説明

摺動補助機構

【課題】修復構造としてより簡易化を図る。
【解決手段】本体7又は移動体Aの一方に取り付けられるケース1、ケースに移動可能に配置されてケース内に係止した待機姿勢と前記係止を解除した引込姿勢に切り換えられる一対のラッチ4、両ラッチ同士を接近する方向に付勢する付勢手段3と、他方に取り付けられる作動部材8とを備え、移動体を、本体側第1位置から第2位置への移動途中又は第2位置から第1位置への途中まで移動すると、一方ラッチが作動部材を介し係止解除し、作動部材と共に他方のラッチ側へ付勢力で接近駆動を伴って第2位置又は第1位置まで移動可能にする摺動補助機構であって、ラッチ4は、待機姿勢から引込姿勢への切り換えに連動して作動部材と係合する通常時の係合部42と、係合部に対する作動部材の非係合状態で引込姿勢となったときに作動部材と解除可能に係合する補助係合手段47を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体を本体側の第1位置から第2位置に切り換えたり、第2位置から第1位置に切り換える操作を助ける摺動補助機構に関する。
【背景技術】
【0002】
図14は特許文献1に開示されている補助機構を示し、符号21は本体側保持枠の上辺に取り付けられる引戸クローザ、符号3は移動体である引戸側に設けられる作動部材(係合ピン)である。ここで、引戸クローザ21は、ケース22と、フック体36と、付勢手段35を備えている。ケース22は、容器状をなし、一端側から長手方向に延びている係合溝部25と、摺動溝部31(直線の移動溝部32及び移動溝部32の一端側で折り曲げられている回動溝部33からなる)とを形成している。フック体36は、作動部材3を係脱する保持凹部46と、摺動溝部31に嵌合する係合凸部44,45とを有している。付勢手段35は、一端をフック体36に係止し、他端をケース22側に係止した状態で、フック体36を摺動溝部31の他端側へ付勢しており、引戸が閉から開方向へ摺動される過程で付勢力を蓄積する。作動部材3は、引戸の上端面に対し自動復帰機構4を介して突出された係合ピンである。
【0003】
そして、この補助機構では、引戸の閉操作によって作動部材3を本体側の引込クローザ21へ向けて移動させる。すると、作動部材3は、係合溝部25に入って摺動した後、フック体36の保持凹部46と係合して保持される。すなわち、フック体36は、同図(a)の待機姿勢から、作動部材3から受ける応力により係合凸部45を中心として回転され、係合凸部44が同図(b)のごとく回動溝部33から移動溝部32に嵌合して引込姿勢に切り換えられる。すると、フック体36は、引込姿勢つまり作動部材3を拘束した状態で、付勢手段35の付勢力によりケース22の後端側へ摺動される。また、この状態から、引戸の開操作によって、作動部材3がフック体36と共にケース22の前端側へ摺動され、それに伴って付勢手段35に付勢力を蓄積する。更に引戸が開方向へ動かされると、再び同図(a)の状態となる。
【0004】
以上の補助機構では、フック体36が待機姿勢から振動等で不用意に回転して保持凹部46に対する作動部材3の非係合状態で引込姿勢となる虞(以下、これを非係合状態の引込姿勢と言う)があり、その場合、作動部材3を係合溝部25に沿って摺動しても保持凹部46に係合不能となる。その修復構造としては、係合溝部25の後側に設けられた案内用拡幅溝部26と、作動部材3の支持機構としての自動復帰機構4とを備えている。自動復帰機構4は、作動部材3が不図示の回転盤等を介してプレート5の摺動孔8に沿って揺動可能、かつ不図示の巻バネによる付勢力で同図の孔一端側に押圧されている。この作動は、フック体36が非係合状態の引込姿勢において、作動部材3が引戸の閉操作によって係合溝部25に入ってフック体側傾斜面部47に当接した後、自動復帰機構4を介して拡幅溝部26に案内されながら保持凹部46と係合可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−290769号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記補助機構にあっては、引戸が閉操作されるとき、途中から付勢手段35の付勢力により閉位置まで自動的に切り換えられるため、引戸の不完全な閉状態の発生を確実に解消できる。しかしながら、上記した修復構造は、自動復帰機構4が作動部材3を引戸の厚さ方向に揺動可能に支持するため、複雑になるだけではなく、例えば、同図(b)のごとくフック体36が作動部材3と係合した引込姿勢で、引戸が開方向へ移動操作されて未だ回動溝部33に達しない段階において、該引戸に厚さ方向の衝撃が加わると、作動部材3が自動復帰機構4及び拡幅溝部26を介して保持凹部46から係合解除する虞がある。これは、引戸が本体側案内部に対し所定の遊びを持って移動自在に支持されていること、引戸が開閉操作されるとき戸厚さ方向の変荷重を受け易いこと、作動部材3の径及び保持凹部46の深さが制約されることに起因している。
