説明

撮像装置、撮像方法、及び撮像プログラム

【課題】低コストで、解像度の高い画像を撮像する撮像装置を提供する。
【解決手段】撮像装置(10)は、光を遮光する遮光板(6)と、撮像素子(1)に入射する被写体からの入射光が遮光板(6)によって所定の部分遮光される所定の撮像位置に、撮像素子(1)を遮光板に対して駆動する駆動部(3)と、撮像素子(1)が駆動部によって撮像位置に駆動されるごとに撮像によって得られる撮像素子からの情報に基づき、被写体の画素情報を算出する画素算出部(4)と、画素算出部(4)によって算出された画素情報を被写体の位置と対応付けて記憶する画素情報記憶部(7)と、を備える。撮像素子(1)は、縦方向及び横方向に配列された複数の画素情報取得領域(P(m,n))を有し、複数の画素情報取得領域(P(m,n))の各々は、被写体からの入射光を変換して1画素分の画素情報を生成するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を撮像する撮像装置、撮像方法及び撮像プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、製品や金型、治具等の形状を測定し、測定結果に基づき、調整を行うことが行われている。このような時に高解像度の固体撮像素子を搭載した撮像装置が用いられる。固体撮像素子として、CCD(Charge Coupled Device)撮像素子や、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)撮像素子等が挙げられる。
また、特許文献1には、限られた画素数の撮像素子を用いて高い解像度を得るため、受光面を振動させる固体撮像装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭60―18958号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、撮像装置の解像度は、一般的に、撮像素子の有効画素数に応じて増加する。しかし、撮像素子の有効画素数を向上するためには、通常、撮像素子が有する受光素子の数を増やす必要がありコストがかかる。一方で、受光素子の数を増やさずに比較的大きな被写体をより鮮明に撮像することを目的として、撮像する被写体を複数の部分に分割し、撮像素子を移動させながら被写体の部分ごとに複数回撮影を繰り返す方法がある。この場合、得られた画像を、相対的な位置関係を確認しながら、繋ぎ合わせる必要があるため、繋ぎ合わせる画像同士の相対的な位置関係を計算しなければならない。撮像素子の移動距離が増大すると、移動によって生じる位置ズレを考慮して、画素間の相関を計算する必要が生じるが、ここでも誤差が発生しやすくなるという課題があった。
【0005】
特許文献1に開示された固体撮像装置は、例えば、インターライン転送方式において、感光部に蓄積された信号電荷を信号ブランキング期間に垂直CCDレジスタに転送し、次のフィールド有効期間中に読み出すものであるが、解像度を向上するための詳細については教示されていない。
【0006】
そこで本発明は、上述の課題を鑑みて、低コストで、解像度の高い画像を撮像する撮像装置、及び撮像方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によると、撮像素子(1)と、光を遮光する遮光板(6)と、前記撮像素子に入射する被写体からの入射光が前記遮光板によって所定の部分遮光される所定の撮像位置に、前記撮像素子を前記遮光板に対して駆動する駆動部(2)と、前記撮像素子が前記駆動部によって前記撮像位置に駆動されるごとに撮像によって得られる前記撮像素子からの情報に基づき、前記被写体の画素情報を算出する画素算出部(4)と、前記画素算出部によって算出された画素情報を前記被写体の位置と対応付けて記憶する画素情報記憶部(7)と、を備えた撮像装置が提供される。該撮像装置において、撮像素子(1)は、縦方向及び横方向に配列された複数の画素情報取得領域(P(1,1)、〜P(i,j))を有し、前記複数の画素情報取得領域の各々は、被写体からの入射光を変換して1画素分の画素情報を生成するように構成されている。前記駆動部は、前記複数の画素情報取得領域の縦方向の少なくとも一列と横方向の少なくとも一列の画素情報取得領域の各々について、前記被写体から前記撮像素子への入射光が前記遮光板によって遮光されない状態から、前記1画素分遮光される直前の状態となるまで、前記1画素の任意の数分の1に相当する単位ずつ段階的に、前記撮像素子を駆動するように構成されており、前記画素算出部は、前記撮像位置ごとに算出した画素情報の差分から、前記被写体の画素情報を1画素より小さい単位で算出することを特徴とする、撮像装置。
【0008】
本発明の第2の態様によると、撮像素子と、光を遮光する遮光板と、を備えた撮像装置を用いて被写体を撮像する撮像方法が提供される。前記撮像素子は、縦方向及び横方向に配列された複数の画素情報取得領域(P(1,1)、〜P(i,j))を有し、前記複数の画素情報取得領域の各々は、被写体からの入射光を変換して1画素分の画素情報を生成するように構成されている。
該撮像方法は、前記撮像素子を駆動して、前記複数の画素情報取得領域の縦方向の少なくとも一列と横方向の少なくとも一列の画素情報取得領域の各々について、前記被写体から前記撮像素子への入射光が前記遮光板によって遮光されない状態から、前記1画素分遮光される直前の状態となるまで、前記1画素の任意の数分の1に相当する単位ずつ段階的に、前記撮像素子を駆動する駆動ステップ(S102)と、前記撮像素子が前記駆動ステップによって前記撮像位置に駆動されると撮像を行い、前記撮像素子が生成する信号電荷に基づいて画素情報を算出する画素算出ステップ(S104)と、前記画素算出ステップによって算出された画素情報を前記被写体の位置と対応付けて画像情報として記憶する画素情報記憶ステップ(S106)と、を含み、前記画素算出ステップは、前記撮像素子が前記駆動ステップによって駆動されるごとに撮像によって得られる前記撮像素子からの画素情報の差分に基づき、被写体の画素情報を1画素より小さい単位で算出するステップを含む。
【0009】
本発明の第3の態様によると、縦方向及び横方向に配列された複数の画素情報取得領域(P(1,1)、〜P(i,j))を有する撮像素子(1)であって、前記複数の画素情報取得領域の各々は、被写体からの入射光を変換して1画素分の信号電荷を生成する、撮像素子(1)と、光を遮光する遮光板(6)と、を制御するコンピュータに、前記撮像素子を駆動して、前記複数の画素情報取得領域の縦方向の少なくとも一列と横方向の少なくとも一列の画素情報取得領域の各々について、前記被写体から前記撮像素子への入射光が前記遮光板によって遮光されない状態から、前記1画素分遮光される直前の状態となるまで、前記1画素の任意の数分の1に相当する単位ずつ段階的に、前記撮像素子を駆動する駆動ステップ(S102)と、前記撮像素子が前記駆動ステップによって前記撮像位置に駆動されると撮像を行い、前記撮像素子が生成する信号電荷に基づいて画素情報を算出する画素算出ステップ(S104)と、前記画素算出ステップによって算出された画素情報を前記被写体の位置と対応付けて画像情報として記憶する画素情報記憶ステップ(S106)と、を実行させる撮像プログラムが提供される。前記画素算出ステップは、前記撮像素子が前記駆動ステップによって駆動されるごとに撮像によって得られる前記撮像素子からの画素情報の差分に基づき、被写体の画素情報を1画素より小さい単位で算出するステップを含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、低画素のセンサを用いて高画素を取得できる。よって、低コストで、解像度の高い画像を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施の形態に係る撮像装置の概略図である。
【図2】図1の撮像装置を構成する撮像素子の構成を示すブロック図である。
【図3】図2の撮像素子の端部を形成する画素情報取得領域と遮光板との関係を示す図である。
【図4】図2の撮像素子の最端部の画素情報取得領域の基本位置[1]における出力値と遮光板との関係を示す図である。
【図5】図2の撮像素子の最端部の画素情報取得領域の移動位置[2]における出力値と遮光板との関係を示す図である。
【図6】図2の撮像素子の最端部の画素情報取得領域の移動位置[3]における出力値と遮光板との関係を示す図である。
【図7】図2の撮像素子の最端部の画素情報取得領域の移動位置[4]における出力値と遮光板との関係を示す図である。
【図8】図2の撮像素子の最端部の画素情報取得領域と得られた被写体の画素情報との、移動位置[9]における関係を示す図である。
