌合されている。このニードルユニット30は、中間部材40と、複数の転動体50と、保持器60とから構成される。
【0031】
図1および図3に示すように、中間部材40は、一対の分割部材41、42から構成される。一対の分割部材41、42を一体的に見た場合に、中間部材40の全体形状としての外形はほぼ矩形に形成されている。さらに、中間部材40を全体としてみた場合に、中間部材40の中央には、円形孔に相当する部分が形成されている。
【0032】
一対の分割部材41、42は、トリポード軸(図3の上下方向)および中間シャフト2の回転軸(図3の前後方向)を通る平面に対して、面対称な形状からなるように別体で構成され、それぞれ独立している。そして、一対の分割部材41、42は、図1および図3に示すように、軌道溝16の側面162、163の両側からトリポード軸部22を挟むように配置されている。つまり、両分割部材41、42は、動力伝達方向(外輪回転軸回りまたは中間シャフト回転軸回りの方向)の両側からトリポード軸部22を挟むように配置されている。そして、一対の分割部材41、42は、トリポード軸部22に対して、トリポード軸部22の軸直交方向の全ての方向から見た場合に、揺動可能に設けられている。
【0033】
ここで、図4〜図6を参照して、一方の分割部材41の詳細な形状について説明する。なお、他方の分割部材42は、上述したように、一方の分割部材41と対称形状のものであるため、詳細な説明は省略する。
【0034】
分割部材41は、断面形状がほぼコ字形のブロック状に形成されている。この分割部材41の側周面は、図5に示すように、トリポード軸部22に対向する内側面41aと、軌道溝16の側面162と対向する外側面41bと、トリポード20の回転軸方向の両側に位置する側端面41c、41dと、それぞれの側端面41c、41dと内側面41aとの間に形成された分割面41e、41fとからなる。
【0035】
分割部材41の内側面41aは、ジョイント角0°時におけるトリポード軸直交方向の断面形状がほぼコ字形になっている。内側面41aのトリポード軸直交方向の中央部には、断面が円弧状でジョイント角0°時におけるトリポード軸方向に沿って延び、外周形状が長円形となった凹部43が設けられている。凹部43の長手方向(トリポード軸方向(図4の斜め上下方向))の中間部には、トリポード軸部22と接触して動力を伝達する内側動力伝達面43aが形成されている。
【0036】
内側動力伝達面43aの円弧状断面の曲率半径は、トリポード軸部22の膨出部22aの最外周面の曲率半径と同等、もしくは、それよりも少し大きくさるように設定されている。これにより、トリポード軸部22の膨出部22aと内側動力伝達面43aは、内側動力伝達面43aの幅方向において、動力伝達時に線接触乃至は点接触した状態で係合するようにされている。また、内側動力伝達面43aの円弧状断面の曲率半径は、凹部43の長手方向において一定にされている。即ち、内側動力伝達面43aは、ジョイント角0°時におけるトリポード軸部22の軸方向の断面形状がストレート状に形成されている。これにより、等速ジョイント1がジョイント角をとって作動する際に、トリポード軸部22の膨出部22aと内側動力伝達面43aとの接触部が、内側動力伝達面43a上でストレート方向に移動可能にされている。なお、内側動力伝達面43aのストレート長さL(図6参照)は、等速ジョイント1がジョイント角をとって作動する際の最大ジョイント角を考慮して適宜設定される。
【0037】
凹部43の長手方向両端部の底面43b、43cは、内側動力伝達面43aから連続し、長手方向の端縁に向かうにつれて凹部43の深さが徐々に浅くなる湾曲面で形成されている。この内側動力伝達面43aの長手方向両側に形成された両底面43b、43cは、トリポード軸部22の膨出部22aが凹部43からストレート方向へ抜け出すのを阻止するストッパ部として機能する。
【0038】
分割部材41の外側面41bの幅方向(図6の左右方向)中央部には、長手方向(図5の左右方向)に延びる中間部材軌道凹部44が設けられている。中間部材軌道凹部44の開口幅(図6の左右幅)は、開口側に向かって徐々に大きくなるように形成されている。即ち、中間部材軌道凹部44は、ほぼ平面状の底面(外側動力伝達面)44aと、傾斜した一対の側面44b、44cとを有している。この中間部材軌道凹部44は、軌道溝16に設けられた外輪軌道凹部17、18と対向する位置に設けられている。即ち、中間部材軌道凹部44および外側動力伝達面44aは、軌道溝16の側面162、163と対向する面に、軌道溝16の延伸方向に延びるように形成されている。外側動力伝達面44aの外輪回転軸方向の両端側は、僅かに湾曲するように形成されている。
