説明

撮像装置、および、その制御方法ならびに当該方法をコンピュータに実行させるプログラム

【課題】画像認識が困難な場合に、移動する被写体の撮像を容易にする撮像装置を提供する。
【解決手段】画像データ生成部は、時系列に沿って連続して複数の画像を撮像する。移動体検出部は、検出対象の現画像内画素に対応づけられた前画像内画素の画素値に対する差分の絶対値が閾値以上となる画素値を有する検出対象の現画像内画素を網羅した領域を検出領域として検出する。切抜部は、検出領域を含む領域を切抜領域として前記現画像から切り抜く。サイズ調整部は、切抜領域のサイズを調整して出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、撮像装置、および、その制御方法ならびに当該方法をコンピュータに実行させるプログラムに関する。詳しくは、ズーム制御を行う撮像装置、および、その制御方法ならびに当該方法をコンピュータに実行させるプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、移動する被写体の撮像を容易にするために、ズーム制御を自動で行う撮像装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。詳細には、この撮像装置は、動画を撮像し、その動画を構成する各フレーム内において被写体の顔を認識する。そして、撮像装置は、フレーム全体のサイズに対して、そのフレーム内の顔のサイズが一定の比率となるように光学ズーム倍率を制御する。これにより、被写体が遠ざかったり近づいたりしても、ユーザが所望する構図の画像が撮像される。また、この撮像装置は、認識した顔の部分がフレームの端辺に一定距離以上、近づくと、光学ズームの倍率を小さくする。これにより、被写体がフレームアウトすることが防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−147925号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の従来技術では、移動する被写体の撮像が困難となる場合があった。例えば、被写体が横を向いた場合や、被写体が人間でない場合は、撮像装置は顔を認識することができなくなる。顔以外の画像を認識することもできるが、被写体が移動方向を変えた場合などに撮像装置から見た被写体の形状が変化することにより、撮像装置が画像を認識できなくなることがあった。この結果、適切なズーム制御がなされず、移動する被写体の撮像が困難になるという問題があった。
【0005】
本技術はこのような状況に鑑みて生み出されたものであり、画像認識が困難な場合に、移動する被写体の撮像を容易にする撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本技術は、上述の問題点を解消するためになされたものであり、その第1の側面は、時系列に沿って連続して複数の画像を撮像する撮像部と、上記複数の画像のうちのいずれかである現画像内の画素を現画像内画素とし、上記現画像より前に撮像された画像である前画像内の画素を前画像内画素として、検出対象の上記現画像内画素に対応づけられた上記前画像内画素の画素値に対する差分の絶対値が閾値以上となる画素値を有する上記検出対象の上記現画像内画素を網羅した領域を検出領域として検出する検出部と、上記検出領域を含む領域を切抜領域として上記現画像から切り抜く切抜部と、上記切抜領域のサイズを調整して出力するサイズ調整部とを具備する撮像装置およびその制御方法、ならびに当該方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。これにより、前画像内の対応付けられた画素に対する画素値の差分の絶対値が閾値以上の画素値を有する現画像内の画素を網羅した領域のサイズが調整されるという作用をもたらす。
【0007】
また、この第1の側面において、上記現画像と上記前画像との間のズレ量を複数のズレ量のうちのいずれかから選択して上記選択したズレ量に基づいて互いにずらした上記現画像および上記前画像において重なる所定サイズの領域であるマッチング領域内の各画素について上記現画像内画素および上記前画像内画素の各画素値の差分の絶対値を算出する絶対値算出部と、上記マッチング領域内の各画素について算出された各々の上記絶対値の合計値を上記複数のズレ量のそれぞれについて算出する合計値算出部と、上記複数のズレ量のそれぞれについて算出された各々の上記合計値のうちの最小の上記合計値が算出されたときの上記ズレ量に基づいて互いにずらした上記現画像および上記前画像において上記前画像内画素に重なる上記現画像内画素を上記検出対象として当該前画像内画素に対応づけるズレ量決定部とをさらに具備することもできる。これにより、ズレ量に基づいて互いにずらした現画像および前画像において前画像内画素に重なる現画像内画素が検出対象として当該前画像内画素に対応づけられるという作用をもたらす。
【0008】
また、この第1の側面において、上記切抜部は、入力値の時系列の変動を平滑化して平滑化した上記入力値を出力するフィルタと、上記切抜領域を定義するパラメータを算出して上記パラメータを上記入力値として上記フィルタに入力するパラメータ算出部と、上記フィルタから出力された上記入力値により定義された上記切抜領域を上記現画像から切り抜くことによって上記切抜領域を生成する切抜領域生成部とを備えることもできる。これにより、切抜領域を定義するパラメータの時系列の変動が平滑化されるという作用をもたらす。
【0009】
また、この第1の側面において、上記切抜領域のサイズが所定値より小さい場合に光学ズーム倍率を上昇させる光学ズーム制御部をさらに具備することもできる。これにより、切抜領域のサイズが所定値より小さい場合に光学ズーム倍率が上昇するという作用をもたらす。
【0010】
また、この第1の側面において、上記光学ズーム制御部は、上記切抜領域のサイズが上記現画像のサイズより大きい場合に上記光学ズーム倍率を低下させてもよい。これにより、切抜領域のサイズが現画像のサイズより大きい場合に光学ズーム倍率が低下するという作用をもたらす。
【0011】
また、この第1の側面において、上記切抜部は、上記検出領域のサイズに所定の倍率を乗算したサイズの枠により上記検出領域を囲んだ部分を含む領域を上記切抜領域とすることもできる。これにより、検出領域のサイズに所定の倍率を乗算したサイズの枠により上記検出領域を囲んだ部分を含む領域が切抜領域とされるという作用をもたらす。
【0012】
また、この第1の側面において、上記サイズ調整部は、上記切抜領域のサイズが所定値より小さい場合に上記所定値を上記切抜領域のサイズで除算した値である拡大倍率に基づいて上記切抜領域を拡大してもよい。これにより、所定値を切抜領域のサイズで除算した拡大倍率に基づいて切抜領域が拡大されるという作用をもたらす。
【0013】
また、この第1の側面において、上記切抜部は、上記検出領域を含む、所定のアスペクト比の矩形領域を上記切抜領域とすることもできる。これにより、所定のアスペクト比の矩形領域が切抜領域とされるという作用をもたらす。
【発明の効果】
【0014】
本技術によれば、画像認識が困難な場合に、移動する被写体の撮像が容易になるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1の実施の形態における撮像装置の一構成例を示すブロック図である。
【図2】第1の実施の形態における現画像および調整後切抜領域の一例を示す図である。
【図3】第1の実施の形態における移動体領域情報の一構成例を示す図である。
【図4】第1の実施の形態における切抜領域定義情報の一構成例を示す図である。
【図5】第1の実施の形態における切抜領域定義部の一構成例を示すブロック図である。
【図6】第1の実施の形態における撮像装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図7】第1の実施の形態における移動体検出処理を示すフローチャートである。
【図8】第1の実施の形態における移動体領域検出処理の一例を示すフローチャートである。
【図9】第1の実施の形態における切抜領域定義処理の一例を示すフローチャートである。
【図10】第1の実施の形態における切抜領域画素数算出処理の一例を示すフローチャートである。
【図11】第1の実施の形態における中心X座標算出処理の一例を示すフローチャートである。
【図12】第1の実施の形態における中心Y座標算出処理の一例を示すフローチャートである。
【図13】第1の実施の形態における切抜領域の表示例を示すフローチャートである。
【図14】第1の変形例における切抜領域画素数算出処理の一例を示すフローチャートである。
【図15】第2の実施の形態における移動体検出部の一構成例を示すブロック図である。
【図16】第2の実施の形態におけるズレ量算出部の一構成例を示すブロック図である。
【図17】第2の実施の形態におけるマッチング領域の一例を示す図である。
【図18】第2の実施の形態における撮像装置の一構成例を示すブロック図である。
【図19】第2の実施の形態における、ズレ量算出処理の一例を示すフローチャートである。
【図20】第2の実施の形態における絶対値総和算出処理の一例を示すフローチャートである。
【図21】第2の実施の形態における移動体検出処理を示すフローチャートである。
【図22】第2の実施の形態における移動体領域検出処理の一例を示すフローチャートである。
【図23】第2の実施の形態におけるズレ量算出処理の処理結果の一例を示す図である。
【図24】第3の実施の形態における切抜領域定義部の一構成例を示すブロック図である。
【図25】第3の実施の形態における無限インパルス応答フィルタの一構成例を示すブロック図である。
【図26】第4の実施の形態における撮像装置の一構成例を示すブロック図である。
【図27】第4の実施の形態における撮像装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図28】第4の実施の形態における光学ズーム制御処理の一例を示すフローチャートである。
【図29】第2の変形例における撮像装置の一構成例を示すブロック図である。
【図30】第2の変形例における光学ズーム制御処理の一例を示すフローチャートである。
【図31】第3の変形例における撮像装置の一構成例を示すブロック図である。
【図32】第3の変形例における光学ズーム制御処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本技術を実施するための形態(以下、実施の形態と称する)について説明する。説明は以下の順序により行う。
1.第1の実施の形態(ズーム制御:移動体検出を行う例)