【0007】
なお、上記補助機構では、例えば、図8に示したような左右の引戸A,Bを引き違いに開閉する、いわゆる引き違い戸に適用して、各引戸A,Bを途中から閉位置、及び途中から開位置にそれぞれ自動で引き込むようにする場合、引戸クローザ21を本体側の少なくとも4箇所に取り付けなくてはならなず経費及び取付工数が増大する。そのような問題に対して、本出願人らは簡略化を図りながら、例えば引戸の閉時及び開時において共に引き込み作動を付与できる補助機構を先に開発した(特願2007−76620号の機構、以下、これを両方向の補助機構と称する)。
【0008】
本発明の目的は、上記した修復構造に比べて、より簡易化を図り、しかも上記した両方向の補助機構にも適用容易な修復構造を備えることにより、用途拡大と使い勝手を向上することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため請求項1の発明は、本体もしくは移動体の一方に取り付けられるケース、及び前記ケースにそれぞれ移動可能に配置されて該ケース内の対応部に係止した待機姿勢と前記係止を解除した引込姿勢に切り換えられる一対のラッチ、並びに前記両ラッチ同士を接近する方向へ付勢する付勢手段と、前記本体もしくは移動体の他方に取り付けられて前記ラッチを待機姿勢から引込姿勢に切り換えたり引込姿勢から待機姿勢に切り換える作動部材とを備え、前記移動体を、本体側第1位置から第2位置への移動途中又は第2位置から第1位置への途中まで移動すると、前記一方ラッチが前記作動部材を介して前記係止を解除し、かつ該作動部材と共に前記他方のラッチ側へ前記付勢手段の付勢力を介した接近駆動を伴って第2位置又は第1位置まで移動可能にする摺動補助機構であって、前記ラッチは、待機姿勢から引込姿勢への切り換えに連動して前記作動部材と係合する通常時の係合部と共に、前記係合部に対する前記作動部材の非係合状態で引込姿勢となったときに前記作動部材と解除可能に係合する補助係合手段を有していることを特徴としている。
【0010】
以上の発明において、移動体としては引戸以外に引出なども含まれる。本体としては引戸用の枠や引出用の収納部なども含まれる。第1位置は移動体の完全な閉位置や開位置を示し、これには移動体を収納部に完全に押し入れた閉位置や引き出した開位置も含まれる。第2位置は移動体の完全な開位置や閉位置を示し、これには移動体を収納部から完全に引き出した開位置や押し入れた閉位置も含まれる。補助係合手段は、ラッチが係合部に作動部材を係合せずに引込姿勢になったときに、作動部材と係合してラッチを再び引込姿勢から待機姿勢に切換可能にする。なお、補助係合手段は形態例のごとくラッチのうち、付勢手段の付勢方向と反対側に設けられて、ラッチが非係合状態の引込姿勢で作動部材と係合する。また、請求項1において、ケース、ラッチ、付勢手段は形態例や特許文献1のごとく引込ユニットとして構成される。
【0011】
以上の各発明は請求項2〜4のごとく次のように具体化されることがより好ましい。
(ア)前記ケースに対し摺動自在に配置され、かつ前記ラッチを回転可能に支持しているスライダーを有している構成である(請求項2)。
(イ)前記作動部材は前記本体ないしは移動体に対し付勢力を介して出没自在に設けられた突起体であり、前記補助係合手段は前記ラッチに形成されて前記突起体を導く斜面案内部及び該斜面案内部に連なる凹部からなる構成である(請求項3)。
(ウ)前記補助係合手段は前記作動部材を磁力により吸着係合される構成である(請求項4)。
(エ)前記ラッチは、前記係合部を形成している箇所がそれ以外の箇所と異なる材質からなる構成である(請求項5)。この場合、より好ましくは前記係合部を形成している箇所がそれ以外の箇所より軟質に形成されている構成である(請求項6)。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明では、移動体を本体側第1位置から第2位置方向へ切り換える途中、及び第2位置から第1位置方向へ切り換える途中、つまり移動体を各途中から付勢手段の付勢力により自動的に引き込んで第2位置又は第1位置にそれぞれ切り換える補助機構として、次の利点を具備できる。
【0013】
すなわち、この発明では、ラッチが誤作動で非係合状態の引込姿勢になったとしても、作動部材がラッチに設けられた補助係合手段に係合して、該ラッチを再び引込姿勢から待機姿勢に切換可能にする。この補助係合手段は修復構造として、上記従来の修復構造に比べてケース側への追加加工がなく、しかも作動部材を移動体厚さ方向に揺動可能に支持しなくてもよいため、簡易であり、経費を抑えて実施できる。
【0014】
請求項2の発明では、ラッチがスライダーを介して移動されたりスライダーに対し回転可能に支持されるため、上記引込作動及び修復作動をより確実に得られるようにする。
【0015】
