説明

撮像システム

【課題】複数のカメラレコーダのタイムコード同期を取るときに、マスターのカメラレコーダと接続して、一台ずつ同期設定をしており、手間がかかっていた。
【解決手段】撮像装置100は、時刻を取得する時刻取得部103と、外部からタイムコードと対応する時刻とを取得する受信部105と、受信部105で取得した時刻を、時刻取得部103で取得した時刻と比較し、タイムコード付与部102において付与されるタイムコードを補正するタイムコード補正部106と、を備え、タイムコード送信装置300は、タイムコードに対応する時刻を設定するタイムコード設定部301と、タイムコード設定部301で設定したタイムコードと時刻とを送信する送信部302と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の撮像装置間でタイムコードの同期をとる撮像システムに関するものであり、特に、タイムコード送信装置が送信するタイムコードと対応する時刻との情報に基づいて、複数の撮像装置で撮像した映像データのタイムコードを補正する撮像システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
放送局等において、放送用の映像は、同一の撮影対象を複数の業務用ビデオカメラを用いて撮影し、撮影した映像データを編集し、生成される。編集を行う際には、複数のビデオカメラで撮影された映像データ間で、同じタイミングで撮影された映像データを特定することが必要となる。
【0003】
複数のビデオカメラにおいて撮影された映像データ間で同期を取る仕組みとして、タイムコードを用いる方法がある。タイムコードは、映像や音声の同期をとるための時間軸のフォーマットであって、例えば、「時間:分:秒:フレーム」で構成される。
【0004】
複数のビデオカメラで、タイムコードの同期を取ることによって、異なるビデオカメラで撮影された映像であっても、同じタイムコードが付与されたものに関しては、同じタイミングで撮影された映像であると判断することができる。
【0005】
従来、複数の撮像装置間で、タイムコードの同期を取る方法として、例えば特許文献1に開示の技術がある。特許文献1に開示の技術では、基準のタイムコードを発生させるマスターカメラが一台ずつスレーブカメラのタイムコードを補正し同期を取ることによって、複数の撮像装置間で、タイムコードの同期を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−311039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の技術では、複数のカメラレコーダでタイムコードの同期をとるには、基準のタイムコードを発生させるマスターカメラと、マスターカメラによってタイムコードを制御されるスレーブカメラとを用いて、撮影開始前に一台ずつスレーブカメラのタイムコードをマスターカメラから伝送されたタイムコードに書き換えなければ補正できず、同期を取る際に手間がかかるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の撮像システムは、少なくとも1台の撮像装置と、前記撮像装置にタイムコードを送信するタイムコード送信装置とを含む撮像システムであって、前記撮像装置は、被写体像を撮像し映像信号を出力する撮像部と、前記撮像部が出力する映像にタイムコードを付与するタイムコード付与部と、前記タイムコード付与部においてタイムコードが付与された映像を格納する映像格納部と、時刻を取得する時刻取得部と、外部からタイムコードと対応する時刻とを取得する受信部と、前記受信部で取得した時刻を、前記時刻取得部で取得した時刻と比較し、前記タイムコード付与部において付与されるタイムコードを補正するタイムコード補正部と、を備え、前記タイムコード送信装置は、タイムコードに対応する時刻を設定するタイムコード設定部と、前記タイムコード設定部で設定したタイムコードと時刻とを送信する送信部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
上記の構成によって、撮像システムは、複数の撮像装置間で、容易にタイムコードの同期を取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施の形態1における撮像システムの構成を示すブロック図
【図2】実施の形態1におけるタイムコード情報の詳細を示す図
【図3】実施の形態1における撮像システムの動作を示すフローチャート
【図4】実施の形態2における撮像システムの構成を示すブロック図
【図5】実施の形態2における情報データの詳細を示す図
【図6】実施の形態2における撮像システムの動作を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0012】
(実施の形態1)
(1−1.撮像システムの構成)
図1は、実施の形態1における撮像システムの構成を示すブロック図である。
【0013】
図1において、撮像システムは、撮像装置100と、撮像装置200と、タイムコード送信装置300とで、構成される。
【0014】
なお、本実施の形態1では、撮像装置が2台の場合について説明するが、撮像装置の台数は2台に限らず、何台であってもよい。
【0015】
撮像装置100は、撮像部101と、タイムコード付与部102と、電波時計103と、記録媒体制御部104と、受信部105と、タイムコード補正部106と、を含む。
【0016】
撮像部101は、図示しない各種レンズからなる光学系、撮像素子、CDS(Correlated Double Sampling)回路、A/D(Analog/Digital)回路、シグナルジェネレータ(SG)およびタイミングジェネレータ(TG)を備え、被写体を撮像し、その結果得られる画像を出力する。
