説明

撮像装置、画像表示装置および画像表示方法

【課題】画像の一部を拡大表示しながら複数の画像の確認を行う場合に、煩雑な操作を行うことなく効率的に複数の画像の確認を行うことができる撮像装置、画像表示装置および画像表示方法を提供する。
【解決手段】第1の画像の一部の領域がLCDモニタ12に拡大表示されている状態で、例えばディスプレイスイッチを長押しする操作がなされた場合に、CPU61のターゲット設定手段101が、拡大表示されている領域の被写体を被写体追尾のターゲットとして設定する。その後、第1の画像に代えて第2の画像をLCDモニタ12に表示する操作(コマ送り操作やコマ戻し操作)がなされた場合に、検出手段102が、第2の画像のターゲットを写した領域を検出し、表示制御手段103が、検出された領域をLCDモニタ12に拡大表示する処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置、画像表示装置および画像表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルスチルカメラなどの撮像装置は、撮像素子およびそれを扱う制御技術の向上により、1000万画素前後の撮像素子のフル画素の画像を30fps〜60fps程度で記録することが可能になっている。また、記録画素数を制限した場合には、例えば1200fpsといった高フレームレートで画像を記録することも可能である。このような性能を活かし、ユーザがシャッタボタンを押し続けている間に複数の画像を高速で連続撮影する、いわゆる高速連写機能を備えた撮像装置が知られている。高速連写機能は、例えば、車、電車などの高速で移動中の乗り物を撮影する場合や、動きが予測しにくい動物、子供などを撮影する場合に、シャッタチャンスを逃さずに撮影を行うための機能として有効である。
【0003】
高速連写機能により連続撮影された複数の画像は、通常、1つの画像ファイルにまとめてメモリカードなどに記録される。複数の画像を1つの画像ファイルにまとめて記録する技術としては、例えば特許文献1に記載の技術が知られている。また、このような複数の画像を格納するファイルの規格として、一般社団法人カメラ映像機器工業会が2009年2月に策定した「マルチピクチャフォーマット」が知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高速連写機能により複数の画像を連続撮影した場合、ユーザは、これら複数の画像の中からベストショットを選ぶために、メモリカードに記録されたファイルを読み出し、複数の画像を順次モニタに表示させて(以下、連続する複数の画像を順次表示させる操作を「コマ送り操作」、「コマ戻し操作」という。)、画像の確認を行うことが多い。このとき、例えば動物の顔や子供の顔など、画像の中で特に注目する被写体を拡大表示させて、ピントの状態やその表情などを確認することが行われる。このように画像の一部を拡大表示させた場合、その状態でコマ送り操作を行うと、画像内において拡大表示を行う位置およびその拡大率を保持したまま次の画像の一部が拡大表示され、コマ戻し操作を行うと、画像内において拡大表示を行う位置およびその拡大率を保持したまま前の画像の一部が拡大表示される。
【0005】
しかしながら、上述したように、高速連写機能を利用するのは動きのある被写体を撮影する場合が多く、連続撮影された複数の画像において注目する被写体の位置は、画像ごとに異なっている場合が多い。このため、画像の一部を拡大表示させた状態でコマ送り操作やコマ戻し操作を行うと、拡大表示している位置が注目する被写体の位置からずれていき、その都度、拡大位置を手動で補正するという操作が必要となるため、ユーザの操作が煩雑になるという問題があった。なお、高速連写機能により連続撮影された複数の画像に限らず、個別に撮影した複数の画像についても、画像の一部を拡大した状態でコマ送り操作やコマ戻し操作を行いながら画像の確認を行う場合には、同様の問題が生じる。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、画像の一部を拡大表示しながら複数の画像の確認を行う場合に、煩雑な操作を行うことなく効率的に複数の画像の確認を行うことができる撮像装置、画像表示装置および画像表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る撮像装置は、画像を撮影する撮像手段と、撮影された画像を表示する表示手段と、第1の画像に含まれる領域のうち、指定された第1の領域を前記表示手段に拡大表示する表示制御手段と、前記第1の領域内の被写体を被写体追尾のターゲットとして設定するターゲット設定手段と、前記第1の画像に代えて前記表示手段に表示することが指定された第2の画像内の前記ターゲットを写した領域である第2の領域を検出する検出手段と、を備え、前記表示制御手段は、前記第2の領域を前記表示手段に拡大表示することを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る画像表示装置は、画像を表示する表示手段と、第1の画像に含まれる領域のうち、指定された第1の領域を前記表示手段に拡大表示する表示制御手段と、前記第1の領域内の被写体を被写体追尾のターゲットとして設定するターゲット設定手段と、前記第1の画像に代えて前記表示手段に表示することが指定された第2の画像内の前記ターゲットを写した領域である第2の領域を検出する検出手段と、を備え、前記表示制御手段は、前記第2の領域を前記表示手段に拡大表示することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る画像表示方法は、画像を表示する表示手段を備えた装置により実行される画像表示方法であって、第1の画像に含まれる領域のうち、指定された第1の領域を前記表示手段に拡大表示するステップと、前記第1の領域内の被写体を被写体追尾のターゲットとして設定するステップと、前記第1の画像に代えて前記表示手段に表示することが指定された第2の画像内の前記ターゲットを写した領域である第2の領域を検出するステップと、前記第2の領域を前記表示手段に拡大表示するステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、第1の画像内の第1の領域を拡大表示した際に第1の領域内の被写体を被写体追尾のターゲットとして設定し、第1の画像に代えて第2の画像を表示する場合には、第2の画像のターゲットを写した領域である第2の領域を拡大表示するので、煩雑な操作を行うことなく、複数の画像の確認を効率的に行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1−1】図1−1は、デジタルカメラの上面図である。
【図1−2】図1−2は、デジタルカメラの正面図である。
【図1−3】図1−3は、デジタルカメラの裏面図である。
【図2】図2は、デジタルカメラの制御系の構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、拡大追尾コマ送り・コマ戻しを実行するためにCPUに実現される機能構成を示す機能ブロック図である。
【図4】図4は、第1の実施形態に係るデジタルカメラにおいて、拡大追尾コマ送り・コマ戻しを行う際にCPUにより実行される処理フローの一例を示すフローチャートである。
【図5】図5は、従来の拡大コマ送り・コマ戻しによって複数の画像をLCDモニタに順次拡大表示した場合の例を示す図である。
【図6】図6は、拡大追尾コマ送り・コマ戻しにより複数の画像をLCDモニタに順次拡大表示した場合の一例を示す図である。
【図7】図7は、表示対象の複数の画像間で注目する被写体の大きさが変化している場合に、LCDモニタに拡大表示される被写体の大きさをほぼ同じ大きさにする例を示す図である。
【図8】図8は、表示対象の複数の画像間で注目する被写体が一時的にフレームアウトし、その後フレームインしている場合に、拡大追尾コマ送り・コマ戻しによってLCDモニタに順次拡大表示される画像の一例を示す図である。
【図9】図9は、第2の実施形態に係るデジタルカメラにおいて、拡大追尾コマ送り・コマ戻しを行う際にCPUにより実行される処理フローの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る撮像装置、画像表示装置および画像表示方法の最良な実施の形態を詳細に説明する。以下では、高速連写機能を有するデジタルスチルカメラ(以下、デジタルカメラという。)に本発明を適用した例について説明する。
