説明

撮像装置およびその制御方法

【課題】被写体の画像データを記録しつつ被写体検出を行う際、処理負荷の増加により被写体検出処理が中断しないように防止する。
【解決手段】撮像装置は、撮像素子103による被写体の画像データの記録処理を行う記録I/F部112と、被写体の画像データを解析して被写体検出処理を行う被写体解析部114を備える。第1メモリ121は、画像データと、記録処理および被写体検出処理に用いるデータを記憶する。第2メモリ122は、被写体解析部114が被写体検出処理に用いるデータを記憶する負荷分散用メモリの機能をもつ。記録処理中に処理負荷が閾値より大きくなった場合、パワー制御部119は第2メモリ制御部120を介して第2メモリを動作させることで被写体解析部によるアクセスを可能とし、記録処理中に処理負荷が閾値以下になった場合、第2メモリを不動作とし、被写体解析部は第1メモリへのアクセスを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は被写体の画像データを記録しつつ被写体検出を行う際に用いる複数の記憶手段を備える撮像装置にてメモリ帯域を効率化する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラやデジタルビデオカメラは、高解像度化および処理の高速化が進んでおり、システム内で共有するメモリへのアクセス帯域が逼迫し、操作応答性への影響が懸念されている。例えば、高機能化に関して被写体の検出、認識、属性(表情等)の解析についても高い精度が要求されるため、メモリへのアクセス頻度が多くなり、かつ高解像度記録処理との競合により応答性が低下することが考えられる。そこで、充分な帯域を確保するためにシステムの駆動クロック信号の周波数を上げて高速化した場合、消費電力の増加という新たな問題が生じる。
特許文献1に開示の装置では、電力消費や制御負荷による動作遅延を回避するため、再生モードにおける映像中の顔の有無情報により次回撮影時の顔検出フラグのON・OFFを切り換えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−187524号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の装置では、被写体の検出処理と高解像度の記録処理との間でメモリアクセスの競合が生じることにより、必要な帯域を確保できない可能性があるという問題が生じる。
図2(A)は処理帯域と合焦度、被写体検出結果の関係を例示した図である。横軸は時間軸であり、縦軸にはメモリの処理帯域301、合焦度302を示す。処理帯域301では記録および表示処理に係るグラフを実線で示し、被写体検出処理に係るグラフを点線で示し、全体の処理に係るグラフを1点鎖線で示す。また被写体検出結果303については、検出処理が行われたことを「検出」で示し、検出処理が中断されたことを「打ち切り」で示す。FR0およびFR1は記録開始前のフレームを示し、FR2からFR6は記録開始後のフレームを示している。FR0からFR4までの撮影画像は被写体にピントが合っておらず合焦度が低く、FR5およびFR6の撮影画像は被写体にピントが合った状態であり、合焦度が高い。
FR0およびFR1のフレームで示す記録トリガ前(ライブビュー)には、記録および表示処理に要する処理帯域は狭い。被写体にピントが合っていない場合、被写体検出の難易度が高く、メモリへのアクセス量が増えるため、フレーム周期ごとに検出結果を更新する際の処理帯域が広い。そこへ記録トリガがかかった際には、記録および表示用の処理帯域が上昇するので、記録処理中に全体の必要帯域が上限値を越えてしまう場合がある(FR2からFR4参照)。結果として被写体検出はできなくなり、「打ち切り」となる。
この問題を解決するために、顔等の検出解像度を低くする方法や、処理周期を長くする方法、検出機能をオフにする方法が考えられる。しかし、これではカメラとしての機能低下につながる。また、別の解決方法として、メモリの増設や、駆動周波数を上げる方法もあるが、消費電力が増加するというデメリットがある。