【図9】図2の撮像素子の複数の画素情報取得領域の基本位置[1]における出力値と遮光板との関係を示す図である。
【図10】図2の撮像素子の移動と、取得可能な画素情報との関係を示す図である。
【図11】図2の撮像素子の最上部を構成する複数の画素情報取得領域の基本位置[1]、移動位置[2]、移動位置[3]における出力値と得られる被写体の画素情報との関係を示す図である。
【図12】図2の撮像素子の最上部を構成する複数の画素情報取得領域と得られた被写体の画素情報との基本位置[3]における関係を示す図である。
【図13】図2の撮像素子の最左部を構成する複数の画素情報取得領域の移動位置[7]における出力値と得られる被写体の画素情報との関係を示す図である。
【図14】図2の撮像素子の最上部を構成する複数の画素情報取得領域と得られた被写体の画素情報との移動位置[6]、移動位置[9]における関係を示す図である。
【図15】図2の撮像素子の中央部の画素情報取得領域によって被写体の画素情報を取得する処理を説明する図である。
【図16】図2の撮像素子によって取得された被写体の画素情報を示す図である。
【図17】図2の撮像装置が実行する画像を撮像する処理のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1及び図2を参照して、本発明の実施の形態に係る撮像装置の概略について説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施の形態に係る撮像装置の概略図であり、図2は、本実施の形態に係る撮像装置を構成する撮像素子の構成を示すブロック図である。
【0014】
図1に示す撮像装置10は、被写体5を撮影して電気信号に変換する撮像素子1を含む撮像部2と、撮像素子1を駆動する駆動部3と、撮像素子1、撮像部2、駆動部3とを制御する制御部4と、撮像部2によって撮像された被写体5の画像データを記憶する記憶部7と、画像データに基づいて被写体5の画像を表示する表示部8と、を含む。
【0015】
撮像部2は、撮像素子1の他、被写体からの光を撮像素子1に結像させる、図示されていない撮像レンズを含む。撮像素子1は、撮像レンズによって結像される被写体5からの入射光を電気信号に変換する。撮像素子1は、撮像レンズによって自身に投影されて結像される被写体5の像5’(以後、「被写体像」と呼ぶ)を光電変換する受光素子を複数備えたCCD(Charge Coupled Device)撮像素子や、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)撮像素子などによって構成される。撮像部2は撮像手段の機能を有する。
【0016】
駆動部3は、撮像素子1を被写体5に対して、受光素子の1辺の寸法の数分の一に相当する距離の単位で駆動する。駆動部3は、撮像素子1を被写体5に対して、受光素子の1辺の寸法の数分の一に相当する距離の単位で駆動することができる精度が要求されるため、例えば、圧電素子などを用いたアクチュエータが好ましい。
【0017】
本実施の形態では、制御部4と記憶部7と表示部8とは、コンピュータ9の一部である。制御部4は、図示を省略するが、撮像装置1が各種機能を実行するためのプログラムが記憶されたROM(Read Only Memory)と、ROMに記憶されたプログラムを実行して、撮像装置1の各種機能を実行するCPU(Central Processing Unit)と、CPUが各種の処理を実行する上において必要なデータなどが適宜記憶されるRAM(Random Access Memory)などとによって構成される。
【0018】
撮像素子1と被写体5との間には、撮像素子1の最端部を形成する少なくとも2辺が部分的に遮光されるように形成されたL字型の遮光板6が配置される。遮光板6は遮光手段の機能を有する。なお、図1に示す遮光板6の被写体5に対する位置は一例に過ぎず、遮光板6は、撮像素子1の最端部を形成する少なくとも2辺を部分的に遮光するために適当であれば、この他の位置に配置してもよい。また、遮光板6の形状は、後に詳述するが、撮像素子1の最端部の形状に合わせ、撮像素子1の最端部を形成する2辺を正確に、縦方向及び横方向に、例えば、それぞれ1画素の任意の数分の一(例えば、3分の1、2など)の単位(以後、「サブピクセル」とも呼ぶ)に相当する領域を遮光できるのであれば、L字型以外の形状でもよい。
【0019】
制御部4は、駆動部3を制御して撮像部2を駆動し、撮像素子1から出力される電気信号を処理して、画像データを生成し、生成した画像データを記憶部7に記憶する。さらに制御部4は、生成した画像データに基づいて表示部8に撮像部2が撮像した画像を表示する。また、制御部4は、撮像素子1から出力される電気信号を処理する際に、後述する演算処理を実行する。
【0020】
表示部8は、液晶ディスプレイなどによって構成される。記憶部7は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)とROM(Read Only Memory)、ハードディスクなどによって構成される。
【0021】
[撮像素子の構成]
次に、図2を参照して、撮像素子1について説明する。撮像素子1は、二次元に配列された複数の受光素子から構成されている。受光素子の各々は所定の面積を有する受光面を含む。受光素子の各々は、この受光面に入射光を受光すると光電変換を実行して、受光面あたりの受光量に応じて、1画素に相当する信号電荷を生成する。この受光素子の各々が有する受光面を、以後、「画素情報取得領域」と呼ぶ。このため、この受光素子を二次元に配列して形成される撮像素子1が有する受光面全体は、受光素子ごとに、各々が1画素に相当する信号電荷を発生する複数の画素情報取得領域に分割することができる。
【0022】
図2に示すように、撮像素子1の受光面を形成する画素情報取得領域の数によって撮像素子1の総画素数は決定される。例えば、i、jを任意の自然数とすると、横方向に配設された画素情報取得領域の数、すなわち、横画素数をi、縦方向に配設された画素情報取得領域の数、すなわち、数縦画素数をjとすると、この撮像素子1の総画素数はi×jとなる。また、画素情報取得領域は、受光素子の受光面に相当する。
【0023】
すなわち、撮像素子1は、受光素子A(1,1)、A(2,1)、A(3,1)、・・・・、A(1,2)、・・・A(1,3)、・・・、A(i,j)を有する。受光素子A(1,1)、A(2,1)、A(3,1)、・・・・、A(1,2)、・・・A(1,3)、・・・、A(i,j)の各々が形成する画素情報取得領域をそれぞれ、画素情報取得領域P(1,1)、P(2,1)、P(3,1)、・・・・、P(1,2)、・・・P(1,3)、・・・、P(i,j)として表す。
【0024】
画素情報取得領域は各々1画素に相当する信号電荷を発生するので、撮像素子1において画素情報取得領域が配置されている場所を示す情報を、以後、「画素アドレス」と呼ぶ。左上端部を基準とすると、左上端部より横方向に配設された画素情報取得領域の位置を示す情報、すなわち、画素アドレスは(1、1)、(2、1)、・・・、(i、1)となり、左上端部より下の画素アドレスは(1、1)、(1、2)、・・・、(1、j)となる。さらに、最右下端部の画素アドレスは(i,j)で表され、他の画素情報取得領域の位置も図2に示すように表される。なお、後述する被写体の像5’の画素情報は、後述する移動位置[9]に撮像素子1が位置する時の画素アドレスで表す。
【0025】
[撮像処理]
このようにして構成された撮像素子1が、被写体を効率的に撮像する処理について、以下、図3から図16を参照して説明する。
【0026】
まず、撮像素子1が撮像する被写体5の上に遮光板6を、撮像素子1の最端部を形成する少なくとも2辺が部分的に遮光されるように設定する。なお、図1に示す遮光板6の被写体5に対する位置は一例に過ぎず、遮光板6は、撮像素子1の最端部を形成する少なくとも2辺を部分的に遮光するために適当であれば、この他の位置に配置してもよい。遮光板6は、撮像素子1の最端部を形成する少なくとも2辺を部分的に遮光する。本実施の形態では、被写体5と遮光板6は固定されており、撮像素子1は、駆動部3によって、被写体5と遮光板6に対して独立して移動する。
【0027】
図3に、最初に被写体5を遮光板6で覆う際に遵守すべき、遮光板6と、撮像素子1の端部を形成する画素情報取得領域と、撮像素子1に結像される被写体像5’との間の位置関係を示す。
【0028】