【0013】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態に係るデジタルカメラの外観を示す図であり、図1−1は同デジタルカメラの上面図、図1−2は同デジタルカメラの正面図、図1−3は同デジタルカメラの裏面図である。
【0014】
本実施形態に係るデジタルカメラは、図1−1に示すように、その上面に、静止画撮影が可能な枚数などを表示するサブLCD1と、静止画撮影の際に押圧操作されるレリーズシャッタボタン2と、画像を撮影(記録)する撮影モードや記録された画像を再生する再生モード、カメラ設定のためのSETUPモードなどの各種モードの切替えの際に操作されるモードダイアル3を有する。
【0015】
また、本実施形態に係るデジタルカメラは、図1−2に示すように、その正面に、ストロボを発光させるストロボ発光部4と、被写体までの距離を測定する測距ユニット5と、図示しないリモコン端末からの赤外線信号を受信するリモコン受光部6と、後述するズームレンズ25やフォーカスレンズ26、メカニカルシャッタ27およびこれらを一体に支持する支持部材などから構成される鏡胴ユニット7と、光学ファインダ(正面)8を有する。また、本実施の形態に係るデジタルカメラの側面には、後述するメモリカード80を挿入するメモリカードスロットや電池を収容する電池収容部が設けられており、これらメモリカードスロットや電池収容部は蓋体9により閉塞されている。
【0016】
また、本実施形態に係るデジタルカメラは、図1−3に示すように、その裏面に、オートフォーカス作動時に点灯するオートフォーカスLED(AFLED)10と、ストロボ発光時に点灯するストロボLED11と、各種設定画面の表示や再生画像の表示および撮影時の電子ファインダとして用いられるLCDモニタ12(表示手段)と、光学ファインダ(裏面)13を有する。
【0017】
さらに、本実施形態に係るデジタルカメラの裏面には、広角側ズーム時に操作されるズームボタン(WIDE)14および望遠側ズーム時に操作されるズームボタン(TELE)15と、電源スイッチ16と、セルフタイマの作動時に操作されるセルフタイマ/削除スイッチ17と、メニュー選択の際に操作されるメニュースイッチ18と、選択した事項を確定させる際に操作されるOKスイッチ19と、撮影した画像をLCDモニタ12で確認する際に操作されるとともにLCDモニタ12上のカーソルを左移動させる場合等に操作される左/画像確認スイッチ20と、LCDモニタ12上のカーソルを右移動させる場合等に操作される右スイッチ21と、マクロ撮影を行う際に操作されるとともにLCDモニタ12上のカーソルを下移動させる場合等に操作される下/マクロスイッチ22と、ストロボのモードを切り替える際に操作されるとともにLCDモニタ12上のカーソルを上移動させる場合等に操作される上/ストロボスイッチ23と、LCDモニタ12の表示の切替え時に操作されるディスプレイスイッチ24とが設けられている。
【0018】
本実施形態に係るデジタルカメラでは、メニュースイッチ18の操作により各種設定画面をLCDモニタ12に表示することができる。そして、左/画像確認スイッチ20、右スイッチ21、下/マクロスイッチ22、上/ストロボスイッチ23などを操作して、LCDモニタ12に表示している設定画面の中から「連続撮影モード」を選択し、OKスイッチ19を操作することで、連続撮影モードに移行することができる。連続撮影モードとは、1回のレリーズシャッタボタン2の操作に応じて複数の画像を連続撮影することが可能なモード、つまり、上述した高速連写機能によって複数の画像を連続して撮影することが可能なデジタルカメラの動作モードである。
【0019】
また、本実施形態に係るデジタルカメラでは、モードダイアル3を操作することで再生モードに移行して、メモリカード80などに記録された画像をLCDモニタ12に表示することができる。再生モードでの動作時には、ズームボタン(WIDE)14やズームボタン(TELE)15の操作により、表示中の画像を任意の倍率で拡大してLCDモニタ12に表示することができる。さらに、LCDモニタ12に画像を拡大表示している状態で左/画像確認スイッチ20、右スイッチ21、下/マクロスイッチ22、上/ストロボスイッチ23などを操作することで、拡大表示する位置を任意に指定することができる。
【0020】
また、本実施形態に係るデジタルカメラでは、LCDモニタ12に画像を拡大表示している状態でディスプレイスイッチ24を長押しすると、後述する拡大追尾コマ送り・コマ戻しが可能な状態に移行する。そして、その状態で右スイッチ21を操作すると拡大追尾コマ送り、左/画像確認スイッチ20を操作すると拡大追尾コマ戻しが行われる。また、拡大追尾コマ送り・コマ戻しが可能な状態でディスプレイスイッチ24を再度長押しすると、拡大追尾コマ送り・コマ戻しが可能な状態から抜けて、通常の拡大表示の状態に戻るようになっている。
【0021】
図2は、本実施形態に係るデジタルカメラの制御系の構成を示すブロック図である。本実施形態に係るデジタルカメラは、制御系の構成として、ズームレンズ25やフォーカスレンズ26、メカニカルシャッタ27を駆動するためのモータドライバ28と、イメージセンサであるCMOSセンサ30と、CMOSセンサ30から出力されるアナログの画像信号を処理してデジタル画像データを生成するアナログフロントエンド(AFE)40と、CMOSセンサ30およびAFE40に対して駆動タイミング信号を出力するタイミングジェネレータ(TG)50と、AFE40から出力されたデジタル画像データに対して各種デジタル画像処理を実行するとともにデジタルカメラ全体の動作を制御する信号処理IC60とを備えている。信号処理IC60には、上述したLCDモニタ12のほか、SDRAM70やメモリカード80、ROM90、操作部100などが接続されている。
【0022】
メカニカルシャッタ27は、開状態によりCMOSセンサ30に光を入射させ、閉状態によりCMOSセンサ30への光の入射を遮断する機械的なシャッタである。このメカニカルシャッタ27は、光学レンズであるズームレンズ25やフォーカスレンズ26とともに、モータドライバ28により駆動される。モータドライバ28によるズームレンズ25、フォーカスレンズ26およびメカニカルシャッタ27の駆動は、信号処理IC60の内部に含まれるCPU61によって制御される。
【0023】
CMOSセンサ30は、光電変換機能によって、光学レンズにより結像した光学像をその明るさに比例した電気信号に変換して出力する固体撮像素子である。CMOSセンサ30は、TG50から出力される駆動タイミング信号に従って駆動され、各画素の露光や信号読み出しが制御される。CMOSセンサ30からの出力電気信号は、AFE40に入力される。
【0024】
AFE40は、CMOSセンサ30の出力電気信号(アナログ画素信号)をサンプリングホールド(相関二重サンプリング)するCDS41と、CDS41によりサンプリングされた信号のゲインを調整するAGC(Auto Gain Control)42と、AGC42の出力をデジタル信号に変換するA/D変換器(A/D)43とを有する。これらAFE40を構成する各部は、TG50から出力される駆動タイミング信号に従ってCMOSセンサ30と同期して駆動され、また、AGC42におけるゲインの設定などは、信号処理IC60内部に含まれるCPU61の命令に従って実施される。AFE40により出力されるデジタルデータ(デジタル画像データ)は、信号処理IC60に入力される。
【0025】
TG50には、信号処理IC60内部に含まれる同期信号生成部69によって生成された垂直同期信号VDおよび水平同期信号HDが供給される。TG50は、これら垂直同期信号VDおよび水平同期信号HDに基づいて、CMOSセンサ30およびAFE40を同期して駆動させるための駆動タイミング信号を生成し、生成した駆動タイミング信号をCMOSセンサ30およびAFE40に供給する。
【0026】
信号処理IC60は、デジタルカメラ全体の動作を統括的に制御するCPU61と、垂直同期信号VDおよび水平同期信号HDに合わせてAFE40からデジタル画像データの取り込みを行うCMOSI/F部62と、SDRAM70へのデータの書き込みや読み出しを制御するメモリコントローラ63と、CMOSI/F部62から入力されたデジタル画像データを表示や記録が可能なYUVのデータ形式に変換するYUV変換部64と、画像データを所定のフォーマット(例えばJPEG)に従って圧縮および伸張する圧縮伸張部65と、LCDモニタ12や外部表示装置への表示データの出力を制御する表示出力制御部66と、表示や記録のサイズに合わせて画像サイズを変更するリサイズ処理部67と、メモリカード80へのデータの書き込みや読み出しを制御するメディアI/F部68と、CPU61の命令により垂直同期信号VDおよび水平同期信号HDを生成する同期信号生成部69とを有している。