請求項3の発明では、図1〜図11の形態例のごとく、作動部材が付勢力を介して出没される突起体、補助係合手段が突起体を導く斜面案内部及び該斜面案内部に連なる凹部からなるため容易に実施可能となる。これに対し、請求項4の発明では、図13(b)の変形例のごとく磁力作用を利用して容易に実施可能となる。
【0016】
請求項5と6の発明では、ラッチとして、係合部を形成している箇所がそれ以外の箇所よりも硬質に形成されていると作動部材に対する衝撃特性ないしは耐久性を向上でき、逆に、係合部を形成している箇所がそれ以外の箇所よりも軟質に形成されていると作動部材の衝突に起因した打音発生をなくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】(a)は形態例の引込ユニットの下面図、(b)は側面図、(c)は片側端面図である。
【図2】上記引込ユニットを概略的に示す分解構成図である。
【図3】上記引込ユニットからカバーを外し、かつ右側のラッチを引込姿勢で示す平面図である。
【図4】上記引込ユニットを構成している一方スライダーを示し、(a)は上側から見た概略斜視図、(b)は(a)から時計回り略90度変位した概略斜視図である。
【図5】上記引込ユニットを構成している他方スライダーを示し、(a)は上側から見た概略斜視図、(b)は(a)から時計回り略90度変位した概略斜視図である。
【図6】上記引込ユニットを構成しているラッチ(一方スライダー側のラッチ)を示し、(a)は上面図、(b)は正面図、(c)は下面図、(d)は背面図である。
【図7】(a)は図6のB−B線拡大断面図、(b)は図6のA−A線拡大断面図、(c)は図6のC−C線拡大断面図である。
【図8】(a)は上記引込ユニットの適用例を示す模式図、(b)は上記引込ユニットに使用される作動部材の構成を示す分解図である。
【図9】本体側の枠と引込ユニット及び作動部材の関係を示し、(a)は引き違い戸を開位置に切り換えた全開の模式図、(b)は引き違い戸を閉位置に切り換えた全閉の模式図、(c)は(b)から左側ラッチが誤作動で引込姿勢になった模式図である。
【図10】(a)はラッチの待機姿勢を上側から見た作動図、(b)はその待機姿勢を下側から見た図である。
【図11】(a)はラッチの引込姿勢を上側から見た作動図、(b)はその引込姿勢を下側から見た図である。
【図12】(a)は図9(c)の引込姿勢にあるラッチに対し作動部材が係合するときの要部作動を示し、(b)は該要部作動を立体的に示す図である。
【図13】(a)は第1変形例を示し、(b)は第2変形例を示している。
【図14】特許文献1の機構要部を示す説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の形態例を図面を参照しながら説明する。図1は形態例の摺動補助機構のメイン部となる引込ユニットを示し、図2と図3は引込ユニットの内部構成を示し、図4〜図7はスライダー及びラッチの細部を示し、図8と図9は使用例を示し、図10〜図12は要部作動を示し、図13は変形例を示している。なお、これらの図面は、作図上、一部を省略したり簡略化している。以下、機構特徴、引込ユニット、作動部材、組立、主作動、変形例の順に詳述する。
【0019】
(機構特徴)本発明の摺動補助機構は、本体7もしくは移動体として引戸A(B)の一方に取り付けられる引込ユニット6と、本体7もしくは引戸A(B)の他方に取り付けられる作動部材としての突起体8とからなる。以下の形態例では、引込ユニット6を本体7に取り付け、突起体8を引戸A(B)に取り付けた場合を示したが、引込ユニット6を引戸A(B)に取り付け、突起体8を本体7に取り付けることも可能である。また、引込ユニット6は、ケース1、スライダー2、ラッチ4、付勢手段3、制動手段5を備えているが、例えば、特許文献1のごとくスライダー2及び制動手段5を省略することも可能である。
【0020】
ここで、本体7は、例えば、開口部を有したキッチンや棚等、或いは収納空間を有した机や複写機等である。移動体は、引戸A,Bに限られず、物入れ用の引出体等であってもよく、本体7の開口部や収納空間に設けられたガイドレールなどに沿って閉位置(全閉位置であり、引出体では押入位置に相当する)と開位置(全開位置であり、引出体では引出位置に相当する)との間で摺動可能に配置される。また、引込ユニット6及び突起体8は、対象の移動体や引き込み作動設定により次の3種類の構成に大別される。
【0021】
第1の構成は、図1〜図7に示した引込ユニット6及び2つの突起体8を組として使用する場合である。引込ユニット6は、互いに接離する方向へ摺動される対のスライダー2A,2Bと、スライダー2A,2B同士を接近する方向へ付勢している付勢手段3と、各スライダー2A,2Bの摺動速度を制動する制動手段5と、各スライダー2A,2Bにそれぞれ回転可能に支持されて、ケース1内の対応部に解除可能に係止されることによりスライダー2A,2B同士を離間した状態に保持可能な対のラッチ4,4とを配置している。換言すると、この構成は、移動体として図8(a)の引戸A,Bの一方、例えば単一の引戸Aを本体7の対応する開口部に対し摺動するような場合であり、引戸Aを閉位置から開方向への移動途中、及び開位置から閉方向への途中まで移動すると、後は付勢手段4の付勢力により開位置や閉位置まで移動されるようにする。なお、請求項2の発明はこのような構成を想定して特定したものである。
