説明

摺洗具

【課題】接着、乾燥などの煩雑な工程を要することなく取付基片に対して軟質部材を容易にかつ強固に固定できると共に、摺洗能力に優れた摺洗具を提供する。
【解決手段】この発明の摺洗具1は、略板状の軟質部材が、その長さ方向又は幅方向の中間部で屈曲されて2つ折り状に形成されてなる第1摺洗部材4と、第1摺洗部材4を取り付ける取付面11に溝が形成された取付基片2とを備えてなり、第1摺洗部材4は、その中間部が可撓性結束帯3により取付基片2の溝内に引き込まれた状態で結束固定されることによって該中間部で屈曲されて2つ折り状に形成され、該第1摺洗部材4の2つ折りの一対の半体4a、4bが取付基片2の取付面11から略垂直状に立ち上がった状態に配置されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、鍋、瓶、コップ、ポット、水さし等の各種容器の内面等を摺洗するのに好適に用いられる摺洗具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の摺洗具としては、基板の片面に複数の繊維束からなるブラシ部材と共にスポンジを設けた構成のものが公知である(特許文献1参照)。このような構成を採用すると、スポンジにより摺洗時の泡立ちを良くすることができると共に泡持ちも良くなるので、摺洗能力に優れたものとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】登録実用新案第3030815号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の摺洗具では、スポンジを基板の片面に接着剤で固定しているので、使用を重ねているうちにスポンジがこの接着面から剥がれ易く、耐久性に劣るという問題があった。また、接着剤を用いた接合を行うものであるから、時間を要する乾燥工程が必要となり、生産性が悪いという問題もあった。
【0005】
この発明は、かかる技術的背景に鑑みてなされたものであって、接着、乾燥などの煩雑な工程を要することなく取付基片に対して軟質部材を容易にかつ強固に固定できると共に、摺洗能力に優れた摺洗具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
【0007】
[1]保水性の軟質部材が、可撓性結束帯により取付基片の取付面に結束固定されてなることを特徴とする摺洗具。
【0008】
[2]略板状の軟質部材が、その長さ方向又は幅方向の中間部で屈曲されて2つ折り状に形成されてなる第1摺洗部材と、
前記第1摺洗部材を取り付ける取付面に溝が形成された取付基片と、
可撓性結束帯とを備えてなり、
前記第1摺洗部材は、前記中間部が前記可撓性結束帯により前記取付基片の溝内に引き込まれた状態で結束固定されることによって該中間部で屈曲されて2つ折り状に形成され、該第1摺洗部材の2つ折りの一対の半体が前記取付基片の取付面から略垂直状に立ち上がった状態に配置されていることを特徴とする摺洗具。
【0009】
[3]前記取付基片における前記溝の長さ方向の両端側に位置する一対の側面のそれぞれに該溝の内部空間と連通する貫通孔が形成され、前記一対の貫通孔に挿通された可撓性結束帯と前記溝の底面との間に前記第1摺洗部材の中間部が挟み付けられた状態で前記可撓性結束帯の両端部同士が連結されることによって前記第1摺洗部材の中間部が可撓性結束帯により前記取付基片の溝内に引き込まれた状態で結束固定されている前項2に記載の摺洗具。
【0010】
[4]前記取付基片の取付面と反対側の背面に、前記溝におけるその長さ方向の両端側の位置と連通する貫通孔が形成され、前記一対の貫通孔に挿通された可撓性結束帯と前記溝の底面との間に前記第1摺洗部材の中間部が挟み付けられた状態で前記可撓性結束帯の両端部同士が連結されることによって前記第1摺洗部材の中間部が可撓性結束帯により前記取付基片の溝内に引き込まれた状態で結束固定されている前項2に記載の摺洗具。
【0011】
[5]前記溝の形成位置の略直下位置で前記取付基片の内部を水平方向に貫通する貫通孔が形成され、前記貫通孔に挿通された可撓性結束帯と前記溝の底面との間に前記第1摺洗部材の中間部が挟み付けられた状態で前記可撓性結束帯の両端部同士が連結されることによって前記第1摺洗部材の中間部が可撓性結束帯により前記取付基片の溝内に引き込まれた状態で結束固定されている前項2に記載の摺洗具。
