説明

撮像ユニット

【課題】撮像素子の被写体側に位置するプリズムを小型化した場合であっても、プリズムの入射面側に小型化の遮光枠を高い位置精度で簡単に設置できる撮像ユニットを提供する。
【解決手段】撮像素子69と、撮像素子より被写体側に位置し、かつ撮影光の光路を屈曲させて撮像素子に導くプリズムLP2を具備する撮像光学系と、撮像素子及びプリズムを支持した状態で収納するハウジング16と、ハウジングの一部を構成する、プリズムの入射面LP2−aより被写体側に位置し、入射面に入る撮影光の一部を遮光する遮光枠21aと、ハウジングに形成した、プリズムと当接して該プリズムのハウジングに対する位置決めを行うプリズム位置決め面21b、22d1、26a、26bと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像光学系と撮像素子を備える撮像ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ等の主として撮影を目的とした携帯電子機器や、カメラ付き携帯電話機や携帯情報端末といった付随的に撮影機能を備えた携帯電子機器が広く普及している。この種の携帯電子機器においては、中空のハウジングに撮像素子と撮像素子に撮影光を導くための撮像光学系とを収納した構成の撮像ユニットを内蔵させることが広く行われている。
【0003】
この種の撮像ユニットでは、撮影光の光路を屈曲させながら撮像素子に導くプリズムを撮像素子の直前(被写体側)に設けることがある。そして近年、携帯電子機器の薄型化の進行に伴って撮像ユニットが薄型化しているため、この種の撮像ユニットにプリズムを用いる場合は、プリズムを小型化する必要がある。
しかしプリズムを小型化すると、プリズム側面による反射によって迷光が発生し、この迷光が撮像素子の撮像面に到達するおそれが強くなる。そのため小型のプリズムを用いる場合は、プリズムの入射面側に撮影光の一部がプリズム側面に向かうのを防止するための遮光枠を設ける必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−026007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のようにプリズムが小型化しており、しかも撮像ユニット内における遮光枠の占有領域を出来る限り小さくするのが理想的であるため、薄型の撮像ユニットに適用する場合は遮光枠を小型化する必要がある。
小型の遮光枠の一例としては、プリズムの入射面に貼設可能なシート状の遮光シートがある。
しかし薄肉かつ小寸の遮光シートを小寸プリズムの入射面に貼設する作業は容易ではないため、遮光シートの貼設位置が所望の位置からずれ、その結果、迷光が撮像素子の撮像面に到達するおそれがある。
【0006】
本発明は、撮像素子の被写体側に位置するプリズムを小型化した場合であっても、プリズムの入射面側に小型化の遮光枠を高い位置精度で簡単に設置できる撮像ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の撮像ユニットは、撮像素子と、該撮像素子より被写体側に位置し、かつ撮影光の光路を屈曲させて上記撮像素子に導くプリズムを具備する撮像光学系と、上記撮像素子及びプリズムを支持した状態で収納するハウジングと、該ハウジングの一部を構成する、上記プリズムの入射面より被写体側に位置し、該入射面に入る上記撮影光の一部を遮光する遮光枠と、上記ハウジングに形成した、上記プリズムと当接して該プリズムのハウジングに対する位置決めを行うプリズム位置決め面と、を備えることを特徴としている。
【0008】
上記撮像光学系が、上記プリズムより被写体側に位置し、かつ上記撮影光の光路を屈曲させて上記プリズムへ導く入射側プリズムを備えてもよい。
【0009】