そこで本発明は、被写体の画像データを記録しつつ被写体検出を行う際、処理負荷の増加により被写体検出処理が中断しないように防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために本発明に係る装置は、撮像素子による被写体の画像データの記録処理を行う記録処理手段と、前記被写体の画像データを解析して被写体検出処理を行う被写体解析手段と、前記画像データと、前記記録処理および前記被写体検出処理に用いるデータを記憶する第1記憶手段と、前記被写体解析手段が前記被写体検出処理に用いるデータを記憶する第2記憶手段と、記録処理中の前記被写体検出処理に係る処理負荷に応じて前記第2記憶手段の動作および不動作を制御する制御手段を備える。前記制御手段は、記録処理中に前記被写体検出処理に係る処理負荷が閾値より大きくなった場合、前記第2記憶手段を動作させることで前記被写体解析手段によるアクセスを可能とし、また記録処理中に前記被写体検出処理に係る処理負荷が閾値以下になった場合、前記第2記憶手段を不動作として前記被写体解析手段が前記第1記憶手段にアクセスを行うように制御する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、被写体の画像データを記録しつつ被写体検出を行う際、処理負荷の増加により被写体検出処理が中断しないように防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施形態に係る撮像装置の要部の構成例を示す図である。
【図2】被写体検出処理の打ち切りを説明する図(A)、および合焦度の変化に応じたメモリの動作制御を説明する図(B)である。
【図3】被写体の検出難易度の変化に応じたメモリの動作制御を説明する図(A)、および検出処理量の変化に応じたメモリの動作制御を説明する図(B)である。
【図4】メモリの動作制御について処理例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。
図1は本実施形態に係る撮像装置の全体構成を例示した図である。
被写体からの光は、撮影レンズ101に入射し、絞り102で光量が調整されて、撮像素子103に結像する。撮像素子103は光電変換を行い、電気信号をAFE(Analog Front End)部104へ出力する。撮像信号処理を行うAFE部104は、入力信号を受け取り、デジタルデータへ変換して、画像処理コア123へ出力する。本実施形態では使用する複数の記憶手段のうち、第1記憶手段を「第1メモリ」とし、第1記憶手段よりも記憶容量の小さい第2記憶手段を「第2メモリ」とする。つまり、第2メモリは、必要最小限の時間のみ稼動する負荷分散用メモリの機能をもち、後述するように必要に応じて動作制御が行われる。画像処理コア123の外部に接続された第1メモリ121はシステム全体で処理するデータを一時的に保持する記憶手段である。これは、例えば2Gbitの記憶容量を有し、800Mbps×32bitで50Gbit/sの処理帯域をもつLow power DDR2準拠の低消費電力メモリである。
【0009】
次に、撮像素子103による被写体の画像データを処理する画像処理コア123の内部構成について説明する。
補正部105はAFE部104からの信号を処理してキズ補正を行う。カメラ信号処理部106は、いわゆる現像処理を行い、ノイズリダクション(NR)処理部107はノイズ除去を行う。記録用リサイズ処理部108は、記録画角へのリサイズ処理を行い、静止画符号化部109は静止画記録時の符号化処理を行い、動画符号化部110は動画記録時の符号化処理を行う。表示I/F部111は、表示デバイスに画像表示を行うためにHDMI端子搭載機器やEVF、表示パネルなどに信号を出力するインタフェース部である。HDMIは“High Definition Multimedia Interface”の略号であり、EVFは“Electronic View Finder”の略号である。
【0010】
記録I/F部112は記録媒体へ被写体の画像データの記録処理を行うためのインタフェース部である。記録I/F部112は、例えばSATAやUSB対応デバイス、メモリカードなどとの間でデータを送受する。SATAは“Serial Advanced Technology Attachment”の略号であり、USBは“Universal Serial Bus”の略号である。解析用リサイズ処理部113は、被写体検出処理が実現可能な程度の画角へのリサイズ処理を行い、リサイズ処理された画像データは、被写体解析部114が読み込んで被写体検出処理を行う。第2メモリ122は画像処理コア123に内蔵されたSRAM(Static Random Access Memory)である。第2メモリ制御部120は第2メモリ122へのアクセスを制御する。画像処理コア123で実行される各処理はメモリアサイン制御部124により調停され、第1メモリ121または第2メモリ122へのシーケンシャルなアクセスにより実行される。合焦度算出部116は被写体解析部114からの被写体解析結果および撮像素子103からAFE部104を介して画像データを取得してフォーカス制御やAE(自動露出)制御のためのパラメータを算出し、撮影制御部115へ出力する。該パラメータには、焦点調節制御に用いるAF(オートフォーカス)評価値が含まれ、AF評価値から合焦度情報が生成される。
