説明

撮像装置およびその制御方法およびプログラム

【課題】 撮像装置が画像を撮影しながら、電子アルバムを作成するときに、電子アルバムに配置するのに最適な画像を簡単に撮影できるようにすることを目的とする。
【解決手段】 撮影する画像を挿入するための電子アルバムのページ上の枠を指定した後、被写体を撮影する。撮影された画像に対して顔検出処理を行い、検出された顔領域が指定された枠の警告エリアに重なっているかどうか判定する。判定の結果、重なっているときは、警告を通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を撮影して電子アルバムに配置する撮像装置およびその制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像を撮影しながら、アルバム編集を同時に行い、アルバムのページ上に撮影する被写体の画像を表示することが行われている(特許文献1参照)。
【0003】
また、パーソナルコンピュータを用いて電子アルバムのレイアウトを編集する時に、電子アルバムを印刷して製本した場合に、裁ち落とされるページの端部(以下、小口部と呼ぶ。)や綴じられるページ中央部(以下、ノド部と呼ぶ)の存在を通知する。そして、画像の主要な被写体がこれらの部分に重なって配置され、製本印刷したときに無くなったり、隠れたりするのを防ぐことが行われている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−316131号公報
【特許文献2】特開2007−172238号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、撮影済みの画像の主要な被写体を、電子アルバムののどや小口に重ならないように配置するために、リサイズしたりトリミングをすると、画像の解像度が低くなって画質が低下したり、画像の構図が撮影者の意図と変わってしまうという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、電子アルバムに配置するのに最適な画像を簡単に撮影できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明の1つは、被写体を撮影して画像を取得して記録媒体に保存し、前記画像を電子アルバムのページに配置する撮像装置であって、撮影される画像を挿入する枠を指定する指定手段と、前記撮影された画像から所定の被写体を検出する検出手段と、前記検出された被写体と前記指定された枠とに基づいて、前記検出された被写体が前記指定された枠の所定のエリアと重なるかどうかを判定する判定手段と、前記判定の結果、前記検出された被写体が前記所定のエリアと重なるとき、警告を通知する通知手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電子アルバムに配置するのに最適な画像を簡単に撮影できるようになるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施例に係る撮像装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施例に係るアルバムデータの構造を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施例に係る撮像装置の動作の手順を示すフローチャート図である。
【図4】本発明の一実施例に係る電子アルバムのページ毎のレイアウトを示すブロック図である。
【図5】本発明の一実施例に係る撮像装置のLCD表示部に表示される画面を示すブロック図である。
【図6】本発明の一実施例に係る撮像装置の動作の手順を示すフローチャート図である。
【図7】本発明の一実施例に係る撮像装置のLCD表示部に表示される画面を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0011】
(第1の実施例)
本実施例における撮像装置の内部構成を図1のブロック図を参照して説明する。撮像部101は複数のレンズによる光学系とセンサによって構成される。LCD表示部102は撮像中に撮像部101からの画像を表示したり、既に記録されている画像を読み出して表示する。またLCD表示部102は、ROM106からアルバムデータを読み出し、アルバムの概要を表示する。被写体検出部103は撮像部101から取得された画像に対して被写体検出処理を行い、被写体の大きさや位置等のデータをRAM107に出力する。本実施例では、被写体検出部103は顔検出処理を行う。なお、以下では、所定の被写体として人物の顔を検出する場合を説明するが、顔以外の物体を検出するようにしてもよい。操作部104は撮影者からの指示を操作ボタン等で受け付ける。CPU105は撮像装置100の全体の制御処理、演算を行う。ROM106は撮像装置100が実行するプログラムデータやアルバムデータ等を保持する。RAM107は撮像装置100全体の処理に用いられる一時データを保持する。メモリスロット108は記録媒体、例えばメモリカード109とのインターフェースとなり、メモリカード109に対して撮像部101からの画像の書き込みや読み出しを行う。101〜108の各モジュールはバスによって接続され、各種データのやり取りを行う。