2.第2の実施の形態(ズーム制御:ズレ量を補正する例)
3.第3の実施の形態(ズーム制御:フィルタを使用する例)
4.第4の実施の形態(ズーム制御:光学ズームを併用する例)
【0017】
<1.第1の実施の形態>
[撮像装置の構成例]
図1は、第1の実施の形態における撮像装置100の一構成例を示すブロック図である。撮像装置100は、撮影レンズ110、画像データ生成部120、画像データバッファ130、移動体検出部220、切抜部400、サイズ調整部420、および、記録部430を備える。
【0018】
撮影レンズ110は、入射された光を集光して画像データ生成部120に光路111を通じて出力するものである。画像データ生成部120は、集光された光信号を電気信号に変換(すなわち、画像を撮像)するものである。画像データ生成部120は動画を撮像し、その動画を構成する各フレーム(すなわち、画像)を示す各画像データを生成する。画像データ生成部120は、それらの画像データを画像データバッファ130に信号線121を介して出力する。
【0019】
画像データバッファ130は、複数の画像データを一時的に保持するものである。これらの画像データは、少なくとも現画像データおよび前画像データを含む。ここで、現画像データは、撮像された複数枚の画像のうち、移動体検出処理の処理対象とされる画像(以下、「現画像」と称する。)を示すデータである。前画像データは、現画像の前に撮像された画像(以下、「前画像」と称する。)を示すデータである。詳細には、画像データバッファ130は、画像データが最初に入力されると、その画像データを現画像データとして保持する。そして、画像データバッファ130は、次回以降の画像データが生成されるたびに、その画像データを新たに現画像データとして保持し、それまで現画像データとして保持していたデータを前画像データとして保持する。
【0020】
移動体検出部220は、複数の画像において移動体を検出するものである。具体的には、移動体検出部220は、画像が撮像されるたびに、画像データバッファ130から現画像データおよび前画像データを読み出す。そして、移動体検出部220は、現画像内の画素と、その画素と対応付けられた前画像内の画素との各画素値の差分の絶対値を差分絶対値として、現画像内の各画素について算出する。ここで、現画像および前画像において、座標の等しい画素同士が対応づけられているものとする。移動体検出部220は、差分絶対値が閾値以上となる画素値を有する現画像内の画素を網羅した領域を移動体領域として検出する。移動体検出部220は、検出した移動体領域を示す情報を移動体領域情報として切抜部400へ信号線229を介して出力する。この移動体領域情報は、例えば、移動体領域の左端のX座標、右端のX座標、上端のY座標、および、下端のY座標を示す情報である。
【0021】
切抜部400は、各画像から移動体領域を含む領域を切り抜くものである。切抜部400は、切抜領域定義部300および切抜領域生成部410を備える。切抜領域定義部300は、移動体領域を含む領域を切抜領域として定義するものである。例えば、切抜領域定義部300は、移動体領域を含む所定のアスペクト比の矩形領域を切抜領域として定義する。切抜領域定義部300は、切抜領域を定義する情報を切抜領域定義情報として切抜領域生成部410に信号線391を介して出力する。この切抜領域定義情報は、例えば、切抜領域の中心座標、幅、および、高さを示す情報を含む。切抜領域生成部410は、画像データバッファ130から現画像データを読み出し、その現画像データの示す現画像から、定義された切抜領域を切り抜くことにより切抜領域を生成するものである。切抜領域生成部410は、生成した切抜領域をサイズ調整部420に信号線411を介して出力する。
【0022】
サイズ調整部420は、切抜領域のサイズを一定のサイズに調整するものである。具体的には、サイズ調整部420は、必要に応じて画素を補間または間引き(すなわち、リサイズ)することにより、切抜領域のサイズを一定のサイズに調整する。ここでいう一定のサイズとは、例えば、録画する場合に基準とすべきサイズである。このようにサイズを調整した結果、切抜領域は、拡大、縮小、または、等倍される。サイズ調整部420は、サイズを調整した後の切抜領域を調整後切抜領域として記録部430に信号線421を介して出力する。記録部430は、調整後切抜領域を録画画像として記録するものである。この録画画像のサイズは任意であり、現画像のサイズと同一のサイズであってもよいし、異なるサイズであってもよい。以下、録画画像の幅および高さを録画画像幅および録画画像高さと称する。
【0023】
なお、画像データ生成部120および画像データバッファ130は、特許請求の範囲に記載の撮像部の一例である。移動体検出部220は、特許請求の範囲に記載の検出部の一例である。
【0024】
図2は、第1の実施の形態における現画像および調整後切抜領域の一例を示す図である。図2(a)は、現画像510の一例を示す図である。図2(a)においてハッチングを施した円形の領域520は、検出された移動体領域の一例である。この移動体領域520と高さが同一の矩形の領域530は、切抜領域の一例である。切抜領域のアスペクト比は、例えば、16:9(=幅:高さ)に設定されているものとする。図2(a)に例示したように、移動体検出部220は、円形の移動体領域520を検出すると、この円の左端のX座標、右端のX座標、上端のY座標、および、下端のY座標を示す情報を移動体領域情報として生成する。切抜領域定義部300は、円を含むアスペクト比16:9の矩形領域を切抜領域530として定義し、その切抜領域の中心X座標531、中心Y座標532、幅、および、高さを示す情報を切抜領域定義情報として生成する。
【0025】
図2(b)は、調整後切抜領域540の一例を示す図である。切抜領域生成部410は、定義された切抜領域530を切り抜き、そのサイズを一定のサイズに調整する。この結果、調整後切抜領域540が生成される。切抜領域530のサイズが調整後切抜領域540のサイズより小さい場合、図2(b)に示すように、切抜領域530内の移動体領域520が拡大される。この結果、移動する被写体が遠くに移動して、被写体が写る領域(例えば、移動体領域520)の画素数が現画像510内において小さくなっても、その領域は録画画像幅および録画画像高さを乗算した、一定のサイズに拡大されて記録される。
【0026】
図3は、第1の実施の形態における移動体領域情報の一構成例を示す図である。この移動体領域情報は、左端のX座標、右端のX座標、上端のY座標、および、下端のY座標を格納するための領域521、522、523、および、524を備える。例えば、移動体領域の左端のX座標、右端のX座標、上端のY座標、および、下端のY座標が、「100」、「200」、「120」、および、「220」であった場合、これらの値を示す情報が領域521、522、523、および、524にそれぞれ格納される。
【0027】
図4は、第1の実施の形態における切抜領域定義情報の一構成例を示す図である。この切抜領域定義情報は、切抜領域の中心X座標、中心Y座標、幅、および、高さを格納するための領域531、532、533、および、534を備える。例えば、切抜領域の中心X座標、中心Y座標、幅、および、高さとして「150」、「170」、「133」、および、「100」が定義された場合、これらの値を示す情報が領域531、532、533、および、534にそれぞれ格納される。
【0028】
図5は、第1の実施の形態における切抜領域定義部300の一構成例を示すブロック図である。切抜領域定義部300は、切抜領域画素数算出部310、録画画素数記憶部320、および、切抜領域中心座標算出部330を備える。
【0029】
録画画素数記憶部320は、録画画像の水平方向の画素数と垂直方向の画素数とを録画画像幅および録画画像高さとして記憶するものである。
【0030】
切抜領域画素数算出部310は、切抜領域の水平方向の画素数(すなわち、切抜領域の幅)と水平方向の画素数(すなわち、切抜領域の高さ)とを算出するものである。具体的には、切抜領域画素数算出部310は、移動体検出部220から移動体領域情報を受け取り、その移動体領域情報に基づいて移動体領域の幅および高さを算出する。切抜領域画素数算出部310は、録画領域幅および録画領域高さを録画画素数記憶部320から読み出し、移動体領域の幅を録画領域幅で除算した比率と、移動体領域の高さを録画領域高さで除算した比率とを算出する。そして、切抜領域画素数算出部310は、算出した各比率のうち、大きい方の比率に録画領域幅を乗算した値を切抜領域の幅として算出し、その大きい方の比率に録画領域高さを乗算した値を切抜領域の高さとして算出する。この結果、録画画像のアスペクト比と同一の値が切抜領域のアスペクト比として設定される。切抜領域画素数算出部310は、算出した幅および高さを切抜領域幅および切抜領域高さとして切抜領域中心座標算出部330および切抜領域生成部410に出力する。
【0031】
切抜領域中心座標算出部330は、切抜領域の中心座標を算出するものである。具体的には、切抜領域中心座標算出部330は、移動体検出部220から移動体領域情報を受け取り、移動体領域の中心座標を算出する。切抜領域中心座標算出部330は、切抜領域幅および切抜領域高さに基づいて、移動体領域の中心座標を中心とした場合の切抜領域の左端のX座標、右端のX座標、上端のY座標、および、下端のY座標を算出する。算出したいずれかの座標が現画像からはみ出す場合、切抜領域中心座標算出部330は、切抜領域の各座標が現画像内に収まるように、移動体領域の中心座標を補正する。例えば、左端のX座標が現画像からはみ出す場合、切抜領域中心座標算出部330は、左端が現画像内になるように中心のX座標を右にずらす。切抜領域中心座標算出部330は、必要に応じて補正した中心座標を切抜領域の中心座標として切抜領域生成部410に出力する。
【0032】
[撮像装置の動作例]
次に、図6乃至12を参照して、上述の実施の形態における撮像装置100の動作例について説明する。図6は、第1の実施の形態における撮像装置100の動作の一例を示すフローチャートである。この動作は、撮像装置100が画像を撮像したときに開始する。画像データ生成部120は、画像データを生成して画像データバッファ130に格納する(ステップS901)。移動体検出部220は、移動体を検出するための移動体検出処理を実行する(ステップS910)。切抜領域定義部300は、切抜領域を定義するための切抜領域定義処理を実行する(ステップS960)。切抜領域生成部410は、定義された切抜領域を現画像から切り抜く(ステップS961)。サイズ調整部420は、切り抜かれた切抜領域のサイズを一定のサイズに調整する。調整後切抜領域は、記録部430により記録される(ステップS962)。ステップS962の後、撮像装置100は、動作を終了する。
