説明

撮像レンズおよび撮像装置

【課題】 撮像レンズにおいて、小型かつ安価でありながら高い光学性能を持たせる。
【解決手段】 物体側から順に、物体側に凸面を向けた正のパワーを持つメニスカスレンズである第1レンズと、負のパワーを持つ両凹レンズである第2レンズと、像側に凸面を向けた正のパワーを持つメニスカスレンズである第3レンズと、物体側に凸面を向けた正のパワーを持つメニスカスレンズである第4レンズとからなり、全系の焦点距離をf、第1レンズの像側の面の曲率半径をR2としたとき、下記条件式(1)を満足する。
0.00<f/R2<0.13 (1)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はCCDやCMOS等の撮像素子を用いた車載用カメラや監視カメラ等に用いられる撮像レンズに関するもので、主に自動車の前方、側方、後方などの映像を撮影するための車載用カメラ等に用いられる撮像レンズに関するものである。
【背景技術】
【0002】
CCDやCMOS等の撮像素子は近年非常に小型化および高画素化が進んでいる。そのため、撮像機器本体並びにそれに搭載されるレンズにも小型、軽量化が求められている。一方、車載用カメラや監視カメラ等では、例えば高い耐候性を持ち、さらに真夏の熱帯地域の車内から冬の寒冷地の外気のような広い温度範囲の下で使用可能でありながら、夜間でも使用可能なようにFナンバーが小さくて明るい、高性能でしかも安価なレンズが求められている。
【0003】
従来、車載用カメラや監視カメラ等に用いられる撮像レンズとしては、5〜7枚構成のものが多かった。しかしながら、5〜7枚構成のものは光学性能上は問題が無いものの、高価であり、また寸法が大きく重いという欠点があった。そのため、実用上問題無い性能を備えつつ小型化および低コスト化を図るために、4枚構成の撮像レンズを用いることが考えられる。
【0004】
このような撮像レンズとしては、例えば下記特許文献1〜5に記載のものが知られている。これら特許文献1〜5には、いずれも全体として比較的レンズ枚数の少ない4枚構成のレンズ光学系が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平05−040220号公報
【特許文献2】特開平01−128025号公報
【特許文献3】特開平08−160297号公報
【特許文献4】特開平09−258100号公報
【特許文献5】米国特許第6282033号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1〜5には、明るさ、画角、収差の全ての点について高次元で満足するものはなく、4枚構成のレンズ光学系においてさらなる光学性能の向上が望まれている。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、小型かつ安価でありながら高い光学性能を有する撮像レンズおよびこの撮像レンズを備えた撮像装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の撮像レンズは、物体側から順に、物体側に凸面を向けた正のパワーを持つメニスカスレンズである第1レンズと、両凹レンズである第2レンズと、像側に凸面を向けた正のパワーを持つメニスカスレンズである第3レンズと、物体側に凸面を向けた正のパワーを持つメニスカスレンズである第4レンズとを含み、全系の焦点距離をf、第1レンズの像側の面の曲率半径をR2としたとき、下記条件式(1)を満足することを特徴とするものである。
0.00<f/R2<0.13 (1)
【0009】
本発明の撮像レンズにおいては、第4レンズの像側の面頂点から結像面までの空気換算距離をBf、第4レンズの像側の面の曲率半径をR9としたとき、下記条件式(2)を満足することが好ましい。
0.01<Bf/R9<0.30 (2)
【0010】
また、第1レンズの焦点距離をf1、全系の焦点距離をfとしたとき、下記条件式(3)を満足することが好ましい。
0.8<f1/f<1.1 (3)
【0011】
また、全系の焦点距離をf、第3および第4レンズからなるレンズ群の合成焦点距離をf34としたとき、下記条件式(4)を満足することが好ましい。
1.5<f/f34<1.7 (4)
【0012】
また、第2レンズの焦点距離をf2、第3レンズの焦点距離をf3としたとき、下記条件式(5)を満足することが好ましい。
−0.6<f2/f3<−0.3 (5)
【0013】
また、第1レンズの焦点距離をf1、第2レンズの焦点距離をf2としたとき、下記条件式(6)を満足することが好ましい。
−1.72<f1/f2<−1.54 (6)
【0014】
また、第1レンズの焦点距離をf1、第3レンズの焦点距離をf3としたとき、下記条件式(7)を満足することが好ましい。