図3(1)に示すように、遮光板6は、撮像素子1の最端部を形成する少なくとも2辺を部分的に遮光するように設定する。図3(1)に、撮像素子1の最左上端部の画素情報取得領域P(1,1)と遮光板6との関係を拡大してより詳細に示す。撮像素子1の実線で囲まれた部分が撮像素子1の最左上端部の画素情報取得領域P(1,1)を表している。画素情報取得領域P(1,1)は、撮像素子1の最左上端部に入射する光を受光すると、1画素分に相当する画素を取得して出力するようになっている。図3(1)に示す位置において、遮光板6は、画素情報取得領域P(1,1)に入射する光のうち、上端部及び左端部のそれぞれ1画素の3分の2相当が遮光されるように配置されている。このため、画素情報取得領域P(1,1)は、実際には1画素の9分の1相当のサブピクセル単位の画素情報を出力することになる。
【0029】
同様に、L字型の遮光板6は、撮像素子1に結像される被写体像5’のうち、撮像素子1の2辺に相当する画素情報取得領域P(1,1)以外の画素情報取得領域に対しても、縦方向及び横方向にそれぞれ1画素の3分の2相当が遮光されるように配置される。この結果、図3(2)に示す位置において、遮光板6は同様に、最端部の縦方向及び横方向の2辺を形成する画素情報取得領域、すなわち、上端部の画素情報取得領域P(1,1)、P(2,1)、P(3,1)、・・・・、P(i,1)、及び左端部の画素情報取得領域P(1,1)、P(1,2)、P(1,3)、・・・・、P(1,j)に対しても、上端部及び左端部に入射する光のうち、それぞれ1画素の3分の2相当を遮光する。従って、画素情報取得領域P(2,1)、P(3,1)、・・・・、P(i,1)、及び画素情報取得領域P(1,2)、P(1,3)、・・・・、P(1,j)は、実際には1画素の3分の1相当のサブピクセル単位の画素情報を出力することになる。
【0030】
続いて、本実施の形態の撮像処理について説明する。本実施の形態では、駆動部3を制御して、撮像素子1を、本紙面の右方向及び下方向に1画素の3分の1に相当する距離ごとにシフトして被写体5を撮影する処理を、それぞれ1画素に相当する距離まで繰り返して被写体5を撮影する。
【0031】
<最端部の画素情報取得領域に着目した処理>
まず、理解を容易にするため、被写体像5’と遮光板6に対する撮像素子1の動作と、撮像素子1からの出力値との関係を、最端部の画素情報取得領域P(1,1)に着目して説明する。
【0032】
まず、撮像素子1の最端部を形成する2辺に対して、それぞれ1画素の3分の2のサブピクセルに相当する領域を遮光板6によって遮光した状態で撮像をする。この時の撮像素子1の被写体5に対する位置を基本位置[1]とする。本実施の形態では、撮像素子1の最端部を形成する2辺を構成する画素情報取得領域がそれぞれ、縦方向の少なくとも一列の画素情報取得領域と、横方向の少なくとも一列の画素情報取得領域を構成し、最端部の画素情報取得領域P(1,1)が、横方向に配列された一列と縦方向に配列された一列の交わる画素情報取得領域を構成する。
【0033】
以下の処理では、最端部の画素情報取得領域P(1,1)を3×3、すなわち、9分割して、点線で示す網目状に形成されたサブピクセルの小領域に着目して考える。
駆動部3は、点線で示す網目状に形成された小領域のほぼ全てが、遮光されていない状態と遮光された状態とをとるまで、撮像素子1を遮光板6に対して1画素の9分の一に対応する単位で縦方向と横方向に駆動する。
【0034】
結果として、横方向には、最端部の画素情報取得領域P(1,1)を除く、縦方向に配列された一列の画素情報取得領域の各々が遮光されていない状態から1画素に相当する領域分が遮光される直前の状態をとるまで、
縦方向には、最端部の画素情報取得領域P(1,1)を除く、横方向に配列された一列の画素取得領の各々が遮光されていない状態から1画素に対応する領域分が遮光される直前の状態をとるまで、撮像素子1を遮光板6に対して1画素の9分の一に対応する単位で移動する。
【0035】
ここでは理解を容易にするため、一列の画素情報取得領域の各々が、「遮光されていない状態から1画素に相当する領域分が遮光される直前の状態まで」撮像素子1を遮光板6に対して駆動すると表現したが、本発明はこれに限定されない。例えば、本実施の形態では、駆動部3は、一列の画素情報取得領域の各々が「1画素に相当する領域分が遮光される直前の状態から遮光されていない状態になるまで」撮像素子1を遮光板6に対して縦方向と横方向に駆動するものとして説明する。縦方向及び横方向に配列された一列の画素取得領において、どの画素情報取得領域から「遮光されていない状態から1画素に相当する領域分が遮光される直前の状態になるまで」又は、「1画素に相当する領域分が遮光される直前の状態から遮光されていない状態になるまで」駆動部3が撮像素子1を遮光板6に対して駆動するかは任意としてよい。そのため、本明細書において、「遮光されていない状態から1画素に相当する領域分が遮光される直前の状態まで」という表現は、時間的な順序の限定を意図するものではないものとする。
【0036】
図4は、基本位置[1]における遮光板6に対する撮像素子1の位置と、撮像素子1からの出力値との関係を、最端部の画素情報取得領域P(1,1)に着目して示した図である。このように最端部の画素情報取得領域P(1,1)の上部と左部がそれぞれ1画素分3分の2に相当する領域が遮光板6によって遮光された状態で撮像を行う。
画素情報取得領域P(1,1)の出力値をa(1,1)として記憶部7に記憶する。さらに、この時の画素情報取得領域P(1,1)の出力値a(1,1)を被写体像5’の左上最端部の領域の画素値A(1,1)として記憶部7に記憶する。
【0037】
続いて、撮像素子1を基本位置[1]から右方向に被写体像5’と遮光板6に対して、画素情報取得領域P(1,1)の1画素の3分の1画素分に相当する距離シフトして撮像する。この時の撮像素子1の被写体像5’及び遮光板6に対する位置を移動位置[2]とする。
【0038】
図5は、このように撮像素子1を基本位置[1]から右方向に、撮像素子1に結像される被写体像5’が画素情報取得領域P(1,1)の1画素に対して、3分の1画素分に相当する距離hシフトするように移動した時の撮像素子1と被写体の像5’との関係を、画素情報取得領域P(1,1)に着目して示した図である。3分の1画素分に相当する距離hは、受光素子の寸法よりも小さい。また、図5における画素情報取得領域P(1,1)の遮光された遮光部位の面積は、3分の1画素分に相当する距離h移動した分だけ、図4における画素情報取得領域P(1,1)の遮光された遮光部位の面積より少ない。すなわち、図5における画素情報取得領域P(1,1)の受光面の面積は、3分の1画素分に相当する距離h移動した分だけ、図4における画素情報取得領域P(1,1)の受光面の面積より大きくなっている。この受光面の面積の差分を利用して、サブピクセルの単位の画素値を算出していく。
【0039】
具体的には、この時の画素情報取得領域P(1、1)の出力値b(1,1)を記憶部7に記憶する。さらに、
(1,1)−a(1,1)=B(1,1)として、
この値B(1,1)を撮影して得られた被写体像5’の左上最端部から右方向に2番目の領域の画素値B(1,1)として記憶部7に記憶する。
【0040】
続いて、撮像素子1を移動位置[2]から右方向に、撮像素子1に結像される被写体像5’が最端部の画素情報取得領域P(1,1)の1画素について、さらに3分の1画素分に相当する距離シフトするようにして撮像する。この時の撮像素子1の被写体5に対する位置を移動位置[3]とする。
【0041】
図6は、移動位置[3]における撮像素子1と被写体の像5’との関係を画素情報取得領域P(1,1)に着目して示した図である。
【0042】
この時の画素情報取得領域P(1、1)の出力値をc(1,1)として記憶部7に記憶する。さらに、
(1,1)−(A(1,1)+B(1,1))=C(1,1)として、
この値C(1,1)を撮影した被写体像5’の左上最端部から右方向に3番目の領域の画素値C(1,1)として記憶部7に記憶する。
続いて、撮像素子1を再び基本位置[1]に戻し、最端部画素の1画素に対して下方向に3分の1画素分シフトして撮像する。
【0043】
図7は、撮像素子1を基本位置[1]から下方向に、画素情報取得領域P(1,1)の1画素について、3分の1画素分に相当する距離シフトした時の撮像素子1と被写体の像5’との関係を画素情報取得領域P(1,1)に着目して示した図である。この時の撮像素子1の被写体5に対する位置を移動位置[4]とする。
【0044】
この時の画素情報取得領域P(1、1)の出力値をd(1,1)として記憶部7に記憶する。さらに、
(1,1)−A(1,1)=D(1,1)として、
この値D(1,1)を撮影した被写体像5’の左上最端部から下方向に2番目の領域の画素値D(1,1)として記憶部7に記憶する。
続いて、撮像素子1を移動位置[4]から右方向にさらに画素情報取得領域P(1,1)の1画素の3分の1画素分に相当する距離シフトして撮像する。