【0012】
[6]前記取付基片の取付面における前記軟質部材固定領域を除く領域の少なくとも一部に植設された複数の繊維束からなる第2摺洗部材をさらに備えることを特徴とする前項1〜5のいずれか1項に記載の摺洗具。
【0013】
[7]前記第1摺洗部材の先端は、前記第2摺洗部材の先端よりも外方に突出している前項6に記載の摺洗具。
【0014】
[8]前記第2摺洗部材の先端は、前記第1摺洗部材の先端よりも外方に突出している前項6に記載の摺洗具。
【0015】
[9]前記軟質部材として、保水性の軟質部材が用いられている前項2〜8のいずれか1項に記載の摺洗具。
【0016】
[10]前記保水性の軟質部材は、スポンジ又は布材からなる前項9に記載の摺洗具。
【0017】
[11]前記軟質部材として、非保水性の弾性部材が用いられている前項2〜8のいずれか1項に記載の摺洗具。
【0018】
[12]前記非保水性の弾性部材は、ゴム又は熱可塑性エラストマーからなる前項11に記載の摺洗具。
【発明の効果】
【0019】
[1]の発明では、軟質部材が、可撓性結束帯により取付基片の取付面に結束固定されているから、取付基片に対して軟質部材が強固に固定される。また、軟質部材の固定に際し、接着、乾燥などの煩雑な工程を要せず、可撓性結束帯を用いて結束するだけで軟質部材を取付基片に固定できるので、固定操作が非常に容易である。また、軟質部材は保水性を備えたものであるから、摺洗時の泡立ち及び泡持ちが非常に良くて摺洗能力に優れている。
【0020】
[2]の発明では、第1摺洗部材(軟質部材)の中間部が可撓性結束帯により取付基片の溝内に引き込まれた状態で結束固定されているから、取付基片に対して軟質部材(の中間部)がより強固に固定される。また、このような固定態様により、第1摺洗部材の2つ折りの一対の半体が取付基片の取付面から略垂直状に立ち上がった状態になっているから、摺洗時における第1摺洗部材(軟質部材)の先端側の動き(揺動等)の自由度が大きいものとなり、摺洗能力をより向上させることができる。また、軟質部材の固定に際し、接着、乾燥などの煩雑な工程を要せず、可撓性結束帯を用いて結束するだけで軟質部材を取付基片に固定できるので、固定操作が非常に容易である。
【0021】
[3]の発明では、取付基片における溝の長さ方向の両端側に位置する一対の側面のそれぞれに該溝の内部空間と連通する貫通孔が形成され、前記一対の貫通孔に挿通された可撓性結束帯と前記溝の底面との間に第1摺洗部材の長さ方向の中間部が挟み付けられた状態で可撓性結束帯の両端部同士が連結されているから、取付基片に対して軟質部材(の中間部)がより一層強固に固定されると共に、可撓性結束帯が、取付基片の離間した一対の貫通孔に挿通されているから、結束状態の可撓性結束帯がずれ移動したりすることがなくて軟質部材が安定状態に固定される。
【0022】
[4]の発明では、取付基片の取付面と反対側の背面に、溝におけるその長さ方向の両端側の位置と連通する貫通孔が形成され、これら一対の貫通孔に挿通された可撓性結束帯と取付基片の溝の底面との間に第1摺洗部材の中間部が挟み付けられた状態で可撓性結束帯の両端部同士が連結されているから、取付基片に対して軟質部材(の中間部)がより一層強固に固定されると共に、可撓性結束帯が、取付基片の離間した一対の貫通孔に挿通されているから、結束状態の可撓性結束帯がずれ移動したりすることがなくて軟質部材が安定状態に固定される。
【0023】
[5]の発明では、溝の形成位置の略直下位置で取付基片の内部を水平方向に貫通する貫通孔が形成され、貫通孔に挿通された可撓性結束帯と溝の底面との間に第1摺洗部材の中間部が挟み付けられた状態で可撓性結束帯の両端部同士が連結されているから、取付基片に対して軟質部材(の中間部)がより一層強固に固定されると共に、可撓性結束帯が、取付基片の内部を貫通する貫通孔に挿通されているから、結束状態の可撓性結束帯がずれ移動したりすることがなくて軟質部材が安定状態に取付基片に固定される。
【0024】
[6]の発明では、取付基片の取付面における軟質部材固定領域を除く領域の少なくとも一部に植設された複数の繊維束からなる第2摺洗部材(ブラシ部材)をさらに備えているから、第1摺洗部材では摺洗し難い汚れも摺洗除去することができて、様々な種類の汚れを余すことなく除去できる。