【0027】
AFE40から出力されるデジタル画像データは、CMOSI/F部62により画像フレームを一単位として信号処理IC60内部に取り込まれ、信号処理IC60内部で黒レベルの補正、欠損画素の補正、シェーディング補正などの画像処理が行われた上で、メモリコントローラ63によりSDRAM70に画像フレームごとのRGBデータ(RAW−RGB画像データ)として一時保管される。
【0028】
SDRAM70に保存された画像フレームごとのRAW−RGB画像データは、メモリコントローラ63によりSDRAM70から読み出され、ホワイトバランスのゲイン乗算やガンマ補正、RGB補間処理を経てYUV変換部64に供給される。YUV変換部64は、この画像データに対してエッジ強調や色設定などの各種画像処理を行うとともに、輝度/色差信号であるYUV画像データへの変換を行う。YUV変換部64で生成されたYUV画像データは、メモリコントローラ63により再度SDRAM70に格納される。
【0029】
SDRAM70に保存されたYUV画像データは、メモリコントローラ63によりSDRAM70から読み出され、撮影モードアイコンなどを表示するためのOSD(オンスクリーンディスプレイ)データとともに表示出力制御部66に供給される。表示出力制御部66は、これらYUV画像データとOSDデータを合成して表示用データを生成し、同期信号などの信号を付加してLCDモニタ12に出力する。なお、表示出力制御部66は、生成した表示用データをTVビデオ信号として出力して外部表示装置に表示させることも可能であり、例えば外部表示装置がNTSCシステムのTVであれば、リサイズ処理部67により、そのシステムに合わせた水平・垂直の変倍処理が施された上で、TVに出力される。
【0030】
また、メモリカード80への記録時には、SDRAM70に保存されたYUV画像データが、CPU61の命令によりメモリコントローラ63によってSDRAM70から読み出されて圧縮伸張部65に供給され、圧縮伸張部65においてJPEGデータなどの圧縮データが生成される。ここで、SDRAM70に保存されたYUV画像データはフルサイズのデータであり、メモリカード80に記録する画像サイズがCMOSセンサ30の画像サイズよりも小さい場合は、リサイズ処理部67にて記録用に画像が縮小された上で圧縮伸張部65に供給される。圧縮伸張部65で生成された圧縮データは、メモリコントローラ63により再度SDRAM70に格納され、その後、ヘッダ追加などの処理が行われた後に、メディアI/F部68を介してメモリカード80に記録される。このとき、連続撮影モードにより連続撮影された複数の画像をメモリカード80に記録する場合は、これら複数の画像のデータは、例えば、マルチピクチャフォーマットの形式で1つのファイルとしてメモリカード80に記録される。
【0031】
また、メモリカード80に記録された画像の再生時には、CPU61の命令により、メモリカード80に記録された圧縮データがメディアI/F部68を介して読み出され、メモリコントローラ63によりSDRAM70に格納される。その後、この圧縮データはSDRAM70から圧縮伸張部65に供給され、圧縮伸張部65により伸張された画像データ(YUV画像データ)が表示出力制御部66に供給される。表示出力制御部66は、この画像データから表示用データを生成してLCDモニタ12に出力する。これにより、LCDモニタ12に画像が表示(再生)される。LCDモニタ12に画像を拡大表示する場合には、CPU61の命令に従い、表示出力制御部66が拡大する画像の表示用データをLCDモニタ12に出力し、LCDモニタ12に画像を拡大表示する。
【0032】
以上の信号処理IC60内部における各部の動作は、CPU61の命令に従って実行される。CPU61は、例えばROM90に格納されたデジタルカメラの制御を行うための制御プログラムおよび制御データを、例えばSDRAM70上にロードし、ロードした制御プログラムのプログラムコードに基づいて、デジタルカメラ全体の動作を統括的に制御する。すなわち、CPU61は、操作部100の各種ボタンキーによる指示や図示しないリモコン端末からの動作指示等に基づいて、指示に応じた画像を適切に撮影、記録、表示できるように、モータドライバ28やAFE40、TG50、信号処理IC60内部の各処理部などを制御する。なお、操作部(操作手段)100は、デジタルカメラに対するユーザの操作を受け付けるためのものであり、図1に示したレリーズシャッタボタン2やズームボタン14,15、メニュースイッチ18、右スイッチ21、左/画像確認スイッチ20、ディスプレイスイッチ24などの各種ボタンやスイッチが該当する。
【0033】
また、特に本実施形態のデジタルカメラでは、CPU61の制御により、拡大追尾コマ送り・コマ戻しが行えるようになっている。ここで、拡大追尾コマ送り・コマ戻しとは、メモリカード80から読み出した複数の画像、例えば、連続撮影モードにより連続撮影された複数の画像をLCDモニタ12に順次表示する際に、拡大表示したある画像の一部の領域の被写体を被写体追尾のターゲットとして設定し、その後、コマ送り操作が行われると、表示中の画像の次の画像からターゲットとして設定した被写体を写した領域を検出してその領域を拡大表示し、コマ戻し操作が行われると、表示中の画像の前の画像からターゲットとして設定した被写体を写した領域を検出してその領域を拡大表示する処理をいう。
【0034】
図3は、拡大追尾コマ送り・コマ戻しを実行するためにCPU61に実現される機能構成を示す機能ブロック図である。CPU61は、例えば、ROM90に格納された制御プログラムを実行することにより、図3に示すように、ターゲット設定手段101、検出手段102および表示制御手段103の機能を実現する。なお、本実施形態では、これらターゲット設定手段101、検出手段102および表示制御手段103の機能をCPU61が制御プログラムを実行することにより実現するようにしているが、これらターゲット設定手段101、検出手段102および表示制御手段103の機能は、その一部または全部を、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)などの専用のハードウェアを用いて実現することも可能である。
【0035】
ターゲット設定手段101は、例えば、ある画像(第1の画像)の一部の領域(第1の領域)がLCDモニタ12に拡大表示されている状態で、ユーザにより操作部100のうちのディスプレイスイッチ24を長押しする操作が行われた場合に、LCDモニタ12に拡大表示されている領域の被写体を、被写体追尾のターゲットとして設定する。ここで、被写体追尾とは、ターゲットとして設定した被写体を異なる画像間で追尾する処理をいう。被写体追尾の具体的な手法としては様々な方法が知られており、本実施形態では、これら既に知られている様々な被写体追尾の手法を採用することができる。
【0036】
被写体追尾の技術は、一般的には、画像の撮影時に所望の被写体にオートフォーカス(AF)や自動露光(AE)のためのエリアを合わせ続けるために利用されるが、本実施形態では、画像を拡大表示した状態でコマ送り操作やコマ戻し操作を行う場合に、この被写体追尾の技術を利用する。つまり、画像を拡大表示した状態でコマ送り操作やコマ戻し操作を行う際に、被写体追尾の技術を利用して異なる画像間で所望の被写体を追尾し、被写体の位置を拡大表示し続ける処理が、上述した拡大追尾コマ送り・コマ戻しである。なお、本実施形態に係るデジタルカメラが、画像の撮影時に所望の被写体にオートフォーカス(AF)や自動露光(AE)のためのエリアを合わせ続けるための被写体追尾の機能(撮影時被写体追尾手段)を備える場合、拡大追尾コマ送り・コマ戻しのための被写体追尾の方法は、撮影時被写体追尾手段と共通の方法であることが望ましい。これにより、撮影時被写体追尾手段のプログラムを流用して拡大追尾コマ送り・コマ戻しのための被写体追尾を実現することができるので、実装する被写体追尾用のプログラムのデータ量およびこれを格納するROM90に要求される容量を削減し、コストの低減を図ることができる。
【0037】