【0045】
図示は省略するが、撮像素子1を移動位置[4]から右方向にさらに画素情報取得領域P(1,1)の1画素の3分の1画素分に相当する距離シフトした位置を移動位置[5]とする。
この時の画素情報取得領域P(1、1)の出力値をe(1,1)として記憶部7に記憶する。さらに、
(1,1)−(A(1,1)+B(1,1)+D(1,1))=E(1,1)として、
この値E(1,1)を撮影した被写体像5’の左上最端部から右方向に2番目、下方向に2番目の領域の画素値E(1,1)として記憶部7に記憶する(図8を参照)。
続いて、撮像素子1を移動位置[5]から右方向にさらに3分の1画素分シフトして撮像する。
【0046】
図示は省略するが、撮像素子1を移動位置[5]から右方向にさらに画素情報取得領域P(1,1)の1画素の3分の1画素分に相当する距離シフトした位置を移動位置[6]とする。
この時の画素情報取得領域P(1、1)の出力値をf(1,1)として記憶部7に記憶する。さらに、
(1,1)−(A(1,1)+B(1,1)+C(1,1)+D(1,1)+E(1,1))=F(1,1)として、
この値F(1,1)を撮影した被写体像5’の左上最端部から右方向に3番目、下方向に2番目の領域の画素値F(1,1)として記憶部7に記憶する(図8を参照)。
続いて、撮像素子1を基本位置[1]に戻し、基本位置[1]から下方向にさらに3分の2画素分シフトして撮像する。
【0047】
図示は省略するが、撮像素子1を基本位置[1]から下方向にさらに画素情報取得領域P(1,1)の1画素の3分の2画素分に相当する距離シフトした位置を移動位置[7]とする。
この時の画素情報取得領域P(1、1)の出力値をg(1,1)として記憶部7に記憶する。さらに、
(1,1)−(A(1,1)+D(1,1))=G(1,1)として、
この値G(1,1)を撮影した被写体像5’の左上最端部から下方向に3番目の領域の画素値G(1,1)として記憶部7に記憶する(図8を参照)。
【0048】
同様に、図示は省略するが、撮像素子1を移動位置[7]から右方向にさらに画素情報取得領域P(1,1)の1画素の3分の1画素分に相当する距離シフトして撮像する。この時の撮像素子1の被写体5に対する位置を移動位置[8]とする。
この時の画素情報取得領域P(1、1)の出力値をg(1,1)として記憶部7に記憶する。さらに、
(1,1)−(A(1,1)+B(1,1)+D(1,1)+E(1,1)+G(1,1))=H(1,1)として、
この値H(1,1)を撮影した被写体像5’の左上最端部から右方向に2番目、下方向に3番目の領域の画素値H(1,1)として記憶部7に記憶する(図8を参照)。
【0049】
さらに、撮像素子1を移動位置[8]から右方向に画素情報取得領域P(1,1)の1画素の3分の1画素分に相当する距離シフトして撮像する。この時の撮像素子1の被写体5に対する位置を移動位置[9]とする。
この時の画素情報取得領域P(1、1)の出力値をk(1,1)として記憶部7に記憶する。さらに、
(1,1)−(A(1,1)+B(1,1)+C(1,1)+D(1,1)+E(1,1)+F(1,1)+G(1,1)+H(1,1))=K(1,1)として、
この値K(1,1)を撮影した被写体像5’の左上最端部から右方向に3番目、下方向に3番目の領域の画素値K(1,1)として記憶部7に記憶する。
図8は、このようにして、撮像素子1を基本位置[1]から移動位置[2]〜移動位置[8]を経て移動位置[9]にシフトした時の撮像画素1と得られた被写体の像5’の画素情報、すなわち、画素値との関係を画素情報取得領域P(1,1)に着目して示した図である。なお、被写体の像5’の画素情報は、撮像素子1が移動位置[9]に位置する時の画素アドレスで表している。
【0050】
このようにして、撮像素子1の最端部に位置する、1画素に相当する画素情報取得領域P(1、1)を用いて、被写体5’の最端部の画素情報を構成する1画素の9分の一に相当のサブピクセルの情報画素値A(1,1)、B(1,1)、C(1,1)、D(1,1)、E(1,1)、F(1,1)、G(1,1)、H(1,1)、K(1,1)を得ることができる。すなわち、1画素分の画素情報取得領域P(1、1)を用いて略9倍の解像度の画素情報を得ることができる。
<他の画素情報取得領域の処理>
【0051】
さらに、上述の[1]〜[9]の位置での撮影時に、最端部の画素情報取得領域P(1,1)以外の画素情報取得領域も、それぞれ、対応する被写体5’の画素情報を同時に取得することができる。以下、画素情報取得領域P(1、1)以外の、画素情報取得領域P(2、1)、P(3、1)、P(1、2)、P(2、2)、P(3、2)、P(1、3)、P(1、3)、P(1、3)、・・・が同様の画素情報を取得する処理について説明する。
【0052】
図9に示すように、基本位置[1]の時に、画素情報取得領域P(1、1)、P(2、1)、P(3、1)、P(1、2)、P(2、2)、P(3、2)、P(1、3)、P(2、3)、P(3、3)、・・・からの出力値を、a(1,1)、a(2,1)、a(3,1)、a(1,2)、a(2,2)、a(3,2)、a(1,3)、a(2,3)、a(3,3)、・・・として、記憶部7に記憶する。
【0053】
図10に示すように、撮像素子1を基本位置[1]から、被写体5と遮光板6に対して右方向に、移動位置[2]、[3]へ移動することによって、同様の手法で、被写体像5’の最上部画素を取得することができる。同様に、撮像素子1を被写体5と遮光板6に対して下方向に、移動位置[4]、[5]へ移動することによって、同様の手法で、被写体像5’の最左部画素を取得することができる。さらに、移動位置[6]〜[9]へと移動することによって、同様の手法で、このようにして取得した最上部画素と最左部画素の情報に基づいて、被写体像5’の中央部画素の情報を取得することができる。
【0054】
以下、被写体像5’の全体の画素情報を取得する場合について、被写体像5’の最上部画素の情報を取得する場合、被写体像5’の最左部画素の情報を取得する場合、及び被写体5の中央部画素の情報を取得する場合に分けて説明する。
<最上部画素の情報の取得>
【0055】
図11及び図12を参照して、画素情報取得領域P(1、1)、P(2、1)、P(3、1)、・・・に着目して、それぞれの画素情報取得領域P(1、1)、P(2、1)、P(3、1)、・・・の内部の最上部画素の情報を含む、被写体像5’の最上部画素の情報を取得する方法を説明する。
【0056】
図11(1)に示すように、基本位置[1]の時の画素情報取得領域P(1、1)、P(2、1)、P(3、1)からの出力値を、画素情報取得領域P(1、1)の画素情報はA(1,1)とするので、A(1,1)、a(2,1)、a(3,1)として記憶部7に記憶する。
【0057】
続いて、図11(2)に示すように、移動位置[2]の時の画素情報取得領域P(1、1)、P(2、1)、P(3、1)からの出力値を、画素情報取得領域P(1、1)の画素情報は、既に説明した方法A(1,1)、B(1,1)と求められるので、A(1,1)、B(1,1)、b(2,1)、b(3,1)として記憶部7に記憶する。
【0058】
続いて、図11(3)に示すように、移動位置[3]の時の画素情報取得領域P(1、1)、P(2、1)、P(3、1)からの出力値を、画素情報取得領域P(1、1)の画素情報は、既に説明した方法でA(1,1)、B(1,1)、C(1,1)と求められるので、A(1,1)、B(1,1)、C(1,1)、c(2,1)、c(3,1)として記憶部7に記憶する。
【0059】
以上から、画素情報取得領域P(2,1)の最上部の画素情報は、
(2,1)−(B(1,1)+C(1,1))=A(2,1)
(2,1)−(C(1,1)+A(2,1))=B(2,1)
(2,1)−(A(1,1)+B(2,1))=C(2,1)、として算出される。これらの値は記憶部7に記憶される。
【0060】
同様に、画素情報取得領域P(3、1)以降の最上部の画素情報取得領域P(3、1)、P(4、1)、・・・、の画素情報は、画素情報取得領域P(1、1)、P(2、1)、P(3、1)、・・・からの出力値から、以下のように算出される。これらの値は記憶部7に記憶される。
(m,1)−(B(m−1,1)+C(m−1,1))=A(m,1)
(m,1)−(C(m−1,1)+A(m,1))=B(m,1)
(m,1)−(A(m,1)+B(m,1))=C(m,1) ・・・式1
として算出される。ただし、mは任意の自然数とする。これらの値は記憶部7に記憶される。
このようにして取得した値を図12に示す。
【0061】
<最左部画素の情報の取得>
