撮像装置、内視鏡
【課題】被検体内に供給される照明光の光量を低下させることなく、簡単な構成により光学部材の曇りを防止することができる構成を具備する撮像装置を提供する。
【解決手段】光学部材43、42a、44と、光学部材43、42a、44を保持する枠41、42と、光学部材43、42a、44に入射され、該光学部材43、42a、44を通過した被写体からの観察光Lの赤外光Iを熱に変換する熱変換部材61と、熱変換部材61によって変換された熱を枠41、42に伝達する、熱変換部材61及び枠41、42に接続された熱伝達部材62と、を具備する。
【解決手段】光学部材43、42a、44と、光学部材43、42a、44を保持する枠41、42と、光学部材43、42a、44に入射され、該光学部材43、42a、44を通過した被写体からの観察光Lの赤外光Iを熱に変換する熱変換部材61と、熱変換部材61によって変換された熱を枠41、42に伝達する、熱変換部材61及び枠41、42に接続された熱伝達部材62と、を具備する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体を撮像する撮像装置、内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像装置、例えば、内視鏡に用いられる撮像装置は、被検体内における被検部位を撮像するものであり、例えば内視鏡の挿入部の挿入方向先端側(以下、単に先端側と称す)に位置する先端部内に設けられた構成が周知である。
【0003】
また、撮像装置としては、被検部位を観察するレンズや、該レンズを保持する保持枠、レンズの光軸方向後方(以下、単に後方と称す)に設けられたプリズムや、該プリズムの出射側に設けられた被検部位の像を撮像する撮像素子等からなる構成が周知である。
【0004】
さらに、先端部内において撮像装置は、先端部を構成する先端硬質部材に固定されるが、先端硬質部材を、ポリサルフォンやPEEK等の樹脂から形成した構成が周知である。先端硬質部材を樹脂から形成すると、先端硬質部材の小型化を図ることができるとともに、型成型できるため先端硬質部材の量産性を高めることができ、さらに先端硬質部材に対して照明用レンズを一体的に形成することができるメリットがある。
【0005】
ところで、内視鏡の挿入部における先端部は、使用中または使用後、液体中に浸漬されることがある。
【0006】
例えば、膀胱内に挿入部を挿入して膀胱内の観察を行う場合には、先端部は、膀胱内の尿に浸漬された状態で使用されることがある。
【0007】
また、内視鏡の使用後、内視鏡を洗浄、消毒するため、内視鏡は、洗浄液や消毒液等の薬液に浸漬されるが、この際、当然先端部も薬液に浸漬される。
【0008】
ここで、保持枠に対してレンズが接着剤を介して接着固定され、またプリズムも接着剤を介して保持枠に接着固定され、さらに先端硬質部材がポリサルフォンやPEEK等の樹脂から形成されている場合、先端部が液体中に浸漬されてしまうと、ポリサルフォンやPEEK等の樹脂は吸湿性を有することから、先端硬質部材を介して水分が接着剤中に吸収されてしまい、該水分(湿気)が接着剤を進入路として保持枠内に進入し、レンズやプリズム等の光学部材を曇らせてしまうといった問題があった。
【0009】
また、先端硬質部が金属等の吸湿性を有さない材質で構成された場合であっても、先端硬質部の開口から内視鏡の外部に露出した撮像装置と先端硬質部との接着部や、外部に露出したレンズと保持枠との接着部等から、水分(湿気)が保持枠内に進入し、レンズやプリズム等の光学部材を曇らせてしまうといった問題があった。
【0010】
尚、このような問題は、先端部のレンズの光軸方向における短小化を図ると、光軸方向における保持枠に対するレンズの嵌合長が減少してしまうため、即ち、光軸方向における接着剤の接着長が短くなり、接着剤の塗布量が少なくなってしまうためより顕著となる。
【0011】
よって、特許文献1には、挿入部内に挿通された、被検体内に照明光を供給するライトガイドの先端の一部を保持枠に向け配置し、ライトガイドの先端からの照明光の一部を保持枠にも供給することにより保持枠を照明光により熱して、接着剤中の水分の蒸発速度を早めることによりレンズの曇りを防止する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平9−173282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ここで、挿入部の小径化を図ると、当然挿入部内に挿通されるライトガイドの本数も減少する。
【0014】
よって、特許文献1のように、ライトガイドの先端の一部を保持枠に向け配置し照明光を保持枠にも供給する構成においては、光源装置からライトガイドを介した照明光全体が被検体内に供給される構成ではないことから、照明光を被検体内に供給するためのライトガイドの本数が少なくなってしまうと、被検体内に供給される照明光の光量が大幅に少なくなってしまうといった問題があった。
【0015】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、被検体内に供給される照明光の光量を低下させることなく、簡単な構成により光学部材の曇りを防止することができる構成を具備する撮像装置、内視鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するため本発明の一態様における撮像装置は、被写体を撮像する撮像装置であって、光学部材と、前記光学部材を保持する保持部材と、前記光学部材に入射され、該光学部材を通過した前記被写体からの観察光の一部を熱に変換する熱変換部材と、前記熱変換部材によって変換された前記熱を前記保持部材に伝達する、前記熱変換部材及び前記保持部材に接続された熱伝達部材と、を具備する。
【0017】
また、本発明の一態様における内視鏡は、請求項1〜9のいずれか1項に記載の前記撮像装置を、前記被検体内に挿入される挿入部または該挿入部の挿入方向基端側に接続された操作部に有する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、被検体内に供給される照明光の光量を低下させることなく、簡単な構成により光学部材の曇りを防止することができる構成を具備する撮像装置、内視鏡を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1実施の形態の撮像装置を内視鏡の挿入部の先端部に具備する内視鏡システムを示す斜視図
【図2】図1の挿入部の先端部の内部の構成を、一部を断面にして概略的に示す斜視図
【図3】図2の撮像装置の構成を概略的に示す部分断面図
【図4】図3の撮像装置の変形例の構成を概略的に示す部分断面図
【図5】第2実施の形態の撮像装置の構成を概略的に示す部分断面図
【図6】第3実施の形態の撮像装置の構成を概略的に示す部分断面図
【図7】第4実施の形態の撮像装置の構成を概略的に示す部分断面図
【図8】撮像素子の前面にカバーガラスが貼着され、カバーガラスの前面に遮光膜が蒸着された状態を概略的に示す図
【図9】図8のカバーガラス及び遮光膜を図8中のIX方向からみた平面図
【図10】撮像素子の前面にカバーガラスが貼着され、カバーガラスの前面に外周にバリを有する遮光膜が蒸着された状態を概略的に示す図
【図11】図10のカバーガラス及び遮光膜を図10中のXI方向からみた平面図
【図12】カバーガラスの前面において遮光膜のバリによって露出された領域に、黒色の接着剤を充填した状態を示すカバーガラス及び遮光膜の平面図
【図13】カバーガラスの前面において遮光膜のバリによって露出された領域を光学的に粗くした状態を示すカバーガラス及び遮光膜の平面図
【図14】カバーガラスの前面において遮光膜のバリによって露出された領域に、メカマスクを貼着した状態を示すカバーガラス及び遮光膜の平面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0021】
(第1実施の形態)
図1は、本実施の形態の撮像装置を内視鏡の挿入部の先端部に具備する内視鏡システムを示す斜視図、図2は、図1の挿入部の先端部の内部の構成を、一部を断面にして概略的に示す斜視図、図3は、図2の撮像装置の構成を概略的に示す部分断面図である。
【0022】
図1に示すように、内視鏡システム1は、内視鏡2と、光源装置3と、ビデオプロセッサ4と、モニタ5とから主要部が構成されている。
【0023】
内視鏡2は、細長な挿入部9と、該挿入部9の挿入方向基端側(以下、単に基端側と称す)に折れ止め11を介して接続された操作部10と、該操作部10から延出されたユニバーサルケーブル17と、該ユニバーサルケーブル17の延出端に設けられたコネクタ18とを有して主要部が構成されている。
【0024】
挿入部9は、挿入方向の先端側から順に先端部6と、湾曲部7と、可撓管部8とを有して主要部が構成されている。
【0025】
また、操作部10には、挿入部9内に設けられた各種処置具が挿通される処置具チャンネルの開口部12が形成されているとともに、湾曲部7を湾曲操作する際に操作される湾曲操作ノブ16が回動自在に設けられている他、図示しない各種内視鏡操作用のスイッチ類等が設けられている。
【0026】