0.6<f1/f3<1.0 (7)
【0015】
また、第1レンズと第2レンズとの間に絞りを備えたものとすることが好ましい。
【0016】
本発明の撮像装置は、上記記載の撮像レンズを備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の撮像レンズによれば、物体側から順に、物体側に凸面を向けた正のパワーを持つメニスカスレンズである第1レンズと、負のパワーを持つ両凹レンズである第2レンズと、像側に凸面を向けた正のパワーを持つメニスカスレンズである第3レンズと、物体側に凸面を向けた正のパワーを持つメニスカスレンズである第4レンズとからなり、全系の焦点距離をf、第1レンズの像側の面の曲率半径をR2としたとき、条件式(1)を満足するようにしているため、小型かつ安価でありながら高い光学性能を有する撮像レンズを実現することができる。
【0018】
本発明の撮像装置は、本発明の撮像レンズを備えているため、小型かつ安価に構成可能であり、しかも高画質の映像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施例1にかかる撮像レンズのレンズ構成を示す断面図
【図2】本発明の実施例2にかかる撮像レンズのレンズ構成を示す断面図
【図3】本発明の実施例3にかかる撮像レンズのレンズ構成を示す断面図
【図4】本発明の実施例4にかかる撮像レンズのレンズ構成を示す断面図
【図5】本発明の実施例5にかかる撮像レンズのレンズ構成を示す断面図
【図6】本発明の実施例1にかかる撮像レンズの各収差図
【図7】本発明の実施例2にかかる撮像レンズの各収差図
【図8】本発明の実施例3にかかる撮像レンズの各収差図
【図9】本発明の実施例4にかかる撮像レンズの各収差図
【図10】本発明の実施例5にかかる撮像レンズの各収差図
【図11】本発明の実施形態にかかる車載用の撮像装置の配置を説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0021】
図1は、本発明の一実施の形態にかかる撮像レンズの構成を示す断面図であり、後述の実施例1の撮像レンズに対応している。
【0022】
撮像レンズ1は、光軸Zに沿って物体側から順に、物体側に凸面を向けた正のパワーを持つメニスカスレンズである第1レンズL1と、負のパワーを持つ両凹レンズである第2レンズL2と、像側に凸面を向けた正のパワーを持つメニスカスレンズである第3レンズL3と、物体側に凸面を向けた正のパワーを持つメニスカスレンズである第4レンズL4とが配列されてなる。なお、図1における開口絞りStは形状や大きさを表すものではなく光軸Z上の位置を示すものである。
【0023】
なお、図1では、撮像レンズ1が撮像装置に適用される場合を考慮して、撮像レンズ1の結像位置を含む像面に配置された撮像素子5も図示している。撮像素子5は、撮像レンズ1により形成される光学像を電気信号に変換するものであり、例えばCCDイメージセンサ等からなる。
【0024】
また、撮像装置に適用する際には、レンズを装着するカメラ側の構成に応じて、第4レンズL4と像面との間に、カバーガラスや、ローパスフィルタまたは赤外線カットフィルタ等を配置することが好ましい。例えば、撮像レンズ1が、車載カメラに使用され、夜間の視覚補助用の暗視カメラとして使用される場合には、第4レンズL4と像面との間に紫外光から青色光をカットするようなフィルタを挿入してもよい。
【0025】
なお、第4レンズL4と像面との間にローパスフィルタや特定の波長域をカットするような各種フィルタ等を配置する代わりに、各レンズの間にこれらの各種フィルタを配置してもよい。あるいは、撮像レンズ1が有するいずれかのレンズのレンズ面に、各種フィルタと同様の作用を有するコートを施してもよい。
【0026】
上記撮像レンズ1は、下記条件式のいずれかあるいは全てを満足することが望ましい。
【0027】
全系の焦点距離をf、第1レンズL1の像側の面の曲率半径をR2としたとき、下記条件式(1)を満足するものである。ここで、条件式(1)の上限を上回ると、歪曲収差が補正不足になり、下限を下回ると、コマ収差が大きくなる。
0.00<f/R2<0.13 (1)
なお、条件式(1−1)を満足することがより好ましい。
【0028】
0.00<f/R2<0.1 (1―1)
【0029】
このような構成とすることにより、4枚構成で、しかも高価な非球面レンズを用いず、第1〜第4レンズの全てを球面レンズで構成した場合でも十分な光学性能を発揮することができるため、小型かつ安価でありながら高い光学性能を有する撮像レンズを実現することができる。
【0030】