画素情報取得領域P(1、1)、P(1、2)、P(1、3)、・・・に着目して、それぞれの画素情報取得領域P(1、1)、P(1、2)、P(1、3)、・・・の内部の最左部画素の情報から、被写体像5’の最左部画素の情報を取得する方法を説明する。
【0062】
基本位置[1]の時の画素情報取得領域P(1、1)、P(1、2)、P(1、3)、・・・からの出力値を、a(1、1)、a(1、2)、a(1、3)、・・とする。撮像素子1を移動位置[1]から下方向に3分の1画素分ずつ移動位置[4]、移動位置[7]とシフトと撮像を繰り返し、画素情報取得領域P(1、1)、P(1、2)、P(1、3)、・・・からの出力値に基づいて、最上部画素の情報の取得と同様の手法で、最左部画素の情報を取得することができる。途中の式を省略すると、この結果、各々の画素情報取得領域の最左部画素は以下のように求まる。ただし、nは任意の自然数とする。これらの値は記憶部7に記憶される。
(1、n)−(D(1、n−1)+G(1、n−1))=A(1、n)
(1、n)−(G(1、n−1)+A(1、n))=D(1、n)
(1、n)−(A(1、n)+D(1、n))=G(1、n)
このようにして取得した値を図13に示す。
【0063】
<中央部画素の情報の取得>
図14を参照して、画素情報取得領域P(1、1)、P(2、1)、P(3、1)、・・・に着目して、それぞれの画素情報取得領域P(1、1)、P(2、1)、P(3、1)、・・・の内部の中央部画素の情報を含む、被写体像5’の中央部画素の情報を取得する方法を説明する。
撮像素子を移動位置[3]から下方向に3分の1画素分に相当する距離シフトして、移動位置[6]で撮像した、画素情報取得領域P(1、1)、P(2、1)、P(3、1)、・・・からの出力値に基づいて、最上部画素の情報の取得と同様の手法で式1より、画素情報取得領域P(1、1)、P(2、1)、P(3、1)、・・・のD〜Fの情報を取得することができる。
(m、1)−(B(m−1、1)+C(m−1、1)+E(m−1、1)+F(m−1、1)+A(m、1))=D(m、1)
(m、1)−(C(m−1、1)+F(m−1、1)+A(m、1)+B(m、1)+D(m、1))=E(m、1)
(m、1)−(A(m、1)+B(m、1)+C(m、1)+D(m、1)+E(m、1))=F(m、1)
こうして算出した値を記憶部7に記憶する。
このようにして取得した値を図14(1)に示す。
【0064】
さらに、撮像素子を移動位置[6]から下方向に3分の1画素分に相当する距離シフトして、移動位置[9]で撮像した、画素情報取得領域P(1、1)、P(2、1)、P(3、1)、・・・からの出力値に基づいて、最上部画素の情報の取得と同様の手法で式1より、画素情報取得領域P(1、1)、P(2、1)、P(3、1)、・・・のG〜Kの情報を取得することができる。
(m、1)−(B(m−1、1)+C(m−1、1)+E(m−1、1)+F(m−1、1)+H(m−1、1)+K(m−1、1)+A(m、1)+D(m、1))=G(m、1)
(m、1)−(C(m−1、1)+F(m−1、1)+K(m−1、1)+A(m、1)+B(m、1)+D(m、1)+E(m、1)+G(m、1))=H(m、1)
(m、1)−(A(m、1)+B(m、1)+C(m、1)+D(m、1)+E(m、1)+F(m、1)+G(m、1)+H(m、1))=K(m、1)
こうして算出した値を記憶部7に記憶する
このようにして取得した値を図14(2)に示す。
【0065】
さらに、撮像素子1の中央部に位置する画素情報取得領域の画素の情報から、被写体像5’の中央部画素の情報を取得する方法について、画素情報取得領域P(2、2)のサブピクセル情報を取得する場合を例に説明する。画素情報取得領域P(2、2)のサブピクセル情報は、基本位置[1]、移動位置[2]〜[9]において、a(2、2)〜k(2、2)を取得することによって、既に記憶部7に記憶されているものとする。
【0066】
基本位置[1]、移動位置[2]〜[9]で求められた情報から、最上部、最左部の情報も図15に示すように求められており、記憶部7に記憶されている。
【0067】
そして、図15に示すように、基本位置[1]における、画素情報取得領域P(2,2)からの出力値a(2、2)から、A(2、2)は以下のようにして求められる。
(2、2)−(E(1、1)+F(1、1)+H(1、1)+K(1、1)+D(2、1)+G(2、1)+B(1、2)+C(1、2))=A(2、2)
同様に、基本位置[2]における、画素情報取得領域P(2,2)からの出力値b(2、2)から、B(2、2)は以下のようにして求められる。
(2、2)−(F(1、1)+K(1、1)+D(2、1)+E(2、1)+G(2、1)+H(2、1)+C(1、2)+A(2、2))=B(2、2)
同様に、基本位置[3]における、画素情報取得領域P(2,2)からの出力値c(2、2)から、C(2、2)は以下のようにして求められる。
(2、2)−(D(2、1)+E(2、1)+F(2、1)+G(2、1)+H(2、1)+K(2、1)+A(2、2)+B(2、2))=C(2、2)
同様に、基本位置[4]における、画素情報取得領域P(2,2)からの出力値d(2、2)から、D(2、2)は以下のようにして求められる。
(2、2)−(H(1、1)+K(1、1)+G(2、1)+B(1、2)+C(1、2)+E(1、2)+F(1、2)+A(2、2))=D(2、2)
同様に、基本位置[5]における、画素情報取得領域P(2,2)からの出力値e(2、2)から、E(2、2)は以下のようにして求められる。
(2、2)−(K(1、1)+G(2、1)+H(2、1)+C(1、2)+F(1、2)+A(2、2)+B(2、2)+D(2、2))=E(2、2)
同様に、基本位置[6]における、画素情報取得領域P(2,2)からの出力値f(2、2)から、F(2、2)は以下のようにして求められる。
(2、2)−(G(2、1)+H(2、1)+K(2、1)+A(2、2)+B(2、2)+C(2、2)+D(2、2)+E(2、2))=F(2、2)
同様に、基本位置[7]における、画素情報取得領域P(2,2)からの出力値g(2、2)から、G(2、2)は以下のようにして求められる。
(2、2)−(B(1、2)+C(1、2)+E(1、2)+F(1、2)+K(1、2)+H(1、2)+A(2、2)+D(2、2))=G(2、2)
同様に、基本位置[8]における、画素情報取得領域P(2,2)からの出力値h(2、2)から、H(2、2)は以下のようにして求められる。
(2、2)−(C(1、2)+F(1、2)+K(1、2)+A(2、2)+B(2、2)+D(2、2)+E(2、2)+G(2、2))=H(2、2)
同様に、基本位置[9]における、画素情報取得領域P(2,2)からの出力値k(2、2)から、K(2、2)は以下のようにして求められる。
(2、2)−(A(2、2)+B(2、2)+C(2、2)+D(2、2)+E(2、2)+F(2、2)+G(2、2)+H(2、2))=K(2、2)
【0068】
よって画素情報取得領域P(m、n)のサブピクセルの情報a(m、n)〜k(m、n)から以下のようにして被写体像5’画素値を算出できる。
(m、n)−(E(m−1、n−1)+F(m−1、n−1)+H(m−1、n−1)+K(m−1、n−1)+D(m、n−1)+G(m、n−1)+B(m−1、n)+C(m−1、n))=A(m、n)
(m、n)−(F(m−1、n−1)+K(m−1、n−1)+D(m、n−1)+E(m、n−1)+G(m、n−1)+H(m、n−1)+C(m−1、n)+A(m、n))=B(m、n)
(m、n)−(D(m、n−1)+E(m、n−1)+F(m、n−1)+G(m、n−1)+H(m、n−1)+K(m、n−1)+A(m、n)+B(m、n))=C(m、n)
(m、n)−(H(m−1、n−1)+K(m−1、n−1)+G(m、n−1)+B(m−1、n)+C(m−1、n)+E(m−1、n)+F(m−1、n)+A(m、n))=D(m、n)
(m、n)−(K(m−1、n−1)+G(m、n−1)+H(m、n−1)+C(m−1、n)+F(m−1、n)+A(m、n)+B(m、n)+D(m、n))=E(m、n)
(m、n)−(G(m、n−1)+H(m、n−1)+K(m、n−1)+A(m、n)+B(m、n)+C(m、n)+D(m、n)+E(m、n))=F(m、n)
(m、n)−(B(m−1、n)+C(m−1、n)+E(m−1、n)+F(m−1、n)+H(m−1、n)+K(m−1、n)+A(m、n)+D(m、n))=G(m、n)
(m、n)−(C(m−1、n)+F(m−1、n)+K(m−1、n)+A(m、n)+B(m、n)+D(m、n)+E(m、n)+G(m、n))=H(m、n)
(m、n)−(A(m、n)+B(m、n)+C(m、n)+D(m、n)+E(m、n)+F(m、n)+G(m、n)+H(m、n))=K(m、n)