尚、湾曲操作ノブ16は、湾曲部7を上下方向に湾曲操作する際に操作されるUD湾曲操作ノブ14と、湾曲部7を左右方向に湾曲操作する際に操作されるRL湾曲操作ノブ15とから主要部が構成されている。
【0027】
コネクタ18は、光源装置3と接続自在となっている。尚、内視鏡2は、コネクタ18、ユニバーサルケーブル17、操作部10、挿入部9内に挿通された図示しないライトガイドを介して、光源装置3から照射された照明光を、先端部6の先端面に設けられた図示しない照明用レンズから被検体内に供給する構成を有している。
【0028】
また、コネクタ18からは、コイル状のコイルケーブル19が延出しており、該コイルケーブル19の延出端に、ビデオプロセッサ4と接続自在な電気コネクタ19aが設けられている。
【0029】
ビデオプロセッサ4は、内視鏡画像を表示するモニタ5と電気的に接続されており、内視鏡2の後述する撮像装置40(図2参照)によって光電変換された電気信号を信号処理して、画像信号としてモニタ5に出力する機能を有している。
【0030】
内視鏡2の挿入部9の先端部6は、図2に示すように、例えばポリサルフォンやPEEK等の樹脂から形成された先端硬質部材30を有している。尚、先端硬質部材30を構成する部材は樹脂に限定されず、金属であっても構わない。
【0031】
図2に示すように、先端硬質部材30は、上述した処置具チャンネルや、ライトガイド等が挿通される孔部31、32と、撮像装置40が配置される空間部33とを有している。
【0032】
孔部31,32、及び空間部33は、先端硬質部材30の挿入方向の先端(以下、単に先端と称す)から挿入方向の基端(以下、単に基端と称す)にかけて、挿入部9の挿入方向に沿って形成されている。よって、先端硬質部材30の先端面と基端面には、各孔部31,32、空間部33の開口部が形成されている。
【0033】
図3に示すように、撮像装置40は、光学部材である観察用レンズ43と、観察用レンズ43の保持部材である第1の光学部材保持枠41と、光学部材であるカバーガラス42aと、第1の光学部材保持枠41とカバーガラス42aの保持部材である第2の光学部材保持枠42と、光学部材であるプリズム44と、保護部材45と、熱変換部材61と、熱伝達部材62と、撮像素子46と、基板47と、電子部品48とを具備して主要部が構成されている。
【0034】
尚、本実施の形態においては、撮像装置40は、先端部6内に設けられている場合を例に挙げて示しているが、挿入部9の他の部位や、操作部10内に設けられていても構わない。
【0035】
観察用レンズ43は、被写体となる被検部位を観察するものであり、例えば複数のレンズから構成されている。また、観察用レンズ43は、例えば金属から形成された第1の光学部材保持枠41に対して、接着領域(嵌合領域)Aに塗布された接着剤を介して固定されることにより、第1の光学部材保持枠41に保持されている。なお、第1の光学部材保持枠41に保持されるものは、複数のレンズではなく単数のレンズでもよく、またレンズではなく例えばカバーガラス等の光学部材でもよい。
【0036】
また、観察用レンズ43の光軸方向Dの後方に、例えば金属から形成された第2の光学部材保持枠42によって保持されたカバーガラス42aが位置している。
【0037】
第2の光学部材保持枠42は、第1の光学部材保持枠41の基端側の外周と第2の光学部材保持枠42の先端側の外周の接着領域(嵌合領域)Bに塗布された接着剤41aを介して第1の光学部材保持枠41を固定保持しており、さらに接着領域(嵌合領域)Cに塗布された接着剤を介してカバーガラス42aを、固定保持している。尚、第2の光学部材保持枠42は、第1の光学部材保持枠41と一体的に形成されていても構わない。
【0038】
また、第2の光学部材保持枠42の基端側の端面に、プリズム44の先端側の面が接着されている。即ち、プリズム44も第2の光学部材保持枠42によって保持されている。尚、カバーガラス42aは、プリズム44の入射面を保護するものである。
【0039】
プリズム44に、観察用レンズ43、カバーガラス42aを介してプリズム44に入射された観察光Lの内、可視光Vを反射し赤外光Iを透過させる、または可視光Vを透過させ赤外光Iを反射する反射膜44aが設けられている。
【0040】
尚、本実施の形態においては、反射膜44aは、可視光Vを反射し赤外光Iを透過させる機能を有しているものとして以下説明する。また、可視光Vを反射し赤外光Iを透過させる反射膜44aを構成する部材としては、誘電体多層膜である既知のコールドミラー等が挙げられる。
【0041】
プリズム44の反射膜44aを透過する側の光路上、即ち赤外光Iの光路上に位置するプリズム44の透過側の出射端面、具体的にはプリズム44の図3中の傾斜面に形成された基端面に、反射膜44aを保護する保護部材45が貼着されている。尚、本実施の形態においては、保護部材45は、少なくとも赤外光の透過性を有する透光部材から構成されている。
【0042】
また、プリズム44の反射膜44aによって反射される可視光Vの光路上に位置する反射側の出射端面、具体的には、プリズム44の図3中における底面に、受光素子46aを有する撮像素子46が貼着されている。尚、撮像素子46は、先端部6の小径化を図るため、長手方向が光軸方向Dに沿うよう設けられている。
【0043】
撮像素子46は、例えばCCDやCMOSから構成されており、内部に例えばトランジスタ等のアンプを含む電子回路部46bが設けられている。尚、撮像素子46は、例えば電子回路部46bを受光素子46aと共にパッケージ化したものである。
【0044】
撮像素子46の基端側の上面に、FPCまたはTAB等から構成された基板47の先端部分が電気的に接続されている。尚、基板47の底面には、電子部品48が実装されている。
【0045】
また、基板47は、上面に複数の接続ランドを有しており、該接続ランドに、コネクタ18、ユニバーサルケーブル17、操作部10、挿入部9内に挿通された電気ケーブル23が有する複数のケーブル25の芯線25aの先端が、半田等によって電気的に接続されている。尚、電気ケーブル23は、複数のケーブル25が束ねられたものが、図示しない外装シースによって被覆されることにより構成されている。
【0046】
ここで、反射膜44aによって透過された赤外光Iの光路上、即ち、保護部材45の基端面に、観察用レンズ43、プリズム44に入射されこれらを通過した観察光の一部、具体的には、プリズム44の反射膜44aを透過し、保護部材45を通過した赤外光Iを熱に変換する熱変換部材61が接続されている。尚、熱変換部材61は、赤外光Iを吸収する部材であり、ステンレス鋼やアルミ等の高熱吸収性及び高熱伝導性を有する材料から構成されている。
【0047】
また、熱変換部材61の赤外光Iを受ける面は、梨地仕上げ等、表面粗さを粗くすることにより、赤外光Iを受ける表面積を大きくすると共に赤外光Iの反射を防止し、赤外光Iを効率よく熱に変換する構成とすることが好ましい。
【0048】
また、熱変換部材61には、先端側が第2の光学部材保持枠42に接続された熱伝達部材62の基端が接続されている。
【0049】
熱伝達部材62は、熱変換部材61によって変換された熱を第2の光学部材保持枠42に伝達するものであり、アルミ等の高熱伝導性を有する材料から構成されている。尚、熱伝達部材62の先端側は、図3の2点鎖線に示すように、第1の光学部材保持枠41に接続されていても構わない。
【0050】
このように、本実施の形態においては、プリズム44に設けられた反射膜44aは、観察光Lの内、可視光Vを反射するとともに赤外光Iを透過させると示した。
【0051】
また、プリズム44の反射膜44aの透過側の出射端面に、反射膜44aを保護する赤外光Iを透過させる保護部材45が貼着されており、該保護部材45に、先端側が第2の光学部材保持枠42に接続された熱伝達部材62の基端が接続された、保護部材45を通過した赤外光Iを熱に変換する熱変換部材61が接続されていると示した。
【0052】
このことによれば、観察用レンズ43、プリズム44に入射され、これらを通過した観察光Lの内、赤外光Iは、反射膜44aを透過し、さらに保護部材45を通過して熱変換部材61によって熱に変換され、該変換された熱が熱伝達部材62を介して第2の光学部材保持枠42に伝達されることから、第2の光学部材保持枠42及び該第2の光学部材保持枠42に接続された第1の光学部材保持枠41を熱することができる。即ち観察用レンズ43、プリズム44、カバーガラス42aを熱することができる。尚、赤外光Iは、撮像素子46を用いた通常の被検部位の観察、撮像においては、特に利用することない不要な光である。
【0053】
よって、内視鏡2の挿入部9の先端部6を液体中に浸漬させた際、接着領域A、B中の接着剤に吸収された水分を、短時間にて蒸発させることができるため、第2の光学部材保持枠42によって保持されたプリズム44やカバーガラス42a、及び第1の光学部材保持枠41によって保持された観察用レンズ43が水分の進入により曇ってしまうことを、従来の撮像装置に熱変換部材61及び熱伝達部材62を設けるのみの簡単な構成により確実に防止、抑制することができる。
【0054】