以下では、一例として、一般的なテンプレートマッチングによる被写体追尾を行うものとして説明する。この場合、ターゲット設定手段101は、ユーザによりディスプレイスイッチ24が長押しする操作が行われたときにLCDモニタ12に拡大表示されている領域から、画像の特徴量(例えば、明るさや色の特徴、明るさや色が大きく変化しているエッジ部分、エッジ部分の連続から特定される被写体の形状など)を抽出し、抽出した画像の特徴量をテンプレートとして、例えばSDRAM70などに格納する処理を行う。この処理が、被写体追尾のターゲット設定に相当する。
【0038】
なお、本実施形態では、拡大追尾コマ送り・コマ戻しが可能な状態に移行するための操作としてディスプレイスイッチ24の長押しを例示しているが、拡大追尾コマ送り・コマ戻しが可能な状態に移行するための操作は特にこの例に限定されるものではなく、予め所定の操作を、拡大追尾コマ送り・コマ戻しが可能な状態に移行するための操作として定めておけばよい。また、本実施形態では、ユーザによる右スイッチ21の操作や左/画像確認スイッチ20の操作に応じて表示対象の画像が切り替わるものとして説明するが、このようなユーザの操作によらず、例えば、デジタルカメラが所定時間ごとに表示対象の画像を自動的に切り替えるようにしてもよい。
【0039】
検出手段102は、ターゲット設定手段101により被写体追尾のターゲットが設定された後、第1の画像に代えて他の画像(第2の画像)をLCDモニタ12に表示する操作がなされた場合に、第2の画像の中でターゲット設定手段101により設定されたターゲットを写した領域を検出する処理を行う。
【0040】
具体的には、拡大追尾コマ送り・コマ戻しが可能な状態で、ユーザにより操作部100の右スイッチ21が操作(コマ送り操作)されると、検出手段102は、第1の画像の次の画像(つまり、時間軸上で第1の画像の次に撮影された画像)を表示対象の画像として特定する。また、拡大追尾コマ送り・コマ戻しが可能な状態で、ユーザにより操作部100の左/画像確認スイッチ20が操作(コマ戻し操作)されると、検出手段102は、第1の画像の前の画像(つまり、時間軸上で第1の画像の前に撮影された画像)を表示対象の画像として特定する。そして、検出手段102は、ターゲット設定手段101によりSDRAM70などに格納されたテンプレートを読み出し、表示対象の画像の中で、このテンプレートで示される特徴量に近い特徴量を持つ領域を、ターゲットとなる被写体を写した領域として検出する。
【0041】
表示制御手段103は、LCDモニタ12に表示中の画像内の一部の領域をLCDモニタ12に拡大表示する処理を行う。具体的には、表示制御手段103は、再生モード時にある画像がLCDモニタ12に表示されている状態で、ユーザにより操作部100のズームボタン(WIDE)14やズームボタン(TELE)15、左/画像確認スイッチ20、右スイッチ21、下/マクロスイッチ22、上/ストロボスイッチ23などの操作が行われると、これらの操作により指定された領域の位置を特定するための座標情報や拡大率の情報などを指定して、表示出力制御部66に対して拡大表示の命令を出力する。これにより、ユーザにより指定された領域の表示用データが表示出力制御部66からLCDモニタ12に出力され、ユーザにより指定された領域がLCDモニタ12に拡大表示される。
【0042】
また、表示制御手段103は、拡大追尾コマ送り・コマ戻しが可能な状態に移行した状態で、ユーザにより操作部100の右スイッチ21の操作(コマ送り操作)や左/画像確認スイッチ20の操作(コマ戻し操作)が行われ、検出手段102により次の表示対象の画像内からターゲットを写した領域が検出された場合には、この検出手段102が検出した領域をLCDモニタ12に拡大表示する処理を行う。具体的には、表示制御手段103は、検出手段102により検出された領域をLCDモニタ12に拡大表示するために、検出手段102により検出された領域の位置を特定するための座標情報や拡大率の情報などを指定して、表示出力制御部66に対して拡大表示の命令を出力する。これにより、検出手段102により検出された領域の表示用データが表示出力制御部66からLCDモニタ12に出力され、検出手段102により検出された領域がLCDモニタ12に拡大表示される。
【0043】
拡大追尾コマ送り・コマ戻しが可能な状態においては、ディスプレイスイッチ24が再度長押しされて拡大追尾コマ送り・コマ戻しが可能な状態を抜けるまでの間、右スイッチ21の操作や左/画像確認スイッチ20の操作が行われるたびに、検出手段102および表示制御手段103が上述した処理を繰り返す。これにより、ターゲットとして設定された被写体を写した領域を複数の画像間で追尾しながら拡大表示する処理、つまり、拡大追尾コマ送り・コマ戻しが実現される。このような拡大追尾コマ送り・コマ戻しを行うと、コマ送り操作やコマ戻し操作に応じて、表示対象の画像の中で特に注目したい被写体の領域がLCDモニタ12に拡大表示されるため、ユーザは拡大位置を手動で補正するといった煩雑な操作を行うことなく、注目したい被写体に対するピントの状態や被写体の表情などを効率的に確認することができる。
【0044】
図4は、拡大追尾コマ送り・コマ戻しを行う際にCPU61により実行される処理フローの一例を示すフローチャートである。この図4のフローチャートで示す処理フローは、ある画像の一部をLCDモニタ12に拡大表示している状態で、ユーザがディスプレイスイッチ24を長押しする操作を行った場合に開始される。
【0045】
ステップS101では、CPU61のターゲット設定手段101によって、LCDモニタ12に現在拡大表示されている領域の被写体が、被写体追尾のターゲットとして設定される。具体的には、ターゲット設定手段101は、LCDモニタ12に現在拡大表示されている領域から画像の特徴量を抽出し、抽出した特徴量をテンプレートとしてSDRAM70などに格納する。このステップS101の処理が終了すると、ステップS102に移行する。
【0046】
ステップS102では、CPU61により、操作部100を利用したユーザの何らかの操作がなされたか否かが判定される。そして、何らかの操作がなされた場合は(ステップS102:Yes)、ステップS103に移行し、何の操作もなされていなければ(ステップS102:No)、ステップS102の判定が繰り返される。
【0047】
ステップS103では、CPU61により、ユーザの操作がディスプレイスイッチ24の長押しであるか否かが判定される。そして、ユーザの操作がディスプレイスイッチ24の長押しでなければ(ステップS103:No)、ステップS104に移行し、ディスプレイスイッチ24の長押しであれば(ステップS103:Yes)、図4のフローチャートで示す処理フローが終了する。図4のフローチャートで示す処理フローが終了すると、通常の拡大表示の状態に戻る。
【0048】
ステップS104では、CPU61により、ユーザの操作が右スイッチ21の操作であるか否かが判定される。そして、ユーザの操作が右スイッチ21の操作であれば(ステップS104:Yes)、ステップS105に移行し、右スイッチ21の操作でなければ(ステップS104:No)、ステップS106に移行する。
【0049】
ステップS105では、CPU61の検出手段102によって、現在LCDモニタ12に一部の領域が拡大表示されている画像の次の画像が、表示対象の画像として特定される。このステップS105の処理が終了すると、ステップS108に移行する。
【0050】
ステップS106では、CPU61により、ユーザの操作が左/画像確認スイッチ20の操作であるか否かが判定される。そして、ユーザの操作が左/画像確認スイッチ20の操作であれば(ステップS106:Yes)、ステップS107に移行し、左/画像確認スイッチ20の操作でなければ(ステップS106:No)、拡大追尾コマ送り・コマ戻しが可能な状態において有効な操作ではないため、ステップS102に戻ってユーザの操作有無の判定を繰り返す。
【0051】
ステップS107では、検出手段102により、現在LCDモニタ12に一部の領域が拡大表示されている画像の前の画像が、表示対象の画像として特定される。このステップS107の処理が終了すると、ステップS108に移行する。
【0052】
ステップS108では、検出手段102により、表示対象の画像の中からステップS101で被写体追尾のターゲットとして設定された被写体を写した領域を検出する処理が行われる。具体的には、検出手段102は、ターゲット設定手段101によりSDRAM70などに格納されたテンプレートを読み出して、ステップS105またはステップS107で特定した表示対象の画像の中で、このテンプレートで示される特徴量に近い特徴量を持つ領域を、被写体追尾のターゲットである被写体を写した領域として検出する処理を行う。このステップS108の処理が終了すると、ステップS109に移行する。
