説明

撮像ユニット及び撮像装置

【課題】 製造コストの低減を図った上で画質の向上を図る。
【解決手段】 光学像を電気的信号に変換する撮像素子と、前記撮像素子の被写体側に配置された光学部材と、前記光学部材の一端縁に接合されたプレートと、前記プレートに接合された加振部材とを設けた。
これにより、加振部材の大きさに拘わらず光学部材に大きな振幅の振動を伝達して光学部材に対する塵埃の付着を十分に防止することが可能であるため、製造コストの低減を図った上で画質の向上を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は撮像ユニット及び撮像装置についての技術分野に関する。詳しくは、加振部材によって発生した振動をプレートを介して光学部材に伝達し加振部材の大きさに拘わらず光学部材に対する塵埃の付着を防止して製造コストの低減を図った上で画質の向上を図る技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
ビデオカメラやスチルカメラ等の各種の撮像装置には、内部にCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)等の撮像素子を有する撮像ユニットが配置されている。撮像装置においては、レンズ等の光学系を介して被写体の画像が取り込まれ撮像ユニットの撮像素子によって光学像が電気的信号に変換されることにより撮影が行われる。
【0003】
撮像装置の撮像ユニットには、撮像素子の他に、各種の光学部材、例えば、フィルターや赤外線吸収ガラス等が撮像素子の被写体側に配置されている。
【0004】
このような撮像装置においては、光学部材の表面に塵埃が付着すると、付着した塵埃が画像に陰として写り込むことにより画質の低下を来たすおそれがある。特に、レンズ交換式のスチルカメラ等の撮像装置においては、交換レンズの交換時に交換レンズの取付部が開放されて光学部材が露出されるため、光学部材に塵埃が付着し易い。
【0005】
そこで、撮像装置には、光学部材の表面に対する塵埃の付着を防止する手段が設けられたものがある(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0006】
特許文献1及び特許文献2に記載された撮像装置にあっては、長方形状の光学部材の長手方向における長さと同じ長さの圧電素子を加振部材として用い、光学部材の両側の長縁にそれぞれ圧電素子を接合している。圧電素子に通電を行うと、圧電素子が主として長手方向に伸縮され、この伸縮に伴って発生する振動が光学部材に伝達されて光学部材が振動され、振動によって光学部材の表面から塵埃が振り落とされて塵埃の付着が防止される。
【0007】
【特許文献1】特開2008−109708号公報
【特許文献2】特開2008−148342号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1及び特許文献2に記載された撮像装置にあっては、光学部材に圧電素子を接合し、光学部材の全体に大きな振幅を有する振動を伝達するために光学部材の長手方向における長さと同じ長さの圧電素子を用いている。
【0009】
ところが、光学部材の長手方向における長さと同じ長さの圧電素子を用いることにより、光学部材の全体に大きな振幅を有する振動が伝達されるが、圧電素子等の加振部材は高価であるため、長い加振部材を用いることにより撮像装置の製造コストが高くなると言う問題がある。
【0010】
一方、光学部材に接合する加振部材として光学部材の端縁より短いものを用いると、振動の振幅が小さくなってしまい、光学部材に必要な振動が伝達されず、塵埃の付着を十分に防止することができず、画質の低下を来たしてしまう。
【0011】
そこで、本技術撮像ユニット及び撮像装置は、上記した問題点を克服し、製造コストの低減を図った上で画質の向上を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1に、撮像ユニットは、上記した課題を解決するために、光学像を電気的信号に変換する撮像素子と、前記撮像素子の被写体側に配置された光学部材と、前記光学部材の一端縁に接合されたプレートと、前記プレートに接合された加振部材とを備えたものである。
【0013】
従って、撮像ユニットにあっては、振幅の大きな振動がプレートを介して光学部材に伝達される。
【0014】
第2に、上記した撮像ユニットにおいては、前記加振部材が前記光学部材の前記一端縁の長さ方向に延びる形状に形成され、前記加振部材の長さが前記光学部材の前記一端縁の長さより短くされることが望ましい。