そして、熱伝達部材62及び光学部材保持枠41、42を介して伝わった熱により、光学部材保持枠41、42の内部に配設された光学部材である観察用レンズ43やカバーガラス42a、プリズム44、及び光学部材保持枠41、42の内部空間が加熱されることで、光学部材保持枠41、42内の光学部材の表面温度と空間の温度とが略均一化され、光学部材の表面の結露を防止、抑制することができ、光学部材保持枠41、42内の光学部材の曇りを簡単な構成により確実に防止、抑制することができる。
【0055】
なお、光学部材保持枠41、42の内部を加熱するために、光学部材保持枠41、42は、高熱伝導性を有する材料で構成することが望ましく、同様に光学部材保持枠41、42を接着する接着剤41aや光学部材保持枠41、42と光学部材を接着する接着剤は、高熱伝導性を有する接着剤を用いることが望ましい。
【0056】
また、第2の光学部材保持枠42及び第1の光学部材保持枠41を熱するのに、観察用レンズ43、プリズム44に入光される観察光Lにおける赤外光Iを用いることから、従来のようにライトガイドの一部を用いることがないため、挿入部9の小径化を図るため挿入部9内に挿通されるライトガイドの本数が少なくなったとしても、ライトガイドの光を全て被検体内に照射することができることから、被検体内に照射される照明光の光量が減ってしまうことがない。
【0057】
以上から、被検体内に供給される照明光の光量を低下させることなく、簡単な構成により光学部材の曇りを防止することができる構成を具備する撮像装置40、内視鏡2を提供することができる。
【0058】
尚、以下、変形例を、図4を用いて示す。図4は、図3の撮像装置の変形例の構成を概略的に示す部分断面図である。
【0059】
上述した本実施の形態においては、反射膜44aは、観察光Lの内、可視光Vを反射し赤外光Iを透過させる機能を有していると示した。
【0060】
よって、熱変換部材61は、赤外光Iの光路上における保護部材45の基端面に貼着され、撮像素子46は、プリズム44の図3中底面側に位置する可視光Vの出射端面に貼着されており、さらに撮像素子46は、先端部6の小径化を図るため、長手方向が光軸方向Dに沿って位置していると示した。
【0061】
これに限らず、図4に示すように、撮像素子46の長手方向が、光軸方向Dに直交する径方向Qに沿って配置される構成を撮像装置40が有する場合には、撮像素子46は、保護部材45の図4中の基端面に貼着され、熱変換部材61は、プリズム44の底面に貼着される。また、熱変換部材61には、上述した本実施の形態と同様に、先端側が第2の光学部材保持枠42に接続された熱伝達部材62の基端が接続されている。
【0062】
また、この構成においては、反射膜44aは、可視光Vを透過させ、赤外光Iを反射させる機能を有している。尚、可視光Vを透過させ赤外光Iを反射させる反射膜44aの部材としては、既知のホットミラー等が挙げられる。
【0063】
よって、この構成においては、プリズム44の底面は、赤外光Iの出射端面を構成し、プリズム44の基端面は、可視光Vの出射端面を構成する。また、保護部材45は、少なくとも可視光Vを透過する機能を有している。
【0064】
尚、その他の構成は、上述した実施の形態と同じである。
【0065】
このように、撮像素子46の長手方向が、光軸方向Dに直交する径方向Qに沿って配置される構成を撮像装置40が有していたとしても、反射膜44aによって反射された赤外光Iは、熱変換部材61によって熱に変換され、該熱は、熱伝達部材62によって第2の光学部材保持枠42に伝達されることから、上述した本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0066】
(第2実施の形態)
図5は、本実施の形態の撮像装置の構成を概略的に示す部分断面図である。
この第2実施の形態の撮像装置の構成は、上述した図1〜図3に示した第1実施の形態の撮像装置と比して、熱変換部材が熱伝達部材と一体的に形成されている点が異なる。よって、この相違点のみを説明し、第1実施の形態と同様の構成には同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0067】
図5に示すように、本実施の形態における撮像装置40においては、熱変換部材61と、熱伝達部材62とが一体的に設けられている。即ち、一端が第2の光学部材保持枠42に接続され他端が保護部材45に接続された、赤外光Iを熱に変換するとともに、該変換した熱を第2の光学部材保持枠42へと伝達する部材65を有している。言い換えれば、部材65は、熱変換部材61及び熱伝達部材62を兼ねている。
【0068】
尚、本実施の形態においても、部材65の一端側は、第1の光学部材保持枠41に接続されていても構わない。また、その他の構成は、上述した第1実施の形態と同様である。
【0069】
このような構成によれば、熱変換部材61と熱伝達部材62とを接合する箇所がなくなるため、接合箇所に生じていた熱抵抗をなくすことができることから、効率良く赤外光Iから変換した熱を、第2の光学部材保持枠42へと伝達することができる。
【0070】
よって、以上のことを鑑みれば、部材65は、第2の光学部材保持枠42と一体的に形成されていれば、より効率良く熱を光学部材へと伝達することができる。尚、これは、図3に示すように、熱変換部材61と熱伝達部材62とが別々に設けられている場合も同様であり、熱伝達部材62が、第2の光学部材保持枠42と一体的に形成されていれば、より効率良く熱を光学部材へと伝達することができる。
【0071】
尚、その他の効果は、上述した第1実施の形態と同じである。また、以上のことは、図4に示したように、撮像素子46の長手方向が、光軸方向Dに直交する径方向Qに沿って配置される構成を撮像装置40が有している場合においても同様である。
【0072】
(第3実施の形態)
図6は、本実施の形態の撮像装置の構成を概略的に示す部分断面図である。
この第3実施の形態の撮像装置の構成は、上述した図5に示した第2実施の形態の撮像装置と比して、熱変換部材と熱伝達部材とが一体的に形成された部材が、保護部材と一体的に形成されている点が異なる。よって、この相違点のみを説明し、第2実施の形態と同様の構成には同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0073】
図6に示すように、本実施の形態における撮像装置40においては、部材65と、保護部材45’とが一体的に設けられている。
【0074】
即ち、一端が第2の光学部材保持枠42に接続され、他端がプリズム44の赤外光Iの光路上に位置するプリズム44の透過側に出射端面、即ちプリズム44の基端面に貼着された部材67は、赤外光Iを熱に変換するとともに、該変換した熱を第2の光学部材保持枠42へと伝達する機能を有している。
【0075】
即ち、保護部材45’自体が、赤外光Iを熱に変換する機能を有している。言い換えれば、部材67は、熱変換部材、熱伝達部材、保護部材を兼ねている。よって、保護部材45’は、光透過性を有している必要がない。
【0076】
尚、本実施の形態においても、部材67の一端側は、第1の光学部材保持枠41に接続されていても構わない。また、その他の構成は、上述した第2実施の形態と同様である。
【0077】
このような構成によれば、上述した第1、第2実施の形態よりも赤外線を吸収して熱に変換する熱変換部材として機能する部材67の熱容量が大きくなることから、赤外光Iから変換された熱が少ないような場合であっても、第2の光学部材保持枠42に伝達される熱量を、第1、第2実施の形態よりも大幅に確保しやすくなる。
【0078】
尚、その他の効果は、上述した第2実施の形態と同じである。
【0079】
(第4実施の形態)
図7は、本実施の形態の撮像装置の構成を概略的に示す部分断面図である。
この第4実施の形態の撮像装置の構成は、上述した図5に示した第2実施の形態の撮像装置と比して、熱変換部材と熱伝達部材とが一体的に形成された部材が、反射膜と一体的に形成されている点と保護部材を用いない点が異なる。よって、この相違点のみを説明し、第2実施の形態と同様の構成には同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0080】
図7に示すように、本実施の形態における撮像装置40においては、保護部材45を設けずに、第2実施の形態において示した熱変換部材61と熱伝達部材62とが一体的に設けられた部材65’と反射膜44aとが部材69として一体的に設けられている。
【0081】
即ち、一端が第2の光学部材保持枠42に接続され他端がプリズム44の赤外光Iの光路上に位置するプリズム44の透過側に出射端面、即ちプリズム44の基端面に貼着された部材69は、可視光Vを反射するとともに、赤外光Iを吸収し熱に変換するとともに、該変換した熱を第2の光学部材保持枠42へと伝達する機能を有している。
【0082】
即ち、反射膜44a自体が、赤外光Iを熱に変換する機能を有している。言い換えれば、部材69は、熱変換部材、熱伝達部材、保護部材、反射膜を兼ねている。この場合、部材69の赤外光Iを受ける面は、可視光を反射し赤外光を透過する膜を表面に形成しても、表面を少なくとも可視光を反射する様に鏡面仕上げをしたミラー面としてもよい。
【0083】