【0053】
ステップS109では、CPU61の表示制御手段103により、ステップS105またはステップS107で特定した表示対象の画像から、被写体追尾のターゲットである被写体を写した領域が検出できたか否かが判定される。そして、表示対象の画像から被写体追尾のターゲットである被写体を写した領域が検出できた場合は(ステップS109:Yes)、ステップS110に移行し、検出できなかった場合は(ステップS109:No)、ステップS111に移行する。
【0054】
ステップS110では、表示制御手段103により、ステップS105またはステップS107で特定した表示対象の画像のうち、ステップS109で検出された領域をLCDモニタ12に拡大表示するための命令が、表示出力制御部66に対して出力される。この命令には、表示対象の画像中において拡大表示する領域の位置を特定するための座標情報や、拡大表示の拡大率の情報などが含まれる。拡大率は、例えば、現在LCDモニタ12に一部の領域が拡大表示されている画像中における被写体追尾のターゲットである被写体の大きさと、表示対象の画像中における被写体追尾のターゲットである被写体の大きさとの比率に基づいて、拡大後の被写体の大きさがほぼ同じになるように決定される。このステップS110の処理により、LCDモニタ12の表示画面が更新され、表示対象の画像の中で被写体追尾のターゲットとして設定された被写体を写した領域がLCDモニタ12に拡大表示される。このステップS110の処理が終了すると、ステップS102に戻ってユーザの操作有無の判定が繰り返される。
【0055】
ステップS111では、表示制御手段103により、ステップS105またはステップS107で特定した表示対象の画像のうち、現在LCDモニタ12に一部の領域が拡大表示されている画像中の拡大表示されている領域と同じ位置の領域を同じ拡大率でLCDモニタ12に拡大表示するための命令が、表示出力制御部66に対して出力される。これにより、LCDモニタ12の表示画面が更新され、表示対象の画像の中で、それまで拡大表示されていた画像内の一部の領域と同じ位置の領域が、LCDモニタ12に拡大表示される。このステップS111の処理が終了すると、ステップS102に戻ってユーザの操作有無の判定が繰り返される。
【0056】
なお、以上の説明では、ユーザによる右スイッチ21の操作(コマ送り操作)が行われるたびに、表示対象の画像を現在表示中の画像の次の画像に切り替えるようにしているが、例えば、マルチピクチャフォーマットの形式で1つのファイルとして記録された複数の画像を順次拡大表示する場合には、ファイルの末尾の画像が表示対象となっている状態で右スイッチ21の操作(コマ送り操作)が行われたときに、表示対象の画像を、ファイルの先頭の画像に切り替えるようにしてもよい。
【0057】
次に、具体的な画像例を例示しながら、拡大追尾コマ送り・コマ戻しによりLCDモニタ12に拡大表示される画像の遷移について、図5〜図8を参照しながら説明する。ここでは、連続撮影モードにより、走っている犬を連続撮影した複数の画像について、各画像の犬の顔の部分をユーザが確認しようとしている場合を想定して説明する。
【0058】
図5は、比較対象として、従来の拡大コマ送り・コマ戻しによって複数の画像をLCDモニタ12に順次拡大表示した場合の例を示している。図5(a)は表示対象となる複数の画像の全体像を表し、図5(a)中の破線で示す領域が、LCDモニタ12に拡大表示される領域を示している。また、図5(b)は、LCDモニタ12に実際に拡大表示される画像の遷移例を示している。
【0059】
図5(a)に示すように、従来の拡大コマ送り・コマ戻しでは、画像全体の中でLCDモニタ12に拡大表示する領域が固定されている。このため、例えば左側の画像で拡大表示する領域を犬の顔の部分に合わせたとしても、次の中央の画像では、拡大表示する領域が犬の顔の部分からずれて胴の部分となり、さらに次の右側の画像では、拡大表示する領域が胴の部分からさらにずれて尾の部分となるなど、コマ送り操作を行うたびに、拡大表示する領域が、犬の顔の部分から徐々にずれていってしまう。その結果、図5(b)に示すように、最初は、犬の顔の部分をLCDモニタ12に拡大表示できていても、コマ送り操作を行うたびに、LCDモニタ12に拡大表示される領域が胴の部分、尾の部分といったように徐々にずれていくことになる。なお、コマ戻し操作を行った場合も画像の表示順が逆になるだけで、コマ送り操作を行った場合と同様の結果となる。
【0060】
この場合、ユーザは、中央の画像や右側の画像においても犬の顔の部分を確認できるようにするために、中央の画像の拡大位置や右側の画像の拡大位置を補正する操作を行うことが求められ、ユーザの操作が煩雑になる。
【0061】
図6は、本実施形態に係るデジタルカメラにおいて、拡大追尾コマ送り・コマ戻しによって複数の画像をLCDモニタ12に順次拡大表示した場合の一例を示している。図6(a)は表示対象となる複数の画像の全体像を表し、図6(a)中の破線で示す領域が、LCDモニタ12に拡大表示される領域を示している。また、図6(b)は、LCDモニタ12に実際に拡大表示される画像の遷移例を示している。
【0062】
本実施形態に係るデジタルカメラによる拡大追尾コマ送り・コマ戻しでは、拡大追尾コマ送り・コマ戻しが可能な状態に移行したときにLCDモニタ12に拡大表示されている領域の被写体が、被写体追尾のターゲットとして設定される。そして、コマ送り操作やコマ戻し操作が行われると、次の画像や前の画像の中で、被写体追尾のターゲットとして設定された被写体を写した領域が検出され、検出された領域がLCDモニタ12に拡大表示される。
【0063】
例えば、図6(a)の左側の画像において犬の顔の部分を拡大表示する操作が行われ、図6(b)の左側のように、犬の顔の部分をLCDモニタ12に拡大表示している状態でディスプレイスイッチ24が長押しされたとする。このディスプレイスイッチ24の長押しによって、拡大追尾コマ送り・コマ戻しが可能な状態に移行し、犬の顔の部分が被写体追尾のターゲットとして設定される。その後、右スイッチ21の操作(コマ送り操作)が行われると、図6(a)の中央の画像の中で犬の顔を写した領域が検出され、図6(b)の中央のように、犬の顔の部分がLCDモニタ12に拡大表示される。さらにその後、右スイッチ21の操作(コマ送り操作)が行われると、図6(a)の右側の画像の中で犬の顔を写した領域が検出され、図6(b)の右側のように、犬の顔の部分がLCDモニタ12に拡大表示される。なお、左/画像確認スイッチ20の操作(コマ戻し操作)を行った場合も画像の表示順が逆になるだけで、右スイッチ21の操作(コマ送り操作)を行った場合と同様の結果となる。
【0064】
このように、本実施形態に係るデジタルカメラでは、拡大追尾コマ送り・コマ戻しにより複数の画像をLCDモニタ12に順次拡大表示することで、ユーザに煩雑な操作を要求することなく、極めて簡便な操作によって、複数の画像において注目する被写体(上記の例では犬の顔)を写した領域を、LCDモニタ12に順次拡大表示することができる。したがって、ユーザは、複数の画像の中からベストショットを選ぶための画像の確認などを、効率よく迅速に行うことができる。
【0065】
ところで、図6に示した例では、注目する被写体(犬の顔)の大きさが、表示対象となる複数の画像間でほとんど変化していないが、被写体の挙動などによっては、複数の画像間で注目する被写体の大きさが変化している場合もある。このような場合、画像全体の中の被写体の大きさに合わせて拡大表示の際の拡大率を決定することで、LCDモニタ12に拡大表示される被写体の大きさを、複数の画像間でほぼ同じ大きさにすることができる。
【0066】
図7は、表示対象の複数の画像間で注目する被写体の大きさが変化している場合に、LCDモニタ12に拡大表示される被写体の大きさをほぼ同じ大きさにする例を示している。図7(a)は表示対象となる複数の画像の全体像を表し、図7(a)中の破線で示す領域が、LCDモニタ12に拡大表示される領域を示している。また、図7(b)は、LCDモニタ12に実際に拡大表示される画像の遷移例を示している。
【0067】