【0015】
加振部材が光学部材の一端縁の長さ方向に延びる形状に形成され、加振部材の長さが光学部材の一端縁の長さより短くされることにより、安価な加振部材を用いることが可能になる。
【0016】
第3に、上記した撮像ユニットにおいては、前記光学部材が長方形状に形成され、前記光学部材の長縁が前記一端縁にされることが望ましい。
【0017】
光学部材が長方形状に形成され、光学部材の長縁が一端縁にされることにより、光学部材の全体に大きな振幅の振動が伝達される。
【0018】
第4に、上記した撮像ユニットにおいては、前記プレートを金属材料によって形成することが望ましい。
【0019】
プレートを金属材料によって形成することにより、プレートの振動の伝達性能が高くなる。
【0020】
第5に、上記した撮像ユニットにおいては、前記光学部材が押さえ板と受け部材によって挟持されて保持され、前記受け部材と前記プレート及び前記加振部材との間に空間が形成されることが望ましい。
【0021】
光学部材が押さえ板と受け部材によって挟持されて保持され、受け部材とプレート及び加振部材との間に空間が形成されることにより、受け部材と加振部材及びプレートとが接触されない。
【0022】
第6に、上記した撮像ユニットにおいては、前記光学部材が押さえ板と受け部材によって挟持されて保持され、前記押さえ板と前記プレート及び前記加振部材との間に空間が形成されることが望ましい。
【0023】
光学部材が押さえ板と受け部材によって挟持されて保持され、押さえ板とプレート及び加振部材との間に空間が形成されることにより、押さえ板と加振部材及びプレートとが接触されない。
【0024】
第7に、上記した撮像ユニットにおいては、前記光学部材が押さえ板と受け部材によって挟持されて保持され、前記光学部材における前記押さえ板に押さえられた面の反対側の面に前記プレートが接合され、前記加振部材が前記光学部材における前記押さえ板に押さえられた面と前記反対側の面との間に位置されることが望ましい。
【0025】
光学部材における押さえ板に押さえられた面の反対側の面にプレートが接合され、加振部材が光学部材における押さえ板に押さえられた面と反対側の面との間に位置されることにより、加振部材を配置することによっても撮像ユニットの光軸方向における長さが長くならない。
【0026】
第8に、上記した撮像ユニットにおいては、前記加振部材として圧電素子が設けられることが望ましい。
【0027】
加振部材として圧電素子が設けられることにより、加振部材に対する通電量により振動の大きさが変化される。
【0028】
第9に、上記した撮像ユニットにおいては、前記光学部材として赤外線吸収部材が設けられることが望ましい。
【0029】
光学部材として赤外線吸収部材が設けられることにより、光学部材によって赤外線が吸収される。
【0030】
撮像装置は、上記した課題を解決するために、外筐の内部に光学系を介して取り込まれた光学像に対して画像を形成するための所定の処理を行う撮像ユニットが配置され、前記撮像ユニットは、光学像を電気的信号に変換する撮像素子と、前記撮像素子の被写体側に配置された光学部材と、前記光学部材の一端縁に接合されたプレートと、前記プレートに接合された加振部材とを備えたものである。
【0031】
従って、撮像装置にあっては、振幅の大きな振動がプレートを介して光学部材に伝達される。
【発明の効果】
【0032】
本技術撮像ユニットは、光学像を電気的信号に変換する撮像素子と、前記撮像素子の被写体側に配置された光学部材と、前記光学部材の一端縁に接合されたプレートと、前記プレートに接合された加振部材とを備えている。
【0033】
従って、加振部材の大きさに拘わらず光学部材に大きな振幅の振動を伝達して光学部材に対する塵埃の付着を十分に防止することが可能であるため、製造コストの低減を図った上で画質の向上を図ることができる。
【0034】
請求項2に記載した技術にあっては、前記加振部材が前記光学部材の前記一端縁の長さ方向に延びる形状に形成され、前記加振部材の長さが前記光学部材の前記一端縁の長さより短くされている。
【0035】
従って、安価な加振部材を用いることが可能であり、撮像ユニットの製造コストの一層の低減を図ることができる。
【0036】
請求項3に記載した技術にあっては、前記光学部材が長方形状に形成され、前記光学部材の長縁が前記一端縁にされている。
【0037】
従って、光学部材の全体に大きな振幅の振動を伝達することができ、光学部材に対する塵埃の付着の防止効果を高めて一層の画質の向上を図ることができる。
【0038】