尚、本実施の形態においても、部材69の一端側は、第1の光学部材保持枠41に接続されていても構わない。また、その他の構成は、上述した第2実施の形態と同様である。このような構成において、上述した第2実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0084】
また、上述した第1〜第4実施の形態においては、撮像素子46が1つ設けられた撮像装置40を例に挙げて示したが、これに限らず、1つの観察光に対し、例えば可視光による通常観察用と、特定波長光による特殊光観察用と、の様に、撮像素子が2つ以上設けられた撮像装置に対しても適用可能である。
【0085】
この際、プリズム44には、出射端面が3面以上有するものを用い、例えば出射端面の1面からは赤外光が、2面からは特殊光観察用の特定波長光が、3面からは可視光が出射されるようなプリズムを用いる。この場合、赤外光Iが出射される出射端面には、赤外光Iを熱に変換する部材を貼着し、残りの光が出射される複数の出射端面には、該出射端面に応じて撮像素子を貼着すればよい。
【0086】
さらに、上述した第1〜第4実施の形態においては、直視型の内視鏡の挿入部の先端部に用いられる撮像装置40を例に挙げて示したが、これに限らず、側視型の内視鏡の先端部に用いられる撮像装置40に適用しても構わない。
【0087】
さらに、内視鏡に設けられる撮像装置40を例に挙げて示したが、これに限らず、内視鏡以外の撮像装置40を有する部位が液体中に浸漬される他の器具にも適用可能である。例えば、イメージガイドを用い肉眼で観察する内視鏡の接眼部に接続し、観察画像をモニタに表示するための内視鏡画像表示装置に用いられる撮像装置にも適用可能である。
【0088】
図8は、撮像素子の前面にカバーガラスが貼着され、カバーガラスの前面に遮光膜が蒸着された状態を概略的に示す図、図9は、図8のカバーガラス及び遮光膜を図8中のIX方向からみた平面図である。
【0089】
また、図10は、撮像素子の前面にカバーガラスが貼着され、カバーガラスの前面に外周にバリを有する遮光膜が蒸着された状態を概略的に示す図、図11は、図10のカバーガラス及び遮光膜を図10中のXI方向からみた平面図である。
【0090】
ところで、図8に示すように、例えば撮像素子46の長手方向が、光軸方向Dに直交する径方向Qに沿って配置される構成を撮像装置40が有している場合において、撮像素子46の光軸方向Dの前面(以下、単に前面と称す)に、撮像素子46の受光素子46aを保護するカバーガラス72が貼着された構成が周知である。
【0091】
また、図8、図9に示すように、カバーガラス72の前面72fには、受光素子46aに不要光が入射され、撮像画像に不良が生じてしまうのを防ぐため、受光素子46aに不要光が入射されてしまうことを防ぐ金属製の遮光膜70が、蒸着等によって形成されているのが一般的である。
【0092】
尚、図9に示すように、遮光膜70は、受光素子46aに不要な光が入射されてしまうのを防ぐため、受光素子46aと外形形状及び大きさが略等しい外形有するとともに、前面72fにおいて、前方側から平面視した際、受光素子46aに重畳する位置に、観察光Lが通過する開口70kを有している。
【0093】
ここで、遮光膜70は、前面72fに対して金属膜を蒸着し、その後、カバーガラス72の外周面を研磨することにより形成されるが、研磨後、カバーガラス72の外周面の一部が欠けたり、遮光膜70の一部が剥げたりすることにより、遮光膜70の外周近傍に、図11に示すように、バリEが複数発生してしまうといった問題があった。
【0094】
遮光膜70にバリEが形成されてしまうと、バリEが形成された箇所は、カバーガラス72の前面72fを覆うことができなくなってしまうため、即ち、前面72fがバリEによって露出されてしまうため、図10に示すように、該箇所から不要光L’が撮像素子46に向かって入光されてしまい、該入光された光は撮像素子46の受光素子46aの外周領域に形成された金属配線や回路パターン等で反射され、反射光が受光素子46aに入光されてしまう結果、画像不良を生じさせてしまうといった問題があった。
【0095】
尚、以上の不要光L’の入光による画像不良は、先端部6を小径化する程、カバーガラス72も径が小さくなるため、バリEによる影響が大きくなる。
【0096】
以下、このような問題を解決する構成を、図12〜図14を用いて示す。図12は、カバーガラスの前面において遮光膜のバリによって露出された領域に、黒色の接着剤を充填した状態を示すカバーガラス及び遮光膜の平面図、図13は、カバーガラスの前面において遮光膜のバリによって露出された領域を光学的に粗くした状態を示すカバーガラス及び遮光膜の平面図、図14は、カバーガラスの前面において遮光膜のバリによって露出された領域に、メカマスクを貼着した状態を示すカバーガラス及び遮光膜の平面図である。
【0097】
図12に示すように、カバーガラス72の前面72fにおいて遮光膜70のバリEによって露出された領域に、黒色の接着剤80を充填すれば、カバーガラス72の前面72fは、開口70k以外は、確実に遮光膜70及び接着剤80によって覆われるため、図10に示すように、不要光L’が撮像素子46に入光されてしまうことを確実に防止することができる。
【0098】
また、図13に示すように、カバーガラス72の前面72fにおいて遮光膜70のバリEによって露出された領域を光学的に粗くした状態Fとしてしまえば、状態Fのカバーガラス72に入光する不要光L’は乱反射するため、不要光L’が撮像素子46に入光されてしまうことを確実に低減することができる。
【0099】
さらに、図14に示すように、カバーガラス72の前面72fにおいて遮光膜70のバリEによって露出された領域、即ち遮光膜70の開口70kを除く領域に、平面視した形状がリング状の開口70kよりも大きい円形の孔90cを有するメカマスク90を貼着してしまえば、前面72fにおいてバリEによって露出された領域は、メカマスク90によって覆われるため、図10に示すように、不要光L’が撮像素子46に入光されてしまうことを確実に防止することができる。
【0100】
尚、以上、図12〜図14に示した構成は、カバーガラス72の基端面に形成される遮光膜70に対しても適用可能であり、さらに、図3〜図7に示すカバーガラス42aの前面に貼着される遮光膜に対しても適用可能である。
【符号の説明】
【0101】
2…内視鏡
9…挿入部
10…操作部
40…撮像装置
41…第1の光学部材保持枠
42…第2の光学部材保持枠
42a…カバーガラス(光学部材)
43…観察用レンズ(光学部材)
44…プリズム(光学部材)
44a…反射膜
45…保護部材
61…熱変換部材
62…熱伝達部材
D…光軸方向
I…赤外光(観察光の一部)
L…観察光
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体を撮像する撮像装置、内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像装置、例えば、内視鏡に用いられる撮像装置は、被検体内における被検部位を撮像するものであり、例えば内視鏡の挿入部の挿入方向先端側(以下、単に先端側と称す)に位置する先端部内に設けられた構成が周知である。
【0003】
また、撮像装置としては、被検部位を観察するレンズや、該レンズを保持する保持枠、レンズの光軸方向後方(以下、単に後方と称す)に設けられたプリズムや、該プリズムの出射側に設けられた被検部位の像を撮像する撮像素子等からなる構成が周知である。
【0004】
さらに、先端部内において撮像装置は、先端部を構成する先端硬質部材に固定されるが、先端硬質部材を、ポリサルフォンやPEEK等の樹脂から形成した構成が周知である。先端硬質部材を樹脂から形成すると、先端硬質部材の小型化を図ることができるとともに、型成型できるため先端硬質部材の量産性を高めることができ、さらに先端硬質部材に対して照明用レンズを一体的に形成することができるメリットがある。
【0005】
ところで、内視鏡の挿入部における先端部は、使用中または使用後、液体中に浸漬されることがある。
【0006】
例えば、膀胱内に挿入部を挿入して膀胱内の観察を行う場合には、先端部は、膀胱内の尿に浸漬された状態で使用されることがある。
【0007】
また、内視鏡の使用後、内視鏡を洗浄、消毒するため、内視鏡は、洗浄液や消毒液等の薬液に浸漬されるが、この際、当然先端部も薬液に浸漬される。
【0008】
ここで、保持枠に対してレンズが接着剤を介して接着固定され、またプリズムも接着剤を介して保持枠に接着固定され、さらに先端硬質部材がポリサルフォンやPEEK等の樹脂から形成されている場合、先端部が液体中に浸漬されてしまうと、ポリサルフォンやPEEK等の樹脂は吸湿性を有することから、先端硬質部材を介して水分が接着剤中に吸収されてしまい、該水分(湿気)が接着剤を進入路として保持枠内に進入し、レンズやプリズム等の光学部材を曇らせてしまうといった問題があった。
【0009】
また、先端硬質部が金属等の吸湿性を有さない材質で構成された場合であっても、先端硬質部の開口から内視鏡の外部に露出した撮像装置と先端硬質部との接着部や、外部に露出したレンズと保持枠との接着部等から、水分(湿気)が保持枠内に進入し、レンズやプリズム等の光学部材を曇らせてしまうといった問題があった。
【0010】