【0022】
第2の構成は、移動体として図8(a)の引戸A,Bを本体7の対応する開口部に対しそれぞれ摺動するような場合で、同図では2つの引出ユニット6及び合計4つの突起体8を組として使用したが、それに代えて、引戸Aに対応した引込ユニット6及び引戸Bに対応した引込ユニット6の各ケース1以外の構成部材を共通ケースに組み付けるようにする(特願2007−76620号を参照)。換言すると、この引込ユニットでは、互いに接離する方向へ摺動される対のスライダー2A,2Bと、スライダー2A,2B同士を接近する方向へ付勢している付勢手段3と、各スライダー2A,2Bの摺動速度を制動する制動手段5と、各スライダー2A,2Bにそれぞれ枢支されていると共に、ケース1側に解除可能に係止されることによりスライダー2A,2B同士を離間した状態に保持可能な対のラッチ4,4とを単位とし、この2組を同じケースに対し配置している構成である。これは、以下の構成から理解容易なことからこれ自体の説明は省く。
【0023】
第3の構成は、特許文献1に開示のごとく移動体を一方向へだけ引き込む場合である。この引込ユニットは、例えば、図3において、スライダー2A,2Bの一方を省略し、付勢手段3の一端をスライダーに係止すると共に他端をケース側に係止し、制動手段5の一端をスライダーに係止すると共に他端をケース側に係止する最も簡易な構成となる。なお、請求項1の発明はこのような構成を想定して特定したものである。この構成及び作動も、以下の構成から理解容易なことからこれ自体の説明も省く。
【0024】
(引込ユニット)引込ユニット6において、ケース1は、図1〜図3に示されるごとく上側を開口した空間部10と、空間部10の左右に張り出している本体側への取付部10aとを一体に形成していると共に、空間部10を閉じるカバー15を有している。空間部10は、細長い矩形の容器状をなし、下面11と両側面12と左右の端部13で区画されている。下面11には、幅中間に位置して左右に延びているガイド孔11aと、断面が略凹状のスライダー用ガイド溝11bと、断面が略L形のラッチ用ガイド部14とが設けられている。このうち、スライダー用ガイド溝11bとラッチ用ガイド部14は、図示しないが、カバー15の下面にも対向するよう設けられている。
【0025】
すなわち、下面11のガイド孔11aは、上下貫通しており突起体8をケース内に移動案内する。ガイド溝11bは、ガイド孔11aの一方側で対向した端部13と端部13との間に設けられた直線溝である。そして、下面11のガイド溝11bとカバー15のガイド溝は、スライダー2A,2Bの上下面に設けた突起22又は32と嵌合した状態でスライダー2A,2Bの摺動を案内する。ガイド部14は、ガイド孔11aの他方側で、ガイド孔11aの孔縁に沿って設けられている。また、下面11のガイド部14とカバー15のガイド部は、それぞれガイド孔11aと平行な対の直線溝14aと、直線溝14aの両側に設けられた略L形の係止溝14bとからなる。そして、ラッチ4が後述する上下面に設けられた凸部52を有し、該凸部52を嵌合した状態で直線溝14aに沿ったラッチ4の摺動を案内し、かつ、凸起52が係止溝14bと係合することでラッチ4(及びスライダー)の摺動を係止する。なお、符号12bは係止溝14を区画している筋状の壁部であり、係止溝14bを区画している壁部分が一段高く形成されていて、ラッチ4の凸部52が係合したときに不用意に係止解除されないようにしている。
【0026】
ケース側の両側面12及びカバー側の両側17には、カバー15を空間部10に配置したときに互いに係合する鉤状係止部12aと穴状係合部17aとが複数対に設けられている。また、ケース側の取付部10b及びカバー側の左右端面18には、カバー15を空間部10に配置したときに互いに係合する凹状係止部10dと凸状係合片18aとが設けられている。この例では、カバー15がそれらの係合を介してケース1に一体化される。なお、ケース1のうち、 左右の取付部10aは、幅方向の断面が逆凹状となっており、突起体8がその逆凹状部からガイド孔11aに沿って摺動可能となっている。
【0027】
スライダー2A,2Bは、ケース側下面11とカバー15との間の空間に配置されるものであり、図2〜図5に示されるごとくラッチ用支持部20,30及び該支持部の片側に接続部20a,30aを介して一体化された制動手段用連結部21,31とからなる樹脂製のブロック状をなしている。
【0028】