【0025】
[7]の発明では、第1摺洗部材の先端は、第2摺洗部材の先端よりも外方に突出しているから、第1摺洗部材による摺洗効果をより発揮させることができる。
【0026】
[8]の発明では、第2摺洗部材の先端は、第1摺洗部材の先端よりも外方に突出しているから、第2摺洗部材による摺洗効果をより発揮させることができる。
【0027】
[9]の発明では、軟質部材として保水性の軟質部材が用いられているから、摺洗時の泡立ち及び泡持ちが非常に良くて摺洗能力をより高めることができる。
【0028】
[10]の発明では、保水性軟質部材が、スポンジ又は布材からなる構成が採用されているから、摺洗時の泡立ち及び泡持ちがより一層良くなる。
【0029】
[11]の発明では、軟質部材として非保水性の弾性部材が用いられているから、強固に付着した汚れでも掻き落とすことができる。
【0030】
[12]の発明では、非保水性の弾性部材が、ゴム又は熱可塑性エラストマーからなる構成が採用されているから、強固に付着した汚れでも十分に掻き落とすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】この発明に係る摺洗具の第1実施形態を示す図であって、(イ)は正面図、(ロ)は左側面図、(ハ)は背面図、(ニ)は下面図である。
【図2】図1(イ)におけるA−A線の断面図である。
【図3】図1で用いた取付基片を示す斜視図である。
【図4】図1で用いた可撓性結束帯を示す図であって、(イ)は上面図、(ロ)は(イ)におけるB−B線の断面図である。
【図5】この発明に係る摺洗具の第2実施形態を示す図であって、(イ)は正面図、(ロ)は左側面図、(ハ)は背面図、(ニ)は下面図である。
【図6】図5(イ)におけるC−C線の断面図である。
【図7】図5で用いた取付基片を示す斜視図である。
【図8】この発明に係る摺洗具の第3実施形態を示す図であって、(イ)は正面図、(ロ)は左側面図、(ハ)は背面図、(ニ)は下面図である。
【図9】この発明に係る摺洗具の第4実施形態を示す図であって、(イ)は正面図、(ロ)は左側面図、(ハ)は背面図、(ニ)は下面図である。
【図10】この発明に係る摺洗具の第5実施形態を示す図であって、(イ)は正面図、(ロ)は左側面図、(ハ)は背面図、(ニ)は下面図である。
【図11】図10(ハ)におけるD−D線の断面図である。
【図12】図10で用いた取付基片を示す図であって、(イ)は正面図、(ロ)は斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
この発明に係る摺洗具1の一実施形態(第1実施形態)を図1に示す。この摺洗具1は、取付基片2と、可撓性結束帯3と、第1摺洗部材4と、第2摺洗部材5とを備えてなる。
【0033】
前記取付基片2は、図3に示すように、略板状の合成樹脂成形体からなる。前記取付基片2における第1摺洗部材4を取り付ける取付面(図3で上面)11に、互いに基片2の長さ方向に離間して基片2の幅方向に延びる一対の溝10、10が形成されている。前記溝10は、前記取付基片2の幅方向の両端側の側面12、13に到達しない態様で形成されている。
【0034】
前記取付基片2における前記溝10の長さ方向の両端側に位置する一対の側面12、13のそれぞれに前記溝10の内部空間(溝内空間)と連通する貫通孔14、15が形成されている(図2、3参照)。
【0035】
前記取付基片2の側面12における前記貫通孔14が形成された位置から上方に向けて側面溝12aが形成され、前記取付基片2の側面13における前記貫通孔15が形成された位置から上方に向けて側面溝13aが形成されている(図2、3参照)。前記貫通孔14と前記側面溝12aは連通しており、前記貫通孔15と前記側面溝13aは連通している。また、前記側面溝12a、13aの一端(上端)は、前記取付面(上面)11にまで達している、即ち上方に向けて開口している(図3参照)。
【0036】
また、前記取付基片2の取付面11における前記溝10が形成された領域を除く領域に多数個の植設孔16が穿設されている(図3参照)。
【0037】