上記撮像素子の撮像面を覆うカバーガラスと、上記ハウジングに形成した、上記カバーガラスと当接して上記撮像素子のハウジングに対する位置決めを行う撮像素子位置決め面と、を備えてもよい。
【0010】
上記プリズム位置決め面が、上記プリズムに形成した光路を屈曲させるための反射平面と当接する、該反射面に入射する入射光路及び該反射平面によって反射された反射光路に対して傾斜する傾斜平面と、上記プリズムの上記入射面の周縁部に当接し、かつ上記入射光路に対して直交する入射側当接面と、を備えてもよい。
【0011】
上記ハウジングが、上記入射光路及び反射光路に対して直交する方向に延びかつ該ハウジングの内面に一体的に形成した基部と、該基部の両端部から該反射光路と平行方向に延びる一対の側部と、一対の該側部の遊端部同士を接続する上記基部と平行な接続部とを具備し、かつ上記プリズムの上記入射面と対向する枠体を具備し、上記基部、一対の側部、及び、接続部の内周縁部に上記遮光枠を形成し、上記枠体の上記接続部を除いた部分に上記入射側当接面を形成してもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ハウジングの一部に遮光枠を一体的に設け、かつ、ハウジングに形成したプリズム位置決め面によってプリズムのハウジングに対する位置決めを行っているので、プリズム及び遮光枠を小型化した場合であっても、プリズムの入射面側に遮光枠を高い位置精度で設置できる。
しかも遮光枠をハウジングに一体的に設けているので、遮光枠をプリズムやハウジングに取り付ける作業が不要である。そのためプリズムの入射面側に遮光枠を位置させるための作業が、プリズムをプリズム位置決め面に当接させる作業のみとなるので、プリズムの入射面側に遮光枠を簡単に位置させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態のレンズユニットを搭載した撮像ユニットの前斜め上方から見た斜視図である。
【図2】撮像ユニットの前斜め上方から見た分解斜視図である。
【図3】撮像光学系がワイド端位置にあるときのカバー部材及び回路基板を取り外した撮像ユニットの正面図である。
【図4】撮像光学系がテレ端位置にあるときの図3と同様の正面図である。
【図5】撮像光学系がテレ端位置にあるときの図1のV−V矢線に沿う断面図である。
【図6】図5のVI部の拡大断面図である。
【図7】ハウジングの斜視図である。
【図8】図4のVIII−VIII矢線に沿う断面図である。
【図9】第2プリズムの入射面を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照しながら本発明の一実施形態について説明する。なお以下の説明における前後、左右、及び、上下の各方向は、図中に記載した矢線方向を基準としている。
図1、図2に示すように撮像ユニット1は大きな構成要素として第1レンズ群ブロック3、本体モジュール15、基板モジュール65、及び、カバー部材76を具備している。
【0015】
第1レンズ群ブロック3は合成樹脂の成形品であるホルダ4を具備している。ホルダ4の左端部には貫通孔6を有する上下一対の耳片5が突設してある。またホルダ4の内部には前面及び右側面が開口するプリズム収納空間7が形成してあり、プリズム収納空間7の前面開口部には左側部が開放された前側レンズ保持孔8(レンズ保持孔)が形成してあり、プリズム収納空間7の右側面開口部には上下両端部がそれぞれ開放された非円形形状の右側レンズ保持孔9が形成してある(図5参照)。図5等に示すようにプリズム収納空間7には、前後方向に対して直交する上下方向に長い矩形形状の入射面LP1−aと左右方向に対して直交する上下方向に長い矩形形状の出射面LP1−bとを備える第1プリズムLP1(プリズム)が嵌合固定してある。また前側レンズ保持孔8には、外形形状が円形でありその光軸が前後方向に延びるレンズL1(円形レンズ)が、入射面LP1−aと前後方向に対向する状態で嵌合固定してある。