請求項4に記載した技術にあっては、前記プレートを金属材料によって形成している。
【0039】
従って、振動の伝達性能が高く、光学部材の全体に大きな振幅の振動を伝達することができる。
【0040】
請求項5に記載した技術にあっては、前記光学部材が押さえ板と受け部材によって挟持されて保持され、前記受け部材と前記プレート及び前記加振部材との間に空間が形成されている。
【0041】
従って、受け部材と加振部材及びプレートとが接触されず、加振部材から光学部材に伝達される振動の減衰を抑制することができる。
【0042】
請求項6に記載した技術にあっては、前記光学部材が押さえ板と受け部材によって挟持されて保持され、前記押さえ板と前記プレート及び前記加振部材との間に空間が形成されている。
【0043】
従って、押さえ板と加振部材及びプレートとが接触されず、加振部材から光学部材に伝達される振動の減衰を一層抑制することができる。
【0044】
請求項7に記載した技術にあっては、前記光学部材が押さえ板と受け部材によって挟持されて保持され、前記光学部材における前記押さえ板に押さえられた面の反対側の面に前記プレートが接合され、前記加振部材が前記光学部材における前記押さえ板に押さえられた面と前記反対側の面との間に位置されている。
【0045】
従って、加振部材を配置することによって撮像ユニットの厚み光軸方向における長さが長くなることがなく、スペースの有効活用による撮像ユニットの薄型化を図ることができる。
【0046】
請求項8に記載した技術にあっては、前記加振部材として圧電素子が設けられている。
【0047】
従って、振動の発生に関して制御の容易化及び制御の自由度の向上を図ることができる。
【0048】
請求項9に記載した技術にあっては、前記光学部材として赤外線吸収部材が設けられている。
【0049】
従って、塵埃の付着の防止に加えて赤外線の吸収による画質の向上を図ることができる。
【0050】
本技術撮像装置は、外筐の内部に光学系を介して取り込まれた光学像に対して画像を形成するための所定の処理を行う撮像ユニットが配置され、前記撮像ユニットは、光学像を電気的信号に変換する撮像素子と、前記撮像素子の被写体側に配置された光学部材と、前記光学部材の一端縁に接合されたプレートと、前記プレートに接合された加振部材とを備えている。
【0051】
従って、加振部材の大きさに拘わらず光学部材に大きな振幅の振動を伝達して光学部材に対する塵埃の付着を十分に防止することが可能であるため、製造コストの低減を図った上で画質の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0052】
以下に、本技術を実施するための最良の形態を添付図面に従って説明する。
【0053】
以下に示した最良の形態は、本技術撮像装置をレンズ交換式のスチルカメラに適用し、本技術撮像ユニットをこのスチルカメラに設けられた撮像ユニットに適用したものである。尚、本技術の適用範囲はレンズ交換式のスチルカメラ及びこのスチルカメラに設けられた撮像ユニットに限られることはない。本技術は、例えば、他の種類のスチルカメラ、ビデオカメラ、携帯電話等の他の機器に組み込まれるカメラ等の各種の撮像装置及びこれらの各種の撮像装置に設けられる撮像ユニットに広く適用することができる。
【0054】
以下の説明にあっては、スチルカメラの撮影時において撮影者から見た方向で前後上下左右の方向を示すものとする。従って、被写体側が前方となり、撮影者側が後方となる。
【0055】
尚、以下に示す前後上下左右の方向は説明の便宜上のものであり、本技術の実施に関しては、これらの方向に限定されることはない。
【0056】
[撮像装置の構成]
撮像装置50は外筐51の内外に所要の各部が配置されて成る(図1参照)。外筐51の外面には各種の操作部52、52、・・・が配置されている。操作部52、52、・・・としては、例えば、電源釦、シャッター、ズームスイッチ、モード切替摘子等が設けられている。
【0057】
撮像装置50には図示しない液晶パネル等の表示パネルやビューファインダー等の各部が設けられている。
【0058】
外筐51の前面には開口51aが形成され、開口51aの周囲の部分が交換レンズ100を取り付けるための取付部51bとして設けられている。
【0059】
交換レンズ100は鏡筒101の内部に前玉レンズ102を含む複数のレンズ群が配置されている。鏡筒101には変倍用のズームリング103が回転自在に支持されている。ズームリング103を回転することにより内部に配置されたレンズ群が光軸方向へ移動されてズーミングが行われる。
【0060】