なお、制動手段5としてはピストン式ダンパー式が使用されている。このピストン式ダンパーは公知のもの(例えば、特開2006−29564号等)であればよく、シリンダー50及び該シリンダー50に緩やかに出没されるピストンロッド51を有し、ピストンロッド51が固定されているシリンダー50に対し緩やかに駆動したり、シリンダー50が固定されているピストンロッド51に対し緩やかに駆動する構成であればよい。但し、シリンダー50は後端外周に不図示の首状係止溝を有し、ピストンロッド51は先端外周に首状係止溝を有している。また、この例では、制動手段5としてピストン式ダンパーを使用した関係で、両スライダー2A,2Bが異形状になっているが、制動手段としてロータリー式ダンパーを使用するような場合は同形状に設定可能である。
【0029】
スライダー2A,2Bは、連結部21,31が上下面2a,2b又は3a,3bの一部を形成している点、連結部21の上下面2a,2b又は連結部34の上下面3a,3bに設けられて左右に延びた突起22又は32を有している点、支持部20,30が内側側面に設けられてシリンダー50をガイドする断面円弧状のガイド部20b,30bを有している点、支持部20,30が上下面2a,2b又は3a,3bより一段低くなった箇所に設けられてラッチ4の動きを規制する溝23又は33を上下面に有している点、支持部20,30が更に低くなった上面に突設されて付勢手段3であるコイルばねの対応する端部を係止する掛止め部25又は35を有している点、支持部20,30が溝23又は33の近くに設けられて図10のごとくラッチ4を回転可能に枢支する軸部26又は36を上下面に有している点、支持部20,30の外側面に突出された複数の突部27,37を有している点、支持部20,30の下面側にあって軸部26又は36や溝23又は33の近くに設けられた外側の凸部28又は38、及び内側の小凸部29を有している点で共通している。
【0030】
このうち、各突起22,32は直線状に延びており、上記したケース側ガイド溝11b及びカバー15側ガイド溝に嵌合する。各溝23,33は、略L形の壁部で区画されており、軸部26又は36と対向する側を開口している。掛止め部25,35と軸部26,36とは、各溝23,33を挟んだ左右に位置している。凸部28,38はケース側ガイド孔11aに沿って摺動され、小凸部29はケース側ガイド部14の直線溝14aに沿って摺動される。また、スライダー2Aの連結部21は、内端面に設けられた差込穴24a及び外側から差込穴24aに向かって切り欠いた逃げ部24bとを有している。これに対し、スライダー2Bの連結部31は、内端面との間に隙間34aを保って設けられた略U形のクランプ部34aを有している。
【0031】
以上のスライダー2A,2Bには、ラッチ4が軸部26,36を支点として回転可能に組み付けられる。このラッチ4は、図2のごとくスライダー2Aに用いるラッチと、スライダー2Bに用いるラッチが左右対称形となる。図面中、図6と図7はスライダー2A側のラッチを示し、図10と図11はスライダー2B側のラッチを示している。ここでは、図6と図7に基づいて説明する。すなわち、ラッチ4は、樹脂成形体であり、スライダー側に枢支する支持部40と、支持部40の一側に設けられて作動部材である突起体8と通常時に係合する係合部42と、ラッチ下面側にあって係合部42より先端45側に設けられている補助係合手段47とを一体に形成している。
【0032】
このうち、支持部40は、図6(d)のごとく上下部分及び係合部42側を除いて欠肉40aされた略凹状をなし、凹状内に突出されている突起40bと、上下部分に貫通形成された軸孔43と、上下部分からそれぞれ水平方向へ延設された突起44,44とを有している。係合部42は、支持部40の片側に略U形に設けられている。また、係合部42を形成している箇所Cは、図6(a)の上面側が一段低く、図6(c)の下面側が支持部40の外面と面一となっている。
【0033】
補助係合手段47は、ラッチ4が誤作動で非係合状態の引込姿勢になったときに突起体8と係合し、それによりラッチ4を引込姿勢から待機姿勢に切換可能にする。この例では、図12に模式的に示されるごとくラッチ下面側で先端側を大きく落ち込んだ段差状にし、突起体8を導く先端側の斜面案内部47a及び該斜面案内部47aに連なって一段深くなった凹部47bから構成されている。斜面案内部47aは先端に行くほど低くなるテーパーである。使用態様において、突起体8は斜面案内部47aに対し上向きに当接すると、突出量を減じながら斜面案内部47aに沿って摺動し、凹部47bに入ると再び突出量を増大して該凹部47bとの係合を維持する。
【0034】
また、以上のラッチ4は、係合部42を形成している箇所Cがそれ以外の箇所と異なる材質で構成されている。この例では、係合部42を形成している箇所Cがそれ以外の箇所よりも柔らかい軟質の樹脂素材にて構成されている。詳述すると、ラッチ4は、2色成形法に成形されて、ラッチ骨材(箇所Cを除く箇所)が一次成形で形成されたABS(アクリロニトリル・プタジェン・スチレン重合体)等の硬質樹脂部、係合部42を形成している箇所Cが二次成形されたポリエステル系エラストマー又はポリプロピレン系エラストマー等の軟質樹脂部である。これは、突起体8が係合部42のU形対応部に衝突したときに異音が発生し易くなるが、U形対応部を軟質樹脂部で構成することによりそのような打音発生を解消できるためである。なお、他の素材構成としては、係合部42を形成している箇所Cをそれ以外の箇所よりも硬い樹脂素材にて構成することも可能であり、その場合は係合部42の耐久性を向上できる。