【0012】
本実施例の撮像装置100は、さらに、撮影画像をアルバムデータと関連付けて記録することにより、画像を撮影しながら電子アルバムを作成する。本実施例のアルバムデータはXML形式を有し、図2(a)にアルバムデータの構造の一例を示す。図2(a)では、アルバムデータ全体が第一階層の<Album>要素として管理されている。また、第二階層に<AlbumAttribute>要素が存在し、<Size>、<Design>要素を含み、アルバムデータ全体に影響を与える情報が管理されている。そして、同じく第二階層に<page>要素が連なっている。<page>要素にはページ番号を示すNumber属性が付与されており、アルバムデータを構成するページ単位の情報が管理されている。各<page>要素は、ページ内の画像挿入枠を管理するための<PictureFrame>要素を第三階層の要素として有している。<PictureFrame>要素は、ページ内で定義される画像挿入枠の数だけ存在する。図2は1ページ目に2つの画像挿入枠が存在することを示している。各<PictureFrame>要素には、ページ内での画像挿入枠を一意に識別するために、ID属性が付与されている。また、<FileName>、<CoordinateX>、<CoordinateX>、<Height>、<Width>の5つの要素を第四階層の要素として管理している。これらはそれぞれ、各画像挿入枠に挿入される画像データのファイル名、画像挿入枠のページ内での場所を示すX座標およびY座標、画像挿入枠の高さおよび幅の情報が管理されている。さらに、本実施例のアルバムデータは、画像挿入枠ごとに警告エリア情報も管理されている。警告エリア情報は、画像挿入枠に含まれるページの小口部やノド部の場所を示し、小口部やノド部の場所は画像挿入枠が電子アルバムのページ上で配置される場所に応じて決まる。
【0013】
撮像装置100のCPU105は、図2(a)に示すアルバムデータを解釈することにより、図2(b)に示すような電子アルバムの見開きページ201をLCD表示部102に表示する。電子アルバムの見開き1および2ページに、見開きページ201の左上を原点とし、対応する座標に4つの画像挿入枠が存在し、1ページ目の左上の画像挿入枠にはすでに画像が挿入されて表示されている。また、1ページ目と2ページ目の間には、境界線202が描画されている。
【0014】
撮像装置100において、被写体を撮影し、撮影された画像を用いて電子アルバムを作成する動作を図3のフローチャートを参照して説明する。以下の動作は、撮像装置100が起動して撮影モードとなり、CPU105が各種モジュールを制御することにより実現される。
【0015】
まず、CPU105は、これから撮影する画像を挿入するための電子アルバムの画像挿入枠を指定する(S301)。ここで、CPU105はアルバムデータをROM106から読み出して電子アルバムのレイアウトを図4に示すように、見開きページ毎に画像挿入枠のレイアウトをLCD表示部102に順に表示し、撮影者に所望の画像挿入枠を選択させる。図4(a)は見開き1&2ページのレイアウトを示し、4つの画像挿入枠が背景画像の上に配置され、すべての画像挿入枠411がノド部や小口部と重なっていない。図4(b)は見開き3&4ページのレイアウトを示し、2つの画像挿入枠が背景画像の上に配置され、画像挿入枠421の上端、下端と右端がページの端となるため小口部と重なっている。図4(c)は見開き5&6ページのレイアウトを示し、1つの画像挿入枠が全面に配置され、画像挿入枠431の周囲がページの端となるため小口部と重なり、画像挿入枠431の中央がページの境界となるためノド部と重なっている。なお、図4では既に画像が挿入されている画像挿入枠には、対応する画像を表示してもよい。本実施例では、図4(c)の画像挿入枠431が選択されたとする。CPU105は選択された画像挿入枠431の警告エリア情報に基づいて、警告エリアの場所を取得する(S302)。画像挿入枠431は中央にノド部が存在し、周囲に小口部が存在するので、これらの場所が警告エリアとなる。
【0016】