外筐51の内部には、開口51aの後側の位置に撮像ユニット1が配置されている。
【0061】
撮像ユニット1は前側から順に配置された押さえ板2、光学部材3、受け部材4、シール枠5、ベース枠6及び素子ユニット7を備えている(図2乃至図4参照)。
【0062】
押さえ板2は矩形の枠状に形成された押さえ部8と押さえ部8から上方へ突出された遮蔽部9とを有している。遮蔽部9の上方及び押さえ部8の下方にはそれぞれ後方へ突出された被取付片10、10が設けられ、被取付片10、10には上下に貫通された被取付孔10a、10aが形成されている。
【0063】
光学部材3は外形が押さえ板2の押さえ部8の外形より一回り小さくされ、例えば、横長の矩形の板状に形成されている。光学部材3は、例えば、赤外線吸収ガラス(赤外線吸収部材)である。但し、光学部材3は赤外線吸収ガラスに限られることはなく、光学部材3として、透明材料によって形成されたガラスや樹脂、入射された光の一部の成分を吸収するガラスや樹脂、入射された光を拡散又は集光する機能を有するガラスや樹脂等の他の部材が用いられていてもよい。また、光学部材3として、板状の材料の他に、フィルムやシート等の厚みの薄い材料が用いられていてもよい。
【0064】
尚、光学部材3は赤外光の他に紫外光の吸収効果を有していてもよい。
【0065】
受け部材4はスペーサーとして機能し、矩形の枠状に形成された押さえ保持部11と押さえ保持部11から上方へ突出された受け面部12とを有している。押さえ保持部11の内周部には前方へ突出された押さえ突部11aが設けられている。押さえ保持部11の内周部における後面には後方へ開口されたシール溝11bが形成されている。
【0066】
シール枠5は横長の矩形の枠状に形成され、ゴム材料等の弾性を有する材料によって形成されている。シール枠5は受け部材4のシール溝11bと同様の大きさに形成されている。
【0067】
ベース枠6は矩形の枠状に形成された枠部13と枠部13からそれぞれ上下及び側方に突出された被取付用突部14、14、14とから成る。枠部13には連結孔13a、13a、・・・が形成されている。ベース枠13の上下両端部にはそれぞれ上下に突出された結合用突片13b、13bが設けられている。被取付用突部14、14、14にはそれぞれ挿通孔14a、14a、14aが形成されている。
【0068】
ベース枠6には受け部材4が結合される。受け部材4はシール溝11bにシール枠5が挿入された状態でベース枠6に結合される。
【0069】
光学部材3は押さえ板2の押さえ部8と受け部材4の押さえ保持部11とによって前後から挟持されて保持されている。光学部材3は前面の外周部に押さえ部8が接触され後面の外周寄りの位置に押さえ保持部11の押さえ突部11aが接触された状態で保持されている(図4参照)。従って、光学部材3の後面の外周部と押さえ保持部11の間には空間60が形成されている。
【0070】
押さえ板2は被取付片10、10の被取付孔10a、10aにそれぞれ結合用突片13b、13bが挿入されて係合されることによりベース枠6に結合される。
【0071】
素子ユニット7は基板15と撮像素子16と枠体18とローパスフィルター19を有している(図2乃至図4参照)。
【0072】
基板15の後面には複数の電子部品15a、15a、・・・が搭載されている。
【0073】
撮像素子16は基板15の前面に導電性を有する半田20を介して接合されている。
【0074】
撮像素子16は光学像を電気的信号に変換する機能を有し、撮像素子16としては、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)等が用いられている。
【0075】
枠体18にはビス30、30、・・・が取り付けられている。
【0076】
基板15の前面側に配置された撮像素子16は、前側に位置する一部17が枠体18の開口に挿入された状態とされている。
【0077】
ローパスフィルター19は枠体18の前面に取り付けられ枠体18の開口を覆うように配置されている。
【0078】
素子ユニット7はビス30、30、・・・がそれぞれ枠部13に形成された連結孔13a、13a、・・・に挿入され、例えば、加締められることによりベース枠6に結合される。素子ユニット7がベース枠6に結合された状態において、ローパスフィルター19がベース枠6の開口に挿入された状態とされる。
【0079】
光学部材3の一端縁3a、例えば、長手方向に延びる上縁にはプレート21が接着等によって接合されている。
【0080】