【0033】
図7は、第1の実施の形態における移動体検出処理を示すフローチャートである。移動体検出部220は、移動体領域情報および検出フラグFを初期化する。検出フラグFは、移動体が検出されたか否かを示す1ビットの情報である。例えば、検出フラグFには、移動体が検出された場合に1が設定され、検出されなかった場合に0が設定される。
【0034】
ここで、画像の座標系について説明する。各画像内において、水平方向の座標はX座標で定義され、垂直方向の座標は、Y座標で定義される。画像の左端のX座標は0であり、画像の右端のX座標は、画像の水平方向の画素数Widthから1を減算した値である。画像の上端のY座標は0であり、画像の下端のY座標は、画像の垂直方向の画素数Heightから1を減算した値である。WidthおよびHeightは、1以上の整数である。
【0035】
上述した座標の範囲の定義に基づいて、初期化においては、例えば、左端のX座標MinXは画像の水平方向の画素数Widthに初期化され、右端のX座標MaxXは0に初期化される。上端のY座標MinYは垂直方向の画素数Heightに初期化され、下端のY座標MaxYは0に初期化される。また、検出フラグFは0に初期化される(ステップS911)。
【0036】
移動体検出部220は、検出対象座標のY座標yを0に初期化する。ここで、検出対象座標は、現画像において移動体検出の対象とされる座標である(ステップS912)。移動体検出部220は、その検出対象座標のX座標xを0に初期化する(ステップS913)。移動体検出部220は、移動体領域を検出する処理である移動体領域検出処理を実行する(ステップS945)。移動体検出部220は、xに1を加算する(ステップS914)。
【0037】
移動体検出部220は、xが、最大値(すなわち、現画像の水平方向の画素数Width)より小さいか否かを判断する(ステップS915)。xが最大値より小さければ(S915:Yes)、移動体検出部220は、ステップS945に戻る。xが最大値以上であれば(S915:No)、移動体検出部220は、yに1を加算する(ステップS916)。
【0038】
移動体検出部220は、yが、最大値(すなわち、現画像の垂直方向の画素数Height)より小さいか否かを判断する(ステップS917)。Y座標が最大値より小さければ(S917:Yes)、移動体検出部220は、ステップS913に戻る。
【0039】
yが最大値以上であれば(S917:No)、移動体検出部220は、検出フラグFが0であるか否かを判断する(ステップS918)。検出フラグFが0であれば(ステップS918:Yes)、移動体検出部220は、現画像全体を移動体領域とする。すなわち、移動体検出部220は、左端のX座標MinXを0とし、右端のX座標MaxXをWidth−1とし、上端のY座標MinYを0とし、下端のY座標MaxYをHeight−1とする(ステップS919)。検出フラグFが0でない場合(ステップS918:No)、またはステップS919の後、移動体検出部220は、移動体領域情報および検出フラグFを出力し、移動体検出処理を終了して、図6に例示した処理に戻る。
【0040】
図8は、第1の実施の形態における移動体領域検出処理の一例を示すフローチャートである。移動体検出部220は、現画像の検出対象座標(x、y)の画素値と前画像の対応する座標(x、y)の画素値との間の差分の絶対値を差分絶対値として算出する(ステップS946)。
【0041】
移動体検出部220は、算出した差分絶対値が閾値以上であるか否かを判断する。閾値には、1以上の整数が設定される(ステップS947)。差分絶対値が閾値以上であれば(ステップS947:Yes)、移動体検出部220は、検出フラグFを1にする(ステップS948)。
【0042】
移動体検出部220は、検出対象座標のX座標xが、移動体領域の左端のX座標MinXより小さいか否かを判断する(ステップS949)。xが左端のX座標MinXより小さければ(ステップS949:Yes)、移動体検出部220は、そのxにより左端のX座標MinXを更新する(ステップS950)。
【0043】
xが左端のX座標MinX以上である場合(ステップS949:No)、またはステップS950の後、移動体検出部220は、xが、移動体領域の右端のX座標MaxXより大きいか否かを判断する(ステップS951)。xが右端のX座標MaxXより大きければ(ステップS951:Yes)、移動体検出部220は、そのxにより右端のX座標MaxXを更新する(ステップS952)。
【0044】
xが右端のX座標MaxX以下である場合(ステップS951:No)、またはステップS952の後、移動体検出部220は、検出対象座標のY座標yが、移動体領域の上端のY座標MinYより小さいか否かを判断する(ステップS953)。yが上端のY座標MinYより小さければ(ステップS953:Yes)、移動体検出部220は、そのyにより上端のY座標MinYを更新する(ステップS954)。
【0045】
yが上端のY座標MinY以上である場合(ステップS953:No)、またはステップS954の後、移動体検出部220は、yが、移動体領域の下端のY座標MaxYより大きいか否かを判断する(ステップS955)。yが下端のY座標MaxYより大きければ(ステップS955:Yes)、移動体検出部220は、そのyにより下端のY座標MaxYを更新する(ステップS956)。
【0046】
差分絶対値が閾値未満である場合(ステップS947:No)、yが下端のY座標MaxY以下である場合(ステップS955:No)、またはステップS956の後、移動体検出部220は、移動体領域検出処理を終了して図7に例示した移動体検出処理に戻る。
【0047】
図9は、第1の実施の形態における切抜領域定義処理の一例を示すフローチャートである。切抜領域定義部300は、切抜領域の画素数を算出するための切抜領域画素数算出処理を実行する(ステップS970)。そして、切抜領域定義部300は、切抜領域の中心X座標を算出するための中心X座標算出処理を実行し(ステップS980)、切抜領域の中心Y座標を算出するための中心Y座標算出処理を実行する(ステップS990)。ステップS990の後、切抜領域定義部300は、切抜領域定義処理を終了して図6に例示した処理に戻る。
【0048】
図10は、第1の実施の形態における切抜領域画素数算出処理の一例を示すフローチャートである。切抜領域定義部300は、下記の式1および式2を使用して、録画画像の幅に対する切抜領域の幅の比率Rxと録画画像の高さに対する切抜領域の高さの比率Ryとを算出する。
【0049】
Rx=(MaxX−MinX)/RecWidth・・・式1
Ry=(MaxY−MinY)/RecHeight・・・式2
上記式1において、RecWidthは、録画画像の幅であり、上記式2において、RecHeightは、録画画像の高さである(ステップS971)。
【0050】
切抜領域定義部300は、比率RxおよびRyのうち、大きい方を選択してサイズ比SizeRatio1とする。サイズ比SizeRatio1は、水平方向および垂直方向における、録画画像の画素数に対する切抜領域の画素数の比率である(ステップS972)。
【0051】
切抜領域定義部300は、下記の式3および式4を使用して、切抜領域の幅ClipWidthおよび切抜領域の高さClipHeightを算出して出力する(ステップS973)。
ClipWidth=SizeRatio1×RecWidth・・・式3
ClipHeight=SizeRatio1×RecHeight・・・式4
【0052】
ステップS973の後、切抜領域定義部300は、切抜領域画素数算出処理を終了して図9に例示した切抜領域定義処理に戻る。
【0053】
図11は、第1の実施の形態における中心X座標算出処理の一例を示すフローチャートである。切抜領域定義部300は、下記の式5を使用して移動体領域の中心のX座標Gxを算出する(ステップS981)。
Gx=(MinX+MaxX)/2・・・式5
【0054】
切抜領域定義部300は、下記の式6および式7を使用して、切抜領域の中心を移動体領域の中心と同一の座標を中心にした場合におけるClipLeft1およびClipRight1を算出する。ClipLeft1は、この場合における切抜領域の左端のX座標であり、ClipRight1は、切抜領域の右端のX座標である(ステップS982)。
ClipLeft1=Gx−ClipWidth/2・・・式6
ClipRight1=Gx+ClipWidth/2・・・式7
【0055】
切抜領域定義部300は、中心を移動体領域の中心と同一にすると、切抜領域の左端が現画像からはみ出す(すなわち、ClipLeft1<0)か否かを判断する(ステップS983)。左端が現画像からはみ出すのであれば(ステップS983:Yes)、切抜領域定義部300は、切抜領域の左端のX座標ClipLeftを現画像の左端のX座標0にする。そして、切抜領域定義部300は、下記の式8および式9を実行することにより切抜領域の中心を右にずらす(ステップS984)。
ClipRight=ClipLeft+ClipWidth−1・・・式8
ClipCenterX=(ClipLeft+ClipRight)/2
・・・式9
上記式8において、ClipRightは、補正後の切抜領域の右端のX座標である。上記式9において、ClipCenterXは、補正後の切抜領域の中心のX座標である。
【0056】
切抜領域の左端が現画像内にあれば(ステップS983:No)、切抜領域定義部300は、切抜領域の右端が現画像からはみ出す(すなわち、ClipRight1≧Width)か否かを判断する(ステップS985)。切抜領域の右端が現画像からはみ出すのであれば(ステップS985:Yes)、切抜領域定義部300は、切抜領域の右端のX座標ClipRightを現画像の右端のX座標Width−1にする。そして、切抜領域定義部300は、下記の式10および式11を実行することにより切抜領域の中心を左にずらす(S986)。
ClipLeft=ClipRight−(ClipWidth−1)・・・式10
ClipCenterX=(ClipLeft+ClipRight)/2
・・・式11
【0057】
右端が現画像内にあれば(ステップS985:No)、切抜領域定義部300は、移動体領域の中心のX座標Gxを切抜領域の中心のX座標ClipCenterXとする(ステップS987)。
【0058】
ステップS984、S986、または、S987の後、切抜領域定義部300は、X座標ClipCenterXを出力し、中心X座標算出処理を終了して図9に例示した切抜領域定義処理に戻る。
【0059】