また、上記撮像レンズ1においては、第4レンズL4の像側の面頂点から結像面までの空気換算距離をBf、第4レンズL4の像側の面の曲率半径をR9としたとき、下記条件式(2)を満足することが好ましい。ここで、条件式(2)の上限を上回ると、撮像素子5面上に結像した光束がその撮像面で反射して第9面(第4レンズL4の像側面)に戻り、その面で再び反射した光束が撮像面に達するが、その光束の拡がりが十分に大きくならず、有害なゴースト光になる可能性が高くなる。また、下限を下回ると、コマ収差が大きくなる。
0.01<Bf/R9<0.30 (2)
なお、条件式(2−1)を満足することがより好ましい。
【0031】
0.02<Bf/R9<0.25 (2―1)
【0032】
また、第1レンズL1の焦点距離をf1、全系の焦点距離をfとしたとき、下記条件式(3)を満足することが好ましい。ここで、条件式(3)の上限を上回ると、歪曲収差が補正不足になり、下限を下回ると、球面収差が補正不足になる。
0.8<f1/f<1.1 (3)
なお、条件式(3−1)を満足することがより好ましい。
【0033】
0.8<f1/f<1.0 (3―1)
【0034】
また、全系の焦点距離をf、第3レンズL3および第4レンズL4からなるレンズ群の合成焦点距離をf34としたとき、下記条件式(4)を満足することが好ましい。ここで、条件式(4)の上限を上回ると、像面湾曲が大きくなり、下限を下回ると、コマ収差が大きくなる。
1.5<f/f34<1.7 (4)
なお、条件式(4−1)を満足することがより好ましい。
【0035】
1.5<f/f34<1.65 (4―1)
【0036】
また、第2レンズL2の焦点距離をf2、第3レンズL3の焦点距離をf3としたとき、下記条件式(5)を満足することが好ましい。ここで、条件式(5)の上限を上回ると、球面収差が補正不足になり、下限を下回ると、像面湾曲が大きくなる。
−0.6<f2/f3<−0.3 (5)
なお、条件式(5−1)を満足することがより好ましい。
【0037】
−0.6<f2/f3<−0.4 (5―1)
【0038】
また、第1レンズL1の焦点距離をf1、第2レンズL2の焦点距離をf2としたとき、下記条件式(6)を満足することが好ましい。ここで、(6)式の上限を上回ると、コマ収差が大きくなり、下限を下回ると、歪曲収差が補正不足になる。
−1.72<f1/f2<−1.54 (6)
なお、条件式(6−1)を満足することがより好ましい。
【0039】
−1.72<f1/f2<−1.55 (6−1)
【0040】
また、第1レンズの焦点距離をf1、第3レンズの焦点距離をf3としたとき、下記条件式(7)を満足することが好ましい。ここで、条件式(7)の上限を上回ると、像面湾曲が大きくなって歪曲収差が補正不足になり、下限を下回ると、球面収差が補正不足となる。
0.6<f1/f3<1.0 (7)
なお、条件式(7−1)を満足することがより好ましい。
【0041】
0.65<f1/f3<0.95 (7−1)
【0042】
また、開口絞りStについては、開口絞りStが第1レンズL1より物体側にあると、第4レンズL4の外径が大きくなり、レンズ全体の最大径が大きくなる。また、開口絞りStが第2レンズL2より像側にあると、第1レンズL1の外径が大きくなり、監視カメラ等で、物体側から見えるレンズの径を小さくしたいという目的がある場合には好ましくない。さらに、軸外光の像面への入射角が大きくなり、センサーによってはこの入射角に制限のあるものがあり、その選択の幅を狭めることになり好ましくない。従って、開口絞りStは、第1レンズL1と第2レンズL2との間に設けることが好ましい。
【0043】
また、上記撮像レンズ1は、理想像高をftanθとしたとき、ディストーションが±10%以下であることが好ましい。ディストーションを±10%に抑えることで、歪みの少ない画像を得ることができる。さらに、ディストーションを±5%以下とすることで、より画像の歪みを抑えることができる。
【0044】
なお、第1レンズL1は、最も物体側のレンズであるため、例えば車載用カメラ等の厳しい環境において使用される場合には、風雨による表面劣化、直射日光による温度変化に強く、さらには油脂・洗剤等の化学薬品に強い材質、すなわち耐水性、耐候性、耐酸性、耐薬品性等が高い材質を用いることが好ましい。また、第1レンズL1の材質としては堅く、割れにくい材質を用いることが好ましく、具体的にはガラスもしくは透明なセラミックスを用いることが好ましい。セラミックスは通常のガラスに比べ強度が高く、耐熱性が高いという性質を有する。
【0045】
撮像レンズ1が、例えば車載用カメラに適用される場合には、寒冷地の外気から熱帯地方の夏の車内まで広い温度範囲で使用可能なことが要求される。そのため全てのレンズの材質がガラスであることが好ましい。具体的には−40℃〜125℃の広い温度範囲で使用可能なことが好ましい。また、安価にレンズを製作するためには、全てのレンズが球面レンズであることが好ましいが、コストよりも光学性能を優先する場合には非球面レンズを用いてもよい。