このようにして取得した値を図16に示す。なお、被写体の像5’の画素情報は、撮像素子1が移動位置[9]に位置する時の画素アドレスで表している。
こうして算出した値を記憶部7に記憶する。
【0069】
以上より、図16に示すように、最上部、最左部を部分的に遮光した時に得られる情報から、被写体像5’の全画素のサブピクセル情報を分離することができることがわかる。
【0070】
なお、本実施の形態では、撮像素子1を、1画素の3分の1に相当する距離ごとにシフトして被写体5を撮影する処理を1画素に相当する距離まで繰り返して被写体5を撮影する場合、すなわち、被写体5を、1画素を9分割したサブピクセルの精度で撮影する場合を例に説明したが、シフトする距離は1画素の3分の1に相当する距離に限定されない。また、縦方向と横方向で異なってもよい。X、Yを任意の自然数とすると、被写体像5’を縦方向及び横方向にそれぞれ1画素のX分の一及び1画素のY分の一に相当する距離ごとにシフトして撮影する処理を、1画素に相当する距離まで繰り返す場合、すなわち、1画素をXにYを乗じて得られた整数個に分割したサブピクセルの精度で撮影する場合も同様の手順で実行することができる。
【0071】
この場合、縦方向に配列された一列と交わらない横方向に配列された一列の画素情報取得領域の各々が遮光されていない状態から少なくとも1画素に相当する領域分が遮光される直前の状態になるまで、
横方向に配列された一列と交わらない縦方向に配列された一列の画素情報取得領域の各々が遮光されていない状態から少なくとも1画素に対応する領域分が遮光される直前の状態になるまで、縦方向及び横方向に駆動する。
【0072】
このように、本実施の形態の撮像装置10は、所定の面積を有する受光面である画素情報取得領域P(m,n)として、受光面あたりの受光量に応じた出力値を出力する受光素子A(m,n)と、さらに、受光素子A(m,n)を被写体からの入射光から部分的に遮光する遮光手段である遮光板6と、を備える。ここで、mは1以上、i以下の自然数、nは1以上、j以下の任意の自然数とする。かかる構成により、本実施の形態の撮像装置10は、受光素子A(m,n)から受光面P(m,n)を部分的に遮光された状態の出力値を得ることができる。したがって、撮像装置10は、受光面を遮光していない状態の出力値とは異なる、遮光の状態の度合いを反映した微細な出力値を得ることができる。
【0073】
また、本実施の形態の撮像装置10は、遮光板6によって遮光される受光素子A(m,n)の遮光部位の異なる複数の状態のそれぞれにおいて、受光素子A(m,n)からの出力値を取得する。したがって、本実施の形態の撮像装置10は、撮像素子を移動させることによって、画素情報取得領域P(m,n)を複数の異なる遮光パターンで部分的に遮光することができる。そして、画素情報取得領域P(m,n)をそれぞれ異なる遮光パターンで遮光して得た画素情報と、画素情報取得領域P(m,n)を遮光していない状態の画素情報とを取得することができる。したがって、複数の異なる遮光パターンのそれぞれを反映した一層微細な出力値を得ることができる。
【0074】
さらに、本実施の形態の撮像装置10は、画素情報取得領域P(m,n)をそれぞれ異なる遮光パターンで遮光して得た複数の画素情報と、画素情報取得領域P(m,n)を遮光していない状態の画素情報との差分から、受光素子の受光面よりも小さな面積における受光量に応じた出力値を算出して出力する算出手段である制御部4と、制御部4によって出力された出力値を被写体の位置と対応付けて記憶する記憶部7と、をさらに備えることができるので、本実施の形態の撮像装置10は、遮光部位の異なる複数の状態で取得された複数の画素情報の差分から、受光素子A(m,n)の受光面P(m,n)よりも小さな面積における受光量に応じた画素値を算出し、こうして算出した画素値を被写体の位置と対応付けて記憶することができる。したがって、撮像装置10は、受光素子A(m,n)の受光面P(m,n)よりも小さな面積に対応した画素値に基づく、一層微細な被写体の画素情報を取得することができる。
【0075】
さらに、本実施の形態の撮像装置10によると、受光素子A(m,n)の遮光板6に対する位置を、受光素子A(m,n)の寸法よりも小さな距離ずつ変位させる撮像素子駆動手段である駆動部3を備える。かかる構成により、本実施の形態の撮像装置10は、受光素子A(m,n)の遮光板6に対する位置を、受光素子A(m,n)の寸法よりも小さな距離ずつ変位させることができるので、受光素子A(m,n)を受光素子A(m,n)の寸法より小さな距離ずつ変位させながら、受光素子A(m,n)の受光面P(m,n)よりも小さな面積に対応した出力値に基づく、一層微細な被写体の画素情報を得ることができる。
したがって、受光素子の数を増加させることなく、また、画像を繋ぎ合わせる必要もなく、一層微細な被写体の画素情報を得ることができるので、本実施の形態の撮像装置10は、低コストで、解像度の高い画像を取得することができる。
【0076】
[画素情報取得処理のフロー]
図17を参照して、撮像装置10が被写体5の画像を撮像する処理のフローについて説明する。以下の処理は、制御部4の制御によって行われる。
【0077】
まず、制御部4は駆動部3を制御して、被写体5と遮光板6に対する撮像素子1の位置を設定する(ステップS101)。この時、制御部4は、撮像素子1と被写体5との間に設けられた遮光板6によって、図3に示すように、撮像素子1の最端部を形成する少なくとも2辺が所定のサブピクセルの単位に相当する領域だけ部分的に遮光されるようにする。具体的には、制御部4は、撮像素子1の被写体5と遮光板6を、図4に示す基本位置[1]の位置に設定する。
【0078】
続けて、撮像素子1を所定量、所定の方向に移動する(ステップS102)。
具体的には、制御部4は駆動部3を制御して、上述した基本位置[1]、移動位置[2]〜[9]の位置の何れかに撮像素子1を移動する。
【0079】
続けて、撮像を行って撮像素子1からの出力値を入力する(ステップS103)。
具体的には、制御部4は撮像部2を制御して撮像を行い、撮像素子1のそれぞれの画素情報取得領域P(1,1)、P(2,1)、P(3,1)、・・・・、P(1,2)、・・・P(1,3)、・・・、P(i,j)から出力される出力値を入力して、記憶部7に記憶する。
【0080】
続けて、画素値を算出する(ステップS104)。
具体的には、制御部4は撮像素子1のそれぞれの画素情報取得領域P(1,1)、P(2,1)、P(3,1)、・・・・、P(1,2)、・・・P(1,3)、・・・、P(i,j)からの出力値から、上述の計算式に従って、それぞれの被写体像5’の画素アドレス(i,j)のサブピクセルの値を算出し、記憶部7に記憶する。
【0081】
全領域にわたって画素値を算出したか判断する(ステップS105)。
具体的には、制御部4は、被写体像5’の全ての画素アドレス(m,n)のサブピクセルの値が算出されたか判断する。ここで、mは1以上、i以下の自然数、nは1以上、j以下の任意の自然数とする。全ての画素アドレス(m,m)のサブピクセルの値が算出されたと判断された場合は、ステップS106に進み、算出されていない画素アドレス(m,n)のサブピクセルの値があると判断された場合は、ステップS102に戻る。
【0082】
一方で、ステップS105において、被写体像5’の全ての画素アドレス(m,n)のサブピクセルの値が算出されたと判断した場合は、算出した全画素値を記憶部7に、対応する被写体像5’の位置情報と対応付けて被写体5の画素情報として記憶する(ステップS106)。また、必要に応じて、算出した全画素値に基づいて画像を表示する。具体的には、制御部4は表示部8を制御して、記憶部7に記憶された被写体像5’の全ての画素情報に基づいて被写体5の画像を表示する。これをもって、画素情報取得処理は終了する。
【0083】
本実施の形態の撮像装置10は、所定の面積を有する画素情報取得領域である受光面P(m,n)を含み、受光面P(m,n)あたりの受光量に応じた出力値を出力する受光素子A(m,n)を、被写体からの入射光から部分的に遮光し、遮光された受光素子A(m,n)の遮光部位を異ならせた複数の状態のそれぞれにおいて、受光素子A(m,n)からの出力値を取得するステップ(ステップS103)と、複数の状態のそれぞれにおいて取得された受光素子A(m,n)からの複数の出力値の差分から、受光素子A(m,n)の受光面P(m,n)よりも小さな面積における受光量に応じた出力値を算出するステップ(ステップS104)と、算出するステップによって算出された出力値を被写体の位置と対応付けて記憶するステップ(ステップS106)と、を含む撮像方法を実行する。