図12は、第1の実施の形態における中心Y座標算出処理の一例を示すフローチャートである。切抜領域定義部300は、下記の式12を使用して移動体領域の中心のY座標Gyを算出する(ステップS991)。
Gy=(MinY+MaxY)/2・・・式12
【0060】
切抜領域定義部300は、下記の式13および式14を使用して、切抜領域の中心を移動体領域の中心と同一にした場合における、ClipTop1およびClipBottom1を算出する。ClipTop1は、この場合における切抜領域の上端のY座標であり、ClipBottom1は、切抜領域の下端のY座標である(ステップS992)。
ClipTop1=Gy−ClipHeight/2・・・式13
ClipBottom1=Gy+ClipHeight/2・・・式14
【0061】
切抜領域定義部300は、中心を移動体領域の中心と同一にすると、切抜領域の上端が現画像からはみ出す(すなわち、ClipTop1<0)か否かを判断する(ステップS993)。切抜領域の上端が現画像からはみ出すのであれば(ステップS993:Yes)、切抜領域定義部300は、切抜領域の上端のY座標ClipTopを現画像の上端のY座標0にする。そして、切抜領域定義部300は、下記の式15および式16を実行することにより切抜領域の中心を下にずらす(ステップS994)。
ClipBottom=ClipTop+ClipHeight−1・・・式15
ClipCenterY=(ClipTop+ClipBottom)/2
・・・式16
上記式15において、ClipTopは、補正後の切抜領域の上端のY座標である。上記式16において、ClipCenterYは、補正後の切抜領域の中心のY座標である。
【0062】
切抜領域の上端が現画像内にあれば(ステップS993:No)、切抜領域定義部300は、切抜領域の下端が現画像からはみ出す(すなわち、ClipBottom1≧Height)か否かを判断する(ステップS995)。下端が現画像からはみ出すのであれば(ステップS995:Yes)、切抜領域定義部300は、切抜領域の下端のY座標ClipBottomを現画像の下端のY座標Height−1にする。そして、切抜領域定義部300は、下記の式17および式18を実行することにより切抜領域の中心を上にずらす(S996)。
ClipTop=ClipBottom−(ClipHeight−1)・・・式17
ClipCenterY=(ClipTop+ClipBottom)/2
・・・式18
【0063】
切抜領域の下端が現画像内にあれば(ステップS995:No)、切抜領域定義部300は、移動体領域の中心のY座標Gyを切抜領域の中心のY座標ClipCenterYとする(ステップS997)。
【0064】
ステップS994、S996、または、S997の後、切抜領域定義部300は、Y座標ClipCenterYを出力し、中心Y座標算出処理を終了して図9に例示した切抜領域定義処理に戻る。
【0065】
このように、撮像装置100は、対応づけられた前画像内の画素の画素値に対する差分の絶対値が閾値以上となる画素値を有する現画像内の画素を網羅した領域を移動体領域として検出する。そして、撮像装置100は、その移動体領域を含む切抜領域を現画像から切り抜いて、そのサイズを調整する。これにより、前画像内の対応付けられた画素に対する画素値の差分の絶対値が閾値以上の画素値を有する現画像内の画素を網羅した領域のサイズが調整される。この構成によれば、撮像装置100は、移動体領域のサイズの調整に画像認識を必要としないため、画像認識が困難な場合に、移動体の撮像が容易となる。
【0066】
また、サイズ調整部420は、切抜領域のサイズが所定値より小さい場合に、その所定値を切抜領域のサイズで除算した拡大倍率に基づいて前記切抜領域を拡大する。切抜領域のサイズが所定値より大きい場合に、サイズ調整部420は、その所定値を切抜領域のサイズで除算した縮小倍率に基づいて前記切抜領域を縮小する。切抜領域のサイズが、その所定値に等しい場合に、サイズ調整部420は、切抜領域を等倍のままで出力する。これにより、一定のサイズに切抜領域が調整される。
【0067】
また、切抜部400は、移動体領域を含む、所定のアスペクト比の矩形領域を切抜領域とする。このため、移動体領域のアスペクト比が録画画像のアスペクト比と異なる場合であっても、レターボックスなど、黒帯が付加された状態で画像データが出力されることがなくなる。
【0068】
なお、図1において撮像装置100は、調整後切抜領域を記録部430に記録しているが、記録部430以外に調整後切抜領域を出力してもよい。例えば、撮像装置100は、画像データの示す画像を表示する表示部をさらに備え、この表示部に調整後切抜領域を出力することもできる。また、撮像装置100は、画像データを送信する送信部をさらに備え、この送信部に調整後切抜領域を出力することもできる。撮像装置100は、出力すべきサイズを基準として、切抜領域のサイズを調整する。
【0069】
また、切抜領域定義部300は、移動体領域を含む所定のアスペクト比の矩形領域を切抜領域として定義しているが、移動体領域を含む領域であれば、任意の領域を切抜領域として定義することができる。例えば、切抜領域定義部300は、検出された移動体領域をそのまま、切抜領域として出力してもよいし、丸型など矩形以外の形状の領域を切抜領域として定義してもよい。
【0070】
また、画像データバッファ130は、現画像の1フレーム前の画像を前画像としているが、現画像よりも2フレーム以上前の画像を前画像とすることもできる。
【0071】
また、図3に例示したように、撮像装置100は、移動体領域の左端のX座標、右端のX座標、下端のY座標、および、上端のY座標を示す情報を移動体領域情報として生成している。しかし、移動体領域情報の構成は、検出された移動体領域を特定できる情報を含むのであれば、図3に例示した構成に限定されない。例えば、移動体領域情報は、移動体領域の中心座標、幅、および、高さを示す情報であってもよい。
【0072】
また、撮像装置100は、画像の画素数を変更することにより画像をリサイズしているが、画素数の変更のほか、さらに画面解像度や印刷時の解像度を変更することもできる。
【0073】
また、図4に例示したように、撮像装置100は、切抜領域の中心座標、幅、および、高さを示す情報を切抜領域定義情報として生成している。しかし、切抜領域定義情報の構成は、定義された切抜領域を特定できる情報を含むのであれば、図4に例示した構成に限定されない。例えば、切抜領域定義情報は、切抜領域の左端のX座標、右端のX座標、下端のY座標、および、上端のY座標を示す情報であってもよい。
【0074】
また、撮像装置100は、画像データの示す画像を表示する表示部をさらに備え、現画像において定義された切抜領域を識別して表示してもよい。例えば、撮像装置100は、図13(a)に示すように、現画像において切抜領域を一点鎖線で囲んで表示してもよい。また、撮像装置100は、図13(b)に示すように切抜領域を実線で囲んで表示してもよいし、図13(c)に示すように、切抜領域の4隅をかぎかっこで表示してもよい。また、撮像装置100は、図13(d)に示すように切抜領域の内部と外部とで輝度値を変えて表示してもよい。
【0075】
[第1の変形例]
図14は、第1の変形例における撮像装置100の切抜領域画素数算出処理の一例を示すフローチャートである。第1の変形例の撮像装置100は、現画像と録画画像とのアスペクト比が異なる場合に、切抜領域が現画像内に収まるように切抜領域を再定義する点において第1の実施の形態の撮像装置100と異なる。図14に例示した切抜領域画素数算出処理は、ステップS973の代わりにステップS974を実行し、ステップS975乃至S979をさらに実行する点において図10に例示した切抜領域画素数算出処理と異なる。
【0076】
切抜領域定義部300は、幅および高さの比率のうちの大きい方の比率を選択した後(ステップS972)、下記の式19および式20を使用して、調整後切抜領域の幅の候補Width1と高さの候補Height1とを算出する(ステップS974)。
Width1=SizeRatio1×RecWidth・・・式19
Height1=SizeRatio1×RecHeight・・・式20
【0077】
切抜領域定義部300は、切抜領域の幅の候補Width1が現画像の幅Widthより大きいか否かを判断する(ステップS975)。切抜領域の幅の候補が現画像の幅以下であれば(ステップS975:No)、切抜領域定義部300は、切抜領域の高さの候補Height1が現画像の高さHeightより大きいか否かを判断する(ステップS976)。切抜領域の高さの候補が現画像の高さ以下であれば(ステップS976:No)、切抜領域定義部300は、サイズ比SizeRatio1を、水平方向および垂直方向における、録画画像の画素数に対する切抜領域の画素数の比率SizeRatio2に決定する(ステップS977)。
【0078】
幅の候補が現画像の幅より大きい場合(ステップS975:Yes)、または、高さの候補が現画像の高さより大きい場合(ステップS976:Yes)について説明する。この場合、切抜領域定義部300は、下記の式21により、SizeRatio2を算出する(ステップS978)。
SizeRatio2=Min(Width/RecWidth,
Height/RecHeight)・・・式21
上記式21において、「Min(A,B)」は、入力値であるAおよびBのうちの小さい方を出力する関数である。
【0079】
ステップS977またはS978の後、切抜領域定義部300は、下記の式22および式23を使用して切抜領域の幅ClipWidthと切抜領域の高さClipHeightとを算出して出力する(ステップS979)。
ClipWidth=SizeRatio2×RecWidth・・・式22
ClipHeight=SizeRatio2×RecHeight・・・式23
【0080】
現画像と録画画像とのアスペクト比が異なる場合、録画画像の画素数に対する切抜領域の画素数の比率SizeRatio1に基づいて切抜領域を定義すると、その切抜領域が現画像内に収まらないことがある。この場合、上記式21に例示したように、録画画像の画素数に対する現画像の画素数の比率に基づいて切抜領域を再定義すれば、切抜領域が現画像内に収まる。
【0081】
このように、第1の変形例によれば、撮像装置100は、水平方向または垂直方向において切抜領域の画素数が現画像の画素数より大きければ、録画画像の画素数に対する現画像の画素数の比率に基づいて切抜領域を再定義する。これにより、水平方向および垂直方向において切抜領域の画素数が現画像の画素数以下となる。
【0082】
なお、図14に例示したように、撮像装置100は、ステップS972において、RxおよびRyのうちのいずれか小さい方をサイズ比SizeRatio1としている。しかし、撮像装置100は、RxおよびRyのうちのいずれか小さい方に拡大係数を乗算した値をサイズ比とすることもできる。拡大係数は、1より大きな実数である。これにより、