尚、このような問題は、先端部のレンズの光軸方向における短小化を図ると、光軸方向における保持枠に対するレンズの嵌合長が減少してしまうため、即ち、光軸方向における接着剤の接着長が短くなり、接着剤の塗布量が少なくなってしまうためより顕著となる。
【0011】
よって、特許文献1には、挿入部内に挿通された、被検体内に照明光を供給するライトガイドの先端の一部を保持枠に向け配置し、ライトガイドの先端からの照明光の一部を保持枠にも供給することにより保持枠を照明光により熱して、接着剤中の水分の蒸発速度を早めることによりレンズの曇りを防止する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平9−173282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ここで、挿入部の小径化を図ると、当然挿入部内に挿通されるライトガイドの本数も減少する。
【0014】
よって、特許文献1のように、ライトガイドの先端の一部を保持枠に向け配置し照明光を保持枠にも供給する構成においては、光源装置からライトガイドを介した照明光全体が被検体内に供給される構成ではないことから、照明光を被検体内に供給するためのライトガイドの本数が少なくなってしまうと、被検体内に供給される照明光の光量が大幅に少なくなってしまうといった問題があった。
【0015】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、被検体内に供給される照明光の光量を低下させることなく、簡単な構成により光学部材の曇りを防止することができる構成を具備する撮像装置、内視鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するため本発明の一態様における撮像装置は、被写体を撮像する撮像装置であって、光学部材と、前記光学部材を保持する保持部材と、前記光学部材に入射され、該光学部材を通過した前記被写体からの観察光の一部を熱に変換する熱変換部材と、前記熱変換部材によって変換された前記熱を前記保持部材に伝達する、前記熱変換部材及び前記保持部材に接続された熱伝達部材と、を具備する。
【0017】
また、本発明の一態様における内視鏡は、請求項1〜9のいずれか1項に記載の前記撮像装置を、前記被検体内に挿入される挿入部または該挿入部の挿入方向基端側に接続された操作部に有する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、被検体内に供給される照明光の光量を低下させることなく、簡単な構成により光学部材の曇りを防止することができる構成を具備する撮像装置、内視鏡を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1実施の形態の撮像装置を内視鏡の挿入部の先端部に具備する内視鏡システムを示す斜視図
【図2】図1の挿入部の先端部の内部の構成を、一部を断面にして概略的に示す斜視図
【図3】図2の撮像装置の構成を概略的に示す部分断面図
【図4】図3の撮像装置の変形例の構成を概略的に示す部分断面図
【図5】第2実施の形態の撮像装置の構成を概略的に示す部分断面図
【図6】第3実施の形態の撮像装置の構成を概略的に示す部分断面図
【図7】第4実施の形態の撮像装置の構成を概略的に示す部分断面図
【図8】撮像素子の前面にカバーガラスが貼着され、カバーガラスの前面に遮光膜が蒸着された状態を概略的に示す図
【図9】図8のカバーガラス及び遮光膜を図8中のIX方向からみた平面図
【図10】撮像素子の前面にカバーガラスが貼着され、カバーガラスの前面に外周にバリを有する遮光膜が蒸着された状態を概略的に示す図
【図11】図10のカバーガラス及び遮光膜を図10中のXI方向からみた平面図
【図12】カバーガラスの前面において遮光膜のバリによって露出された領域に、黒色の接着剤を充填した状態を示すカバーガラス及び遮光膜の平面図
【図13】カバーガラスの前面において遮光膜のバリによって露出された領域を光学的に粗くした状態を示すカバーガラス及び遮光膜の平面図
【図14】カバーガラスの前面において遮光膜のバリによって露出された領域に、メカマスクを貼着した状態を示すカバーガラス及び遮光膜の平面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0021】
(第1実施の形態)
図1は、本実施の形態の撮像装置を内視鏡の挿入部の先端部に具備する内視鏡システムを示す斜視図、図2は、図1の挿入部の先端部の内部の構成を、一部を断面にして概略的に示す斜視図、図3は、図2の撮像装置の構成を概略的に示す部分断面図である。
【0022】
図1に示すように、内視鏡システム1は、内視鏡2と、光源装置3と、ビデオプロセッサ4と、モニタ5とから主要部が構成されている。
【0023】
内視鏡2は、細長な挿入部9と、該挿入部9の挿入方向基端側(以下、単に基端側と称す)に折れ止め11を介して接続された操作部10と、該操作部10から延出されたユニバーサルケーブル17と、該ユニバーサルケーブル17の延出端に設けられたコネクタ18とを有して主要部が構成されている。
【0024】
挿入部9は、挿入方向の先端側から順に先端部6と、湾曲部7と、可撓管部8とを有して主要部が構成されている。
【0025】
また、操作部10には、挿入部9内に設けられた各種処置具が挿通される処置具チャンネルの開口部12が形成されているとともに、湾曲部7を湾曲操作する際に操作される湾曲操作ノブ16が回動自在に設けられている他、図示しない各種内視鏡操作用のスイッチ類等が設けられている。
【0026】
尚、湾曲操作ノブ16は、湾曲部7を上下方向に湾曲操作する際に操作されるUD湾曲操作ノブ14と、湾曲部7を左右方向に湾曲操作する際に操作されるRL湾曲操作ノブ15とから主要部が構成されている。
【0027】
コネクタ18は、光源装置3と接続自在となっている。尚、内視鏡2は、コネクタ18、ユニバーサルケーブル17、操作部10、挿入部9内に挿通された図示しないライトガイドを介して、光源装置3から照射された照明光を、先端部6の先端面に設けられた図示しない照明用レンズから被検体内に供給する構成を有している。
【0028】
また、コネクタ18からは、コイル状のコイルケーブル19が延出しており、該コイルケーブル19の延出端に、ビデオプロセッサ4と接続自在な電気コネクタ19aが設けられている。
【0029】
ビデオプロセッサ4は、内視鏡画像を表示するモニタ5と電気的に接続されており、内視鏡2の後述する撮像装置40(図2参照)によって光電変換された電気信号を信号処理して、画像信号としてモニタ5に出力する機能を有している。
【0030】
内視鏡2の挿入部9の先端部6は、図2に示すように、例えばポリサルフォンやPEEK等の樹脂から形成された先端硬質部材30を有している。尚、先端硬質部材30を構成する部材は樹脂に限定されず、金属であっても構わない。
【0031】
図2に示すように、先端硬質部材30は、上述した処置具チャンネルや、ライトガイド等が挿通される孔部31、32と、撮像装置40が配置される空間部33とを有している。
【0032】
孔部31,32、及び空間部33は、先端硬質部材30の挿入方向の先端(以下、単に先端と称す)から挿入方向の基端(以下、単に基端と称す)にかけて、挿入部9の挿入方向に沿って形成されている。よって、先端硬質部材30の先端面と基端面には、各孔部31,32、空間部33の開口部が形成されている。
【0033】
図3に示すように、撮像装置40は、光学部材である観察用レンズ43と、観察用レンズ43の保持部材である第1の光学部材保持枠41と、光学部材であるカバーガラス42aと、第1の光学部材保持枠41とカバーガラス42aの保持部材である第2の光学部材保持枠42と、光学部材であるプリズム44と、保護部材45と、熱変換部材61と、熱伝達部材62と、撮像素子46と、基板47と、電子部品48とを具備して主要部が構成されている。
【0034】
尚、本実施の形態においては、撮像装置40は、先端部6内に設けられている場合を例に挙げて示しているが、挿入部9の他の部位や、操作部10内に設けられていても構わない。
【0035】
観察用レンズ43は、被写体となる被検部位を観察するものであり、例えば複数のレンズから構成されている。また、観察用レンズ43は、例えば金属から形成された第1の光学部材保持枠41に対して、接着領域(嵌合領域)Aに塗布された接着剤を介して固定されることにより、第1の光学部材保持枠41に保持されている。なお、第1の光学部材保持枠41に保持されるものは、複数のレンズではなく単数のレンズでもよく、またレンズではなく例えばカバーガラス等の光学部材でもよい。
【0036】
また、観察用レンズ43の光軸方向Dの後方に、例えば金属から形成された第2の光学部材保持枠42によって保持されたカバーガラス42aが位置している。
【0037】
第2の光学部材保持枠42は、第1の光学部材保持枠41の基端側の外周と第2の光学部材保持枠42の先端側の外周の接着領域(嵌合領域)Bに塗布された接着剤41aを介して第1の光学部材保持枠41を固定保持しており、さらに接着領域(嵌合領域)Cに塗布された接着剤を介してカバーガラス42aを、固定保持している。尚、第2の光学部材保持枠42は、第1の光学部材保持枠41と一体的に形成されていても構わない。
【0038】