前記取付基片2の各植設孔16にそれぞれ繊維束6が植設されており、これら多数個の繊維束6によって前記第2摺洗部材(ブラシ部材)5が構成されている。即ち、この摺洗具1は、前記取付基片2の取付面11に植設された多数個の繊維束6からなる第2摺洗部材(ブラシ部材)5を備えている(図1参照)。
【0038】
前記可撓性結束帯3は、図4に示すように、長尺の合成樹脂製略帯状体からなる。前記可撓性結束帯3は、その一端部(先端部)3aが先端側に向けて尖った先鋭形状に形成される一方、その他端部(基端部)3bに外形形状が略直方体形状の連結部21が設けられている。前記連結部21は、その内部が、下面及び上面が外部と連通された空洞になっており、該連結部21の一端側の内壁面から内方に向けて係止部22が突設されて、該係止部22と他端側の内壁面との間に挿入用空間23が設けられている。前記係止部22における前記挿入用空間23と向き合う側面には複数の係止突起24が突設されている。また、前記可撓性結束帯3の下面の中間領域には前記係止突起24と係合し得る係止凹部25が多数個形成されている(図4参照)。
【0039】
前記第1摺洗部材4は、板状の軟質部材からなり、図1、2に示すように、その長さ方向の中間部7で屈曲されて2つ折り状に形成されている。即ち、前記第1摺洗部材4は、その長さ方向の中間部7が前記可撓性結束帯3により前記取付基片2の溝10内に引き込まれた状態で結束固定されることによって前記中間部7で屈曲されて2つ折り状に形成され、前記第1摺洗部材4の2つ折りの両半体4a、4bが前記取付基片2の取付面11から略垂直状に立ち上がった状態になっている。前記可撓性結束帯3による第1摺洗部材4の結束固定は、次のようにして行われている。即ち、図2に示すように、前記取付基片2の一対の貫通孔14、15に挿通されて取付面11側に配置された可撓性結束帯3と前記溝の底面10aとの間に前記第1摺洗部材4の長さ方向の中間部7が挟み付けられた状態で前記可撓性結束帯3の一端部3aを他端部3bの連結部21の挿入用空間23内に下面側から挿通せしめて締め上げて連結部21の係止部22の係止突起24に可撓性結束帯3の係止凹部25を係合せしめて連結することによって、前記第1摺洗部材4の中間部7が可撓性結束帯3により取付基片2の溝10内に引き込まれた状態で結束固定されている。なお、前記連結後、前記可撓性結束帯3の連結部21から上方に飛び出した余分な一端部3aは切断除去されている(図2参照)。
【0040】
前記可撓性結束帯3による第1摺洗部材4の結束固定状態において、可撓性結束帯3の一部は、取付基片2の一方の側面12の側面溝12aに嵌まり込んで該側面12から可撓性結束帯3が外方に突出しないものとなると共に、同じく可撓性結束帯3の他の一部は、取付基片2の他方の側面13の側面溝13aに嵌まり込んで該側面13から可撓性結束帯3が外方に突出しないものとなっている(図1(ニ)、図2参照)。
【0041】
また、前記可撓性結束帯3による第1摺洗部材4の結束固定状態において、可撓性結束帯3の連結部21は、第1摺洗部材4の2つ折りの両半体4a、4b間に配置されているので、即ちこれら一対の半体4a、4bの間に挟み込まれているので、摺洗時に引っ掛かり等が生じないし、外観も良好なものとなし得る(図1、2参照)。
【0042】
また、前記第1摺洗部材4の先端は、前記第2摺洗部材5の先端よりも外方に突出しているので(図1(ロ)参照)、第1摺洗部材4による摺洗効果をより発揮させることができる。
【0043】
この発明に係る摺洗具1の他の実施形態(第2実施形態)を図5に示す。この摺洗具1は、取付基片2と、可撓性結束帯3と、第1摺洗部材34と、第2摺洗部材5とを備えてなる。
【0044】
前記取付基片2は、図7に示すように、略板状の合成樹脂成形体からなる。前記取付基片2における第1摺洗部材34を取り付ける取付面(図7で上面)41に、基片2の長さ方向に延びる溝40が形成されている。前記溝40は、前記取付基片2の取付面41における幅方向の中央位置に形成されている。前記溝40は、前記取付基片2の長さ方向の両端側の側面に到達しない態様で形成されている。
【0045】
前記取付基片2の取付面41と反対側の背面42に、前記溝40の内部空間における長さ方向の両端側の位置と連通する貫通孔44、45が形成されている(図5(ハ)、図6、図7参照)。
【0046】