図3に示すように前方から第1レンズ群ブロック3を見たとき、第1プリズムLP1の入射面LP1−aの四隅がレンズL1の外周側に位置する。しかし図2及び図4に示すように、ホルダ4の前面(マスク固定面)にはレンズL1を避けるためのレンズ逃げ孔11が形成された前側遮光マスク10(遮光部材)が固定状態で貼り付けてあり、前側遮光マスク10の四隅によって入射面LP1−aの四隅が覆われるので、入射面LP1−aの四隅は前方に露出しない。
【0016】
ホルダ4の右側レンズ保持孔9には、共に樹脂製であるレンズL2とレンズL3が互いに接合した状態で嵌合してある(図5参照)。
さらにホルダ4の右端面にはレンズL3の右側面を覆う右側遮光マスク13が固定状態で貼設してある(図2参照)。但し右側遮光マスク13には開口14が形成してあるので、レンズ部L3aの外周縁部より内周側部分は右側に露出している。
以上説明したレンズL1、第1プリズムLP1、レンズL2、レンズL3が第1レンズ群LG1の構成要素である。またホルダ4、前側遮光マスク10、第1レンズ群LG1、及び、右側遮光マスク13が第1レンズ群ブロック3の構成要素である。
【0017】
本体モジュール15は、合成樹脂製のハウジング16を備えている。ハウジング16の左端部には取付用凹部17が凹設してあり、取付用凹部17より右側に位置する部分の前面には断面略矩形の収納凹部18が形成してある。取付用凹部17と収納凹部18の間には両者を区切る隔壁19が形成してあり、隔壁19の中央部には取付用凹部17と収納凹部18を連通させるための連通孔20(図3、図4参照)が穿設してある。収納凹部18の底面(後面)の右端部には正面視略方形をなす位置決め部22が前向きに突設してある。さらに位置決め部22は前方に向かって突出する3つのスペーサ23a、23b、23cを備えており、各スペーサ23a、23b、23cの前面は前後方向(ハウジング16の厚み方向)に対して直交する扁平な位置決め平面24(撮像素子位置決め面)となっている。また位置決め部22の内部には前面及び左側面が開口するプリズム用凹部25が凹設してある。
スペーサ23cは、収納凹部18の底面から共に前方に突出する(該底面と一体化している)上壁22a(側部)及び下壁22b(側部)の前端同士を接続する上下方向に延びる接続部23c1と、接続部23c1の下端から右側に延びる屈曲端部23c2と、を具備している。収納凹部18の底面には、上壁22a及び下壁22bの左端部同士を接続し、かつ上下方向に延びる基部22cが一体的に突設してある。上壁22a、下壁22b、基部22c、及び、接続部23c1が、側面視において上下方向に長い矩形形状をなす枠体21を構成している(図7参照)。上壁22a、下壁22b、基部22c、及び、接続部23c1の各内周縁部には遮光部22a1、22b1、22c1、23c3がそれぞれハウジング16の一部として一体的に形成してある(図8参照)。そして遮光部22a1、22b1、22c1、23c3が、側面視において上下方向に長い矩形形状をなす遮光枠21aを構成している。遮光部22a1、22b1、及び22c1(遮光枠21aの中の遮光部23c3を除いた部分)の右側面は、左右方向に対して直交する扁平面である入射側当接面21b(図6参照)となっている。収納凹部18の底面にはプリズム用凹部25において遮光枠21aの右側に位置するプリズム支持部26が突設してある。プリズム支持部26の前面には、前後方向に延びる直線及び左右方向に延びる直線に対して共に45°の角度で傾斜する傾斜平面26a、26b(プリズム位置決め面)が左右一対として形成してある。さらに上壁22a及び下壁22bの内側面にそれぞれ突設した内面突部22dの前面には、傾斜平面26a、26bの延長平面上に位置する傾斜平面22d1(プリズム位置決め面)がそれぞれ形成してある(図8参照)。