撮影制御部115は前記パラメータおよび撮影者の操作指示による動画記録トリガ信号および静止画記録トリガ信号を受け取って、撮影レンズ101、絞り102、撮像素子103の駆動を制御する。超過帯域予測部118は合焦度算出部116からの合焦度情報と、被写体解析部114からの検出状況の情報を用いて制御負荷を推測し、第1メモリ121に係るアクセス帯域の超過の有無を判別する。合焦度情報とは被写体にピントが合っている度合いを表す情報であり、ピントが合っているほど高い値を示す。また検出状況の情報とは、例えば、被写体の数または撮影方向に対する被写体の角度などの情報である。超過帯域予測部118は、合焦度や検出状況の情報をフレーム単位での履歴情報として保持し、当該情報から処理負荷を推測する。パワー制御部119は、アクセス帯域超過の予測情報に基づき、第2メモリ制御部120を介して、第2メモリ122の動作(ON)および不動作(OFF)を制御する。このように、超過帯域予測部118、パワー制御部119、第2メモリ制御部120は、記録処理中における被写体検出の処理負荷に応じて第2メモリ122の動作および不動作を制御する。
【0011】
図2(B)は処理帯域と合焦度、第2メモリ122の動作状態、被写体検出結果の関係を例示した図である。横軸に時間軸をとり、縦軸には第1メモリ121に係る処理帯域401と、合焦度402を示し、さらに第2メモリ122のオン・オフ状態403、被写体検出結果404を示している。なお、フレームFR0からFR6については図2(A)にて説明した通りである。超過帯域予測部118は、合焦度情報をフレーム単位での履歴情報として保持している。
合焦度402の推移から分かるように、フレームFR0からFR4までの間は被写体にピントが合っておらず、合焦度は判定レベル(閾値)以下である。その後、フレームFR5およびFR6では被写体にピントが合うので、合焦度が判定レベルより大きくなる。第2メモリ122のオン・オフ状態403の推移については、記録前のフレームFR0およびFR1でオフ状態である。記録が開始すると第2メモリ122がオン状態となる。記録開始後に合焦度が判定レベル以下である場合には、メモリアクセス頻度が多くなるため、第2メモリ制御部120は、次のフレーム処理で第2メモリ122をオン状態として動作させる。例えばフレームFR2での合焦度は判定レベル以下であるため、次フレームFR3で第2メモリ122がオン状態となる。被写体検出処理では第2メモリ122へのアクセスを行うことにより、第1メモリ121の負荷を軽減できる。一方、記録処理中に合焦度が判定レベルより大きい場合には、メモリアクセス頻度が少なくなるので、第2メモリ制御部120は第2メモリ122をオフ状態にする。この場合、被写体検出処理は第1メモリ121へのアクセスにより行われ、消費電力を節減できる。フレームFR5で合焦度は判定レベルを超え、次フレームFR6で第2メモリ制御部120は第2メモリ122をオフ状態とする。上記処理の結果、記録処理中に必要帯域が処理帯域401の上限値を超えることはないので、FR0からFR6の期間中に被写体検出結果404が「打ち切り」になることはない。
【0012】
図3(A)は処理帯域501と検出難易度502、第2メモリ122の動作状態503、被写体検出結果504の関係を例示した図である。横軸に時間軸を示し、縦軸には第1メモリ121に係る処理帯域501と検出難易度502を示し、それらの下に第2メモリ122の動作状態と被写体検出結果504の推移を示す。
図3(A)と、図2(A)および(B)との相違点は、合焦度に代えて検出難易度502を用いて超過帯域予測部118およびパワー制御部119により、第2メモリ122の動作状態を制御していることである。この場合、検出難易度とは、被写体角度から推定される被写体検出の難易度であり、検出難易度が高いほど検出がより困難であることを示す。被写体角度については既知の方法により、例えば撮影方向、つまり正面に対して直交する方向を基準として、顔が向いている角度のずれが検出される。被写体角度が大きいほど、検出難易度が大きいものとする。フレームFR0からFR4では、主被写体である顔が正面とは異なる方向を向いている。つまり、被写体角度が正面からずれており、検出難易度は判定レベルより大きい。また、フレームFR5およびFR6では、主被写体である顔が正面を向いており、検出難易度が判定レベル以下である。超過帯域予測部118は、撮影方向に対する被写体の角度を示す情報または検出難易度の情報をフレーム単位での履歴情報として保持している。