かかる撮像方法は、受光素子の遮光部位を変位させながら、受光素子A(m,n)の受光面P(m,n)よりも小さな面積に対応した出力値の差分に基づいて、一層微細な被写体の画素情報を得ることができるので、受光素子A(m,n)の数を増加させることなく、また、画像を繋ぎ合わせる必要もない。すなわち、低画素のセンサを用いて高画素を取得できる。よって、低コストで解像度の高い画像を取得することができる。
【0084】
本実施の形態の撮像装置10は、ステップS103において、所定の面積を有する受光面P(m,n)を含み、例えば、図5に示したように、受光面P(1,1)あたりの受光量に応じた出力値を出力する受光素子A(1,1)から、受光面P(1,1)の一部である第1所定部分によって受光された受光量に応じた第1の出力値、例えば、b(1,1)を取得するステップと、第1所定部分に含まれる第2所定部分が受光した受光量に応じた第2の出力値、例えば、a(1,1)を取得するステップとを実行し、ステップS104において、第1の出力値と第2の出力値との差分、例えば、b(1,1)−a(1,1)から、第1所定部分のうち、第2所定部分を除く部分における受光量に応じた第3の出力値、例えば、B(1,1)を求めるステップと、を含む撮像方法を実行する。
かかる撮像方法は、受光面P(m,n)の一部である第1所定部分から、該第1所定部分に含まれる第2所定部分を除いた部分の受光量に対応した出力値に基づいて、一層微細な被写体の画素情報を得ることができるので、受光素子A(m,n)の数を増加させることなく、また、画像を繋ぎ合わせる必要もなく、低コストで解像度の高い画像を取得することができる。
【0085】
また、本実施の形態では、被写体5を、1画素を9分割したサブピクセルの精度で撮影する場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。本実施の形態では、被写体5の2辺に対して、最端部から縦方向及び横方向にそれぞれ1画素の3分の1に相当する領域を遮光した状態で、撮像素子1を縦方向及び横方向にそれぞれ1画素の3分の1に相当する距離ごとにシフトして撮影する処理を、縦方向及び横方向にそれぞれ1画素分に相当する距離まで繰り返して被写体5を撮影するとしたが、本発明はこれに限定されない。
【0086】
例えば、X、Yを任意の自然数とすると、被写体像5’の2辺に対して、縦方向及び横方向に、それぞれ1画素のX分の一及び1画素のY分の一に相当する領域を遮光した状態で、撮像素子1を縦方向及び横方向にそれぞれ1画素のX分の一及び1画素のY分の一に相当する距離ごとにシフトして撮影をする処理を、縦方向及び横方向にそれぞれ1画素分に相当する距離まで繰り返して被写体5を撮影することによって、同様の手法で、1画素をXにYを乗じて得られた整数分だけ分割したサブピクセルの精度で撮影することができる。
【0087】
すなわち、駆動部2は、撮像素子1を駆動して、被写体5から撮像素子1への入射光が遮光板6によって遮光されない撮像位置から、i、jを任意の自然数とすると、複数の画素情報取得領域P(i,j)の少なくとも一部の画素情報取得領域について1画素分遮光される直前の撮像位置まで、1画素の任意の数分の1に相当する単位ずつ撮像素子を所定の撮像位置に駆動する。撮像素子1は駆動部2によって撮像位置に駆動される都度、撮像を行う。制御部4は、撮像素子が生成する信号電荷に基づいて画素情報を算出する。制御部4は、こうして算出された画素情報を被写体の位置と対応付けて画像情報として記憶部7に記憶する。
【0088】
さらに制御部4は、撮像素子が駆動部によって駆動された後の撮像位置で撮像素子が生成した信号電荷と、駆動部によって駆動される直前の撮像位置で撮像素子が生成した信号電荷との差分から、被写体の一部に対応する画素情報を1画素より小さい単位で算出すればよい。制御部4は画素算出部を構成する。
【0089】
本実施の形態では、遮光される画素情報取得領域は、駆動部は、撮像素子を遮光板に対して、撮像素子の縦方向に配列された一列の画素情報取得領域の各々としている。
駆動部2は、X、Yを所定の自然数とすると、縦方向に、横方向に配列された一列の画素情報取得領域の各々を遮光していない状態から1画素に相当する領域分を遮光する直前の状態まで、1画素のX分の一に相当する単位ずつ遮光する所定の撮像位置に駆動し、横方向に、縦方向に配列された一列の画素情報取得領域の各々を遮光していない状態から1画素に対応する領域分を遮光する直前の状態まで、1画素のY分の一に相当する単位ずつ駆動して撮像を行うことによって、同様の手法で、1画素をXにYを乗じて得られた整数分だけ分割したサブピクセルの精度で撮影することができる。
【0090】
かかる実施の形態の撮像装置では、遮光板によって分割する1画素辺りの数を変化させることで、撮像する画像の解像度、又は撮像する画像を構成する画素数情報を任意に増やすことができる。
【0091】
また、遮光板6をL字型の形状としたが、遮光板6は、撮像素子1の少なくとも2辺を遮光するために好適であれば、L字型以外の形状でもよい。
【0092】
以上説明したように、本発明の実施の形態による撮像装置10は、撮像素子1と、光を遮光する遮光板6と、撮像素子1に入射する被写体からの入射光が遮光板6によって所定の部分遮光される所定の撮像位置に、撮像素子を遮光板に対して駆動する駆動部3と、撮像素子1が駆動部によって撮像位置に駆動されるごとに撮像によって得られる撮像素子1からの情報に基づき、被写体の画素情報を算出する制御部4によって構成される画素算出部と、画素算出部によって算出された画素情報を被写体の位置と対応付けて記憶する記憶部7によって構成される画素情報記憶部と、を備える。撮像素子1は、縦方向及び横方向に配列された複数の画素情報取得領域P(m,n)を有し、複数の画素情報取得領域P(m,n)の各々は、被写体からの入射光を変換して1画素分の画素情報を生成するように構成されている。駆動部3は、複数の画素情報取得領域P(m,n)の縦方向の少なくとも一列と横方向の少なくとも一列の画素情報取得領域P(m,n)の各々について、被写体から撮像素子への入射光が遮光板によって遮光されない状態から1画素分遮光される直前の状態をとるまで、1画素の任意の数分の1に相当する単位ずつ段階的に、撮像素子を駆動するように構成されている。画素算出部は、撮像位置ごとに算出した画素情報の差分から、被写体の画素情報を1画素より小さい単位で算出する撮像装置が提供される。
【0093】
例えば、駆動部3は、撮像素子1を遮光板に対して、
本実施の形態では、横方向に配列された一列と縦方向に配列された一列の交わる画素情報取得領域(本実施の形態では、撮像素子1の最端部に設けられた画素情報取得領域P(1,1)が対応する)を、X、Yを所定の自然数として、XとYの積である整数分の一の単位で分割して、縦横に網目状に形成された小領域(本実施の形態では、画素情報取得領域P(1,1)を9分割した領域であって、図3の点線で示される小領域)の各々が、遮光されていない状態と遮光された状態とをとるまで、
縦方向に、縦方向に配列された一列と交わらない(すなわち、最端部の画素情報取得領域P(1,1)を除く)横方向に配列された一列の画素情報取得領域の各々が遮光されていない状態から1画素に相当する領域分が遮光される直前の状態となるまで、
横方向に、横方向に配列された一列と交わらない(すなわち、最端部の画素情報取得領域P(1,1)を除く)縦方向に配列された一列の画素情報取得領域の各々が遮光されていない状態から1画素に対応する領域分が遮光される直前の状態となるまで、駆動し、
画素算出部は、撮像素子が駆動部によって撮像位置に駆動されるごとに撮像によって得られる撮像素子からの画素情報に差分から、
被写体の画素情報を、1画素をXとYの積である整数分の一の単位で算出することができる。
【0094】
本実施の形態の撮像装置10では、高解像度の画像を取得するため、撮像時に画素情報取得領域P(m,n)を構成する受光素子の各々の遮光手段に対する位置を、画素情報取得領域P(m,n)の寸法よりも小さなサブピクセルに相当する距離の単位で変位させる。このように、撮像時に受光素子が移動する距離はごく僅かである。このため、撮像する被写体を複数の部分に分割し、撮像素子を移動させながら被写体の部分ごとに複数回撮影を繰り返す従来の方法と比べて、受光素子の移動距離ははるかに小さくてすむ。したがって、本発明によると、受光素子の移動に要する時間を短くして、撮像に要する全体の時間を短縮して解像度の高い画像を取得することができる。
【0095】
受光素子の数を増加させることなく、また、画像を繋ぎ合わせる必要もなく、一層微細な被写体の画素情報を得ることができる。すなわち、低画素のセンサを用いて高画素を取得できる。よって、本実施の形態の撮像装置10は、低コストで、解像度の高い画像を取得することができる。
【0096】