尚、プレート21は、撮像ユニット1の他の部材の配置位置等によって光学部材3の上縁に接合することができないときには、光学部材3の下縁、左側縁又は右側縁に接合されていてもよい。また、例えば、複数のプレート21、21、・・・をそれぞれ光学部材3の上縁、下縁、左側縁又は右側縁の2箇所以上の位置に接合することも可能である。
【0081】
プレート21は、例えば、板状の金属材料によって形成され、長さが一端縁3aの左右方向における長さ以上にされている。プレート21には一部が前方へ切り起こされて形成された位置決め片21a、21aが左右に離隔して設けられている。プレート21には上端部が前方へ折り曲げられて形成された押さえ片21bが設けられている。
【0082】
プレート21は位置決め片21a、21aが光学部材3の上面に接して位置決めされた状態で左右両端部を除く下側略半分の部分が光学部材3の後面3bにおける一端縁3aに接合されている(図5参照)。従って、プレート21の上側略半部分の部分は光学部材3の上側に位置されている。
【0083】
プレート21は、光学部材3に接合された部分が光学部材3と受け部材4の間に形成された空間60に位置され、光学部材3の上側に位置する部分が押さえ板2の遮蔽部9と受け部材4の押さえ保持部11との間に形成された空間70に位置されている(図4参照)。プレート21は受け部材4から前方に離隔した状態で空間70に位置されている。また、プレート21は押さえ板2から後方に離隔した状態で空間70に位置されている。
【0084】
プレート21の前面における上端部には加振部材22が接着等によって接合されている。加振部材22は左右方向に延びる矩形の板状に形成され、加振部材22としては、例えば、圧電素子が用いられている。加振部材22は通電により、主に、左右方向(長手方向)に伸縮されて振動を発生する振動源として機能する。尚、加振部材22は圧電素子に限られることはなく、振動の発生源となるものであれば他の部材が用いられていてもよく、例えば、磁力により歪みを生じて振動源となる磁歪素子や圧電素子と磁歪素子が複合された複合素子等が用いられていてもよい。
【0085】
加振部材22の長手方向における長さは光学部材3の一端縁3aの長さより短くされている。尚、加振部材22がプレート21を介して光学部材3の左右何れか又は両方の側縁に配置されるときには、加振部材22の長手方向における長さが光学部材3の側縁の長さより短くされる。
【0086】
加振部材22は上面が押さえ片21bに下方から押し当てられた状態でプレート21に接合されている。
【0087】
加振部材22には、例えば、フレキシブルプリント配線板等の導電部材23の一端部が接続され、導電部材23の他端部は外筐2の内部に配置された図示しない回路基板の電源供給部に接続されている。従って、加振部材22は電源供給部から導電部材23を介して通電されることにより伸縮されて振動を発生する。
【0088】
プレート21が光学部材3の一端縁3aに接合された状態において、加振部材22は空間70において光学部材3の前面3cと後面3bの間に位置される。
【0089】
上記のように構成された撮像ユニット1は、ベース枠6の被取付用突部14、14、14に形成された挿通孔14a、14a、14aにそれぞれ挿通されたビス31、31、31(図3参照)によって外筐51の内部に設けられた図示しない取付部に取り付けられる。撮像ユニット1が外筐51の内部に取り付けられた状態においては、被写体側に存在する光学部材3の前面3cが外筐51の開口51aの直ぐ後側に位置される(図1参照)。
【0090】
[撮像ユニットの動作]
撮像ユニット1において電源供給部から導電部材23を介して加振部材22に通電が行われると、加振部材22が伸縮されて振動が発生する。発生した振動はプレート21を介して光学部材3の全体に伝達される。
【0091】
光学部材3に振動が伝達されると、光学部材3の表面(前面3c)に付着し又は付着しようとする塵埃が振動によって光学部材3の表面から振り落とされ、光学部材3に対する塵埃の付着が防止される。従って、塵埃が画像に陰として写り込むことがなく、撮影した画像の品質の向上が図られる。
【0092】
[測定データー]
以下に、加振部材22として用いられた圧電素子とプレート21の機能に関する評価データーについて説明する(図6参照)。
【0093】
評価は、加振部材22が接合されたプレート21が光学部材3に接合されたときの振動によって光学部材3において発生するG値(振動加速度)とプレート21を有さず加振部材22が接合されたときの振動によって光学部材3において発生するG値とを測定することにより行った。
【0094】