【0039】
この一方の分割部材41は、外側動力伝達面44aが軌道溝16の側面162に対してほぼ平行に対向するように配置されている。なお、他方の分割部材42についても、同様に、外側動力伝達面が軌道溝16の側面163に対してほぼ平行に対向するように配置されている。即ち、外輪10の回転軸と中間シャフト2の回転軸が一致している姿勢(ジョイント角0°)において、外側動力伝達面44aは、トリポード軸部22の中心軸と中間シャフト2の回転軸を通る平面にほぼ平行となる。そして、外側動力伝達面44aは、複数(本実施形態では、3〜4個)の軸状転動体50に接触し得る範囲を有している。
【0040】
分割部材41の側端面41c、41dは、図5の左右両側、即ち、分割部材41の長手方向の両端に位置する部位である。この両側端面41c、41dは、外側動力伝達面44aにほぼ直交する平面からなる。即ち、両側端面41c、41dは、軌道溝16の側面162にほぼ直交する平面からなる。
【0041】
軸状転動体50は、図1〜図3および図7に示すように、ニードルである。そして、図1に示すように、複数の軸状転動体50が、中間部材40を一体として見た場合の外周を循環するように設けられている。複数の軸状転動体50のうち一部(本実施形態においては、3〜4個)は、軌道溝16の外輪軌道凹部17、18の底面17a、18aと一対の分割部材41、42の外側動力伝達面44aとの間に、底面17a、18aおよび外側動力伝達面44aに沿って転動可能に設けられている。つまり、軸状転動体50を介して外側動力伝達面44aと軌道溝16の底面17a、18aとの間で動力が伝達される。
【0042】
この軸状転動体50は、外周に転動面51aを有する円柱状の転動面部51と、柱延伸直交方向(図2の左右方向)に切断した断面が円形で、転動面部51の軸方向両端面からそれぞれ突出した突起部52とを備える。転動面部51の外周面に形成される転動面51aの柱延伸長さは、外輪軌道凹部17、18の底面17a、18aおよび中間部材軌道凹部44の外側動力伝達面44aの幅と同等、もしくは、底面部17a、18aおよび外側動力伝達面44aの幅よりも僅かに短くなるように設定されている。
【0043】
この転動面部51の両端面は、テーパ状に形成されている。このテーパ状の端面51bは、外輪軌道凹部17、18の側面17b、18bおよび中間部材軌道凹部44の側面44b、44cとほぼ同様のテーパ状をなしている。即ち、転動面部51は、転動面部51の外輪軌道凹部17、18の底面17a、18a側に位置する部位が外輪軌道凹部17、18に嵌め込まれるとともに、転動面部51の中間部材軌道凹部44の外側動力伝達面(底面)44a側に位置する部位が中間部材軌道凹部44に嵌め込まれるように設けられている。
【0044】
詳細には、テーパ状端面51bが外輪軌道凹部17、18の側面17b、18bおよび中間部材軌道凹部44の側面44b、44cに対して、軸状転動体50の軸方向に係合し得る関係となる。即ち、軸状転動体50は、外輪軌道凹部17、18および中間部材軌道凹部44により軸状転動体50の軸方向への移動が規制されている。そして、転動面部51の外周の転動面51aが、外輪軌道凹部17、18の底面17a、18aおよび中間部材軌道凹部44の外側動力伝達面44aに沿って転動可能となる。
【0045】
突起部52は、転動面部51の外径よりも小径に形成されている。そして、両側の突起部52の先端間距離、即ち、軸状転動体50の軸方向長さは、外輪軌道凹部17、18および中間部材軌道凹部44のそれぞれの開口幅よりも大きく形成されている。つまり、突起部52は、外輪軌道凹部17、18および中間部材軌道凹部44の外部に位置している。
【0046】
保持器60は、図7および図8(a)〜(c)に示すように、全体形状としては環状である。保持器60は、軸状転動体50が中間部材40の外周を循環可能となるように、軸状転動体50を支持している。そして、保持器60は、軌道溝16の内部にほぼ収容されている。この保持器60は、軸状転動体50の循環路を形成する一対の循環路形成部材61、62と、一対の循環路形成部材61、62を連結する一対の連結部63、64とから構成される。
【0047】