例えば、図7(a)の左側の画像において犬の顔の部分を拡大表示する操作が行われ、図7(b)の左側のように、犬の顔の部分をLCDモニタ12に拡大表示している状態でディスプレイスイッチ24が長押しされたとする。このディスプレイスイッチ24の長押しによって、拡大追尾コマ送り・コマ戻しが可能な状態に移行し、犬の顔の部分が被写体追尾のターゲットとして設定される。その後、右スイッチ21の操作(コマ送り操作)が行われると、図7(a)の右側の画像の中で、犬の顔を写した領域が検出される。このとき、図7(a)の右側の画像における犬の顔の大きさは、図7(a)の左側の画像における犬の顔の大きさに比べて大きい。この場合、左側の画像における犬の顔の大きさと、右側の画像における犬の顔の大きさとの比率に応じて、右側の画像における犬の顔を写した領域を拡大表示する際の拡大率を、左側の画像の拡大表示の際の拡大率よりも小さくする。これにより、図7(b)の右側のように、犬の顔の部分が図7(b)の左側とほぼ同じ大きさで、LCDモニタ12に拡大表示される。
【0068】
また、図6に示した例では、連続する3つの画像のそれぞれで注目する被写体(犬の顔)が検出されているが、例えば、動きの速い被写体を連続撮影する場合などでは、注目する被写体が一時的にフレームアウトすることもしばしば生じ、複数の画像のいずれかで注目する被写体が検出できない場合もある。このような場合は、注目する被写体が検出できない画像においては、それまでの表示対象の画像と同じ位置の領域を拡大表示しておく。そして、その後のコマ送り操作またはコマ戻し操作で表示対象の画像が切り替えられたときに、新たな表示対象の画像において注目する被写体が検出できたら、検出した領域を拡大表示すればよい。これにより、注目する被写体が検出できない画像において被写体追尾が途切れてしまい、その後の画像で注目する被写体をターゲットに設定するためのユーザの操作が要求されるといった不都合を有効に抑制し、煩雑な操作をさらに低減できる。
【0069】
図8は、表示対象の複数の画像間で注目する被写体が一時的にフレームアウトし、その後フレームインしている場合に、拡大追尾コマ送り・コマ戻しによってLCDモニタ12に順次拡大表示される画像の一例を示している。図8(a)は表示対象となる複数の画像の全体像を表し、図8(a)中の破線で示す領域が、LCDモニタ12に拡大表示される領域を示している。また、図8(b)は、LCDモニタ12に実際に拡大表示される画像の遷移例を示している。
【0070】
例えば、図8(a)の左側の画像において犬の顔の部分を拡大表示する操作が行われ、図8(b)の左側のように、犬の顔の部分をLCDモニタ12に拡大表示している状態でディスプレイスイッチ24が長押しされたとする。このディスプレイスイッチ24の長押しによって、拡大追尾コマ送り・コマ戻しが可能な状態に移行し、犬の顔の部分が被写体追尾のターゲットとして設定される。その後、右スイッチ21の操作(コマ送り操作)が行われると、図8(a)の中央の画像の中で犬の顔を写した領域を検出する処理が行われるが、図8(a)の中央の画像からは、犬の顔を写した領域が検出できない。このような場合、図8(a)の中央の画像の中で、それまで表示対象の画像とされていた図8(a)の左側の画像において犬の顔を写した領域と同じ位置にある領域を、LCDモニタ12に拡大表示される領域とする。これにより、図8(b)の中央のように、例えば犬の尾の部分がLCDモニタ12に一時的に拡大表示される。
【0071】
さらにその後、右スイッチ21の操作(コマ送り操作)が行われると、図8(a)の右側の画像の中で犬の顔を写した領域を検出する処理が行われる。図8(a)の右側の画像からは、犬の顔を写した領域が検出されるので、この図8(a)の右側の画像の中で、犬の顔を写した領域が、LCDモニタ12に拡大表示される領域とされる。これにより、図8(b)の右側のように、犬の顔の部分がLCDモニタ12に再度拡大表示される。なお、左/画像確認スイッチ20の操作(コマ戻し操作)を行った場合も画像の表示順が逆になるだけで、右スイッチ21の操作(コマ送り操作)を行った場合と同様の結果となる。
【0072】
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態について説明する。本実施形態に係るデジタルカメラは、上述した撮影時被写体追尾手段、すなわち、画像の撮影時に所望の被写体にオートフォーカス(AF)や自動露光(AE)のためのエリアを合わせ続けるための被写体追尾の機能を備えている。そして、本実施形態に係るデジタルカメラは、連続撮影モードにより連続撮影された複数の画像を順次拡大表示する際に、この撮影時被写体追尾手段により追尾した被写体の情報を活用することで、拡大追尾コマ送り・コマ戻しの処理の高速化を実現したものである。なお、デジタルカメラの基本的な構成や動作概要は第1の実施形態と同じであるため、以下、第1の実施形態と重複する説明は省略し、本実施形態に特徴的な部分についてのみ説明する。
【0073】
撮影時被写体追尾手段により被写体を追尾しながら撮影した画像は、その画像データに被写体追尾に関する情報が付加されて記録されることが多い。具体的な例を挙げると、画像データには、例えばExif(Exchangeable Image File)データと呼ばれるメタデータを付加することが可能であり、このExifデータに、撮影時被写体追尾手段による被写体追尾に関する情報を含ませておくことができる。また、連続撮影モードにより連続撮影された複数の画像は、上述したように、一例としてマルチピクチャフォーマットの形式で1つのファイルとして記録されるが、Exifデータは、このファイルに含まれる個々の画像データに対してそれぞれ付加することが可能である。
【0074】
本実施形態では、画像の撮影時に該画像において撮影時被写体追尾手段が追尾した被写体を写した領域を示す座標情報が、Exifデータに含まれているものとする。なお、画像データに付加される情報は、撮影時被写体追尾手段が追尾した被写体を写した領域を特定できる情報であればよく、例えば、予め定めた基準で画像を複数のブロックに分割し、その複数のブロックのうち、撮影時被写体追尾手段が追尾した被写体が含まれるブロックの識別情報などを、座標情報に代えて画像データに付加するようにしてもよい。
【0075】
本実施形態に係るデジタルカメラにおいても、第1の実施形態と同様に、ある画像(第1の画像)の一部をLCDモニタ12に拡大表示している状態で、ユーザによりディスプレイスイッチ24を長押しする操作が行われると、CPU61のターゲット設定手段101により、第1の画像の中でLCDモニタ12に現在拡大表示されている領域の被写体が、拡大追尾コマ送り・コマ戻しのためのターゲットとして設定される。このとき、表示中の画像が連続撮影された複数の画像の1つである場合、本実施形態では、CPU61により、拡大追尾コマ送り・コマ戻しのためのターゲットとして設定された被写体が、撮影時被写体追尾手段が追尾した被写体と同じであるか否かが判断される。
【0076】
具体的には、CPU61は、LCDモニタ12に現在拡大表示されている領域の座標を、第1の画像のExif情報に含まれる座標情報(撮影時被写体追尾手段が追尾した被写体を写した領域を示す座標情報)と比較し、LCDモニタ12に現在拡大表示されている領域が、撮影時被写体追尾手段が追尾した被写体を写した領域と一致するか否かを判断する。ここで、一致とは、これらの領域が完全に一致する場合のみを指すものではなく、これらの領域が同じ被写体を写した領域であると推定できる程度の一致度があればよい。例えば、LCDモニタ12に現在拡大表示されている領域の80%程度が、撮影時被写体追尾手段が追尾した被写体を写した領域と重複していれば、これらの領域が一致すると判断できる。
【0077】
LCDモニタ12に現在拡大表示されている領域が、撮影時被写体追尾手段が追尾した被写体を写した領域と一致すると判定された場合、拡大追尾コマ送り・コマ戻しにおける被写体追尾の処理として、簡易処理が実施される。簡易処理とは、拡大追尾コマ送り・コマ戻しが可能な状態で右スイッチ21の操作(コマ送り操作)や左/画像確認スイッチ20の操作(コマ戻し操作)が行われた場合に、表示対象の画像の中からターゲットの被写体を写した領域を検出する検出手段102による処理を行わず、表示制御手段103が、その表示対象の画像データにExif情報として付加された上述した座標情報を取得して、その座標情報で示される領域をLCDモニタ12に拡大表示させる処理をいう。つまり、本実施形態では、連続撮影された複数の画像を対象として拡大追尾コマ送り・コマ戻しを行う際に、注目する被写体が画像の撮影時に追尾した被写体と同じであれば、その情報を利用して拡大追尾コマ送り・コマ戻しにおける被写体追尾の処理を簡略化し、処理の高速化を図るようにしている。
【0078】