移動体領域のサイズより大きなサイズの枠で、その移動体領域を囲んだ部分を含む領域が切抜領域として定義される。
【0083】
<2.第2の実施の形態>
[撮像装置の構成]
図15乃至22を参照して、本技術の第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態の撮像装置101は、現画像と前画像との間のズレ量を補正してから移動体を検出する点において第1の実施形態の撮像装置100と異なる。ここで、ズレ量とは、一方の画像を基準とした時に、他方の画像が全体としてずれている量である。このズレ量は、例えば、画素数を単位とする整数値により表わされる。
【0084】
ズレ量を補正する理由について説明する。動画の撮影において、ユーザは、水平方向または垂直方向に撮像装置101の向きを変えながら撮影することがある。例えば、撮像装置101を水平方向に横切って移動する被写体を追尾しながら撮影する場合、ユーザは撮像装置100の向きを水平方向に変えて撮影する。ユーザが撮像装置101の向きを変えながら撮影すると、現画像および前画像に映っている範囲が変わる。その場合において、現画像および前画像を比較して最も差が小さい条件、すなわち、背景の大部分が一致する条件を検出するのが、ズレ量を算出する目的である。簡略的には、撮像装置101は、これらの二つの画像の背景の位置合せを行うと考えると理解しやすい。撮像装置101の向きが変わると、実際には背景は移動していないにも関わらず、現画像および前画像において画面全体が移動している様に見えてしまう。その様な条件下において、実際には不動である背景と、実際の移動体とを分離するため、撮像装置101は、まず背景の位置を二つの画像間で合わせる。その上で画像間差分を求めることで、撮像装置101は実際の移動体を検出する。この様にすることで、ユーザが撮像装置101の向きを変えながら撮影している場合においても、撮像装置101は、背景から移動体を分離することが可能となる。
【0085】
図15は、第2の実施の形態における撮像装置101の一構成例を示すブロック図である。撮像装置101は、移動体検出部220の代わりに移動体検出部221を備え、ズレ量算出部210をさらに備える点において第1の実施の形態の撮像装置100と異なる。
【0086】
ズレ量算出部210は、現画像と前画像との間のズレ量を算出するものである。ズレ量の算出方法については後述する。ズレ量算出部210は、算出したズレ量の決定値を移動体検出部221に信号線219を介して出力する。移動体検出部221は、ズレ量算出部210からのズレ量の決定値を受け取り、その決定値に基づいて座標を補正した前画像内の画素と現画像内の画素との各画素値の差分絶対値を算出する。
【0087】
図16は、第2の実施の形態におけるズレ量算出部210の一構成例を示すブロック図である。ズレ量算出部210は、差分絶対値算出部211、絶対値総和算出部212、および、ズレ量決定部213を備える。
【0088】
差分絶対値算出部211は、マッチング領域内の各画素について差分絶対値を算出するものである。ここで、マッチング領域とは、ズレ量の分だけ互いにずらした現画像および前画像において重なる所定サイズの領域である。差分絶対値算出部211は、所定の範囲内でズレ量を変更して、各ズレ量においてマッチング領域内の各画素について差分絶対値を算出する。差分絶対値算出部211は、算出した各差分絶対値を絶対値総和算出部212に出力する。
【0089】
絶対値総和算出部212は、マッチング領域内の各画素について算出された差分絶対値の合計値をズレ量ごとに算出するものである。絶対値総和算出部212は、算出した合計値を絶対値総和としてズレ量決定部213に出力する。
【0090】
ズレ量決定部213は、補正すべきズレ量を決定するものである。具体的には、ズレ量決定部213は、まず、ズレ量ごとに算出された各絶対値総和を絶対値総和算出部212から受け取る。ズレ量決定部213は、各絶対値総和のうちの最小の絶対値総和が算出されたときのズレ量を補正すべきズレ量に決定する。ズレ量決定部213は、決定したズレ量をズレ量決定値として移動体検出部221に出力する。
【0091】
なお、差分絶対値算出部211は、特許請求の範囲に記載の絶対値算出部の一例である。絶対値総和算出部212は、特許請求の範囲に記載の合計値算出部の一例である。
【0092】
図17は、第2の実施形態におけるマッチング領域の一例を示す図である。図17(a)は、現画像550におけるマッチング領域553の一例を示す図である。図17(a)において、例えば、現画像550の上端のY座標(0)にSearchYSize551を加算した座標が、マッチング領域553の上端のY座標として定義される。現画像550の下端のY座標(Height−1)からSearchYSize551を減算した座標が、マッチング領域553の下端のY座標として定義される。また、現画像550の左端のX座標(0)にSearchXSize552を加算した座標が、マッチング領域553の左端のX座標として定義される。現画像550の右端のX座標(Width−1)からSearchXSize552を減算した座標が、マッチング領域553の右端のX座標として定義される。SearchXSizeは、0以上、Width以下の整数である。SearchYSizeは、0以上、Height以下の整数である。
【0093】
図17(b)は、前画像におけるマッチング領域の一例を示す図である。図17(b)において、点線で囲まれた領域561は、現画像550において定義されたマッチング領域553と同じ座標からなる前画像560内の領域である。前画像560において、この領域561をX軸方向にDxずらし、Y軸方向にDyずらした領域562がマッチング領域として定義される。DxおよびDyは、それぞれ水平(X軸)方向および垂直(Y軸)方向におけるズレ量である。これらのズレ量には、マッチング領域562が、前画像560からはみ出さない範囲の値が設定される。例えば、ズレ量Dxには、−SearchXSizeから、+SearchXSizeまでの間のいずれかの値が設定される。また、ズレ量Dyには、−SearchYSizeから、+SearchYSizeまでの間のいずれかの値が設定される。
【0094】
[撮像装置の動作例]
図18乃至22を参照して、上述の実施の形態における撮像装置101の動作例について説明する。図18は、第2の実施の形態における撮像装置101の動作の一例を示すフローチャートである。撮像装置101の動作は、ステップS920をさらに実行する点において、第1の実施の形態における撮像装置100の動作と異なる。
【0095】
撮像装置101は、画像データを画像データバッファに格納した後(ステップS901)、ズレ量決定値を算出するためのズレ量算出処理を実行する(ステップS920)。そして、撮像装置101は、移動体検出処理を実行する(ステップS910)。
【0096】
図19は、第2の実施の形態における、ズレ量算出処理の一例を示すフローチャートである。ズレ量算出部210は、現画像におけるマッチング領域を定義する。例えば、SearchXSizeがマッチング領域の左端のX座標Leftとして定義される。現画像の幅WidthからSearchXSizeを減算した値がマッチング領域の右端のX座標Rightとして定義される。また、SearchYSizeがマッチング領域の上端のY座標Topとして定義される。現画像の高さHeightからSearchYSizeを減算した値がマッチング領域の下端のY座標Bottomとして定義される(ステップS921)。
【0097】
ズレ量算出部210は、絶対値総和最小値を示す変数MinErrorSumを下記の式24により初期化する(ステップS922)。
MinErrorSum=Width×Height×(最大輝度)×2+1
・・・式24
上記式24において、「最大輝度」には、画素が取りうる輝度値の最大値(例えば、255)が設定される。
【0098】
ズレ量算出部210は、垂直方向のズレ量Dyを−SearchYSizeに初期化する(ステップS923)。ズレ量算出部210は、水平方向のズレ量Dxを−SearchXSizeに初期化する(ステップS924)。ズレ量算出部は、絶対値総和を算出するための絶対値総和算出処理を実行する(ステップS930)。ズレ量算出部210は、水平方向のズレ量Dxに1を加算する(ステップS925)。
【0099】
ズレ量算出部210は、水平方向のズレ量Dxが最大値であるSearchXSize未満であるか否かを判断する(ステップS926)。ズレ量Dxが最大値未満であれば(ステップS926:Yes)、ズレ量算出部210は、ステップS930に戻る。
【0100】
ズレ量Dxが最大値以上であれば(ステップS926:No)、ズレ量算出部210は、垂直方向のズレ量Dyに1を加算する(ステップS927)。ズレ量算出部210は、垂直方向のズレ量Dyが最大値であるSearchYSize未満であるか否かを判断する(ステップS928)。ズレ量Dyが最大値未満であれば(ステップS928:Yes)、ズレ量算出部210は、ステップS924に戻る。ズレ量Dyが最大値以上であれば(ステップS928:No)、ズレ量算出部210は、ズレ量決定値を出力する。そしてズレ量算出部210は、ズレ量算出処理を終了して図18に例示した処理に戻る。
【0101】
図20は、第2の実施の形態における絶対値総和算出処理の一例を示すフローチャートである。ズレ量算出部210は、絶対値総和を示す変数ErrorSumを0に初期化する(ステップS931)。ズレ量算出部210は、現画像内において差分絶対値を算出すべき画素のY座標yをマッチング領域の上端のY座標Topにする(ステップS932)。ズレ量算出部210は、現画像内において差分絶対値を算出すべき画素のX座標xをマッチング領域の左端のX座標Leftにする(ステップS933)。ズレ量算出部210は、現画像の座標(x,y)の画素値と、前画像の座標(x+Dx,y+Dy)の画素値との間の差分の絶対値を差分絶対値として算出する。ズレ量算出部210は、算出した差分絶対値をErrorSumに加算する(ステップS934)。ズレ量算出部210は、xに1を加算する(ステップS935)。
【0102】
ズレ量算出部210は、xが、最大値であるRight未満であるか否かを判断する(ステップS936)。xが最大値未満であれば(ステップS936:Yes)、ズレ量算出部210は、ステップS934に戻る。
【0103】