さらに収納凹部18の内周面の前縁部には、ハウジング16の前面より後方に一段後退しかつ前後方向に対して直交する基板支持面27が形成してあり、基板支持面27の2カ所には前向きに突出する係止突起28が設けてある。ハウジング16の上面中央部の前端部には周辺部に比べて(下方に)一段下がった第1係合凹部30が形成してあり、第1係合凹部30の左側には第1係合凹部30と同じ高さに位置しかつ第1係合凹部30より広幅の第2係合凹部31が形成してあり、第2係合凹部31には係合突起32が突設してある。さらにハウジング16の下面にも同じ構成の第1係合凹部30、第2係合凹部31、係合突起32が形成してある(図3、図4参照)。下面の第1係合凹部30、第2係合凹部31、係合突起32の互いの位置関係は上面のものと同じであるが、下面の第1係合凹部30、第2係合凹部31、係合突起32は上面のものに対して全体的に右側にずれている。さらにハウジング16の右側面には上下一対の係合突起34が突設してある(図1、図2参照)。
【0018】
プリズム用凹部25には左右方向に対して直交する入射面LP2−aと前後方向に対して直交する出射面LP2−bとを備える第2プリズムLP2(プリズム)が嵌合固定してある。具体的には、第2プリズムLP2の右端面を構成し、かつ入射面LP2−a及び出射面LP2−bに対して45°の角度で傾斜する反射平面LP2−c(図6参照)の上縁部と下縁部を左右の傾斜平面22d1、26a、26bにそれぞれ面接触させ、かつ、入射面LP2−aの上縁部、下縁部、及び、後縁部を入射側当接面21bに面接触させることにより(図9に示したハッチング部分が入射側当接面21bとの接触部を表している)、第2プリズムLP2を内面突部22d及びプリズム支持部26と遮光枠21aとに固定している。第2プリズムLP2をプリズム用凹部25内で固定すると、左側から見たときに遮光枠21aが入射面LP2−aの周縁部全体を覆い、さらに入射面LP2−aの前縁部と接続部23c1の右側面の間に隙間が形成され、さらに入射面LP2−aが出射面LP1−bと左右方向に対向する。
【0019】
ハウジング16の右側壁の内面と隔壁19には共に左右方向に直線的に延びる金属製の円柱部材である第1ロッド36と第2ロッド37の両端部が上下に並べた状態で固定してある。
第1ロッド36には合成樹脂製の2群レンズ枠39の上部に形成した挿通孔40が嵌合しており、第2ロッド37には2群レンズ枠39の下端部に形成した回転止め溝41が係合している。このように回転止め溝41が第2ロッド37に係合することにより2群レンズ枠39の第1ロッド36回りの回転を規制しているので、2群レンズ枠39は第1ロッド36及び第2ロッド37に沿って左右方向にスライド可能である。2群レンズ枠39を左右方向に貫通するレンズ保持孔には、2枚のレンズL4、L5からなり、かつ出射面LP1−b及び入射面LP2−aと左右方向に対向する第2レンズ群LG2(像側レンズ)が嵌合固定してある。また、2群レンズ枠39の上端部には左右両端が開放したナット保持孔42が形成してあり、ナット保持孔42には軸線が左右方向に延びる雌ねじ孔を備えるドリブンナット44が、該軸線回りの回転を規制された状態で嵌合固定してある。収納凹部18の上部にはステッピングモータからなる第1モータM1が固定してある。第1モータM1は左方に向かって直線的に延びる回転駆動軸M1aを備えており、回転駆動軸M1aの先端部近傍に形成した雄ねじ溝がドリブンナット44の上記雌ねじ溝に螺合している。従って、第1モータM1を動作させることにより回転駆動軸M1aをその軸線回りに正逆回転させると、2群レンズ枠39(レンズL4、L5)が第1ロッド36と第2ロッド37に沿って図4に示すテレ端位置と図3に示すワイド端位置との間を左右方向に直線移動する。