【0046】
撮像レンズ1において、第1レンズL1と第2レンズL2との間の有効径外を通過する光束は、迷光となって像面に達し、ゴーストとなるおそれがある。軸外光線の最外周光線よりも外側を通過する光束は迷光となるおそれがあるため、第1レンズL1と第2レンズL2との間に遮光手段を設けて迷光を遮断することが好ましい。この遮光手段としては、例えば第1レンズL1の像側の有効径外の部分に不透明な塗料を施したり、不透明な板材を設けたりしてもよい。または、迷光となる光束の光路に不透明な板材を設けて遮光手段としてもよい。このような目的の遮光手段は、第1レンズL1と第2レンズL2との間だけでなく、必要に応じて他のレンズ間に配置してもよい。さらに、第1レンズL1の物体側前方に、迷光を防止するフード状のものを配置してもよい。
【実施例】
【0047】
次に、本発明にかかる撮像レンズ1の具体的な数値実施例について説明する。
【0048】
<実施例1>
実施例1にかかる撮像レンズのレンズ構成図を図1に、レンズデータおよび各種データを表1に示す。表1のレンズデータにおいて、面番号は最も物体側の構成要素の面を1番目として像側に向かうに従い順次増加するi番目(i=1、2、3、…)の面番号を示す。なお、表1のレンズデータには開口絞りStも含めて付している。
【0049】
表1のRiはi番目(i=1、2、3、…)の面の曲率半径を示し、Diはi(i=1、2、3、…)番目の面とi+1番目の面との光軸Z上の面間隔を示す。また、Nejは最も物体側の光学要素を1番目として像側に向かうに従い順次増加するj番目(j=1、2、3、…)の光学要素のe線に対する屈折率を示し、νdjはj番目の光学要素のd線に対するアッベ数を示す。表1において、曲率半径および面間隔の単位はmmであり、曲率半径は物体側に凸の場合を正、像側に凸の場合を負としている。
【0050】
表1の各種データにおいて、fは全系の焦点距離、Bfは空気換算したバックフォーカス、Lは全系の第1レンズL1の物体側の面から像面までの光軸Z上の距離(バックフォーカス分は空気換算)である。表1の各種データにおける単位は全てmmである。なお、表1中の記号の意味は後述の実施例についても同様である。
【0051】
【表1】

【0052】
<実施例2>
実施例2にかかる撮像レンズのレンズ構成図を図2に、レンズデータおよび各種データを表2に示す。●
【表2】

【0053】
<実施例3>
実施例3にかかる撮像レンズのレンズ構成図を図3に、レンズデータおよび各種データを表3に示す。
【0054】
【表3】

【0055】
<実施例4>
実施例4にかかる撮像レンズのレンズ構成図を図4に、レンズデータおよび各種データを表4に示す。
【0056】
【表4】

【0057】
<実施例5>
実施例5にかかる撮像レンズのレンズ構成図を図5に、レンズデータおよび各種データを表5に示す。
【0058】
【表5】

【0059】
上記実施例1〜5にかかる撮像レンズの球面収差、非点収差、ディストーション(歪曲収差)、倍率色収差の収差図をそれぞれ図6〜図10に示す。各図の上部が縦収差、下部が横収差を示している。なお、下部の横収差はコマ収差を示している。
【0060】
各収差図には、e線(546.07nm)を基準波長とした収差を示すが、球面収差図および倍率色収差図には、g線(波長435.83nm)、C線(波長656.27nm)についての収差も示す。ディストーションの図は、レンズ全系の焦点距離f、光束のレンズへの入射角θ(変数扱い、0≦θ≦ω)を用いて、理想像高をftanθとし、それからのずれ量を示す。球面収差図の縦軸のFno.はFナンバーであり、その他の収差図の縦軸のωは半画角を示す。
【0061】
図6〜図10からわかるように、上記実施例1〜5は、F値が2.5と明るい光学系であるとともに、各収差が良好に補正されているため、動画の撮影にも好適に使用可能である。
【0062】
上述した撮像レンズ1および実施例1〜5の撮像レンズは、4枚構成であるにも関わらず良好な光学性能を有し、小型化および低コスト化を実現できるものであるため、自動車の前方、側方、後方などの映像を撮影するための車載用カメラなどに好適に使用可能である。
【0063】
図11に使用例として、自動車100に本実施の形態の撮像レンズおよび撮像装置を搭載した様子を示す。図11において、自動車100は、その助手席側の側面の死角範囲を撮像するための車外カメラ101と、自動車100の後側の死角範囲を撮像するための車外カメラ102と、ルームミラーの背面に取り付けられ、ドライバーと同じ視野範囲を撮影するための車内カメラ103とを備えている。車外カメラ101と車外カメラ102と車内カメラ103とは、撮像装置であり、本発明の実施の形態による撮像レンズ1と、撮像レンズ1により形成される光学像を電気信号に変換する撮像素子5とを備えている。