測定においては、ドップラー干渉計によって光学部材3の391ポイントの測定値の平均値によってG値を測定(算出)した。加振部材22の長さは光学部材3の長手方向における長さより短く、振動周波数は約60KHzにされている。
【0095】
図6に示すように、プレート21が接合された光学部材3のG値は加振部材22が接合された光学部材3のG値より大きく、プレート21が接合された光学部材3のG値は2156Gであり、加振部材22が接合された光学部材3のG値は1864Gであった。
【0096】
両者に発生するG値の相違は、図6の下段に示すように、プレート21が接合された光学部材3においては振幅の節がプレート21の長手方向における両端となり振幅が大きくなるためG値が大きくなり、加振部材22が接合された光学部材3においては振幅の節が加振部材22の長手方向における両端となり振幅が小さくなるためG値が小さくなるものと推定される。
【0097】
上記した測定結果により、加振部材22の長さが光学部材3の長さより短い場合においても、プレート21を介して加振部材22から光学部材3に振動を伝達することにより、振幅の大きな振動が光学部材3に伝達されると言う評価が得られた。
【0098】
[撮像装置の一実施形態]
図7に、本技術撮像装置の一実施形態によるスチルカメラのブロック図を示す。
【0099】
撮像装置(スチルカメラ)50は、撮影された画像信号のアナログ−デジタル変換等の信号処理を行うカメラ信号処理部80と、画像信号の記録再生処理を行う画像処理部81とを有している。また、撮像装置50は、撮影された画像等を表示する液晶パネル等の画像表示部82と、メモリーカード90への画像信号の書込及び読出を行うR/W(リーダ/ライタ)83と、撮像装置50の全体を制御するCPU(Central Processing Unit)84と、ユーザーによって所要の操作が行われる各種のスイッチ等から成る操作部52と、撮像装置50に取り付けられる交換レンズ100に配置された各レンズ群の駆動を制御するレンズ駆動制御部85とを備えている。
【0100】
カメラ信号処理部80は、撮像ユニット1からの出力信号に対するデジタル信号への変換、ノイズ除去、画質補正、輝度・色差信号への変換等の各種の信号処理を行う。
【0101】
画像処理部81は、所定の画像データーフォーマットに基づく画像信号の圧縮符号化・伸張復号化処理や解像度等のデーター仕様の変換処理等を行う。
【0102】
画像表示部82はユーザーの操作部52に対する操作状態や撮影した画像等の各種のデーターを表示する機能を有している。
【0103】
R/W83は、画像処理部81によって符号化された画像データーのメモリーカード90への書込及びメモリーカード90に記録された画像データーの読出を行う。
【0104】
CPU84は、撮像装置50に設けられた各回路ブロックを制御する制御処理部として機能し、操作部52からの指示入力信号等に基づいて各回路ブロックを制御する。
【0105】
レンズ駆動制御部85は、CPU84からの制御信号に基づいて交換レンズ100の各レンズ群を駆動する図示しないモータ等を制御する。
【0106】
メモリーカード90は、例えば、R/W83に接続されたスロットに対して着脱可能な半導体メモリーである。
【0107】
以下に、撮像装置50における動作を説明する。
【0108】
撮影の待機状態では、CPU84による制御の下で、撮影された画像信号がカメラ信号処理部80を介して画像表示部82に出力され、カメラスルー画像として表示される。また、操作部52からのズーミングのための指示入力信号が入力されると、CPU84がレンズ駆動制御部85に制御信号を出力し、レンズ駆動制御部85の制御に基づいて交換レンズ50の各レンズ群が移動される。
【0109】
操作部52からの指示入力信号により撮像装置50のシャッターが動作されると、撮影された画像信号がカメラ信号処理部80から画像処理部81に出力されて圧縮符号化処理され、所定のデーターフォーマットのデジタルデーターに変換される。変換されたデーターはR/W83に出力され、メモリーカード90に書き込まれる。
【0110】
フォーカシングは、CPU84からの制御信号に基づいてレンズ駆動制御部85が交換レンズ100の各レンズ群を移動させることにより行われる。
【0111】
メモリーカード90に記録された画像データーを再生する場合には、操作部52に対する操作に応じて、R/W83によってメモリーカード90から所定の画像データーが読み出され、画像処理部81によって伸張復号化処理が行われた後に、再生画像信号が画像表示部82に出力されて再生画像が表示される。
【0112】
[まとめ]