また、第2の光学部材保持枠42の基端側の端面に、プリズム44の先端側の面が接着されている。即ち、プリズム44も第2の光学部材保持枠42によって保持されている。尚、カバーガラス42aは、プリズム44の入射面を保護するものである。
【0039】
プリズム44に、観察用レンズ43、カバーガラス42aを介してプリズム44に入射された観察光Lの内、可視光Vを反射し赤外光Iを透過させる、または可視光Vを透過させ赤外光Iを反射する反射膜44aが設けられている。
【0040】
尚、本実施の形態においては、反射膜44aは、可視光Vを反射し赤外光Iを透過させる機能を有しているものとして以下説明する。また、可視光Vを反射し赤外光Iを透過させる反射膜44aを構成する部材としては、誘電体多層膜である既知のコールドミラー等が挙げられる。
【0041】
プリズム44の反射膜44aを透過する側の光路上、即ち赤外光Iの光路上に位置するプリズム44の透過側の出射端面、具体的にはプリズム44の図3中の傾斜面に形成された基端面に、反射膜44aを保護する保護部材45が貼着されている。尚、本実施の形態においては、保護部材45は、少なくとも赤外光の透過性を有する透光部材から構成されている。
【0042】
また、プリズム44の反射膜44aによって反射される可視光Vの光路上に位置する反射側の出射端面、具体的には、プリズム44の図3中における底面に、受光素子46aを有する撮像素子46が貼着されている。尚、撮像素子46は、先端部6の小径化を図るため、長手方向が光軸方向Dに沿うよう設けられている。
【0043】
撮像素子46は、例えばCCDやCMOSから構成されており、内部に例えばトランジスタ等のアンプを含む電子回路部46bが設けられている。尚、撮像素子46は、例えば電子回路部46bを受光素子46aと共にパッケージ化したものである。
【0044】
撮像素子46の基端側の上面に、FPCまたはTAB等から構成された基板47の先端部分が電気的に接続されている。尚、基板47の底面には、電子部品48が実装されている。
【0045】
また、基板47は、上面に複数の接続ランドを有しており、該接続ランドに、コネクタ18、ユニバーサルケーブル17、操作部10、挿入部9内に挿通された電気ケーブル23が有する複数のケーブル25の芯線25aの先端が、半田等によって電気的に接続されている。尚、電気ケーブル23は、複数のケーブル25が束ねられたものが、図示しない外装シースによって被覆されることにより構成されている。
【0046】
ここで、反射膜44aによって透過された赤外光Iの光路上、即ち、保護部材45の基端面に、観察用レンズ43、プリズム44に入射されこれらを通過した観察光の一部、具体的には、プリズム44の反射膜44aを透過し、保護部材45を通過した赤外光Iを熱に変換する熱変換部材61が接続されている。尚、熱変換部材61は、赤外光Iを吸収する部材であり、ステンレス鋼やアルミ等の高熱吸収性及び高熱伝導性を有する材料から構成されている。
【0047】
また、熱変換部材61の赤外光Iを受ける面は、梨地仕上げ等、表面粗さを粗くすることにより、赤外光Iを受ける表面積を大きくすると共に赤外光Iの反射を防止し、赤外光Iを効率よく熱に変換する構成とすることが好ましい。
【0048】
また、熱変換部材61には、先端側が第2の光学部材保持枠42に接続された熱伝達部材62の基端が接続されている。
【0049】
熱伝達部材62は、熱変換部材61によって変換された熱を第2の光学部材保持枠42に伝達するものであり、アルミ等の高熱伝導性を有する材料から構成されている。尚、熱伝達部材62の先端側は、図3の2点鎖線に示すように、第1の光学部材保持枠41に接続されていても構わない。
【0050】
このように、本実施の形態においては、プリズム44に設けられた反射膜44aは、観察光Lの内、可視光Vを反射するとともに赤外光Iを透過させると示した。
【0051】
また、プリズム44の反射膜44aの透過側の出射端面に、反射膜44aを保護する赤外光Iを透過させる保護部材45が貼着されており、該保護部材45に、先端側が第2の光学部材保持枠42に接続された熱伝達部材62の基端が接続された、保護部材45を通過した赤外光Iを熱に変換する熱変換部材61が接続されていると示した。
【0052】
このことによれば、観察用レンズ43、プリズム44に入射され、これらを通過した観察光Lの内、赤外光Iは、反射膜44aを透過し、さらに保護部材45を通過して熱変換部材61によって熱に変換され、該変換された熱が熱伝達部材62を介して第2の光学部材保持枠42に伝達されることから、第2の光学部材保持枠42及び該第2の光学部材保持枠42に接続された第1の光学部材保持枠41を熱することができる。即ち観察用レンズ43、プリズム44、カバーガラス42aを熱することができる。尚、赤外光Iは、撮像素子46を用いた通常の被検部位の観察、撮像においては、特に利用することない不要な光である。
【0053】
よって、内視鏡2の挿入部9の先端部6を液体中に浸漬させた際、接着領域A、B中の接着剤に吸収された水分を、短時間にて蒸発させることができるため、第2の光学部材保持枠42によって保持されたプリズム44やカバーガラス42a、及び第1の光学部材保持枠41によって保持された観察用レンズ43が水分の進入により曇ってしまうことを、従来の撮像装置に熱変換部材61及び熱伝達部材62を設けるのみの簡単な構成により確実に防止、抑制することができる。
【0054】
そして、熱伝達部材62及び光学部材保持枠41、42を介して伝わった熱により、光学部材保持枠41、42の内部に配設された光学部材である観察用レンズ43やカバーガラス42a、プリズム44、及び光学部材保持枠41、42の内部空間が加熱されることで、光学部材保持枠41、42内の光学部材の表面温度と空間の温度とが略均一化され、光学部材の表面の結露を防止、抑制することができ、光学部材保持枠41、42内の光学部材の曇りを簡単な構成により確実に防止、抑制することができる。
【0055】
なお、光学部材保持枠41、42の内部を加熱するために、光学部材保持枠41、42は、高熱伝導性を有する材料で構成することが望ましく、同様に光学部材保持枠41、42を接着する接着剤41aや光学部材保持枠41、42と光学部材を接着する接着剤は、高熱伝導性を有する接着剤を用いることが望ましい。
【0056】
また、第2の光学部材保持枠42及び第1の光学部材保持枠41を熱するのに、観察用レンズ43、プリズム44に入光される観察光Lにおける赤外光Iを用いることから、従来のようにライトガイドの一部を用いることがないため、挿入部9の小径化を図るため挿入部9内に挿通されるライトガイドの本数が少なくなったとしても、ライトガイドの光を全て被検体内に照射することができることから、被検体内に照射される照明光の光量が減ってしまうことがない。
【0057】
以上から、被検体内に供給される照明光の光量を低下させることなく、簡単な構成により光学部材の曇りを防止することができる構成を具備する撮像装置40、内視鏡2を提供することができる。
【0058】
尚、以下、変形例を、図4を用いて示す。図4は、図3の撮像装置の変形例の構成を概略的に示す部分断面図である。
【0059】
上述した本実施の形態においては、反射膜44aは、観察光Lの内、可視光Vを反射し赤外光Iを透過させる機能を有していると示した。
【0060】
よって、熱変換部材61は、赤外光Iの光路上における保護部材45の基端面に貼着され、撮像素子46は、プリズム44の図3中底面側に位置する可視光Vの出射端面に貼着されており、さらに撮像素子46は、先端部6の小径化を図るため、長手方向が光軸方向Dに沿って位置していると示した。
【0061】
これに限らず、図4に示すように、撮像素子46の長手方向が、光軸方向Dに直交する径方向Qに沿って配置される構成を撮像装置40が有する場合には、撮像素子46は、保護部材45の図4中の基端面に貼着され、熱変換部材61は、プリズム44の底面に貼着される。また、熱変換部材61には、上述した本実施の形態と同様に、先端側が第2の光学部材保持枠42に接続された熱伝達部材62の基端が接続されている。
【0062】
また、この構成においては、反射膜44aは、可視光Vを透過させ、赤外光Iを反射させる機能を有している。尚、可視光Vを透過させ赤外光Iを反射させる反射膜44aの部材としては、既知のホットミラー等が挙げられる。
【0063】
よって、この構成においては、プリズム44の底面は、赤外光Iの出射端面を構成し、プリズム44の基端面は、可視光Vの出射端面を構成する。また、保護部材45は、少なくとも可視光Vを透過する機能を有している。
【0064】
尚、その他の構成は、上述した実施の形態と同じである。
【0065】
このように、撮像素子46の長手方向が、光軸方向Dに直交する径方向Qに沿って配置される構成を撮像装置40が有していたとしても、反射膜44aによって反射された赤外光Iは、熱変換部材61によって熱に変換され、該熱は、熱伝達部材62によって第2の光学部材保持枠42に伝達されることから、上述した本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0066】
(第2実施の形態)
図5は、本実施の形態の撮像装置の構成を概略的に示す部分断面図である。