【0035】
(作動部材)作動部材である突起体8は、図8に示されるごとく移動体である引戸A(B)に対し付勢力を介して出没自在、つまり負荷を受けると付勢力に抗して突出量を減じる構成である。同(b)の構造では、突起体8と、有底筒形の支持部35と、付勢ばね37と、保持部材36とを有している。このうち、突起体8は支持部35の上端面に突設されている。支持部35は、内部が付勢ばね37を配置する空洞35aになっていると共に、対向側面に凸部35bを突設している。保持部材36は、有底筒形からなり、筒上周囲に取付部36cを突設していると共に、対向側面に穴部36bを形成している。そして、支持部35は、保持部材36に対し、付勢ばね37を支持部35内に配置した状態で保持部材36の穴部36aに押し込まれ、かつ凸部35bを穴部36bに係合して抜け止め処理される。この組立状態では、突起体8は、支持部35と共に保持部材36に対し付勢ばね37の付勢力により最大まで突出されて、例えば下向き荷重を受けると、付勢ばね37の付勢力に抗して突出量を減ずる。なお、本発明の突起体8は、付勢力を介して上下に出没する構成であればよく、例えば、特開2007−107301号に開示されているガイド軸構成又はそれに類似する構成でもよい。
【0036】
(組立)以上の各部材は、例えば、各ラッチ4をスライダー2A,2Bに枢支した後、スライダー2A,2B同士を制動手段5であるピストン式ダンパーに取り付ける。次に、それらをケース1に付勢手段4と共に組み込み、かつケース1にカバー15を取り付けることで引込ユニット6として完成される。
【0037】
まず、各ラッチ4は、スライダー2A,2Bに対し、各軸孔43と各軸部26又は各軸部43と各軸部36の嵌合により回転可能に支持される。その後、スライダー2A,2B同士が制動手段5であるピストン式ダンパーを介して連結される。この場合、ピストンロッド51は、スライダー2Aの連結部21に対し、先端を差込穴24aに挿入した状態で、図2に示した止め輪52等を逃げ部24bから上記したロッド先端外周の係止溝に係合することで連結される。シリンダー50は、スライダー2Bの連結部31に対し、上記したシリンダー側係止溝をクランプ部34に係合することで連結される。
【0038】
次に、以上のラッチ4付きのスライダー2Aと2B、制動手段5、付勢手段3を組とし、ケース1に対し配置されるとともにカバー15により覆われる。ここでは、例えば、図2及び図10において、ケース側ガイド溝11に対しスライダー2Aとスライダー2Bがその対応する突起22又は突起32を嵌合し、ケース側ガイド部14に対し各ラッチ4がその対応する凸部46を嵌合し、その状態から、付勢手段3であるコイルスプリングがスライダー2Aと2Bとの間に配置される。すなわち、該コイルスプリングは、一端がスライダー2Aの掛止め部25に係止され、他端がスライダー2Bの掛止め部35に係止される。
【0039】
以上の状態から、例えば、スライダー2Aとスライダー2Bとを付勢手段3の付勢力に抗して最大まで離間させ、スライダー2A側のラッチ4の凸部46を一方の係止溝14bに係合し、スライダー2B側のラッチ4の凸部46を他方の係止溝14bに係合しておく。この過程において、スライダー2A側のラッチ4とスライダー2B側のラッチ4は、図11のごとくラッチ4の先端側を当該スライダー側に接近する姿勢、つまり突起体8と係合する引込姿勢から、図10のごとく軸部26又は36を支点としてラッチ4の先端側を当該スライダー側より離間する姿勢、つまり突起体8と係合解除する待機姿勢ないしは非引込姿勢へ回動切り換えられる。引込姿勢では、ラッチ4が突起44をスライダー2Aの溝23、又はスライダー2Bの溝33と嵌合した状態でその姿勢に保たれる。最後に、カバー15がケース1に対し押圧操作により取り付けられる。
【0040】
(作動)作製された摺動補助機構は、上記した組立状態において、各スライダー2A,2B及び各ラッチ4並びに制動手段5、付勢手段3がケース側下面11とカバー15の下面との間に挟み込まれている。各スライダー2A,2Bは、上下の突起22,32が対応するガイド溝11bに嵌合され、該嵌合状態を保って摺動される。各ラッチ4は、上下の凸部46が対応するガイド部14に嵌合され、各凸部46が直線溝14aに嵌合すると上記した引込姿勢となり、各凸部46が係止溝14bに係合すると上記した待機姿勢に切り換えられる。
【0041】