【0017】
タイムコード付与部102は、撮像部101が出力するフレーム単位の映像データに対して、その映像の時間軸上の位置を定めるタイムコードを付与する。
【0018】
電波時計103は、撮像装置100において、正確な時刻を取得するための時刻取得部の一例である。電波時計103は、送信局から送られてくる信号を用いて、自動的に時刻を合わせることができ、これによって、複数の撮像装置間で、正確な時刻合わせを行うことができる。
【0019】
なお、本実施の形態1では、時刻取得部の一例として、電波時計を用いる形態について説明するが、複数の撮像装置間で時刻合わせができればよく、例えば、各撮像装置がネットワークに接続される環境において、NTP(Network Time Protocol)を用いて時刻合わせを行う形態であってもよい。
【0020】
記録媒体制御部104は、タイムコードを付与された映像データを、記録媒体107に記録する制御部である。記録媒体107は、半導体メモリカード、磁気テープ、光ディスク、ハードディスク等、情報を記録できる媒体であれば、どのようなものであってもよい。また、記録媒体107は撮像装置100から着脱可能であってもよいし、撮像装置100に内蔵されたものであってもよい。
【0021】
受信部105は、通信を用いて、外部からのデータを受信する。受信部105は、通信の形態として、無線通信に対応するものであっても、有線通信に対応するものであってもよく、また、いずれの通信規格に対応するものであってもよい。
【0022】
タイムコード補正部106は、受信部105で受信したタイムコードと時刻との情報を基に、電波時計103から取得した時刻におけるタイムコードを算出し、タイムコード補正値として出力する。
【0023】
撮像装置200の構成は、撮像装置100の構成と同一であり、説明を省略する。
【0024】
タイムコード送信装置300は、タイムコード設定部301と、送信部302とを含む。
【0025】
タイムコード設定部301は、基準となるタイムコードと時刻とのセットからなるタイムコード設定情報を生成する。タイムコード設定情報の一例を図2に示す。図2において、タイムコード設定情報601は、基準時刻AM09時00分00秒000に対応するタイムコードとして、00:00:00:00が設定されている。
【0026】
送信部302は、タイムコード設定情報601を、撮像装置100及び撮像装置200に送信する。なお、送信部302は、通信の形態として、無線通信に対応するものであっても、有線通信に対応するものであってもよく、また、いずれの通信規格に対応するものであってもよい。
【0027】
(1−2.撮像システムの動作)
本実施の形態1における撮像システムの動作について、図3のフローチャートを用いて説明する。
【0028】
タイムコード送信装置300におけるタイムコード設定部301は、タイムコード設定情報601を設定し、送信部302に送信命令を出す(S301)。送信命令を受けた送信部302は、撮像装置100及び撮像装置200に対して、タイムコード設定情報601を送信する(S302)。
【0029】
撮像装置100における受信部105、及び撮像装置200における受信部205は、タイムコード設定情報601を受信する(S303)。
【0030】
以下、撮像装置100における動作を説明するが、撮像装置200における動作も同じであり、説明を省略する。
【0031】
タイムコード補正部106は、受信部105より、タイムコード設定情報601を取得する。タイムコード補正部106は、電波時計103から時刻情報を取得し、タイムコード設定情報601の基準時刻と基準時刻に対応するタイムコードから、現在の撮像装置100内のタイムコードを計算する(S304)。この場合、基準時刻AM09時00分00秒000に対応するタイムコードが00:00:00:00なので、AM10時00分00秒000時点のタイムコードは01:00:00:00となる。
【0032】
この時の撮像装置100及び撮像装置200におけるタイムコードの計算方法を図2に示す。図2に示すように、撮像装置100内のタイムコードは、補正前のタイムコード情報401から補正後のタイムコード情報402に変更される。一方、撮像装置200内のタイムコードは、補正前のタイムコード情報501から補正後のタイムコード情報502に変更される。
【0033】
撮影が開始されると、タイムコード付与部102は、撮像部101が出力する映像データに対して、補正されたタイムコード情報402を基準にしたタイムコードを付与し、記録媒体制御部104を用いて、記録媒体107に記録する(S305)。
【0034】
同様に、撮像装置200は、撮影を開始すると、撮像部201が出力する映像データに対し、補正されたタイムコード情報502を基準にしたタイムコードを、タイムコード付与部202により付与し、記録媒体制御部204を用いて、記録媒体207に記録する。
【0035】
以上のように、複数の撮像装置内のタイムコードが同じ時刻を基準にしたものになるので、容易にタイムコードの同期を取ることが可能になり、効率的に映像制作を行うことができる。
【0036】
(実施の形態2)
(2−1.撮像システムの構成)
実施の形態2における撮像システムの構成を図4に示す。実施の形態1と同一の構成に関しては同一の番号を付与し、説明を省略する。
【0037】
図4において、撮像装置700は、実施の形態1の撮像装置100の構成に加え、タイムコード書き換え部701を含む。
【0038】