一対の循環路形成部材61、62は、保持器60の周縁に位置し、長円形をなしている。この一対の循環路形成部材61、62は、一対の分割部材41、42を囲む形状をなしている。具体的には、循環路形成部材61は、対向する直線部61a、61bと、直線部61a、61bを連結する半円弧状の湾曲部61c、61dとから構成される。また、もう一つの循環路形成部材62は、上記循環路形成部材61と同様に、直線部と湾曲部とから構成される。
【0048】
さらに、一対の循環路形成部材61、62は、軸状転動体50をその軸方向に挟むように、相互に対向して配置されている。この一対の循環路形成部材61、62には、それぞれ、軸状転動体50の突起部52が挿入されるよう、コの字形断面形状に形成されている。このようにして、一対の循環路形成部材61、62は、両突起部52を支持している。即ち、一対の循環路形成部材61、62の径方向幅(内周縁と外周縁との距離)は、軸状転動体50の転動面部51の最大径よりも小さく形成されている。従って、軸状転動体50の転動面部51は、一対の循環路形成部材61、62の外周縁から外側に突出しており、且つ、一対の循環路形成部材61、62の内周縁から内側に突出している。
【0049】
そして、それぞれの循環路形成部材61、62のコの字形の開口側が、軸状転動体50の転動面部51の軸方向長さより僅かに長い距離だけ離間した状態で、対向するように設けられている。従って、一対の循環路形成部材61、62の対向方向の最大幅は、外輪軌道凹部17、18および中間部材軌道凹部44のそれぞれの開口幅より大きく設定されている。そして、一対の循環路形成部材61、62は、軌道溝16の内部に収容されており、且つ、外輪軌道凹部17、18および中間部材軌道凹部44の外部に位置している。
【0050】
さらに、一対の循環路形成部材61、62の直線部61a、61b間の距離は、軌道溝16の溝幅(外輪軌道凹部17の開口部と外輪軌道凹部18の開口部との距離)よりも小さく設定されている。即ち、一対の循環路形成部材61、62は、軌道溝16の側面162、163に対して隙間を隔てて配置されている。
【0051】
一対の連結部63、64は、一対の循環路形成部材61、62の湾曲部61c、61dのうち周方向中央部分(図8(a)の上下端部分)をそれぞれ連結する。即ち、一対の循環路形成部材61、62の間は、連結部63、64以外の部位において開口している。
【0052】
図8(c)に示すように、連結部63、64は、保持器60の外側に開口するコの字形形状に形成されている。連結部63、64のコの字形形状の底部反開口側(保持器60の内側、以下、「底部内側面」という)は、平面状に形成されている。そして、一対の連結部63、64の底部内側面同士が、平行に且つ対向するように設けられている。さらに、この一対の連結部63、64の底部内側面の離間距離は、各分割部材41、42のトリポード回転軸方向の端面41c、41d間の距離とほぼ一致している。また、連結部63、64のコの字形形状の底部開口側(保持器60の外側、以下、「底部外側面」という)は、底部内側面に平行な平面状に形成されている。
【0053】
また、連結部63、64のコの字形の開口側の端部の一方が、循環路形成部材61の湾曲部61c、61dのそれぞれの周方向中央部分に連結され、端部の他方が、循環路形成部材62の湾曲部のそれぞれの周方向中央部分に連結される。
【0054】
そして、軸状転動体50が外輪軌道凹部17、18および中間部材軌道凹部44において最も軌道溝16の溝底側(図3の上側)に位置し、且つ、保持器60が軸状転動体50に対して最も軌道溝16の溝底側に位置する状態において、保持器60と軌道溝16の溝底面161との間に隙間を設けるように設定されている。これは、外輪軌道凹部17、18および中間部材軌道凹部44と転動面部51との軸方向移動量、軸状転動体50と保持器60との軸方向移動量、保持器60の一対の循環路形成部材61、62の軸方向厚みなどに基づいて決定される。
【0055】
さらに、保持器60の外輪10の径方向内方には、軌道溝16の開口部が位置するように設けられている。即ち、保持器60の径方向内方側に位置する循環路形成部材62は、外輪10の径方向外方には軸状転動体50に当接するが、外輪10の径方向内方には何ら規制されない。
【0056】
なお、以上のように構成された等速ジョイント1は、外輪1の内部空間内にグリース等の潤滑剤(図示せず)が封入されており、この潤滑剤によって、外輪1の内部空間内に配設されたトリポード軸部22、中間部材40、軸状転動体50および保持器60のそれぞれの摺動部における耐焼付け性が確保されている。
【0057】