図9は、本実施形態に係るデジタルカメラにおいて、拡大追尾コマ送り・コマ戻しを行う際にCPU61により実行される処理フローの一例を示すフローチャートである。この図9のフローチャートで示す処理フローは、図4に示した処理フローと同様に、ある画像の一部をLCDモニタ12に拡大表示している状態で、ユーザがディスプレイスイッチ24を長押しする操作を行った場合に開始される。
【0079】
ステップS201では、図4のステップS101と同様に、CPU61のターゲット設定手段101によって、LCDモニタ12に現在拡大表示されている領域の被写体が、被写体追尾のターゲットとして設定される。このステップS201の処理が終了すると、ステップS202に移行する。
【0080】
ステップS202では、CPU61により、現在LCDモニタ12に一部の領域が拡大表示されている画像が、連続撮影モードにより連続撮影された複数の画像の1つであるか否かが判定される。この判定は、例えば、当該画像がマルチピクチャフォーマットのファイルから取り出した画像であるか否かで判定すればよい。そして、現在LCDモニタ12に一部の領域が拡大表示されている画像が連続撮影された複数の画像の1つであれば(ステップS202:Yes)、ステップS203に移行し、個別に撮影された画像であれば(ステップS202:No)、ステップS206に移行する。
【0081】
ステップS203では、CPU61により、現在LCDモニタ12に一部の領域が拡大表示されている画像のExifデータに、撮影時被写体追尾手段が追尾した被写体を写した領域を示す座標情報が含まれているか否かが判定される。そして、Exifデータに座標情報が含まれていれば(ステップS203:Yes)、ステップS204に移行し、Exifデータに座標情報が含まれていなければ(ステップS203:No)、ステップS206に移行する。
【0082】
ステップS204では、CPU61により、LCDモニタ12に現在拡大表示されている領域が、撮影時被写体追尾手段が追尾した被写体を写した領域と一致するか否かが判定される。そして、これらの領域が一致する場合は(ステップS204:Yes)、ステップS205に移行し、これらの領域が一致しない場合は(ステップS204:No)、ステップS206に移行する。
【0083】
ステップS205では、CPU61により、簡易処理フラグが1にセットされる。ここで、簡易処理フラグとは、以降の拡大追尾コマ送り・コマ戻しにおける被写体追尾の処理として上述した簡易処理を実施するか否かを示す1ビットの情報であり、簡易処理フラグ=1は簡易処理を実施することを示し、簡易処理フラグ=0は簡易処理を実施しないことを示す。このステップS205の処理が終了すると、ステップS207に移行する。
【0084】
ステップS206では、CPU61により、簡易処理フラグが0にセットされる。このステップS206の処理が終了すると、ステップS207に移行する。
【0085】
ステップS207では、図4のステップS102と同様に、CPU61により、操作部100を利用したユーザの何らかの操作がなされたか否かが判定される。そして、何らかの操作がなされた場合は(ステップS207:Yes)、ステップS208に移行し、何の操作もなされていなければ(ステップS207:No)、ステップS207の判定が繰り返される。
【0086】
ステップS208では、図4のステップS103と同様に、CPU61により、ユーザの操作がディスプレイスイッチ24の長押しであるか否かが判定される。そして、ユーザの操作がディスプレイスイッチ24の長押しでなければ(ステップS208:No)、ステップS209に移行し、ディスプレイスイッチ24の長押しであれば(ステップS208:Yes)、図9のフローチャートで示す処理フローが終了する。図9のフローチャートで示す処理フローが終了すると、通常の拡大表示の状態に戻る。
【0087】
ステップS209では、図4のステップS104と同様に、CPU61により、ユーザの操作が右スイッチ21の操作であるか否かが判定される。そして、ユーザの操作が右スイッチ21の操作であれば(ステップS209:Yes)、ステップS210に移行し、右スイッチ21の操作でなければ(ステップS209:No)、ステップS211に移行する。
【0088】
ステップS210では、図4のステップS105と同様に、CPU61の検出手段102によって、現在LCDモニタ12に一部の領域が拡大表示されている画像の次の画像が、表示対象の画像として特定される。このステップS210の処理が終了すると、ステップS213に移行する。
【0089】
ステップS211では、図4のステップS106と同様に、CPU61により、ユーザの操作が左/画像確認スイッチ20の操作であるか否かが判定される。そして、ユーザの操作が左/画像確認スイッチ20の操作であれば(ステップS211:Yes)、ステップS212に移行し、左/画像確認スイッチ20の操作でなければ(ステップS211:No)、拡大追尾コマ送り・コマ戻しが可能な状態において有効な操作ではないため、ステップS207に戻ってユーザの操作有無の判定を繰り返す。
【0090】
ステップS212では、図4のステップS107と同様に、検出手段102により、現在LCDモニタ12に一部の領域が拡大表示されている画像の前の画像が、表示対象の画像として特定される。このステップS212の処理が終了すると、ステップS213に移行する。
【0091】
ステップS213では、表示制御手段103により、簡易処理フラグの値が1となっているか否かが判定される。そして、簡易処理フラグの値が0の場合は(ステップS213:No)、ステップS214に移行し、簡易処理フラグの値が1となっている場合は(ステップS213:Yes)、ステップS218に移行する。
【0092】
ステップS214では、図4のステップS108と同様に、検出手段102により、表示対象の画像の中からステップS201で被写体追尾のターゲットとして設定された被写体を写した領域を検出する処理が行われる。このステップS214の処理が終了すると、ステップS215に移行する。
【0093】
ステップS215では、図4のステップS109と同様に、CPU61の表示制御手段103により、ステップS210またはステップS212で特定した表示対象の画像から、被写体追尾のターゲットである被写体を写した領域が検出できたか否かが判定される。そして、表示対象の画像から被写体追尾のターゲットである被写体を写した領域が検出できた場合は(ステップS215:Yes)、ステップS216に移行し、検出できなかった場合は(ステップS215:No)、ステップS217に移行する。
【0094】
ステップS216では、図4のステップS110と同様に、表示制御手段103により、ステップS210またはステップS212で特定した表示対象の画像のうち、ステップS215で検出された領域をLCDモニタ12に拡大表示するための命令が、表示出力制御部66に対して出力される。このステップS216の処理により、LCDモニタ12の表示画面が更新され、表示対象の画像の中で被写体追尾のターゲットとして設定された被写体を写した領域がLCDモニタ12に拡大表示される。このステップS216の処理が終了すると、ステップS207に戻ってユーザの操作有無の判定が繰り返される。
【0095】
ステップS217では、図4のステップS111と同様に、表示制御手段103により、ステップS210またはステップS212で特定した表示対象の画像のうち、現在LCDモニタ12に一部の領域が拡大表示されている画像中の拡大表示されている領域と同じ位置の領域を同じ拡大率でLCDモニタ12に拡大表示するための命令が、表示出力制御部66に対して出力される。これにより、LCDモニタ12の表示画面が更新され、表示対象の画像の中で、それまで拡大表示されていた画像内の一部の領域と同じ位置の領域が、LCDモニタ12に拡大表示される。このステップS217の処理が終了すると、ステップS207に戻ってユーザの操作有無の判定が繰り返される。
【0096】
ステップS218では、表示制御手段103により、ステップS210またはステップS212で特定した表示対象の画像のExifデータに、撮影時被写体追尾手段が追尾した被写体を写した領域を示す座標情報が含まれているか否かが判定される。そして、Exifデータに座標情報が含まれていれば(ステップS218:Yes)、ステップS219に移行し、Exifデータに座標情報が含まれていなければ(ステップS218:No)、ステップS220に移行する。
【0097】