次に、撮影者の操作に応答して、CPU105が撮像処理を開始し(S303)、LCD表示部102に図5(a)に示すように、スルー画像511にステップS302において取得された警告エリア512を重畳して表示する。これにより、撮影者は電子アルバムのページ上での警告エリアを確認しながら、画像の構図を決めることができる。次に、撮影者のピント合わせの操作に応答して、CPU105は被写体検出部103によって、撮像部101から送られるスルー画像に対する顔検出処理を行う(S304)。そして、CPU105は顔検出処理で検出された顔領域が警告エリアと重なっているかどうかを判定する(S305)。ステップS305の判定の結果、重なりがある場合はLCD表示部102に警告を表示する(S306)。具体的には、警告エリアと重なる顔領域に警告マーク521を表示したり、顔領域と重なる警告エリア522を点滅して表示したり、警告メッセージを表示することにより撮影者に警告する。これにより、撮影者は構図を変更し、被写体の顔が電子アルバムを製本印刷したときに隠れてしまうような不具合を事前に回避することができる。その後、撮影者のレリーズの操作があったかどうかを判定する(S307)。ステップS307の判定の結果、レリーズ操作があった場合は、被写体を撮影して撮影画像をRAM107に一時保存し、撮影画像に対して顔検出処理を行う(S308)。そして、CPU105はステップS308で検出された顔領域が警告エリアと重なっているかどうかを判定する(S309)。ステップS309の判定の結果、重なりがあった場合、一時保存された撮影画像を破棄して撮影し直すかどうかを問い合わせるダイアログをLCD表示部102に表示し、撮影し直すかどうか判定する(S310)。撮影者の撮り直し指示の操作があった場合、撮影し直すと判定して、一時保存された画像を破棄し、ステップS303の処理に戻る。ステップS309の判定の結果、重なりがない場合、またはステップS310の判定の結果、撮影者が撮り直ししない場合、一時保存された撮影画像をメモリスロット108を介してメモリカード109に保存する(S311)。このとき、撮影画像はアルバムデータのステップS301で選択された画像挿入枠のID属性と関連づけて保存される。
【0017】
なお、本実施例では警告を表示するように説明したが、音を鳴らすことで警告するようにしてもよい。
【0018】
以上のように、本実施例によれば、撮影者は撮像装置で画像を撮影するときに、撮影画像を電子アルバムにレイアウトして製本印刷したときに最適な構図を確認することができるので、電子アルバムに配置するのに最適な画像を簡単に撮影することができる。
【0019】
(第2の実施例)
第1の実施例では、撮影者が警告にしたがって構図を変更する場合について説明したが、本実施例では撮像装置が自動的に構図を変更する場合について説明する。以下、第1の実施例と同様の構成については説明を省略し、本実施例に特有の構成について詳細に説明する。
【0020】
撮像装置100において、被写体を撮影し、撮影された画像の構図を自動的に変更して電子アルバムを作成する動作を図6のフローチャートを参照して説明する。以下の動作は、撮像装置100が起動して撮影モードとなり、CPU105が各種モジュールを制御することにより実現される。まず、第1の実施例と同様にステップS301からステップS306の処理を実行する。そして、CPU105は、撮影者の顔再配置レリーズ指示があったかどうか判定する(S607)。顔再配置レリーズ指示は、操作者が通常のレリーズ指示を入力するためのシャッターボタンとは異なる、顔再配置レリーズ指示を入力するためのボタンを押し下げることにより行われる。ステップS607の判定の結果、顔再配置レリーズ指示があった場合は、CPU105はスルー画像に対する顔検出処理を再度、行い(S608)、ステップS608の顔検出処理で検出された顔領域が警告エリアと重なっているかどうかを判定する(S609)。図7(a)では顔711がノド部712と重なっていると判定される。S609の判定の結果、重なっている場合は、CPU105はズーム倍率を変更し、図7(b)に示すようにスルー画像を拡大または縮小してノド部または小口部に顔領域が重ならないように調整してから撮影し、撮影画像をRAM107に一時保存する(S610)。ステップS610で、条件に合う撮影画像が保存されたかどうか判定する(S611)。ステップS611の判定の結果、撮影画像が保存されていなければ、画像挿入枠に最適な画像を撮影するのが不可能である旨を通知する(S612)。ステップS611の判定の結果、撮影画像が保存されていれば、一時保存された撮影画像のうち顔領域の面積が最も大きいものを選択する(S613)。CPU105は、選択された撮影画像をメモリスロット108を介してメモリカード109に保存する(S614)。このとき、撮影画像はアルバムデータのステップS301で選択された画像挿入枠のID属性と関連づけて保存される。