前記取付基片2の背面42に、前記一対の貫通孔44、45を繋ぐ背面溝42aが形成されている(図5(ハ)、図6参照)。即ち、前記取付基片2の背面42における、前記溝40の形成位置と略対応する位置に背面溝42aが形成されている。前記背面溝42aの一端と前記一方の貫通孔44は連通しており、前記背面溝42aの他端と前記他方の貫通孔45は連通している(図6参照)。
【0047】
また、前記取付基片2の取付面41における前記溝40が形成された領域を除く領域に多数個の植設孔46が穿設されている(図7参照)。
【0048】
前記取付基片2の各植設孔46にそれぞれ繊維束6が植設されており、これら多数個の繊維束6によって前記第2摺洗部材(ブラシ部材)5が構成されている。即ち、この摺洗具1は、前記取付基片2の取付面41に植設された多数個の繊維束6からなる第2摺洗部材(ブラシ部材)5を備えている(図5参照)。
【0049】
前記可撓性結束帯3は、前記第1実施形態のものと同一であるので、ここではその説明は省略する(図4参照)。
【0050】
前記第1摺洗部材34は、板状の軟質部材からなり、図5、6に示すように、その長さ方向の中間部37で屈曲されて2つ折り状に形成されている。即ち、前記第1摺洗部材34は、その長さ方向の中間部37が前記可撓性結束帯3により前記取付基片2の溝40内に引き込まれた状態で結束固定されることによって前記中間部37で屈曲されて2つ折り状に形成され、前記第1摺洗部材34の2つ折りの両半体34a、34bが前記取付基片2の取付面41から略垂直状に立ち上がった状態になっている。前記可撓性結束帯3による第1摺洗部材34の結束固定は、次のようにして行われている。即ち、図6に示すように、前記取付基片2の一方の貫通孔44に背面42側から挿通され、更に他方の貫通孔45に取付面41側から挿通されて取付面41側に配置された可撓性結束帯3と、前記溝の底面40aとの間に前記第1摺洗部材34の長さ方向の中間部37が挟み付けられた状態で前記可撓性結束帯3の一端部3aを他端部3bの連結部21の挿入用空間23内に下面側から挿通せしめて締め上げて連結部21の係止部22の係止突起24に可撓性結束帯3の係止凹部25を係合せしめて連結することによって、前記第1摺洗部材34の中間部37が可撓性結束帯3により取付基片2の溝40内に引き込まれた状態で結束固定されている。なお、前記連結後、前記可撓性結束帯3の連結部21から上方に飛び出した余分な一端部3aは切断除去されている(図6参照)。
【0051】
前記可撓性結束帯3による第1摺洗部材34の結束固定状態において、可撓性結束帯3の一部は、取付基片2の背面42の背面溝42aに嵌まり込んで該背面42から可撓性結束帯3が外方に突出しないものとなっている(図5(ロ)(ニ)及び図6参照)。
【0052】
また、前記可撓性結束帯3による第1摺洗部材34の結束固定状態において、可撓性結束帯3の連結部21は、第1摺洗部材34の2つ折りの両半体34a、34b間に配置されているので、即ちこれら一対の半体34a、34bの間に挟み込まれているので、摺洗時に引っ掛かり等が生じないし、外観も良好なものとなし得る(図5、6参照)。
【0053】
また、前記第1摺洗部材34の先端は、前記第2摺洗部材5の先端と同一の高さである(図5(ロ)(ニ)参照)。
【0054】
この発明に係る摺洗具1のさらに他の実施形態(第3実施形態)を図8に示す。この摺洗具1は、取付基片2と、可撓性結束帯3と、第1摺洗部材34と、第2摺洗部材5とを備えてなる。前記取付基片2の構成及び前記可撓性結束帯3の構成並びに該可撓性結束帯3による第1摺洗部材34の結束固定態様は、前記第2実施形態と同様であるので、その説明は省略する(順に図7、図4、図6参照)。
【0055】
本第3実施形態では、前記第2摺洗部材5は、前記第1摺洗部材34の高さと同一高さの背高繊維束6aと、該背高繊維束よりも高さの低い背低繊維束6bとからなる。即ち、正面視上方側(先端側)から、第1列は背高繊維束6aが配置され、第2〜4列は背低繊維束6bが配置され、第5列は背高繊維束6aが配置され、第6〜8列は背低繊維束6bが配置され、第9列は背高繊維束6aが配置され、第10〜12列は背低繊維束6bが配置され、第13列は背高繊維束6aが配置され、第14〜18列は背低繊維束6bが配置されている。前記第5〜13列の繊維束6a、6bは、前記第1摺洗部材34の両側の側方位置に配置されている(図8参照)。