また第2ロッド37には2群レンズ枠39の右側に位置する合成樹脂製の3群レンズ枠47の下部に形成した挿通孔48が嵌合しており、第1ロッド36には3群レンズ枠47の上端部に形成した回転止め溝49が係合しているので、3群レンズ枠47は第1ロッド36及び第2ロッド37に沿って(第2ロッド37回りに回転を規制された状態で)左右方向にスライド可能である。3群レンズ枠47を左右方向に貫通するレンズ保持孔には1枚のレンズL6からなり第2レンズ群LG2と互いに同心をなす第3レンズ群LG3(像側レンズ)が嵌合固定してあり、3群レンズ枠47の下端部には左右両端が開放したナット保持孔50が形成してあり、ナット保持孔50にはドリブンナット44が自身の軸線(左右方向)回りの回転を規制された状態で嵌合固定してある。さらに収納凹部18の下部には第1モータM1と同一仕様の第2モータM2が固定してあり、回転駆動軸M2a(回転駆動軸M1aと同一仕様)の先端部近傍に形成した雄ねじ溝がドリブンナット44の上記雌ねじ溝に螺合している。従って、第2モータM2を動作させることにより回転駆動軸M2aをその軸線回りに正逆回転させると、3群レンズ枠47(第3レンズ群LG3)が第1ロッド36と第2ロッド37に沿って図4に示すテレ端位置と図3に示すワイド端位置との間を左右方向に直線移動する。
以上説明したハウジング16、第1ロッド36、第2ロッド37、第2レンズ群LG2(2群レンズ枠39、ドリブンナット44)、第3レンズ群LG3(3群レンズ枠47、ドリブンナット44)、及び、第2プリズムLP2、第1モータM1、及び、第2モータM2が本体モジュール15の構成要素である。
【0020】
第1レンズ群ブロック3と本体モジュール15は、ホルダ4の耳片5より右側に位置する部分を取付用凹部17に嵌合し、さらに上下の耳片5とハウジング16の上下の左端面(取付用凹部17の上下両側に位置する突部の左端面)との間でスペーサSを挟んだ状態で、左側から上下の貫通孔6に一対の固定ネジBをそれぞれ挿入し、固定ネジBのネジ部をハウジング16の左端面に形成した雌ネジ孔に螺合することにより一体化してある。
第1レンズ群ブロック3と本体モジュール15を一体化すると、ホルダ4の右端部(右側レンズ保持孔9を形成している壁)が隔壁19の連通孔20に嵌合し、レンズL2、レンズL3の光軸Aが第2レンズ群LG2及び第3レンズ群LG3の光軸と一致する。
以上説明した第1レンズ群LG1、第2レンズ群LG2、第3レンズ群LG3、及び、第2プリズムLP2が撮像光学系(屈曲光学系)の構成要素であり、第2レンズ群LG2(レンズL4、L5)と第3レンズ群LG3(レンズL6)が第1ロッド36及び第2ロッド37に沿って進退することにより該撮像光学系はズーミング動作を行い、第3レンズ群LG3が進退することによりフォーカシング動作を行う。
【0021】
基板モジュール65は正面形状がハウジング16の収納凹部18と略同一であり前後方向に対して直交する平板からなる回路基板66を具備している。回路基板66の後面には図示を省略したプリント回路が形成してあり、かつ回路基板66の角部の2カ所には円形孔67が穿設してある。
回路基板66の後面の右端部には撮像素子69が固定してあり、撮像素子69に設けた複数の端子(図示略)が上記プリント回路に半田付けにより固定状態で接続している。撮像素子69の後面には前後方向に対して直交する撮像面(図示略)が形成してある。さらに撮像素子69はその入射側の面(図中後面)に、平板からなり該撮像面全体を覆うカバーガラス70を固定状態で備えている。
さらに撮像素子69の後面(後端部)には、前面及び左側面が開放したゴム等の弾性材料からなるパッキン72が被せてある。さらにパッキン72の後面には上記撮像面全体を後方に露出させるための露出用孔(貫通孔)73と、スペーサ23a、23b、23cをそれぞれ貫通させるための3つの貫通孔72a、72b、72cが穿設してある。
以上説明した回路基板66、撮像素子69、及び、パッキン72が基板モジュール65の構成要素である。