以上に記載した通り、撮像ユニット1にあっては、光学部材3の一端縁3a以上の長さに形成され一端縁3aに接合されたプレート21に加振部材22を接合して加振部材22によって発生した振動をプレート21を介して光学部材3に伝達するようにしている。
【0113】
従って、加振部材22の大きさに拘わらず光学部材3に大きな振幅の振動を伝達して光学部材3に対する塵埃の付着を十分に防止することが可能であるため、製造コストの低減を図った上で画質の向上を図ることができる。
【0114】
また、加振部材22の長さを光学部材3の一端縁3aの長さより短くしているため、安価な加振部材22を用いることが可能であり、撮像ユニット1の製造コストの一層の低減を図ることができる。
【0115】
さらに、プレート21を光学部材3の長手方向に延びる一端縁(長縁)3aに接合することにより、光学部材3の全体に大きな振幅の振動を伝達することができ、光学部材3に対する塵埃の付着の防止効果を高めて一層の画質の向上を図ることができる。
【0116】
さらにまた、プレート21を金属材料によって形成しているため、振動の伝達性能が高く、光学部材3の全体に大きな振幅の振動を伝達することができる。
【0117】
また、光学部材3が押さえ板2と受け部材4によって挟持されて保持された状態において、受け部材4とプレート21の間に空間60が形成されているため、受け部材4と加振部材22及びプレート21とが接触されておらず、加振部材22から光学部材3に伝達される振動の減衰を抑制することができる。
【0118】
さらに、加振部材22とプレート21が押さえ板2と受け部材4の間に形成された空間70に配置され、押さえ板2と加振部材22及びプレート21とが接触されておらず、加振部材22から光学部材3に伝達される振動の減衰を一層抑制することができる。
【0119】
さらにまた、加振部材22が押さえ板2の前面3cと後面3bの間に配置されているため、加振部材22を配置することによって撮像ユニット1の厚み(前後方向における長さ)が厚くなることがなく、スペースの有効活用による撮像ユニット1の薄型化を図ることができる。
【0120】
尚、加振部材22として用いられた圧電素子は通電量により振動の大きさを変化させることが可能なデバイスであるため、加振部材22として圧電素子を用いることにより、振動の発生に関して制御の容易化及び制御の自由度の向上を図ることができる。
【0121】
また、光学部材3として赤外線吸収部材を用いることにより、塵埃の付着の防止に加えて赤外線の吸収による画質の向上を図ることができる。
【0122】
尚、上記したように、プレート21に加振部材22が接合されているため、撮像ユニット1における各部の組付作業においてプレート21を把持することにより加振部材22を把持する必要がなく、組付作業における加振部材22の損傷を防止することができる。
【0123】
[本技術]
本技術は、以下のような構成にすることができる。
【0124】
(1)光学像を電気的信号に変換する撮像素子と、前記撮像素子の被写体側に配置された光学部材と、前記光学部材の一端縁以上の長さに形成され前記光学部材の一端縁に接合されたプレートと、振動を発生する振動源として機能すると共に前記プレートに接合され発生した振動を前記プレートを介して前記光学部材に付与する加振部材とを備えた撮像ユニット。
【0125】
(2)前記加振部材が前記光学部材の前記一端縁の長さ方向に延びる形状に形成され、前記加振部材の長さが前記光学部材の前記一端縁の長さより短くされた前記(1)に記載の撮像ユニット。
【0126】
(3)前記光学部材が長方形状に形成され、前記光学部材の長縁が前記一端縁にされた前記(1)又は前記(2)に記載の撮像ユニット。
【0127】
(4)前記プレートを金属材料によって形成した前記(1)から前記(3)の何れかに記載の撮像ユニット。
【0128】
(5)前記光学部材が押さえ板と受け部材によって挟持されて保持され、前記受け部材と前記プレート及び前記加振部材との間に空間が形成された前記(1)から前記(4)の何れかに記載の撮像ユニット。
【0129】
(6)前記光学部材が押さえ板と受け部材によって挟持されて保持され、前記押さえ板と前記プレート及び前記加振部材との間に空間が形成された前記(1)から前記(5)の何れかに記載の撮像ユニット。
【0130】
(7)前記光学部材が押さえ板と受け部材によって挟持されて保持され、前記光学部材における前記押さえ板に押さえられた面の反対側の面に前記プレートが接合され、前記加振部材が前記光学部材における前記押さえ板に押さえられた面と前記反対側の面との間に位置された前記(1)から前記(6)の何れかに記載の撮像ユニット。