タイムコード書き換え部701は、既に記録媒体107上に記録された映像データについて、そのタイムコードを、タイムコード補正部106で計算したタイムコードを用いて書き換える。
【0039】
図5は撮像装置700の記録媒体107内の補正前、補正後の映像データ内の情報を示す。図5において、補正前の映像データ901は、補正後の映像データ902に補正される。タイムコード送信装置300は、タイムコード設定情報1001を送信する。タイムコード設定情報1001は、基準時刻とそれに対応するタイムコードが記述されている。
【0040】
(2−2.撮像システムの動作)
本実施の形態2における撮像システムの動作について、図6のフローチャートを用いて説明する。
【0041】
撮像装置700が撮影開始すると、撮像部101が出力する映像に対し、タイムコード付与部102が補正される前のタイムコードを映像データに付与し、電波時計103が記録開始時刻を付与し、記録媒体制御部104を介して、記録媒体107に記録する(S601)。このときの映像データは、図5において、映像データ901となる(S601)。
【0042】
記録終了後、タイムコードを設定するタイミングで、タイムコード送信装置300のタイムコード設定部301は、タイムコード設定情報1001を設定し、送信部302に送信命令を出す(S602)。送信命令を受けた送信部302は、撮像装置700に対してタイムコード設定情報1001を送信する(S603)。
【0043】
なお、本実施の形態2では、タイムコードを設定するタイミングは、記録終了後としたが、記録終了後であれば、記録直後でも、所定の時刻に定期的に行うとしてもよく、また、記録終了後に限られず、記録途中であってもよい。
【0044】
タイムコード設定情報1001を受信した受信部105は、タイムコード設定情報1001をタイムコード補正部106に転送する(S604)。タイムコード設定情報1001を転送されたタイムコード補正部106は、記録媒体制御部104を介して記録媒体107から映像データ901を読み出して記録開始時刻を取得する。この場合、記録開始時刻がAM10時00分00秒000で、タイムコード設定情報1001の基準時刻AM09時00分00秒000に対応するタイムコードが00:00:00:00であるので、補正後の記録開始時点のタイムコードは01:00:00:00となる(S605)。
【0045】
タイムコード書き換え部701はタイムコード補正部106から記録開始時点のタイムコード01:00:00:00を取得し、記録媒体107内の映像データのタイムコードを書き換える(S606)。その結果、記録媒体107内の映像データは映像データ902に変更される。
【0046】
同様にして別の撮像装置に対してもタイムコード送信装置300が同じタイムコード設定情報を送信することにより、すでに記録済みの映像データに対してもタイムコードの同期を取ることが可能になる。
【0047】
以上のように、複数の撮像装置で、既に記録済みの映像データに対しても、そのタイムコードが同じ時刻を基準にしたものになるので、容易にタイムコードの同期を取ることが可能になり、効率的に映像制作を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本実施の形態にかかる撮像システムは、複数の撮像装置に対するタイムコード同期が容易に行え、また記録後の映像データに対しても変更が可能なため、効率的な映像制作を行うことが可能になる。
【符号の説明】
【0049】
100、200、700 撮像装置
101、201 撮像部
102、202 タイムコード付与部
103、203 電波時計
104、204 記録媒体制御部
105、205 受信部
106、206 タイムコード補正部
107、207 記録媒体
300 タイムコード送信装置
301 タイムコード設定部
302 送信部
701 タイムコード書き換え部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1台の撮像装置と、前記撮像装置にタイムコードを送信するタイムコード送信装置とを含む撮像システムであって、
前記撮像装置は、
被写体像を撮像し映像信号を出力する撮像部と、
前記撮像部が出力する映像にタイムコードを付与するタイムコード付与部と、
前記タイムコード付与部においてタイムコードが付与された映像を記録媒体に格納する記録媒体制御部と、
時刻を取得する時刻取得部と、
外部からタイムコードと対応する時刻とを取得する受信部と、
前記受信部で取得した時刻を、前記時刻取得部で取得した時刻と比較し、前記タイムコード付与部において付与されるタイムコードを補正するタイムコード補正部と、
を備え、
前記タイムコード送信装置は、
タイムコードに対応する時刻を設定するタイムコード設定部と、
前記タイムコード設定部で設定したタイムコードと時刻とを送信する送信部と、
を備える撮像システム。
【請求項2】
前記撮像装置は、
前記記録媒体に格納された映像のタイムコードを、前記タイムコード補正部により補正されたタイムコードに書き換えるタイムコード書き換え部を、
さらに備える請求項1に記載の撮像システム。
【請求項3】
前記時刻取得部は、
電波時計を用いて、時刻を取得する
請求項1又は2に記載の撮像システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−97212(P2011−97212A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−247362(P2009−247362)
【出願日】平成21年10月28日(2009.10.28)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】