【0022】
金属板のプレス成形品であるカバー部材76は、前後方向に対して直交する平板部である基部77と、基部77の上下両縁部からそれぞれ後方に向かって延びる短寸係合片78及び長寸係合片(弾性係合片)79と、基部77の右側縁部からそれぞれ後方に向かって延びる上下一対かつ側面視略T字形の側部係合片(弾性係合片)81と、を一体的に備えている。基部77は回路基板66より若干大寸の略矩形形状であり、かつ、共に前後方向に弾性変形可能な押圧片84、押圧片85、及び、押圧片86を有している。
押圧片84、押圧片85、及び、押圧片86は前方から後方に向かって突出する押圧突起84a、押圧突起85a、及び、押圧突起86aをそれぞれ具備しており(押圧片84、押圧片85、及び、押圧片86の押圧突起84a、押圧突起85a、及び、押圧突起86aに対応する部分の前面は凹んでいる)、自由状態にあるとき押圧片84、押圧片85、及び、押圧片86は基部77の他の部分と同一平面上に位置している。
長寸係合片79と側部係合片81には共に方形をなす係合孔80と係合孔82がそれぞれ穿設してある。
【0023】
本体モジュール15に対して基板モジュール65とカバー部材76を組み付けるには、まず回路基板66の2つの円形孔67をハウジング16の2つの係止突起28にそれぞれ嵌合させながら回路基板66によって収納凹部18の前面開口を塞ぎ、回路基板66の後面の周縁部を基板支持面27に面接触させる(回路基板66の前面とハウジング16の前面は略同一平面上に位置する)。するとハウジング16の3つのスペーサ23a、23b、23cがパッキン72の上記した3つの貫通孔を前方に通り抜けて、その位置決め平面24が撮像素子69のカバーガラス70の扁平な後面(撮像面の直後に位置する部分より外周側)に面接触し、カバーガラス70と第2プリズムLP2(出射面LP2−b)の間に前後方向の隙間が形成される。さらに露出用孔73を通して撮像素子69の上記撮像面が第2プリズムLP2の出射面LP2−bと前後方向に対向する。またパッキン72の後面が位置決め部22の前面に当接する。
次いでハウジング16の前面にカバー部材76の基部77を前方から被せて、上下の短寸係合片78を上下の第1係合凹部30にそれぞれ係合させ、上下の長寸係合片79の係合孔80を上下の係合突起32にそれぞれ係合させ、かつ、上下の側部係合片81の係合孔82を上下の係合突起34にそれぞれ係合させて、カバー部材76をハウジング16に固定する。
このようにして撮像ユニット1を組み立てると、カバー部材76の押圧片84、押圧片85、及び、押圧片86の押圧突起84a、押圧突起85a、及び、押圧突起86aが回路基板66の前面の右側部に接触し、僅かに前方に弾性変形した押圧片84、押圧片85、及び、押圧片86から(押圧突起84a、押圧突起85a、及び、押圧突起86aを通じて)回路基板66の前面に後向きの押圧力(付勢力)が掛かるので、回路基板66及び撮像素子69が後方に押圧される。するとハウジング16の3つのスペーサ23a、23b、23cの位置決め平面24とカバー部材76の押圧突起84a、押圧突起85a、及び、押圧突起86aによって回路基板66と撮像素子69の一体物が前後から挟持されるので、スペーサ23a、23b、23cと押圧突起84a、85a、86aとによって回路基板66及び撮像素子69がハウジング16及び第2プリズムLP2に対して前後方向に正確に位置決めされる。
【0024】