本実施の形態では、遮光板6を、被写体5の近傍に配置した構成について説明したが、これは一例に過ぎず、遮光板6は、撮像素子1にさらに近接して配置してもよい。
【0097】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良などは本発明に含まれるものである。
【0098】
また、上述の実施の形態では、被写体5を、1画素を9分割したサブピクセルの精度で撮影する場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。
【0099】
例えば、Mを任意の数とすると、撮像素子の1画素分の画素情報を取得する画素情報取得領域の各々をM分の1画素分の入射光のみを入射し、残りの入射光を遮光する遮光膜を形成した撮像素子を用いて撮像する場合は、撮像素子の画素情報取得領域の各々について、M分の1画素分の入射光を入射する領域が異なるように遮光膜を形成した撮像素子をM個用意する。そして、被写体5をM個の撮像素子を差し替えながらM回撮像して、画素取得部の画素情報を足し合わせればよい。
【0100】
例えば、Mを任意の自然数とすると、撮像素子の1画素分の画素情報を取得する画素情報取得領域の各々をM分の1画素分の入射光のみを入射し、残りの入射光を遮光する遮光板を複数用いて撮像する場合は、撮像素子の画素情報取得領域の各々について、M分の1画素分の入射光を入射する領域が異なるように形成した遮光板をM個用意する。被写体5をM個の撮像素子を差し替えながらM回撮像して、画素取得部の画素情報を足し合わせればよい。
【0101】
例えば、Mを任意の数とすると、撮像素子の1画素分の画素情報を取得する画素情報取得領域の各々をM分の1画素分の入射光のみを入射し、残りの入射光を遮光する遮光板を移動させて撮像する場合は、撮像素子の画素情報取得領域の各々について、M分の1画素分の入射光を入射する領域が異なるように遮光板を移動させながら、被写体5をM回撮像して、画素取得部の画素情報を足し合わせればよい。
【0102】
本発明は、ワークの位置を測定するための装置のみならず、撮像素子を備えた電子機器一般に適用することができる。上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。
【0103】
一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータなどにネットワークや記録媒体からインストールされる。コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えば汎用のパソコンであってもよい。
【0104】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的或いは個別に実行される処理をも含むものである。
【符号の説明】
【0105】
1 撮像素子
2 撮像部
3 駆動部
4 制御部(前記画素算出部)
5 被写体
6 遮光板
7 記憶部(画素情報記憶部)
8 表示部
10 撮像装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像素子と、
光を遮光する遮光板と、
前記撮像素子に入射する被写体からの入射光が前記遮光板によって所定の部分遮光される所定の撮像位置に、前記撮像素子を前記遮光板に対して駆動する駆動部と、
前記撮像素子が前記駆動部によって前記撮像位置に駆動されるごとに撮像によって得られる前記撮像素子からの情報に基づき、前記被写体の画素情報を算出する画素算出部と、
前記画素算出部によって算出された画素情報を前記被写体の位置と対応付けて記憶する画素情報記憶部と、を備え、
前記撮像素子は、縦方向及び横方向に配列された複数の画素情報取得領域を有し、
前記複数の画素情報取得領域の各々は、被写体からの入射光を変換して1画素分の画素情報を生成するように構成されており、
前記駆動部は、
前記複数の画素情報取得領域の縦方向の少なくとも一列と横方向の少なくとも一列の画素情報取得領域の各々について、前記被写体から前記撮像素子への入射光が前記遮光板によって遮光されない状態から前記1画素分遮光される直前の状態をとるまで、
前記1画素の任意の数分の1に相当する単位ずつ段階的に、前記撮像素子を駆動するように構成されており、
前記画素算出部は、前記撮像位置ごとに算出した画素情報の差分から、前記被写体の画素情報を1画素より小さい単位で算出することを特徴とする、撮像装置。
【請求項2】
前記駆動部は、前記撮像素子を前記遮光板に対して、
前記横方向に配列された一列と前記縦方向に配列された一列の交わる画素情報取得領域を、X、Yを所定の自然数として、XとYの積である整数分の一の単位で縦横に分割して網目状に形成された小領域の各々が、遮光されていない状態と遮光された状態とをとるまで、
前記縦方向に、前記縦方向に配列された一列と交わらない前記横方向に配列された一列の画素情報取得領域の各々が遮光されていない状態から1画素に相当する領域分が遮光される直前の状態となるまで、
前記横方向に、前記横方向に配列された一列と交わらない前記縦方向に配列された一列の画素情報取得領域の各々が遮光されていない状態から1画素に対応する領域分が遮光される直前の状態となるまで、駆動し、
前記画素算出部は、前記撮像素子が前記駆動部によって前記撮像位置に駆動されるごとに撮像によって得られる前記撮像素子からの画素情報に差分から、
前記被写体の画素情報を、1画素をXとYの積である整数分の一の単位で算出することを特徴とする、請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
撮像素子と、光を遮光する遮光板と、を備えた撮像装置を用いて被写体を撮像する撮像方法であって、
前記撮像素子は、縦方向及び横方向に配列された複数の画素情報取得領域を有し、
前記複数の画素情報取得領域の各々は、被写体からの入射光を変換して1画素分の画素情報を生成するように構成されており、
該撮像方法は、
前記撮像素子を駆動して、
前記複数の画素情報取得領域の縦方向の少なくとも一列と横方向の少なくとも一列の画素情報取得領域の各々について、前記被写体から前記撮像素子への入射光が前記遮光板によって遮光されない状態から、前記1画素分遮光される直前の状態となるまで、
前記1画素の任意の数分の1に相当する単位ずつ段階的に、前記撮像素子を駆動する駆動ステップと、
前記撮像素子が前記駆動ステップによって前記撮像位置に駆動されると撮像を行い、前記撮像素子が生成する信号電荷に基づいて画素情報を算出する画素算出ステップと、
前記画素算出ステップによって算出された画素情報を前記被写体の位置と対応付けて画像情報として記憶する画素情報記憶ステップと、を含み、
前記画素算出ステップは、前記撮像素子が前記駆動ステップによって駆動されるごとに撮像によって得られる前記撮像素子からの画素情報の差分に基づき、
被写体の画素情報を1画素より小さい単位で算出するステップを含むことを特徴とする、撮像方法。
【請求項4】
縦方向及び横方向に配列された複数の画素情報取得領域を有する撮像素子であって、前記複数の画素情報取得領域の各々は、被写体からの入射光を変換して1画素分の信号電荷を生成する、撮像素子と、光を遮光する遮光板と、を制御するコンピュータに、
前記撮像素子を駆動して、
前記複数の画素情報取得領域の縦方向の少なくとも一列と横方向の少なくとも一列の画素情報取得領域の各々について、前記被写体から前記撮像素子への入射光が前記遮光板によって遮光されない状態から、前記1画素分遮光される直前の状態となるまで、
前記1画素の任意の数分の1に相当する単位ずつ段階的に、前記撮像素子を駆動する駆動ステップと、
前記撮像素子が前記駆動ステップによって前記撮像位置に駆動されると撮像を行い、前記撮像素子が生成する信号電荷に基づいて画素情報を算出する画素算出ステップと、
前記画素算出ステップによって算出された画素情報を前記被写体の位置と対応付けて画像情報として記憶する画素情報記憶ステップと、を実行させる撮像プログラムであって、
前記画素算出ステップは、前記撮像素子が前記駆動ステップによって駆動されるごとに撮像によって得られる前記撮像素子からの画素情報の差分に基づき、
被写体の画素情報を1画素より小さい単位で算出するステップを含むことを特徴とする、撮像プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−74892(P2012−74892A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−217694(P2010−217694)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】