【0056】
この発明に係る摺洗具1のさらに他の実施形態(第4実施形態)を図9に示す。この摺洗具1は、取付基片2と、可撓性結束帯3と、第1摺洗部材34と、第2摺洗部材5とを備えてなる。前記取付基片2の構成及び前記可撓性結束帯3の構成並びに該可撓性結束帯3による第1摺洗部材34の結束固定態様は、前記第2実施形態と同様であるので、その説明は省略する(順に図7、図4、図6参照)。
【0057】
本第4実施形態では、前記第1摺洗部材34の左半体34aは、正面視上方側から、背高部71、該背高部よりも高さの低い背低部72、背高部71、背低部72、背高部71がこの順に配置されて互いに連接されている。また、前記第1摺洗部材34の右半体34bは、正面視上方側から、背高部73、該背高部よりも高さの低い背低部74、背高部73、背低部74、背高部73がこの順に配置されて互いに連接されている。
【0058】
また、前記第2摺洗部材5は、背高繊維束6aと、該背高繊維束よりも高さの低い背低繊維束6bとからなる。即ち、正面視上方側から、第1列は背高繊維束6aが配置され、第2〜4列は背低繊維束6bが配置され、第5列は背高繊維束6aが配置され、第6〜8列は背低繊維束6bが配置され、第9列は背高繊維束6aが配置され、第10〜12列は背低繊維束6bが配置され、第13列は背高繊維束6aが配置され、第14〜18列は背低繊維束6bが配置されている。
【0059】
前記背高繊維束6aは、前記第1摺洗部材34の背高部71、73と同一の高さである。前記背低繊維束6bは、前記第1摺洗部材34の背低部72、74と同一の高さである。前記第5、9、13列の背高繊維束6aは、前記第1摺洗部材34の背高部71、73の側方位置に配置されている(図9(イ)(ロ)参照)。
【0060】
この発明に係る摺洗具1の更に他の実施形態(第5実施形態)を図10に示す。この摺洗具1は、取付基片2と、可撓性結束帯3と、第1摺洗部材54と、第2摺洗部材5とを備えてなる。
【0061】
前記取付基片2は、図12に示すように、略板状の合成樹脂成形体からなり、本実施形態では略円板状に形成されている。前記取付基片2における第1摺洗部材54を取り付ける取付面(図12(ロ)で上面)61に溝60が形成されている。前記溝60の長さ方向の両端(左右端)は、取付基片2の周側面62にまで達している、即ち側方に向けて開口している(図12(ロ)参照)。
【0062】
前記取付基片2における前記溝60が形成された位置の略直下位置に水平方向に貫通する貫通孔64が形成されている(図11、12参照)。即ち、前記取付基片2の溝60形成位置の略直下位置において内部を水平方向に貫通する貫通孔64が形成されている。前記貫通孔64の両端は、前記取付基片2の周側面62における直径方向に互いに対向する一対の位置で側方に向けて開口している(図11、12参照)。
【0063】
前記取付基片2の周側面62における前記貫通孔64が形成された位置から上方(取付面61側)に向けて側面溝62aが形成されている(図11、12参照)。前記貫通孔64と前記側面溝62aは連通している。前記側面溝62aの一端(上端)は、前記溝の底面60aにまで達している、即ち上方に向けて開口している(図11、12参照)。
【0064】
前記取付基片2の取付面61と反対側の背面に、長尺の柄59の先端部が連接されている。前記取付基片2と前記柄59は一体成形されている。即ち、前記取付基片2と前記柄59は、合成樹脂を用いて一体成形されたものである。
【0065】
また、前記取付基片2の取付面61における前記溝60が形成された領域を除く領域に多数個の植設孔66が穿設されている(図12参照)。
【0066】
前記取付基片2の各植設孔66にそれぞれ繊維束6が植設されており、これら多数個の繊維束6によって前記第2摺洗部材(ブラシ部材)5が構成されている。即ち、この摺洗具1は、前記取付基片2の取付面61に植設された多数個の繊維束6からなる第2摺洗部材(ブラシ部材)5を備えている(図10参照)。
【0067】
前記可撓性結束帯3は、前記第1実施形態のものと同一であるので、ここではその説明は省略する(図4参照)。
【0068】