ステップS219では、表示制御手段103により、ステップS210またはステップS212で特定した表示対象の画像のうち、Exifデータに含まれる座標情報によって指定される領域をLCDモニタ12に拡大表示するための命令が、表示出力制御部66に対して出力される。このステップS219の処理により、LCDモニタ12の表示画面が更新され、表示対象の画像の中で被写体追尾のターゲットとして設定された被写体を写した領域がLCDモニタ12に拡大表示される。このステップS219の処理が終了すると、ステップS207に戻ってユーザの操作有無の判定が繰り返される。
【0098】
ステップS220では、表示制御手段103により、ステップS210またはステップS212で特定した表示対象の画像のうち、現在LCDモニタ12に一部の領域が拡大表示されている画像中の拡大表示されている領域と同じ位置の領域を同じ拡大率でLCDモニタ12に拡大表示するための命令が、表示出力制御部66に対して出力される。これにより、LCDモニタ12の表示画面が更新され、表示対象の画像の中で、それまで拡大表示されていた画像内の一部の領域と同じ位置の領域が、LCDモニタ12に拡大表示される。このステップS220の処理が終了すると、ステップS207に戻ってユーザの操作有無の判定が繰り返される。
【0099】
以上説明したように、本実施形態に係るデジタルカメラでは、連続撮影モードにより連続撮影された複数の画像に対して拡大追尾コマ送り・コマ戻しを行う際に、これらの画像が撮影時に被写体追尾を行ったものであり、画像中で追尾した被写体を写した領域を特定する座標情報などの追尾領域特定情報が画像データに付加されている場合には、この追尾領域特定情報を利用する。すなわち、拡大追尾コマ送り・コマ戻しが可能な状態への移行時に設定されたターゲットの被写体が撮影時の被写体と同じであれば、コマ送り操作やコマ戻し操作に応じて、表示対象の画像に付加された追尾領域特定情報により指定される領域を順次拡大する簡易処理を行うことで、テンプレートマッチングなどにより表示対象の画像からターゲットの被写体を写した領域を検出する処理を省略できるようにしている。このように、本実施形態に係るデジタルカメラによれば、拡大追尾コマ送り・コマ戻しの処理の中で特に処理負荷の高いテンプレートマッチングなどの処理を省略できるので、拡大追尾コマ送り・コマ戻しの処理を高速化することができる。
【0100】
以上、本発明の具体的な実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。例えば、実施形態に係るデジタルカメラの構成や動作はあくまで一例であり、用途や目的に応じて様々な変形が可能である。
【0101】
また、以上説明した実施形態は、画像を撮影する撮像手段を備えたデジタルカメラに対して本発明を適用した例であるが、本発明は、撮像手段を備えず、メモリカードなどの記録媒体から読み出した画像や、直接接続された他の装置から取得した画像、通信回線経由で他の装置から取得した画像などを表示手段に表示する構成の画像表示装置に適用することもできる。この場合、画像表示装置の動作を制御するCPUにおいて所定の制御プログラムを実行する、あるいはASICやFPGAなどの専用のハードウェアを用いて、上述したターゲット設定手段101、検出手段102および表示制御手段103の機能を画像表示装置に実現させる。これにより、上述したデジタルカメラと同様の拡大追尾コマ送り・コマ戻しの処理を画像表示装置において実行することができ、上述した例と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0102】
12 LCDモニタ
20 左/画像確認スイッチ
21 右スイッチ
24 ディスプレイスイッチ
30 CMOSセンサ
40 AFE
60 信号処理IC
61 CPU
70 SDRAM
80 メモリカード
100 操作部
101 ターゲット設定手段
102 検出手段
103 表示制御手段
【先行技術文献】
【特許文献】
【0103】
【特許文献1】特開2008−167067号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を撮影する撮像手段と、
撮影された画像を表示する表示手段と、
第1の画像に含まれる領域のうち、指定された第1の領域を前記表示手段に拡大表示する表示制御手段と、
前記第1の領域内の被写体を被写体追尾のターゲットとして設定するターゲット設定手段と、
前記第1の画像に代えて前記表示手段に表示することが指定された第2の画像内の前記ターゲットを写した領域である第2の領域を検出する検出手段と、を備え、
前記表示制御手段は、前記第2の領域を前記表示手段に拡大表示することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記第1の画像および前記第2の画像は、1回の撮影指示の操作に応じて連続して撮影された画像であることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記表示制御手段は、前記第1の画像における前記ターゲットの大きさと前記第2の画像における前記ターゲットの大きさとの比率に基づいて、前記第2の領域を前記表示手段に拡大表示する際の拡大率を決定することを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記表示制御手段は、前記第2の画像内から前記第2の領域が検出されない場合に、前記第2の画像内の前記第1の領域と同じ位置の領域を前記表示手段に拡大表示することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記表示制御手段は、前記第2の画像内の前記第1の領域と同じ位置の領域を前記表示手段に拡大表示している状態で、前記第2の画像に代えて前記表示手段に表示することが指定された第3の画像内の前記ターゲットを写した領域である第3の領域が検出された場合に、前記第3の領域を前記表示手段に拡大表示することを特徴とする請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記撮像手段が画像を撮影する際に被写体を追尾する撮影時被写体追尾手段をさらに備え、
前記検出手段は、前記撮影時被写体追尾手段と共通の方法により前記第2の画像内から前記第2の領域を検出することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記撮像手段が画像を撮影する際に被写体を追尾する撮影時被写体追尾手段をさらに備え、
前記撮影手段が撮影した画像は、該画像において前記撮影時被写体追尾手段が追尾した被写体を写した領域を特定する追尾領域特定情報が付加されており、
前記表示制御手段は、前記表示手段に拡大表示された前記第1の領域と、前記第1の画像に付加された前記追尾領域特定情報から特定される領域とが一致する場合に、前記第2の画像に付加された前記追尾領域特定情報から特定される前記第2の画像の領域を前記表示手段に拡大表示することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項8】
画像を表示する表示手段と、
第1の画像に含まれる領域のうち、指定された第1の領域を前記表示手段に拡大表示する表示制御手段と、
前記第1の領域内の被写体を被写体追尾のターゲットとして設定するターゲット設定手段と、
前記第1の画像に代えて前記表示手段に表示することが指定された第2の画像内の前記ターゲットを写した領域である第2の領域を検出する検出手段と、を備え、
前記表示制御手段は、前記第2の領域を前記表示手段に拡大表示することを特徴とする画像表示装置。
【請求項9】
画像を表示する表示手段を備えた装置により実行される画像表示方法であって、
第1の画像に含まれる領域のうち、指定された第1の領域を前記表示手段に拡大表示するステップと、
前記第1の領域内の被写体を被写体追尾のターゲットとして設定するステップと、
前記第1の画像に代えて前記表示手段に表示することが指定された第2の画像内の前記ターゲットを写した領域である第2の領域を検出するステップと、
前記第2の領域を前記表示手段に拡大表示するステップと、を含むことを特徴とする画像表示方法。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図1−3】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−231415(P2012−231415A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−99911(P2011−99911)
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】