第2メモリ122の動作状態503の推移において、フレームFR0およびFR1で示す記録前には第2メモリ122がオフ状態である。記録開始後、検出難易度が判定レベルより大きい場合、メモリアクセス頻度が多くなるため、次のフレーム処理で第2メモリ制御部120は第2メモリ122をオン状態とする。例えば、フレームFR2での検出難易度は判定レベル以上であるため、次フレームFR3で第2メモリ122はオン状態である。被写体検出処理では第2メモリ122へのアクセスが行われるので、第1メモリ121の負荷を軽減できる。また記録開始後に検出難易度が判定レベル未満であれば、メモリアクセス頻度が少なくなるので、第2メモリ制御部120は第2メモリ122をオフ状態にする。例えば、フレームFR5での検出難易度は判定レベル以下であるため、次フレームFR6での第2メモリ122はオフ状態となる。被写体検出処理では第1メモリ121へのアクセスが行われるので、消費電力を節減できる。上記処理の結果、記録処理中に必要帯域が処理帯域501の上限値を超えることはないので、FR0からFR6の期間中に被写体検出結果504が「打ち切り」となることはない。
【0013】
図3(B)は第1メモリ121に係る処理帯域601と検出処理量602、第2メモリ122の動作状態603、被写体検出結果604の関係を例示した図である。図3(A)との相違点はFR0からFR4に示す撮像画像に複数の被写体が写っていることである。図3(B)では検出難易度に代えて検出処理量602の推移を示す。検出処理量とは、被写体の個数から推定される被写体検出に要する処理量であり、検出個数が多いほど検出処理量が大きくなるものとする。フレームFR0からFR4では被写体の検出処理量が判定レベルより大きく、フレームFR5およびFR6では被写体の検出処理量が判定レベル以下である。超過帯域予測部118は、被写体の数を示す情報または検出処理量の情報をフレーム単位での履歴情報として保持している。
記録開始前のフレームFR0およびFR1にて第2メモリ制御部120は第2メモリ122をオフ状態とする。記録開始後に検出処理量が判定レベルより大きい場合、メモリアクセス頻度が多くなるため、次のフレーム処理で第2メモリ制御部120は第2メモリ122をオン状態にする。例えば、フレームFR2での検出処理量は判定レベルより大きいため、次フレームFR3で第2メモリ122がオン状態である。被写体検出処理では第2メモリ122へのアクセスを行うことにより、第1メモリ121の負荷を軽減できる。また記録開始後、検出処理量が判定レベル以下になった場合、メモリアクセス頻度が少なくなるので、第2メモリ制御部120は第2メモリ122をオフ状態とする。例えば、フレームFR5での検出処理量は判定レベル以下であるため、次フレームFR6で第2メモリ122がオフ状態となる。被写体検出処理では第1メモリ121へのアクセスが行われ、消費電力を節減できる。上記処理の結果、記録処理中に必要帯域が処理帯域601の上限値を超えることはないので、FR0からFR6の期間中に被写体検出結果604が「打ち切り」となることはない。
なお、図2(B)、図3(A)および(B)に示す各処理では、フレームごとに取得した検出状況の情報を、次のフレームでのメモリ動作制御に反映させているが、複数のフレームに亘る履歴から得られる統計情報をメモリ動作制御に反映させてもよい。
【0014】
次に図4のフローチャートを参照してメモリの動作制御について説明する。
ユーザの電源投入操作により装置の電源がオン状態となり(S701)、起動シーケンスが実行される(S702)。起動時には第2メモリ122はオフ状態である。撮影制御部115はフレーム同期パルスの有無について判定し(S703)、該パルスが検出された場合、S704に進み、未検出の場合にはS703の判定処理が繰り返される。