この第2実施の形態の撮像装置の構成は、上述した図1〜図3に示した第1実施の形態の撮像装置と比して、熱変換部材が熱伝達部材と一体的に形成されている点が異なる。よって、この相違点のみを説明し、第1実施の形態と同様の構成には同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0067】
図5に示すように、本実施の形態における撮像装置40においては、熱変換部材61と、熱伝達部材62とが一体的に設けられている。即ち、一端が第2の光学部材保持枠42に接続され他端が保護部材45に接続された、赤外光Iを熱に変換するとともに、該変換した熱を第2の光学部材保持枠42へと伝達する部材65を有している。言い換えれば、部材65は、熱変換部材61及び熱伝達部材62を兼ねている。
【0068】
尚、本実施の形態においても、部材65の一端側は、第1の光学部材保持枠41に接続されていても構わない。また、その他の構成は、上述した第1実施の形態と同様である。
【0069】
このような構成によれば、熱変換部材61と熱伝達部材62とを接合する箇所がなくなるため、接合箇所に生じていた熱抵抗をなくすことができることから、効率良く赤外光Iから変換した熱を、第2の光学部材保持枠42へと伝達することができる。
【0070】
よって、以上のことを鑑みれば、部材65は、第2の光学部材保持枠42と一体的に形成されていれば、より効率良く熱を光学部材へと伝達することができる。尚、これは、図3に示すように、熱変換部材61と熱伝達部材62とが別々に設けられている場合も同様であり、熱伝達部材62が、第2の光学部材保持枠42と一体的に形成されていれば、より効率良く熱を光学部材へと伝達することができる。
【0071】
尚、その他の効果は、上述した第1実施の形態と同じである。また、以上のことは、図4に示したように、撮像素子46の長手方向が、光軸方向Dに直交する径方向Qに沿って配置される構成を撮像装置40が有している場合においても同様である。
【0072】
(第3実施の形態)
図6は、本実施の形態の撮像装置の構成を概略的に示す部分断面図である。
この第3実施の形態の撮像装置の構成は、上述した図5に示した第2実施の形態の撮像装置と比して、熱変換部材と熱伝達部材とが一体的に形成された部材が、保護部材と一体的に形成されている点が異なる。よって、この相違点のみを説明し、第2実施の形態と同様の構成には同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0073】
図6に示すように、本実施の形態における撮像装置40においては、部材65と、保護部材45’とが一体的に設けられている。
【0074】
即ち、一端が第2の光学部材保持枠42に接続され、他端がプリズム44の赤外光Iの光路上に位置するプリズム44の透過側に出射端面、即ちプリズム44の基端面に貼着された部材67は、赤外光Iを熱に変換するとともに、該変換した熱を第2の光学部材保持枠42へと伝達する機能を有している。
【0075】
即ち、保護部材45’自体が、赤外光Iを熱に変換する機能を有している。言い換えれば、部材67は、熱変換部材、熱伝達部材、保護部材を兼ねている。よって、保護部材45’は、光透過性を有している必要がない。
【0076】
尚、本実施の形態においても、部材67の一端側は、第1の光学部材保持枠41に接続されていても構わない。また、その他の構成は、上述した第2実施の形態と同様である。
【0077】
このような構成によれば、上述した第1、第2実施の形態よりも赤外線を吸収して熱に変換する熱変換部材として機能する部材67の熱容量が大きくなることから、赤外光Iから変換された熱が少ないような場合であっても、第2の光学部材保持枠42に伝達される熱量を、第1、第2実施の形態よりも大幅に確保しやすくなる。
【0078】
尚、その他の効果は、上述した第2実施の形態と同じである。
【0079】
(第4実施の形態)
図7は、本実施の形態の撮像装置の構成を概略的に示す部分断面図である。
この第4実施の形態の撮像装置の構成は、上述した図5に示した第2実施の形態の撮像装置と比して、熱変換部材と熱伝達部材とが一体的に形成された部材が、反射膜と一体的に形成されている点と保護部材を用いない点が異なる。よって、この相違点のみを説明し、第2実施の形態と同様の構成には同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0080】
図7に示すように、本実施の形態における撮像装置40においては、保護部材45を設けずに、第2実施の形態において示した熱変換部材61と熱伝達部材62とが一体的に設けられた部材65’と反射膜44aとが部材69として一体的に設けられている。
【0081】
即ち、一端が第2の光学部材保持枠42に接続され他端がプリズム44の赤外光Iの光路上に位置するプリズム44の透過側に出射端面、即ちプリズム44の基端面に貼着された部材69は、可視光Vを反射するとともに、赤外光Iを吸収し熱に変換するとともに、該変換した熱を第2の光学部材保持枠42へと伝達する機能を有している。
【0082】
即ち、反射膜44a自体が、赤外光Iを熱に変換する機能を有している。言い換えれば、部材69は、熱変換部材、熱伝達部材、保護部材、反射膜を兼ねている。この場合、部材69の赤外光Iを受ける面は、可視光を反射し赤外光を透過する膜を表面に形成しても、表面を少なくとも可視光を反射する様に鏡面仕上げをしたミラー面としてもよい。
【0083】
尚、本実施の形態においても、部材69の一端側は、第1の光学部材保持枠41に接続されていても構わない。また、その他の構成は、上述した第2実施の形態と同様である。このような構成において、上述した第2実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0084】
また、上述した第1〜第4実施の形態においては、撮像素子46が1つ設けられた撮像装置40を例に挙げて示したが、これに限らず、1つの観察光に対し、例えば可視光による通常観察用と、特定波長光による特殊光観察用と、の様に、撮像素子が2つ以上設けられた撮像装置に対しても適用可能である。
【0085】
この際、プリズム44には、出射端面が3面以上有するものを用い、例えば出射端面の1面からは赤外光が、2面からは特殊光観察用の特定波長光が、3面からは可視光が出射されるようなプリズムを用いる。この場合、赤外光Iが出射される出射端面には、赤外光Iを熱に変換する部材を貼着し、残りの光が出射される複数の出射端面には、該出射端面に応じて撮像素子を貼着すればよい。
【0086】
さらに、上述した第1〜第4実施の形態においては、直視型の内視鏡の挿入部の先端部に用いられる撮像装置40を例に挙げて示したが、これに限らず、側視型の内視鏡の先端部に用いられる撮像装置40に適用しても構わない。
【0087】
さらに、内視鏡に設けられる撮像装置40を例に挙げて示したが、これに限らず、内視鏡以外の撮像装置40を有する部位が液体中に浸漬される他の器具にも適用可能である。例えば、イメージガイドを用い肉眼で観察する内視鏡の接眼部に接続し、観察画像をモニタに表示するための内視鏡画像表示装置に用いられる撮像装置にも適用可能である。
【0088】
図8は、撮像素子の前面にカバーガラスが貼着され、カバーガラスの前面に遮光膜が蒸着された状態を概略的に示す図、図9は、図8のカバーガラス及び遮光膜を図8中のIX方向からみた平面図である。
【0089】
また、図10は、撮像素子の前面にカバーガラスが貼着され、カバーガラスの前面に外周にバリを有する遮光膜が蒸着された状態を概略的に示す図、図11は、図10のカバーガラス及び遮光膜を図10中のXI方向からみた平面図である。
【0090】
ところで、図8に示すように、例えば撮像素子46の長手方向が、光軸方向Dに直交する径方向Qに沿って配置される構成を撮像装置40が有している場合において、撮像素子46の光軸方向Dの前面(以下、単に前面と称す)に、撮像素子46の受光素子46aを保護するカバーガラス72が貼着された構成が周知である。
【0091】
また、図8、図9に示すように、カバーガラス72の前面72fには、受光素子46aに不要光が入射され、撮像画像に不良が生じてしまうのを防ぐため、受光素子46aに不要光が入射されてしまうことを防ぐ金属製の遮光膜70が、蒸着等によって形成されているのが一般的である。
【0092】
尚、図9に示すように、遮光膜70は、受光素子46aに不要な光が入射されてしまうのを防ぐため、受光素子46aと外形形状及び大きさが略等しい外形有するとともに、前面72fにおいて、前方側から平面視した際、受光素子46aに重畳する位置に、観察光Lが通過する開口70kを有している。
【0093】
ここで、遮光膜70は、前面72fに対して金属膜を蒸着し、その後、カバーガラス72の外周面を研磨することにより形成されるが、研磨後、カバーガラス72の外周面の一部が欠けたり、遮光膜70の一部が剥げたりすることにより、遮光膜70の外周近傍に、図11に示すように、バリEが複数発生してしまうといった問題があった。
【0094】
遮光膜70にバリEが形成されてしまうと、バリEが形成された箇所は、カバーガラス72の前面72fを覆うことができなくなってしまうため、即ち、前面72fがバリEによって露出されてしまうため、図10に示すように、該箇所から不要光L’が撮像素子46に向かって入光されてしまい、該入光された光は撮像素子46の受光素子46aの外周領域に形成された金属配線や回路パターン等で反射され、反射光が受光素子46aに入光されてしまう結果、画像不良を生じさせてしまうといった問題があった。