撮像ユニット1を前方に位置する被写体に向けると、該被写体の反射光(撮影光)はレンズL1を透過した後に入射面LP1−aから第1プリズムLP1の内部に入り、第1プリズムLP1の内面によって出射面LP1−b側に進行方向を90°変換されながら反射される。さらに出射面LP1−bを出た該反射光は、各レンズL2〜L6を透過した後に入射面LP2−aから第2プリズムLP2の内部に入り、第2プリズムLP2の反射平面LP2−cによって出射面LP2−b側に進行方向を90°変換されながら反射され、露出用孔73及びカバーガラス70を通り抜けた後に撮像素子69の上記撮像面によって撮像(受光)される。そして撮像ユニット1は上記のように外力や振動が掛かった場合においても撮像素子69(の上記撮像面)の前後位置が所定の設計位置に正確に保持されるので、外力や振動が掛かった場合においても撮像素子69によって被写体像をピントのあったブレの無い画像として撮像できる。
さらに第1モータM1と第2モータM2を利用して第2レンズ群LG2(レンズL4、L5)と第3レンズ群LG3(レンズL6)を第1ロッド36及び第2ロッド37に沿って進退させることにより上記撮像光学系をズーミング動作及びフォーカシング動作させれば、被写体像を変倍及び合焦させた状態で撮像可能となる。
【0025】
以上説明した本実施形態の撮像ユニット1では、第2プリズムLP2の入射面LP2−aの周縁部のすぐ左側に遮光枠21a(遮光部22a1、22b1、22c1、23c3)が位置するので、撮影光の一部が遮光枠21aによって遮光され、撮影光のうち枠体21の内周側の貫通孔を透過した部分が第2プリズムLP2の入射面LP2−aに向かう。その一方で、撮影光の一部が第2プリズムLP2の上下両面に向かうのを遮光枠21aによって効果的に防止できるので、該上下両面によって反射されることにより発生する迷光が撮像素子69の撮像面に到達するのを抑制できる。
しかも、ハウジング16の一部に遮光枠21aを一体的に形成し、かつ、ハウジング16に一体的に形成した入射側当接面21bと傾斜平面22d1、26a、26bによって第2プリズムLP2のハウジング16に対する位置決めを行っているので、第2プリズムLP2及び遮光枠21aを小型化した場合であっても、第2プリズムLP2の入射面LP2−a側に遮光枠21aを高い位置精度で設置できる。
しかも遮光枠21aをハウジング16に一体的に設けているので、遮光枠21aをハウジング16や第2プリズムLP2に取り付ける作業が不要である。そのため第2プリズムLP2の入射面LP2−a側に遮光枠21aを位置させるための作業が、第2プリズムLP2を入射側当接面21bと傾斜平面22d1、26a、26bに当接させる作業のみとなるので、第2プリズムLP2の入射面LP2−a側に遮光枠21aを簡単に位置させることができる。
さらに第2プリズムLP2の入射面LP2−aを入射側当接面21bと傾斜平面22d1、26a、26bとに面接触させる一方で、入射面LP2−aの前縁部と接続部23c1の右側面の間に隙間を形成しているので、接続部23c1の平面度や寸法管理を緩和できる。
【0026】
以上本実施形態を利用して本発明を説明したが、本発明は様々な変形を施しながら実施可能である。
例えば傾斜平面26a、26bと傾斜平面22d1との一方を省略してもよい。
【0027】
また、第1プリズムLP1をミラーに代えてもよい。
【符号の説明】
【0028】
1 撮像ユニット
3 第1レンズ群ブロック
4 ホルダ
5 耳片
6 貫通孔
7 プリズム収納空間
8 前側レンズ保持孔(レンズ保持孔)
9 右側レンズ保持孔
10 前面遮光マスク(遮光部材)(遮光マスク)
11 レンズ逃げ孔
13 右側遮光マスク
14 円形孔
15 本体モジュール
16 ハウジング
17 取付用凹部
18 収納凹部
19 隔壁
20 連通孔
21 枠体
21a 遮光枠
21b 入射側当接面(プリズム位置決め面)
22 位置決め部
22a 上壁(側部)
22a1 遮光部
22b 下壁(側部)
22b1 遮光部
22c 基部
22c1 遮光部
22d 内面突部
22d1 傾斜平面(プリズム位置決め面)
23a 23b 23c スペーサ
23c1 接続部
23c2 屈曲端部
23c3 遮光部
24 位置決め平面(撮像素子位置決め面)