S704で、撮影制御部115は、記録トリガ信号の有無を判別することで、記録開始が指示されたか否かを判定する。記録開始の指示がないと判定された場合、S706に進み、解析用リサイズ処理部113は撮影画像のリサイズ処理を行う。次にS707に進み、被写体解析部114は被写体検出処理を行う。一方、S704で記録開始の指示があったと判定された場合、S705に処理を進め、記録および検出の並行処理が行われる。つまり、記録用リサイズや符号化などを含めた、撮影画像データの記録処理と、S706およびS707で説明した被写体検出処理が並列に実行される。
S705やS707の処理後、S708に進む。超過帯域予測部118は、合焦度、被写体の数、撮影方向に対する被写体の角度を示す情報をフレーム単位での履歴情報として保持している。超過帯域予測部118は合焦度算出部116から合焦度情報を取得して、閾値と比較することで合焦度判別を行う。合焦度が閾値未満の場合、S712に進み、閾値以上の場合、S709に進む。超過帯域予測部118は被写体解析部114からの検出状況の情報より、被写体人数を判別する。本例では被写体の検出処理量に関し、検出人数が閾値より大きいか、または閾値以下であるかについて判定される。記録処理中の被写体の検出人数が閾値より大きい場合、S711に進み、閾値以下の場合、S710に進む。超過帯域予測部118は被写体解析部114からの検出状況の情報より、被写体角度を判別する。記録処理中の被写体角度の検出値が閾値より大きい場合、S711に進み、閾値以下の場合、S712に進む。
【0015】
「合焦度<閾値」または「検出人数>閾値」または「検出角度>閾値」の場合、S711でパワー制御部119は、超過帯域予測部118からの予測情報に従い、第2メモリ制御部120を介して、第2メモリ122をオン状態にする。一方、「合焦度≧閾値」かつ「検出人数≦閾値」かつ「検出角度≦閾値」の場合、S712でパワー制御部119は、超過帯域予測部118からの予測情報に従い、第2メモリ制御部120を介して、第2メモリ122をオフ状態にする。S711やS712の処理後、S703に戻り、次のフレーム同期パルスが検出されるまでの間、待機状態となる。
本実施形態によれば、合焦度や被写体検出状況を参照し、必要最小限の期間のみ第2メモリ122を稼動させるにより、記録処理中における処理負荷の増加による被写体検出の中断を防止できる。また、処理負荷が低下した場合には、第2メモリ122を不動作とすることで消費電力を削減できる。
なお、上述の例では第1メモリ121を画像処理コア123に接続した外部メモリとし、第2メモリ122を画像処理コア123の内蔵メモリとした。つまり、画像処理コア123を構成する集積回路の外部に接続された第1メモリ121はDRAM(Dynamic Random Access Memory)である。また、第2メモリ122は集積回路に内蔵されたSRAM(Static Random Access Memory)である。
これに限らず、第1メモリ121および第2メモリ122を画像処理コア123の外部に設けた変形例も可能である。例えば、第1メモリ121は、800Mbps×32bitで25Gbit/sの処理帯域と2Gbitの容量を持ち、画像処理コア123の外部で接続されるLow power DDR2準拠の低消費電力メモリである。また第2メモリ122(図1の破線枠参照)は、200Mbps×8bitで1.6Gbit/sの処理帯域と64Mbitの容量を持ち、被写体検出処理用のデータ保持に使用されるMobile DDR準拠のメモリである。両メモリとも集積回路の外部で接続されるDRAMであるが、第1メモリ121の記憶容量に比して第2メモリ122の記憶容量は小さい。
【符号の説明】
【0016】
103 撮像素子
112 記録I/F部
114 被写体解析部
115 撮影制御部
116 合焦度算出部
117 第1メモリ制御部
118 超過帯域予測部
119 パワー制御部
120 第2メモリ制御部
121 第1メモリ
122 第2メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像素子による被写体の画像データの記録処理を行う記録処理手段と、
前記被写体の画像データを解析して被写体検出処理を行う被写体解析手段と、
前記画像データと、前記記録処理および前記被写体検出処理に用いるデータを記憶する第1記憶手段と、
前記被写体解析手段が前記被写体検出処理に用いるデータを記憶する第2記憶手段と、
記録処理中の前記被写体検出処理に係る処理負荷に応じて前記第2記憶手段の動作および不動作を制御する制御手段を備え、