xが最大値以上であれば(ステップS936:No)、ズレ量算出部210は、yに1を加算する(ステップS937)。ズレ量算出部210は、そのyが、最大値であるBottom未満であるか否かを判断する(ステップS938)。yが最大値未満であれば(ステップS938:Yes)、ズレ量算出部210は、ステップS933に戻る。
【0104】
yが最大値以上であれば(ステップS938:No)、ズレ量算出部210は、絶対値総和ErrorSumが、絶対値総和最小値MinErrorSum未満であるか否かを判断する(ステップS939)。絶対値総和が、絶対値総和最小値未満であれば(ステップS939:Yes)、ズレ量算出部210は、その絶対値総和により絶対値総和最小値を更新する。また、ズレ量算出部210は、そのときのズレ量DxおよびDyによりズレ量決定値DetDxおよびDetDyを更新する(ステップS940)。絶対値総和が、絶対値総和最小値以上である場合(ステップS939:No)、またはステップS940の後、ズレ量算出部210は、絶対値総和算出処理を終了して図19に例示したズレ量算出処理に戻る。
【0105】
図21は、第2の実施の形態における移動体検出処理の一例を示すフローチャートである。第2の実施の形態における移動体検出処理は、ステップS912、S913、S915、および、S917の代わりにステップS941乃至S944を実行する点において、図7に例示した第1の実施の形態の移動体検出処理と異なる。
【0106】
移動体検出部221は、移動体領域情報および検出フラグを初期化し(ステップS911)、検出対象座標のY座標yを、マッチング領域の上端のY座標Topに初期化する(ステップS941)。移動体検出部221は、検出対象座標のX座標xを、マッチング領域の左端のY座標Leftに初期化する(ステップS942)。
【0107】
そして、移動体検出部221は、移動体領域検出処理を実行してxに1を加算した後(ステップS945およびS914)、xがマッチング領域の右端のX座標Right未満であるか否かを判断する(ステップS943)。xがRight未満であれば(ステップS943:Yes)、移動体検出部221は、ステップS945に戻る。xがRight以上であれば(ステップS943:No)、移動体検出部221は、yに1を加算する(ステップS916)。そして、移動体検出部221は、yが、マッチング領域の下端のY座標Bottom未満であるか否かを判断する(ステップS944)。yがBottom未満であれば(ステップS944:Yes)、移動体検出部221は、ステップS942に戻る。yが、Bottom以上であれば(ステップS944:No)、移動体検出部221は、検出フラグFが0であるか否かを判断する(ステップS918)。
【0108】
図22は、第2の実施の形態における移動体領域検出処理の一例を示すフローチャートである。第2の実施の形態における移動体検出処理は、ステップS946の代わりにステップS956を実行する点において図8に例示した第1の実施の形態における移動体検出処理と異なる。
【0109】
ステップS956において、移動体検出部221は、現画像の座標(x,y)の画素値と前画像の座標(x+Dx,y+Dy)の画素値との差分の絶対値を算出する。
【0110】
図23は、第2の実施の形態におけるズレ量算出処理の処理結果の一例を示す図である。図23において実線で囲まれた領域550は、現画像であり、点線で囲まれた領域560は前画像である。斜線部分はマッチング領域である。
【0111】
図23(a)は、ズレ量DxおよびDyが初期値(−SearchXSizeおよび−SearchYSize)である場合における現画像550および前画像560を示す図である。このズレ量に基づいて互いにずらした現画像550および前画像560において重なるマッチング領域(斜線部分)において絶対値総和が算出される。
【0112】
図23(b)は、図23(a)の状態からズレ量Dxが増分され、ズレ量Dxが最大値(SearchXSize)になった状態における現画像550および前画像560を示す図である。ズレ量Dxを増分するたびに、ズレ量算出部210は、マッチング領域内における絶対値総和を算出する。ズレ量Dxを最大値まで増分すると、ズレ量算出部210は、ズレ量Dyを増分する。ズレ量算出部210は、ズレ量Dyを増分するたびに、ズレ量Dxを初期化値から最大値まで増分する。
【0113】
図23(c)は、図23(b)の状態からズレ量Dyが増分されて、ズレ量Dxが初期化された状態における現画像550および前画像560を示す図である。図23(d)は、図23(c)の状態からズレ量Dxが増分され、ズレ量Dxが最大値になった状態における現画像550および前画像560を示す図である。
【0114】
図23(e)は、図23(d)の状態から、ズレ量Dyが最大値(SearchYSize)まで増分されてズレ量Dxが初期化された状態における現画像550および前画像560を示す図である。図23(f)は、図23(e)の状態からズレ量Dxが増分され、ズレ量DxおよびDyがいずれも最大値になった状態における現画像550および前画像560を示す図である。
【0115】
図23に例示したように、ズレ量Dyを初期値から最大値まで増分するループ内において、ズレ量Dxを初期値から最大値まで増分するループが実行される。この結果、DxおよびDyの全ての組合せにおいて、最小の絶対値総和が算出されるときのズレ量DxおよびDyが探索される。
【0116】
このように、第2の実施の形態によれば、撮像装置101は、現画像と前画像との間のズレ量を算出して、そのズレ量に基づいて座標を補正して移動体を検出する。これにより、撮像装置101の向きが変化した場合であっても、撮像装置101は、現画像内の移動体を適切に検出することができる。
【0117】
なお、ズレ量算出部210は、現画像を基準として現画像に対する前画像のズレ量を算出しているが、前画像を基準として前画像に対する現画像のズレ量を算出することもできる。
【0118】
また、移動体検出部221は、マッチング領域内において、移動体を検出しているが、マッチング領域外も含めて移動体を検出してもよい。例えば、移動体検出部221は、ズレ量に基づいて互いにずらした現画像および前画像において重なる領域内の全てにおいて移動体を検出する。具体的には、移動体検出部221は、図21に例示した移動体検出処理の代わりに、図7に例示した移動体検出処理を実行する。この場合、図22に例示した移動体領域検出処理のステップS956において、現画像の(x,y)に対応する前画像の(x+Dx,y+Dy)が、前画像内に存在しないことがある。そのときは、例外的に、その座標における差分絶対値が0とされる。
【0119】
また、ズレ量算出部210は、SearchXSizeおよびSearchYSizeに基づいてマッチング領域を定義している。しかし、ズレ量算出部210は、ズレ量に基づいて互いにずらした現画像および前画像において重なる一定サイズの領域であれば、任意の領域をマッチング領域として定義してもよい。
【0120】
図24は、第3の実施の形態における切抜領域定義部301の一構成例を示すブロック図である。切抜領域定義部301は、フィルタ部340をさらに備える点において第1の実施の形態の切抜領域定義部300と異なる。
【0121】
フィルタ部340は、切抜領域を定義するパラメータの時系列の変動を平滑化するものである。フィルタ部340は、無限インパルス応答(IIR:Infinite Impulse Response)フィルタ350、360、370、および、380を備える。
【0122】
無限インパルス応答フィルタ350は、下記の式25により出力値を生成するものである。無限インパルス応答フィルタ360、370、および、380の構成は、無限インパルス応答フィルタ360の構成と同様である。
【数1】

【0123】
上記式25において、i[n−j]は、フィルタの入力値である。o[n−k]は、フィルタの出力値である。ここで、jは0乃至P(Pは0以上の整数)の整数であり、jが小さいほど、入力値が新しいことを意味する。また、kは、0乃至Q(Qは0以上の整数)であり、kが小さいほど、出力値が新しいことを意味する。aは、各出力値に乗算されるフィルタ係数である。mは、1乃至Qの整数である。bは、各入力値に乗算されるフィルタ係数である。
【0124】
無限インパルス応答フィルタ350は、切抜領域中心座標算出部330から切抜領域の中心X座標ClipCenterXを受け取り、上記式25に入力して、得られた値をFilCenterXとして出力する。無限インパルス応答フィルタ360は、切抜領域中心座標算出部330から切抜領域の中心Y座標ClipCenterYを受け取り、上記式25に入力して、得られた値をFilCenterYとして出力する。無限インパルス応答フィルタ370は、切抜領域画素数算出部310から切抜領域の幅ClipWidthを受け取り、上記式25に入力して、得られた値をFilWidthとして出力する。無限インパルス応答フィルタ380は、切抜領域画素数算出部310から切抜領域の高さClipHeightを受け取り、上記式25に入力して、得られた値をFilHeightとして出力する。この結果、各フィルタにおいて、下記の式26乃至29が成立する。
【数2】

【数3】

【数4】

【数5】

【0125】
無限インパルス応答フィルタ350、360、370、および、380は、これらの出力値を切抜領域生成部410に出力する。図25は、無限インパルス応答フィルタ350の一構成例を示すブロック図である。無限インパルス応答フィルタ350は、1つ以上の段数の遅延部351および355と、1つ以上の段数の入力値記憶部352と、1つ以上の段数の乗算部353および357とを備える。また、無限インパルス応答フィルタ350は、加算部354、358、および、359と、1つ以上の段数の出力値記憶部356とを備える。遅延部351および入力値記憶部352の段数はP段であり、遅延部355および出力値記憶部356の段数はQ段である。
【0126】
遅延部351は、前段の入力値を、所定時間だけ遅延させて後段の入力値記憶部352に入力するものである。遅延時間は、画像が撮像される間隔に設定される。入力値記憶部352は、入力値を記憶するものである。それぞれの乗算部353は、各入力値にbのフィルタ係数を乗算するものである。加算部354は、bに対応する乗算結果を除く乗算部353のそれぞれの乗算結果を加算するものである。加算部354は、加算した結果を加算部359へ出力する。遅延部355は、前段の出力値を、所定時間だけ遅延させて後段の出力値記憶部356に入力するものである。遅延時間は、画像が撮像される間隔に設定される。出力値記憶部356は、出力値を記憶するものである。それぞれの乗算部357は、各入力値にbのフィルタ係数を乗算するものである。加算部358は、乗算部357のそれぞれの乗算結果を加算するものである。加算部358は、加算した結果を加算部359へ出力する。加算部359は、bに対応する乗算結果と加算部354および358の加算結果とを加算するものである。加算部359は、加算した結果を出力値として、1段目の遅延部355および切抜領域生成部410に出力する。