次に、上述した等速ジョイント1の動作について説明する。一端側がディファレンシャルギヤに連結された外輪10が動力を受けて回転すると、外輪10から、軌道溝16の外輪軌道凹部17、18に嵌合している軸状転動体50に動力が伝達される。そして、軸状転動体50から、一対の分割部材41、42のうち動力を伝達する当該軸状転動体50に接触している方の分割部材の外側動力伝達面44aに動力が伝達される。そして、動力伝達側となる分割部材41または42の内側動力伝達面43aから、トリポード軸部22に動力が伝達される。
【0058】
このとき、前述したようにジョイント角が付加されていると、保持器60により中間部材40の外周を循環可能に支持されている軸状転動体50が、分割部材41、42のうち動力伝達側となる分割部材の中間部材軌道凹部44の外側動力伝達面44aと外輪軌道凹部17、18の底面17a、18aとの間にて、外側動力伝達面44aおよび底面17a、18aに対して軌道溝16の延伸方向への滑りを生じることなく転動する。
【0059】
また、一対の分割部材41、42のうち複数の軸状転動体50を介して動力を受けた分割部材は、凹部43の内側動力伝達面43aが接触しているトリポード軸部22の膨出部22aに動力を伝達する。このとき、前述したようにジョイント角が付加されていると、トリポード軸部22のスピン運動が発生し、トリポード軸部22が外輪10の回転軸方向に往復運動(首振り運動)する。これにより、凹部43の内側動力伝達面43aがトリポード軸部22の膨出部22aと接触している分割部材41または42は、外輪10の外輪軌道凹部17、18に対して、軸状転動体50および中間部材軌道凹部44を介して外輪10の径方向に位置決めされているので、トリポード軸部22の膨出部22aと内側動力伝達面43aとの接触部は、内側動力伝達面43a上で内側動力伝達面43aのストレート方向(外輪10の径方向)に沿って滑りながら往復運動する。そのため、トリポード軸部22の膨出部22aと内側動力伝達面43aとの接触部での油膜形成性が良好となるので、耐焼付け性の向上を図ることができる。
【0060】
なお、トリポード軸部22の膨出部22aと内側動力伝達面43aとの接触部が滑りながら往復運動するときには、内側動力伝達面43aにおいて最も動力の加わる荷重点が、内側動力伝達面43aのストレート方向に往復運動する。しかし、一対の分割部材41、42は、動力伝達側とその背面側でそれぞれ独立している。これにより、動力伝達側で発生するトリポード軸部22による荷重位置が変化したとしても、一対の分割部材41、42のうち動力伝達側の分割部材の動作が、その背面側の分割部材の動作へ影響を及ぼすことがない。従って、背面側に位置する分割部材41、42が軌道溝16に大きな力を付与することを防止できるので、このことによる誘起スラスト力の発生を抑制できる。
【0061】
さらに、上述した等速ジョイント1によれば、軸状転動体50は外輪10の外輪軌道凹部17、18に嵌め込まれている。これにより、スキューにより軸状転動体50にその軸方向へ移動しようとする力が発生した場合には、軸状転動体50は外輪軌道凹部17、18により当該移動を規制される。ところで、保持器60は、外輪軌道凹部17、18および中間部材軌道凹部44の外部に配置されている。従って、外輪軌道凹部17、18のみが、スキューによる軸状転動体50の移動を規制する効果を発揮し、保持器60は当該移動規制効果を発揮しないような構成とされている。つまり、保持器60自体が外輪10に接触することにより保持器60および軸状転動体50のスキューによる移動を規制していない。
【0062】
特に、軸状転動体50が外輪軌道凹部17、18において最も軌道溝16の溝底面161側に位置し、且つ、保持器60が軸状転動体50に対して最も軌道溝16の溝底面161側に位置する状態において、保持器60と軌道溝16の溝底面161との間に隙間が設けられている。これにより、スキューが生じた場合であっても、保持器60が外輪10の軌道溝16の溝底面161に接触することを防止できる。
【0063】
さらには、保持器60は、軌道溝16の側面162、163に対して隙間を隔てて配置されている。これにより、保持器60が、軌道溝16の側面162、163と接触することを防止できる。さらに加えて、保持器60の外輪10の径方向内方には、軌道溝16の開口部が位置している。従って、保持器60が外輪10に対して外輪径方向内方へ移動した場合であっても、保持器60が外輪10の構成部位に接触することを防止できる。
【0064】
これらによって、保持器60が外輪10と接触することによって大きな荷重を受けることを抑制できる。この結果、保持器60の曲げ剛性を高めるための処理、例えば、板厚を厚くしたり、熱処理を施したりすることをしなくてもよくなる。つまり、保持器60の低コスト化および軽量化を図ることができる。