【0131】
(8)前記加振部材として圧電素子が設けられた前記(1)から前記(7)の何れかに記載の撮像ユニット。
【0132】
(9)前記光学部材として赤外線吸収部材が設けられた前記(1)から前記(8)の何れかに記載の撮像ユニット。
【0133】
(10)外筐の内部に光学系を介して取り込まれた光学像に対して画像を形成するための所定の処理を行う撮像ユニットが配置され、前記撮像ユニットは、光学像を電気的信号に変換する撮像素子と、前記撮像素子の被写体側に配置された光学部材と、前記光学部材の一端縁以上の長さに形成され前記光学部材の前記一端縁に接合されたプレートと、振動を発生する振動源として機能すると共に前記プレートに接合され発生した振動を前記プレートを介して前記光学部材に付与する加振部材とを備えた撮像装置。
【0134】
上記した最良の形態において示した各部の具体的な形状及び構造は、何れも本技術を実施する際の具体化のほんの一例を示したものにすぎず、これらによって本技術の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならないものである。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】図2乃至図7と共に本技術の最良の形態を示すものであり、本図は、撮像装置と交換レンズを示す概略斜視図である。
【図2】撮像ユニットの分解斜視図である。
【図3】撮像ユニットの断面図である。
【図4】撮像ユニットの一部を示す拡大断面図である。
【図5】光学部材とプレートと加振部材を示す拡大正面図である。
【図6】加振部材として用いられた圧電素子とプレートの機能に関する図である。
【図7】撮像装置のブロック図である。
【符号の説明】
【0136】
50…撮像装置、51…外筐、1…撮像ユニット、2…押さえ板、3…光学部材、3a…一端縁、4…受け部材、16…撮像素子、21…プレート、22…加振部材、60…空間、70…空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学像を電気的信号に変換する撮像素子と、
前記撮像素子の被写体側に配置された光学部材と、
前記光学部材の一端縁に接合されたプレートと、
前記プレートに接合された加振部材とを備えた
撮像ユニット。
【請求項2】
前記加振部材が前記光学部材の前記一端縁の長さ方向に延びる形状に形成され、
前記加振部材の長さが前記光学部材の前記一端縁の長さより短くされた
請求項1に記載の撮像ユニット。
【請求項3】
前記光学部材が長方形状に形成され、
前記光学部材の長縁が前記一端縁にされた
請求項1に記載の撮像ユニット。
【請求項4】
前記プレートを金属材料によって形成した
請求項1に記載の撮像ユニット。
【請求項5】
前記光学部材が押さえ板と受け部材によって挟持されて保持され、
前記受け部材と前記プレート及び前記加振部材との間に空間が形成された
請求項1に記載の撮像ユニット。
【請求項6】
前記光学部材が押さえ板と受け部材によって挟持されて保持され、
前記押さえ板と前記プレート及び前記加振部材との間に空間が形成された
請求項1に記載の撮像ユニット。
【請求項7】
前記光学部材が押さえ板と受け部材によって挟持されて保持され、
前記光学部材における前記押さえ板に押さえられた面の反対側の面に前記プレートが接合され、
前記加振部材が前記光学部材における前記押さえ板に押さえられた面と前記反対側の面との間に位置された
請求項1に記載の撮像ユニット。
【請求項8】
前記加振部材として圧電素子が設けられた
請求項1に記載の撮像ユニット。
【請求項9】
前記光学部材として赤外線吸収部材が設けられた
請求項1に記載の撮像ユニット。
【請求項10】
外筐の内部に光学系を介して取り込まれた光学像に対して画像を形成するための所定の処理を行う撮像ユニットが配置され、
前記撮像ユニットは、
光学像を電気的信号に変換する撮像素子と、
前記撮像素子の被写体側に配置された光学部材と、
前記光学部材の一端縁に接合されたプレートと、
前記プレートに接合された加振部材とを備えた
撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−38659(P2013−38659A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−174302(P2011−174302)
【出願日】平成23年8月9日(2011.8.9)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】