25 プリズム用凹部
26 プリズム支持部
26a 傾斜平面(プリズム位置決め面)
26b 傾斜平面(プリズム位置決め面)
27 基板支持面
28 係止突起
30 第1係合凹部
31 第2係合凹部
32 34 係合突起
36 第1ロッド
37 第2ロッド
39 2群レンズ枠
40 挿通孔
41 回転止め溝
42 ナット保持孔
44 ドリブンナット
47 3群レンズ枠
48 挿通孔
49 回転止め溝
50 ナット保持孔
65 基板モジュール
66 回路基板
67 円形孔
69 撮像素子
70 カバーガラス
72 パッキン
72a 72b 72c 貫通孔
73 露出用孔(貫通孔)
76 カバー部材
77 基部
78 短寸係合片
79 長寸係合片(弾性係合片)
80 係合孔
81 側部係合片(弾性係合片)
82 係合孔
84 85 86 押圧片
84a 85a 86a 押圧突起
A 光軸
B 固定ネジ
L 仮想直線
L1 レンズ
L2 レンズ
L2a レンズ部
L2b 突部
L3 レンズ
L3a レンズ部
L3b 突部
L4 レンズ
L5 レンズ
L6 レンズ
LG1 第1レンズ群
LG2 第2レンズ群
LG3 第3レンズ群
LP1 第1プリズム(入射側プリズム)
LP1−a 入射面
LP1−b 出射面
LP2 第2プリズム(プリズム)
LP2−a 入射面
LP2−b 出射面
LP2−c 反射平面
M1 第1モータ
M1a 回転駆動軸
M2 第2モータ
M2a 回転駆動軸
S スペーサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像素子と、
該撮像素子より被写体側に位置し、かつ撮影光の光路を屈曲させて上記撮像素子に導くプリズムを具備する撮像光学系と、
上記撮像素子及びプリズムを支持した状態で収納するハウジングと、
該ハウジングの一部を構成する、上記プリズムの入射面より被写体側に位置し、該入射面に入る上記撮影光の一部を遮光する遮光枠と、
上記ハウジングに形成した、上記プリズムと当接して該プリズムのハウジングに対する位置決めを行うプリズム位置決め面と、
を備えることを特徴とする撮像ユニット。
【請求項2】
請求項1記載の撮像ユニットにおいて、
上記撮像光学系が、上記プリズムより被写体側に位置し、かつ上記撮影光の光路を屈曲させて上記プリズムへ導く入射側プリズムを備える撮像ユニット。
【請求項3】
請求項1または2記載の撮像ユニットにおいて、
上記撮像素子の撮像面を覆うカバーガラスと、
上記ハウジングに形成した、上記カバーガラスと当接して上記撮像素子のハウジングに対する位置決めを行う撮像素子位置決め面と、
を備える撮像ユニット。
【請求項4】
請求項1から3記載の撮像ユニットにおいて、
上記プリズム位置決め面が、
上記プリズムに形成した光路を屈曲させるための反射平面と当接する、該反射面に入射する入射光路及び該反射平面によって反射された反射光路に対して傾斜する傾斜平面と、
上記プリズムの上記入射面の周縁部に当接し、かつ上記入射光路に対して直交する入射側当接面と、
を備える撮像ユニット。
【請求項5】
請求項4記載の撮像ユニットにおいて、
上記ハウジングが、上記入射光路及び反射光路に対して直交する方向に延びかつ該ハウジングの内面に一体的に形成した基部と、該基部の両端部から該反射光路と平行方向に延びる一対の側部と、一対の該側部の遊端部同士を接続する上記基部と平行な接続部とを具備し、かつ上記プリズムの上記入射面と対向する枠体を具備し、
上記基部、一対の側部、及び、接続部の内周縁部に上記遮光枠を形成し、
上記枠体の上記接続部を除いた部分に上記入射側当接面を形成した撮像ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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