前記第1摺洗部材54は、板状の軟質部材からなり、図10、11に示すように、その長さ方向の中間部57で屈曲されて2つ折り状に形成されている。即ち、前記第1摺洗部材54は、その長さ方向の中間部57が前記可撓性結束帯3により前記取付基片2の溝60内に引き込まれた状態で結束固定されることによって前記中間部57で屈曲されて2つ折り状に形成され、前記第1摺洗部材54の2つ折りの両半体54a、54bが前記取付基片2の取付面61から略垂直状に立ち上がった状態になっている。前記可撓性結束帯3による第1摺洗部材54の結束固定は、次のようにして行われている。即ち、図11に示すように、前記取付基片2の貫通孔64に挿通されて取付面61側に配置された可撓性結束帯3と前記溝の底面60aとの間に前記第1摺洗部材54の長さ方向の中間部57が挟み付けられた状態で前記可撓性結束帯3の一端部3aを他端部3bの連結部21の挿入用空間23内に下面側(図11では上側)から挿通せしめて締め上げて連結部21の係止部22の係止突起24に可撓性結束帯3の係止凹部25を係合せしめて連結することによって、前記第1摺洗部材54の中間部57が可撓性結束帯3により取付基片2の溝60内に引き込まれた状態で結束固定されている。なお、前記連結後、前記可撓性結束帯3の連結部21から上方に飛び出した余分な一端部3aは切断除去されている(図11参照)。
【0069】
前記可撓性結束帯3による第1摺洗部材54の結束固定状態において、可撓性結束帯3の一部は、前記取付基片2の周側面62の側面溝62a、62aに嵌まり込んで該周側面62から可撓性結束帯3が外方に突出しないものとなっている(図10(ニ)、図11参照)。
【0070】
また、前記可撓性結束帯3による第1摺洗部材54の結束固定状態において、可撓性結束帯3の連結部21は、第1摺洗部材54の2つ折りの両半体54a、54b間に配置されているので、即ちこれら一対の半体54a、54bの間に挟み込まれているので、摺洗時に引っ掛かり等が生じないし、外観も良好なものとなし得る(図10、11参照)。
【0071】
また、前記第1摺洗部材54の先端は、前記第2摺洗部材5の先端と同一の高さである(図10(ロ)(ニ)参照)。
【0072】
この発明において、前記第1摺洗部材4、34、54としては、特に限定されるものではないが、保水性の軟質部材が好適である。保水性の軟質部材を用いる場合には、摺洗時の泡立ち及び泡持ちをより良くさせることができる。前記保水性の軟質部材としては、特に限定されるものではないが、スポンジ又は布材(不織布等)を用いるのが好ましい。前記スポンジの構成素材としては、特に限定されるものではないが、例えば合成樹脂、ゴム、天然素材(ヘチマ等)などが挙げられる。
【0073】
また、前記第1摺洗部材4、34、54としては、ゴム、熱可塑性エラストマー等で形成された非保水性の弾性部材を用いても良い。前記非保水性の弾性部材を用いる場合には、強固に付着した汚れでも掻き落とすことができる。
【0074】
また、前記第1摺洗部材4、34、54としては、ウレタン製スポンジからなる軟質シートの片面にナイロン製不織布シートが貼合されてなる軟質部材を用いるのが好ましく、この場合には効率良く摺洗することができる。
【0075】
上記実施形態では、前記第1摺洗部材4、34、54として板状のものを用いているが、特にこのような形状に限定されるものではない。
【0076】
また、上記実施形態では、前記取付基片2として略板状のものを用いているが、特にこのような形状に限定されるものではない。
【0077】
また、上記実施形態では、前記可撓性結束帯3として、一方の端部に設けられた連結部21の内部空間に係止突起24が形成された可撓性結束帯であって該結束帯の下面に前記係止突起24と係合し得る係止凹部25が形成されてなるもの(図4参照)を用いているが、特にこのような構成に限定されるものではなく、前記第1摺洗部材4、34、54を結束固定できるものであればどのような構成であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0078】
この発明に係る摺洗具は、例えば、鍋、瓶、コップ、ポット、水さし等の容器の内面等を摺洗するのに好適に用いられるが、特にこのような用途に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0079】