【0021】
なお、ステップS613では撮影画像のうち、顔領域の面積が最も大きいものを選択するようにしたが、これに限らず、顔領域が撮影画像で占める割合を画像挿入枠ごとに予め設定しておき、その割合に最も近い撮影画像を選択するようにしてもよい。あるいは、撮影者が事前に設定した条件に最も合致する撮影画像を選択するようにしてもよい。
また、ステップS610ではズーム倍率を調整して撮影するようにしたが、撮像部101の光学系を利用し、光軸をずらして撮影するようにしてもよい。
【0022】
以上のように、本実施例によれば、撮像装置で画像を撮影するときに、撮影画像を電子アルバムにレイアウトして製本印刷したときに最適な構図に変更して撮影を行うので、撮影者は電子アルバムに配置するのに最適な画像を手間をかけずに撮影することができる。
【0023】
(他の実施形態)
なお、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮影して画像を取得して記録媒体に保存し、前記画像を電子アルバムのページに配置する撮像装置であって、
撮影される画像を挿入する枠を指定する指定手段と、
前記撮影された画像から所定の被写体を検出する検出手段と、
前記検出された被写体と前記指定された枠とに基づいて、前記検出された被写体が前記指定された枠の所定のエリアと重なるかどうかを判定する判定手段と、
前記判定の結果、前記検出された被写体が前記所定のエリアと重なるとき、警告を通知する通知手段とを備えたことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記所定のエリアは、前記画像が前記電子アルバムのページに挿入される位置に応じて予め設定されたものであることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記所定の被写体は人物の顔であることを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
被写体を撮影して画像を取得して記録媒体に保存し、前記画像を電子アルバムのページに配置する撮像装置であって、
撮影される画像を挿入する枠を指定する指定手段と、
前記撮影された画像から所定の被写体を検出する検出手段と、
前記指定された枠と前記検出された被写体とに基づいて、前記検出された被写体が前記指定された枠の所定のエリアと重なるかどうかを判定する判定手段と、
前記判定の結果、前記検出された被写体が前記所定のエリアと重なるとき、ズーム倍率を調整して撮影する調整手段と、
前記検出手段は、前記調整して撮影された画像から所定の被写体を検出し、前記判定の結果、前記検出された被写体が前記所定のエリアと重ならないとき、前記調整して撮影された画像を前記記録媒体に保存する保存手段とを備えたことを特徴とする撮像装置。
【請求項5】
被写体を撮影して画像を取得して記録媒体に保存し、前記画像を電子アルバムのページに配置する撮像装置の制御方法であって、
撮影される画像を挿入する枠を指定するステップと、
前記撮影された画像から所定の被写体を検出するステップと、
前記検出された被写体と前記指定された枠とに基づいて、前記検出された被写体が前記指定された枠の所定のエリアと重なるかどうかを判定するステップと、
前記判定の結果、前記検出された被写体が前記所定のエリアと重なるとき、警告を通知するステップとを備えたことを特徴とする制御方法。
【請求項6】
被写体を撮影して画像を取得して記録媒体に保存し、前記画像を電子アルバムのページに配置する撮像装置のコンピュータに、
撮影される画像を挿入する枠を指定するステップと、
前記撮影された画像から所定の被写体を検出するステップと、
前記検出された被写体と前記指定された枠とに基づいて、前記検出された被写体が前記指定された枠の所定のエリアと重なるかどうかを判定するステップと、
前記判定の結果、前記検出された被写体が前記所定のエリアと重なるとき、警告を通知するステップとを実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−119945(P2011−119945A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−274963(P2009−274963)
【出願日】平成21年12月2日(2009.12.2)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】