【0127】
無限インパルス応答フィルタ350等において、切抜領域の急激な変化が抑制される具体例を示す。上記式26において、例えば、P=0、Q=1、b=0.1、a=−0.9とした場合、下記の式30が得られる。
【数6】

【0128】
上記式30において、左辺の3項目における
【数7】

は、前画面で算出したFilCenterXと、現画面で算出したFilCenterXとの間の差分である。この差分、すなわちFilCenterXの変位量は、上記式30においては、その10分の1しか、出力値FilCenterX[n]に影響を及ぼさない。このため、FilCenterXの急激な変化が抑制される。FilCenterY、FilWidth、およびFilHeightについても同様である。
【0129】
このように、第3の実施の形態によれば、撮像装置100は、入力値の時系列の変動を平滑化するフィルタに切抜領域を定義するパラメータを通過させる。このため、そのパラメータの急激な変動が抑制される。この結果、記録領域における映像が鑑賞しやすいものとなる。
【0130】
なお、フィルタ部340は、無限インパルス応答フィルタを備える構成としているが、パラメータの時系列の変動を平滑化するフィルタであれば、無限インパルス応答フィルタ以外のフィルタを備えてもよい。フィルタ部340は、例えば、無限インパルス応答フィルタの代わりに有限インパルス応答(FIR:Finite Impulse Response)フィルタを備えることもできる。
【0131】
また、撮像装置100は、記録領域を定義するパラメータ全てにフィルタを通過させているが、一部のパラメータのみにフィルタを通過させてもよい。例えば、撮像装置100は、ClipWidthおよびClipHeightのみにフィルタを通過させてもよい。
【0132】
また、撮像装置100は、同一の種類のフィルタを備えているが、複数の種類のフィルタを備えることもできる。例えば、撮像装置100は、無限インパルス応答フィルタと有限インパルス応答フィルタとを備えてもよい。この場合、撮像装置100は、パラメータの一部に一方のフィルタを通過させ、残りのパラメータに他方のフィルタを通過させる。
【0133】
また、撮像装置100は、撮像装置100は、全てのパラメータについて、同一のフィルタ係数を設定しているが、パラメータごとに、フィルタ係数を変更してもよい。
【0134】
<4.第4の実施の形態>
[撮像装置の構成]
次に、図26乃至図28を参照して、本技術の第4の実施の形態について説明する。第4の実施の形態の撮像装置103は、電子ズーム制御に加え、光学ズーム制御をさらに行う点において第1の実施の形態の撮像装置100と異なる。図26は、第4の実施の形態の撮像装置103の一構成例を示すブロック図である。撮像装置103は、光学ズーム制御部440をさらに備える点において第1の実施の形態の撮像装置100と異なる。
【0135】
光学ズーム制御部440は、電子ズームの倍率に基づいて光学ズーム倍率を制御するものである。光学ズーム制御部440は、切抜領域定義部300から、録画画像の画素数に対する切抜領域の画素数の比率であるサイズ比SizeRatio1を受け取る。光学ズーム制御部440は、その比率が1未満である(すなわち、リサイズにおいて切抜領域を拡大する)場合、信号線449を介して撮影レンズ110に光学ズーム倍率の上昇を指示する制御信号を出力する。例えば、光学ズーム制御部440は、サイズ比SizeRatio1の逆数を目標値として光学ズーム倍率を一定の上昇率で上昇させる。
【0136】
[撮像装置の動作例]
次に、図27および図28を参照して、上述の実施の形態における撮像装置103の動作例について説明する。図27は、第4の実施の形態における撮像装置103の動作の一例を示すフローチャートである。撮像装置103の動作は、ステップS962の後に、光学ズーム制御処理(ステップS963)をさらに実行する点において第1の実施の形態の撮像装置100の動作と異なる。ステップS963の後、撮像装置103は、動作を終了する。
【0137】
図28は、第4の実施の形態における光学ズーム制御処理の一例を示すフローチャートである。光学ズーム制御部440は、サイズ比SizeRatio1が1未満であるか否かを判断する(ステップS967)。サイズ比SizeRatio1が1未満であれば(ステップS967:Yes)、光学ズーム制御部440は、光学ズーム倍率を上げる(ステップS968)。サイズ比SizeRatio1が1以上である場合(ステップS967:No)、またはステップS968の後、光学ズーム制御部440は、光学ズーム制御処理を終了して図27に例示した動作に戻る。
【0138】
このように、第4の実施の形態によれば、撮像装置103は、サイズ比SizeRatio1が1未満である(すなわち、切抜領域の画素数が録画画像の画素数未満である)場合、光学ズーム倍率を上げる。これにより、切抜領域のサイズが一定のサイズより小さい場合に光学ズーム倍率が上昇し、リサイズによる画質の低下が防止される。
【0139】
[第2の変形例]
図29は、第2の変形例における撮像装置104の一構成例を示すブロック図である。撮像装置104は、水平方向または垂直方向において切抜領域の画素数の候補が現画像の画素数より大きい場合に光学ズーム倍率を下げる点において第4の実施の形態の撮像装置103と異なる。撮像装置104は、切抜部400および光学ズーム制御部440の代わりに切抜部401および光学ズーム制御部441を備える点において第4の実施の形態の撮像装置103と異なる。切抜部401は、切抜領域定義部300の代わりに切抜領域定義部301を備える点において第4の実施の形態の切抜部400と異なる。
【0140】
切抜領域定義部301は、図10に例示した切抜領域画素数算出処理の代わりに図14に例示した切抜領域画素数算出処理を実行する点において、第4の実施の形態の切抜領域定義部300と異なる。また、切抜領域定義部301は、サイズ比SizeRatio1に加えて、切抜領域の幅の候補Width1と切抜領域の高さの候補Height1とを光学ズーム制御部441に出力する。
【0141】
光学ズーム制御部441は、水平方向または垂直方向において切抜領域の画素数の候補が現画像の画素数より大きい場合に光学ズーム倍率を下げる点において第4の実施の形態の光学ズーム制御部440と異なる。
【0142】
[撮像装置の動作例]
図30は、第2の変形例における撮像装置104の光学ズーム制御処理の一例を示すフローチャートである。
【0143】
光学ズーム制御部441は、切抜領域の幅の候補Width1が現画像の幅Widthより大きいか否かを判断する(ステップS965)。切抜領域の幅の候補が現画像の幅以下であれば(ステップS965:No)、光学ズーム制御部441は、切抜領域の高さの候補Height1が現画像の高さHeightより大きいか否かを判断する(ステップS966)。切抜領域の高さの候補が現画像の高さ以下であれば(ステップS966:No)、光学ズーム制御部441は、サイズ比SizeRatio1が1未満であるか否かを判断する(ステップS967)。サイズ比SizeRatio1が1未満であれば(ステップS967:Yes)、光学ズーム制御部441は、光学ズーム倍率を上げる(ステップS968)。
【0144】
切抜領域の幅の候補が現画像の幅より大きい場合(ステップS965:Yes)、または、切抜領域の高さの候補が現画像の高さより大きい場合(ステップS966:Yes)、光学ズーム制御部441は、光学ズーム倍率を下げる(ステップS969)。サイズ比SizeRatio1が1以上である場合(ステップS967:No)、ステップS968またはS969の後、光学ズーム制御部441は、光学ズーム制御処理を終了して図27に例示した動作に戻る。
【0145】
このように、第2の変形例によれば、撮像装置104は、切抜領域の画素数の候補が現画像の画素数より大きければ、光学ズーム倍率を低下させる。これにより、被写体が、撮像装置104に近づきすぎた場合に、被写体の一部が現画像からフレームアウトしてしまうことが防止される。
【0146】
[第3の変形例]
図31は、第3の変形例における撮像装置105の一構成例を示すブロック図である。撮像装置105は、水平方向または垂直方向において、切抜領域の画素数が現画像の画素数より大きい場合に切抜領域を再定義しない点において第4の実施の形態の撮像装置103と異なる。撮像装置105は、光学ズーム制御部440の代わり光学ズーム制御部442を備える点において第4の実施の形態の撮像装置103と異なる。
【0147】
光学ズーム制御部442は、サイズ比SizeRatio1に加えて、切抜領域の幅ClipWidthおよび切抜領域の高さClipHeightを切抜領域定義部300から受け取る。光学ズーム制御部442は、水平方向または垂直方向において切抜領域の画素数が現画像の画素数より大きい場合に光学ズーム倍率を下げる点において第4の実施の形態の光学ズーム制御部440と異なる。
【0148】
[撮像装置の動作例]
図32は、第3の変形例における撮像装置105の光学ズーム制御処理の一例を示すフローチャートである。
【0149】
光学ズーム制御部442は、ClipWidthがWidthより大きい条件と、ClipHeightがHeightより大きい条件とのうちのいずれかが成立するか否かを判断する(ステップS964)。切抜領域の幅が現画像の幅以下であり、かつ、切抜領域の高さが現画像の高さ以下であれば(ステップS964:No)、光学ズーム制御部442は、サイズ比SizeRatio1が1未満であるか否かを判断する(ステップS967)。サイズ比SizeRatio1が1未満であれば(ステップS967:Yes)、光学ズーム制御部442は、光学ズーム倍率を上げる(ステップS968)。
【0150】
切抜領域の幅が現画像の幅より大きい場合、または、切抜領域の高さが現画像の高さより大きい場合(ステップS964:Yes)、光学ズーム制御部442は、光学ズーム倍率を下げる(ステップS969)。サイズ比SizeRatio1が1以上である場合(ステップS967:No)、ステップS968またはS969の後、光学ズーム制御部442は、光学ズーム制御処理を終了して図27に例示した動作に戻る。
【0151】
このように、第3の変形例によれば、撮像装置105は、切抜領域の画素数が現画像の画素数より大きければ、光学ズーム倍率を低下させる。これにより、被写体が、撮像装置105に近づきすぎた場合に、被写体の一部が現画像からフレームアウトしてしまうことが防止される。