【0095】
尚、以上の不要光L’の入光による画像不良は、先端部6を小径化する程、カバーガラス72も径が小さくなるため、バリEによる影響が大きくなる。
【0096】
以下、このような問題を解決する構成を、図12〜図14を用いて示す。図12は、カバーガラスの前面において遮光膜のバリによって露出された領域に、黒色の接着剤を充填した状態を示すカバーガラス及び遮光膜の平面図、図13は、カバーガラスの前面において遮光膜のバリによって露出された領域を光学的に粗くした状態を示すカバーガラス及び遮光膜の平面図、図14は、カバーガラスの前面において遮光膜のバリによって露出された領域に、メカマスクを貼着した状態を示すカバーガラス及び遮光膜の平面図である。
【0097】
図12に示すように、カバーガラス72の前面72fにおいて遮光膜70のバリEによって露出された領域に、黒色の接着剤80を充填すれば、カバーガラス72の前面72fは、開口70k以外は、確実に遮光膜70及び接着剤80によって覆われるため、図10に示すように、不要光L’が撮像素子46に入光されてしまうことを確実に防止することができる。
【0098】
また、図13に示すように、カバーガラス72の前面72fにおいて遮光膜70のバリEによって露出された領域を光学的に粗くした状態Fとしてしまえば、状態Fのカバーガラス72に入光する不要光L’は乱反射するため、不要光L’が撮像素子46に入光されてしまうことを確実に低減することができる。
【0099】
さらに、図14に示すように、カバーガラス72の前面72fにおいて遮光膜70のバリEによって露出された領域、即ち遮光膜70の開口70kを除く領域に、平面視した形状がリング状の開口70kよりも大きい円形の孔90cを有するメカマスク90を貼着してしまえば、前面72fにおいてバリEによって露出された領域は、メカマスク90によって覆われるため、図10に示すように、不要光L’が撮像素子46に入光されてしまうことを確実に防止することができる。
【0100】
尚、以上、図12〜図14に示した構成は、カバーガラス72の基端面に形成される遮光膜70に対しても適用可能であり、さらに、図3〜図7に示すカバーガラス42aの前面に貼着される遮光膜に対しても適用可能である。
【符号の説明】
【0101】
2…内視鏡
9…挿入部
10…操作部
40…撮像装置
41…第1の光学部材保持枠
42…第2の光学部材保持枠
42a…カバーガラス(光学部材)
43…観察用レンズ(光学部材)
44…プリズム(光学部材)
44a…反射膜
45…保護部材
61…熱変換部材
62…熱伝達部材
D…光軸方向
I…赤外光(観察光の一部)
L…観察光
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮像する撮像装置であって、
光学部材と、
前記光学部材を保持する保持部材と、
前記光学部材に入射され、該光学部材を通過した前記被写体からの観察光の一部を熱に変換する熱変換部材と、
前記熱変換部材によって変換された前記熱を前記保持部材に伝達する、前記熱変換部材及び前記保持部材に接続された熱伝達部材と、
を具備することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記熱変換部材と前記熱伝達部材とは一体的に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記熱伝達部材と前記保持枠とは一体的に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記熱変換部材によって前記熱に変換される前記観察光の一部は、赤外光であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記光学部材の光軸方向後方に、前記赤外光を透過するまたは反射する反射膜が設けられており、
前記反射膜によって透過されたまたは反射された前記赤外光の光路上に、前記熱変換部材が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記光学部材は、前記被写体を観察する観察用レンズと、該観察用レンズの光軸方向後方に位置するプリズムとを有し、
前記反射膜は、前記プリズムに設けられていることを特徴とする請求項5に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記反射膜の該反射膜を透過する側の光路上に、前記反射膜を保護する保護部材が貼着されており、
前記保護部材に、前記熱変換部材が接続されていることを特徴とする請求項6に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記保護部材と前記熱変換部材とは、一体的に形成されており、
前記保護部材は、さらに前記赤外光を前記熱に変換する機能を有していることを特徴とする請求項7に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記熱変換部材と前記反射膜とは、一体的に形成されており、
前記反射膜は、さらに前記赤外光を前記熱に変換する機能を有していることを特徴とする請求項6に記載の撮像装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の前記撮像装置を、前記被検体内に挿入される挿入部または該挿入部の挿入方向基端側に接続された操作部に有することを特徴とする内視鏡。
【請求項1】
被写体を撮像する撮像装置であって、
光学部材と、
前記光学部材を保持する保持部材と、
前記光学部材に入射され、該光学部材を通過した前記被写体からの観察光の一部を熱に変換する熱変換部材と、
前記熱変換部材によって変換された前記熱を前記保持部材に伝達する、前記熱変換部材及び前記保持部材に接続された熱伝達部材と、
を具備することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記熱変換部材と前記熱伝達部材とは一体的に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記熱伝達部材と前記保持枠とは一体的に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記熱変換部材によって前記熱に変換される前記観察光の一部は、赤外光であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記光学部材の光軸方向後方に、前記赤外光を透過するまたは反射する反射膜が設けられており、
前記反射膜によって透過されたまたは反射された前記赤外光の光路上に、前記熱変換部材が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記光学部材は、前記被写体を観察する観察用レンズと、該観察用レンズの光軸方向後方に位置するプリズムとを有し、
前記反射膜は、前記プリズムに設けられていることを特徴とする請求項5に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記反射膜の該反射膜を透過する側の光路上に、前記反射膜を保護する保護部材が貼着されており、
前記保護部材に、前記熱変換部材が接続されていることを特徴とする請求項6に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記保護部材と前記熱変換部材とは、一体的に形成されており、
前記保護部材は、さらに前記赤外光を前記熱に変換する機能を有していることを特徴とする請求項7に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記熱変換部材と前記反射膜とは、一体的に形成されており、
前記反射膜は、さらに前記赤外光を前記熱に変換する機能を有していることを特徴とする請求項6に記載の撮像装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の前記撮像装置を、前記被検体内に挿入される挿入部または該挿入部の挿入方向基端側に接続された操作部に有することを特徴とする内視鏡。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−99469(P2013−99469A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−245689(P2011−245689)
【出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(304050923)オリンパスメディカルシステムズ株式会社 (1,905)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(304050923)オリンパスメディカルシステムズ株式会社 (1,905)
【Fターム(参考)】
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