【0065】
以上のように、本実施形態の等速ジョイント1によれば、トリポード軸部22は、中間部材40に対してトリポード軸部22の軸方向に相対移動可能とされている。これにより、等速ジョイント1がジョイント角をとって動力を伝達する際に、トリポード軸部22と中間部材40の内側動力伝達面43aとの接触部は、内側動力伝達面43a上で内側動力伝達面43aのストレート方向に沿って滑りながら往復運動する。そのため、中間部材4とトリポード軸部22との接触部での油膜形成性が良好となるので、耐焼付け性の向上を図ることができる。
【0066】
また、本実施形態の等速ジョイント1は、内側動力伝達面43aのストレート方向の両側に、中間部材40のトリポード軸部22からの抜け出しを阻止するストッパ部(凹部43の底面43b、43c)が設けられている。これにより、等速ジョイント1の組付け時や搬送時のサブアッシー状態において、中間部材40のトリポード軸部22からの抜け出しを確実に防止することができる。
【0067】
また、本実施形態の等速ジョイント1では、中間部材40は、トリポード軸部22と接触する側の面に、断面が円弧状でジョイント角0°時におけるトリポード軸部の軸方向に沿って延びる凹部43を有し、該凹部43に内側動力伝達面43aが設けられている。これにより、中間部材40とトリポード軸部22の位置決めが容易になるので、組付け作業を容易化することができる。さらに、中間部材40の内側動力伝達面43aとトリポード軸部22の接触部は、凹凸の当たりになるので面圧を小さくすることができる。
【0068】
また、本実施形態の等速ジョイント1は、中間部材40の軌道溝16の側面162、163と対向する面に、軌道溝16の延伸方向に延びる外側動力伝達面44aを有する中間部材軌道凹部44が形成され、軸状転動体50は、軸状転動体50の中間部材40側に位置する部分が中間部材軌道凹部44に嵌め込まれて外側動力伝達面44aに沿って転動可能に設けられている。これにより、軸状転動体50に対して中間部材40を位置決めすることができるので、等速ジョイント1がジョイント角をとって動力を伝達する際に、中間部材40とトリポード軸部22の接触部の内側動力伝達面43a上での移動をより確実に生起させることが可能となる。
【0069】
また、本実施形態の等速ジョイント1は、軌道溝16の側面162、163に、軌道溝16の延伸方向に延びる外輪軌道凹部17、18が形成され、軸状転動体50は、軌道溝16の側面162、163側に位置する部分が外輪軌道凹部17、18に嵌め込まれて外輪軌道凹部17、18の底面17a、18aに沿って転動可能に設けられている。これにより、スキューにより軸状転動体50にその軸方向へ移動しようとする力が発生した場合に、外輪軌道凹部17、18により軸状転動体50の当該移動を規制することができる。
【0070】
また、本実施形態の等速ジョイント1は、中間部材40が、軌道溝16の側面162、163の両側からトリポード軸部22を挟むように分離状態で配置された一対の分割部材41、42で構成されている。これにより、中間部材40を容易にトリポード軸部22に組み付けることができる。また、中間部材40を分離した二つの分割部材41、42により構成することで、動力伝達を行う面の背面側において、中間部材40と外輪10の軌道溝16との接触を抑制することができる。さらに、中間部材40を分離した二つ分割部材41、42としたとしても、中間部材40をトリポード軸部22の外周面に嵌合可能な形状とすることで、中間部材40および保持器60がトリポード軸部22から離脱することを防止することができる。
【0071】
なお、上記実施形態においては、内側動力伝達面43aのストレート方向の両側に、トリポード軸部22の抜け出しを阻止するストッパ部(凹部43の底面43b、43c)が設けられているが、このストッパ部は、必須のものではないので排除してもよい。ただし、この場合には、上述した、ストッパ部を設けることによる効果を奏しない。
【0072】
また、上記実施形態においては、外輪軌道凹部17、18の側面17b、18bおよび中間部材軌道凹部44の側面44b、44c、並びに軸状転動体50のテーパ状端面51bは、テーパ状とされているが、テーパ状に限られるものではない。
【0073】
また、上記実施形態においては、中間部材40は、独立した一対の分割部材41、42により構成されているものであるが、一体の中間部材40とすることも可能である。ただし、この場合には、上述した、分割部材41、42とすることによる効果を奏しない。