1…摺洗具
2…取付基片
3…可撓性結束帯
3a…一端部
3b…他端部
4…第1摺洗部材(軟質部材)
4a…半体
4b…半体
5…第2摺洗部材
6、6a、6b…繊維束
7…中間部
10…溝
10a…底面
11…取付面
12、13…側面
14、15…貫通孔
34…第1摺洗部材
34a…半体
34b…半体
37…中間部
40…溝
40a…底面
41…取付面
42…背面
44、45…貫通孔
54…第1摺洗部材
54a…半体
54b…半体
57…中間部
60…溝
60a…底面
61…取付面
64…貫通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
保水性の軟質部材が、可撓性結束帯により取付基片の取付面に結束固定されてなることを特徴とする摺洗具。
【請求項2】
略板状の軟質部材が、その長さ方向又は幅方向の中間部で屈曲されて2つ折り状に形成されてなる第1摺洗部材と、
前記第1摺洗部材を取り付ける取付面に溝が形成された取付基片と、
可撓性結束帯とを備えてなり、
前記第1摺洗部材は、前記中間部が前記可撓性結束帯により前記取付基片の溝内に引き込まれた状態で結束固定されることによって該中間部で屈曲されて2つ折り状に形成され、該第1摺洗部材の2つ折りの一対の半体が前記取付基片の取付面から略垂直状に立ち上がった状態に配置されていることを特徴とする摺洗具。
【請求項3】
前記取付基片における前記溝の長さ方向の両端側に位置する一対の側面のそれぞれに該溝の内部空間と連通する貫通孔が形成され、前記一対の貫通孔に挿通された可撓性結束帯と前記溝の底面との間に前記第1摺洗部材の中間部が挟み付けられた状態で前記可撓性結束帯の両端部同士が連結されることによって前記第1摺洗部材の中間部が可撓性結束帯により前記取付基片の溝内に引き込まれた状態で結束固定されている請求項2に記載の摺洗具。
【請求項4】
前記取付基片の取付面と反対側の背面に、前記溝におけるその長さ方向の両端側の位置と連通する貫通孔が形成され、前記一対の貫通孔に挿通された可撓性結束帯と前記溝の底面との間に前記第1摺洗部材の中間部が挟み付けられた状態で前記可撓性結束帯の両端部同士が連結されることによって前記第1摺洗部材の中間部が可撓性結束帯により前記取付基片の溝内に引き込まれた状態で結束固定されている請求項2に記載の摺洗具。
【請求項5】
前記溝の形成位置の略直下位置で前記取付基片の内部を水平方向に貫通する貫通孔が形成され、前記貫通孔に挿通された可撓性結束帯と前記溝の底面との間に前記第1摺洗部材の中間部が挟み付けられた状態で前記可撓性結束帯の両端部同士が連結されることによって前記第1摺洗部材の中間部が可撓性結束帯により前記取付基片の溝内に引き込まれた状態で結束固定されている請求項2に記載の摺洗具。
【請求項6】
前記取付基片の取付面における前記軟質部材固定領域を除く領域の少なくとも一部に植設された複数の繊維束からなる第2摺洗部材をさらに備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の摺洗具。
【請求項7】
前記第1摺洗部材の先端は、前記第2摺洗部材の先端よりも外方に突出している請求項6に記載の摺洗具。
【請求項8】
前記第2摺洗部材の先端は、前記第1摺洗部材の先端よりも外方に突出している請求項6に記載の摺洗具。
【請求項9】
前記軟質部材として、保水性の軟質部材が用いられている請求項2〜8のいずれか1項に記載の摺洗具。
【請求項10】
前記保水性の軟質部材は、スポンジ又は布材からなる請求項9に記載の摺洗具。
【請求項11】
前記軟質部材として、非保水性の弾性部材が用いられている請求項2〜8のいずれか1項に記載の摺洗具。
【請求項12】
前記非保水性の弾性部材は、ゴム又は熱可塑性エラストマーからなる請求項11に記載の摺洗具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−10907(P2011−10907A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−158400(P2009−158400)
【出願日】平成21年7月3日(2009.7.3)
【出願人】(391042405)株式会社まめいた (13)
【Fターム(参考)】