【0064】
上述したように、本発明の実施形態にかかる撮像レンズ1は、小型で良好な光学性能を有するため、車外カメラ101、102および車内カメラ103も小型に構成することができ、その撮像素子5の撮像面には良好な像を結像することができる。また、撮像レンズ1は非球面レンズを用いなくとも十分な光学性能を発揮できることから、安価に製作可能であり、したがって、車外カメラ101、102および車内カメラ103も安価に製作可能となる。
【0065】
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態および実施例に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、各レンズ成分の曲率半径、面間隔および屈折率の値は、上記各数値実施例で示した値に限定されず、他の値をとり得るものである。
【0066】
また、撮像装置の実施の形態では、車載用カメラに適用した例について図を示して説明したが、本発明はこの用途に限定されるものではなく、例えば、携帯端末用カメラや監視カメラ等にも適用可能である。
【符号の説明】
【0067】
1 撮像レンズ
5 撮像素子
100 自動車
101、102 車外カメラ
103 車内カメラ
L1 第1レンズ
L2 第2レンズ
L3 第3レンズ
L4 第4レンズ
St 開口絞り
Z 光軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から順に、物体側に凸面を向けた正のパワーを持つメニスカスレンズである第1レンズと、両凹レンズである第2レンズと、像側に凸面を向けた正のパワーを持つメニスカスレンズである第3レンズと、物体側に凸面を向けた正のパワーを持つメニスカスレンズである第4レンズとを含み、
全系の焦点距離をf、前記第1レンズの像側の面の曲率半径をR2としたとき、下記条件式(1)を満足することを特徴とする撮像レンズ。
0.00<f/R2<0.13 (1)
【請求項2】
前記第4レンズの像側の面頂点から結像面までの空気換算距離をBf、前記第4レンズの像側の面の曲率半径をR9としたとき、下記条件式(2)を満足することを特徴とする請求項1記載の撮像レンズ。
0.01<Bf/R9<0.30 (2)
【請求項3】
前記第1レンズの焦点距離をf1、全系の焦点距離をfとしたとき、下記条件式(3)を満足することを特徴とする請求項1または2記載の撮像レンズ。
0.8<f1/f<1.1 (3)
【請求項4】
全系の焦点距離をf、前記第3および第4レンズからなるレンズ群の合成焦点距離をf34としたとき、下記条件式(4)を満足することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の撮像レンズ。
1.5<f/f34<1.7 (4)
【請求項5】
前記第2レンズの焦点距離をf2、前記第3レンズの焦点距離をf3としたとき、下記条件式(5)を満足することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の撮像レンズ。
−0.6<f2/f3<−0.3 (5)
【請求項6】
前記第1レンズの焦点距離をf1、前記第2レンズの焦点距離をf2としたとき、下記条件式(6)を満足することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の撮像レンズ。
−1.72<f1/f2<−1.54 (6)
【請求項7】
前記第1レンズの焦点距離をf1、前記第3レンズの焦点距離をf3としたとき、下記条件式(7)を満足することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項記載の撮像レンズ。
0.6<f1/f3<1.0 (7)
【請求項8】
前記第1レンズと前記第2レンズとの間に絞りを備えたことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項記載の撮像レンズ。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項記載の撮像レンズを備えたことを特徴とする撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−181550(P2010−181550A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−23732(P2009−23732)
【出願日】平成21年2月4日(2009.2.4)
【出願人】(000005430)フジノン株式会社 (2,231)
【Fターム(参考)】