【0152】
なお、上述の実施の形態は本技術を具現化するための一例を示したものであり、実施の形態における事項と、特許請求の範囲における発明特定事項とはそれぞれ対応関係を有する。同様に、特許請求の範囲における発明特定事項と、これと同一名称を付した本技術の実施の形態における事項とはそれぞれ対応関係を有する。ただし、本技術は実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において実施の形態に種々の変形を施すことにより具現化することができる。
【0153】
なお、本技術は以下のような構成もとることができる。
(1)時系列に沿って連続して複数の画像を撮像する撮像部と、
前記複数の画像のうちのいずれかである現画像内の画素を現画像内画素とし、前記現画像より前に撮像された画像である前画像内の画素を前画像内画素として、検出対象の前記現画像内画素に対応づけられた前記前画像内画素の画素値に対する差分の絶対値が閾値以上となる画素値を有する前記検出対象の前記現画像内画素を網羅した領域を検出領域として検出する検出部と、
前記検出領域を含む領域を切抜領域として前記現画像から切り抜く切抜部と、
前記切抜領域のサイズを調整して出力するサイズ調整部と
を具備する撮像装置。
(2)前記現画像と前記前画像との間のズレ量を複数のズレ量のうちのいずれかから選択して前記選択したズレ量に基づいて互いにずらした前記現画像および前記前画像において重なる所定サイズの領域であるマッチング領域内の各画素について前記現画像内画素および前記前画像内画素の各画素値の差分の絶対値を算出する絶対値算出部と、
前記マッチング領域内の各画素について算出された各々の前記絶対値の合計値を前記複数のズレ量のそれぞれについて算出する合計値算出部と、
前記複数のズレ量のそれぞれについて算出された各々の前記合計値のうちの最小の前記合計値が算出されたときの前記ズレ量に基づいて互いにずらした前記現画像および前記前画像において前記前画像内画素に重なる前記現画像内画素を前記検出対象として当該前画像内画素に対応づけるズレ量決定部と
をさらに具備する
前記(1)に記載の撮像装置。
(3)前記切抜部は、
入力値の時系列の変動を平滑化して平滑化した前記入力値を出力するフィルタと、
前記切抜領域を定義するパラメータを算出して前記パラメータを前記入力値として前記フィルタに入力するパラメータ算出部と、
前記フィルタから出力された前記入力値により定義された前記切抜領域を前記現画像から切り抜くことによって前記切抜領域を生成する切抜領域生成部と
を備える前記(1)または(2)に記載の撮像装置。
(4)前記切抜領域のサイズが所定値より小さい場合に光学ズーム倍率を上昇させる光学ズーム制御部をさらに具備する前記(1)から(3)のいずれかに記載の撮像装置。
(5)前記光学ズーム制御部は、前記切抜領域のサイズが前記現画像のサイズより大きい場合に前記光学ズーム倍率を低下させる
前記(4)に記載の撮像装置。
(6)前記切抜部は、前記検出領域のサイズに所定の倍率を乗算したサイズの枠により前記検出領域を囲んだ部分を含む領域を前記切抜領域とする
前記(1)から(5)のいずれかに記載の撮像装置。
(7)前記サイズ調整部は、前記切抜領域のサイズが所定値より小さい場合に前記所定値を前記切抜領域のサイズで除算した値である拡大倍率に基づいて前記切抜領域を拡大する
前記(1)から(6)のいずれかに記載の撮像装置。
(8)前記切抜部は、前記検出領域を含む、所定のアスペクト比の矩形領域を前記切抜領域とする
前記(1)から(7)のいずれかに記載の撮像装置。
(9)撮像部が、時系列に沿って連続して複数の画像を撮像する撮像手順と、
検出部が、前記複数の画像のうちのいずれかである現画像内の画素を現画像内画素とし、前記現画像より前に撮像された画像である前画像内の画素を前画像内画素として、検出対象の前記現画像内画素に対応づけられた前記前画像内画素の画素値に対する差分の絶対値が閾値以上となる画素値を有する前記検出対象の前記現画像内画素を網羅した領域を検出領域として検出する検出手順と、
切抜部が、前記検出領域を含む領域を切抜領域として前記現画像から切り抜く切抜手順と、
サイズ調整部が、前記切抜領域のサイズを調整して出力するサイズ調整手順と
を具備する撮像装置の制御方法。
(10)撮像部が、時系列に沿って連続して複数の画像を撮像する撮像手順と、
検出部が、前記複数の画像のうちのいずれかである現画像内の画素を現画像内画素とし、前記現画像より前に撮像された画像である前画像内の画素を前画像内画素として、検出対象の前記現画像内画素に対応づけられた前記前画像内画素の画素値に対する差分の絶対値が閾値以上となる画素値を有する前記検出対象の前記現画像内画素を網羅した領域を検出領域として検出する検出手順と、
切抜部が、前記検出領域を含む領域を切抜領域として前記現画像から切り抜く切抜手順と、
サイズ調整部が、前記切抜領域のサイズを調整して出力するサイズ調整手順と
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【0154】
100、101、103、104、105 撮像装置
110 撮影レンズ
120 画像データ生成部
130 画像データバッファ
210 ズレ量算出部
211 差分絶対値算出部
212 絶対値総和算出部
213 ズレ量決定部
220、221 移動体検出部
300、301 切抜領域定義部
310 切抜領域画素数算出部
320 録画画素数記憶部
330 切抜領域中心座標算出部
340 フィルタ部
350、360、370、380 無限インパルス応答フィルタ
351、355 遅延部
352 入力値記憶部
353、357 乗算部
354、358、359 加算部
356 出力値記憶部
400、401 切抜部
410 切抜領域生成部
420 サイズ調整部
430 記録部
440、441、442 光学ズーム制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
時系列に沿って連続して複数の画像を撮像する撮像部と、
前記複数の画像のうちのいずれかである現画像内の画素を現画像内画素とし、前記現画像より前に撮像された画像である前画像内の画素を前画像内画素として、検出対象の前記現画像内画素に対応づけられた前記前画像内画素の画素値に対する差分の絶対値が閾値以上となる画素値を有する前記検出対象の前記現画像内画素を網羅した領域を検出領域として検出する検出部と、
前記検出領域を含む領域を切抜領域として前記現画像から切り抜く切抜部と、
前記切抜領域のサイズを調整して出力するサイズ調整部と
を具備する撮像装置。
【請求項2】
前記現画像と前記前画像との間のズレ量を複数のズレ量のうちのいずれかから選択して前記選択したズレ量に基づいて互いにずらした前記現画像および前記前画像において重なる所定サイズの領域であるマッチング領域内の各画素について前記現画像内画素および前記前画像内画素の各画素値の差分の絶対値を算出する絶対値算出部と、
前記マッチング領域内の各画素について算出された各々の前記絶対値の合計値を前記複数のズレ量のそれぞれについて算出する合計値算出部と、
前記複数のズレ量のそれぞれについて算出された各々の前記合計値のうちの最小の前記合計値が算出されたときの前記ズレ量に基づいて互いにずらした前記現画像および前記前画像において前記前画像内画素に重なる前記現画像内画素を前記検出対象として当該前画像内画素に対応づけるズレ量決定部と
をさらに具備する
請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
前記切抜部は、
入力値の時系列の変動を平滑化して平滑化した前記入力値を出力するフィルタと、
前記切抜領域を定義するパラメータを算出して前記パラメータを前記入力値として前記フィルタに入力するパラメータ算出部と、
前記フィルタから出力された前記入力値により定義された前記切抜領域を前記現画像から切り抜くことによって前記切抜領域を生成する切抜領域生成部と
を備える請求項1記載の撮像装置。
【請求項4】
前記切抜領域のサイズが所定値より小さい場合に光学ズーム倍率を上昇させる光学ズーム制御部をさらに具備する請求項1記載の撮像装置。
【請求項5】
前記光学ズーム制御部は、前記切抜領域のサイズが前記現画像のサイズより大きい場合に前記光学ズーム倍率を低下させる
請求項4記載の撮像装置。
【請求項6】
前記切抜部は、前記検出領域のサイズに所定の倍率を乗算したサイズの枠により前記検出領域を囲んだ部分を含む領域を前記切抜領域とする
請求項1記載の撮像装置。
【請求項7】
前記サイズ調整部は、前記切抜領域のサイズが所定値より小さい場合に前記所定値を前記切抜領域のサイズで除算した値である拡大倍率に基づいて前記切抜領域を拡大する
請求項1記載の撮像装置。
【請求項8】
前記切抜部は、前記検出領域を含む、所定のアスペクト比の矩形領域を前記切抜領域とする
請求項1記載の撮像装置。
【請求項9】
撮像部が、時系列に沿って連続して複数の画像を撮像する撮像手順と、
検出部が、前記複数の画像のうちのいずれかである現画像内の画素を現画像内画素とし、前記現画像より前に撮像された画像である前画像内の画素を前画像内画素として、検出対象の前記現画像内画素に対応づけられた前記前画像内画素の画素値に対する差分の絶対値が閾値以上となる画素値を有する前記検出対象の前記現画像内画素を網羅した領域を検出領域として検出する検出手順と、
切抜部が、前記検出領域を含む領域を切抜領域として前記現画像から切り抜く切抜手順と、
サイズ調整部が、前記切抜領域のサイズを調整して出力するサイズ調整手順と
を具備する撮像装置の制御方法。
【請求項10】
撮像部が、時系列に沿って連続して複数の画像を撮像する撮像手順と、
検出部が、前記複数の画像のうちのいずれかである現画像内の画素を現画像内画素とし、前記現画像より前に撮像された画像である前画像内の画素を前画像内画素として、検出対象の前記現画像内画素に対応づけられた前記前画像内画素の画素値に対する差分の絶対値が閾値以上となる画素値を有する前記検出対象の前記現画像内画素を網羅した領域を検出領域として検出する検出手順と、
切抜部が、前記検出領域を含む領域を切抜領域として前記現画像から切り抜く切抜手順と、
サイズ調整部が、前記切抜領域のサイズを調整して出力するサイズ調整手順と
をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【公開番号】特開2012−205059(P2012−205059A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−67511(P2011−67511)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】