【符号の説明】
【0074】
1:等速ジョイント、 2:中間シャフト
10:外輪、 11:筒状部、 12:連結軸部
16:軌道溝、 161:溝底面、 162、163:側面
17、18:外輪軌道凹部、 17a、18a:底面、 17b、18b:側面
20:トリポード、 21:ボス部、 22:トリポード軸部、 22a:膨出部
30:ニードルユニット
40:中間部材、 41、42:分割部材、 41a:内側面、 41b:外側面
43:凹部、 43a:内側動力伝達面、 43b、43c:底面(ストッパ部)
44:中間部材軌道凹部、 44a:外側動力伝達面(底面)
50:軸状転動体
51:転動面部、 51a:転動面、 51b:テーパ状端面、 52:突起部
60:保持器、 61、62:循環路形成部材
61a、61b:直線部、 61c、61d:湾曲部、 63、64:連結部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状に形成され、内周面に外輪回転軸方向に延びる3本の軌道溝を有する外輪と、
シャフトに連結されるボス部、および、前記ボス部の外周面からそれぞれ前記ボス部の径方向外方に延びるように立設されそれぞれの前記軌道溝に挿入される3本のトリポード軸部を備えるトリポードと、
前記トリポード軸部の外周に前記トリポード軸部に対して揺動可能に設けられ、前記トリポード軸部に接触して動力を伝達する内側動力伝達面と前記軌道溝の側面と対向する外側動力伝達面とを有する中間部材と、
前記軌道溝の側面と前記外側動力伝達面との間に、前記軌道溝の側面に沿って転動可能に設けられる複数の軸状転動体と、
前記軸状転動体が前記中間部材の外周を循環可能となるように前記軸状転動体を支持する保持器と、
を備え、
前記トリポード軸部の外周面の前記トリポード軸部の軸方向の断面形状は、前記トリポード軸部が接触する前記内側動力伝達面に向かって凸となる凸湾曲状に形成され、
前記内側動力伝達面は、ジョイント角0°時における前記トリポード軸部の軸方向の断面形状がストレート状に形成され、
前記トリポード軸部は、前記中間部材に対して前記トリポード軸部の軸方向に相対移動可能であることを特徴とする摺動式トリポード型等速ジョイント。
【請求項2】
請求項1において、
前記内側動力伝達面のストレート方向の両側には、前記中間部材の前記トリポード軸部からの抜け出しを阻止するストッパ部が設けられていることを特徴とする摺動式トリポード型等速ジョイント。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記中間部材は、前記トリポード軸部と接触する側の面に、ジョイント角0°時における前記トリポード軸部の軸直交方向の断面が円弧状でジョイント角0°時における前記トリポード軸部の軸方向に沿って延びる凹部を有し、
前記内側動力伝達面は、前記凹部に設けられていることを特徴とする摺動式トリポード型等速ジョイント。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項において、
前記中間部材の前記軌道溝の側面と対向する面には、前記軌道溝の延伸方向に延びる前記外側動力伝達面を有する中間部材軌道凹部が形成され、
前記軸状転動体は、前記軸状転動体の前記中間部材側に位置する部分が前記中間部材軌道凹部に嵌め込まれて前記外側動力伝達面に沿って転動可能に設けられていることを特徴とする摺動式トリポード型等速ジョイント。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか一項において、
前記軌道溝の側面には、前記軌道溝の延伸方向に延びる外輪軌道凹部が形成され、
前記軸状転動体は、前記軌道溝の側面側に位置する部分が前記外輪軌道凹部に嵌め込まれて前記外輪軌道凹部の底面に沿って転動可能に設けられていることを特徴とする摺動式トリポード型等速ジョイント。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか一項において、
前記中間部材は、前記軌道溝の側面の両側から前記トリポード軸部を挟むように分離状態で配置された一対の分割部材で構成されていることを特徴とする摺動式トリポード型等速ジョイント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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