次に、具体的な作動を図8(a)と図9〜図12を参照しながら詳述する。なお、図9は以上の摺動補助機構を図8(a)の引き違い戸に適用した場合を模式的に示し、符号70は本体7側の開口部に設けられた引戸用枠の上辺側ガイドレールを想定している。図9(a)は引戸A,Bを開口部を全開した状態、同(b)は引戸A,Bを開口部を全閉した状態であり、ガイドレール70側に取り付けられる引込ユニット6と、引戸A,Bに設けられる各突起体8の概略的な位置関係を示している。
【0042】
(1)図9において、引戸A,Bを同(b)から同(a)の開口部を全開する場合は、引戸Aだと右側へ移動操作し、引戸Bだと左側へ移動操作する。すると、引戸Aは、途中まで移動されると、右側のスライダー2Bがラッチ4(引込姿勢になっている)に係合している突起体8の移動に連動して右側へ摺動され、ラッチ側凸部46が図11の直線溝14aから係止溝14bに入る。すると、スライダー2Bのラッチ4は、図10のごとく軸部36を支点として逆時計回りへ回転しながら、凸部46が係止溝14bに係合して待機姿勢に切り換えられる。この過程では付勢手段3に付勢力が蓄積される。
【0043】
その後、引戸Aの左側の突起体8がスライダー2Aのラッチ4(待機姿勢になっている)の係合部42の対応部に当たる。ラッチ4は、その応力により軸部26を支点として逆時計回りに回動されて、各凸部46が係止溝14bから係止解除されて直線溝14aに嵌合し、図11(a)と同様に突起体8を係合部42に係合した引込姿勢に切り換えられる。すると、スライダー2Aは、ラッチ4と共に付勢手段3の付勢力によりスライダー2B側へ引き込まれて引戸Aを同(a)の閉位置に切り換える。この場合、スライダー2Aは突起22がガイド溝11bに沿って案内され、ラッチ4は凸部46が直線溝14aに沿って案内される。なお、引戸Bも引戸Aと同様にして閉位置に切り換えられる。また、この形態では、引戸A,Bが前記した付勢手段3の付勢力により移動されるときは上記した制動手段5の制動を受けて緩やかに摺動される。
【0044】
(2)図9において、引戸A,Bを同(a)から同(b)の開口部を全閉する場合は、引戸Aだと左側へ移動操作し、引戸Bだと右側へ移動操作する。例えば、引戸Aは、途中まで移動されると、左側のスライダー2Aがラッチ4(引込姿勢になっている)に係合している突起体8の移動に連動して左側へ摺動され、ラッチ側凸部46が図11の直線溝14aから係止溝14bに入る。すると、スライダー2Aのラッチ4は、図10のごとく軸部36を支点として逆時計回りへ回転しながら、凸部46が係止溝14bに係合して待機姿勢に切り換えられる。この過程では付勢手段3に付勢力が蓄積される。
【0045】
その後、引戸Aの右側の突起体8がスライダー2B側のラッチ4(待機姿勢になっている)の係合部42の対応部に当たる。ラッチ4は、その応力により軸部36を支点として時計回りに回動されて、各凸部46が係止溝14bから係止解除されて直線溝14aに嵌合し、図11(a)のごとく突起体8を係合部42に係合した引込姿勢に切り換えられる。すると、スライダー2Bは、ラッチ4と共に付勢手段3の付勢力によりスライダー2A側へ引き込まれて引戸Aを同(b)の閉位置に切り換える。この場合、スライダー2Bは突起32がガイド溝11bに沿って案内され、ラッチ4は凸部46が直線溝14aに沿って案内される。なお、引戸Bも引戸Aと同様にして閉位置に切り換えられる。また、この形態では、引戸A,Bが前記した付勢手段3の付勢力により移動されるときは上記した制動手段4の制動を受けて緩やかに摺動される。
【0046】
(3)図9(c)は、同(b)の状態から、例えば、引戸Aを矢印方向(右側)へ移動し始めたときに、スライダー2A側のラッチ4が衝撃等により係止溝14aから不用意に係止解除した場合を想定している。この形態では、そのような誤作動が発生したとき補助係合手段7により簡単に正規状態に修復できる。
【0047】
すなわち、この修復操作は、引戸Aを矢印方向へ更に移動、つまり同(a)の少し手前まで移動操作する。この場合、スライダー2A側のラッチ4は図12のごとく引込姿勢になっている。引戸Aが右側へ移動操作されると、引戸Aに設けられている左側の突起体8が同(a)のごとく補助係合手段7の斜面案内部47aに入って、該斜面案内部47aの傾斜度に応じて上記した付勢ばね37の付勢力に抗して若干突出量を減じた後、再び突出量を増大して一段深くなった凹部47bに係合する。
【0048】
そこで、今度は引戸Aを図9(b)のごとく左側へ移動操作する。この移動により、ラッチ側凸部46がガイド部14の直線溝14aから係止溝14bの入口に達した後、突起体8が付勢ばね37による出没作用(一旦、付勢ばね37の付勢力に抗して突出量を減じ、再び付勢力で突出量を増大すること)を介して凹部47bから係合解除される。すると、スライダー2Aのラッチ4は、その係合解除時の反力により軸部26を支点として時計回りへ回転しながら、凸部46が係止溝14bに係合して待機姿勢に切り換えられる。これにより、引戸Aに対して、スライダー2Aのラッチ4、及びスライダー2Bのラッチ4は図9(a)の状態となって修復される。このような修復構造は、特許文献1に比べて簡易であり、突起体8が付勢力を介して上下に出没するため引戸A(B)の厚さが薄い場合も適用し易く、しかも戸のガタキツ等の影響を受け難くいものとなる。