前記制御手段は、記録処理中に前記被写体検出処理に係る処理負荷が閾値より大きくなった場合、前記第2記憶手段を動作させることで前記被写体解析手段によるアクセスを可能とし、また記録処理中に前記被写体検出処理に係る処理負荷が閾値以下になった場合、前記第2記憶手段を不動作として前記被写体解析手段が前記第1記憶手段にアクセスを行うように制御することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記被写体の画像データから算出した焦点調節に用いる評価値より合焦度情報を生成する合焦度算出手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記合焦度算出手段から前記合焦度情報を取得して閾値と比較し、記録処理中の前記合焦度が閾値以下である場合、前記処理負荷が大きいと判定して前記第2記憶手段を動作させ、記録処理中の前記合焦度が閾値より大きい場合、前記処理負荷が小さいと判定して前記第2記憶手段を不動作とすることを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
前記被写体解析手段は前記被写体の画像データから該被写体の数または撮影方向に対する該被写体の角度を検出することにより検出難易度を算出し、
前記制御手段は、前記検出難易度を取得して閾値と比較し、記録処理中の前記検出難易度が閾値より大きい場合、前記処理負荷が大きいと判定して前記第2記憶手段を動作させ、記録処理中の前記検出難易度が閾値以下である場合、前記処理負荷が小さいと判定して前記第2記憶手段を不動作とすることを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項4】
前記被写体解析手段は、撮影方向に対する前記被写体の角度を検出し、撮影方向を基準とする前記被写体の角度のずれが大きいほど、前記検出難易度を大きくすることを特徴とする請求項3記載の撮像装置。
【請求項5】
前記被写体解析手段は、前記被写体の数を検出し、検出した前記被写体の数が多いほど、前記検出難易度を大きくすることを特徴とする請求項3記載の撮像装置。
【請求項6】
前記制御手段は、
前記第1記憶手段の処理帯域の超過を予測する予測手段と、
前記予測手段からの情報を取得して前記処理帯域が上限値を超えないように前記第2記憶手段の動作を制御するパワー制御手段を備え、
前記予測手段は前記合焦度または前記被写体の数または撮影方向に対する該被写体の角度を示す情報をフレーム単位での履歴情報として保持することを特徴とする請求項2から5のいずれか1項記載の撮像装置。
【請求項7】
前記第1記憶手段は、前記記録処理手段および前記被写体解析手段を含む集積回路に接続された外部メモリであり、
前記第2記憶手段は、前記集積回路に内蔵されたメモリ、または前記集積回路の外部に接続されたメモリであって、前記第1記憶手段に用いる外部メモリよりも記憶容量が小さいことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項記載の撮像装置。
【請求項8】
前記被写体解析手段は前記被写体の顔の個数または撮影方向に対する顔の向きを検出することを特徴とする請求項3記載の撮像装置。
【請求項9】
撮像素子による被写体の画像データと、記録処理および被写体検出処理に用いるデータとを記憶する第1記憶手段と、前記被写体検出処理に用いるデータを記憶する第2記憶手段を備えた撮像装置にて実行される制御方法であって、
前記撮像素子による被写体の画像データの記録処理を行う記録処理ステップと、
被写体解析手段により前記被写体の画像データを解析して被写体検出処理を行う被写体解析ステップと、
記録処理中に並行して前記被写体解析手段により行われる被写体解析の処理負荷が閾値より大きくなった場合、前記第2記憶手段を動作させることで前記被写体解析手段によるアクセスを可能とし、また記録処理中に前記被写体検出処理に係る処理負荷が閾値以下になった場合、前記第2記憶手段を不動作として前記被写体解析手段が前記第1記憶手段にアクセスを行うように制御する制御ステップを有することを特徴とする撮像装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−74398(P2013−74398A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−210920(P2011−210920)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】