【0049】
(変形例)図13は以上の修復構造である補助係合手段47の変形例を示している。この説明では、上記形態と同じ箇所に同一符号を付し変更点だけを明らかにする。
(1)同(a)のラッチ4Aは、先端側に設けられて突起体8を弾性的に係脱する係合穴部48を有している。この構造だと、突起体8は単純な軸やピンでよいが、係合穴部48に対する突起体8の係合度ないしは係合強度の設定が重要となる。
【0050】
(2)同(b)のラッチ4Bは、先端側に設けられて突起体8を磁力で着脱する磁石49を有している。この構造だと、突起体8は単純な金属製の軸やピンでよいが、磁石4と突起体8の吸着度合いの設定が重要となる。
(3)他の変形例としては、図示しないが、以上のラッチとして、ラッチの先端側を分割してラッチ本体及び分割部で構成する。また、分割部は、ラッチ本体に対し回転可能かつ弾性復帰可能に枢支する。そして、突起体8が分割部に当たると、該分割部が付勢力に抗して反転することで、突起体8が上記係合部42に係合可能となる。そのような構成も考えられる。以上のように本発明は、請求項で特定された要件を除いて適宜に変更可能なものである。
【符号の説明】
【0051】
1…ケース(15はカバー)
2A…スライダー(22は突起、26は軸部、25は掛止め部)
2B…スライダー(32は突起、36は軸部、35は掛止め部)
3…付勢手段
4,4A,4B…ラッチ(40は支持部、42は係合部)
5…制動手段(50はシリンダー、51はピストンロッド)
6…引込ユニット
7…本体
8…突起体(作動部材、35は支持部、36は保持部材、37は付勢ばね)
14…ガイド部(14aは直線溝、14bは係止溝)
47…補助係合手段(47aは斜面案内部、47bは凹部)
48…係合穴部(補助係合手段)
49…磁石(補助係合手段)
A,B…引戸(移動体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体もしくは移動体の一方に取り付けられるケース、及び前記ケースにそれぞれ移動可能に配置されて該ケース内の対応部に係止した待機姿勢と前記係止を解除した引込姿勢に切り換えられる一対のラッチ、並びに前記両ラッチ同士を接近する方向へ付勢する付勢手段と、
前記本体もしくは移動体の他方に取り付けられて前記ラッチを待機姿勢から引込姿勢に切り換えたり引込姿勢から待機姿勢に切り換える作動部材とを備え、
前記移動体を、本体側第1位置から第2位置への移動途中又は第2位置から第1位置への途中まで移動すると、前記一方ラッチが前記作動部材を介して前記係止を解除し、かつ該作動部材と共に前記他方のラッチ側へ前記付勢手段の付勢力を介した接近駆動を伴って第2位置又は第1位置まで移動可能にする摺動補助機構であって、
前記ラッチは、待機姿勢から引込姿勢への切り換えに連動して前記作動部材と係合する通常時の係合部と共に、前記係合部に対する前記作動部材の非係合状態で引込姿勢となったときに前記作動部材と解除可能に係合する補助係合手段を有していることを特徴とする摺動補助機構。
【請求項2】
前記ケースに対し摺動自在に配置され、かつ前記ラッチを回転可能に支持しているスライダーを有していることを特徴とする請求項1に記載の摺動補助機構。
【請求項3】
前記作動部材は前記移動体に対し付勢力を介して出没自在に設けられた突起体であり、前記補助係合手段は前記ラッチに形成されて前記突起体を導く斜面案内部及び該斜面案内部に連なる凹部からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の摺動補助機構。
【請求項4】
前記補助係合手段は前記作動部材を磁力により吸着係合されることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の摺動補助機構。
【請求項5】
前記ラッチは、前記係合部を形成している箇所がそれ以外の箇所と異なる材質からなることを特徴とする請求項1から4の何れから記載の摺動補助機構。
【請求項6】
前記係合部を形成している箇所がそれ以外の箇所より軟質に形成されていることを特徴とする請求項5に記載の摺動補助機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−167540(P2012−167540A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−108062(P2012−108062)
【出願日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【分割の表示】特願2008−149908(P2008−149908)の分割
【原出願日】平成20年6月6日(2008.6.6)
【出願人】(000135209)株式会社ニフコ (972)